※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【SSです】幻想でない軽業師
[21]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:14:47 ID:??? Act2.乙女心と秋の空 ドンチャンドンチャン ガヤガヤ 反町「(騒がしいなぁ……まあ、こっちの方がらしいと言えばらしいのかな?)」 フランス国際Jrユース大会。 幻想郷Jrユースとして参加をした、少年(1名)少女(と呼ぶには幾らか不自然な容姿の者も多数)達。 予選リーグを博麗霊夢、霧雨魔理沙、十六夜咲夜、ついでに魂魄妖夢という主力を欠きながらも突破し、 決勝トーナメントからは西ドイツJrユース、魔界Jrユースを彼女たちの帰還もあり突破(妖夢が活躍したとは言ってない)。 そして決勝――全日本Jrユースを相手に3−1で快勝。 見事優勝という栄誉を手に入れた彼女たちはフィールドでもその喜びを分かち合っていたのだが――。 しかしながら、それはそれ。 元来何かあれば宴会、という風土を持つ幻想郷である。 宿舎へと戻ってからの祝勝会は、それは大層派手なもので――。 幻想郷に来て幾月、それでもまだ一介の中学生感の残る反町一樹は、酒気を帯びる一同を遠巻きに見るしか出来なかった。 反町「……っていうか、いいんですかこれ? 外界だと法律違反ですよ……。 最悪優勝取り消しとか」 輝夜「そこはほら……大人の力で、強引にうまいことやってる!」 反町「(それでいいのかなぁ……)」 常識的に考えて、年齢的に(一応Jrユースとして登録しているJrユースには見えない選手たちも擁するが)飲酒行為など一発アウト。 この場が外部に見られては優勝取り消しもあると反町は心配するが、 そこは色々と上手くやっているようである。 反町の不安を、こちらも日本酒を片手に上機嫌ながら払拭しつつ、 この幻想郷Jrユースを見事に率い優勝に導いた名将(?)。 ――選手としては三流ながらも監督としてはそれなりに出来る蓬莱山輝夜はにっこりと笑みながら相槌を打つ。
[22]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:16:28 ID:??? 輝夜「それはそれとしてお疲れ様、反町くん。 大会MVPに得点王。 憎き宿敵にも勝てた事だし、悲願を達成出来たって所かしら?」 反町「……ええ、まあ」 決勝戦。 反町はハットトリックとはいかないまでも、全日本Jrユース――後半から出場をした若林源三から決勝点を収め、 その印象的な活躍とゴール数から大会MVPと得点王の二冠を達成している。 Jrユース大会が始まる以前――もっと言えば、オータムスカイズへと、幻想郷へと移籍する以前から比べれば、 まかり間違っても自分では達成出来ないような実績である。 しかしながら、反町の表情はいまひとつ浮つかない。 反町「ただ……宿敵に勝てた……と言っても、俺は森崎には勝ててないんですよね」 輝夜「………………」 そう、反町一樹は森崎有三からゴールを奪ってはいない。 全日本Jrユースとの決勝戦、前半戦は0−0というロースコアゲームで試合を折り返した。 正しくは森崎が反町、魔理沙、リグルという幻想郷の誇る超火力シューターたちに対して常に全力のセービングを行い、 結果的に弱点であるスタミナの消耗を露呈させて後半からは退いただけである。 言ってしまえば、反町達幻想郷はその弱点を突いて森崎を交代に追いやった――それが故の勝利でも言えた。 ただ、反町自身は――全力であった森崎からゴールを奪えなかった、その事実に納得がいっていない。 反町「まだまだです。 俺も……こんな程度で、満足してはいられない」 輝夜「…………(既に全世界を見渡しても、彼以上の、純粋なストライカーはまずいない。 それでいて、なおこの貪欲なまでの勝利への拘り。 見るものが見れば持つ者への嫉妬を感じるのでしょうけど、だからこそ彼は強いんでしょうね……)」 ストライカーとしての反町の能力は、言うにも及ばず世界でも最高峰である。 かつて自身を虐げていた日向小次郎も目ではない。 西ドイツで皇帝の異名を持つカール=ハインツ=シュナイダーも敵ではない。 幻想郷で常にトップクラスのFWとしてサッカー界を牽引してきた、レミリア=スカーレット、霧雨魔理沙も足元に及ばない。 ことシュートにおいて、彼は既に頂点を極め――それでも、セービングにおいて頂点とも言える森崎からゴールを奪えなかった事を悔いる。 その貪欲さは美徳でもあり、そしてそれ以上に彼の『欠点』でもあった。
[23]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:18:13 ID:??? 輝夜「まあ……ひとまずこれで大会は終わりなのだし、しばらくはのんびりした方がいいわ」 反町「そうですね(そうだな、大会は終わるんだし。 これからは試合前に体力温存をする必要も無いんだ。 久しぶりに朝から練習しても問題は無いんだな)」 のんびりする、という言葉を素直に受け止めた反町はそう考えつつ、 しかし次の輝夜の言葉で現実へと引き戻される。 輝夜「それに、今後どうするかも考えなきゃいけないんじゃないの?」 反町「え?」 輝夜「今までは幻想郷で……ほら、西ドイツのシェスターくんや西尾?くん……じゃなかった、カルツくんとか。 後は紅魔館の三杉とか、ついでに魔界Jrの佐野くん?だっけ、とかも幻想郷にいたけど。 ここから先は外の世界に戻るって選択肢も出てくるでしょ?」 思えば。 反町が当初、この幻想郷へとやってきたのは――新造チームを秋姉妹が作る、とし。 八雲紫がスキマを使って呼び出したのが最初である。 そこから秋姉妹と共に共同生活を行いつつ、橙、妖精トリオ、大妖精、にとり、椛、リグルを自チームに勧誘。 負ける事もありながらも仲間たちと切磋琢磨をし、更に仲間を増やし。 色々といざこざはありながらも、『弱小』だったチームを『名門』へと引っ張り上げたのは記憶に新しい。 ただ、そんな彼も――もとはといえば、やはり外の世界の人間である。 外に帰れば両親もいるし、学校もある。 いつまでも幻想郷にいる、という訳にはいかないのだが……。 反町「………………」 輝夜「ま、悩みなさい。 あんたをこの世界に呼んだのはあの八雲紫なんだもの。 あんたがどんな選択をしようと、その道を選ぶ手助けくらいはしてくれるでしょ」 妹紅「おーい、輝夜ーっ!! 何してんの、ほらほら、かんぱーいっ!!」 輝夜「あー……はいはい、乾杯乾杯」
[24]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:20:11 ID:??? このチームを率いたという事からか、それとも単純に年長者としての意見か。 そっと反町にそう呟きながら、相も変わらず熱血漢として賑やかな場を楽しむ妹紅に呼ばれた輝夜は、 苦笑をしながらも返事をし、妹紅の元へと歩んでいく。 反町「(妹紅さんも……変わったよなぁ)」 1人になった反町がそんな輝夜を見ながら視線を動かせば、満面の笑みで盃を交わす妹紅の姿。 思えば、妹紅も反町が出会った時からは考えられない程の変化をした。 かつては世捨て人同然の暮らしをし、クールで斜に構えた態度を取っていた妹紅。 それが反町と静葉の説得を契機にして反町達のチーム――『オータムスカイズ』へと加入。 人妖との関わりを大切にしながら周囲と共に過ごし、その中で心境にも変化があったのか、 やがては不倶戴天の敵としていた輝夜とも和解をし、今では先のように盃を交わすまでの仲となった。 反町「(妹紅さんだけじゃないよな……本当に、いろんな人と知り合った)」 過ごした月日は僅か数か月程度。 ただ、その中で反町は個性的ともいえる人々――もとい、妖怪、神様、その他諸々と知り合った。
[25]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:21:48 ID:??? レティ「まいう〜♪」 ヒューイ「まいう〜!」 チルノ「あたいってば暴飲暴食ね!!」 大妖精「チ、チルノちゃん! あんまり食べ過ぎちゃまた後で気持ち悪くなっちゃうよ!」 視線を向ければ、立食形式のパーティーの中、お皿を持って徘徊をする妖怪と妖精の一味を見つける。 かつては先にあったフランス国際Jrユース大会で敵として相対しながらも、 さまざまな衝突がありながら加入し心強い味方として、時折天然な所も見せながら縦横無尽に活躍を見せた風見幽香。 そんな彼女と共に加入をし、幻想郷では希少価値のあるDFとしてオータムスカイズを支えたレティ。 妖精トリオとしてその他大勢のモブ同然の身から、反町と師弟関係を結び――。 その関係については未だに少し互いに距離を測りかねているものの、 彼女自身は既に妖精という枠組みからは外れた……一流と呼べるボランチへと成長を遂げたヒューイ。 そして、そんなヒューイらに忌み嫌われながらもオータムスカイズに入り、 強大なブロックと誰にも負けない根性でオータムスカイズゴールを守り続けたチルノと、 そのチルノを誘い、途中からやけに反町に対して腫れものを触るような態度になった大妖精。
[26]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:23:26 ID:??? パルスィ「妬ましい……大会MVPまで取るオータムスカイズが妬ましい……パルパル……!!」 ヤマメ「パルスィもしっかり活躍してたじゃないか。 第三キーパーの身からすりゃパルスィだって相当羨ましいよ」 キスメ「……!」←でもヤマメちゃんもアルゼンチン戦で活躍してたじゃない、とヤマメの肩を叩いて励ますキスメ 妖夢「(そうなんですよね、ヤマメもなんだかんだで出番はあったんですよね……。 私だけ出番が結局無いまま終わって……ど、どうしてこうなった……)」 更に視線を動かせば、そこにはギリギリと歯ぎしりをしながら恨み節を呟くパルスィの姿。 彼女との付き合いも、思えば弱小だった頃からである。 シュートをひたすらに伸ばし、幻想郷どころか世界でも屈指の実力者となった反町とは対照的に、 怪我に泣きながらもそのセンスをこの大会中に一気に開花させ、ドリブラーとして一躍有名人となった彼女。 今や彼らを弱小なFW、MFと揶揄する者はどこにもいないだろう。 そんなパルスィの傍らには、やはり妬ましパルパルズ時代からのチームメイトが寄り添っている。 大会では第三キーパーながらも、腐らず、自身が求められた場所で活躍をし、 『あの』天才達から無失点で試合を切り抜け、大虐殺試合の立役者となったヤマメ。 無口ながらも心優しい性格と桶の強度だけでブロック一芸を突き詰めたキスメ。 唯一、大会中一度も出番がなかった彼女らのチームメイト魂魄妖夢だけは真実浮かない顔をしていたが、 活躍する者もいればしない者もいるのがスポーツである。 パルスィ「妬ましい……才能がありながらそれを腐らせるあなたが妬ましい……」 妖夢「…………(みんな私に才能があるって言いますけど、本当なんでしょうか。 知らない内にリグルにすら大きく水をあけられちゃいましたし……どうしてこうなった?)」 ヤマメ「妖夢はしゃーないよ……FWは激戦区も激戦区過ぎるし」 キスメ「…………」←ドンマイ、と妖夢の肩を叩いてる パルスィは独特の口調で妖夢の事を励ますも、いまいち届かない。 才能とセンスはある、しかし芽が出ない半人前のFW――そう言われ続けた魂魄妖夢。 自分には才能がある、と自覚し無自覚にも傲慢さも少し見え隠れしていた彼女だったが、 彼女はこの大会で結局出番が無かった事に関し、大きく自信を失くしていたという。
[27]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:24:49 ID:??? 魔理沙「よ、食ってるかにとり?」 にとり「うん、魔理沙! いやぁ、このキューリは美味いねぇ!! 漬物とはまた違う味わいだよ!! 作り方を穣子に教えさせて、毎日食べたいくらいだね!!」 魔理沙「そっちはどうだ妖精?」 妖精1「ん……ちゃんと食べてる。 それより人間、飲み過ぎじゃない?」 魔理沙「何言ってんだ、めでたい事なんだし飲まない方がおかしーだろ! ほら、お前も飲め飲め!!」 妖精1「わわわっ……」 また違う所では、にとりと妖精1の師弟コンビに、魔理沙が絡んでいた。 ある意味、反町とは対極の位置に存在する霧雨魔理沙。 彼女もまた反町が大会MVPと得点王を両取りした事に思う所が少なからずあるのだろうが、 それでも純粋にこの宴会を楽しみ盛り上げていた。 妖精1の持つ空のグラスに並々と麦酒を注ぐと、妖精1はそれに小さく感謝の言葉を言いながらちびり……と舐めるように飲む。 にとり「妖精1も食べるかい? このキューリはいい、本当にいい!! 絶妙な酸っぱさと後を引く甘さの見事なハーモニーがだね……!!」 魔理沙「にとりみたいにキューリだけで一皿とはいかねーだろ……何か取ってきてやろーか?」 妖精1「だ、大丈夫。 まだお皿に料理残ってるから」
[28]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:26:38 ID:??? キューリのピクルスに感激し通しのにとりは上機嫌でそれを頬張る。ポリポリといい音が鳴る。 そんなにとりの様子を見ながら、妖精1は苦笑しつつももう一度ちびりとお酒を入れた。 この大会、FWはほぼ反町、魔理沙、リグルの三者で固定。 MFについても霊夢、咲夜、ヒューイの三者がほぼ確定であった中――DFに関しては、流動的であった。 咲夜やヒューイがDFの位置につく事もあれば、本職はFWであった紅魔館の門番――。 紅美鈴がそのクリアーの強さを買われて起用された事もある。 そんな中でも、にとりと妖精1、両者は全試合とまでは言わないまでも、それなりには試合出場の機会を得た。 特ににとりにしては自身の出番があった云々以上に、妖精1がそれなりに見どころのある選手だと認められた事が嬉しい。 にとり「かぱぱ! 妖精1のマンツーマンディフェンスは誰にもない、希少な才能だからね! ようやく認められて、本当に良かったよ!」 妖精1「……でも、まだまだヒューイには負けてる。 ヒューイは全試合に出て、ずっと活躍してたから」 魔理沙「…………ま、今は喜んでいいんじゃねーか? 前に比べりゃずっとよくなったんだろ?」 にとり「そうだよ妖精1! この大会を機に、お前はいずれは幻想郷を代表するマンマーカーになるんだよ! その為にも、また猛特訓しないとね!」 妖精1「ま、またあの変な機械とかつけるの!?」 かつて亀裂が入り修復は不可能かと思われた師弟関係。 しかしながらその思いのたけを妖精1はにとりにぶつけ、ぶつかり合い、やがては和解をした。 才能があると惚れ込んでおきながらまるで面倒を見ていなかったにとりは、 幻想郷にいた頃、大会前の大事な期間を費やし全てを妖精1を鍛え上げる為だけに捧げたのである。 結果、妖精1はその実力を大きく向上させ、先に述べた通り一目置かれる存在にはなった。 だが、まだまだこの程度では満足できていないのはにとり、妖精1、両者ともに同じである。 魔理沙「ま、頑張りな。 熱心な師匠がいてくれるってのはそれだけありがたいことだぜ」 にとり「えへへへ〜、そう? そうかな? ほら妖精1、魔理沙もこう言ってる事だし、頑張るよ!」 妖精1「う、うん……(ヒューイにまだ負けてるのは本当だしね。 ……それにしても、サンタナはどうしてるかなぁ?)」 魔理沙「(……これから伸びる余地があるってのは羨ましい限りだぜ。 私は……。 私は、考えるだけだ。 こっからどうするのか、どうやるのか、何を為すのか。 一から出直しだ……なあ、魅魔様)」
[29]幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/22(月) 00:28:23 ID:??? 一旦ここまでです。
[30]森崎名無しさん:2018/01/22(月) 00:53:15 ID:??? 一旦乙です。反町…お前まだシュート力を上げたりないと言うのか…
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24