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【花の都の】キャプテン岬2【色物達】
[358]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/06(日) 17:45:20 ID:9RJVymVk 遅くなりましたが、森崎板の各物語を楽しんでいる皆様、明けましておめでとうございます。 今年も昨年以上に心躍り物語の世界に浸り切れるように精進いたします。 本編の再開についてですが、やはり昨年に申し上げました通り早くても 今月12日か13日位になりそうです。神道の神事を調べると大変覚える事が多く、 違和感なく話に盛り込んでいくのはさらに大変…… 皆様もいつまでも話が進まず不満もあると思いますが、これからの話の展開を広げていく際に その背景を明らかにしなければ唐突に過ぎてしまうため、何卒ご勘弁を願います。 私事ですが、今年は原作漫画風のデッサンが出来るようにする事を目標の1つにしています。 満足できるものが描き上げられるようになったら、今回の初詣で2回も出た、 レースクイーン姿の岬君を描いてみたいです。
[359]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/12(土) 16:29:28 ID:1wYTmN2E ええ、それでは本年初めての、本編物語の進行を行わせていただきます。 神社の神事については以下の本を参照しています。至らぬところが多すぎて恐縮ですが、 どうか本編を進めさせてください。 朱鷺田祐介『図解 巫女 FFILES No.028』 國學院大學日本文化研究所『縮刷版 神道事典』 西牟田崇生 『平成新編 祝詞事典 増補改訂版』
[360]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/12(土) 16:31:33 ID:1wYTmN2E ★無間神社への参拝者 ハート5 ★→特に知っている人は現れなかった ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 幸か不幸か、参拝者の中に知っている人はいなかった。これで余計な心配はせずに済む。 知人への心配をする必要が無くなったため、今気にかけるべき事はただ1つとなった。 これからはじまる新室祭の進行である。 岬「皆様、何卒もう少しだけ下がってください。これよりこの広場にて修祓(しゅばつ)を執り行います」 鳥居と本殿の中間点に立った後周囲に神事の執り行う事を予告する。 僕の足っている周囲は縦横それぞれ10mといった所だろうか、斎竹(いみだけ)を立て注連縄を引いた祓所を設けている。 敷き詰めた玉砂利を乱さぬようゆっくりと祓所から退くと、声がかかってくる。 紳士「シュバ?いったいどんな儀式かね」 岬「修祓というのは、皆様方にたまっているであろう罪や穢れを、 かみ……精霊や祖先に頼んで綺麗にしてもらうというものです」 紳士「そのケガレとは何だね?」 岬「精神的な汚れのようなものです。 死や病気などで悩み苦しんだ事による淀んだ感情や状態、そこまで大きなものでなくても、 日々の肉体的な汚れが精神にも影響を及ぼしていくものだと、私達は考えています。 例えばお手洗いに行って手を洗わずに帰ってきたら、実際は汚れてなくても汚く感じてしまうように」 紳士「なるほど、そういう考え方か」 何をするか、どんな儀式かと訊いてくる人達に説明をする。 相手は外国人、神道の事は全く知らない相手であり、随分かみ砕いて話したが、 どう話したら理解してもらえるかと考えるのにも、結構神経を使った。
[361]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/12(土) 16:32:52 ID:1wYTmN2E 沙織「さ、太郎くんはこれね。兄さんはくれぐれも塩湯をこぼさないように」 本殿から少し離れた母屋で、神事を行うための最後の儀式を行う。 僕は白木の棒に紙垂(しで)をつけた大麻(おおぬさ)と神楽鈴を手に持ち、 父は海水を模した塩湯を入れた杯を両手でつかんでいる。 沙織「さ、行くわよ。しっかりね」 そうして僕達はドアを開き、参拝者達の前に現れる。 無間神社の主として、そして神職として現れた沙織さんは普段のはっちゃけぶりは毛ほども見せぬ、 静粛として穢れのかけらも感じさせない神の従者として存在していた。 少しここで様子を描写してみる事で、ひそかに感心していた僕の心のおどろきの代わりに残しておきたい。 鶴に松の千早を身にまとい、真新しい緋袴がしずしずと音もたてずに祓所へと向かって行く。 頭髪に添え付けられた挿頭(かざし)にはこの時期にどうやってで手に入れたか、 ヤグルマギク、ヒナギク、ヒナゲシが飾り付けられている。 神楽鈴を足元へと付き添えるような静かさで鳴らしながら、祓所の中央、神鏡が設置された祭壇まで進む。 周りは水で打ち静めた砂のように、物音1つもせずまじめな表情で神事を見つめていた。 中央へたどり着いたところで沙織さんは重々しく両まぶたを閉じ、祓詞を唱えだした。
[362]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/12(土) 16:34:38 ID:1wYTmN2E 沙織「掛けまくも畏き 伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 禊ぎ祓へ給ひし時に 生り坐せる祓戸の大神等 諸々の禍事・罪・穢 有らむをば 祓へ給ひ清め給へと 白すことを聞こし召せと 恐み恐みも白す」 (口に出してご尊名を申し上げるのも恐れ多い、 イザナギノ大神が、 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で、 禊祓いをなされた時に、 お生まれになった祓戸の大神達よ、 様々な災難・罪・穢れが ございましたら、 祓いお清めください と申しますことをお聞き届けくださいませと、 畏れ多くも申し上げます)
[363]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/12(土) 16:38:10 ID:1wYTmN2E 祓詞が終わり僕は身をかがめ、大麻を沙織さんへ捧げる形をとる。 沙織さんはまず大麻を右手に収めて念じるように目をつむった後、右へ左へと腕であおぐ。 穢れを祓う神風を乞うた後は大麻を祭壇へ置き、代わりに桐の箱から榊の枝を取り出して 僕と入れ替わりに差し出された塩湯へ榊を漬ける。左、右、左と榊を振って塩湯を境内へ播き、禊ぎ祓いを行った。 このようにして禊祓、玉串拝礼、直会(なおらえ)へと進んでいき、滞りなく新室祭を終わらせる事ができた。 こうした姿を見るたびに、無茶はするが仕事はきちんとする人だ。この親族の女性を見ながらそう思うばかりだ。 しかし全ての神事が終わってからそんな呑気な事はいっていられなくなる、運命としか言いようのないものを、 受け入れざるを得なくなるとは、この時の僕には思いもするはずが無かったのです。 ……というところで、今日はこれまでにいたします。 選択肢が出せるようなところになるまではしばらくお待ちください。 何週間も頑張りましたが、結局書き割り以下の描写しかできませんでした。 やはり得意分野以外の所はそう手は出してはいけないという事でしょうか。 なにとぞお許しを願うばかりです。
[364]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/14(月) 21:27:51 ID:??? 私事ではありますが、先月ようやくTwitterをはじめまして思う事があればをこれからつぶやこうと思っています。 もしお時間がある方がいましたら、どうか一言物語の感想など、好きな事をつぶやきに来てください。
[365]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/20(日) 17:53:15 ID:yKt/9G66 第21話『神おろし、そして宣告』 夜になり、空もようやく暗くなりはじめ、参拝客は皆帰った。ようやく巫女服を脱ぎ普段の服装に戻れたが、 休む間もなく沙織さんの指示により神社に接した鎮守の森まで行かされ水垢離をさせられた。 そうやって体を清めた後は母屋へと連れていかれ、潔斎の場と呼ばれる大部屋で 沙織さんが神おろしを行う準備が整うまで、正座で待機する事となった。 コトコトと時おりかすかに障子が揺れる他は、物音一つしない。 無用なざわめきが場を穢すのを恐れているのか、父さんも神妙な顔つきで目をつむったまま、顔をわずかに傾け口を閉ざしている。 普段とは明らかに異なる父さんの様子を見るたびに、これから本当に神のお告げが下るのだ。神は信じていないはずだったが、 待つごとに未知の出来事への不安や好奇心といった正負ないまぜの感情がつのりだらけた気持ちで迎えようとする気が失せていく。 そんな事を思いながらじっと待つ。遠くに風の音が聞こえるばかりで何の気配もしない。 そよぐ風を体にそそいで祓い清める姿を想像していると、ハッとして風がかき消え氷で研ぎ澄ませたような冷気がピシリと首筋を叩く。 慌てて見開かぬようフっと息をそっとついてから前を見ると、いつの間にか音もたてずに沙織さんが目の前に鎮座していた。 面として向かい合うと、今度は空間を炎であぶったような、空気がチリチリとした具合になる。 目の前の神職は目と口を閉ざし、組み合わせた指を堅く締めたままだ。 沙織「ヒト、フタ、ミ、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ヤ、ココノ、タリ、モモ、チ、ヨロツ、 ヒト、フタ、ミ、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ヤ、ココノ、タリ、モモ、チ、ヨロツ、 ヒト、フタ、ミ、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ヤ、ココノ、タリ、モモ、チ、ヨロツ、 ヒト、フタ、ミ、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ヤ、ココノ、タリ、モモ、チ、ヨロツ、 ヒト、フタ、ミ、ヨ、イツ、ムユ、ナナ、ヤ、ココノ、タリ、モモ、チ、ヨロツ……」
[366]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/20(日) 17:56:05 ID:yKt/9G66 精神集中のためであろう、かすかに数を詠みあげる声が聞こえる。 何十度もそうして詠みあげている姿が、突如吊るした糸が切れた人形のように、ドウと床に倒れた。 体が震えているが、何が起きたかと思っている間に すぐに止み、何事もなかったかのようにすっくと立ちあがり、僕達に向けて語りかけた。 祖霊「我が苗裔(びょうえい)よ、畏みて我らが言を授かるがよい、 我は女にあらず、ただ一人(いちにん)にもあらず、我らは汝ら岬家の祖先の霊が 諸々に集まりて魂魄を成していると思えばよい。さて、我らをこうして呼び出したは 汝らの定命(じょうめい)を知りたいがためであろう、謹んで心中に留め、ゆめゆめ疑うなかれ」 沙織さんの声とはとても思えない野太く雄々しい音吐が下される。 歳月を経て神となった先祖の霊達が降臨したのだ。僕と父さんは平伏し、先祖に深い敬意を示す。 僕達の応対を良しとしたのか、霊魂はそれほど間を置かずにお告げを下した。 祖霊「まずは家長の一郎、そなたに対しては心配はいらぬ。これより先は大病も進退窮まる事もなく、 順調に事を進められるであろう。されどそれは日々の精進あっての事。 常日頃から刻苦勉励し、己を磨き続ける事を心掛けよ。それよりも」 そこまで語った後で先祖の霊は僕の方を向く。どのような言葉を授かるか、ひざまずきながらもゆっくりと顔を上げようとしたが、 祖霊「太郎よ!」 雷鳴のようにとどろく声が僕を叩きつけた。 祖霊「心せよ、我らが末裔よ!汝の身に危難が迫っておる」 岬「危難?」 祖霊「左様、天命を受けるが為に訪れるもの、うかとすれば命をも落としかねまい」
[367]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/20(日) 17:57:46 ID:yKt/9G66 ドキリとして巫女の肉体をまとった先祖へと顔を向ける。命を落とすと言われて心穏やかでいられるものか。 岬「命の危機にあう程の危難と天命とは?」 祖霊「これから一歳(ひととせ)もせぬ間に、汝の親しき者が凶賊に襲われる。 汝はかの者を助けねばならず、それが為に自らも危地に赴かねばならなくなる」 岬「僕の、親しき者といいますと」 祖霊「友が宝を守るため、逡巡せずに自らの命を路傍に投じようとした幼子だ」 岬「っ!」 ギクリとして息をのむ。命を路傍に投じようとした子というのは、如月家の男の子如月優ではなかったか。 そして優に降りかかろうとする襲撃者から守るために、僕まで危機に合わなければならないという…… 祖霊「心してかからねば命は落ち、落命せずとも命運は尽きる。 だがそれを踏み越え、鬼気を祓えば幼子も汝も定命を背負う事ができよう。 さすればこの先いかなる艱難辛苦が来ようとも、乗り越える事ができるであろう」 岬「お待ちください。私は叔母とは異なり、隔絶した異能は持ち合わせていない、普通の子供に過ぎません。 ただ1人でこのような命運に対抗できるとは」 祖霊「案ずるな。一人ばかりでない。汝のすぐ近くの者、世が世なら 股肱(ここう)の臣ともなりえる親しき者三名と依代たるこの岬沙織、 かの者らの助力により、凶賊より身を護る事ができる。この女はともかく、 その者達をいかにして判別するかは、不安に思っているであろう、しばし待て」
[368]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/01/20(日) 17:59:25 ID:yKt/9G66 そう告げるなり先祖の霊は、沙織さんの体に降りたまま潔斎の場から立ち去ってしまった。 それから5分か10分は経っただろうか。 ガタリと襖が開いて現れ、手の甲を下に向けた握りこぶしを目の前に伸ばし手を開く。中には3つの勾玉がほのかに青く光っている。 祖霊「この玉を持っているがいい。定命を共にするものあれば、忽ち輝きて天命を明らかとさせるであろう。 汝とは縁が深いゆえ、断る事はない。安心して、命に向かうがよい。拒んではならぬ。 安逸に逃げては命あれども、どれほど才覚や財物に恵まれようと、ただ日陰の者となるばかりとなり、 決して万人の長になる事は出来ぬであろう。 それが定命を疎かにした者の報いとなる」 内心思っていた不満をも封じられる形で話が進み、僕の件については決着済という流れで終わってしまった。 今だからこうしてあれこれ思う事も出来るが、その時の僕は超常現象と言っても過言ではないこの状況と 思いもよらぬ過酷な運命の宣告に呆然としていて、普段の10分の1も頭が働いてなかったように思える。 いや、そんな事よりも次のお告げの方が問題だったんだ。 あのお告げを聴いた時に感じた、体全体がムカムカして吐き気がこみあげてくるような、 見当のつかない不快感と泥のような鈍くて先の見えない恐怖。 祖霊「残るはこの女の身、岬沙織についてであるな。この者については……」 岬「えっ……」 岬父「なんという、ことだ……」
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0ch BBS 2007-01-24