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【花の都の】キャプテン岬2【色物達】
[436]森崎名無しさん:2019/04/06(土) 23:15:30 ID:SrJcSCkM B
[437]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/14(日) 22:40:23 ID:m9q3xldo 第24話『事が起こってしまった故に』 B 優の過去について尋ねる ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 岬「(どうも引っかかるな)」 千早とやり取りを交わしていて、フッと違和感が差し込む。 岬「(『関心が外に向かう事もなかった』? どういう事だ、何かあったのか?それまでは外の世界に興味が無かったという事になる。訊いてみよう) そうか、優君は今色んな事に興味があるんだ」 千早「え、ええ」 岬「昔はそうじゃなかったみたいだけど、そのあたりの事について教えてもらえないかな」 千早「あの、それは」 岬「僕は命を賭けて優君を守る」 目の前の少女はハッとした顔になって、僕に見入る。彼女が次の反応を示す前に、語り続ける。 岬「僕は優君の力になりたい。前に間一髪で助かった時、あの子の口から出た言葉が『カセットは大丈夫ですか!?』 怖がりも泣きもせず第一にそれ、その次に出たのが『ありがとうございます』だった。 そう言って僕にお辞儀する姿を見て、優君は本当に優しい子なんだって感じたんだ。 そんな子に2度と危ない目に遭ってほしくないし、優君の事をもっとよく知って友達になりたいと思っている。 だからお姉さんの如月さんから、優君について訊きたいんだ」 弟と友達になりたい。誠意を込めた申し出を丁寧に、しかし叩きつけるような勢いで千早に告げる。 僕が語る勢いにたじろいだのか、視線をそらして黙り込んでいた。
[438]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/14(日) 22:41:45 ID:m9q3xldo 千早「そうよ、岬君は優を助けてくれた。大丈夫よ」 しばらくして、自分に言い聞かせる口調でつぶやいた後、僕に触れるか触れないかの距離まで近づき、そっと袖を引く。 千早「ちょっと外へ出て、人がいない所で」 そう言われてチラリと視線を横に動かしてみる。 あずみちゃんと聖薇はにらみ合いに飽きたのか、2人とも椅子から離れ店内をブラブラしている。 岬「(視線がこっちに向く気配もない。それでも外か、よほどデリケートみたいだ)」 どうもただ事ではなさそうだ。そんな気配を悟られぬよう何気ない具合に2人へ外出すると告げ、外に向かう。 マロニエを横に抜けル・エストと大通りの中間まで来たところで千早が立ち止まり、口を開く。 千早「岬君は、PTSDって知ってる?」 聞き慣れない言葉が耳に飛び込む。PTSD。意味を考える間もなく答えが返ってきた。 千早「日本語で『心的外傷後ストレス障害』。強い精神的ショックが心にダメージを与え、 その後遺症で強い恐怖や緊張を引き起こす症状よ」 そこまで告げてから視線を僕ではなく大通りへと向ける。騒音こそパリにしては静かだが、 車は欧州屈指の大都市らしく引っ切り無しに行き交っている。そんな車の群れを見てから僕の方に向き直し、告白した。 千早「優は昔、車に轢かれたの」
[439]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/14(日) 22:43:53 ID:m9q3xldo 千早「昔、まだ日本にいた頃、私と優の2人でお祭りに出かけた事があった。 その帰り道に落とし物を拾おうとした優へ、車が飛び込んできた」 そう言った後、千早はギュッと堅く目をつぶった。幼い日の惨劇が脳裏を駆けめぐったのだろう。 嫌な記憶を振りちぎるように頭を振った後、話を続ける。 千早「万一の覚悟を、とまで告げられたほどの大怪我だったけど、何とか命は取りとめた。 動かなくなった腕もリハビリのおかげで動かせるようになった。でも心は」 そこまで語ったところで千早の口が詰まる。僕は千早の袖を軽くつまみ、もう一方の手で通路路肩を指さし、 促すように自分から縁石に腰を下ろす。一連の仕草から意思を察してくれたらしく、 かすかに頭を下げ僕の隣へ寄り添うように座り、切なげに息をついた後、話を続けた。 千早「撥ねられた時の激痛か生死の境をさまよった体験のせいか。 退院してからも優は苦しい苦しいとうめき続けて、眠る事もできなかった。 起きている時も時々、カチカチと歯を鳴らしながら金縛りにあったみたいに体が動かなくなった。 母さんに連れられてアメリカに渡り、PTSDを診てもらえるお医者さんに出会ってから、 だんだん落ち着いてきて不眠も金縛りも無くなった。これで大丈夫だと思ったのだけど」
[440]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/14(日) 22:46:19 ID:m9q3xldo 千早「フランスに来る少し前、朝早く起きてみると優が自分の部屋で絵を描いていたの。 尋ねてみると夜から一眠りもせずに描き続けていたって。叱ろうとしたら表情も変えずにこう言ったわ。 『だってぼく、明日死ぬかもしれないんだよ?1枚でも多く描いて生きてたんだっていうしょうこを残したいんだ』」 岬「明日、死ぬかあ」 あまりの言葉に、ため息と共にうめきに似たつぶやきが出てしまった。 岬「(『雨の予報が出てたから傘持っていくよ』 そんなレベルで自分の短命を確信してしまっているなんて。これからの事をどうやって伝えれば)」 生還の代償は大きく、僕が背負うべき責任は途方もなく大きいものとなった。だが僕には頭を抱える事すらできなかった。 千早「岬君に優を助けてもらってから、段々怖くなってきたの。 自分の命なんて長くないからいいやと思って、道路に飛び出したんじゃないかって。 優にきいたら本当にそう言いそうな気がする。岬君、わたし、どうしよう!怖い、怖い……」 愁声を越えて悲哀極まり、頭を伏し顔を手で覆い震えだす。 そんな千早に対しかける言葉も見つからず、ただ黙って背中をさする事しかできなかった。
[441]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/14(日) 22:48:03 ID:m9q3xldo そうしてしばらく一緒にいて千早の震えも止まった頃に、コホンと1つ、小さな咳が横から聞こえる。 ギョッとして振り向くと、聖薇とあずみが数歩分横に立っていた。 聖薇の顔は憂色深く、あずみは申し訳なさげに顔をそらしている。 聖薇「岬さん、如月さん。料理ができたと母から言伝がありました。一緒に行きましょう」 千早「早乙女さん、早川さん、聞いてたの?」 赤くなった目を2人に向けて、分かり切った事を尋ねる。 聖薇は眼鏡の縁を押さえたまま押し黙る。何と言っていいのか分からないのだ。 呼びかけに答えたのは、あずみだった。 あずみ「あたし達、確かに全部聞いちゃった。でも信じて、あたしは千早の事友達だと思ってる。 だから私にできる事は何でもするし、悪い事言う奴がいたらブン殴ってやる。 コイツだってあたしにとってはいけ好かない奴だけど、困っている人がいたら その人のためだけに一生懸命頑張ってくれる。だから大丈夫。そうでしょ、聖薇?」 聖薇「はい。私は非力ですが、力があろうがなかろうが苦しむ人悲しむ人を助けるのは 風紀委員長、いえただの人間としての聖薇として当然のつとめ。痛苦を取り除くのに力を尽くします。 ですからどうか、私達を信じて、頼ってください」 私心の無いまっすぐな言葉に、千早は目頭を押さえながら体を起こし、ありがとうと小さな声で答え、 2人に連れられてル・エストへと向かって行ったのだった。
[442]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/14(日) 22:52:09 ID:m9q3xldo 話が長くなり、選択肢もありませんが、本日はここまでにいたします。 なお、優君の設定については、鈴木貫太郎P様の動画 『【超NovelsM@ster】 ありえたかも知れない未来』の「そのなな」と「そのはち」 での設定を参考にしております。設定利用の許可をくださいました 鈴木貫太郎P様、誠にありがとうございました。 『【超NovelsM@ster】 ありえたかも知れない未来 そのなな』 https://www.nicovideo.jp/watch/sm17543021 『【超NovelsM@ster】 ありえたかも知れない未来 そのはち』 https://www.nicovideo.jp/watch/sm17559429
[443]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/21(日) 22:16:28 ID:HA8Joy+M すみません、私事で本日は投稿を休ませてください。 文章自体は書き上がっていますので、こちらの都合により明日か明後日の午後か夜に 投稿いたしますので、何卒もう少しお待ちください。
[444]森崎名無しさん:2019/04/21(日) 23:14:28 ID:HA8Joy+M すみません、私事で本日は投稿を休ませてください。 文章自体は書き上がっていますので、こちらの都合により明日か明後日の午後か夜に 投稿いたしますので、何卒もう少しお待ちください。
[445]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2019/04/23(火) 14:31:54 ID:4xvP23YM 第25話『Sub rosa』 洗面所にて身なりを整え食卓に向かいドアを開けると、シャンデリアに赤いバラが爛々と掲げられていた。 あずみ「あっ、バラだ。キレイねー」 千早「いい香り。バラの香りに包まれながらおもちを食べるのも、おいしそう」 あずみちゃんは昼食時に見られなかった、濃いワイン色をたたえた花の色合いに感心している。 千早の方はすっかり元気になったらしく、バラの下で食べる餅の味を思い浮かべているようだ。 聖薇「母さん、これは」 最後の1人は他の2人とは異なり、困惑した顔つきで母親に尋ねる。その母親はくすりとした笑みで問いを受け流し、 早乙女「さあ、皆さんどうぞ」 と、僕達に着席を促していた。あまりにさらりと流され発言の機会を失った聖薇は、 何となく落ち着かない様子で椅子に座らざるを得なくなった。
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0ch BBS 2007-01-24