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1- レス

異邦人モリサキ


[235]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/07(木) 01:24:16 ID:???
「テメェ……!! 二度と近寄んなって身体に教えてやっただろうが! まだ足りねえか!?」

つい今しがたまで愛想のいい言葉を紡いでいた口から吐き出されるのは、怒号である。
店中の客が何事かと店主の方に目をやり、それからその怒号の行き先に目をやって、
納得したように視線を戻す。
中には店主と同じ種類の表情を浮かべて店の入口に立つ影を睨みつける者もいた。
そこに立っていたのは、子供である。
薄汚れた襤褸を纏う、物乞いのような姿。
物乞いと違うのは、片手に銅貨らしきものを掴んで差し出しているところであった。
何かを訴えかけようとするその子供の、襤褸の隙間から溢れるくすんだ赤髪と浅黒い肌を見て
森崎が小さく呟く。

「ジタン……か」
『ジタン、って……あの、決まったところに住まずに旅を続けるっていう?』
「……ま、そういう意味じゃ俺らと似たようなもんだがよ」

ぼそりと言った森崎の言葉は、幸いにして店内の誰にも届かない。
絶え間なく響く店主の怒号と罵声に掻き消されていた。
と、ジタンの子供が小銭を片手に店内へと一歩を踏み入れる。

「……ッ!!」
「おかね、あります……。たべもの、売っ……」

子供が、その願いを言い切ることはできなかった。
店主の躊躇ない蹴りが、その腹の辺りへとめり込んでいた。
小さな影が、ひとたまりもなく店外へと飛んだ。


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