※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ 現行スレ 投票 最新20

1- レス

異邦人モリサキ


[1]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:31:21 ID:Hgnh9qno


本作は恋愛SLG『みつめてナイト』を基にした二次創作です。

騎士の時代が終わりつつある南欧は架空の小国、ドルファン王国。
戦火の迫るこの国に傭兵として降り立った東洋人、森崎有三の体験する
波乱万丈の三年間を描きます。


独自要素が強いため、外伝スレを経ずにスレを立てさせていただきました。
ご容赦下さいませ。



[2]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:34:19 ID:???

◆注意事項◆【最重要】
本作は二次・三次創作であり、原作の設定等とは大きく異なる描写があります。
本作では展開次第では主人公以外の登場人物全員に「死亡する可能性」があります。
また主人公を含めた登場人物全員に「極めて悲惨な境遇に陥る可能性」があります。
ヒロインや仲間も含めて例外や救済措置はありませんし、またその可能性は決して低くありません。
キャラクターの死や不幸を扱う作品が苦手な方は充分にご注意下さい。
また本作では世界観上、サッカーを行いません。
省15

[3]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:35:22 ID:???


鳴り響く鐘は、港への到着を告げるものである。
ゆっくりと近づいてくる波止場には荷下ろしの人夫たちが忙しなく行き来している。
どこの港も変わらぬその光景の背後、高台に広がる街並みは白を基調とした家々の壁や屋根が
黄昏に染め上げられて、さながらゆらゆらと透き通る炎に包まれているかのようであった。
マルタギニア海の玄関口と呼ばれる城塞都市、ドルファンである。
長い旅路の果て、この豊かで美しい街を見た者は、これから己を待つ富や幸運を信じて疑わぬだろう。 省12

[4]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:36:25 ID:???


「本船は、只今ドルファン港に到着致しました。下船の際には―――」

案内人の声を背に、傍らに置いた頭陀袋を背負って歩き出したのは、薄汚れた外套を纏った男である。
埃にまみれた頭巾を目深に被ったその男、歳の頃は三十路のいくらか手前だろうか。
細身にも見えるが、外套の下から覗く日に焼けた腕はまるで鋼線を束ねたようで、実のところは
一切の無駄なく鍛え上げられた身体つきであることがわかる。 省36

[5]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:37:27 ID:???
『……ん? どうしたの?』

艶やかな金色の巻き髪に、あどけない童女の顔。
道化師の着るように奇抜な意匠を施された萌黄色のチュニックを纏うその背には、
儚く透き通る二対四枚の翅が生え、はたはたと揺れている。
足元を彩るのは腿丈まである黒革のロングブーツだった。

『ちょっと、何をぼーっとしてるのさ、キミ!』
「……誰だ、お前」

男がぼそりと漏らした声は、眼前にふわふわと浮かぶ妖精の如き影に向けられていた。 省31

[6]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:38:53 ID:???
『むぅ……あたしをお忘れなら、思い出させてあげるよ! えいっ』

言葉と共に急降下。
勢いのついたその身体が真っ直ぐに男の顔めがけて飛ぶと、ブーツに包まれた小枝のような脚が
唸りを上げて繰り出された。
綺麗な回し蹴りが、男の鼻を直撃する。
男の頭が、衝撃と共に跳ね上げられた。
その拍子に頭巾が落ちて、男の顔が顕になる。
まず現れたのは、黒い髪である。
南欧の港には珍しい、夜の海のような漆黒。
髪の下には、やはり黒い、切れ長の瞳が輝いていた。 省38

[7]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:40:06 ID:???
「……恐れ入ります。出入国管理局の者ですが……」

理知的で、いかにも効率的に仕事をこなしそうな顔立ちの女性が、しかし困惑したように言葉を濁す。
男に声をかけてよいものか、迷っていたようだった。

『……困ってるね』
「困ってるな」
『キミの一人芝居を見せられたら、そりゃ困るよね』
「一人芝居ってな……」
『だって、あたしはキミ以外に見えないんだよ?』
「まあ、そうだが……」

ピコの言葉に、男が渋面を作る。 省22

[8]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:41:13 ID:???
「で、ええと……入国審査だったか」
「はい。それでは、こちらの書類に必要事項の記入をお願いいたします」

言われて渡された書面には、氏名や出身地、生年月日や血液型などを記入する欄がある。

「大体のところは軍の方から回ってきてるんだろ?」
「はい。傭兵徴募に応じて下さった皆様の査証審査は既に完了しておりますので、
 こちらの書類は照合のための形式的なものになります」
「へいへい……っと。これでいいか?」
省30

[9]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:42:14 ID:???
「失礼致しました。ご自分の血液型がお分かりになるのですね」
「……書かせたのはそっちだろ?」
「申し訳ございません。外国の方ですと、そもそも血液型とは何かをお尋ねになる方が多いもので」

頭を下げた女性の釈明に、森崎が得心した様子で頷く。

「まあ、普通はそうかもな。だが俺は流れの傭兵だ。スィーズランドにも長くいたことがあるんでね」
「左様でしたか。我がドルファンの医療技術も、かの国に学んだものです。 省32

[10]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:43:16 ID:???
「兵役義務は三年間、以降の更新は双方の合意に基づく……。
 契約不履行には違約金が請求される、負傷除隊は認められるが除隊後の保障は一切行われない……と」
「ご不審な点でも?」
「いや、まあこの辺はどこも同じだよ。払えるはずもねえ、ばかっ高い違約金で縛られるのもな」
「……」

皮肉げな物言いに鼻白む女性に、あんたに言ってるわけじゃねえさと手を振って、森崎が続きに目を通す。

「契約満了時の報酬はスィーズ金貨……だな。 省47


名前

E-mail



0ch BBS 2007-01-24