※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
異邦人モリサキ
[262]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/06/08(金) 23:25:58 ID:???
***
『うわぁ……』
そこにあるのは、色彩の海である。
春を告げるミモザの淡黄から菜の花の目の覚めるようなレモンイエローへと渡されたバトンは
橙色を帯びたレンギョウの房へと繋がり、マーガレットの蛍白色と水仙の透き通るような白が受け止める。
その向こうに広がっているのは一面のチューリップだった。
天を仰いで咲き誇る花の群れは五色の衣を纏うようにあらゆる彩りをその身に宿している。
パールゴールドから象牙色に近いカーキ、黄金色を経て橙、朱、緋、赤、紅、薔薇の如きクリムゾン、
マゼンタ、カーマインの先には躑躅色から珊瑚色、石竹色が広がり、桃色から淡い桜色。
唐突に目を刺すディープピンクをすぐ脇のバイオレットが中和し、インディゴから藤色、深紫と
円を成し、壮大な色彩環を形成している。
左右に目をやれば、群青と水色、淡紫と蒼と青とが交じり合っている一角はヒヤシンスとライラック、
ムスカリにクロッカスだろうか。
八重九重に花びらを散りばめて咲くラナンキュラスの絨毯も風に揺れて美しい。
「こりゃ、すげえな……」
森崎も、それきり声を失う。
圧倒的であった。
それは一輪二輪の花という単位ではなく、空間を埋め尽くして咲き誇る群体のようでもあった。
事実、花蜜の甘い匂いは大気に溶けて混じり合い、既にどの花の香りであったかは意味を成さない。
濃密な彩りの波濤は網膜を侵し、花の香は鼻腔の奥で弾けて揺れて、知らず森崎の膝がぐらりと崩れる。
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24