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1- レス

異邦人モリサキ


[363]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/15(金) 01:56:28 ID:???
***

A 「家庭の事情……?」 首を突っ込む。

ソフィアの口をついて出た言葉は、そしてその表情に落ちる翳りは、
何かを聞いてほしいという密かな要求であっただろうか。
それは、あるいは森崎でなくても構わなかったのかもしれない。
気のおけない友人や信頼できる恩師に話をした方が、より具体的な相談ができたかもしれない。
それでも今、この夕闇の迫る路地で、森崎に向けて発せられた言葉の中にそれがあったのなら、
聞き逃したフリはできなかった。

「家庭の事情……?」

様子を窺うように呟いた森崎に、ソフィアがはっと目を見開くと、そのまま俯いてしまう。

「……え、っと」
「あ、いや、話しづらいこと聞いちまったかな。すまん」
「いえ、いいえ!」

慌てて言う森崎に、ソフィアが首を振る。
ふるふると、長い髪が揺れた。
栗色の髪は夕闇に紛れて黒く、まるで足元の影が這い上ってソフィア自身に絡み付いているようでもあった。

「その……、大したことじゃ、ないんです……」
「……」

やがて訥々と話し始めた少女を、森崎は黙ってじっと見つめる。
ソフィアはといえば、ずっと俯いたままだった。

「弟が……少し体が、弱くて。線が、細いんです。……癇癪を起こすことも、多くて」

言葉を紡ぐソフィアの、表情は見えない。


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