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1- レス

異邦人モリサキ


[387]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/16(土) 04:27:23 ID:???
「頭、使わねえと生きていくのも難しいのさ」
「……吠えて命を縮める犬もいる。気をつけることだな」

ニヤリと笑って言った森崎に、苦々しげに鼻を鳴らしてジョアンが返す。
この日、交わす刃はここまでと理解した表情だった。
一瞬の後、元のように傲岸の仮面を被ると、ジョアンはその視線をソフィアの方へと向ける。

「帰ろう、ソフィア。いつまでもこんなところにいてはいけないよ」
「……」

振り返らぬままのソフィアは、ふるふると小さく首を振るばかりで黙りこんでしまう。
そんな婚約者の様子にジョアンは大袈裟に肩をすくめると、ぞっとするほど甘い声で言葉をかける。

「……おやおや、疲れてしまったんだね。
 早く馬車に乗り給え、今夜はゆっくり休むといい」

言いながらソフィアの肩を抱いたジョアンが踵を返し、かつかつと足音を立てながら
森崎には一瞥をくれる様子もなく去っていく。
闇に紛れようとするその背に、森崎の声がかけられた。

「邪魔して悪かったよ―――『この間から色々と』、な」
「―――」

それは最後の、そしてとっておきの、毒だった。
男の傲岸を貫き不遜を割る、致命の一撃。
漆黒のベストを纏った背が、しかし宵闇にも明らかなほどにビクリと揺れた。
揺れて、直後。
目には見えず耳には聞こえない何か、おそらくは人を裂き肉を抉るが如き何かが、
男の背から膨れ上がった。


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