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1- レス

異邦人モリサキ


[465]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/23(土) 01:04:34 ID:???
「結構ですよ。我が教区にお住まいになっている方であれば、どなたでも名簿をご覧いただけます。
 貴方も今は我が教区の信徒ですからね、森崎有三さん」
「……」
『ねえ、今この人、すんごい流暢にキミの名前を発音しなかった?
 モリサキ、じゃなくて森崎、だったよね。日本語できるのかなあ』

感心したように言うピコだったが、森崎自身はまったく違うことを考えていた。

(問題は、そこじゃねえ。……俺はまだ、名乗ってねえんだぞ)

だが神父は、平然と森崎の名を呼んでみせた。
自身が事前に調べ上げられているという事実は言いようのない不気味さを感じさせる。
そしてまた何より森崎の神経をささくれ立たせたのは、今この場でそれを明らかにしてみせた
神父の意図が判然としないことである。

(ついうっかり……なんてワケ、ねえな)

森崎が逸らすことなく見返したままでいる神父の目には、理性の光があった。
たとえそれが触れる者を凍てつかせるような極低温の煌めきであったとしても、
少なくともつまらない間違いで手の内を明かすような男にできる眼差しではない。
ならばそれは恫喝か、警告か、或いは他に何かの思惑があるのか。
その目的が分からぬことが、森崎の心を波立たせる。
と、そんな森崎の内心を知ってか知らずか、神父がついと頭を下げると、笑みを深くしてみせた。

「……失礼。私はこれから所用がありまして、出かけなければなりません。
 何かあればシスター・ルーナにお聞き下さい」
「……」

無言を貫く森崎の態度にも、神父が表情を変えることはない。
色のない笑顔を向けて、言う。


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