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1- レス

異邦人モリサキ


[481]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/24(日) 16:09:30 ID:???
言った森崎の方が驚くほどに、耳まで赤く火照らせた少女が、俯き、一瞬だけ顔を上げ、
森崎と視線を合わせるやすぐにまた地面に親の敵でも見つけたように下を向きながら言う。
言葉通り、正面から褒められることにまったく慣れていないようだった。
女性は賛美を糧に美しくなるものだ。
だから美しい女性が好きならばその時々で素直に褒めるのが巡り巡って自分のためにもなる。
森崎はそんな風に考えていたが、それを彼女と同世代の少年たちに求めるのはまだ酷だっただろうか。
それにしても、と森崎は心の隅で思う。
まるきり耐性というものがないように見えるこの少女には、婚約者と称する男がいる。
ジョアン・エリータス。
あの傲慢な男は、彼女を賛美し、言葉で愛でることはないのだろうか。

(……ま、それでどうって話でもねえか)

口に出すことは流石にできない、そんな疑問を森崎は喧騒の中に捨てて少女へと向き直る。

「あの、五月祭は、お祭りですから……その、普段より、頑張る日で……。
 それで、いつも着られないような服、なんかも、頑張ってみようかな、って……」

ソフィアの、言い訳とも照れ隠しともつかぬ弁明はまだ続いていた。
その消え入るような声に、森崎は笑顔を浮かべて頷く。

「そっか。うん、いいと思うぜ、そういう気持ち」
「……はいっ」

春の花のような笑顔が、ようやく咲いた。


***


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