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1- レス

異邦人モリサキ


[520]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/28(木) 22:26:39 ID:???


「……純白のブーケ賞、か。『五月の花嫁』には届かなくて、残念だったな」
「い、いえ! とんでもないです!」

ぶんぶんと首を振る、少女の手には小さな硝子細工が輝いている。
繊細な花々の束とそれを包む紙を模した硝子に、木製の台座が据え付けられた置物。
サウスドルファン駅前を紅く染め上げる夕焼けに照らされたそれは、コンテストの入賞者に贈られる
ささやかな賞品であった。

「本当に私なんかがこんなに素敵なもの、いただいてしまっていいのかって思うくらいですから……」
「な〜に言ってんだ」

帰り道、少女が身につけているのは既に淡い黄色のドレスではない。
元の通り、若葉色のブラウスと薄桃のショール、紅色のスカートという姿に着替えている。
戸惑ったような表情を浮かべるソフィアに、森崎がおどけて言った。

「あのとき、あの歌は掛け値なしに俺に響いた。いや、俺だけじゃねえ。あの会場にいた全員に、
 そいつは伝わったんだ。観客席のど真ん中にいた俺が保証する」
「そんな……」
「だからソフィア、そりゃ君に与えられた正当な評価の印だ。素直に受け取っときな」
「……はい」

森崎の言葉に、夕日に照らされた頬を更に赤くしたソフィアが、手にした硝子細工を
抱き締めるようにしながら、足を止める。
どうした、と振り返る森崎を、ソフィアの真っ直ぐな視線が捉えていた。


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