※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
異邦人モリサキ
[591]異邦人 ◆ALIENo70zA
:2012/07/05(木) 01:09:12 ID:???
(―――届けッ!)
森崎がかけくらべをする相手は、黒い風である。
風は刃を孕んでいる。
吹き抜けた瞬間、それは鮮血を巻き上げて散るだろう。
それだけは、避けねばならぬ。
殴る蹴るであれば、苦しいながらも言い訳の立てようもある。
しかし斬ってしまっては、そして何より殺してしまっては、もはや後戻りができない。
下手人には確実な極刑が待っている。
愚かしくも哀れな貴族の子弟などと引き換えるには、大きすぎる代償だった。
「この……馬鹿野郎がッ!」
叫びながら突き出された森崎の拳は、風よりも疾かった。
手首に重い衝撃。
自由騎士の顔面を捉えた一撃は、歪んだ頬骨を力点、ねじ曲がった首を支点として、着込まれた鎧の重量を
ほぼダイレクトに伝えてくる。
振り切るように、打ち抜いた。
「……、……!」
ぎ、とも、ぐぅ、ともつかぬ悲鳴が、男の喉の辺りから漏れる。
全力疾走の速度と鍛え上げた筋力、そして美しいフォームから放たれた右ストレートは、
その白銀の板金鎧ごと、男を地面へと叩きつけたのである。
「……モリ、サキ……?」
すぐ背後、呆然とした呟きは振り向くまでもない、ジェトーリオのものである。
片手を軽く上げた森崎が、その手を自らの背に移動させ、腰の辺りをとんとんと叩く。
得物を仕舞え、という身振りであった。
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24