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1- レス

異邦人モリサキ


[679]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/14(土) 20:42:34 ID:???

カミツレの山々は南欧を縦断する大山系、ベルトニア山脈の南の切れ端である。
ドルファン東部を覆う山地を三本の指に見立てれば真ん中の指の爪の先に当たるその山肌に、
この夜だけは炎が灯っている。
夏至祭名物、カミツレの大火紋である。
赤々と燃える炎で山肌に描かれているのは国教の象徴たる十字架とそれを守護する剣。
そして、それらを見守るように位置するのが大きなイルカであった。
イルカはドルファンの国体、つまり王家の意匠である。
国教、騎士団、そして王家。
ドルファンという国家を形作るそれらの紋様は夜空に浮かぶ壮大な絵巻物となって人々の心を打つ。

「……それで、この人出かよ」

カミツレ高原駅にこれほどの人間が集まるのは、なるほど年に一度のことであろう。
乗合馬車から降りた森崎が思わず嘆息する、それは閑散とした田舎町という常の姿を
微塵も感じさせさない、おそるべき盛況ぶりだった。
先ほどのサウスドルファン駅周辺も混んでいるとは感じたが、祭りの中心だという
この付近に至ってはその数倍の人出があるようにすら思える。
先日の五月祭にも匹敵しようかという混雑、それも夜闇の中という状況に先の困難を予感する森崎。
彼に求められる役割は、彼自身が予感したように面倒に満ち溢れ、そしてまた予想していたより
遥かに多彩でもあるのだった。


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