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異邦人モリサキ


[763]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/07/20(金) 09:44:32 ID:???
「トニーニョ……」

遮るもののなくなった二人の間に、濡れたような風が吹く。
雨が近いのかも知れなかった。

「ネイが侮辱されたあの時、真っ先に飛び出したのはモリサキ、お前だった。
 本当なら、俺がやらなきゃいけないことだったのにな」

その頬に僅かに浮かんでいたのは、自嘲の笑みだろうか。

「俺は躊躇ったんだ。一瞬、考えてしまった。貴族と俺たちの身分の差や、立場の違いや、
 この先のことや、そういう、本当に大切なことに比べたらどうでもいい何かを、な」
「……」
「だが……お前は迷わなかった。あの糞野郎を、モリサキ、お前は正面からぶん殴った。
 ぶん殴ってくれたんだ」

森崎の目を真っ直ぐに見据え、トニーニョは一言ずつを噛み締めるように言う。

「仲間の名誉のために真っ先に飛び出すような男になら、命を預けても悔いはない。
 俺は、そう思う。皆は、どうだ?」

最後は、問いかけだった。
静寂は俄にざわめきを生み、ざわめきは次第に密かな相談になり、やがて相談は一つの声に結実する。

「……ああ、そうだな」
「俺たちも異論はねえぜ」
「第二部隊はお前が仕切ってくれや、モリサキ」
「頼むぜ、モリサキ!」

三百の同意が波となり、森崎に決断を促すように押し寄せる。
その波に背を押され、森崎は―――


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