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1- レス

異邦人モリサキ


[9]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/06/01(金) 00:42:14 ID:???
「失礼致しました。ご自分の血液型がお分かりになるのですね」
「……書かせたのはそっちだろ?」
「申し訳ございません。外国の方ですと、そもそも血液型とは何かをお尋ねになる方が多いもので」

頭を下げた女性の釈明に、森崎が得心した様子で頷く。

「まあ、普通はそうかもな。だが俺は流れの傭兵だ。スィーズランドにも長くいたことがあるんでね」
「左様でしたか。我がドルファンの医療技術も、かの国に学んだものです。
 公立の病院も備えたこの首都の医療は、南欧圏でも随一と自負しておりますわ」

欧州最先端の文化を誇る国の名に、女性が感心したように相槌を打つ。

『血液型は大事だよね! ……前みたいに、戦場でバッサリいかれた時なんかに』
「……うるさいな」
「は?」
「いや、何でもねえ」

欧州全土でも一部の国でしか行われていない輸血技術を思い出して、森崎が反射的に胸に手をやる。
着込んだ服の下には、数年前に負った刀傷の痕が生々しく残っているはずだった。
験の悪い記憶を遠ざけるように、森崎が女性に向き直る。

「……で、軍からの書類は?」
「こちらになります」

受け取った書面の束を一枚づつめくって、森崎が契約事項を確認していく。


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