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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】


[177]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/06(月) 20:21:32 ID:???
***

「ぐ……」
「うぅ……痛ぇ……畜生、腕が痛ぇよ……」

呻き声が谺する。
ある者は傷を押さえて地に伏せり、ある者は流れ出す血に濡れた手を天へと掲げ、
そしてまたある者は体ごと奇妙な形に捻じれて最早二度と動くこともない。

「被害状況を確認! 点呼急げ! 動ける奴は負傷者に手を貸してやれ!」

森崎自身、前衛の盾が藁葺きの如く吹き飛ばされるのを目にした直後からの記憶が曖昧である。
眼前に迫る巨大な軍馬の蹄を避け、振り下ろされるランスから必死に身を逸らし、
目についた馬の脚に剣を叩きつけながら泥の中を這いずり回って、眼前に落ちてきた敵兵に刃を突き立て、
そうしている内に気が付けば交錯は終わっていた。

「クソ……ッ!! 何人やられた!?」
「三十、いや、もっとか……その内のいくらかは、もう……」

掠り傷を布の切れ端で縛りながら、ネイが答える。
主を失った敵の軍馬の嘶きが、男たちの荒い息と呻き声の間を縫うように響いていた。
振り払うように首を振った森崎に近づいてきたのは、ジェトーリオだった。

「このままやられっぱなしじゃ、ないよね〜?」
「ああ、今度はこっちの番だ……! 俺の隊に手を出したこと、後悔させてやる……!
 全員、敵が戻る前にここを離れるぞ! 連れの仇を討ちたきゃ遅れるな!」

大声で指示を出す森崎の目は怒りと憎悪とに爛々と輝いている。
戦場という病に冒された者の、それは瞳であった。
そして病は、生き延びたすべての者に、感染する。

***


0ch BBS 2007-01-24