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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[221]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/12/19(水) 20:34:48 ID:???
森崎の選択は即ち徹底した一撃離脱と、左腕に据え付けた円盾を最大限に活用した戦術である。
そも盾とは敵の刃を受け、流すためだけのものではない。
先手を打って盾を置くならば、それは敵の視界を塞ぎ動線を遮断し、また剣筋を制限する牽制、ひいては
相手の体勢そのものを誘導する遮蔽物であり、そしてまた有効に振るえば一撃よく敵の骨を砕く
鈍器ともなる代物である。
無手の訓練とはいえ、森崎に拳で決着をつけねばならぬという発想はなかった。
与えられた条件の中で最適の筋を選択することは理の当然、既に骨の髄まで染み渡っているといっても過言ではない。

「それ、とは」

渋面に刻んだ皺を更に深くしながら尋ねるトニーニョに、森崎が答える。

「坊ちゃん剣術」
「……」

トニーニョが、口を引き結んで黙り込んだ。
眼前、まるで石造りの達磨像のような仏頂面を見やりながら森崎は思う。
トニーニョの剣術、そして体捌きは洗練された、無駄のない型だ。
独学ではあり得ない、いずれ名のある流派の門下でしっかりと教え込まれ、弛みない反復練習で身に刻んだ
正統のそれは、おそらくこの隊全体を見渡しても一、二を争う腕前だろう。
しかし、と。
森崎は己が思考に反駁を挟む。

「真っ直ぐ過ぎんだよ」
「……」
「姑息さがねえ、小狡さがねえ、小賢しさがねえ、小手先の誤魔化しがねえ。
 どうしたって綺麗で素直で、そんで人はみんなそういうもんだと、どっかで思ってる。……なあ、トニーニョ」

仏頂面は、動かない。

「だってのにお前、そんなに真っ直ぐなお前の底には、何がある。何がお前を曲げようとする」


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0ch BBS 2007-01-24