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【新隊長】異邦人モリサキ3【始動】


[96]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/11/13(火) 19:36:02 ID:???
暮れゆく空の色を写し取って紫色から群青色へと変わりゆく芝生の中に、
ぽっかりと穴の開いたように赤土のトラックがある。
その赤土とほとんど変わらない色に染まって倒れ伏すのが、リンダ・ザクロイドだった。
細い身に纏った薄い練習着も、そこから伸びる白く長い手足も、後ろできつくまとめられた長い髪も、
そのすべてが土に汚れて酷い有様である。
流れ出す汗は土を泥に変え、べったりと全身に貼り付けている。
負けいくさで踏み躙られ、打ち棄てられた屍の如き、それは姿だった。
怒号が、響いた。
鞭に打たれたように屍がゆらりと立ち上がり、怒号の方を向く。
少女の側に立つのは、数人の男たちである。
いずれも一目、鍛錬に鍛錬を重ねたことが分かる体つきをしていた。
彼らの顔には、一切の緩みも余裕もない。
厳しい顔つきで何かを話し合うと、中の一人が少女に向けて声をかける。
少女が、頷いた。
その拍子にほつれた前髪を伝って垂れた汗の、沈みゆく陽に照り映えるのが、
不思議と森崎の目に映った。

「―――」

少女の表情にも、先日森崎が見たような悠然とした笑みは、どこにもない。
息を切らし苦痛に歪み、それでも俯かず、射殺すような目をぎらぎらと光らせて、
気高さを放り捨て優雅さの欠片もなく、それでもただ、真摯に。
少女は、立っていた。

「……」
「あれが、リンダ・ザクロイドって女だ」

ジーンが、ぼそりと告げた。
その視線は横に立つ森崎には向けられず、真っ直ぐに少女を見据えている。


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