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【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】


[850]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/06/21(日) 23:25:05 ID:mvW/tvXk
パスカルは高杉の指摘に深く頷いた。しかしそれは当然、パスカルが高杉に屈服した訳では無かった。
彼はタックルに向かう4名の選手を前に、静かにこう呟く。

パスカル「俺には才能が無い上……しかも厄介なことに、俺はナカヤマのような努力の才能も無い。
あれこれ理由を付けて、自分の才能の無さを、相棒への負担を正当化し続ける、性質の悪い輩だ」

鈴仙「ぱ、パスカル、君……?」

彼は自嘲するようにそう言いはしたが、その一方で瞳には強い意志が宿っていた。
パスカルは今の言葉を自分自身だけではなく、鈴仙にも向けて言っているのではないか。
少し離れた位置に居た鈴仙は、何故かそんな気がしてならなかった。

ゴ オ ッ……!

中山「(……これは。鈴仙さんの『狂気の瞳』のような。見る者の心を惑わすような、不思議な意志の力を感じる……!)」

パスカル「――だがな。……そんな普通の凡才だからこそ。
つまらない事に悩んだり、頻繁に壁にぶち当たる凡才だからこそ。見えて来る物が、ある筈だ!」

――カッ!

パスカルは駆けた。そして、自身の気持ちを整理しながら高杉達と真正面から対峙し――。

パスカル「(この技は、今まで俺が敢えて使用を避けて来た技。
天才という壁に真正面からブチ当たるのが怖くて、逃げ道を探しつつも終ぞ見つからなかった俺の弱さの象徴。
だが――今の俺は違う。今の俺はディアスのパートナーであるだけじゃない。
俺は、永遠亭ルナティックスを支えるエースであり、未だに頼りないレイセンを支える兄貴分でありたい。
――だから、今さら何を怖がる必要がある!)……ディアス! ――技を借りるぞ!!」


ガシッ。      …………バァァァァァン!!


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0ch BBS 2007-01-24