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【レイセンガ】鈴仙奮闘記29【タダシイヨ】


[898]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/06/25(木) 01:08:53 ID:kI0O2jU+
大丸「……そ、そんな。折角守り切った1点だったのに……!」

布都「――大丈夫じゃ。どんな時になっても、きっと神子様が我々を救ってくださるだろうよ」

岬「……ハァ、ハァ。前半戦が、終わったか。……あの陣形を維持するだけに、ここまで消耗するとは……!」

一方で前半終了直前で点を奪われた聖徳ホウリューズは、辛うじて平静を保ってはいたが、それでも明らかな動揺が感じられた。
神子が如何に万能と言えど、どんな場合でも一人で人心を完全に掌握できる訳では無い。
とりわけ、この前半戦のみで、『和を以て貴しと為す』――聖徳ホウリューズのトータルフットボール様戦術――
の制御により大きく消耗した岬は、今回の状況をとてもでは無いが、余裕を持って見れなかった。

岬「(前半ロスタイムで1−1の同点。後半戦は、疲弊した僕と神子様でチームを指揮しなくてはいけない。
……いや、無理だ。僕は……僕だけじゃない。神子様もまた、前半戦で大きく消耗した!
観客席を先導している秦こころを選手登用する手があるとはいえ、このままではジリ貧だけど……)」

神子「――岬君。君はよもや、我々がここで終わるとは思っていないね?」

岬が消耗しても明晰な思考を打ち切るように、神子が岬に声を掛けていた。
試合は既に前半終了の笛が鳴っており、神子と岬以外の聖徳ホウリューズメンバーは控室へと戻っている。

岬「……はい。もちろんです」

岬は神子の問いに深く頷いた。そして同時に彼は、神子がこれから自分に何を言い放つかを大体感じ取っていた。


神子「……岬君。前にもやった通りだ。君は後半――」

岬「…………!」

神子と岬との会話は僅か数瞬。耳元で囁きかけた為、観客席はおろかフィールド上の誰にも聞こえない。
そんな風に発された神子の発言を聞いた、常に能面のような笑顔を絶やさない岬太郎。
――彼の笑顔が、ほんの僅かに歪みかけた。


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0ch BBS 2007-01-24