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【秋空模様の】鈴仙奮闘記36【仏蘭西人形】


[790]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2016/06/16(木) 01:17:56 ID:9jEN4p+g
早苗「……そんなの、どうやっても分かりっこないですよ。人の本心なんて、さとり妖怪でも無い限り分かりません。
   あるのはただ、仲間同士が互いを信じあえるという、そんな信仰があるだけです。
   知ってますか? 信仰ってのは、決して神様に対してするものだけじゃあ無いんですよ。
   いや、むしろ、空気みたいに常識すぎて、誰も意識していない位だと思います」

ピエール「信仰という行為を神聖化せず、普遍的に捉えるのか、君は。
      ――だったら教えて欲しい。俺は、どうやって彼らを信仰すれば良かった?
      どうすれば俺は、こんな試合を通さずとも、皆を信じられるようになれた?」

早苗は、思い悩むピエールの姿を見て、明るくそう応えた。
かつて幻想郷において、信仰の在り方に思い悩む早苗を支えようとしたピエールは、
今度は逆に、正しき信仰を見つけた少女に助けを求めていた。

早苗「……信仰だなんて言っちゃうと、語弊があるかもしれないですね。
    そうね。仲間同士に生じる、互いに互いを信じあう為の信仰を得る為には……」

そう前置きした上で、早苗はシンプルな答えを導き出した。


早苗「――ピエール君が、フランスの皆ともう一度、『トモダチ』になる事だと思います!」


ピエール「フッ……ハハハ。そうか、そうだったな。社交界の権力だの、利害関係の維持だの、
      そんなどうでも良い事ばかりを並べ立てて。俺は、一番肝心な事を忘れていたみたいだったな……」

ピエールは、初めて年相応の少年らしい笑みを零した。

――今回、フランスのサッカースクールで起きた学園紛争。
それは、少年の人知れぬ孤立が引き起こした、滑稽かつ悲劇的。矮小かつ遠大な信仰の儀式だった。


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0ch BBS 2007-01-24