※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ 現行スレ 投票 最新20

1- レス

屁理屈推理合戦withキャプ森


[105]吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/02(月) 23:48:22 ID:4yGz+HWo
**************************************
【とある哀れな老人の手記】

「一体、どうしてこんな事に……」

私は何度目かも分からぬ言葉を呟いた。

「私は……死にたくない。まだ何も成し得ていないのに……」

――あれは恐らく、70年程前の事だろうか。
私はサッカーボールを取りに体育用具室に入ったところ、事故により鍵がかかってしまった。
最初は些事と思い、何とか出られる方法を探していたが、具合が悪く、どうしても出る事が出来ない。

助けを待てども、一向に助けは現れなかった。
海運会社の父親が乗った船が難破した事など、私には知りようがなかったし、
浮気相手と再スタートを切りたい母親としては、私は行方不明で失踪した、とした方が都合が良かったのだろう。

「私はプロになって……日本をワールドカップに……」

それが私の夢だった事は、痴呆が激しくなった今も辛うじて覚えている。
もっとも、寝たきりとなって動く事すらままならない今の私にとっては、途方もない夢ではあるが。
……そして、この悪夢のような現実も、そろそろ終わりの時が来たようだ。

「もり……さき……」

――殆どが体育用具室で過ごした、長いようで短い人生の走馬燈が走る。
そんな時に、何故その単語が浮かんだのかは、私にもよく分からない。
ただ分かったのは。果たせぬ夢を抱いたままであっても、永遠の眠りは等しく穏やかで安らかであるという、
たった一つの真実のみだった。
**************************************


名前

E-mail



0ch BBS 2007-01-24