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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】


[136]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/02/03(土) 19:07:22 ID:m0OntpQw
聖薇「そのCDを再生して音楽を聴くためのものがこのCD−803です。店の中で流れていた
琴のカチューシャも、CDで流していました」

岬「なるほど、結構いい音だったね」

僕の感想にええと柔らかに笑みを添えて聖薇は答える。
ついさっき慌てて振り向いたのが嘘のような振る舞いに密かに感心しつつ、
彼女が手に持つ銀色の円盤を見つめてみた。

レコードやLDとは違った、その名の通りコンパクトなボディがまず目に映る。
この中にごく自然な、音飛びもなく屋内に澄み渡っていたカチューシャはこれから出ていたのだ。
何よりこの銀色の輝きが素晴らしい。この銀色を見るたびに、ただの何か便利な品という
以外の、得体のしれぬ未知の期待感が湧き出てくる。

岬「(父さんが昔好きだったって言ってた漫画雑誌みたいだ、
銀色の円盤に乗って現れる銀色の服着た宇宙人。父さんもこんな風に感じたんだろうか)」

聖薇「私もCDで聴く歌が好きです。父さんもCDが好きで、うちの会社も早く
これが聴けるようなモノを作れるようになりたいって、口癖のように言っていました」

岬「(作りたい?聖薇の父親は技術屋かな)」

ふとした疑問が頭に浮かんでいる間、聖薇は別のCDを取り出しCDレコーダーの
オープンボタンを押して、蓋を開かせCDを差し込ませた。
今度は春の陽気を感じさせるような朗らかな曲調だったが、すぐにロシア語が流れてきた。
こんな明るい曲がロシア民謡にあるとは。


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