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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】


[325]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/05/27(日) 20:10:26 ID:4HTfgGS2
見慣れぬ外国人の相手に戸惑う態を見せ、声を堅めに返事をする。
年相応の純朴な子供だとさりげなく印象付け、余計な警戒を抱かせない仕草。
日本にいるころ年配者と相対する場面でこう振舞って歓心を得て心理的に相手の懐に入り込み、
父さんと共に肉体の懐にしまわれた財布を相手から差し出させてきた。

そんな一連の流れを見た相手は、一瞬にやりと笑った後、ハッハッハッと芝居気かかって笑い出した。

マルシェ「やはりです、ミサキの息子さんは大変素晴らしい。よく大人への礼儀をわきまえている」
岬「(えっ)」

見抜かれたか。しかしなぜ。

マルシェ「見知らぬ相手に浮かべる迷いと憂いの表情、ほんのわずかに外れる視線と声のトーン、
     そして失礼のないようにと緊張して体を強張らせる姿。
     さすがはミサキの愛息子。将来が楽しみだ」

よくやったぞといった様子で僕の頭を撫でた後、父さんの方へと向きなおして安心した
声音で語る。

マルシェ「これで安心しました。この歳でここまで自然に振舞えるならば、
     さぞ日本で『階級敵』から人民の資産を『取り戻した』でしょう」
岬父「いやいやまだまだ拙いものです。慣れない異国の地であなたの助けが得られれば何とか」
マルシェ「ご心配なさらずに。決して無下にはしません。おっと」

僕らの方へヘッド・ウェーターと思わしき人がいつのまにか近くに来ている。

マルシェ「続きは食事の場で行いましょう。今日の料理はさぞ美味になるでしょうな」

僕達の事はとっくに承知済みだった。このパリの偉い人も父さんとそう変わらない、変わり者らしい。


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0ch BBS 2007-01-24