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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】


[537]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/21(土) 17:15:27 ID:MntFltFA
時間も少なくなってきた。せっかく音楽室に来たのだし、彼女達の歌が聴きたい。
彼女達の歌の実力や歌に対する感情、ひいては性格をつかみたいという思惑もあるが、
自分の前で女の子が歌ってくれるというシチュエーションにも、正直惹かれるものがあった。

岬「どうだろう、良かったらもう一度、みんなの歌を聴かせてもらえないかな」
夕子「えっ」

こまる。そんな表情にさっと顔が染まった後、胸元の両手を強く握りしめ、隣の友人へ顔を向けて視線を投げかけた。
どうか穏便に、私の代わりに断ってくれないか、と。
絹代にもその視線は届いていただろう。

絹代「いいわ。誰か他の人の意見も聞きたかったからね」

哀れ夕子の無言の懇願はあっさりとはねつけられた。夕子の瞳に憂いの色が強まり、より強い
視線を友人に投げかける。
ようやく友人の哀訴に気付いたという態でわざとらしく夕子に向けて瞬きした後、イタズラ気な笑顔を浮かべて、
幼子を教え諭すような口調で、夕子に言い聞かせた。

絹代「いい加減他人の前で歌う事に慣れないと。ここにいる岬君はそこいらにいる男の子よりは優しそうだし、
   音外して笑ったらあたしがブチのめしてやるから」

さらっと僕を脅迫しながら夕子に歌詞プリントを持たせる。
その間に直がカセットレコーダーのスイッチを押し、音楽を流しださせていた。


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