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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】


[603]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/07/29(日) 23:01:19 ID:P+7ikf8E
第16話『ザカート・デロータ・ガルゾ(魔法、希望、そして……)』


1983年9月17日。
今の僕はフランスはパリ、ヴォルテール通りのPLAYCITY CARROTの前に来ている。
あずみちゃんのゲーム会社アタリフランスから道路を1本隔てた向かい側に位置し、今日オープンするというゲームセンターだ。
あずみちゃんにビデオゲーム(ゲームセンターや家庭用ゲームをまとめてそう呼ぶらしい)の
面白さを教えてもらって以来、飛躍的にこうしたゲームへの関心が高まってきている。
日常とは違う別世界。サッカーとも違う異次元の世界に対する刺激を味わってみたくて、今日こうして長時間歩いてやってきたのだ。

岬「(そうしてみたらこれだよ。長いなあ)」

着いてみてまず目にしたのは、店内からはみ出て街路にそって続く行列だった。
今この光景を目にしているかは分からないが、あずみちゃんが見ていたら血の涙を流して
もだえ苦しむ事だろう。それほどまでにこのゲームセンターは繁盛しているようだった。

岬「(暑い中待っているのは大変だ。空いている筐体もあるかもしれない。一体中を見に行こう)」

行列に並ぶのは一旦やめて店内に向かう。そうして人生2番目、自分の意志だけで初めて入った
ゲームセンターの中をのぞくと、すぐにアタリとの違いが見えてきた。

アタリの時は、日本でチラリと見たゲームセンターもそうだったが、
一応に暗く筐体の光がボワッと光り、また数を多くそろえるために筐体が敷き詰められていて、
所々歩きづらい所もあり、まるで秘密基地のような異世界感さえ漂っていた。
ここはそうではない。ちゃんと電灯が部屋の隅々まで光り、筐体の間は十分なスペースが設けられていて、
アタリの何倍も人がいるにもかかわらず、皆悠々と歩き回ってゲームに興じている。


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0ch BBS 2007-01-24