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【赤と8ビットの】キャプテン岬【物語《ロマン》】


[608]キャプテン岬 ◆ma4dP58NuI :2018/08/04(土) 06:22:55 ID:hSNFBJZ6
右翼の羽の先まで絵筆が進む。羽先でそれ以前に描いていた羽の部分に触れた。完全に絵が描き上がったようだ。
一仕事を終えて満足そうにため息をつき、気持ちよさそうに伸びをしはじめた。
伸びは勢いが良く、座っている椅子をきしむほどに傾ける。そうして後ろへと視線が伸び、僕の目線と重なった。

男の子「……あ」

我に返る。急に意識が変わった事で、筋肉の緊張が抜ける。男の子がそう気づいた時には
椅子は後脚を軸に時計回りの回転運動に移りはじめた。

岬「(あぶない)」

とっさに椅子の縁をつかんで、転倒を食い止める。幸いほとんど落ちないうちに止めたので、
男の子は全く怪我をせずに済んだ。その男の子は急な変化に目をパチクリさせていたが、
様子が落ち着いてくると急に申し訳なさげに顔を曇らせ、椅子から降りて僕に頭を下げた。

男の子「あの、助けてくれてありがとうございました」
岬「あ、いや、いいんだよ、たまたま手が届いただけだから」

ペコリと頭を下げてから、僕にお礼の言葉を言う。
僕に気付いてからの一連の仕草を見て、

岬「(あどけない)」

と、感じてしまった。双海姉妹のような背伸びをしてスレたように見せかけるところがない。
ありきたりな表現だけど、自然の感情がそのまま湧き出て生まれたような子だ。


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0ch BBS 2007-01-24