キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【真・東洋の】キャプテン森崎36【守護神】

1 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/02/27(土) 12:17:08 ID:thPpn4g/
キャプテン森崎は、高橋陽一氏作のサッカー漫画「キャプテン翼」の二次創作です。
大空翼に代わって主人公になった森崎有三を読者の投票によって操作していき、
他のキャラクター達と交流を深めながらサッカー選手として大成するのが目的の
読者参加型企画です。いわゆるゲームブックを想像して頂ければ分かり易いかも。

基本は毎回出る選択肢の中から読者が投票によってどれかひとつを選ぶ事によって
森崎の各数値が上下したり結果が分岐し、その結果によって森崎が活躍したり
しなかったりして物語が進んでいく…といった展開です。例えば敵にシュートを撃たれたら、
森崎の能力値+ある程度のランダム要素によってゴールを守れたり守れなかったりします。

投票や判定では2ch式(注:似ているだけで2chとは別サーバー)の掲示板で
ID付の投票書き込みを行ったりスクリプトでカードやダイスを引いてもらったりします。

過去スレのログはこちらのまとめページで見られます↓
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/11.html

ミス指摘、質問以外の雑談は下のURLの雑談スレでお願いします。
本スレでも更新毎に30レス程度までの反応レスなら問題無しとしています。
尚、30レスを超え雑談スレへの誘導が始まったら速やかに誘導に従って下さい。それがルールです。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1266421492/l50
2ちゃんねるとは別の場所の板なので、ブラウザによっては外部板登録が必要です。
なんらかの理由で雑談スレが落ちている時は、本スレでも遠慮なく雑談をどうぞ。

【前スレまでの簡単なあらすじ】
第一回フランス国際Jrユース大会でMVPとなった若き日本サッカー界の星、森崎有三!
サッカー王国ブラジルのプロへの登竜門と言われる大会、リオカップへ挑んだ彼は
宿敵大空翼率いるサンパウロFCに1−4と言う大敗を喫してしまった。森崎はリベンジの為に
全日本ユースに合流しジャパンカップで強敵ウルグアイユースを撃破し決勝戦に駒を進める。
しかし決勝戦の相手は翼とサンパウロFCではなく、彼らを倒したハンブルガーSV!
森崎の怨敵若林源三が守るゴールを破れず、全日本ユースは前半30分0−1で苦戦中。
…こんな感じで話は進んでいます。

369 :創る名無しに見る名無し:2010/03/26(金) 02:32:08 ID:R6266FAs
エリス「2ねいさんのバカー!」

370 :創る名無しに見る名無し:2010/03/26(金) 07:21:09 ID:EGqdSKWK
にとうしんでん……だと?

371 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:42:15 ID:LAco4xJk
>>368
なんと熱い思い出。ヴァーミリオンは禁止でしたか?

>>369
ごめんねエリス、1では簡単で強力すぎるチェインコンボが嫌いで、
2以降では弱体化していたのが嫌いだったの。ごめんね。

>>370
それはやってません。VFキッズと違ってクソゲーっぽかったので。

372 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:43:25 ID:LAco4xJk
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「さあ試合開始です!オランダボールでキックオフ!彼らが使うと言う
トータルフットボールなる戦術は一体どんな物なのか、そして全日本ユースはそれにどう対抗するのか?」

クライフォート「(5バックか、最善の選択をしてきたな。だがそれも無駄となる)」

バコッ!

放送「キャプテンのクライフォートくん、まずはクリスマンくんにパス。
三杉くんが向かっていましたが、いきなりのキャプテン対決は実現しない様です」

三杉「おや、意外だな。すぐに僕の自信をへし折りに来ると思ったんだが」

クライフォート「焦るな。ダンスパーティは始まったばかりさ」



放送「クリスマンくんが中心になったパスワークで徐々に攻め入るオランダ!
全日本は5バックを使っている事もあってこれをカット出来なさそうです。
ハンブルガーSV戦同様カウンターアタックを仕掛けるチャンスは巡ってくるのでしょうか?」

森崎「(今日も5バックか…実際に三杉と葵しか世界で通用するMFが居ないから
しょうがないが、FWは日向抜きで立花兄弟だな…もし勝てるとしたら1−0だけだな。
まあ俺抜きで勝たれても困るが…今はそれよりも)運チャン!まだかよ!」

運転手「いや〜すまんね。なんか工事中で渋滞していて…」

その頃森崎はラジオ中継を聞きながらタクシーで国立霞ヶ丘競技場に向かっていたが、
しかし運悪く交通事情で時間通りに辿りつけずに居た。

373 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:43:46 ID:LAco4xJk
森崎「なんでだよ、こんな時に…あ、前空いたぞ!」

運転手「いや、空いたっつっても赤信号だから」

森崎「畜生!もうすぐそこまで見えているってのに…ええいもう良い!
ここからは歩いていくから降りる!運チャンいくらだ?」

運転手「(なんて態度のデカいガキだ…)え〜、4780円だよ」

森崎「ほら、5千円札!釣りは要らないから早くドア開けてくれ!
(くそっ、コルセットのせいで走れないってのに!)」

結局この後森崎は観客席にたどり着くまで約10分かかった。



早田「てやっ!」

バチィッ!

スルバラン「オーケー!」



葵「このっ!」

ボコッ!

カイザー「おっとっと」

374 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:44:05 ID:LAco4xJk
放送「全日本ユースの堅守!なんとかボールを奪い返そうと必死に守りを固め
今の所決定的なチャンスを作らせていません!しかしこぼれ球を確保する余裕まではなく、
ここまでずっとオランダユースが一方的に攻めています!」

観客「あいつらデカい口を叩くだけの実力はあるぞ!」「踏ん張れ日本!この程度はピンチじゃないぞ!」

前半の序盤は主導権を握ったオランダの攻めを全日本がじっくりと耐えると言う展開になった。
相手が間違いなく強敵でありながら全日本の逆襲が期待出来る試合の流れの観客も喜び盛んに声援を送る。
しかし全日本側のベンチは相変わらず楽観的になれず、それどころか一部の選手が早くも不安を監督に訴えかけていた。

松山「あの、監督…」

見上「なんだ?」

松山「その…何か違和感を感じませんか?この展開」

見上「…感じない事も無いが、思い当たるフシは一つではない。お前は何を感じているのだ?」

松山「ええと、なんて言ったら良いか。すみません、上手く言葉に出来ないんですが
俺はオランダユースの戦い方に何かデジャヴの様な物を感じて…それが気になって」

見上「では私がそれを言葉にしてやろう。お前が無意識に理想としていた
サッカーと重なるのだろう?オランダのトータルフットボールが」

松山「えっ!?」



放送「ここで中里くんがボールを確保!ようやく反撃のチャンスがやってきました!」

375 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:44:34 ID:LAco4xJk
早田「よっしゃ行けェ中里!」

中山「自慢の俊足を見せてやれ!!

中里「応!」

ダダダダッ!

レンセンブリンク「させん」

スルバラン「はっ!」

バチッ!

中里「くっ、ぬかった…!?」

クリスマン「ナイスだレンセン、スルバラン!」

放送「しかし中里くんレンセンブリンクくんとスルバランくんに止められた!
このこぼれ球はクリスマンくんがフォロー!またしてもオランダユースの攻撃となります!」

松山「なっ…ちょっと待て!あのクリスマンって奴は逆サイドのSMFじゃなかったのか!?」

見上「そうだ。だがこの絶好のタイミングで必要な場所に居たのだ」

岬「松山。オランダは優れた個人技と組織プレイを併せ持つスタイルで有名なんだ」

松山「そ、そうなのか(なんなんだこれ…デジャヴみたいな感覚がますます強く…)」

クラマー「うむうむ、良いぞクリスマン」

三杉「(なるほど…初めて体感するが、これがトータルフットボールか)」

376 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:44:56 ID:LAco4xJk
そして試合は動いた。早い時間帯で。

クライフォート「…そろそろやれ、イスラス!俺が許可する!」

バコッ!

放送「クライフォートくんパスを出しました。これはイスラスくんに渡り…」

若島津「(あいつは確かドリブラータイプのFWだったな。だが5バックならそう簡単には…)」

イスラス「良いだろう待ちくたびれていた所だオランダユースの切り込み隊長たる
このアーロン・イスラスが先制点を獲得させてもらう勝負だ全日本ユース!」

政夫「あれ?なんだあいつ、ボールを持った途端急に早口に…」



ビュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!



和夫「キ…キキャーッ!?(な…なんだありゃあああ!?)」

中里「せ、拙者よりも速いだと!?」

放送「こ、これは!?イスラスくん突如凄い速さで走り出しました!
信じられないスピードであっと言う間にバイタルエリアに…」

早田「な、なんだこいつは!」

赤井「やべっ、早くチェックを…」

377 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:45:13 ID:LAco4xJk
イスラス「遅い遅い遅すぎるもっと真面目にやれそれでもタックル自慢か!」

ビュワァッ!!

早田「な…なにィ!?」

赤井「げええっ!!」

三杉「(速いだけじゃない!上手い!あのスピードを全く落とさず高等技術を連発している!)」

放送「な、何が起きているのか!?早田くんと赤井くんが棒立ちのままで抜かれ…」

次藤「いかん!PKでもかんまん、止めるタイ!」

中山「このまま通させて堪るか!」

石崎「う、うぉおおおおっ!!」

ズザザザーッ!!

イスラス「甘いぞそんな腑抜けたタックルでこの俺は止められないぞそれが何故分からん
もっと速くもっと上手く守れ歯応えがなさ過ぎて逆に侮辱された気分だ!」

ヒュンッ!
ヒュンッ!
ヒュンッ!

若島津「な…何が…」

イスラス「誰も俺についてこれないのかフランス国際Jrユース大会を制したのは
やはりマグレだったのか俺を失望させるな全日本ユースよ!」

378 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:45:42 ID:LAco4xJk
若島津「何が起こっているんだーーーっ!?」

バッ!
ササッ!

イスラス「やはりこんな物か僅かでも期待してここに来たのは間違いだった様だ!」

バサッ。



イスラスの嘆きに満ちたゴールの直後、競技場は静寂に満ちた。
ほぼ同じタイミングで昇降口を出て観客席に辿りついた森崎はとてつもなく戸惑った。

森崎「ふう、やっとついたぜ…ってなんでこんなに静かなんだ?」

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

森崎「えっ!?えっ!?なんだ、なんだこのホイッスル!」

放送「こ、これは…これは!?い、何時の間にかイスラスくんがゴールにボールを蹴りこんでいました!
実況の私ですら置いていかれる程のあっと言う間の展開をどう表現すれば良いか分かりません!
前半12分!オランダユースが雷撃的な先制点を奪い取りました〜〜〜!!!」

ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「な、なんだ今の!?」「何時の間にゴールされていたんだ!」「誰か説明してくれよ!」

森崎「説明して欲しいのは俺の方だっての!なんでいきなりゴールされてんだ!」



全日本ユース 0−1 オランダユース

379 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 19:46:24 ID:LAco4xJk
いったんここまで。

380 :創る名無しに見る名無し:2010/03/26(金) 21:44:58 ID:vN/74f/c
アルター使い!

381 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 22:14:44 ID:LAco4xJk
森崎「えーと、あのイスラスってのがドリブルゴールを奪った…のか?ああっくそっ、大事な所を見逃しちまうなんて!」

最初の山場を見逃した事で森崎は金切り声を上げたくなる程いきり立っていた。
ここで森崎には二つ幸運な事があった。一つは周りの観客達も混乱しており
彼の存在に気付かなかった事。そしてもう一つは…

シュナイダー「モリサキ…?モリサキなのか?」

森崎「えっ?…んなっ!?シュナイダーだと!」

近くに居たシュナイダーとフライハイトに発見された事である。

森崎「なんでお前が日本に居るんだよ?お前バイエルンのトップでプレイしているんじゃなかったのか?」

シュナイダー「…右足の負傷で1ヶ月程休養が必要でな。クラブの許可を取って
ジャパンカップの見物に来た。急遽オランダユースとの試合が追加された時は驚いたがな」

森崎「そうか…ん、そっちのお前は?」

フライハイト「ジークムント・フライハイト、シュナイダーの同僚の東ドイツ人だ。
俺は国籍関係のゴタゴタでまだ公式試合に出られんのでここに居る。
ユーゾー・モリサキだな?シュナイダーから話は聞いている、よろしく」

Jrユース大会以来となるライバルとの再会にシュナイダーは僅かな笑みを隠さなかった。
一方フライハイトは台詞こそ友好的だったが声は淡々としており、
森崎に向けて手を伸ばし握手を求める際も表情はニコリともしていなかった。

A 「こちらこそよろしく。全日本ユースキャプテンの森崎だ」無難に応じる。
B 「おう、よろしく。それにしてもなんか暗い奴だな」フランクに応じる。
C 「なんかあんまりよろしくされたくないんじゃないのか?」握手を断る。
D 「今はそれより試合の事だ!一体何が起きたんだ!?」問い詰める。

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/3/26 22:30:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

382 :創る名無しに見る名無し:2010/03/26(金) 23:22:28 ID:pw0ZPAgY
シュナイダー、怪我してるとはいえ観光しすぎだろw
>>2ねいさん、シュナイダーがこの一週間何してたか軽くでいいから教えてください

383 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 23:27:09 ID:LAco4xJk
>B 「おう、よろしく。それにしてもなんか暗い奴だな」フランクに応じる。

森崎は持ち前の無遠慮さでフライハイトの第一印象をストレートに本人に伝えた。
ともすれば失礼と取られて相手が怒りかねない返答だったが、
フライハイトは怒らずシュナイダーに到っては何故か視線を背けると言う謎の反応だった。

フライハイト「よく言われる。生まれつきの性分なので気にしないでくれると有難い」

シュナイダー「(こいつが暗いのは晴天時だけだ…ああ、今日は雨が降りそうだな。全く)」

森崎「………?あ、そう言えばさっきの得点シーン!」

予想外の反応に森崎は首を傾げたが、すぐにもっと大きな謎が目の前にあった事を思い出し慌ててフィールドに向き直る。
そこではちょうどオランダユースの選手達ががお手柄のイスラスを囲んでいた所だった。

森崎「なあ、さっき何があったんだ?俺が来たら丁度ゴールされていて、訳分からねえよ」

シュナイダー「アーロン・イスラス。奴の高速ドリブルで全日本ユースの選手達は
キーパーも含めて6人抜きされゴールを奪われたんだ」

フライハイト「イスラスは間違いなく欧州…いや、世界トップクラスのドリブラーと言える逸材だ」

森崎「そんなに凄いのか…(でも若島津が相手じゃどう凄いのかいまいち想像できんな)」

384 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 23:27:33 ID:LAco4xJk
クライフォート「良くやったイスラス。まずは一点だ」

イスラス「オランダの勝利の為に当然の事をしたまでだ」

カイザー「それは置いといて、あのラップみたいな口調なんとかならないのか〜?」

イスラス「…何時も言っている事だが、俺はドリブル時も普段通りに喋っているつもりなのだが?」

レンセンブリンク「変人め」

クリスマン「こら、くだらん理由で内紛なんかするな。相手が付け入る隙になるぞ」

クライフォート「心配は要らん。ここからじわじわといたぶっていけば良いさ」

早い時間帯での先制点はオランダユースの元々たっぷりあった余裕を更に増し、
逆に全日本ユースの元々無かった余裕を更に減らし焦らせていた。

早田「畜生!何なんだあいつは!」

赤井「ビ、ビデオで見たのより更に速いッス…」

三杉「スピードも技術も、ビデオでは本物のインパクトに及ばなかったと言う事だね」

無論彼らとてイスラスのドリブルは警戒していた。だが遠くの第三者の視点から取られたビデオと
実際に対峙した際のイスラスのスピードとテクニックはあまりにも違いすぎた。

ここに居るメンバーで唯一イスラスのドリブルに近い領域に立つ三杉が
冷静にそれを指摘し、チームメイト達が救いを求める様に彼に視線を集める。

385 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 23:27:50 ID:LAco4xJk
若島津「三杉…どうするんだ?悪いが、あいつと1対1にされたら弾くだけでもおぼつかんかも知れん…」

石崎「マ、マークをつけようぜ!あいつにドリブルさせなければ…」

三杉「…いや、さっきから観察していたんだがオランダはポジションチェンジとセカンドボールの
確保が非常に上手い。例えイスラスへのパスを完全に遮断出来てもあまり意味が無いな」

次藤「そいぎんた、どげんすればよかね?」

三杉「早田と赤井がなんとかするしかないね。今ので目が慣れたと思うが…出来そうかい?」

早田「…おう!二度も同じ手を通用させて堪るか!」

赤井「なんとか出来る…と思います」

三杉「じゃあ次は攻撃だ。とりあえずキックオフから立花兄弟が仕掛けてくれ。
それがダメだった場合はじっとカウンターチャンスを待とう」

政夫「分かった!」

和夫「任せとけ!」

三杉「よし…皆、オランダは僕らが怯えれば喜ぶ。それだけは絶対にやらない事にしよう」

全日本メンバー『おう!!』

普段は反感を買いやすい三杉の冷徹さと傲慢さも敵に向けられれば頼もしい物である。
彼のカリスマで全日本ユースは今一度持ち直そうとしていた。

386 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/26(金) 23:30:49 ID:LAco4xJk
今日はここまで。また明日お会いしましょう。

>>382
シュナイダー「マリーへのおみやげを集めていた」

フライハイト「ツケモノは良いモノだ」

との事です。



今日のキャプ森に関係ない事。
ビスコッティを初めて焼いてみたら生地の練りが足りなくて
バラバラに崩れました…くすん。

387 :創る名無しに見る名無し:2010/03/26(金) 23:33:06 ID:a1Wyouh5
高速乙でした!

388 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 08:40:08 ID:YCluU3WS
ピィイイイイイイイイイイイイイイイ!!

観客「ビビるなよ全日本!」「こんな1点すぐに返せるぞ!」「得意の逆転を見せてやれーっ!」

放送「早くもリードされてしまった全日本ですがここで怯んでは居られません!
反撃開始に出るべくキックオフし、立花兄弟が…」

政夫「行くぞ和夫!」

和夫「おう政夫!」

パンッ!ダダッ!パンッ!ダダッ!

放送「出ました!双子ならではの息が合った高速連続ワンツー!これでオランダの守りを切り裂けるでしょうか?」

クライフォート「ザコが」

バッ!
グルンッ!
バシッ!

政夫・和夫『な、なにィイッ!?』

三杉「(やはり引き寄せてからじゃないと攻められないか。厳しいな)」

放送「ダメでした!クライフォートくんが華麗なムーンサルトパスカットで立花兄弟の速攻を
いともあっさりと断ち切りました!全日本ユースに反撃の波を作らせません!」

リブタ「これは今日は俺達の出番は無いかもな」

ディック「退屈になっちまいそうだぜ」

ドールマン「一応ラインを上げるだけは上げておけよ。じゃないと監督から叱られるぞ」

389 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 08:40:25 ID:YCluU3WS
フライハイト「やはり大した物だ、ブライアン・クライフォート。トータルフットボールの司令塔の異名は伊達ではない」

森崎「チッ、あっさり止められやがって…それにしてもトータルフットボールって一体何なんだ?」

シュナイダー「知らないのか?」

森崎「1974年のW杯でオランダ代表が使ってたって事しか知らん。それ以上は日本じゃ情報が無いんだよ」

気を取り直して攻めたは良いものの敵陣侵攻もままならない全日本。
その苦境に森崎は悪態をつき、次いでかねてからの疑問を二人のドイツ人に問いかける。

シュナイダー「戦術の話なら俺よりフライハイトが向いている。頼む」

フライハイト「了解した…トータルフットボールは定義が難しいが、あえて一言にまとめるのなら
”最適化されたポジションチェンジの活用による全員攻撃と全員守備”と俺は解釈している」

森崎「ん〜?つまり…オールラウンダーを10人揃える戦術なのか?」

フライハイト「いや、そうではない。現に今プレイしているオランダユースを見ろ、
FWはFWらしい能力とスタイル、MFはMFらしく、DFもDFらしい選手ばかりだ。
無論どの選手も高い実力の持ち主だが、FWとDFを入れ替えても機能する訳ではない」

森崎「じゃあ何なんだよ。普通に全員攻撃と全員守備をやるのとどう違うんだ?」

フライハイト「トータルフットボールの特徴を一つ一つ上げていくと、単体では大した事には聞こえない。
運動量を増やして頻繁にポジションチェンジを行う。DFが積極的に攻撃参加し、
FWも積極的に守備参加する。DFラインを高く保つ事でプレイエリアを狭くしオフサイドトラップを狙っていく。
両サイドを活用する事でフィールドを広く使い相手の守りを薄める…どれもある意味当たり前の事だ」

390 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 08:40:50 ID:YCluU3WS
森崎「…そのある意味当たり前の事をチーム単位で全て徹底するのがトータルフットボールか?」

フライハイト「そうだ。フィールド、選手、戦術、ルール。サッカーに存在する要素”全て”を
”全部”使う事で攻防両方を”全員で”行い試合”全般”を支配する。
オランダ人に言わせればまた違うかも知れんが、これが俺の見たトータルフットボールだ」

森崎「…理論は分かるが、いまいちピンと来ねえなあ」

フライハイトの説明は抽象的な部分が多く、森崎は再び首を傾げざるを得なかった。
無理も無いと苦笑したシュナイダーが補足する様に言葉を加える。

シュナイダー「論より証拠だ。試合を見ればトータルフットボールの恐ろしさは
ただの全員守備と全員攻撃には留まらない事が分かるだろう。
だがとりあえず一番分かりやすいトータルフットボールの効果を一つ上げておこう」

森崎「分かりやすい効果?何の事だ?」

シュナイダー「この試合全日本が中盤を捨て5バックでカウンターを狙っているのも一因だが…
ここまでのオランダのボールキープ率は80%を超えている。俺の勘での概算だが」

森崎「は…80%だと!?」



三杉「恐れ入ったよ。戦慄を禁じえない…これがトータルフットボールか」

クライフォート「そうだ。俺達は全てを支配する側、お前達が全てを支配される側だ」

391 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 08:43:10 ID:YCluU3WS
いったんここまで。

トータルフットボールは定義、描写ともに難しく
ゲームシステムに組み込むのは尚難しいので
色々と突っ込み所があるかも知れません。
何か気になる点があったら是非指摘してください。

392 :創る名無しに見る名無し:2010/03/27(土) 13:59:19 ID:Uh9VNwqE
フライハイトの解説が格好いいぜ!

なんとなくこのオランダユースのは、クライフがいた時のそれより現実的なトータルフットボールだと思いました。

クライフ+優秀なオールラウンダー9人も揃えられねえよ。だから出来る範囲で実現しようぜって感じで。

393 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:24:55 ID:YCluU3WS
全日本ユースのメンバーだけでなく観客もトータルフットボールの恐ろしさに気付くのにそう時間はかからなかった。

観客「お、おいどうなってるんだよ…」「試合が始まってからずーっと攻められっぱなしじゃないか!」
「それどころかさっきのキックオフの時しか相手側に入ってないぞ!」「コラー真面目にやれ全日本!」

放送「前半20分、相変わらずオランダユースの猛攻が続いています!
1点奪われてから更に必死に守る全日本ですが反撃にチャンスがまるで巡ってきません!」

葵「くそっ!なんで攻撃できないんだよ!」

中里「何故こうもボールに触れぬ!?」

岬「セカンドボールを全部向こうに押さえられて、支配率が悲惨な事になっている…」

松山「(そ、そうか…ようやく分かった!オランダの戦い方は監督の言った通り俺の理想だったんだ!
まるで攻撃だけじゃなく守備まで常になだれ攻撃をしているみたいな、流れる様な
全員攻撃と全員守備の実現!特定のエースに頼るんじゃない、チームとしての強さ!
俺がふらので挑戦し続け、遂に実現出来なかったサッカーが敵として現れるなんて…!)」

流れを掴まれるどころの話ではない、完全に防戦一方にされると言う体験に
全日本ユースは完全に圧倒されていた。個で劣る上に集団で更に劣る場合はどうすれば良いのか?
今の彼らに縋れる物は精々精神力位の物だった。

放送「おおっとォ!ここでまたしてもイスラスくんがボールを持った!
中央からやや左側のルートで全日本PA内への切り込みを狙う!」

イスラス「さあ俺を止めてみせろ全日本よ出来る物ならなさもなくば2点目を献上しろ!」

赤井「何言ってんだか聞き取れねーよ!この…ラップ野郎っ!」

394 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:25:10 ID:YCluU3WS
ズザザーッ!
バチッ!

赤井「どうよ!」

イスラス「…やれば出来るじゃないか!」

レンセンブリンク「敵を褒めるな」

放送「赤井くんがなんとかこぼしボールはファーサイドへ!
高い弾にレンセンブリンクくん早田くん次藤くんが群がる!」

早田「二人がかりだ!」

次藤「これならいけ…」

バッ!バッ!バッ!
ビシィッ!

早田・次藤『な、なにィ!?』

レンセンブリンク「甘すぎる」

放送「レンセンブリンクくん凄いポストプレイ!早田くんと次藤くんをまるで
寄せ付けずにボールを逆サイドのカイザーくんに折り返しました!」

カイザー「よっしゃーっ!頂きィ!」

バッ!

放送「カイザーくんこれをジャンピングボレーに行くっ!まずいまずいまずい!!」

395 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:25:31 ID:YCluU3WS
中山「そうはさせん!援護するぞ若島津!」

若島津「分かっている!キェエエエエエエエエエエッ!!」

バッ!バッ!
グワアアアッ!!

ガキィイイイイイン!!

カイザー「く…ぉおおおおおお!?」
中山「(若島津が押し切れない…!見かけによらずなんてパワーだ!)」
若島津「(日向さん並だ…いかん、クリアしきれない!)」

バァーーーーン!!

クリスマン「チャンスだ!」

クルッ!
バッ!

放送「若島津くんの浴びせ蹴り!ボールは更に宙を舞い…ああ〜っとォ、
これに更にクリスマンくんがオーバーヘッドに行く!全日本のゴールは空っぽだ!!」

若島津「あーーーっ!?」

バシュウウウッ!

石崎「くそったれーっ!ちゃんとクリアしとけよ!」

バッ!
バゴォオオオオオッ!!

396 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:25:46 ID:YCluU3WS
石崎「ぶふぅえあああっ!!」

クリスマン「なにィ!」

ポーン…
パシッ。
ズザザーッ!

レンセンブリンク「!」

早田「ハー、ハー…ざまあ見やがれ!」

放送「だが石崎くんが間一髪顔面ブロック!ボールはPA外に跳ね返されました!
これを更にレンセンブリンクくんが拾い…早田くんが即タックルで奪った!
目まぐるしいゴール前の攻防を全日本ユースがかろうじて守りきりました!」

ザワザワザワ…

観客「あ、あっぶねぇえええ!!」「今の本当にヤバ過ぎたぞ…」「もっと安心させてくれよ〜!」

クラマー「(気力で止められたか。まあ良かろう)」

見上「(今のはなんとか持ち堪えたが…次を防げる保障など何処にも無いな)」



森崎「(…心臓に悪いぜ。ったく、若島津の野郎もう少しマシな守りが出来ないのか。
それに三杉も三杉だ、いい加減反撃しとかないと守りきれなくなっちまう…お?)」

397 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:26:02 ID:YCluU3WS
全日本ユースは猛攻に次ぐ猛攻に晒され続けていたが前半半ばのゴール前での
ダイレクトプレーの嵐をなんとか耐え切った事によりようやく反撃のチャンスを掴んだ。
それはついに成功した葵の右サイドアタックから始まった。

葵「うりゃ〜!富士山大爆発〜!」

バコーン!
ダダダッ!

オーゴ「うわっ!?」

前方頭上に大きくボールを蹴り上げ、後はダッシュ力に任せて振り切る。
葵は自ら編み出したドリブルテクニック”富士山大爆発”で
オランダのサイドバックを突破し、やっとの思いでオランダサイドに駆け込んだ。

ディック「お、中々良いドリブルじゃないか。当たりに行くか?」

リブタ「いや、結構すばしっこい奴だ。ここはゴール前に戻ろう」

ドールマン「ようやくか。ヒマ過ぎて寝ちまいそうだったぜ」

政夫「(こいつら…完全に見下しやがって!)」

和夫「(後悔させてやる!)」

ただオランダ側は少しも慌てず冷静に戦線を下げ守りに移った。
当然全日本の選手達はそれを気に入る訳が無く、
やっと巡ってきたチャンスを全力で叩き込んでやろうと意気込む。

398 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:26:21 ID:YCluU3WS
放送「おおっと!やっと、やっと日本のシュートチャンスが生まれそうです!
葵くんが必死に右サイドライン際を駆け上がりセンタリングを狙いに行く!
立花兄弟は既にPA内、三杉くんもフォローの構え!これは行けるか!?」

ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「やっとだ!待ちくたびれたぜ!」「そろそろ同点にしてくれよ!」「ここで一気に決めるんだ!」

森崎「行けるか…!なあ、相手のDFとGKはどんな奴らなんだ?」

シュナイダー「ディック、リブタ、ドールマン。3人とも一級の選手達だ。悪いがあの…
タチバナだったか?双子の選手達ではゴールを奪えるとは思えん。かく乱が精々だろう」

森崎「そうかい…お前の見立てなら多分当たるだろうな…」

しかし全日本ユースにとっては不幸な事に、シュナイダーの判断通り立花兄弟では役不足だった。

葵「お願いします立花さん達!」

バシュウン!

政夫・和夫『おう!行くぜ、俺達の空中技!!』

ダダダダダッ!
ババッ!
ガィイイイイン!!

放送「葵くんの高いセンタリング!そして…出た出た出たァ!立花兄弟の大技!」

ドールマン「おおおっ!?」

399 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:26:42 ID:YCluU3WS
政夫・和夫『デルタツインシュートだァ!!』

バッグワァアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

リブタ「うおっ!?」

チッ…

ディック「こ、これは!」

チッ…

ドールマン「…こ、ここだっ!」

バッ!
バコォン!
ヒューン…
ポサッ…

クライフォート「(やれやれ、大道芸もあそこまで行くと流石に最初の一回限りは驚かざるを得んか。)」

政夫・和夫『…くそおっ!』

立花兄弟の大技、デルタツインシュートはその奇抜さからオランダの守備陣を驚かせる事には成功したが
DF達に威力を弱められた末にGKに真上に弾かれ、ゴールにはならなかった。

放送「デルタツインシュート…決まらず!GKのドールマンくんがかろうじてパンチングに成功し
ボールはゴールネット上部にゆっくりと着地しました!得点はならず、しかし全日本のCKです!」

400 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/27(土) 17:32:52 ID:YCluU3WS
いったんここまで。

>>392
ユース代表とフル代表じゃ選べる選手の数が違いますからねえ…
ピエールみたいなのが10人居れば究極のトータルフットボールば実現できるかも知れませんが。

401 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:10:40 ID:4lF08ZKu
得点直前まで行ったデルタツインシュートは様々な反応を呼び起こした。

観客「惜しい〜〜〜っ!!」「大丈夫だ、通じるって事だ!もう一回撃てーっ!」

観客は今までの鬱憤が晴れる予感に大喜びで騒ぎ出した。

全日本メンバー「(いける…!)」「(コーナーキックだ!このチャンスは絶対物にする!)」

全日本の選手達はようやく攻撃出来た実感で興奮した。



パチパチパチパチ!

クライフォート「ハッハッハッハッ!これは良い!素晴らしいショーだ、尊敬するぞ全日本!
これが日本に伝わる伝統芸”サルマワシ”か!一度に二匹も躍らせてみせるなんて豪華じゃないか!」



全日本メンバー『な…なにィ!?』

ドタッ!
ゴロゴロゴロゴロ…

カイザー「なんだあれ!なんだあれ!面白すぎるぜ畜生!」

ドールマン「ブハハハハ!あまりに面白すぎて思わずゴールさせてあげたくなったぞこの野郎!」

そしてオランダユースは…爆笑した。盛大に拍手しながら高笑いをしてみせた
クライフォートの後に続くかの様にカイザーとドールマンが腹を抱えて地面を転がる。

402 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:11:23 ID:4lF08ZKu
政夫「ギギーッ!(てめえら笑うんじゃねえ!)」

和夫「ギャッギャッ!(ぎりぎり防いだだけのクセして!)」

レンセンブリンク「ブフォッ!」

イスラス「くくくくく…い、いかん。真剣勝負の場で笑うなど無礼の極み…」

クリスマン「いや、これは笑って欲しいんだろう!わざわざ猿の鳴き真似までしているし!」

ディック「ガハハハハハ!こんなに笑えるなんて、日本に来て良かったぜ!」

リブタ「もう一回!もう一回やってみせてくれ!アンコールを頼む!」

激昂した立花兄弟が思わず猿言語で叫びだすといよいよオランダユースの面々はあからさまに笑い出した。
ある者は吹き出して口を押さえ、またある者は拳で地面を何度も叩いて喜ぶその様は
観客席からでも分かる程の爆笑ぶりであり、そこに焦りや危機感は全く無かった。

観客「あ、あれ?あいつら…笑ってるぞ?」「そりゃあまあ、立花兄弟のあれは笑えるかも知れんが…」
「傍目から見ているんならともかく、あいつら当事者だろ?」「もう一度撃たれたら入るかも知れないんだぞ?なんかムカつくな」

放送「こ、ここでオランダユースが笑い出しました。どうやら立花兄弟のデルタツインシュートを見て
大喜びしている様です。え〜、確かにサッカーの常識に捕らわれないスペクタクルなプレイなので無理も無いでしょう」

森崎「あ〜あ、笑われてやんの。あの二人の技じゃ珍しい事じゃねえが」

シュナイダー「確かにアレは非常識だからな…」

フライハイト「妙な技だな…だがオランダを警戒させられる程の物ではない」

403 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:11:51 ID:4lF08ZKu
オランダユースの態度は当然観客と実況の戸惑いを買い、それ以上に全日本ユースを怒らせた。

早田「てめえら笑ってんじゃねえ!」

中山「反則じゃない限りどんな技でも技は技だ!失礼だと思わないのか!」

石崎「そうだそうだ!もしゴールされていたら笑えなかったクセによ!」

葵「ムカつくーっ!もっとマジメにやれよ!」

バッ。

三杉「…皆、落ち着け」

全日本メンバー『三杉!』

三杉「ここは彼らのリクエスト通り低い浮き球でデルタツインシュートのアンコールと行こう。
それで同点弾を奪えば彼らはもう二度と笑えなくなるさ」

全日本メンバー『おう!!』

次藤「(ん?三杉の奴が怒っちょるっちゃ珍しかのう)」

乱闘すら起きかねない程の形相で迫ってもニヤニヤし続けるオランダユースの面々には
三杉すら怒りを隠さなかったが、それでも彼はチームメイトを抑えCKに向けた指示を出した。
オロオロし始めていた審判もこれ幸いと位置につく事を両陣に促しようやく試合が再開される。

三杉「次藤、キッカーは君に頼む。葵はシュート要員になってくれ」

葵「はい!」

次藤「ワシか?まあ良かね(こいつ、ひょっとして…)」

404 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:12:04 ID:4lF08ZKu
クライフォート「ハハハ…そうだ、もう一度笑わせてくれ!(無様に罠にかかってな!)」

ボールを持って右コーナーに向かう三杉と次藤を見るクライフォート達は嫌らしい笑みを更に深めていた。
自分達の狙い通り立花兄弟が怒りに任せてデルタツインシュートを撃ってくれると確信して。

ドールマン「(さっきは驚いたが…今度はらく〜にキャッチしてやるぜ。俺まで届いたら、だがな)」

ディック「(来ると分かっているシュートならよっぽどの威力が無い限り簡単に対処出来るぜ)」

リブタ「(この程度の挑発に乗るなんて、やっぱりサッカー三流国だな)」

彼らの挑発的な態度はちゃんと目的に基づいた物だった。それは即ち、相手の攻撃パターンの単純化。
必死な所を嘲笑えば大抵の相手は怒り、冷静な判断が出来なくなる。
今の全日本ユースは直情的な視野に囚われ彼らの狙い通りバレバレの攻め方をしようとしていた。

三杉淳と次藤洋の二人を除いて。

放送「さあ前半中盤にやってきた本日初めてのコーナーキック!キッカーは次藤くんです!
強力なロングキックを出せる彼が弾丸性のクロスをゴール前の立花兄弟に上げてくれるのでしょうか!」

ピィイイイッ!

次藤「(本当にわりゃばりいじきたなか奴タイ、三杉)」

ダダッ!

政夫・和夫『来い、次藤!!』

リブタ「バカめ!」

ディック「効く訳ないだろう!」

405 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:12:17 ID:4lF08ZKu
ダダダダダダッ!!

次藤が助走を始めると同時に政夫、和夫、リブタ、ディックの4人は走り出していた。
前者の二人はゴールバーを蹴って後ろに飛び退りツインシュートを撃つ為に。
後者の二人はそのツインシュートを撃たせてからブロックする為に。
彼ら4人は…否、次藤と三杉以外の20人は皆低いクロスがやってくると思っていた。

バコォオオオオオオオン!!

クライフォート「!!」

リブタ「な!?」

ディック「なんだと!」

バッバッ!
ガィイイイイイイイン!!

政夫・和夫『行くぞ俺達のくうちゅ…うってありゃ〜〜〜っ!?』

ヒュウウウウウウウウン!

だが次藤が蹴ったクロスはニアサイドへの低い物ではなくファーサイドへの高い物だった。
政夫、和夫、リブタ、ディックの4人の丁度中間の頭上を越えていくボールの先に待ち構えていたのは三杉だった。

クライフォート「まずい、飛び出せドールマン!」

ドールマン「おう!」

三杉「もう遅いよ」

406 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:14:01 ID:4lF08ZKu
バッ!バッ!バッ!

三杉の得意のハイパーオーバーヘッド、クライフォートのオーバーヘッドクリア、
そしてドールマンの巨体に似合わぬ俊敏な飛び出しが一瞬で交差する。

バシュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
ヒュンッ!
バサアッ!

次藤「…敵ば騙すにはまず味方から、っちゃ良く言った物ばい」

勝者は三杉だった。次藤が呆れ半分感心半分で呟き、他の選手達が敵味方問わず
驚きに固まる中ゆっくりと立ち上がった彼は整った顔で爽やかな笑みをクライフォートに向けた。

パチパチパチパチ…

三杉「ナイスディフェンス、オランダユース。君たちが世界に誇るオランダ伝統の
トータルフットボールに基づいた全員守備、しっかりと堪能させてもらったよ」

クライフォート「………!!」

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

放送「決まったァアアア!!ゴール!ゴールです!同点弾は立花兄弟のデルタツインシュートではなく
三杉くんのハイパーオーバーヘッド!これが上手く敵の守備を混乱させ難なくネットに突き刺さりました!
1−1!前半27分、全日本ユースが最初のチャンスをしっかりと物にして試合を振り出しに戻しました〜!!」



全日本ユース 1−1 オランダユース

407 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/28(日) 17:14:51 ID:4lF08ZKu
いったんここまで。

408 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 17:50:15 ID:B3T3ocNi
うん。三杉と森崎が組めば天下取れるわ。

409 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 18:25:40 ID:bCFobQc7
三杉の意図をしっかり理解していた次籐もよくやったぞ

410 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 19:23:42 ID:RrBxLh84
三杉ルートの恩恵かな
松山か中山さんあたりを育ててた場合の展開を考えるとニヤニヤしてしまう

411 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 19:48:08 ID:Cxuz2Xm+
なんで?

412 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 19:51:31 ID:jlT8798g
かっこいいぜ三杉!!

しかし、これで今までは日本をなめていた(≒手を抜いていた)オランダが、
本気を出してきて虐殺ゲーム状態って可能性も・・・・

413 :創る名無しに見る名無し:2010/03/28(日) 20:04:15 ID:cVQDEPSb
それでも一点は一点、取れたのは大きい。
キャプテン代行の三杉がオランダ相手に一点取った
シュナイダーと同じ仕事したんだから。
森崎、三杉の評価が下がるにしても最低限ですむよ。


414 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:24:34 ID:jeXBTP58
ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「やったァ!同点だ!」「立花兄弟を囮に使って三杉で決める!良いパターンだったぜ!」
「ざまあみろオランダめ!日本をナメるとこういう目に会うんだ!」「みーすーぎ!みーすーぎ!みーすーぎ!」

弥生「(ああ…美しいです、ご主人様…)」

森崎「ほおお…やるじゃねーか三杉。まあこれ位はやってくれなくっちゃな」

シュナイダー「良いプレイだ。完全にオランダを手玉に取っていた」

大笑いした技を警戒していたオランダを罠に嵌めて得点すると言う展開に観客は大喜びした。
彼らは三杉が敵だけでなく味方まで騙したとは思わず、咄嗟のトリックプレイをチームワークによる連携だと思っていたのである。
無論実際はそうではなかった為全日本ユースの選手達はすんなりと三杉を褒める気にはなれなかった。

政夫「おい次藤!なんであんな高さで蹴ったんだよ!」

次藤「ワシは三杉に耳打ちされた通りに蹴っただけタイ」

和夫「なんだって!?なんでそんな事したんだよ三杉!」

三杉「フフッ、悪いね。オランダの挑発に乗ったフリをしたんだ。わざわざこっちを格下だと
見下して油断してくれていると、僕みたいな人間は利用せずには居られないよ」

早田「謝ってねえ!どんだけねじまがってんだテメェ!」

赤井「ま、まあまあ。作戦は見事に成功したんですから…」

中山「…監督の言った通りだな。悪知恵と度胸をオランダにぶつけたって訳か」

中里「正に勝てば官軍でゴザルな」

415 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:24:59 ID:jeXBTP58
次藤「そう言う事けん、すっぺたこっぺた言うな立花」

政夫「チッ…」

和夫「俺たちゃ当て馬かよ!」

石崎「まあまあ良いじゃねえか、それより見ろよオランダの連中の顔!」

それでも同点ゴールを奪ったと言う実績、及びデルタツインシュートが一回防がれていると言う結果は
どうにも否定しようがない為に徐々に不満も静まり選手達の顔に笑みが浮かぶ。
特に今まで傲慢そのものの態度を取ってきたオランダユースが真剣な表情で沈黙していたのは大きかった。

オランダメンバー『……………』

政夫「ま、確かにあれを見ればスカッとするな」

和夫「へへっ、すっかり黙りこくってやんの」

三杉「僕らは彼らと同じ過ちを犯さない様にしよう。このまま油断せずに戦うぞ!」

全日本メンバー『おう!!』



クリスマン「…どうするんだ?クライフォート」

クライフォート「ああ。このままでも余裕で勝てるが、素敵なサプライズを見せてくれたお礼が
必要だ。万が一の為にオーダーメイドのプレゼントを用意しておいて良かったな」

ディック「え、あれやんのか?」

クライフォート「そうだ。40分になったら仕掛けるぞ。下手な情けはかけるなよ」

スルバラン「あ、ああ…」

416 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:26:18 ID:jeXBTP58
同点ゴール後の全日本は目に見えて息を吹き返した。
ゲームの主導権は握られたままだったが堅守を保ちオランダにシュートを撃たせなかったのだ。

バシッ!

放送「三杉くんまたしてもパスカット成功!オランダのチャンスの芽を未然に摘み取りました!」

三杉「(よし。大分彼らのパスパターンを読める様になってきたぞ)」

特に目覚しい働きをしたのは三杉で、全日本ユースのメンバーの内ただ一人だけ
オランダのパスワークについていき大事な場面でのパスを次々とカットしていった。

バチィ!

中里「ぬわっ!」

ドカッ!

葵「うわあ!」

ただし、中里と葵のサイドアタックも全く通用していなかったので全日本ユースにも
チャンスは全くなかった。見ているだけの森崎にはじれったい展開である。

森崎「チッ。搦め手で一点取ったは良いが、元々の戦力差は変わらないな。
オランダも全然焦らってないし、ゆっくりじっくりいたぶるつもりか?」

シュナイダー「…そうだと良いんだが」

森崎「ん?何か心配なのか、シュナイダー?」

シュナイダー「ブライアン・クライフォートは…敵と味方をハッキリと分けるタイプだ。
あいつの傲慢さも確固たる信念に基づいた物だ。ミスギにゴールされた事はあいつにしてみれば
自分とオランダに泥を塗る失態だった筈。このまま何もせず普通に勝つだけでは良しとしないかも知れん」

森崎「…おいおい…」

417 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:28:12 ID:jeXBTP58
いったんここまで。

418 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/03/29(月) 16:29:26 ID:jeXBTP58
誤字訂正:

× オランダも全然焦らってない
○ オランダも全然焦ってない

419 :創る名無しに見る名無し:2010/03/31(水) 00:15:53 ID:AvLkBAgZ
乙です。
これはまさか三杉がMに目覚めるフラグでは!?
弥生ピンチ!!

420 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:07:30 ID:rpfx2XZy
シュナイダーの懸念は当たっていた。一度クライフォートと戦った事がある彼は
自分とは違うタイプの強さを持つ彼の性格を全日本ユースメンバーより把握していた。



パチッ!

クライフォート「”そろそろ本気を出すぞ皆”!!」

オランダメンバー『おう!!』



全日本メンバー「なにィ!?」「今まで本気じゃなかったってのか?」「ハッタリだ、惑わされるな!」

前半終盤突入直後、クライフォートは指を頭上で鳴らしながら高らかと宣言した。
待っていましたとばかりに大声で呼応するチームメイト達の様子に
全日本ユースの選手達もこれを警戒し、お互いを鼓舞しながら集中力を高める。
折角同点に追いついたまま耐えているのだからここでゴールさせてなるものかと。

だがクライフォートの目的はゴールを奪いに行く事ではなかった。
それはただの手段であり、結果でもあったが目的ではなかった。

クライフォート「(ミスギの位置は…よし、良いぞ。このタイミングとスピードだ!)イスラス!」

バコォッ!

ダダダッ!
バシッ!

三杉「………?」

421 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:08:11 ID:rpfx2XZy
自陣側に走りこむ形でクライフォートのパスをカットした時三杉はなんとも言えない違和感を覚えた。
今までよりも読みやすくカットしやすいパスに見え、そしてその通り簡単にカット出来た事に。

放送「三杉くんまたしてもパスカット!全てを見通すかの様なナイスディフェンスの連発で
あれほど激しかったオランダの攻撃を不自由で不揃いな物に変えています!」

全日本メンバー「良いぞ三杉ー!」「中里だ、近くの中里に渡せ!」

だが彼にそれ以上を訝しむ余裕は無かった。キャプテンとしてチームを率いるだけでも
多大な重圧がかかるのにオランダユースのハイレベルなパスワークを必死に読み当てていた
今の彼は精神的にかなり消耗していた。無論肉体的な消耗も軽視出来ない域に達している。

葵「あっ!三杉さん前、前〜〜〜っ!!」

三杉「!?」

ドドドドッ!!

リブタ「オラァッ!」

ディック「さっきのお返しをしてやるぜ!」

ドガガガァッ!!

三杉「ぐわぁあああっ!!」

ドタッ!

この状態でオランダ陣側に向き直った瞬間目の前に迫ってきていたリブタとディックをかわせと言うのは無理だった。

422 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:08:44 ID:rpfx2XZy
放送「あああ〜っとしかしここでリブタくんとディックくんが大胆にも二人がかりのオーバーラップ!
示し合わせたかの様なタイミングの二方向からのタックルで三杉くんを吹き飛ばしたァ!!」

弥生「キャアア〜〜〜!!(ご主人様〜!)」

観客「ああっ、三杉さんが〜〜〜!!」「な、なんでセンターバックが二人もあそこにいるんだよ!?」

森崎「あっちゃあ…やっぱりフィジカルが弱すぎるのを狙われ…ってなんでそれを知ってるんだ!?
いくら筋肉が足りてないっつっても初対面の試合中に見るだけで分かる程じゃねーぞ!」

フライハイト「答えは簡単だ。知っていたんだろう」

シュナイダー「クライフォートは相手の研究を怠る愚か者ではない」

森崎「な…なんだと?まさか…」

全日本メンバー「み、三杉がやられた!」「慌てるな、持ち場をしっかり守れ!」「ここを凌ぎきれば前半は終わりだ!」

今まで以上に積極的なDFの攻撃参加とそれによって三杉が当たり負けしたことで
動揺が走る中、ボールを奪ったリブタはそのまま自らのドリブルで中央から切り込んできた。

リブタ「オラッ行くぜ弱小国のDFども!俺がドリブルの仕方を教えてやる!」

赤井「なんだって!?」

早田「良い度胸じゃねーかコラァ!お返しに俺がタックルの仕方を教えてやらァ!」

無謀もしくは挑発的とも取れる中央突破に早田がいきり立ってタックルを仕掛けに行く。
強気な彼らしいアグレッシブさだったが、この場合は完全に裏目に出た。

423 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:11 ID:rpfx2XZy
リブタ「良く覚えておけ!ドリブルをより良くするのは…パスと言う選択肢だ!」

ポンッ。

早田「なあっ!?て、てめえええっ!!」

リブタが軽くボールを浮かせる様に前方に蹴り上げた時早田は何も出来なかった。

放送「そのままリブタくんが前方へのループパス!これにレンセンブリンクくんと次藤くんが飛びつく!」

次藤「こ、このっ…!」

レンセンブリンク「うすのろ」

バッコォン!

放送「次藤くん完全に競り負けた!レンセンブリンクくんが逆側にはたいたボールはPA外でカイザーくんが拾いました!」

そしてレンセンブリンクのポストプレイからカイザーがボールを受け取った時、三杉の運命は決まった。

クライフォート「よしやれカイザー!お前のドリブルで追い討ちをかけろ!」

カイザー「了解だぜ!ヘヘッ、楽しいなァ!」

若島津「1対1を仕掛けてくるつもりか!?」

中山「そうはさせない!赤井気をつけろ!」

赤井「はいっス!…えっ?」

ダダダダッ!!

424 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:35 ID:rpfx2XZy
カイザーは走り出した。全日本ゴールに背を向けて。
カイザーはドリブルで向かった。ようやく立ち上がりゴール前の守りに参加しようとしていた三杉に。

三杉「な…なにィ!?」

カイザー「も一回空中遊泳を楽しみなァ!」

ドガアアッ!!

三杉「し…まった…ぐああっ!」

ドタッ!
ガキッ!

日向も舌を巻くであろう程の強引なドリブルで吹っ飛ばされた時三杉は理解した。
オランダユースは接触プレイの連発で彼を潰しに来ている事を。そして自分は負傷してしまった事を。

カイザー「ハッハハハァ!すげーだろ俺!」

中里「笑止!」

葵「よくも三杉さんをーっ!」

ズザザザーッ!
バチッ!

カイザー「うお!?」

クライフォート「全く詰めの甘い奴め」

直後にカイザーは中里と葵にボールを零されていたが、これもクライフォートがフォローした事でなんの救いにもならなかった。

425 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:09:55 ID:rpfx2XZy
放送「こ、これは一体…?ゴール前に切り込むと思われたカイザーくんが突如逆走し、
三杉くんを突破した後ボールをこぼされました!一体何の作戦なのでしょうかこれは?」

観客「な、なんだァ?」「さっきの絶好の得点チャンスだったよな?」「それより三杉は大丈夫なのか?」

実況と観客は分かっていなかった。オランダが三杉の弱点を狙い彼を潰しにかかった事を。

見上「まさか…!?」

岬「(容赦無いな…恐ろしいチームだ、オランダユース)」

全日本メンバー「また三杉が!」「くそっ、ラフプレイばっかりしやがって!」「クライフォートが来るぞ!」

全日本ユース側は程度の差はあれど気付きかけていた。オランダユースの狙いと恐ろしさを。

森崎「あいつら絶対に狙ってやがる!くそっ、油断していた様に見えたのはブラフか!」

シュナイダー「この試合、ミスギのゴール以外は全てオランダユースの手中にあったと言う事だ」

弥生「あ、ああ…ああ…!いやぁあああああああああ〜〜〜!!」

森崎と二人のドイツ人、そして三杉にもっとも近い少女はオランダの意図に気付いていた。
だが彼らに出来る事は何も無かった。

クラマー「(備えあれば憂い無し。ジュン・ミスギよ、恨むならサッカー後進国に生まれた自分を恨んでくれ)」

オランダメンバー『(よし、ミスギは負傷した!後はトドメだけだ!)』

クライフォート「ジュン・ミスギ!敬意の証に見せよう、このシュートを!」

当然オランダユース側は自分達の狙いを知っていた。前々から準備していた作戦だったからだ。

426 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:10:25 ID:rpfx2XZy
                           ダダダッ!
                        グワァアアアアアアアッ!!

                         三杉「………!?」

           足の痛みを残り少ない意志力で堪えながら起き上がろうとしていた三杉が見た物は
                  自分の目前で大きく足を振り上げるクライフォートの姿だった。
       その時悲鳴を上げなかったのは彼のせめてもの抵抗だったのか、それともそれすら出来なかったのか?
        その時彼の顔は絶望と恐怖で誰にも見せたくない程歪んだ事を考えれば後者だったかも知れない。



                 クライフォート「このアキュートシュートで…貴様を貫く!!」

            バッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!



                          ゴガァアアアアアッ!!

                胸部にボールを当てられた彼の体は木の葉の様に宙を舞った。

             この時も悲鳴は出なかった。叫べるだけの酸素が無かっただけだったが。

        薄まる意識の中で三杉はふと思い出した事があった。それは何時か誰かに言われたセリフだった。

     三杉「(そう言えば誰か言ってたな。プロの世界では技術や戦術だけでなく、精神力、スタミナ、フィジカル…
            全てが求められる。そして何か弱点があれば徹底的にそこを突かれるって…
          ハハハ…その通りだった。完全に大当たりだよ…でも誰に言われたんだっけ、これ…)」

427 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:10:44 ID:rpfx2XZy
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!
ドガアッ!ドガアッ!ドガアッ!

赤井「ぐわああっ!!」
石崎「ほげああっ!!」
次藤「ぬわーーーっ!!」

中山「(くそっ!ここで…ここで決めさせる訳には…!)」

バゴオオッ!ギュルルル…

中山「(決めさせる訳には…いかない…の、に…!)があああっ!!」

ルルル…ゴグワァアアッ!!

若島津「…チェストォオオオオオオオオオオオオッ!!」

ブンッ!
バギィイイイイイイイイイイン!!

若島津「(そんな…馬鹿な…!!)ぐ…がっ!?」

ビィイイイイイイイイン!!
バリイッ!

ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!



全日本 1−2 オランダユース

428 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 18:12:47 ID:rpfx2XZy
いったんここまで。

429 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:41:44 ID:rpfx2XZy
放送「ゴ…ゴ…ゴーーーーーールゥウウウ!!!クライフォートくんが放ったミドルシュートが
見た目通りの威力を発揮して三杉くんだけでなくDF達をあっさりと一掃!
若島津くんの正拳ディフェンスさえも力づくで腕ごと弾いたのに飽き足らず、
ゴールネットまで突き破ってしまいました!前半43分、オランダが2−1で再び日本を突き放しました!
決めたのは今までシュートを狙いに来なかったクライフォートくんです!!」

ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

観客「そ、そんな…あんなにあっさり!?」「畜生!後少しで同点のままハーフタイムに行けたのに!」
「おいおい…また冗談みたいな威力のシュートが出てきたぞ…」「なんでこうなるんだよ、クソッ!」

弥生「(ああ…ご主人様があんなに何回も地面に叩きつけられて…いやっ、そんなの見たくない!)」

一連のオランダの三杉潰しとそのフィナーレを飾ったクライフォートのアキュートシュートは
色んな者に様々なショックを齎した。ただ驚き嘆くだけで済んだ観客と実況はまだ幸運だった。

森崎「(畜生!あの程度のシュート、俺なら防いでやる物を!なんで俺は今あそこに居ないんだ!)」

シュナイダー「(あのシュート…俺達との試合では見せていなかった!まだ力を隠していたと言うのか!)」

フライハイト「(これが…ブライアン・クライフォートの本気…!)」

事前の情報が限られていた森崎はただフィールドに立っていない事に憤慨するだけで良かった。
以前からクライフォートを知っているシュナイダーとフライハイトはそうは行かず、
彼が今まで使わなかった技の存在を知った事で戦慄していた。

430 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:10 ID:rpfx2XZy
松山「あ、あいつら…!監督!まさかオランダはわざと三杉を!」

見上「…そうだ。アップ無しですまんが出てもらうぞ松山。キャプテンもお前だ」

松山「…はいっ!くそっ、オランダめ!」

全日本ユースのベンチでは松山がオランダの戦い方に憤慨し、負傷した三杉の代わりに出ようとしていた。

岬「(代わりは松山か。敗戦処理を押し付けるにはうってつけの人材だね)」

滝「(つ、つぇええ…森崎も若林さんも居ないのにあんなの防げないだろ)」

井沢「(くっ…悔しいが、レベルがまるで違う…!大人と子供程に差がある!)」

来生「(こりゃ俺が出ていたとしてもダメだな。いくら得点しても味方がリードを守ってくれなさそうだ)」

高杉「(バケモノ集団だ。こんな奴らに勝てるチームなんてあるのか…?)」

新田「(くそっ!苦労してファルコンクロウを編み出したのに、まだ世界ではゴミレベルなのかよ!)」

山森「(明らかに実力で上回っているのに、更に相手の勝ち目を0にしてくるなんて…)」

反町「(日向みたいなパワーと戦術だ。ひょっとしてあいつは正しいんだろうか?)」

沢田「(あ、あわわわわ…日向さんも居ないのにこんなチームに勝てる訳ないよ…)」

見上「(やはり無理だったか。森崎か若林、それに翼と日向が居れば4:6程度の勝負にはなっただろうに)」

だが彼は気付いていなかった。ベンチ内で闘志を燃やしていたのは最早彼一人だけだった事に。

431 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:26 ID:rpfx2XZy
石崎「ぐえええ…い、いてえ…」

赤井「だ、大丈夫ッスか皆さん…」

若島津「…俺はこの程度ではくたばらん」

次藤「ワシも平気ばい。ばってん三杉は…」

早田「三杉!」

そして今フィールドに居る全日本ユースの選手達は胸を抑えたまま苦しげに呻く三杉の周りに集まっていた。
中山に支え起こされても目を閉じ歯を食い縛ったままで、何も喋れそうにない。

中山「三杉、三杉…!」

三杉「ぐ、ううぅ…」

クライフォート「下手に揺らさん方が良いぞ。肋骨にヒビが入っているかも知れんからな」

中山「貴様…!」

彼らを見下しながら笑うクライフォートに敵意が篭もった複数の視線が突き刺さる。
そしてこのタイミングでタンカ要員と共に松山がフィールドに入ってきて皆の気持ちを代弁した。

松山「オランダユース!お前達はこんなサッカーをして恥ずかしくないのか!」

クライフォート「うん?何の事だ?」

松山「とぼけるな!さっきのお前達はわざと三杉にケガをさせる為のプレイを繰り返していた!
わざわざ逆走してドリブルをしていたのがその証拠だ!こんな物がお前達のトータルフットボールなのか!」

432 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:42:41 ID:rpfx2XZy
松山は激昂していた。
彼がサッカーにおいて重要視するのは三つ。チームワーク、フェアプレイ、そして闘志である。
オランダユースがお世辞にもフェアとは言えない手段で相手の闘志を挫きに来た事、
そしてそれがつい先ほどまで彼を感銘させていた完成度の高い組織プレイで成された事実が許せなかった。

それに対しクライフォートは薄く笑っただけだった。

クライフォート「では問おう、トータルフットボールを持たない国の選手よ。お前達はどんな汚いマネを
してみせてくれる?トータルフットボールを持たないから卑怯な事をしていいんだろう?」

松山「なんだと…!何を屁理屈を言っているんだ!トータルフットボールを
持とうが持たなかろうが卑怯なマネをしてダメだと言うのは変わらないだろうが!」

クライフォート「矛盾しているぞ。その理屈なら俺達を批判するのにトータルフットボールを持ち出すな」

松山「フザけるな!トータルフットボールを実現したクライフも言っていたじゃないか、
美しく敗れる事を恥と思うな、無様に勝つ事を恥と思えって!」

クライフォート「フッ、ヨハン・クライフか…あの人は確かに偉大すぎる程偉大だ。だがあの人も
俺がこう言えば反論は出来まい。美しく負ける事は誇りになるが、美しく勝つ事は更に誇らしいとな」

松山「なっ…!?」

クライフォート「俺はクライフを超える。世界一になると言う形でな…
その為に美しいサッカーと勝つサッカーを両立させてみせよう」

サッカー選手としての信念を問いかけた松山は返ってきた答えに絶句した。
クライフォートの語った信念は彼が想像もつかない方向性の物だったからだ。

433 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:43:20 ID:rpfx2XZy
クライフォート「理解できないか?ヒカル・マツヤマ」

松山「当たり前だ!相手をわざとケガさせるサッカーの何が美しいと言うんだ!」

クライフォート「ではもう少し詳しく説明してやろう。相手の負傷を集団で狙う。
確かにその行為だけでは美しいなどとは到底言えないだろう。
だがお前は俺達がそんな方法に頼らなければ勝てない程度の小悪党揃いのチームだと思っているのか?」

松山「…違う!お前達は本当に強い、それなのにわざわざこんな事をしたのが許せないんだ!」

クライフォート「それがそもそも間違いであり、お前達がサッカー三流国である証拠なんだよ。
気付かないのか?今お前は大差で負けると格好悪いから接戦で負けられる様に
うちのチームの選手が持っている弱点を突かないで下さいと敵に命乞いをしたんだぞ?」

松山「なにを、いっているんだ、おまえは…!」

クライフォート「先ほどから繰り返しているだろう。俺の目指すトータルフットボールは
ただ美しいだけのサッカーではない、美しいサッカーと勝つサッカーの両立…言わば機能美だ。
”美しいサッカーをした”事を負けた言い訳にさせない為のな!」

問答が進むにつれ松山はクライフォートが人の形をした別の生き物の様な気がしていった。
収まらない怒りと高まる嫌悪感に震えだす松山に構わずクライフォートは続ける。

クライフォート「美しいパスワークや芸術的な組織プレイもこの後たっぷりと見せてやるさ。
それともお前達は俺達に美しいプレイだけに徹し負けるリスクを増やす事を強要するつもりか?
クライフが敵DFのマークに封じられ負けた悲劇を繰り返させたいお前達は美しいのか?」

松山「………」

434 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:44:15 ID:rpfx2XZy
言い返せなくなったのではなく、相手が何を言っているのか分からなくなった松山はぽかんと口を開けたまま黙ってしまった。
そして代わりに弱弱しい声を出したのは既にタンカに乗せられていた三杉だった。

三杉「彼は、間違って、いないよ…」

中山「み、三杉!」

三杉「クライフを超える為に、トータルフットボールを変える為に…美しいサッカーを敗因にしない…
その信念も…ラフプレイに弱いと言う僕の弱点を、容赦無く突くプロ精神も…間違ってはいない、さ…
ただ、トータルフットボールと言う先入観を、幻想を…僕たちが彼らに、勝手に抱いていただけ、だ…」

松山「…そんな…」

三杉「もっとも、クライフが認めるとは、思えないし…僕も、好きなサッカーじゃない、けどね…!」

クライフォート「フッ…頂点の目指し方は一つではないと分かっている分
お前は大した物だよ。それだけのセンスとメンタルを持ちながら
プロリーグの無い日本と言う国に心臓病と言うハンデ付で生まれたのが実に惜しいな」

早田「ちょっと待った!なんでてめえが三杉が昔心臓病だったって事を知ってんだ!?」

まさか三杉がオランダのやり方を認めるとは思って居なかった松山はまたもや絶句し、
代わりに今度はクライフォートの一言に驚いた早田が口を挟む。
それに答えたのはクライフォートではなくイスラスだった。

イスラス「お前達は俺達が傲慢だと感じている様だが…本当に傲慢なのは俺達が下調べを怠り
油断する様な無能だと見下しているお前達じゃないのか?タックル以外は何も出来ないソーダよ」

早田「な…なんだと…!?」

435 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:47:25 ID:rpfx2XZy
クリスマン「油断しているフリを本当の油断だと思っていた様だな。俺達は実際はちゃんとお前達を研究してきたぞ」

カイザー「ハッハッハー、あっさり騙されてやがんの!」

レンセンブリンク「愚鈍め」

ディック「なんならこの場でお前ら全員の弱点を言ってやろうかァ?」

リブタ「よせよせ、どうせすぐに思い知らされるんだしさ」

そして場の雰囲気は完全のオランダ側に飲まれた。形としては松山が先に食ってかかった為
審判もどちら側を注意して良いか判断がつかず、不快な空気のまま三杉がタンカで運ばれていく。
ややあって松山がキャプテンマークを腕にはめながら再び口を開いた。

松山「…さっき言った事は謝る…理解も共感も全く出来ないが、
それでもお前達を否定するのは俺の考えを押し付けているのと変わらない…」

クライフォート「ほう…」

松山「…だがお前達が三杉にした事は許さない!この試合、勝たせてもらう!」

クライフォート「面白い、出来るならやってみろ…出来るのならな。フフフ…」



放送「あっと、ようやく試合が再開しそうです。先ほどまで三杉くんがクライフォートくんのシュートで
負傷させられた事に怒った全日本ユースがオランダユースと言い争っていた様ですが、
なんとか収まった模様。乱闘が起きなくてなによりでした」

森崎「汚え…訳じゃないんだよな(俺も結構手段を選ばないしな)」

シュナイダー「シュートで相手DFを負傷させて何が悪い?無論、反則なら話は別だが」

436 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/01(木) 22:55:54 ID:rpfx2XZy
今日はここまで。また明日お会いしましょう。

予想以上に賛否両論になったオランダユースの性格設定ですが、彼らはもともと
登場するタイミングと実力設定を特別編に準拠するとどう転んでも全日本にとっては
憎まれ役にしかならないので徹底して悪役チームになってもらいました。
さもないとただの「物語後半で当たるそこそこ強いけど印象が薄い敵チーム」で終わってしまいますしね。

どうやってもある程度は嫌われ者になってしまう存在なので受け付け辛い人も居る様ですが、
「魅力的な悪役」を描いていける様努力していきますので辛抱強くお付き合い頂けたら嬉しいです。

437 :創る名無しに見る名無し:2010/04/01(木) 23:10:47 ID:nH05hpCc
乙です
続き楽しみにしてますー

438 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:17:25 ID:xYawRjUv
前半43分のオランダの追加点と三杉の負傷交代。
これを皮切りに松山達の絶望的な戦いが始まった。

松山「皆…前半終了間際だ。”アレ”を使うぞ」

中山「”アレ”…?あ!そうか!”アレ”はJrユース大会で使っていないな」

松山「ああ。そして俺も高校時代使っていない。奴らが俺達の事をいくら
研究していても、流石に”アレ”だけは予想していない筈だ」

政夫「よっしゃ、やろーぜ!」

和夫「まずは俺達が切り込んでやるぜ!」

クライフォート「(何か仕掛けてくるつもりの様だな。さて、どの程度の物か)」

ピィイイイイイイイイイイイイイ!!



松山「みんな上がれ!全日本のなだれ攻撃だ!」

松山がまず試したのはキックオフと同時のなだれ攻撃だった。



全日本メンバー『おう!!』

ドドドドドドドドッ!!

クライフォート「ん?」

439 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:17:41 ID:xYawRjUv
放送「お〜〜〜っと、これは全日本ユースのキックオフ直後の全員攻撃!
先陣を切る立花兄弟を筆頭に雪崩の様にフィールダー全員がオランダ陣内に
押し寄せていく!これは松山くんが中学時代ふらので使っていたなだれ攻撃か!」

観客「おーっしゃ、良いぞ!」「三杉の仇を取りに行けーっ!」

政夫「もうお前らの好き勝手にはやらせねェぞ!」

和夫「一気に攻め込んでやる!」

パンッ!ダダッ!パンッ!ダダッ!

カイザー「しゃらくせーっ!」

レンセンブリンク「ここだ」

バチィッ!

スルバラン「よし!俺がフォローを…」

松山「いいや、まだ俺達のボールだ!」

バシッ!

スルバラン「なにィ!?」

ずっとベンチでオランダの戦い方を見ていた松山は一つの策を持っていた。
トータルフットボールの影響でセカンドボールを悉く押さえられるのなら、
同じくセカンドボールを確保する事を目的としたなだれ攻撃で対抗出来るかも知れない。
そしてその見込みは見事に当たり、松山はスルバランよりも早くボールに飛びつく事が出来た。

440 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:17:57 ID:xYawRjUv
放送「立花兄弟突破ならず!しかしこぼれ球は松山くんがフォロー!
松山くんこれを右サイドの葵くんにはたきます」

松山「頼む葵!(それから中山、上がっておけ!)」

葵「は〜い!葵、いっきまーす!」

ダダダダッ!

クリスマン「そう易々と通すか!」

ザザッ!
バチィツ!

葵「わっ!」

中山「まだだ!」

バシッ!

放送「葵くんもクリスマンくんにボールをこぼされましたがすかさず中山くんがフォロー!
怒涛の勢いの攻め上がりによって攻撃権を維持し続けるなだれ攻撃が効果を発揮しています!」

クライフォート「(これは…フォローしやすいポジショニングを意識した全員攻撃か。
守備的なリスクを抱えてはいるが、悪くない連携だ。だが…)」

中山「中里ォ!」

バッコォオオン!!
ヒューン!

441 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:18:12 ID:xYawRjUv
全日本ユースは運動量を増やしフォロー率を上げた事でこぼれ球をつかむチャンスを得た。
松山の目論見通りなだれ攻撃はトータルフットボールの優位性を打ち消す事が出来たのだ。

放送「ここで中山くん大きくサイドチェンジ!逆サイドの中里くんにボールを託します!」

中里「任された…ぬおっ!?」

クライフォート「何時まで逃げ切れるかな?」

スルバラン「これ以上はやらせんぞ!」

中里「ぬわっ…!」

ズザザザーッ!
バァアーーーン!!

全日本メンバー「またこぼれた!」「確保しろ!攻撃し続けるんだ!」
オランダメンバー「いい加減キープするぞ!「これ以上やらせるな!」

放送「しかし中里くんも攻め込めず!ボールはあらぬ方向に飛んで行き
両チームの選手達が狭い空間でぶつかり合い始めました!
時間は既にロスタイム、ここでキープ出来ればまだ攻撃できます全日本!」

しかしトータルフットボールを完全に打ち消すには到らなかったなだれ攻撃の本来の効果は発揮されず、
やがて中盤での混戦が発生し両チームの選手達がボールを奪い合う様になる。

442 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:18:44 ID:xYawRjUv
イスラス「はっ!」
早田「だりゃっ!」

ガガッ!

ディック「どけっ!」
次藤「ふんがっ!」

ボゴッ!

全日本メンバー『く…くそおっ…!』

クライフォート「フッ、悪くない試みだったぞ」

バシッ!

そして最終的にボールを押さえたのはオランダだった。個人の能力のみならず
チーム全体の運動量とポジショニングが特に作戦が無くても自動的に高い域を維持している
トータルフットボール相手にはなだれ攻撃を中断された全日本ユースでは立ち向かえなかった。

松山「まだだ!ここでお前から奪う!」

ズザザーーーッ!

クライフォート「だが結局は実力の差を埋める事など出来まい!」

ダダッ、クルッ。ポンッ!

松山「………畜生!」

ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

最後にクライフォートが松山をクライフターンでかわした所で前半は終わった。
松山がこれしかないと言うタイミングで出した切り札もオランダを脅かすには到らなかった。

443 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 14:20:53 ID:xYawRjUv
いったんここまで。

444 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 17:31:55 ID:xYawRjUv
観客「くそっ、1−2か…」「三杉またケガしちゃったのかよ…」「大丈夫なのか?三杉無しで」
「なあに、松山や早田がやってくれるさ!」「守備は良いとして、攻撃が…日向何処行ったんだよ、全く」

ハーフタイムが始まった時、空は試合のこれからを占うかの様に雲が増え暗くなっていた。
それに影響された様に観客達の表情や雑談も重く暗くなっていき、
心配そうな雰囲気を空元気で吹き飛ばそうとする者達も出てくる。

森崎「ったく、そろそろ雨も降りそうだしいよいよ勝ち目は無くなったな。あーあ」

シュナイダー「そ、そうだな…」

森崎「ん?どうした、シュナイダー…とフライハイト」

空元気など出す必要は無い森崎はイライラと腕を組みながら毒を吐いていたが
ふと様子がおかしいシュナイダーが気になって横を向いた。
すると普段の彼からは想像出来ない程なくそわそわしているシュナイダーと
同じく今までとは打って変わって機嫌が良さそうにしているフライハイトが目に入った。

フライハイト「…来るんだ!」

森崎「へ?何が来るんだ?」

フライハイト「雨が来るんだ!雨が来るぞ!」

森崎「はあ?」

ポツ、ポツ、ポタポタポタ、パラパラパラパラパラ、サーサーサーサー…

森崎「あ、本当に降ってき…た、な…?」



フライハイト「雨だ!ああ、雨だ!素晴らしき雨よ、もっと降り注げ!」




445 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/02(金) 17:32:09 ID:xYawRjUv
シュナイダー「(だからこいつと一緒に居る時に雨が降ると嫌なんだ!)」

森崎「……………」

観客「な、なんだなんだ?」「なんか変な外人が喜んでるぞ?」「そんなに雨が珍しいのかしら…」

そしていざ雨が降り出すといよいよフライハイトはおかしくなった。
森崎が無遠慮に暗いと評した雰囲気は爛々と輝く瞳と満面の笑顔で影も形も無くなり、
両腕を広げながら天を仰ぐその様はなんらかの宗教の儀式と言われれば信じてしまいそうだった。

事前に知っていたシュナイダーは顰めた顔を背け、予備知識が無かった森崎は目が点になる。
無論周りの観客も何事と凝視し、怪しげな外人の奇行に遠巻きでギョッとする。
だがフライハイトは周りの反応など何処吹く風で弾んだ声を森崎にかけた。

フライハイト「雨は良い…命を潤す恵みの流れだ!そうは思わないか、モリサキ!」

森崎「え?あ、いや、その…」

A 「(おいシュナイダー、なんとかしろよ!)」
B 「まあ、そう言えなくもないかな、うん」
C 「俺は晴れている時の方が好きだぞ」
D 「済まん、試合が気になってそれどころじゃない」
E 「バカ何騒ぎ起こしてるんだお前は!」
F 「そんなに雨が好きなら日本に移住しろよ」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/2 18:30:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

446 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 08:32:26 ID:G+D4BlBJ
>F 「そんなに雨が好きなら日本に移住しろよ」

森崎「なんか良く分からんが…そんなに雨が好きなら日本に移住しろよ。
確か、日本は世界でもかなり雨が多い国の筈だぞ?」

フライハイトの様子にあまり深く突っ込みたくなかった森崎は当たり障りの無いセリフで
話を合わせようとした。少なくとも森崎は当たり障りの無いセリフのつもりだった。

だがフライハイトにはそうでなかったらしく、顎を撫でて真剣に考え出した。
隣のシュナイダーが今まで以上に狼狽するのも気付かないまま。

森崎「(…あれ?俺、何かとんでもない事しちゃった?)」
-----------------------------------------------------------------------------
【分岐】http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
 !card と書き込むとランダムでトランプの絵柄が出るので、(!は半角)書き込んでみて下さい。
(ageでもsageでも構いませんが、★も含めて一回の判定の全文をコピペされてない場合は無効です)

先着(順番通りじゃない書き込みは無効)で
★俺の名は風雷拝徒→!card★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

JOKER→フライハイト「そうだ!フィリピンなら日本よりも更に雨が…」 シュナイダー「HA!!」 ゴキャッ
ダイヤ→フライハイト「残念ながら、プロリーグの無い国には…」 シュナイダー「(ホッ…)」
ハート、スペード→フライハイト「残念だが、東ドイツが安定するまでは…」 シュナイダー「(安定したら行くのか!?)」
クラブ→フライハイト「…日本のサッカー協会に口利きをしてく」 シュナイダー「馬鹿者!貴様にゲルマン魂は無いのか!」

447 :創る名無しに見る名無し:2010/04/03(土) 12:37:21 ID:6NKWmD3Y
惜しいww

448 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:50:46 ID:G+D4BlBJ
★俺の名は風雷拝徒→ ハート2 ★

ハート、スペード→フライハイト「残念だが、東ドイツが安定するまでは…」 シュナイダー「(安定したら行くのか!?)」
-----------------------------------------------------------------------------
フライハイト「魅力的な提案だな!しかし残念だが、東ドイツが安定するまでは…それは無理だ。
今回日本に入国するだけでも面倒な手続きが必要だったし、移住となると更に、な…」

森崎「そ、そうか(国籍まで変えても良いのかよ!?雨の為だけに!)」

シュナイダー「(安定したら行くのか!?ドイツよりもサッカーよりも雨の方が大事なのか?)」

少しの沈黙の後、フライハイトは実に残念そうな表情で森崎の話半分の提案を断った。
その様は心の底から惜しんでいるのが誰にも分かる程で、森崎が呆れたのは勿論
チームメイトであるシュナイダーはそんなにあっさりとドイツを捨てるのかと気が気でない。

フライハイト「本当に悔しい物だな。日本の降水量が心底羨ましくて堪らない。
ああ、何故雨はもっとドイツに微笑みかけてくれないのだろうか?
俺が住むミュンヘンでさえ世界の平均とほぼ同程度でしかない。
お前は雨に恵まれた国の人間だが分かってくれるかモリサキ?この胸のいた…」

シュナイダー「フライハイト!今モリサキは絶望的な戦いを挑まねばならない
自分のチームメイト達を見守っているんだ、話を元に戻そう!そうだろう、モリサキ!」

森崎「あ?ああ、そ、そうだな!悪いが雨の話はまた今度にしてくれ、フライハイト」

フライハイト「ん?そうか、そうだったな…仕方ない、今は試合に集中するとしようか!」

更にフライハイトは雨の素晴らしさについて語ろうとしたが、この話題を続けさせたくなかった
シュナイダーが強引に話を眼前の試合についてに戻し森崎もそれに乗る。
フライハイトも配慮し話題を元に戻してくれたが、雨によって上がったテンションは変わらなかった。

449 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:50:59 ID:G+D4BlBJ
フライハイト「さて、前半を見てオランダユースの強さと恐ろしさは良く分かっただろうモリサキ!
攻守共にタレント揃いな上他のチームにはマネできない完成された連携でで非常に厄介なチームだ」

森崎「もう十分分かったっての。情けない話だが、三杉が抜けた今はもう点を取る事すら無理だろうな」

フライハイト「ああ。代わりに入ったマツヤマだったか?気分を悪くしないで聞いて欲しいが、
今の彼にはJrユース時代の存在感はまるで感じられないな。彼ではオランダ相手に何も出来まい」

シュナイダー「それは俺もジャパンカップの頃から気になっていたな。
マツヤマに限らずソーダ、ミサキ、ナカザトと言った全日本Jrユースの主力選手達は
皆伸び悩んでいた様に見えた。あれほどの強敵であったヒューガでさえ
俺の想像していた姿に比べると一回り劣っている。何故だ?モリサキ」

森崎「…日本にプロリーグが無いからだよ。参考に出来るレベルの高い試合も目標に出来る年上選手も
鍛えてくれるクラブチームも無い。これでも俺が合宿で実力差をみせつけて皆が必死になった結果なんだぜ?」

フライハイト「なるほど!国レベルの伝統と組織力が無ければ強い選手は生まれない。当たり前の事だな!」

シュナイダー「予想の一つが当たったな。お前とツバサはブラジルに行った事でそれを免れたのか。
しかしこのザマではお前とツバサの力で大陸予選を勝ち抜いたとしても、
ワールドユース本大会では”出場しただけ”のチームになりかねんぞモリサキ」

森崎「…チッ、耳に痛い話ばっかりしやがって。その通りだけどよ」

フライハイト「腐るなモリサキ!嫌な事から目を逸らしても現実は変わらないぞ!」

森崎「(こいつもうぜえ!ああ、面白くないな…ん?)」

代わりになった話題も決して愉快な物ではなく、冷徹に今の全日本ユースに
低い評価を下す二人のドイツ人に言い返せる材料が無い森崎は再び不機嫌になる。
そしてハーフタイムが終わり両チームの選手達が入場してくると彼の苛立ちは更に増した。

450 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:51:18 ID:G+D4BlBJ
放送「ただいまハーフタイムが終わりました。逆転の期待がかかる全日本ユースの選手達が
雨に負けじと元気良く走りこみ、続いてリードしているオランダユースが…あ!?こ、これは…」

全日本メンバー「な…なにィ!?」「なんでだよオイ!」「フザけたマネしやがって!」

観客「あれ?オランダ、なんか変じゃね?」「クライフォートって奴が居ないぞ!」「あ、あそこだ!ベンチに居る!」

森崎「あ、あいつら…!とことんまで余裕かましやがって…!」

オランダユースがクライフォートを交代させてきたのだ。

放送「し、失礼しました!ただいま入った情報によるとオランダユースはキャプテンのクライフォートくんを下げ、
ギニャーサくんを投入しました。前半は見事なプレイでしたが、ケガでもしていたのでしょうか?」

森崎「ヘッ、あの展開でケガなんかするかよ。これでも十分って判断したんだろうよ…」

シュナイダー「妥当な判断だな。これは負けても問題ないテストマッチだ」

フライハイト「クライフォート抜きでも戦う練習に切り替えたか!抜け目が無い!」

松山「くっ…どこまで馬鹿にするつもりだ!それなら逆転勝利して後悔させてやるぞ、皆!」

全日本メンバー『おう!!』

当然いきり立っている全日本ユースがこれを喜ぶ筈も無く、彼らは松山が率いるままに怒号を上げた。
しかしそんな彼らの姿を見てもオランダユースの選手達の冷笑は深まるだけだった。

カイザー「聞いたか?向こうさんまだあんな事言っているぜ」

レンセンブリンク「愚かな」

クリスマン「俺達は何時でも全力だと言う事を分からせてやろう。体でな!」

451 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 16:52:12 ID:G+D4BlBJ
いったんここまで。

452 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:23:14 ID:G+D4BlBJ
そして後半は全日本ユースに取ってとても残酷な、オランダユースの一方的なペースに終始した。
全日本のキックオフで始まったにも関わらずボールはほんの数分で奪われ、
そこからクライフォートに代わってCMFになったクリスマンが使い出した連携に誰も太刀打ち出来なかったのだ。

クリスマン「行くぞレンセン、カイザー!」

レンセンブリンク「分かった」

カイザー「カモーン!」

パンッ!ポーン!ダダダダッ!バコォン!ダダッ!パンッ!

全日本メンバー「な、なにィ!?」「は、早ェエエ!!」「なんだよこれ!?」

松山「くっ…まだこんなコンビネーションがあったのか!?」

クリスマン、レンセンブリンク、カイザーの3人が絶えず走り続けながら行う
3人がかりの連続ノートラップパス。彼ら自身がトリニティブレイクと名付けた
この連携に圧倒された全日本は前半以上に攻撃権を取れなくなってしまう。

早田「レンセンブリンクだ!ポストプレイをしてくるぞ!」

レンセンブリンク「バカめ」

バッ!クルッ!
バシュゥウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

若島津「な…こ、これは三杉の!」

中山「ハイパーオーバーヘッドだ!」

赤井「(やべっ、ビデオで見てたのに!)」

453 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:23:31 ID:G+D4BlBJ
バスッ!
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

レンセンブリンク「俺の武器はポストプレイだけではない」

そしてそのまま切り込まれた後半5分にレンセンブリンクのハイパーオーバーヘッドが決まる。



全日本ユース 1−3 オランダユース



スタタタタタタタッ!
パシッ!

政夫・和夫『あああっ…!』

イスラス「遅い遅すぎるぞもう見飽きたワンツーならもっと速くやれそれで速攻のつもりか!」

キックオフからのジェミニアタックもイスラスにあっさりとカットされた全日本は
それ以降完全に受身になり、自陣のゴール前をひたすら固めこれ以上の失点を
防ぐ事しか出来なくなった。そしてそれさえも満足に出来る事ではなかった。

カイザー「ほれほれほーれ、パスだぜー♪」

早田「畜生がァアアアアアアアアアア!!」

特に大きく響いたのはこれまで大活躍していた早田が悉くパスで翻弄され
何の役にも立たなくなった事だった。これは展開への影響以上に全日本の士気を下げた。

454 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:24:27 ID:G+D4BlBJ
葵「くそーっ!まだ俺は諦めないぞ!」

ディック「早く楽になれよチビ!」

ズザザッ!
バゴオッ!

葵「ぎゃあ〜!」



中里「中の里が奥義が一つ、分身の…」

イスラス「スピードだけで勝てると思うな!」

レンセンブリンク「単純過ぎる」

バチイッ!

中里「なんと!?」

貴重な攻撃チャンスも敵陣にボールを運び込む事すら出来ない始末で、
頼みの綱の葵と中里のサイドアタックも通用しない。これにより
オランダのシュート数が増え、全日本の守備陣にかかる負担も増していった。



ボグゥヲォオオオッ!!

石崎「ぶふぇああっ…!も、もうダメだ…」

ドサッ…

葵「石崎さーーーん!!」

後半12分、脳震盪を起こした石崎が山森と交代。

455 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:25:00 ID:G+D4BlBJ
レンセンブリンク「フン」

バッ!クルッ!

若島津「二度も同じ技でゴールさせるか!キェエエエエエエエエッ!!」

バッ!グワアアアッ!!
バキィイイイイイイイイン!!

レンセンブリンク「!?」
若島津「(しまった!このままだと弾ききれな…!)」

バィーーーーン!!

カイザー「ラッキー!ごっちゃんゴールいっただきィ〜〜!!」

バッ!
バシュゥウウウウウウウッ!!

中山「くそぉおおおおっ!!」

赤井「ゼー、ハー、ヒー…す、済みません。もう無理っす…」

バスッ!
ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

後半29分、負担が大きすぎた赤井が倒れるのと同時にカイザーのジャンピングボレーが入る。
代わりに入った高杉が出番を喜ぶ気になれなかったのは言うまでもない。



全日本ユース 1−4 オランダユース

456 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:25:28 ID:G+D4BlBJ
松山「(頼む、せめてキーパーまで届いてくれ!)」

バゴォオオオオオオオオオオン!!
ヒュゥウウウウウウウウウウウ…

リブタ「おいおい、冗談きついぜ!」

バシッ!

松山「(くっ…何故だ!何故俺はこんなに無力なんだァアア!!)」

松山がやけくそにキックオフからの北国シュートを撃っても通用する訳が無い。



政夫「せめてもう一点取ってやる!」

和夫「くらえオランダユース!」

ドールマン「遠慮しとくぜ」

バッ!
ガシイイイッ!

政夫・和夫『そ…そんなァ!?』

ドールマン「残念でした。俺に通用する威力じゃないよーん」

運良くシュートチャンスまでこぎつけ、万感の思いで繰り出したデルタツインシュートですら
撃つ前に潰された時全日本ユースの闘志は遂に潰えてしまった。

457 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:25:44 ID:G+D4BlBJ
イスラス「トドメだ全日本ユース自らの弱さを思い知れそれが敗北者の義務だ!」

ビュンッ!

若島津「あああ…」

後半37分、イスラスが無気力になった全日本の守りを突破しドリブルゴールする。



全日本ユース 1−5 オランダユース



葵「ハア…ハア…(い、嫌だよ、こんなの…)」

タッタッタッタッ…

ギニャーサ「スタミナは大したチビだがいい加減限界らしいな!」

バチイッ!

葵「(こんな…こんなにカッコ悪く負ける為に日本代表になったんじゃないのに…
翼さん達と一緒に世界を目指す為に頑張ってきたのに…こんな負け方、嫌だ…)」

バタッ…

ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!

最後まで走り続けた葵もとうとう倒れた時、屈辱に満ちた負け戦は終わった。
シュート数は3対15。支配率は16対83。点差と実力差が残酷なまでに一致した結果だった。

458 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/03(土) 18:26:54 ID:G+D4BlBJ
いったんここまで。
ジャパンカップ編もそろそろ終了が近いです。

459 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:09:09 ID:hsT78phF
放送「ここで試合終了です。結果は1−5。全日本ユース、大敗を喫してしまいました。
ジャパンカップでの雄姿が今となってはまるで幻の様に思える程の惨敗です。
相手のオランダユースは現在欧州のユース代表としては最強と言われている程の強豪チームですが、
裏を返せば世界を狙えるチーム相手には歯が立たないと言う事でしょう。
第一回フランス国際Jrユース大会で予想外の栄光を手にしたこの黄金世代は
ワールドユースで栄光再びを期待されていましたが、それは叶わぬ夢となってしまうのでしょうか…?」

試合終了直後の実況は建前の中立性すら放棄した物悲しい語り口だった。
メキシコ五輪の銅メダル以外はまるで世界的な栄光が無い日本のサッカー界に
突然変異種の如く現れた黄金世代に魅せられたサッカーファンは多かった。

しかし今日の試合は実際に世界トップクラスのチームとぶつかるとどうなるかを残酷な程明らかにした。
主力が数人欠けていたと言う事実も慰めにならない程の大敗の前には
どんな楽天家でも夢を打ち砕かれずには居られなかった。

観客「そんな…こんな大差で負けるなんて…」「雨の中必死に応援した結果がこれかよ、くそっ!」
「オ、オランダって強いんだな…」「森崎や翼が居ても勝てなかったんじゃね?」「所詮日本サッカーなんてこんなモンだろ」
「ワールドユースに出ても今日みたいなチームが相手だとボロ負けするって事だよな…あ〜あ」

観客の反応は怒りよりも落胆が大きかった。これは日本がまだまだサッカー弱小国である自覚と
それ故に黄金世代と言えども高望みはしてはいけないと言う哀れみの産物だった。
逆に言えば、観客の思いを裏切っても激情される可能性は無い程度の期待しかされていなかったのだ。

選手達にはそれがなによりも辛かった。いっそ激しくブーイングされた方がマシだったかも知れない。

政夫「この程度…俺達って、この程度だったんだな…」

和夫「ハハッ…弱かったんだな、俺達…」

460 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:09:27 ID:hsT78phF
葵「くそう、くそう、くそう!こんなの悔しすぎるよーっ!」

中里「無念どころではない…無様にも程がある…」

早田「クソッタレがーっ!今まで何をやってきたんだ俺は!」

次藤「…またじゃ。また、世界相手に何も出来んかった…」

中山「(ウジウジ悩んでいた結果がこれだ!何が森崎の力になりたいだ!)」

若島津「(昔と同じだった。俺はキーパーとしては世界を獲れない…)」

ベンチに戻る彼らの表情は惨めとしか言いようが無かった。過酷な現実に夢を打ち砕かれた
若者の顔はどんな芸術家でも描き表せないであろう程の悲哀に満ちており、
特にキャプテンマークを汚れた手で握り締める松山の顔は雨と涙と泥でぐしゃぐしゃになっていた。

松山「監督…皆…すみません!」

見上「…お前一人のせいではない」

松山「分かっています…でも、でも、こんなの!」

三杉「…オランダユースは僕たちより圧倒的に強かった…それ以上でもそれ以下でも無いさ」

松山「くそっ…!」

泣き濡れた松山と淡々と語る三杉の視線が自然とフィールドの逆側にあるオランダベンチに向かう。
距離がありすぎて会話は聞こえる筈も無かったが、彼らの明るく爽やかな雰囲気はとても忌々しい光景だった。
さして難しくもない仕事を予定通りに終えたからこれから祝杯でも上げよう…そんな表情だった。

461 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:09:43 ID:hsT78phF
松山「…三杉」

三杉「なんだい?」

松山「やっぱり俺はあいつらが許せない…大敗したのはこっちが弱いからだ。それは俺達のせいだ。
だがあんなに強いのに!あんな凄い全員サッカーが出来て、しかもそれを個人技と両立させているのに!
わざわざ必要の無いラフプレイで相手をいたぶる様なサッカーなんて…俺は認められない!」

三杉「………」

松山「サッカーは奇麗事だけじゃ済まないのは分かっている。お前があいつらを責めていないのも、
ああいうやり方も一つの強さだって言うのも分かる。だけど…あんなサッカーに負けるのなんて、もう絶対に嫌だ!」

やがて松山は吼えた。涙を流し続けながら。そんな彼に注がれる三杉の視線は
どちらかと言えば冷ややかな物だったが、三杉が返答する前に岬が口を挟んだ。

岬「それで良いと思うよ、松山」

松山「岬…」

岬「小次郎とかを見ていると、オランダが間違っていると断言は出来なくなるけど…僕は奇麗事の方が好きだし、
奇麗事で勝ちたい。そう思う事も決して間違っていない筈なんだ(汚い事は他人にやらせるに限るしね)」

松山「ああ…!そうだよな、岬!」

三杉「…人にはそれぞれの道がある。君は君に出来る努力をすればいいさ。
僕は僕で力を求めるとするよ。結果的には僕たちの道の目標地も同じになるだろう」

松山「…そういう所も本当にお前らしいな、三杉」

その後三杉も淡々と相槌を打ち、彼らしい答えに松山も涙を止め苦笑する事が出来た。

*松山のクライフォートに対する感情が「許さない!」になりました。
*三杉のクライフォートに対する感情が「借り」になりました。

462 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:10:01 ID:hsT78phF
そんな3人の輪を少し離れた所で眺め、疎外感を感じている者が一人居た。中山である。

中山「(結局俺が入っても、全日本は殆ど変わらなかったな…)」

日本代表となり3試合連続でスタメンフル出場、しかしそのパフォーマンスは「その他大勢扱い」程度。
中学生時代森崎と共に戦う事を渇望し続けた彼が描いていた想像とはかけ離れた様である。

中山「(この現状は自業自得だ。森崎の力になるには森崎と敵対する覚悟が必要かも知れない?
それは日向が歩んだ道だ。俺は日向じゃない。奴の様なFWではなくDFなんだ。DFとGKは敵対関係にはならない。
自分の本分を忘れた奴がいくら悩んだって無駄だ。だけど…だったらどうしたら昔の様に活躍出来るんだろう)」

現状に疲れた中山は遠い昔の栄光に満ちていた頃の記憶を掘り起こしていた。
南葛SCと言う地域の選抜チームでただの補欠だった筈の森崎がガムシャラに力と栄光を追い求め、
それに引っ張られる様に自分も何時の間にか眠っていた力を引き出していったセピア色の記憶を。

中山「(あの時俺も最初は森崎と同じでただの数合わせみたいな物だったんだよな…ん!?)」

そして中山は気付いた。一度再起不能になってから自分がどう変わったかを。

中山「(…今の俺の立場は同じじゃないか!南葛SCのその他大勢だった頃と!じゃあ…
今の俺とあの時の俺の違いは何だ…?決まっている!あの時の俺は失敗なんか恐れていなかった!
結果が出せなかったらすぐ次の挑戦を探していた!何も無かったから一から築き上げるしかなかった!
何時からだ!?何時から俺は過去の栄光に縋り失敗を恐れる様になっていたんだ?
そんなの俺じゃない!過去の栄光に縋りそれを取り戻そうとするのは俺じゃない!
自分の未知を探り続け、自分と戦い続ける!それがこの俺、中山政男のサッカーじゃないか!
昔の力を取り戻せばそれで満足するつもりだったのか?ああ、なんて道化だったんだ俺は…!)」

一度視野が開けると気が晴れるのも早かった。笑い出したくなる衝動を堪えなければならない程だった。
世界の壁と言う障害物に何度も突撃を繰り返した結果、中山はようやく己につけていた鎖の存在に気付いた。

中山「(…決めた。過去の力を取り戻すんじゃない、新しい力を得るんだ。俺の力を!)」

今は誰も気付いていなかった。この日の大敗が中山を過去の呪縛から解き放った事を。
全力で全日本を失意の淵に閉じ込めようとしたオランダユースは皮肉にも中山政男と言う一人の逸材を蘇らせた。

463 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/04(日) 18:12:07 ID:hsT78phF
いったんここまで。

464 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/05(月) 16:18:30 ID:dt3FqNV/
チームメイト達が悲痛な雰囲気に包まれていた頃、森崎はどうしていたかと言うと…

フライハイト「落胆しているヒマは無いぞモリサキ!正GKでありキャプテンでもあるお前は
誰よりも勇敢であり続けなければならない!それがチームメイトを復活させる最善の…」

森崎「分かってるっつってんだろ!いい加減落ち着きやがれ!(ウゼえ!最初の静かっぷりは何処に行ったんだ?)」

シュナイダー「フライハイト!日本人じゃないお前がわざわざ言う事じゃない!」

唾が飛ぶ程の熱弁をふるうフライハイトに絡まれて辟易していた。
彼のテンションは最早シュナイダーの注意にも耳を貸さない程高まりきっていたが、
試合終了後間も無く文字通り天の助けで森崎は彼から解放された。

サーサー…ポツポツ…ポツ…ポッ…

フライハイト「ああ…雨が、雨が行ってしまう…またもや雨と別れなければならないのか…」

森崎「…やっとか。こいつ二重人格か?」

シュナイダー「済まんな…雨さえ降らなければマトモなのだが…」

雨が止み、フライハイトが恋人と引き裂かれる様な痛みに満ちた表情で黙り込んだのだ。
今にも地面に手をつき泣き出しそうな彼を放置し森崎とシュナイダーは談話を再開する。

シュナイダー「ともあれ、今回日本に来たのは有意義だった。今の全日本の弱さをハッキリと見れたからな」

森崎「チェッ。お前だってオランダには1−4で負けたんだろ?」

465 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/05(月) 16:18:54 ID:dt3FqNV/
シュナイダー「そうだ。例えミューラーが居たとしても恐らく1−2か2−3で勝敗は変わらなかっただろうな。
中盤を完全に制されて俺は思うようにに攻撃出来ず、むしろ守備に走り回らなければならない程だった。
トップに上がってから壁にぶつかった事は何度もあったが、あれ程屈辱的な負け方をしたのは久しぶりだった…」

話題はやはりオランダユースについてで、己が味わった大敗を振り返るシュナイダーの
横顔は非常に読みづらい物だった。自分は出場していないとは言え全日本も
大敗してしまった以上それを茶化す訳にもいかない森崎は代わりに気になっていた事を聞いた。

森崎「なあ、その右足のケガってのはオランダと戦った時の物か?」

シュナイダー「いや違う。オランダとやった時は絶好のコンディションだった。これはむしろ
オランダに負けた後のオーバーワークが原因でな…まだまだ未熟だと思い知らされた」

森崎「そうか。負けた後のオーバーワークでケガってのは珍しくない事なのかもな」

シュナイダー「お前もツバサに負けた後そうなったのか…フッ、お互いバカをやってしまったな」

若気の至りで体を痛めてしまったと言う共通点を見出した二人は僅かな笑いを分かち合った。
だがそんな和やかな会話は差し迫った現実の前では長続きせず、二人は再び深刻な表情に戻った。

シュナイダー「…だが俺は二度とオランダに遅れを取るつもりはない。ヨーロッパ予選では
ドイツとオランダが同組になる事はまず無いだろうが、ワールドユース本大会できっちりと借りを返すつもりだ」

森崎「そうか…ん?今、西ドイツじゃなくてドイツって言ったな?まさか…」

シュナイダー「ああそうだ。既にFIFAは西と東のドイツの統合チームの参加を許可している。
つまりそこに居るフライハイトやハンブルグに居るポブルセンを始めとした東ドイツのメンバーも加わる」

フライハイト「…ドイツは今年中に再び一つになると言う見方が強い。そして長年の悲願であった
ドイツの統一を記念する栄光に、統一チームによるワールドユース優勝はうってつけのイベントだ」

466 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/05(月) 16:19:09 ID:dt3FqNV/
森崎「何時の間に復活してやがったんだお前。しかもあっさり優勝だなんて言いやがって。
政治的に大変な時期に悪いがよ、この森崎有三が居る限り日本以外の国の優勝は有り得ないぜ」

フライハイト「…出来るのか?今の日本で」

森崎「…出来るからやるんじゃねえ。やるから出来るんだよ。日本人ナメんなよ?」

シュナイダー「お前らしいコメントだ。願わくばその言葉通り強い全日本を復活させてくれ」

森崎「…じゃないと、倒し甲斐が無いってか?」

シュナイダー「その通りだ。今日の全日本には何の魅力も脅威も感じなかった。
俺はもう一度戦いたい。そして勝ちたい。俺を熱くさせてくれる全日本ユースをな…」

森崎「………」

フライハイト「シュナイダー、そろそろ戻ろう。万が一フライトを逃してしまったら面倒になる」

シュナイダー「おっと、そうだな。それではまたしばしの別れだ、モリサキ」

森崎「おう…」

A 「予選でコケんじゃねーぞ?そうなったら大笑いしてやるからな」
B 「今度戦う時は新技の一つでも見せないと承知しないぜ?」
C 「ワールドユースではお前が泣きたくなる程強い日本を見せてやるよ!」
D 「しかしお前クソ真面目だな。少しは軟派にならねーと女も出来ないぞ?」
E 「そういや日本来てどうだった?色々勝手が違っただろう〜」

      http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1267790375/l50にて
            ☆2010/4/5 18:00:00☆ から投票期間を設けます。
    そこから  15  票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。引き分けの場合は
   その次の票をタイブレーカーに使います。どれか一つに確定した場合はその時点で投票を
         止めて下さい。尚、投票はageた書き込みのみを採用しています。

467 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 00:22:44 ID:0maQR48I
>C 「ワールドユースではお前が泣きたくなる程強い日本を見せてやるよ!」

シュナイダー「…では俺をそれを更に乗り越えよう。真のドイツの力でな」

森崎「ヘッ、俺達と当たる前に敗退したりするんじゃねーぞ」

グッ。

シュナイダー「お互い様だ。では…ワールドユースでまた会おう!」

グッ。

フライハイト「(この二人、口調や信念は異なる様だが…根は酷似しているな)」

最後にライバル達は互いの拳を突き合わせて別れた。再戦を心から望みながら。

森崎はシュナイダーとフライハイトの後姿を視界から消えるまで眺めていた。
初めて出会った世界の壁の象徴と、時代は変わったと言う生き証人。
彼らが去ってからしばらく経って、森崎はふとため息をこぼした。

森崎「ふぅう〜…倒さなきゃいけない奴らが多くて本当に大変だぜ。
まず腰を治さないといけないし、それが終わったらまた練習と訓練の毎日だ。
その間ずーっと根回しやらアメとムチやらに気を配らないといけないんだから
参っちまうぜホント。なんで俺はこんなに苦労してサッカーなんかしているのかねえ…」

独り言を呟きながら見上げる空は綺麗だった。割れた雨雲の隙間から
隠れていた太陽が顔を出し、光の筋が遠くの空に虹をかけていた。

森崎「…ま、決まってるよな。我ながらバカな疑問だったぜ」

468 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 00:23:02 ID:0maQR48I
           虹に背を向けて森崎は歩き出した。これまでとこれからに思いを馳せながら。

                翼との再戦。若林との再戦。シュナイダーとの再戦。

         一つは叶わなかった過去。一つは勝ちとった現在。一つはあるかもしれない未来。

         徐々に彼の運命は加速していく。そして敵味方問わず彼の周りの者達の運命も。

            喪失。敗北。誓約。欲求。希望。策謀。信念。野心。責任。矜持。

         数え切れない思いが交差し、そのいくつかは日本を発ちいくつかは日本に留まった。

              次に互いの道が交わる時まで更なる力と戦いを求める為に。

               それぞれの挑戦が、試練が、躍進がここからまた始まる。

            森崎と全日本ユースはワールドユースと言う未知の領域に進路を定めた。



                  キャプテン森崎 ワールドユース編 第二部

                           ジャパンカップ編

                              完

469 :2 ◆vD5srW.8hU :2010/04/06(火) 00:26:34 ID:0maQR48I
今日はここまで。明日またお会いしましょう。

ジャパンカップ編はこれにて終了、これからアジア予選編が始まります。
アジア予選が始まる前に多少NPCシーンがありますが、
NPC試合は無いのであまり長くはかからない…筈。



今日のキャプ森に関係ない事…は、こういう区切りでは野暮になりそうだし無しにしておきましょう。

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