キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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キャプテン森崎外伝スレ10

1 :森崎名無しさん:2012/04/04(水) 19:38:57 ID:???
キャプテン森崎に関連したサイドストーリー、番外編用のスレです。
進行は小説形式でも参加型でもなんでもアリです。
コテをつけるかは自己判断ですがわかりやすく工夫したほうがいいかもしれません。(名前欄にタイトルなど)
前の人の作品が完結してから次の人は書き始めましょう。好評な作品は独立するのもありです。
ただあまりに過度にキャラを変えてしまうと本編に支障をきたすおそれもあるので程々に。
 
自信がない人もどんどん挑戦しましょう!

235 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:26:11 ID:???

★貴音 シュート( ダイヤJ )12+( 1 + 2 )=15★
★真 セーブ力( ダイヤ2 )15+( 2 + 3 )=20★
【シューター】−【キーパー】≦0→キーパーがゴールを守る!


真はもう一度、ギリギリまでシュートを見極めるためにじっと動かない。貴音も微動だにしない。
張りつめた空気。私は真の選択をとやかく言うつもりはない。反応は出来る。ならば後は届かせるだけなのだ。

貴音「・・・そこ!」

貴音のシュートから一歩遅れて左に飛ぶ真。先ほどの神崎と同じくゴール隅を狙ったシュート。
しかしスピードはさっきのシュートよりは遅い。真ならば止められるかもしれない。いや、止めてくれる。

真「うりゃーっ!」

貴音「・・・!」

真「や・・・やったーーーっ!!」

見上「届いた・・・!」

思わず立ち上がり、叫んでしまった。弾いた。それは勘違いではない。ボールが跳ね返り、コロコロとペナルティエリアから転がる。
Bチーム最後のシュートを見事、真は防ぎAチームに勝利をもたらしたのだ。Aチームの各々が立ちあがり真目掛けて走っていく。

        1   2   3   4   5
Aチーム   ○   ○  ○   ○  ○ 
Bチーム   ○   ○  ○   ○  ×


236 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:27:16 ID:???

響「真ーっ!自分は真なら絶対絶対大丈夫だって信じてたぞー!」

歌鈴「や、やりましたね真さん!」

ゆかり「私たちの勝ちなんですね・・・!」

みく「やったにゃ!大手柄にゃ!」

卯月「やったーっ!」

星花「やりましたわ!」

雅「やったねぇ!」

有香「Aチームの勝利だ!やったぞ!」

かな子「やったよー!」

真「皆、ありがとう!!皆が頑張ってくれたおかげだよ!ボクたち、勝ったんだーっ!」

見上(一人足りない気もするが・・・・奴は奴なりに勝利に貢献したのだ。野暮は言う必要もあるまい)

口惜しいが、私が何かしたから勝利したわけではない。この勝利はAチームの連中が引き寄せた結果だ。
だが、今この時だけは監督面をして勝利の余韻に浸らせてもらったとしても構わないだろう・・・。


237 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:28:23 ID:???

負けたBチームの面々は確かに悔しそうだったが、潔くまっすぐにこの敗北を受け入れていた。
ここまで試合を戦い、自分たちと同じく頑張っていると認めてくれたのだろうか。だとすれば嬉しい話だ。

音無「・・・・お疲れ様です、見上監督」

見上「音無さんも、色々とお疲れ様でした。それと・・・音無さんには残念な結果でしたね。
ありがとうございます。そうなるかもしれないとわかっていて、色々と面倒を見てくださって」

音無「構いません。って言ったら嘘になっちゃいますね。あはは、勝てないとは思ってたんですけど・・・。それでも悔しいものですね」

いい言葉を思いつかなかったのもあったし、音無さんが言葉を欲していないことを何となくわかった。私は静かに選手たちを見つめる。
勝ち、これから本当の戦いへ繰り出すであろうAチーム。そして、敗れこの機を失ったBチーム。
どこにでもある勝者と敗者の構図。だが、それ以上の何かがこの両者の間にはある。そう信じられるだけの光景が広がっていた。

貴音「真。よき、気迫でありました。私たちの負けですね」

真「貴音・・・。ありがとう。Bチームもとても強かった。だから、ボクたちも頑張れたんだ」

あずさ「響ちゃんお疲れ様〜。私たちの分まで、IAリーグ頑張ってね」

響「当然っ!Bチームの夢もAチームのみんなも、自分たちが頂点に持って行くから、見ててよね!」

見上(まったく・・・こういう光景を見ていると何故自分は選手でなく監督なのだろうと思ってしまうな。
おめでとう。真に響、そしてAチームの皆)



238 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:29:33 ID:???


そして、その夜。帰社した私と音無さんを待っていたのは高木社長と衝撃的な言葉だった。

見上「すみません。どういうことなのでしょうか。もう一度説明お願いします」

音無「そうですよ社長!わけがわかりません!」

高木「そ、そう怖い顔をしないでくれたまえ。私としても不測の出来事なのだからね。だから・・・」

彼がさっき放った言葉は私たち二人を凍りつかせた。彼の言葉、それはどちらも落選しないということだった。
しかしそんなことを言われて私たちが納得するわけがない。何のために今日の試合、そして選手たちの必死な努力があったのか。
私たちの声に怒りが籠ったのも仕方のないことだっただろう。

高木「突然チームの枠が一つ空いてね。抽選で枠を増やせるプロダクションを決めたのだが・・・それに我が社が当選したのだよ。
だからAチームもBチームも、共にIAリーグに出場し頂点を目指して競い合って欲しい!・・・ダメかね?」

音無「ダメってわけではないんですけど・・・その」

見上「納得しかねるものがあります」


239 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:31:40 ID:???

唐突すぎるし、765プロにとって都合が良すぎる展開なのだ。受け入れがたいという感情も生まれよう。
しかしこんな小さなプロダクションがそれだけのことをするほどの資金も影響力もあるとは思えない。
偶然の幸運と納得する他ないのだろうか。確かに大団円なのだが、少し引っかかるものがある。

音無「・・・でも、Bチームの皆にまたチャンスが生まれたんですよね。それはよかったって思います」

見上(音無さん・・・)

見上「そうですね。両チームもIAリーグに参加できる、そのことを今は素直に喜ぶべきでしょう」

高木「それはよかった!それとだね、見上くん。君を正式に社員登録したので今後ともよろしく頼むよ。こちらが社員証だ」

見上「ありがとうございます。・・・・・・・・・・・・・あの、すみません高木社長。私の視力が急激に落ちていなければ、この社員証。
私がプロデューサーということになっているのですが?」

高木「見間違いではないよ。見上くん、君は今日から765プロのプロデューサーだ」

音無「やりましたね、見上さん!・・・いえ、プロデューサーさん!」

見上「悪乗りしないでください、音無さん。高木社長、私は監督ということで雇われているはずです。これでは話が違いますよ」


240 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:32:56 ID:???

高木「そう怒らず聞いてくれたまえ。IAリーグで監督を務められるのは、プロデューサーか事務員、もしくは社長と決まっているのだよ。
我が社では現在事務員を採用していなくてね・・・便宜上、プロデューサーとして見上辰夫を採用したというわけだよ」

見上「むぅ・・・わかりました。あくまで業務が監督ということであるならば構いません」

なんだか乗せられているような気がしなくもないが・・・名前以上の事をしなければ大丈夫なはずだ。
私にプロデュースをする気は全くない。名目上だけならば問題はない。ないはずだ。

音無(やった!やりましたよ社長!ふふふ、名前だけだと思ったら大間違いですからね!)

高木(うむ・・・まさかこうも上手くいくとはね。頼むぞ見上くん。君の手でトップアイドルをプロデュースしてくれたまえ!)



To be continued・・・・・・?


241 :なん雑212:2012/04/07(土) 21:47:18 ID:???

前スレ781から始めさせていただいた、見上とモバマスの外伝の導入部(予定)はここまでです。
予定より長くスレを乗っ取ってしまい、これから始めようとしている方には迷惑をかけてしまったかもしれません、すみません。


独立に関してなのですが私自身はやるつもりであったりします。コメントが特にないのはちょっと不安なのですが。
もし独立にご賛成いただけるようでしたら私が未だ考え付かない作品タイトルを添えていただけるとありがたいです。
外伝スレでは、ここまでで。独立した場合は独立スレでもよろしくお願いします。

参加者の方々、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。
色々ミスがあったり、行間が詰まってたりと、そんな中もご参加いただき感謝しています。

242 :森崎名無しさん:2012/04/07(土) 22:02:34 ID:???
乙でしたー

タイトル案はありきたりだけど

プロデューサー見上
イレブンマスター
とか?

独立スレも楽しみにしてます


243 :森崎名無しさん:2012/04/07(土) 22:25:21 ID:???


見上プロデュース
見上がシンデレラガールズをプロデュースするようです
見上の野望 シンデレラの系譜

独立応援するよ〜

244 :森崎名無しさん:2012/04/07(土) 22:27:04 ID:???
タイトル案
アイドルサッカー

モバマスのキャラはあまり知らないから期待してます

245 :森崎名無しさん:2012/04/07(土) 22:36:49 ID:???
アイドルマスターがメインなわけだから、「アイドル」は入れたいところだね

246 :森崎名無しさん:2012/04/07(土) 22:38:38 ID:???
タイ案

見上さんっ!モバマスですよ、モバマス!!

247 :森崎名無しさん:2012/04/07(土) 22:46:04 ID:???
IDOLS@CCER
って提案しよう思ったけどサッカーってSOCCERだったと気がついたw

248 :森崎名無しさん:2012/04/08(日) 00:38:08 ID:???
>>247
なら、もじって…
【三上P】IDOL C@LCIO【始動】
とか?

響、真もいいけど………
三上Pにデレるミキミキが見たかとです………!

249 :森崎名無しさん:2012/04/08(日) 01:46:20 ID:???
見上プロデュース

……これだとふかわりょうポジションが必要になっちゃう?

250 :森崎名無しさん:2012/04/08(日) 08:45:31 ID:???
>>249
アシスタントと結婚するフラグだな

251 :なん雑212:2012/04/08(日) 15:51:47 ID:???
独立致しました。温かい言葉の数々、本当にありがとうございます。タイトルは248さんのものを使用させていただきました。
ただ見上が三上となっていましたのでその点は修正させていただきました。ご了承ください。

>>242さん 楽しみにしてくださりありがとうございます。精一杯頑張っていこうと思います。

>>243さん 応援していただきありがとうございます。独立してもよろしくお願いします。

>>244さん モバマスの子たちも可愛い子たちなのでこの機会に知っていただけると嬉しいです。

>>245さん そうですね。元ネタがわかるようなタイトルを選択したつもりです。主人公が見上とわかりにくくなったかもですが。

>>246さん タイトル案ご応募ありがとうございます。

>>247さん FOOTB@LLならまだ・・・語呂がよろしくないですねw

>>248さん その展開は・・・あります。あくまで選択次第ではありますけれども。

>>249さん やはり内Pネタは鉄板なのかー

>>250さん 小鳥さんエンドだと・・・いいですね!


以後はこちらで進行します。これからもお願いいたします
【見上P】IDOL C@LCIO【始動】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1333867441/l50


252 :森崎名無しさん:2012/04/22(日) 19:57:11 ID:Xy9HajhM
もしよろしければ、来週から私が新しい話を投稿してもよろしいでしょうか。

バグゲーム動画などを投稿しているヒテッマン氏が
ウイニングイレブン5ファイナルエヴォリューションにて制作した、架空の日本代表チーム
「きれぼしJAPAN」を相手に、全日本ユースが激闘する物語を考えております。
(ワールドユース大会終了1週間後)

ヒテッマン・きれぼしJAPANなどについては以下の案内・動画を参照してください。

ヒテッマン:http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%83%92%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%9E%E3%83%B3
きれぼしJAPAN:http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%8D%E3%82%8C%E3%81%BC%E3%81%97japan
ヒテッマン動画総合 Wiki:http://wikiwiki.jp/kireboshi/?FrontPage
キャプテン翼 普通プレイ:http://www.nicovideo.jp/watch/sm14138694


253 :森崎名無しさん:2012/04/22(日) 20:03:35 ID:???
GOサインここにおいときますね

|
| ミサッ

254 :森崎名無しさん:2012/04/22(日) 20:34:04 ID:???
その動画製作者の人ともめないようにしてくれよ

255 :森崎名無しさん:2012/04/22(日) 23:32:44 ID:Xy9HajhM
>>254
し、しまった!
ヒテッマン氏に肝心の3次創作投稿の許可をいただくのを忘れていました。
これから大至急うかがってまいります。

256 :森崎名無しさん:2012/04/28(土) 09:41:21 ID:awFvYDFE
全日本ユースVSきれぼしJAPANの投稿を行うと先日宣言したものです。
ヒテッマン氏に投稿を許可してほしいという旨のメールを送信しましたが、
未だ連絡つかず意思がつかめていないので、誠に申し訳ありませんが
投稿は延期したいと思います。

とりあえずもう一度同じ旨のメールを送り、それで反応がなかった場合は、
氏が黙認したという事で来週日曜日から今度こそ投稿を行いたいと思います。
もしその日曜日までに、氏から投稿はならんという内容のメールが来た場合には
私の投稿は正式に取りやめます。

ただ既に投稿の意思があり私のせいでそれができなかったという方がいらっしゃれば、
私の投稿は後日にして、遠慮せずに投稿をなさってくれてかまいません。

257 :森崎名無しさん:2012/04/28(土) 21:29:39 ID:???
いや、無反応=黙認と捕らえるのはダメでしょ

258 :森崎名無しさん:2012/04/29(日) 23:28:43 ID:u+mhxEyc
>>257
確かにその通りですね……
話を書きたい書きたいと思うばかりに無茶な事を言ってしまいました。
相手から返事が来るまで気長に待つ事にします。

以上の理由により、告知していた投稿は予定通り行えなくなりました。
ご迷惑をかけてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
有志の方は私に構わず、どんどん作品を投稿してください。


259 :森崎名無しさん:2012/05/29(火) 23:38:58 ID:???
気を落とさないでね乙です

260 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 12:04:49 ID:???
気が向いたので、超短編の小説の投稿をして行きます。
小説ですのでカードなどの選択は用意できない事を、あらかじめ注意してください。
この話は9割9分妄想からなっていますので、気楽に読み流してください。




261 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 12:14:25 ID:???
『大空翼・岬太郎誕生秘話』

甲月甲日。秘密裏に進められていた人造人間がもうすぐ完成する。
文武両道を極め、人間性も聖人のごとく完璧な仕上がりになる。
この完璧を具現化したかのような人造人間の名前はまだ未定だが、
今は仮に翼太郎としておこう。

甲月乙日。翼太郎の両親が完成する。父親はデルフトのフェルメールに
匹敵するほどの腕を持つ画家、母親はパーマがかった、優しく気立ての
よい女性だ。きっとよい両親となり、翼太郎を立派な人間としてくれるだろう。


262 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 12:31:28 ID:???

甲月丙日。なんという事だ、翼太郎を誤って生体分離実験にかけてしまい、
翼太郎が2人に分かれてしまった。しかもただ2人に分かれたわけではなく、
容姿が少しづつ異なる。一方はどちらかと言えば丸顔、
もう一方ははっきりとわかる細面の顔だ。区別のため、しばらくは丸顔の方を
「翼」、細面の方を「太郎」と呼ぶ事にする。

甲月某日。翼の父親と太郎の母親を急遽生成しなければならないことになった。
困った事に、人間の生成はかなりの時間がかかる。2人の目覚めまでには
とても間に合いそうにないから、父親は船乗りで外国に出かけている、
母親は太郎の父親と離婚したということにして、生成時間を稼ごう。
…もうすぐ翼と太郎が目覚める。どんな人間となるのか楽しみだ。

乙月甲日。なんという悪日だ。太郎が入っていたガラスケースが割られ
太郎がどこかへ逃げ去ってしまった。調査の結果、
ガラスは内側から割られていたこと、防犯カメラに怪しい人物がまったく
見つけられなかったところをみると、太郎自身の意思で脱出したらしい。
私達は太郎の父親に一郎と名づけ、息子の後を追わせた。




263 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 12:46:16 ID:???

乙月乙日。数日遅れで翼が目覚めた。可愛らしくそしてはつらつとした
瞳を持つ子供だ。将来きっと多くの人達から愛され信頼される姿が
自然に目に浮かび、開発者の私は自分の実の息子のように愛おしく思えた。
だが私にはそうした対応は許されていない。あくまで赤の他人のごとく
この子と向き合わなくてはならない。

「あな、たは…?」
「翼くんのサポートをするために呼ばれてきたんだよ。
私のことは単に博士と呼んでくれればいい」
「……つばさ……?」
「ああごめん、君の名前は翼っていうんだ。夢や理想をかなえるために
どんな障壁も乗り越えられる強い子になってほしいと願って、みんなで名づけたんだ」

264 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 12:59:09 ID:???

乙月丙日。翼は母親との面会を果たした。母は子を愛し子は母になつき、
2人とも実の人間の親子のように過ごしている。このようすなら今外に
出されても、親子としては何の問題も無いだろう。
…私の方はきわめて危ない状況だ。咳に混じる血の割合が増え、衰弱が
甚だしい。はたして翼達が無事外に出れるようになるまで生きていられるだろうか。

乙月丁日。翼の様子から様々な事が分かってきた。運動能力やその才能に
ついては、半分以上保持しているようであるが、それ以外の才能、勉強や
気配りなどの人間関係の能力・才能は8割がた、逃げた太郎の方が持っていったらしい。
特に対人関係については、天衣無縫というか良い意味で傍若無人というか、
言動に人の目、他人がどう思うかといった配慮をしていない形跡が多々見られた。
少々心配ではあるが、致命的な問題にはならなさそうだ。



265 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/04(月) 13:00:31 ID:???
今日はここまで。こちらの都合上これからも12時台に書き込みます。
是非この駄文の感想をいただければ幸いです。

266 :森崎名無しさん:2012/06/04(月) 20:03:04 ID:???
どういう方向に転ぶかさっぱり予想できませんが、続きが楽しみです。

267 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/05(火) 12:55:25 ID:???

乙月某日。翼の優れた運動能力を測定する過程で、サッカーおよびサッカーボールに
一番強い関心を示した。話し合いの結果、今後の運動面強化はサッカーに特化する
ことにした。翼の才能ならば将来はプロ選手、それも世界一流のトップ選手になる可能性が
あるとのことだ。

丙月甲日。私は翼に連絡を行うため、彼のいるカプセルへ出向いた。就寝時間が近いため、
翼は既にカプセルの中で横になっている。
「博士、どうしたの?もうすっかり遅い時間だよ」
「ごめんなさい、あなたのことで伝えなくてはいけないことがあったから」
「何のこと?」
「あなたの苗字についてのこと。苗字っていうのは名前とは別に自分と他人を区別する
ための呼び名で、名前より先につけるのよ。…翼くんの苗字が決まったから、伝えに来たの」
「ぼくの苗字…何でいうの?」
私はここで一旦姿勢を直し、視線を翼と同じ高さにして話を再開した。
「少し難しくなるけど、話を聞いてくれる?」
「うん、博士と話すとなんだか嬉しいから、いいよ」
「ありがとう。…仏教では全ての現象、出来事を空(くう)と呼び表わすの。
空は空気のように全ての世界に満ちた無限の象徴ともされている。その空のような、
無限の可能性、無限の能力を大いに発揮してほしいという願いをこめて、大空(だいくう)、
訓読みで大空(おおぞら)としたの。あなたの苗字は大空、あなたは大空翼よ」
「おおぞら、つばさ…僕は大空翼……」
「そうよ。…もうすっかり就寝時間を過ぎちゃったから、私はこれで失礼するわ」
「そっか。…あの」
「ん、何?」
「あ、いや何でもないんだ。それじゃあ博士おやすみ」
「おやすみ」
翼に手を振って別れ、しばらく廊下を歩いていると、急に猛烈な吐き気と頭痛が襲ってきた。
そしてゲッと多くの血を吐いてガタンと廊下で倒れてしまった。

268 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/05(火) 12:59:00 ID:???
今日はここまで。書いていると何だか翼くんが愛おしく思えてくる……

>>266
私としては藤子F先生のSF(すこしふしぎな話)
みたいな話にしていきたいです。

269 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/06(水) 12:10:51 ID:???

丙月乙日。私が意識を取り戻した時、私の体は研究所内の病室ベッド内で横になっていた。
医者の話によると、何日もの間意識が途絶えていて一度は匙を投げかけたほどの重体に
なっており、現在も衰弱甚だしく、絶対安静が必要であると告げられた。
…しかしながら、私が取り組んでいるプロジェクトは私が主体となって行っていることであり、
私抜きでは要領を得ない部分が多々存在しており、ただ一人休んでいることは許されていない。
結局、人事不省中にとどこおった実験の指示や分析結果の解釈等について、ベッドにて研究員への
指図に忙殺されることになってしまった。

丙月丙日。脱走していた太郎が遂に発見される。この研究所から何百キロも離れたところで
発見されたという。発見場所がここから離れ過ぎており、また、ここにいる翼に万が一悪影響を与えることを
考慮して、太郎は私達が管轄する別の研究所に預けられることになった。


270 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/06(水) 12:36:22 ID:???

丙月丁日。いつものように研究員が私のところに幾つか助言を得にやってきた。
それに応じてアドバイスをした後、その研究員が「これは私の管轄外ですが」と前置きして、私に尋ねた。
「翼くんのことで気になることがありまして」
「翼くん?何か問題でも起こしたの」
「いえそういう訳では…ただ最近、私達研究員や職員に、あなたはどこにいるかと尋ねられているんです。
なんでもあなたに聞きたいことがあると言っています。何を聞きたいか、私達が聞こうかと言っても
耳を貸さず、あなたへの場所が教えられないと知るやそのまま去ってしまうのです。」
「そう……近いうちに私が翼くんの所へ出掛けて、何が知りたいのか尋ねてみるわ」
研究員が去った後、私は病室の電気を落として横になった。ふっと息をついて瞼を閉じた瞬間、
涙が両眼からあふれ出た。
研究員が訪れる前、医師から「どれほど長く見積もっても、余命はあと数カ月」と告げられていた。
何年も前から病弱ゆえに何度も死に瀕してきたから、死ぬこと自体は怖くない。
人生最後の研究成果となるこの人造人間開発も、全てのノウハウや注意点は既に明記していて、私が
死んだとしても大過なく進めることが出来るようになった。
なのに何故か、翼くんの顔が瞼に浮かぶたびに、目頭が熱くなるのをどうすることもできない。
…生きているうちに必ずもう一度、翼くんの所に行って思うところ考えていることを告げなくては。

271 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/06(水) 12:59:01 ID:???
今日はここまで。この時点で物語の半ばを迎えたといったところでしょうか。

いつ書けるようになるかは分かりませんが、この物語が終わった後で別の物語を
色々と妄想しています。(この物語とのつながりはありません)
翼が1歳の時の交通事故で死んでしまい、奈津子夫人が悲しみのあまりボールを
翼だと思い込むようになった話とか、この話の岬太郎視点での話とか、
キャプ森の岬くんが小中学生時代にどういった活躍をするかについての話です。
キャプ森ファン、そしてここの岬くんファンとして、今後も精進していきたいです。



272 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/07(木) 12:28:08 ID:???

丙月某日。体調が一時的に良くなってきたため、とりあえず通常の勤務体制に戻り、
翼くんの所へ出向いた。
「あっ、博士!」私の姿を見つけると翼は目を輝かせて駆け寄ってきた。
「どこに行ってたの?他の人に聞いても答えてくれなくて」
「私はちょっと具合が悪くて休んでいたのよ、翼くんを心配させるといけないから
黙っていたけど、ごめんなさい」
急な不在を詫びた後、私は話の接穂を断って翼が尋ねたかったことを聞き出そうとした。
しかし翼はもじもじとしたまま、なかなか話しだそうとはしない。
「何か私に聞きたいことがあるみたいだけど」思い切って私の方から問いかけてみると、
翼はなおももじもじしていたが、やがてぼそりとつぶやき始めた。
「博士ならきっと答えてくれると思ったんだ。他の人はなんとなく不気味だし、お母さんは
一緒にいると楽しいし落ち着くけど、僕の知りたいことには答えられそうに
ないから。…でもまだ口にする勇気がないから、先に博士の方から何か話して」
「へえ……じゃあこっちから翼くんの将来についての見通しについて、決まったことを
先に話すわ。君は人間でいう12歳ぐらいの体つきになっていて、外に出る時は小学校6年生から
はじまるの。1か月ぐらいたった後で外に出るけど、その時はここにいた記憶は消去されて、
その後で『11歳までの記憶』を新しく植え付ける。予定では11歳までは引越しを繰り返していた
ということにして、受け入れ先の人達に疑念を起こさせないようにするつもりよ」
「博士や母さんのことも忘れちゃうの?そんなの、いやだ」
「大丈夫、母さんの方は、あなたに対する愛情は消えはしないから」
「でも……」
「はい、これで話は終わり。私ばかりに話をさせないで、そろそろ翼くんも答えなさい」
翼はわずかに顔をうつむいたが、少しして顔を私に向け、問うた。
「なんのために、僕はこうして生まれてきたの?」

273 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/07(木) 12:52:10 ID:???
今日はここまで。私の都合により土日は書き込みができませんので、この物語の完結は
来週へずれこむことになりそうです。

それにしても小説を書くのは難しい。早く精進して2さんやアナカンさんみたいな
本格的なサッカー物語が書けるようになりたいです。


274 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/08(金) 12:12:52 ID:???

翼自身の存在意義という根源的な難題を尋ねられて、私は一瞬たじろいだが、
すぐに冷静を取り戻した。翼が異常な生い立ちを意識せざるを得ない生活を
送らされている以上、いくら子供とはいえいつかはこうした問いかけをされる
ことは予想できていたし、問いかけられた時の答えも、研究所及びその上位の指令機関の共通認識として、
既に用意されていた。
「翼くんの名前の意義、まだ覚えてる?『どんな障壁も乗り越えられる強い子になってほしい』
って名づけたけど、そうして活躍していく様子が他の人にとって希望や理想、目標に
なってほしいと思って、あなたが生まれたのよ。…今の社会は生まれた時の環境や経済・人間的環境、
本人の遺伝子や運といったさまざまな影響が深く絡み合って、何かに向かって努力することが
できなくなってしまったり、そういうことを夢にも考えられなくなってしまった人が大勢生まれてしまった。
でもそういう人達でも、優れた人のそばにいる、一緒に生きていく、あるいはその人の活躍を見聞きしていくことで
自らを諦めずにもう一度頑張ろうとするきっかけになるの。翼くんのお陰で立ち上がれた、立ち直れたという人達の
ために、あなたがひつようとされているのよ」
「……ううん、何だかとっても難しそうだなあ」
「そんなことはないわよ、翼くんは自分の目指すことについて一生懸命頑張っていればいいの。
それだけで大丈夫よ」
「そっか、僕が頑張るとみんなが幸せになるんだ……ありがとう、ホッとできたよ」
「そう。それじゃあ私はそろそろ失礼するわ」
「うん。じゃあね」

275 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/08(金) 12:49:29 ID:???

翼の所から去った後、研究室に戻ると研究員が2つの書類を抱えて待っていた。
1つは別の研究所にいる太郎の経過観察概観報告書、もう1つは翼の定期観察報告書である。
1つ目の書類の要旨は次の通りであった。
「太郎はこれまでに接してきたあらゆる人格・性格の人間に対し少なくとも好印象を与え、
特定の人間に対しては友情等の強い関係性をごく短期間で形成するなど、
対人関係能力において卓越した力量を保持していると断言できる。
しかしながら彼の行動原理においては徹底した利己主義がかいまみえるとの分析結果もあり、
今後のさらなる検討が急がれる。
なお、今のところ彼に対する感化は全くと言っていいほど効果が見られず、
全て本人の選択により全方面での成長がみられている」
「……色々と面白そうな状況になっているわね、後でもう一度読み返しましょう。さて、もう1つの方は……」
翼に関する書類を読み進めていく。その報告書において、私の研究において予想だにしなかった、そして否定できない
ある重大な欠陥を指摘され、私は全身をハンマーで殴られたような衝撃に襲われ、そのまま私の机に突っ伏した。
「…なんでこんなことを、もっと早く気付かなかったの!今のまま外に出したら、
翼くんに、そして彼に関わる人達に大変なことが起きてしまう……もう時間がないのに、どうすれば……」

276 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/08(金) 12:55:24 ID:???
今日はここまで。…投稿は12時に限ると言っておきながらこういうことを
書き入れるのは無駄だとようやく気付きましたので、これからは
この終了報告は省略いたします。

いつの日か本編が漫画化されますように。

277 :森崎名無しさん:2012/06/08(金) 20:56:30 ID:???
乙乙です

278 :森崎名無しさん:2012/06/08(金) 23:01:59 ID:???
乙です、ドキワクしつつ毎日見ています。
来週も更新待ってますぜ。

279 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/11(月) 12:57:50 ID:???

丁月甲日。ついに翼を外の世界に送り出す日がやってきた。翼が抱える
根本的な問題についてとうとう解決できぬまま、である。このまま外へ出すのは
不本意極まりないが、研究期間延長と研究費増額が認可されず、今年度でこの
研究の打ち切りとなってしまった。いや、たとえそれらが認められたとしても…

「はっ、博士っ!大丈夫っ!?」私の姿を見た翼は驚き、慌てて私のもとへ駆けつけた。
翼が狼狽したのも無理はない。私の顔は青白く痩せこけてきており、両脇に杖を
はさんで歩くもそれでさえ何度もつまずき転びながら向かうという有様だった。
何度目かの転倒の時に私の所へ翼が来て、私の体を起こそうと自らの腕を私の肩と腰へ抱えた。
「博士っ!」顔を震わせ目を見開きながら叫ぶ。「死なないで!外へ出た後も頑張って頑張って立派になって、
それから博士にもう一度会って自慢できるようになりたかったのに、お願い、死なないでよ…」
翼は泣き出し、それから私の胸にとりついてひたすら号泣した。
「…ごめん、なさい……」悲しみを露わにした翼に直面し、絶え絶えになっている息をついで、つぶやく。
「私の、力が足りない、ばかりに、今の状態のままで、出さないといけなくなってしまった……
きちんとした状態で外に出すには、能力と時間が、足りなさ過ぎた……」
絶望のため息をこぼし私もまぶたが瞳が潤みそうになった時、泣き続けていた翼が面を上げ、
なおも泣き続けながら語りかけた。
「博士まで泣かないでよ…僕が悪いんだよ、僕がきちんとしてないから、僕の頭がそんなに頑張らないから、
僕が優しくないからで、博士は悪くないよ……だから泣かないで、だから死なないで……」


280 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/12(火) 12:34:05 ID:???

「……なぜ……」いつのまにか翼を抱き締めていながら、尋ねた。
「なぜ、そんなに、私のことで悲しんでくれているの?私は翼くんのデータを取るために、
様々な実験に立ち会って、顔を合わせていただけ。際立って多く話をした訳でもない、
一緒にいた時間も、お母さんはおろか他の人と比べても多くはないのに……」
「……分かんない……」相変わらず閉じる瞼から涙をこぼしながら、翼は答える。
「どうしてか、博士の声を聞くと、胸から『なつかしさ』が出てくるんだ。目覚める前に
一緒にいたような気がするんだ」
「以前に一緒にいた…」思い当たることがあった。まだ翼が意識を覚醒させ起き上がる前は、
私がこの研究の第一人者であることから、眠る翼の前で反応を測定したりその結果をまとめていた。
その時の発していたつぶやきが翼の耳を通じて脳に届いていたのだろう。その頃の私は一生の成果を
具現化する機会と対象を得て、心血を注いで長年の夢の結晶を磨いていたのだ。
(話の内容は覚えてなくとも、意思が相手の心の中で漂っている…)そこまで思いを巡らせた時、
ふっと私の心に希望の光が差し込んだ。まだ私が、翼くんのためにできることがある、と。
「もう泣かないで、翼くんのために話したいことがあるから、落ち着いてくれないと何もできないわ」
ハンカチを取り出して翼の頬を拭き、乱れた髪を撫でて整えながら、決心した。
(意思が残るならば意志も残るはず、この子の歩む道をきちんと話して、せめて覚悟だけでも
残してみよう)

281 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/26(火) 12:44:00 ID:???
半月にも及ぶ突然の失踪、誠に申し訳ありませんでした。
私が使用しているパソコンが突然壊れてしまい、その間は他人のパソコンを借りていましたが
こうした私用に使えるわけでもないので、しばらくの間投稿を自粛していた次第です。
なお、こちらの都合により現在休載中の文章の続きはまだできていませんが、近日中に再び
再開いたします。また、こちらの都合により、投稿時間帯は午後6時から午後11時の間にも
行える事となりました。

>>277さん、>>278さん、返信が遅れましたが、駄文を読んでいただき有難うございます。
あなたがたの期待を心の支えにして、物語を書き進めて生きたいです。

282 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/27(水) 12:50:12 ID:???

翼はカプセルの中へと腰を下ろした。私は翼に肩を抱えられながら、数時間後に
行われる記憶除去・操作用カプセルへとたどりついていた。カプセルの周囲には膨大な
コンピュータの壁がひしめいており、それらから大量のコード類がカプセルへと
つながっている。
「…無限は大昔から現在まで多くの賢人に立ちふさがる、高い壁であり続けている。
翼くん、アキレスと亀の話は知ってる?」
「アキレス?どこかで聞いたような気がするけど、たしか昔のギリシャの人で、
とても足が速かったんだっけ」
「まあだいたいその通りよ。そのアキレスと亀がかけっこをするんだけど、
アキレスはどうしても亀を追い抜く事ができないの。そしてどうしてそうなるか、明確な答えが出せずに
1000年以上も長くにわたって多くの学者達を苦しめる難問となったのよ」


283 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/06/27(水) 12:56:27 ID:???
今日はここまで、ブランクがあくとちっとも文章が書けない…
更新は飛び飛びになるかもしれませんが、今後も継続していきます。

>>266さん、先日の書き込みの際に書き落としてしまって申し訳ありませんでした。
一言でも書き込んでくださると、大変元気付けられて嬉しくなります。

284 :278:2012/06/27(水) 13:16:21 ID:???
ミテルヨー

285 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/07/06(金) 12:54:42 ID:???

「亀に負けたの?歩いてでも亀なんて抜けるんじゃないの」
「まあ普通の勝負とは違うんだけどね。さすがに普通の競争だと勝負にならないから、
スタート地点は亀のほうがアキレスよりゴールに近くなっているわ。
スタートして亀が歩いた1秒目には、アキレスは亀のスタート地点まで到達している。
2秒目に亀は1秒目の半分の距離を歩いて、アキレスは1秒目の亀の地点にいる。
3秒目に亀は2秒目の半分の距離を歩いて、アキレスは2秒目の亀の地点にいる。
…こんな調子で競争を続けていくのよ」
「アキレスは1秒前の亀の位置まで走って、亀はその半分の距離を進む、ってことか。
…あれ、アキレスの方が速いのに、これじゃあいつまでたってもおいつけないじゃん」
「その通り、といいたいところだけど、ハズレね。計算を無限に続けた結果がいつも
無限とは限らないから、適当なところまで走ったところで、ちゃんとアキレスは亀に追いつけるわ」
「…分かるようで分かんないや。無限って難しいんだね」
「そう。無限は難しくて、つかみ所が見えにくくて、そのくせ重要なところで立ちはだかってくる、
私達にとっての強敵よ。ブラックホールやビッグバンや素粒子…並み居る科学者達の前に突如として
無限が現れ、それまでの理論を否定させてしまう。でもその無限を解決できるようになれば、これまでと
違った新しい世界にたどりつけるようになるのよ」
「へええ、無限って難しいだけじゃなくて、凄いんだね。どうして無限ってそんなに凄いの?」
「それは無限の持つ性質が普通の数とは違うからよ。足し算引き算掛け算割り算で考えれば分かりやすいわ。
ほとんどの数はそれら計算によって自身が変化するんだけど、無限は違う。無限に何を足しても無限、
無限に何を引いても無限、何を掛けても何を割っても、答えは無限になるの。無限は相手の影響、ひいては
相手を0にしてしまうのよ」


286 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/07/27(金) 12:50:32 ID:???

ここで一旦話を切り、荒いため息を一息吐いた。衰弱した体から残り少ない生気が抜けていきそうだが、
これから話さねばならない翼くんの問題の事で、頭がいっぱいであった。呼吸を整え、
目の前の相手の目をしっかりと見据えた後、口を開いた。
「今話した無限の特徴は、翼くんにもあてはまるのよ」
「僕が?そういえば少し前に、博士が僕は「無限の象徴」だって言ってたけど」
「そう。翼くんは頑張れば頑張るほど伸びていく、限界がなくどこまでも成長していけるって、
以前話したわね。「無限の性質」を取り入れているからそういった事ができるけど、この性質は
他人との関係においては破滅的な影響をもたらしかねないのよ」
「えっ」唐突にとんでもないことを聞かされて戸惑う翼。いきなり自らに相手を滅ぼす力があると告げられて、
困惑しない人間はいないだろう。
「どういうこと?僕はみんなに悪さなんかしないよ」
「……」
「なんで黙ってるの?僕はそんなひどい人間になっちゃうの!?ねえねえねえっ!」
じっと口を重たく閉ざしたまま答えようとしない私に、翼くんが身を寄せて問いかけた。
声は切迫している。問いに恐怖の色が深まらないうちに、私は目の前の子の頭を撫で、覚悟を固めて答え始めた。


287 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/07/27(金) 12:51:48 ID:???

「翼くんが悪い人間になることはないわ。ただ、手を離せば握っていたものが落ちるように、
動物園のライオンが飼い主の人間を撫でようとして大怪我を負わせるように、本人の意思に
関わらず本人の状況によって、周りへの影響の方向を決定付けてしまう事がありうるの。
…よく聴いて」

「関心、嗜好、思想、情念、そしてそれらを含んだ一人一人の性質の具体的な量としての能力…
全ての人間はそれぞれこういったものから成る『枠』があって、その枠によってその人の人間性が
成り立っているの。この枠は自らの行動や思索によって変化させる事ができるし、
他者との交流がきっかけで変化をもたらされる事もあるわ。…この交流というところで、翼くんの持つ
『無限』が厄介になるのよ。交流というのは交互に相手に影響を及ぼすものなのだけれど、
翼くんが相手と交流を行った場合は、翼くんが相手に無限の影響を及ぼしてしまうのよ。
普通の人の枠は有限だから、翼くんの影響によって相手の人間性を全ての枠が崩壊してしまうわ」
「僕が周りの人を必ず駄目にしちゃうの!?『無限の影響』なんてものを出さないように、気をつければ…」
「翼くん、さっき言った無限の持つ性質を覚えてるかな」
「む、無限の性質というと…あっ」
「無限に何を引いても無限。例え他の人との交流で他人への影響を気遣ったとしても、結果は変わらないわ」
「……博士、枠が壊れたら、その人はどうなるの」
「一言で言えば、その人自身の持つ特有の特徴のほとんどを失ってしまうわ。残るのは無限の力を有する翼くんに
対する崇拝、依存しか残らなくなってしまうのよ」
「嘘だッ!!」翼は叫んだ。「嘘だ嘘だ嘘だッ!僕がそんなことをしてしまうなんて嘘だッ!」


288 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/07/27(金) 12:57:12 ID:???
「……私は翼くんの、実質的な生みの親なのよ。あなたの事はよく知っている」
「だって!じゃあ博士も僕に依存していたっていうの!?」
「……ある意味そうかもしれないわね。これまでの私の人生は全て科学の発展のために注いできたわ。
それらの研究活動はみなこの研究を完璧にするための準備、つまり翼くんの為に生きてきたようなものね。
……ともかく、翼くんが抱える問題を解決はできなくても、和らげるために1つアドバイスできる事があるわ。
…よく聞いて。これから見せる写真の子をよく見て覚えて、いえ、脳に刻み込むぐらい記憶を焼き付けておいて。
外へ出たらこの子とは親しく付き合っても大丈夫よ、彼は翼くんの分身、無限の悪影響を消し去ってくれる人よ」
そう言った後、私は上着の内ポケットの中から写真を取出し、翼の眼前に示した。写っている少年は翼と同じ年頃、
翼よりもやや細長い。顔は穏やかで優しげな笑顔を浮かべ、誰から見ても好感を感じられるだろう。
「博士、この子は?」
「以前に話した、もう1人の翼くんであり分身である、太郎って子よ」


289 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/08/06(月) 22:30:42 ID:???

「分身…僕が翼太郎から別れた時に生まれたもう1人の僕ってことなの」
「そう。元々同じ人間だったから、翼くんとの親和性は高いわ。そしてそれ以上に、
翼くんにとって朗報になる要素がこの太郎くんには備わっているのよ。
…この子の苗字は何だかわかるかしら」
「えっ」当然、分かるはずはない。無茶振りをされて困惑する翼を見て、ほんの少し、心が和む。
「答えは岬、この子は岬太郎よ。この苗字も翼くんと同じように、自身の特徴から命名されたものよ。
海や湖に突き出した細長い陸地を岬というけれど、見方を変えればその地面を歩いていくごとに
地面の大きさが縮んでいって、最終的にはゼロになる地形。彼は『ゼロの象徴』なのよ」

「ゼロと無限大はよく似ているわ。ゼロに何を掛けてもゼロで、無限に何を掛けても無限。
数をゼロで割ると無限になり、数を無限大で割るとゼロ。
どんな数にゼロを足してもそのままで、無限大に数を足しても無限大は変わらない。
ただしこれについてだけど、(無限を数とみなした場合は)例外があって、無限にゼロをかけた場合は
他の数と同じようにゼロになるの」
「ゼロになる…っていうことはもしかして」
「そう、翼くんの『他人に与える無限の影響力』も岬くんによってかき消されて、相手の人格の
変化を気にする必要がなくなるわけよ」


290 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/08/06(月) 22:33:48 ID:???

各部器具の最終点検を行い、作業工程の手順を念入りに確認しなおして、
とうとう最後はカプセルのボタンを押すのみとなった。このボタンを押した後は
カプセルは完全にロックされ、中から睡眠誘導ガスが噴出される。そうして翼が
眠りについている間に、記憶の調整等が行われる事になる。
「もうすぐ、なんだね」今まで研究所内で使ってきたサッカーボールを抱えながら、翼はつぶやく。
「そう、新たな世界への旅立ちよ、翼くん。嬉しそうというか、随分ワクワクした顔つきになってきたじゃない」
「うん。さっきまでは自分の生まれとか力とか、そういった事があるのに大丈夫かって不安だったけど、
これから外へ出て行って、どんな人と会えるかとか、どんな出来事がおこるかとか、そういうことを考えているうちに、
これからのことが楽しみになってきたんだ。…外に出ても、このボールを博士だと思って大事にするね」
「………ありがとう。…もっと話をしていたいけれど、もう時間ね、カプセルを閉めるわよ」
「待って博士!」ボタンを押そうとしたところで、翼がばっと急いで手を挙げた。
次いで横たわっていた上体を起こして、私に語りかけた。
「どうしたの?」
「ごめんなさい博士、ずっと自分のことばかりで、博士達のことをちっとも考えてなかった、
今絶対に言っておきたいことがあるんだ」
そう言っている翼の顔はこれまで見た事がないほど真剣な面持ちで、誓いを立てるがごとき眼差しで私を見つめていた。
「僕はこの力を、みんなの意志と希望が生かされるようにするために使います。僕のことだから何年も何十年もかかるかもしれないし、
迷って反対方向に行ってしまうこともあるだろうけど、絶対に何度でも立ち直ってみせます」
「……ありがとう、これで私も心残りなく、翼くんを見送っていけるわね」
思わぬ決意表明に感情がこみ上げ、わずかにボタンを押すまいかと戸惑ったが、既に決まっている事、
意を決して翼と永遠の別れとなるボタンを押す。カプセルは少しずつ閉まり、じっと私を見つめる翼に対し、私は最後の言葉を発した。
「さようなら………私の、かわいい息子……」


291 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/08/06(月) 22:38:56 ID:???
…以上で『大空翼・岬太郎誕生秘話』は終わりです。
まずこの話の投稿において、2回も1か月にわたって勝手に中断して
しまった事をお詫び申し上げます。また途中からうまく文章が書けなくなり、
竜頭蛇尾に終わってしまった事につきましても、大変申し訳ありませんでした。

お返事があればこの話に対する余談を書きたいと思いますが、私のせいで新規投稿が
出来なかったという人は、是非私にかまわずに投稿してください。

292 :森崎名無しさん:2012/08/07(火) 00:05:36 ID:???
いやーよかったです。岬と翼の関係・・・面白かったですよ。
最後まで書いてもらえて嬉しかったです。

293 :超短編投稿者 ◆KvvS7KSt.A :2012/08/07(火) 22:26:32 ID:???
292さん、御感想ありがとうございます。
本当はもっと無限とゼロの性質に絡めて、翼と岬の特徴と関係を書きたかった
のですが、力尽きてしまってどうにもなりませんでした。

この話を書こうと思ったのは、第一の理由としてはキャプテン翼の展開に関する
疑問に理由をつけたかったからです。なぜ話が進むたびにチーム内の翼の地位が
止めどもなく肥大化し、他の仲間は次々と背景化してしまうのか?有象無象とは
異なる翼の活力の源は何か?ワールドユース以降からはサッカーの神様と化すまでに
なった原因は単に才能とか努力とか、そういう次元のものではないような気がしていたのです。
このどうしようもない差を見て、何か宗教的ともいうべきか、サッカー以外の要素から翼の
特徴を説明するしかないのではないかと考えるようになりました。

そう考えていた時、私は『異端の数ゼロ―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念』という
本と、『The day of Σ』http://www.nicovideo.jp/watch/sm1487040という動画に出会いました。
数学的なゼロと無限の特徴とその関連性から上記した翼の特徴、そして岬の事について説明が
できるのではないかと考えました。後者の動画は人気ゲームシリーズの一つであるロックマンX1の
アニメであり、その中でのXと彼の開発者ライト博士とのやり取りから、この話のモチーフとさせて
いただきました(翼と『博士』とのやりとりはこの動画を元にしています)。翼にこれほどの力が
備わった以上、その理由づけと使命について重なるところがあると思いました。

無駄に長くなりましたが、私のお話を読んでくださり、ありがとうございました。


294 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/02(火) 15:48:39 ID:???
バグゲーム動画などを投稿していたヒテッマン氏が
ウイニングイレブン5ファイナルエヴォリューションにて制作した、架空の日本代表チーム
「きれぼしJAPAN」を相手に、全日本ユースが激闘する物語を、
明日より執筆いたしたいと思います。

なお氏は昨日バグ投稿の引退を行い、それにより関連動画の殆どは削除されている
ことについて、どうか御了承と御理解をよろしくお願いいたします。

ニコニコ大百科「きれぼしJAPAN」
http://dic.nicovideo.jp/a/%E3%81%8D%E3%82%8C%E3%81%BC%E3%81%97japan


295 :森崎名無しさん:2012/10/02(火) 20:24:11 ID:TaQRrD9s
大百科見てきたけどカオスの固まりだな
かつてのラブマリーを思い出す
新連載期待しています


296 :森崎名無しさん:2012/10/02(火) 20:25:16 ID:???
結局了承は得られたのかな

297 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/02(火) 20:55:16 ID:???
>>296
「きれぼしJAPANのSSを書きたいというコメントスルーしてすいません、全然構いませんよー」
http://twitter.com/hitemandayo/statuses/228492306456645632

298 :森崎名無しさん:2012/10/03(水) 00:44:21 ID:???
ちょっと動画見てみたかったですw すげー面白そう。

299 :きれぼしサッカー大決戦 ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 12:15:01 ID:???


「人生はなるようにしかならない。だから人は復讐を夢見るのだ」
                    ポール・ゴーギャン

300 :きれぼしサッカー大決戦 ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 12:16:52 ID:???
オランダを圧倒し、イタリアを撃破し、王者ブラジルに勝利した日本は、奇跡のワールドユース大会初優勝の栄冠を手に入れた?

 はい
 いいえ

ここから2票カウントし、一番多く票が入った選択肢で続行します。


301 :森崎名無しさん:2012/10/03(水) 12:17:58 ID:DoLo79fg
いいえ

302 :森崎名無しさん:2012/10/03(水) 12:25:13 ID:dUaGKND6
いいえ

303 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 12:29:19 ID:???
オランダを圧倒し、イタリアを撃破し、王者ブラジルに勝利した全日本は、奇跡のワールドユース大会初優勝の栄冠を手に入れた?


23人の勇者達は国内外から熱狂的な歓呼をもって迎えられ、輝かしき希望と栄光の象徴となった感さえあった。

だがしかし、誰も知らぬところで、その彼らの全てを奪わんとする企みが水面下で進展し、今まさに実行に移されようとしていた!


304 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 12:57:02 ID:???

東京都内のとある高校。この高校の特徴としては都内有数の進学校である事、
そして高校にしては分不相当に大きい「研究所」が備わっている事である。
この「研究所」、元々は科学部が学校から利用を許可されている実験室であり、
科学部自体も以前は他の高校、同じ文化部とほとんど変わらぬ規模の団体であった。

しかし、あるたった1人の天才女子高生が入部して以来、
彼女の研究の為だけに実験室は拡大・発展させられて棟の1階全体が彼女専用の「研究所」と化してしまった。
最近ではさらなる設備増設の為地下研究所が建設されており、既に幾つかの部屋は施工が完了している。



305 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:00:28 ID:???
…すみません、いきなり間違いをしてしまいました。正しくは以下の通りです。



全日本のワールドユース大会初優勝から1年前。

東京都内のとある高校。この高校の特徴としては都内有数の進学校である事、
そして高校にしては分不相当に大きい「研究所」が備わっている事である。
この「研究所」、元々は科学部が学校から利用を許可されている実験室であり、
科学部自体も以前は他の高校、同じ文化部とほとんど変わらぬ規模の団体であった。

しかし、たった1人の天才女子高生が入部して以来、
彼女の研究の為だけに実験室は拡大・発展させられて棟の1階全体が彼女専用の「研究所」と化してしまった。
最近ではさらなる設備増設の為地下研究所が建設されており、既に幾つかの部屋は施工が完了している。

306 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:06:01 ID:???

その地下研究所の一室にて。

娘「ない、ないっ」

右顔半分を髪で覆った白衣の娘が、散乱した論文の海を血眼になってかきあさっていた。

娘「たまに遅く登校したらこんな事になるなんて、実験体どもは何をしてたのよっ」

苛々と毒を吐きながら捜索を続けている娘の後ろで、ドアがそろりそろりと開き、
開いた隙間から恐る恐るといった表情で、科学部の後輩が声を発した。

後輩「あの……もうすぐ授業がはじ」

娘「分かってるわよこのじっけ…愚民!」

後輩「ひっ!」

鬼気迫る相手の威圧に見栄も体裁もなくたじろぐ後輩。
この後輩のみならず科学部に所属する数十人の男子生徒達は全く頭が上がらないでいた。

後輩「(今実験体って言おうとした?また変な薬を飲まされたりレーザーを当てられたりするのかなあ……)」

娘「授業なんかよりも、私の論文を盗んだ犯人を捕まえるための証拠捜索の方が、喫緊の事項よ!
あれがあれば世界征服なんて箸の上げ下げよりたやすくなる、それ以上の事だって簡単にできる神の発見なのよ!」

後輩「(世界征服って……この人が支配する世界になったら、どうやって生きていけばいいんだろう)」


307 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:17:59 ID:???

後輩は暗澹として俯き、恐怖した。
科学部がこの白衣の娘に支配されているのは、彼女の人を人と思わない傍若無人かつ強気な性格もあるが、
それ以上に娘が並はずれた科学知識と技術を持っている事にある。
娘の発明・開発された発明品・新技術は月単位で特許認定され、
一高校に大学か研究所かと思わせるほどの設備を特許使用料で整えてしまっている。
また、東大や京大などが彼女を迎えるために激しい条件交渉を行っていて、
その過熱ぶりがテレビで取り上げられるほどの時の人でもあった。
そんな偉業と名声を抱いた若き天才科学者に、誰も対等な口をきけるはずがなかった。

後輩「あ、あの……」

娘「なにっ!?」

後輩「はっ、はい……ほ、本当に警察に通報しなくていいんですか」

娘「あれを盗んで利用できる犯人相手なんて、どうせおまわり程度じゃどうにもならないわ。
私の頭脳と執念で、必ず私自身の手で取り戻す!
そして犯人を捕まえて、死んだ方がマシと思う程の罰を与えてやるわっ!!」

後輩「は、はいっ(あー、終わったな、犯人)」
逃げるように立ち去る後輩を見届けた後、入口へと走り周囲を確認して荒々しくドアを閉め、
そのままの勢いで両頬を両手でパンパンと叩いた。

娘「(落ち着きなさい、指紋や遺留品はもう確保した、盗まれた物も分かっている。
後は私の頭と発明品を使って、犯人を突きとめるだけよ、だから落ち着きなさい、紐緒結奈!)」


308 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:31:01 ID:???

ワールドユース大会が終了した数日後。
帰国後の様々な祝賀会も全て終わり、
日本サッカー協会に残された仕事はユースメンバーを解散させるのみとなった。
午前9時少し前、協会本館廊下。全日本ユース監督の見上と賀茂は談笑していた。
  
賀茂「見上監督、全日本ユース優勝おめでとさん」
  
見上「はは、この数日選手からもお偉方からも、会うたび会うたびそう言われる。
普段なら煙たがっていい加減にあしらうところだが、やはり」
  
賀茂「嬉しいんだろ、そうだろな、まぎれもない快挙だからな」
  
見上「ああ」
普段は謹厳で知られた見上の顔が、わずかにほころんだ。
  
賀茂「名実ともに日本サッカーの黄金時代到来だな。Jリーグもこれで設立決定したも同然、
優秀な若者がぞくぞくとサッカーを志すようになる。
俺達にとっても待遇面に日があたるだろうし、野球の影扱いされずに済む」
  
見上「まあそんな良いことばかりじゃないだろう。少なくとも色々面倒な事が今以上に増えるのは間違いない。
サッカー協会はまだまだ弱体だから、存続そのものを揺るがす大事件が起こる事さえありうる」
  
賀茂「そりゃそうだが、もう少しはしゃいでもいいんじゃないか?
俺なんか今でも大声で叫んでいきそうで苦しいぐらいだ」
  
見上「これは性分だ、仕方がない」
そう苦笑しながら2人は事務室に入り、それぞれ自分の席へ進もうとした時、封筒を持った事務員から呼び止められた。
  
事務員「見上さん、差出人は分かりませんが、見上さん宛てにこの封筒が送られました」


309 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:33:37 ID:???

見上「誰かも分からない封筒……?」
見上は事務員から封筒を受け取り、眺めまわしてみた。
表側には「全日本ユース監督 見上辰夫様」とのみ記されていて、特に変哲もない様子である。

見上「何用があって…」
賀茂「選手へのファンレターじゃないのか?監督のお前を通じて、手紙が確実に渡せるようにしようとか」
見上「馬鹿なことを言うな、とにかく開封して中身を確かめなくては」
怪訝になりながら封筒を開けると、中には一通の手紙があった。
見上「拝啓 全日本ユース監督 見上辰夫様」
賀茂「出だしはまとも、っと」
茶化した賀茂の軽口を無視して、見上は手紙の文面を読み上げた。


310 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:39:07 ID:???

「ブラジルにおいてのユース代表の御活躍を、まずお祝い申し上げます。
彼らの活躍により、長らく日の目を見なかった日本のサッカーは大いに盛んとなるのは間違いありません。
そして我らの運命も、これより隆盛となるでしょう。
見上監督へ、我々きれぼしJAPANと彼ら全日本ユースとの対戦を希望します。
我々がどのような集団であるかなどは答える必要がありませんし、
否応なく試合を受けざるを得ないあなた方には知っていても無駄と言うほかありません。
あなた方に選択の余地はありません。このサッカーでの対戦の申し出に対し拒否は勿論の事、
こちらの要求に対する一切の部分的訂正要望も、拒否の意思ありとみなして相当の制裁を行使する所存です。
最後にこの試合参加への表明方法についてですが、この手紙を受け取った翌日12時までに、
日本サッカー協会正門の2本のフラッグポールのうち、
1本は日本国旗を半分の高さまで、もう1本は頂上まで掲げる事で承諾の意思とみなします。
良き返事を得られる事を期待しております。
     敬具 きれぼしJAPAN監督より」


311 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:45:11 ID:???

見上「……以上だ」
賀茂「…脅迫状、らしいな」
見上「らしい、じゃない。れっきとした脅迫状だ」
賀茂「脅迫状、ねえ……イタズラじゃないか?きれぼしだのなんだの、訳の分からんことも言ってるし、
有名になればこんなの珍しくないだろ。まともに取り合うだけ馬鹿を見るぜ」
見上「うーむ……」



先着(順番通りじゃない書き込みは無効。本スレにコピペ前の書き込みも無効です)で
脅迫状?→ ! card
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。

ダイヤ「すぐに上層部へ連絡し、対策を取らなくては」
ハート・スペード「一応上層部には報告しておくが……」
クラブ(悪戯だろうが…何か気になる)
クラブA「放っておこう、どうせただのイタズラだ」


312 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/03(水) 13:46:42 ID:???
今日はここまで。前もって用意した文章を投稿するだけで
こんなにドキドキするようで本当に大丈夫だろうか……


313 :森崎名無しさん:2012/10/03(水) 14:02:51 ID:???
脅迫状?→  ダイヤ7

314 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/04(木) 12:18:00 ID:???

★ダイヤ「すぐに上層部へ連絡し、対策を取らなくては」★

見上は手紙を封筒の中に入れ直した。これは間違いなく本気の脅迫状である、
彼の中の勘が強く心に働いていてもたってもいられなくなり、協会会長の
ところへ向かおうとした。

賀茂「おい、本当に行くのか、ガセだったらどうすんだよ」
見上「イタズラならこの手紙をティッシュ代わりにかんで捨てるだけでいいが、
   相手が本気ならどうなるか分からん、行くべきだろう」
賀茂「そうかい、けどあの上のボンクラ達がまともに聞き入れるかねえ…」
見上「言うだけ言うさ、どのみちこれはすぐに報告しなければならない代物だ」



315 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/04(木) 12:34:03 ID:???
‐数時間後‐

会議室から退席した見上は、やるせなさをぶちまけるように大きくため息をついた後、
独り言をつぶやいた。

見上「やはり駄目だったか……」

賀茂の予想通り、会長をはじめとした役員からは信じてもらえなかった。
そのような事が起こるはずがない、そうした空気が会議所内を支配していた。
見上の熱弁により、協会内のスタッフに注意勧告が行われることとなったが、
警察への報告もする必要なしという事になった。勿論彼らの要求に対しても
なんらの反応も示さない事になった。

見上(まあ分からない事でもない、かれらの経歴の殆どは
   寒々しい日本のサッカー環境ばかり、黄金世代の熱闘も直接感じた訳ではない。
   これまでと大きく状況が変わった事に理解が追い付いていないのだろう、だが)

見上は会議室のドアを見る。

見上「何事もなければいいが…」
見上はその場を立ち去った。日本サッカーにとっては不幸な事に、彼の予感は
現実のものとなる。そして彼の予感以上の抜き差しならぬ衝撃が、
全日本ユースを襲おうとしていた。

316 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/04(木) 13:54:01 ID:???

見上が脅迫状を受け取った翌日の午後1時。
片桐宗正は他のスタッフと共に会議室へ向かっていた。
悲願のワールドユース初優勝という大成果を背景とした、今後の日本サッカーの方針について討議する事になっているが、
会議室までのスタッフとの会話は、朝に告示された脅迫状が中心となっていた。

スタッフ「いやーホント、どうなるんでしょうかねえ」
片桐「サッカー協会への負の注目が、日本も世界の強豪国と対等になったと思う事にしましょう。
ヨーロッパや南米のクラブでは脅迫への対応などいつか通った道ですし」

片桐は見上とは異なり、この脅迫騒動について楽観していた。
外国では珍しいことではないし、その大半はただのイタズラと知っていたため、
今回の事は日本サッカーが強豪であると認められたサインとさえ感じていた。

スタッフ「今回の会議もその事で当初の場所から変更になりましたね、
何でもその会議室の窓は全て防弾ガラスになっているとか」
片桐「その変更のおかげで、私達は余計に歩く事となった、迷惑な事です」

そう話しているうちに目的地の会議室へたどりついた。ドアを開けると既に他の役員達は揃っている。
会議の開始予定時刻の数分前であるので、片桐は並み居る役員達に会釈を交わした後、会議開始の口火を切った。

片桐「これより日本サッカー協会の今後取るべき方針につきまして、これより討議を行いたいと思います」
ずらりとならぶ面々の中、片桐は朗々と語り始める。
「皆さんもご存じのとおり、4日前に全日本ユースチームはワールドユース大会にて初優勝を収めました。
これまではアジア予選突破もままならなかった日本サッカー史において、奇跡という人も多いと聞いています。
しかし我々はこれを単なる奇跡のままで」終わらせるわけにはいかない、そう高らかに宣言しようとしたその時。

ガギュゥウウウウウウウウウン!!

片桐の背面で防弾ガラスが轟音を立てて砕けた後、片桐の右肩に衝撃をあたえた。
その威力の激しさで体は床に撃ちのめされ、昏倒した。


317 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/06(土) 10:32:24 ID:J//AQmW6

日本サッカー協会のビルから数百m離れた、とあるビルのテナント。
元々はある事務所が借り受けていた場所であるが、とある1人の男が
大金を投じて退去させた後は、机椅子のただ1つもない、閑散とした
空間となっている。
その空間を支配するただ1人の主は、M-16のライフルスコープを通して、
蚊のくちばしよりもか細い会議室内の標的を狙っていた。

〜回想シーン〜
???「よく来てくださいました、私が片桐総合グループ会長の片桐宗義です」
片桐総合グループ本社13階執務室。たった今ドアを開けて現れた男に対し、
日本財界の雄とも称されている老紳士は、慇懃に来訪を歓迎した。
宗義「さあどうぞこちらへ」
男「いや…ここでいい」
男はそのまま壁際へ立ったまま、葉巻を燻らせはじめた。引き締まった肉体と無意識に発せられる警戒感によって、部屋に殺気が籠ってきた。
ふっと微苦笑した老紳士は、秘書に写真を持たせて話を再開した。
宗義「分かりました。それではここから話をはじめさせていただきます」
そう告げると同時に、秘書は男のもとに行き、1枚の写真を手渡して部屋を去った。
写真にはとある競技場でサッカーの試合を観戦している、サングラスを掛けた30代ほどと思われる男性が映し出されている。
宗義「写真に映っている人があなたに狙撃を行ってほしい相手、片桐宗正です」


狙撃を終え、M-16を分解してケースに収納した後、その場から引き払った。
もう彼がここに現れる事はないであろう。
(狙撃完了……)


318 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/06(土) 10:36:12 ID:???

片桐宗正狙撃から30分後。
何者かによって狙撃された片桐をなんとか病院へ搬送した後も、協会内は
混乱が収まっていなかった。搬送と同時並行で警察へ連絡しようとするも、
何故か電話がつながらないという奇怪な事態が、事態を悪化させている。

賀茂「くそ、これもダメか!これで全棟すべての電話が使えねえなんて、
   やりやがったな」

見上(やはりあの脅迫状は本気のものだったか…一体何を考えていんだ?
   ここまでのことをしておきながら、金でも利権でもなく試合の要求
   だと…駄目だ、分からん!)

唯一見上はこうした事態をある程度予感していたため、動揺は比較的少なかった。
とはいえ相手の意図が皆目つかめないことからくる焦りを止められる程、
落ち着けている訳ではなかった。

賀茂「ええい、これから俺がひとっ走りして警察に伝えるっきゃないか!」

焦れた賀茂が外へと駆け出して行こうとしていた時。

プルルルル、プルルルル。

つながらないはずの電話が鳴り響いた。なり始めた瞬間は戸惑いを見せたが、
しばらくして見上は、引き寄せられるように自らの受話器を手に取った。


319 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/06(土) 10:45:58 ID:???

???「もしもし・・・・わかったか?」

見上「わかったか……?……っ!」不敵な口調を聞き、すぐに相手の意図を察し、緊張が電流のように体中を走った。

賀茂「お、おい見上、こいつもしや」

???「その様子だと、もう察しがついたみたいですね。理解が早いと話が早くて助かります。
  御想像の通り、私は先日全日本ユースに試合を申し込んだ、きれぼしJAPANの代表監督です」
  
ここまで聞いて見上は賀茂に強い視線を送った。「今のうちに警察へ連絡してくれ」というアイコンタクトであったが、
それを見透かしたように相手から殺し文句が放たれた。
???「わかっているとは思いますが、警察には通報しない方がよろしいですよ。
  明日の新聞の見出しを『全日本ユースメンバー全員射殺!』にしたいのならば、構わないのですが」
見上「!……くっ!」

全員抹殺。そんな超強硬手段をも辞さない強烈な意図をたたきつけられ、見上の心中は憤怒と共に恐怖まで湧きあがってきた。
幸か不幸か2つの感情は伯仲していたため、結果的に冷静となった見上は手を振り賀茂の動きを止めた後で、口を開いた。



320 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/06(土) 11:01:00 ID:???

見上「……要求は……」

???「手紙にも伝えたように、我らがきれぼしJAPANとあなた方の全日本ユースとで試合をさせていただきたい。勿論サッカーでね。
そして、私達が勝った場合は、きれぼしJAPANメンバー全員を現全日本ユースメンバーと入れ替えてもらいましょう」

見上「な、なんだと……」

???「試合日は今日からちょうど3日後の午後2時、スタジアムは既にこちらが確保していますので、当日午前9時の電話で伝えます。
  試合開始までにあなた達はこの試合の事をマスコミに向けて大きく流してください。
  ただし名目は国籍フリーの混合ユースチームとの親善試合とでも言い繕うようにしておきなさい。」
見上の返事を気にする様子もなく、淡々と話し続ける。

???「この試合のルールについてですが、両チームともに交代人数は6人までとしていただきたいですね。
  それ以外は一般の試合ルールに何ら異存はありません。手紙でも伝えました通り、あなたがたに選択の余地はありません。
断わった場合は躊躇なくユースメンバー全員を殺害します。では」
  
見上「ま、待て、お前達はいったい誰だ!」

???「こちらの事など別にどうでもいいじゃありませんか。すぐに終わる事ですから」
ピッ。

321 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/06(土) 11:07:23 ID:???

「何だよ、何て言ってきやがったんだ!」

見上が受話器に電話を置いた瞬間、傍らにいた賀茂が堰を切ったように問い詰めた。電話の内容を見上は簡単に話す。

賀茂「なんて居丈高な奴らだ!有名になってから突然呼びかけて試合をしろ、勝って栄光の座は俺達がいただく、だと!
   ふん、世界一のユースメンバー相手にかなうものか!」

見上「いや、信じたくはないが……おそらくは強敵だ」

賀茂「なぜだ、お前はあいつらの事を知っているのか?」

見上「いや何も知らない。ただかれらは全日本の力を知っていてあんな挑戦状を叩きつけてきた。
   そして狙撃の実行にしろスタジアムの確保にしろ、並々ならぬ事では行えない事を行ってきた以上、
   相手側に相当の自信があるのは間違いない。ともかく、このことを上に報告しなくては」


322 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/06(土) 11:09:38 ID:???
大味な展開ですが、今日はここまで。
なお、3連休中はこちらに用事がありますので、最悪の場合全く
更新できない事も考えられます。いきなりの遅筆ですみません。

323 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/10(水) 00:32:36 ID:???
なかなか書けなくてすみません。文章の推敲をしているうちに
自身がなくなりかけてきて、投稿することができませんでした。
ただ、ペースは遅いですが、何とか少しずつでも投稿し続ける
つもりです。

324 :森崎名無しさん:2012/10/11(木) 23:21:36 ID:???
慣れるまでは大変でしょうが頑張ってください!


325 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/12(金) 23:10:29 ID:???

午前11時、東京都新宿区国立霞ヶ丘陸上競技場。
6万人以上を収容する日本有数の競技場のフィールドに、全日本ユース23人全員が準備体操を行っていた。
この前日まで彼らは連日、破天荒の偉業を成し遂げた英雄として大いに賞賛の嵐を浴び続けていた。
だが、もし誰かがこの風景を盗み見たとしても、誰もそう思わないほどに彼らの表情は張り詰めていた。

〜回想シーン・競技場内控室〜

見上「よし…みんなきけ、これからミーティングを始める…前に、皆に詫びる事がある」
居並ぶ全日本ユースの前で、いつになく口ごもりさらにはお詫びまで口に出そうとする監督の発言に、
メンバーは色めきだったが、続く発言によりその感情は爆発する事となった。

見上「事の内容による悪影響を恐れて、今の今まで箝口令を強いていたのだが…
   今度の試合はお前達が占めている栄光を賭けての試合だ。
   具体的には、お前達が負けると全日本ユースとしての資格が剥奪され、その座は相手が得る事となる」

全日本メンバー『な…なにィイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!?』



326 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/12(金) 23:12:19 ID:???

唐突な爆弾発言で場に激震が走る。そして次々に憤激した。

葵「な、何で今まで一言も言わなかったんですか!」
早田「誰だそんな事を言ってる奴らは!」
政夫「ジャパンカップでもアジア予選でも出てこなかったくせに!」
和夫「今になって何ふざけたこと言いやがって!」

ある者は相手の非礼と傲慢に激怒し、またある者はこれほどの重大事を告げずにいた監督を非難し、収拾がつかなくなりかけてきた。

ゴホン!

部屋に響くほどの咳音が監督から発せられ、虚を突かれて一瞬場が静まる。その時を逃さず、さらに話が続いた。

見上「お前達にこの試合を拒む権利はない。数日前の犯人との交渉の際、試合を行わなければお前たち全員を射殺すると犯人自体が宣言した」

全日本メンバー「ええええええええええっ!」「しゃ、射殺っ!!?」「そ、そんな……」

見上「静かにしろ!ともかく今日の午後3時に彼らとの試合を行う事になっている。相手についてなのだが……」

先着(順番通りじゃない書き込みは無効。本スレにコピペ前の書き込みも無効です)で
★きれぼしJAPANの情報→ ! card★
と書き込んで下さい。マークで分岐します。!とcardの間のスペースは埋めてください。
ダイヤ・ハート・スペード:「スウェーデンユースとの練習試合のビデオが送られてきた」
クラブ:「分からん、さっぱり分からん」
JOKER:「おまえたちに かちめはない」


327 :森崎名無しさん:2012/10/12(金) 23:14:51 ID:???
★きれぼしJAPANの情報→  ハート4

日向、ヒューガーSPに素早く連絡する活躍

328 :森崎名無しさん:2012/10/12(金) 23:39:01 ID:???
JOKER引いてたらどうなっていたんだよw

329 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/13(土) 00:35:35 ID:???
今日はここまで。次回はいよいよ(ビデオだけど)
きれぼしJAPANの初お目見えができるだろうか?

>>326
フランス戦のような工作は、少なくとも現時点では
できません。なにしろ今の今この状況を知ったばかりですから、
とりあえずは情報収集に専念するでしょう。 

>>327
あまりにも頼りない監督と抹殺への恐怖のため、萎縮ペナルティが発動するところでした。
そして試合が終わった後は、ロベルトみたいに見上監督が選手全員から無視されるという
羽目になるところでしたw


330 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/13(土) 00:36:43 ID:???
すみません、>>326>>327>>327>>328の誤りでした。

331 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/15(月) 00:23:56 ID:???
★きれぼしJAPANの情報→  ハート4 ★

「スウェーデンユースとの練習試合のビデオが送られてきた」
----------------------------------------------------------------------------

見上「実力をしかと見届けよという事だろう、ワールドユース大会直前での、
   編集なしの試合映像が記録されている。彼らについての実力を測る唯一の目安だ」

そう言った後、左脇の机に置かれたビデオテープを手に掲げ、机のさらに
左脇にあるテレビに向かって歩き出した。開口部にビデオを差し込み、放映の準備を
行っている間、誰からという訳でもなく雑談が始まった。

高杉「スウェーデンって強いのか?」
井沢「たしかオランダと予選が同じ組だって聞いたけど」
滝「オランダに負けて予選落ちしたところだよな…」
来生「俺達はそのオランダを3-0で圧勝したんだろ、大した相手じゃな」
若林「違うな」

ワールドユース予選での戦歴から、「スウェーデンは弱い」となりかけていた論調を、
来生の話の接ぎ穂を断ち切る形で若林が否定した。断言とも言ってよいその語調の自信から、
周囲の視線は引き付けられるように若林へ集まる。


332 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/15(月) 00:32:27 ID:???
若林「スウェーデンはオランダ以外の予選対戦国に対し、常に2点差以上をつけて勝利した。
   オランダ戦では2-1の接戦、しかも後半ロスタイム直前まで同点で競り合っていたんだ。
   初戦時の俺達や西ドイツユースと比べて互角以上の実力を持っていたと見ていい……そうだな、井出」

井出「そ、そうなんだな!スウェーデンは本来ならワールドユース本戦、
   いやベスト4ぐらいまで食い込みえる程の強豪国なんだな」

見上「そのとおり、スウェーデンがオランダを破って、
   準々決勝でお前達とわたり合ってもおかしくはなかった相手だ。この選手を見るといい」

スウェーデンの解説に割って出る形で、監督は選手の視線をビデオに集め、
手に持つリモコンで一時停止させ再生したビデオを止めた。
画面には、右腕にキャプテンマークを付けたスウェーデンの青年が映し出されていた。

見上「この右目が髪で隠されている金髪の選手が、スウェーデンユースのキャプテンであるステファン・レヴィンだ。
   レヴィンは他のスウェーデン選手より頭1つ飛びぬけた実力者で、
   ドリブル、タックル、パスカット等々、お前達と互角にわたりあえる。
   だが彼が注目されている最大の要因は、相手の破壊を目的として編み出した、通称『レヴィンシュート』だ」



333 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/15(月) 00:33:49 ID:???
石崎「破壊って、またなんつーヤバそうな…」
赤井「(なんでだ?なんだか急に寒気が……)」
松山「(こういうネーミングもいいかも)」

見上「レヴィンシュートは発射時に強烈、いや猛烈と言っていいほどの回転をボールにかけて、
   相手にダメージを与えるために放たれるシュートだ。
   若林、お前はドイツでそのシュートを何度も目にしてきただろう」

若林「はい、プロに入るまでにも何回かあったが、
   あいつがシュートを放つたびに比喩でなしにフィールダーが血まみれで吹き飛ばされた。
   俺もプロ入りするぐらいまでは何度も、止めきれずに病院送りにされたんだ」

森崎「(チェッ、レヴィンめどうせなら引退に追い込んでくれよ)」

見上「相手の破壊をも辞さないその凶悪なプレーで国内外から轟々と非難されてはいるが、
   ともかく彼が主体となる事でスウェーデンはドイツ、イタリア、オランダと
   互角またはそれ以上に戦える戦力を整えていたのだ。その事を念頭に置いて試合を観察するように」

話を終えてボタンを押し、再び画面が動き始めた。スウェーデンの選手はセンターラインに集合し始め、
それに伴って画面も移動を始めたとき、相手の姿が現れた。


334 :きれぼしサッカー大決戦(仮) ◆fM2NOXdVR. :2012/10/15(月) 00:38:06 ID:???
今日はここまで。次回こそ本当にきれぼしJAPANが現れます。

遅くなりましたが、324さんありがとうございます。10月1日にヒテッマン氏が
引退したことを受け急遽執筆を開始したものですから、なかなか書けないところに
励ましを下さり、勇気づけられました。

335 :森崎名無しさん:2012/10/15(月) 23:19:52 ID:???
ヒテッマンリスペクトがここにもw
桃太郎伝説は腹筋崩壊したなあw

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