キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【混迷からの】Another-CU_3【脱出】

36 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/05/12(土) 23:57:52 ID:???

>>35 了解しますた。 では…
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ミュラーのロングフィードを、一旦はディノ・シルベストリがインターセプト。
しかし直後に彼を取り囲んだ三杉と新田がボールを奪い返す展開に…
フロレンティア・ヴィオラのロングカウンターは成功の予兆を感じさせていた。

三杉「…………」 チラリ

ボールを奪った三杉はカウンターを成功させる為、咄嗟に最後の一手を頭の中ではじき出そうとした。
立ち上がるよりも早くそれを精査し終えると、続いて傍に位置している新田の体勢を顧みる。
すると三杉の仕掛けが極端に速かった故か、新田は直ぐにでも走り出せる状態にあった。

三杉(ならば…) パシイィィ…

新田「わっと!?」 ダッ

言葉も無く、三杉は斜め前方へと転がってゆくパスを蹴り出す。
倒れたままの三杉が出したこのボール…新田は少々驚き気味の声をあげ、慌てて追い縋った。
結果として受け手をスペースへ走らせるパスの形になり、スピードが命の新田を活かす形となる…
ここまでは三杉の想定した通りに事が運んだ。

37 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/05/12(土) 23:59:32 ID:???

三杉(チームメイトの資質を引き出し、攻撃のリズムを作り出す…ここまでは良し。
    だがパスというプレイが持つポテンシャルはそんな所で終わらない。
    パスはコミュニケーション……パスは言葉……パスはチームの意思を繋ぐネットワークである筈だ。)

急加速で走り出した背中を見つめながら三杉自身も立ち上がる。
そんな三杉の心を見透かした両の眼がスタンドに一対だけ存在した。

フィッツウォルタ(パスが言葉になる事はボク達(ローマ)との試合の中で知った筈だね…。
          けれどもキミは未だ、レジスタとしてファルコーニの背中を拝している。
          それが何故か気付く事が出来なければ、レジスタとして先は期待出来ない。)

三杉(何が足りていないのか…今にも理解りそうで理解らない。
    もうすぐそこまで浮かび上がっている気がすると言うのに…!) ダッ

別枠で思考を保ちつつ、ゴール演出の為にフリーランをし始める三杉。
彼のパスは確かに新田をサイドへと走らせ、敵DFの迎撃を半無力化させていた。
残る守備はCB3人のみ、しかもブンナークがクロスへ合わせられる位置に居る。
そんな状態で、CBがゴール前の中央を離れられる道理はない…
新田に対しては中央への再切り込みを警戒するか、センタリングミスを期待するしかなかったのだ。

38 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/05/13(日) 00:01:13 ID:???

新田(何となく成り行きで切り込む事になったけど… 積極的に敵がチェックして来る気配がない?)

フィッツウォルタ(ボクにはキミ(ミスギ)の様に、味方の特性を活かせる程に自在性のあるパスを出せない。
          けれど…ボクにもキミとは違った能力があると自負しているんだ。
          それはコーチが目に留め、キミのソレ以上と評価してくれた才能だ…。)

新田(それならこっちには幾らでもやり様がある…!!)

フィッツウォルタ(もしもキミとボクが一緒のチームだったら…。 フフ、有り得ない。
          さてどうする、シュン・ニッタ? キミ達がやらなければならない事だよ。)

タブリス・フィッツウォルタはこの時まで新田の事を注目していなかった…それは確かな事実である。
決して新田の実力を侮っていた訳ではなく、十分な才能と成長力を知った上で注目していなかったのだ。
何故ならば新田と同じタイプとして、マルク・イスラスという先駆者の存在が在ったからである。

新田の才はイスラスに劣る物ではないとフィッツウォルタは視ていたが…
それでも実力で上回る事はないだろうと確信を抱いていた。
何故ならば新田はイスラスに体格で圧倒的に劣るからである。

39 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/05/13(日) 00:02:17 ID:???

だが…そのような新田への印象が大きく変化するようなシーンがここで顕在化する。
それは誰も予想し得なかった、観る者全ての思惑を裏切るシーンであった。
ファルコーニも、バンビーノも、フィッツウォルタも…
そして意志を司る筈であった三杉でさえも見通す事が出来なかったのである。



                 トクン



新田(何だ…?)

『幾らでもやり様がある…』この言葉が頭に浮かんだ瞬間、新田は不思議な感覚に包みこまれた。
視線で敵の動きを見渡しても違和感がある…まるでフィールドの時間が自分だけに流れているかのように。



                 ドクン



鼓動の音がやけにハッキリと聞こえた。
身体は動き胸が高まる……そしてゴールへと繋がる絵(ヴィジョン)が次々と頭に浮かんでくる。

40 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/05/13(日) 00:08:37 ID:???

新田(いける…!?) ダッ

アントニオ「チイッ!!」
ダニエラ「もしかしてこいつ、クロスを上げる気ないじゃん!?」

三杉(ニッタ…)

フィッツウォルタ(ボールに込められた意思、か……残念だね。)

内側へと舵を切った新田の挙動に『センタリングの気配なし』と周囲は判断した。
俄かに彼の前へと立ち塞がりに動くDF、そして警戒のシグナルを鳴らすGKアントニオ。

ビッ!

ダニエラ「どーゆー事じゃん!?」

三杉「!」 トッ

チャーリー「おっとぉっ!? そのまま行くかと思われた新田くん、ここで一旦三杉くんへボールを戻す!」

新田(………) ザッ

41 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2012/05/13(日) 00:09:46 ID:???

ここで突然の意外なリターン。 当然これを予想していなかった三杉の頭上に!≠ェ浮かぶ。
そして内側へと切れ込んで来た筈の新田であったが、ここで再びサイドへと角度を変えて走り出す。
そう、走り出しながらチラリと三杉に向けてアイコンタクトを投げた。

新田(ここです!)

三杉(!?) バシュッ

チャーリー「なんとさらに三杉くんがミラン守備の間隙を縫う絶妙なパス!!!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアア

三杉(―――なんだ!? 今のは……)

美技と称するに相応しい三杉のパスに観客から興奮の歓声が上がる。
しかしそのスルーパスを放った筈の三杉は呆気にとられた顔をしていた。

三杉(僕の意志じゃない…!)

ダァッ!!!

呆然とボール、そして新田の行く末へと釘づけとなった三杉の横を…
猛然と一人の選手が駆け抜けて行った。

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