キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】

271 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/14(火) 01:51:05 ID:yygd7N7A
******

あとはどうにかして判定を乗り越えるだけ……といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

272 :◆W1prVEUMOs :2012/08/14(火) 10:55:50 ID:???
戦争で一番重要なのは兵数かな
プレイヤー側で兵数を増やすことは出来ないのかなあ

273 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/14(火) 11:56:41 ID:???
>>272
勿論、戦争のたびに兵数が減っていく一方ではゲームになりませんので
定期的に補充されることにはなっておりますが、そうですね。
プレイヤー側からのアプローチということであれば、訓練時コマンドで
その方向も考えてみますね。
訓練回数のバランスとの兼ね合いもありますので、どういった形とするかは
これから調整させていただきます。

274 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/14(火) 11:58:52 ID:???
うーん、所詮は雇われ兵士だし、難しいんじゃないかな。結局のところ「金がなければ兵士は雇えない」ので。
リアルに即して考えれば「国と予算交渉をする」「傭兵隊内部で資金繰りをする」とかはあるが…。
あと味方全体を増やすという意味ではそれこそ政治の世界の話になって、森崎にはちょっと荷が重いかな。

275 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/14(火) 12:04:06 ID:???
>>274
はい、ですので、おそらく「ゲームとしての最重要パラメータ」である
『評価値』との引き換えという部分が落としどころかなと考えております。
イメージとしては戦功による発言力で上と交渉する、といったところでしょうか。

勿論まだ構想段階のシステムですので、異論ご意見、お待ちしております。

276 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/14(火) 12:09:43 ID:???
非常に現実的ですし、ゲーム的にも面白いと思います。これが導入されると
「稼いだ戦功で兵数をガリガリ増やして突撃して犠牲の代わりに大活躍、
 損耗率からの即死判定はCPEPぶち込んで全力回避して生き残り、
 そうした増やした戦功でまた部隊を強化し……な【血を吐きながら続けるマラソン】」
ができるわけで。そういうルートを通るかどうかは置いておいて、
英雄を目指すなら面白いのではないかと(一将功成りて万骨枯る…)。

277 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/08/14(火) 19:33:57 ID:???
左上に移動

相手の退路をふさぐ位置に動く

278 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/14(火) 20:23:36 ID:???
左下に移動

確実に射程に捉えるにはこの位置に移動する必要があるので。
接近の危険はありますが、それならそれでヤング隊の負担が減りますし。

兵数増員も面白そうですね。
シンプルにCP1で○人増員なんてのもありかと。
増員限界を定めればゲームバランスも保てますし。

279 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/14(火) 20:55:46 ID:???
その場で待機
敵がヤング隊に突撃して来るのであれば移動する必要ないかなと思います。

280 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/14(火) 20:58:55 ID:???
兵数増員も良いですが戦場で生き残った傭兵達が精鋭になっていくってのも面白いかなと思います。

281 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 18:18:22 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>270の選択については……

>>278 ◆9OlIjdgJmY様の案を採用させていただきます!
そうですね、このターンで万一森崎隊が攻撃できないと詰みますので、左もしくは左下で正解だと思います。
CP3を進呈いたします。

またシステム案、ありがとうございます。
CPでの増員については少しお手軽に強化できすぎてしまうので、そうですね、仰る通り
「その時点での想定兵数までの補充」とするか、もしくは交換レートを上げるかですね。


>>276
ハードでピーキーな遊び方ですが、面白いですね。
ゲーム戦略の一つとしては充分にありだと思います。
やり過ぎるとゲーム期間が終わる前にギエロン星獣が襲ってくるかも知れませんがw

>>277
相手としても逃げに回ってもじり貧なので後退はしてこないですが、移動が敵からなので
全力で左上に逃げられてしまうと、いずれにせよ射程外になってしまいますね。

>>279-280
敵が地形効果の恩恵を無視して全力で南西に移動してしまうと、森崎隊が攻撃できないまま
ヤング隊が全滅の危機に陥ってしまいます。相手も必死ですね。

またシステム案、ありがとうございます。
なるほど、成長システムは楽しそうですね。
ちまちまクラスチェンジさせていくようなのはGMとしても大好物です。
現在の戦争システムにどう入れ込むかが問題ですが、良い案がありましたら是非!

282 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 18:19:24 ID:???
***

・左下に移動


「敵さんは虫の息……この局面、俺たちに射掛けられるのが何より怖いはずだ!
 野郎ども、絶対に逃がすなよ!」

応、の声は少ない。
丸三日を戦い通した男たちは疲弊の極地にあった。
特に初陣、いくさを知らず、付け焼刃でない専門の訓練を受けたというわけでもないごろつきどもは
どんよりと曇った、どこか焦点の合っていない目で遠くを見つめている有様だった。

(限界……か。だが、さすがにもう日をまたぐことはねえ。……どちらが勝つにせよ、だ)

ずるずると足を引きずるようにして動き出す傭兵たちを見やりながら、森崎はそんな確信を抱くのだった。


***


・移動処理

敵1……南西、南西へ移動。会敵!

自軍2……南西へ移動。射程内に敵影!
自軍1……動きませんでした。

味方1……南東、東へ移動。会敵!


***

283 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 18:20:24 ID:???
***


「―――巫山戯るなよ、ヤング・マジョラム……!」

ぎり、と噛み締めた唇から鮮血が垂れ落ちる。
怒髪天を衝く勢いで馬を駆るのはセイル・ネクセラリア。
ヴァルファバラハリアン第三大隊の将である。

「いくさを、俺たちのいくさを穢すかよ……野に下り、誇りを忘れたか、ハンガリアの狼が!」

いよいよ勝負をつける時であると臨んだ眼前、その覚悟をあざ笑うように転進したヤングの姿が
その瞼の裏に焼き付いて離れない。
将として、その意味は分かる。
東に位置する弓兵で、こちらを限界まで削ろうというのだ。
だがそれは、

「俺たちの決着など、いくさの勝ち負けの前に価値がないとでもいうか……!
 その思い上がり、正してやろう……ヤング、貴様の首でな!!」

イリハ会戦、最後の猛攻が始まる。


***

284 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 18:21:27 ID:???
***

◎戦闘処理

敵1 vs 自軍1


敵1 第三大隊1
 馬 94/200、練度50、士気30(疾風のネクセラリア)
の突撃!

[兵種25+練度5]*[兵数比1.34]*[地形0.9]+[ 1 ]=

285 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 18:23:20 ID:mjNDdThI
敵1 第三大隊1
 馬 94/200、練度50、士気30(疾風のネクセラリア)
の突撃!

[兵種25+練度5]*[兵数比1.34]*[地形0.9]+[1]=37.18
兵数与ダメージ37、士気与ダメージ7



自軍1 傭兵大隊1
 馬 70/150、練度30、士気36(ヤング・マジョラム)
の突撃!

[兵種25+練度3]+[! dice]=

※! と dice の間のスペースを消して判定して下さい。

286 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/17(金) 18:44:51 ID:???
[兵種25+練度3]+[ 6 ]=

287 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 19:03:28 ID:???
***

自軍1 傭兵大隊1
 馬 70/150、練度30、士気36(ヤング・マジョラム)
の突撃!

[兵種25+練度3]+[6]=
兵数与ダメージ34、士気与ダメージ6

結果:

敵1 第三大隊1
 馬 60/200、練度50、士気24(疾風のネクセラリア)

自軍1 傭兵大隊1
 馬 33/150、練度30、士気29(ヤング・マジョラム) *死亡判定発生!


***

288 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 19:05:14 ID:mjNDdThI
***


*死亡判定


対象(ドルファン傭兵隊1 トニーニョ)
損耗率 78%、目標値【48】 → ! numnum


※! と numnum の間のスペースを消して判定して下さい。
 目標値以上で判定回避。

※※目標値未満が出た場合は、イベントが発生します。
 このイベントはスキル『トニーニョへの加護・A』の発動に優先します。


***

※システムメッセージ※
この判定における【数値加算】は期間を通常より延長し、
「最初の判定が行われてから2時間以内」といたします。

289 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/08/17(金) 19:23:23 ID:???
対象(ドルファン傭兵隊1 トニーニョ)
損耗率 78%、目標値【48】 →  91

290 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 22:30:14 ID:mjNDdThI
***


*死亡判定


対象(ドルファン傭兵隊長 ヤング・マジョラム)
損耗率 78%、目標値【28】 → ! numnum


※! と numnum の間のスペースを消して判定して下さい。
 目標値以上で判定回避。

※※目標値未満が出た場合はイベントが発生します。


***
※システムメッセージ※
この判定における【数値加算】は期間を通常より延長し、
「最初の判定が行われてから2時間以内」といたします。

291 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/17(金) 22:31:21 ID:???
損耗率 78%、目標値【28】 →  58

292 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 22:46:14 ID:???
***


「ヤング! ヤング、ヤング! 出て来い……!」

欧州最強の一角の名にし負う、それは槍捌きである。
大きく刀身の反った片刃の、東洋圏の刀に近いその穂先が閃くたびに血飛沫が飛び、
骸がどう、と地に落ちる。
見開かれた目に宿るのは憤怒の一色である。
文字通り鬼気迫るその真紅の人馬の前に、敵はない。

しかし、その頭上に降り注ぐものがある。
森崎隊の放った、矢の雨であった。


***

293 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 22:47:14 ID:???
皆さん、素晴らしい引きですね!
この感じで最後までお願いいたします!

***

◎戦闘処理

自軍2 vs 敵1



自軍2 傭兵大隊2
 弓114/150、練度0、士気43(森崎有三) 
の射撃!

[兵種20+練度0]*[兵数比1.9]+[! dice]=


※! と dice の間のスペースを消して判定して下さい。

294 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/17(金) 22:53:02 ID:???
[兵種20+練度0]*[兵数比1.9]+[ 1 ]=

295 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/17(金) 22:55:30 ID:???
ヤング隊の兵の減りが凄いな。

296 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 23:44:55 ID:???
>>295
今回の射撃で五分以上に戻しましたね。
次が部隊戦闘としてはラストです!

***


自軍2 傭兵大隊2
 弓114/150、練度0、士気43(森崎有三) 
の射撃!

[兵種20+練度0]*[兵数比1.9]+[1]=39
兵数与ダメージ39、士気与ダメージ7



敵1 第三大隊1
 馬 60/200、練度50、士気24(疾風のネクセラリア)
は反撃できない!



結果:

自軍2 傭兵大隊2
 弓114/150、練度0、士気43(森崎有三) 

敵1 第三大隊1
 馬 21/200、練度50、士気17(疾風のネクセラリア)


***

297 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/17(金) 23:46:07 ID:mjNDdThI
***


「……もう、邪魔はいないぞ、セイル。さあ―――望み通り、決着をつけよう」


***


◎戦闘処理

自軍1 vs 敵1


自軍1 傭兵大隊1
 馬 33/150、練度30、士気29(ヤング・マジョラム)
の突撃!

[兵種25+練度3]*[兵数比1.57]+[! dice]=


※! と dice の間のスペースを消して判定して下さい。

298 :森崎名無しさん:2012/08/17(金) 23:46:48 ID:???
[兵種25+練度3]*[兵数比1.57]+[ 4 ]=

299 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/17(金) 23:46:55 ID:???
[兵種25+練度3]*[兵数比1.57]+[ 5 ]=

300 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 00:18:10 ID:???
自軍1 傭兵大隊1
 馬 33/150、練度30、士気29(ヤング・マジョラム)
の突撃!

[兵種25+練度3]*[兵数比1.57]+[5]=48.96
兵数与ダメージ48、士気与ダメージ9



敵1 第三大隊1
 馬 21/200、練度50、士気17(疾風のネクセラリア)
の突撃!

[兵種25+練度5]*[地形0.9]+[ 3 ]=

301 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/18(土) 00:20:23 ID:???
ぎりぎり全滅は免れた?

302 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 00:23:56 ID:???
敵1 第三大隊1
 馬 21/200、練度50、士気17(疾風のネクセラリア)
の突撃!

[兵種25+練度5]*[地形0.9]+[3]=30
兵数与ダメージ30、士気与ダメージ6


結果:

自軍1 傭兵大隊1
 馬 3/150、練度30、士気23(ヤング・マジョラム) *死亡判定発生!

敵1 第三大隊1
 馬 0/200、練度50、士気11(疾風のネクセラリア) *全滅!



***

303 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 00:25:54 ID:ab6Q1276
>>301
はい、これで戦争パートの勝利条件は達成です。
それでは最後の判定、どうぞ!

***


*死亡判定


対象(ドルファン傭兵隊1 トニーニョ)
損耗率 98%、目標値【68】 → ! numnum


※! と numnum の間のスペースを消して判定して下さい。
 目標値以上で判定回避。

※※目標値未満が出た場合は、イベントが発生します。
 このイベントはスキル『トニーニョへの加護・A』の発動に優先します。


***

304 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 00:27:13 ID:???
追記:
敵1の全滅により強制イベントが発生します。
ヤング・マジョラムへの死亡判定はキャンセルされました。

305 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/08/18(土) 00:45:54 ID:???
対象(ドルファン傭兵隊1 トニーニョ)
損耗率 98%、目標値【68】 →  84

306 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:12:53 ID:???
エクセレント! この最終ターン、神がかった引きでポイントを使わず
自軍を勝利に導いて下さった>>286,289,291,294,299,305の皆様に
それぞれCP1を進呈いたします!

***

*強制イベント (敵本隊壊滅)


「―――ヤング! ヤング・マジョラム!」

荒野を駆ける、敗軍の将がいる。
手勢のすべてを喪い、己自身も無数の手傷を負いながらしかし、追いすがる兵の悉くを斬り捨てて
ただ一騎、因縁浅からぬ男の名を呼ぶその将を、セイル・ネクセラリア。
人は彼を『疾風』と呼んだ。

「ヤング……!」

その二つ名の通りに疾風の如く戦場を駆けるネクセラリアが叫ぶ、その行く手に一人の男がいる。
その鉄鎧は返り血にまみれて赤黒い斑模様に塗り替えられ、髪は乱れ顔は泥と垢とで汚れきり、
しかし、見紛うはずもない。
求めた、敵である。

「……久しぶりだなセイル。どうした、虫の居所が悪いのか?」

迎えるヤングはしかし、口の端を上げて笑みさえを浮かべてみせる。
その余裕に、ネクセラリアが激昂の度合いを増す。

「ヤング! 貴様はどこまで俺を虚仮にする……!」

ぎり、と手綱を引き絞れば駿馬が応えて地を駆ける。
巨躯が、優美に跳ねた。

307 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:13:54 ID:???
「我こそはヴァルファバラハリアン第三大隊長、セイル・ネクセラリア!
 敵将に一騎討ちを所望する!」

叫ぶや、大槍を翳して突っ込むネクセラリア。
ヤングはそれを正面から見据え、

「応!! 我はドルファン王国陸軍、外国人傭兵大隊長ヤング・マジョラム!
 その申し出、受けようぞ!!」

大音声をもって、応えた。
腰の剣はいまだ抜き放たれてすらいない。

「いい度胸だ、ヤング!」

奔るのは茜色の弧である。
夕陽に照らされた、ネクセラリアの槍であった。
風を巻いた刃が、ヤングの騎乗する馬を捉える。
重く濡れた音と、掠れた嘶き。
槍の穂先が、馬の首筋を切り裂いたのである。
否。嘶きは、二つ。

「なにィ……!?」

驚く間もあらばこそ、鐙から足を抜き、鞍上から飛び降りるネクセラリア。
ずうん、と。倒れて足掻くのは、二頭の馬であった。
地響きを立てる愛馬を見やれば、その目に深々と短刀が突き刺さっている。
ヤングの、投擲したものであった。

308 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:15:06 ID:???
「……やってくれるな、ヤング」
「教導官暮らしで衰えていると思ったか?」
「ハンガリアの狼とまで呼ばれたお前が、ドルファンでヒヨコの世話か……見るに堪えん。
 それ以上の生き恥、晒さずに済むようにしてやろう」
「育てるのが鷹の雛なら、その名にも恥じないさ」

言ったヤングが、剣を構える。
ブロードソードとしては刃渡りや柄の長い、片刃の直剣である。
盾を持たぬ軽装は欧州一般のそれとは距離を置くものであったが、しかし下段の構えに隙はない。
迂闊に踏み込めば一刀のもとに斬り捨てんとする威圧感が、その全身に満ちていた。

「ヴァルファの『疾風』の名を耳にしたときは驚いたぞ、セイル。お前らしいとも思ったがな」
「あの下らない革命の後、俺は再びいくさに身を投じた。それだけだ。
 ……そして貴様は、ドルファンという安寧に逃げた!」

吐き棄てるようなネクセラリアの言葉に、ヤングが苦笑する。

「逃げたのはお前だろう、セイル。確かに革命の後に残ったのは下らない鞘当てと醜い利権争いさ。
 俺たちが命を懸けて得たのは結局、密告で地位を奪い賄賂で家を買うような日常だ。
 だから……お前はそれに耐えられなかった」
「……! 違う!」

ネクセラリアが、槍を振りかざして間を詰める。

「俺はクレアを護ったのだ! あいつの父親はボルキア人だった! だから!」
「腐れ豚の大佐殿がクレアを所望した、ボルキア人は革命で奴隷同然にまで落ちたからな」
「豚は言った―――支配層だったボルキア女を犯す度に革命が実感できる、とな!」
「それで斬ったか!」

309 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:16:07 ID:???
振り下ろされる穂先に退くことなく、ヤングがその縦の軌道から半身を逸らしつつ一歩。
下がれば二の槍三の槍が襲う、そのことをヤングは熟知している。
間合いが、槍から剣のそれにまで縮まった。

「斬って悪いか!」
「逃げていれば世話はない! 残されたクレアがどれほど悲しむか、考えもせずに!」

下段から斬り上げるヤングの剣を、しかしネクセラリアが石突で右へと弾く。
そのまま左の肘を支点として逆回しに回転した槍の柄が、ヤングの頭上へと迫る。
すんでのところで上体を反らしたヤングがバックステップ。
二歩を飛び退いて、しかしそこは槍の間合いである。

「ならば貴様はクレアを豚の慰み者に差し出せばよかったというのか!」
「護るということの意味を考えたのかと言っている!」
「貴様にはそれができたというのか!」

電光石火の突きを弾いて一度、踏み込もうとしたヤングの足元が薙ぎ払われる。
重心移動の瞬間を狙われ、下がるのが遅れた。
辛うじて届いた剣先が槍の軌道を僅かに変え、脛を断ち割ろうとしていた刃は
ヤングの膝下を浅く裂くに留まった。
槍の伸びきるのを感じたヤングが、鮮血を噴く足を強引に踏み出す。
右の半身を前に、跳ね上げるような片手の払い。
体重を乗せず遠心力と剣の重量だけで斬撃する、奇策であった。
しかし、浅い。
下がろうとしていたところからの踏み出しは、ほんの拳半個、遠かった。
縦に半円を描くような軌道の剣は、ネクセラリアの顔に届かず、その長い前髪を幾房か切り飛ばすだけである。
そのまま踏み込み、体を入れ替える。
交錯の刹那、柄での打撃は空振り。
互いに三歩を駆け抜けて、振り返る。

310 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:20:36 ID:???
「できたさ……今、クレアを護っているのは、俺だ」
「なにィ……!?」
「今のクレアは俺の妻だ。いつまで恋人気取りでいる」
「フン……風の噂には聞いていたが、横恋慕を実らせて満足か?
 それが貴様の言う、護るということか!」

構えは互いに正眼。
じり、と摺り足が左右に、そして前後に滑り、間合いを僅かずつ変えていく。
ヤングが右に指一本を動けば、ネクセラリアは前に小石ひとつ分。
応じてヤングは剣先を指の腹一つ上へ。ネクセラリアが、元の位置にまで下がる。
息の詰まるような、駆け引きであった。

「―――人を斬って姿を消せば、それで何もかもが解決するとでも思ったか。
 お前は何もわかっちゃいない……残された者の苦しみも、悲しみもな」

呟くような声音には、襞がある。
積み重なった時という、襞であった。

「知った風な口をきくなよ、ヤング」
「言ったろう、今の俺は教導官でな。ガキを見れば説教の一つもしたくなる」
「老いを誇るか、いくさ場で……!」

それきり、互いが口を噤んだ。

「……」
「……」

きいん、と。
周囲の音が消えていく。
一撃必殺の気構えが、互いの内側を満たし、溢れ、辺りを染め上げているかのようだった。
張り詰めた静寂が、その頂点に達した瞬間。

311 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:21:41 ID:???
「―――」

光と光が、交わった。
剣閃が華を咲かせる。
血飛沫という、魅惑の華だ。

「ぐ、ぅ……!」

華はネクセラリアの鎧の隙間、肘や、腿や、或いは腹から咲き乱れて真紅の鎧を更に赤く染め、
そして、

「……か、はっ……」

最も大輪の華は、ヤングの胸から、咲いていた。
鉄の甲冑の継ぎ目を正確に貫き通したその槍が、静かに引き抜かれる。

「……さらばだ、ヤング」

体中の傷、とりわけ腹を割いた深い裂傷からぼたぼたと鮮血を流しながら、細く長い息をついた
ネクセラリアの前、ぐらり、と傾いで。

「―――」

ヤング・マジョラムが、斃れた。


***

312 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:22:48 ID:???

「モリサキ! モリサキ、いるか!?」

その一団が駆け込んできたのは、森崎隊が次の攻撃に備えて準備を整えようとしていた頃のことである。

「どうした……って、トニーニョ!? お前、どうしてここに……!?
 それに、その傷……」

出てくるなり森崎が目を見開く。
傷ついた一団、傭兵たちの先頭に立っていたのはトニーニョである。
そこかしこに巻かれた汚れ布に滲む血は激戦を潜り抜けてきたことを示していたが、
しかし息せき切って走ってきた、その五体に深刻なダメージはないようだった。

「俺のことはいい、それより……!」

荒い呼吸の中、トニーニョが告げた、その内容に一同が絶句する。

「嘘……だろ? ヤングのおっさんが……死ん、だ……?」
「敵の軍勢はあらかた仕留めたが……敵将だけが、止められなかった」
「くっ……!」

その死に衝撃を受ける間など、ありはしなかった。
情報は瞬時に伝わり、全軍に計り知れない動揺をもたらすだろう。
てんでに潰走を始めれば、それこそ取り返しのつかない損害を被ることにもなりかねなかった。

「……わかった。残ってるのは一人だな。トニーニョ、お前はとにかく隊の連中を取りまとめて、」

言いかけた、ときである。

「―――ヤング・マジョラムの子らよ、聞け!!」

戦場に、その声が響き渡った。

313 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:23:49 ID:???
***


「―――ヤング・マジョラムの子らよ、聞け!!」

その声は朗々と響き渡り、いくさ場を駆け抜ける。

「我が名はヴァルファバラハリアン八騎将が一、『疾風』のネクセラリア!
 貴様らが将、ヤング・マジョラムは我が槍で討ち取ったり!
 誰ぞ、仇を討つ気概のある者はおらぬのか! 我はいつでも受けて立つぞ!!」

それはいくさの昂揚に任せた挑発であり、あるいは誰も名乗り出てはこまいという侮蔑であり、
そしてまた、散った勇士への手向けでもあった。

「ヤング……貴様の置き土産、見せてもらうぞ」

呟いたその口元から、つぅ、と血が垂れる。
口腔が切れているものではない。
赤黒い血は、喉の奥から溢れてくるのであった。
周囲には百を超える敵兵、救援など望むべくもなく、愛馬は傍らに事切れている。
腹の傷は臓腑を抉り、既に助からぬことは自分自身がよくわかっていた。
それでも、ネクセラリアは雛鳥の囀りを待つ。


***

314 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:25:06 ID:ab6Q1276
***


「……」

森崎は、じっとその声の主の方を見やっている。

「……モリサキ。俺は、お前に任せる」

トニーニョが、拳を握って森崎の胸鎧を叩きながら言う。
その様子に何を感じ取ったか、慌てたようにネイが口を開いた。

「お、おい。やめとけよ、モリサキ。あのヤング隊長でも勝てなかったんだぞ」
「まあね〜。隊長がこんなことになって、君までやられたら、僕らはオシマイだからね〜。
 そこんとこ、よく考えてほしいかな〜」

仲間たちの口々に言う声を、聞いているのか、いないのか。
しばしの黙考の後に開かれた、その口から出たのは―――


*選択

A「……行ってくるぜ」 一騎討ちに臨む。

B「……後退するぞ」 一騎討ちを回避する。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『8/19 12:00』です。

***

315 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/18(土) 01:26:46 ID:???
******

この後は個人戦闘、それを飛ばせば戦後処理、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

316 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/08/18(土) 05:25:10 ID:???


ここは勝負。ヤングの仇をとりたい

317 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/18(土) 07:40:25 ID:???

こういう時に一騎打ちを受けないで騎士を目指すってのは虫が良すぎる気がします。

318 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/18(土) 07:52:40 ID:???
A
「俺達は傭兵だ。一騎討ちなんて騎士道物語はそれこそ騎士様に任せておけば良い」



って思ったのだけど、森崎は騎士叙勲を目指していたのであった。
ここで撤退してしまっては、生き残っても意気消沈して傭兵隊を除隊・逃げ出す者達が出るかもしれない。
この一騎討ちが傭兵隊の今後を左右することになるはず。
厳しい戦いになるでしょうが、CPEPの注ぎ時というヤツですかねっ

319 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/18(土) 08:08:42 ID:???
A
この一騎打ちはどう考えてもチュートリアル。だから勝てる、勝てるんだ…!
その翌日、ベンチで冷たくなっている森崎が(ry

320 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/18(土) 10:31:23 ID:???

敵将にヤングとの因縁を問い、決着をつけるのが彼への手向けだと考えたから。

敵将は「ヤング・マジョラム」の「子」と叫んでいる。
ヤングを知り、ある程度の好意的感情がなければ「子」とは呼ばないのでは?
また、敵将はセオリー無視でヤング隊に突っ込み、ヤングもそれを予期していた。
これも二人の因縁を裏付ける。

といった推測を森崎もなしうるかと。

321 :◆W1prVEUMOs :2012/08/18(土) 10:59:16 ID:???
A
ネクセラリアは自分がもう助からないのを知っており
それでも雛鳥の囀りを待つのは次の世代を育てることを選んだ友人ヤングの道が正しかったことを胸に眠りたいからだと思うので
ここでは名乗り出ることが重要であり、一騎討ち自体は行われないかもしれない

322 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/08/18(土) 18:46:21 ID:???
A こいつもう死ぬから。最後に友人の大事にした教え子の闘志を見たいんでしょう。
  森崎はそれを本能的に感じ取って、あるいはヤングの仇をうちたいから、挑む。
  自分はもう死にそうなのに、最後までカッコイイ敵にトドメをさしてあげたい気持ちもあると思う。

323 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:34:04 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>314の選択については……

ここは満場一致!
Aを選択された>>316-322の全員の案を採用させていただきます!
それぞれCP3を進呈いたします。


324 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:35:50 ID:???

>>316
そうですね、きっちり仇を討って下さい!

>>317
はい、評価値の面でも、物語的な意味でも、尻尾を巻いて……という選択はありませんでしたね。
そのための休息一回多め、でもあります。

>>318
事前に休息が取れずガッツ残量が少ない場合など、「勝てない勝負」だと確信が持てるケースでは
回避した方がいいですね。
デメリットはありますが、むざむざ入院するよりはマシといえます。
(勿論、できれば避けていただきたいケースです)

ただ今回は、ヤングのイベントが「敵全滅」という有利な状況で発生しているので
かなりラクな戦闘になる……かも知れません。

>>319
ビリーに大苦戦した悪夢が……さ、さすがに大丈夫だと思いたいです!

>>320
はい、旧い因縁、すれ違った男たちの物語に終止符を打って下さいませ。
それができるのは今、森崎だけです!

>>321
死んでいった男、そして死にゆく男の願いを剣に乗せて、堂々と戦って下さい!

>>322
刃を交わすことでしか伝わらない思いを、しっかり伝えていきましょう!

325 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:37:56 ID:???
***


・「……行ってくるぜ」 一騎討ちに臨む。


「なにィ!?」
「……」
「……そうか」

周囲の者たちが、ある者は驚愕し、ある者は眉を顰める中、トニーニョは森崎の目を見つめると、
小さく頷いた。

「勝ってこい、モリサキ」

それだけが、餞別である。


***

326 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:43:58 ID:???


焼けるような土の匂いと、骸から流れ出した血の臭気とが入り混じり、
噎せ返るように濃密ないくさ場の空気を形成している。
その中心に聳え立つのは、一本の槍だ。
天を衝くが如く屹立した、片刃のグレイヴ。
その傍ら、半ば槍と一体化しているかのような静謐に身を置くのが、セイル・ネクセラリア。
真紅の鎧を血の褐色に汚しながら、揺らぐこともなく立つ益荒男である。

「……待たせたな」

そのネクセラリアの前に、男が一人、進み出た。
胸甲から腰当、脛当に至るまで泥に汚れ、無精髭に土気色の顔、そして乱れた黒髪の下には
そこだけが爛々と輝く瞳。
戦士、であった。
右手は両刃の長剣を抜き放ち、空いた左の腕には円盾を着けている。

「名を聞こう」
「―――ドルファン陸軍、外国人傭兵大隊第二分隊長、森崎有三」

応えた男が剣を翳し、続けた。

327 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:44:59 ID:???
「ヴァルファバラハリアンが将、ネクセラリア殿とお見受けする。一手、お手合わせ願いたい」
「……良かろう、ヤングの雛よ」

いつの間にか周囲の兵は数段を退き、二人の他にはただ骸が倒れ伏すのみである。
一騎討ちの行く末を見守る体であった。
それを見届けたネクセラリアが大地に突き立てた槍を抜く。
石突の土を払うと、ぶうんと風を切る音を立てて大きく一回転。

「いざ尋常に―――勝負」

腰を落として、正眼に構えた。


***

328 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:46:01 ID:???

◎個人戦闘


森崎有三
ガッツ:230
ATK:78 DEF:140 SPD:72 Ini:14

発動中パッシブスキル:
受身/個人戦闘時、DEF値を+10する。

アクティブスキル:
(名称/消費ガッツ/効果)
牽制打/10/そのターンの攻撃ダメージを70%とし、命中値を+30する。
スマッシュ/10/攻撃の最終ダメージを150%として計算する。

VS

疾風のネクセラリア
ガッツ:70
ATK:118 DEF:64 SPD:75 Ini:15

※イベントの効果により全能力値が60%ダウンしています。

***

329 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 00:48:35 ID:xxRncCaM

【ターン1】

・行動選択
攻撃、スキルの内から『8/22 18:00』までに、どれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。


******

いよいよ戦闘開始、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。

今回は更新が遅くなったため長めに時間をとっておりますが、
個人戦闘のターンごとの行動選択は基本的に1時間程度を期限として
サクサクと進めていこうかと思っております。
それではまた、次回更新にて。

330 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/22(水) 09:29:10 ID:???
スマッシュ使用します。
相手の体力も余りないく、万が一大苦戦して一か八かでスマッシュを使うより序盤で使ってみるのも面白いかなと思います。

331 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/22(水) 12:21:39 ID:???
牽制打を使用します。
これで攻撃がほぼ100%あたりますし
じわじわ削っていけば確実に勝てるガッツ差ですから。

332 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/22(水) 12:39:10 ID:???
とりあえずここは牽制打で。ダメージ具合を測ってからスマッシュ一発で仕留めたら美しいね。

333 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 18:18:08 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>329の選択については……

>>331 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
そうですね、現時点のガッツ差なら牽制打の連発で詰みが見えているという状況です。
実に冷静な戦術だと思います。
CP3を進呈いたします。


>>330
初手から一気に決めにかかるのも一つの戦術ですね。
ただ、この戦闘は対ボス戦のチュートリアルでもありますので、こういった戦闘での「仕掛け」についても
是非ご注目下さいませ。
具体的には相手のスキル使用タイミングを注視しておいていただくと、この先にも役立つかと!

>>332
残りガッツにある程度の余裕がある場合は「美しい勝ち方」に挑戦してみるのも面白いですね。
描写としても助かりますしw


334 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 18:19:11 ID:xxRncCaM
***

森崎有三
スキル使用『牽制打』:消費ガッツ10

ガッツ:230→220



・ダイスロール
★マークごとに一人づつ、! と dice、numnum の間のスペースを消して
森崎の行動ダイスを引いてください。


森崎
[イニシアチブロール ! dice]

森崎
[命中ロール ! numnum] +30

森崎
[ダメージロール ! dice + ! dice]


疾風のネクセラリア
[イニシアチブロール  4 ]
[命中ロール  74 ]
[ダメージロール  5 + 5 ]


***

335 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/08/22(水) 18:20:19 ID:???

森崎
[イニシアチブロール  2 ]



336 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/22(水) 18:36:44 ID:???

森崎
[命中ロール  10 ] +30


337 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/22(水) 18:57:00 ID:???

森崎
[ダメージロール  6 + 3 ]


338 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/22(水) 23:59:52 ID:???
***

・イニシアチブ処理
森崎 14+2
ネクセラリア 15+4 *先手!


ネクセラリア
・命中処理
75-72 +74 命中!
・ダメージ処理
118-140 +5+5 =10

森崎
・命中処理
72-75 +10+30 命中!
・ダメージ処理
78-64 +6+3 =21

スキル使用『牽制打』:消費ガッツ10
ガッツ:220→210


>>334にてガッツ消費処理を行なってしまいましたが、正しくは「ダメージ処理の後」に
スキル使用によるガッツ消費処理が発生します。申し訳ありません。


ネクセラリアの攻撃は命中! 森崎に10のダメージ!
森崎の攻撃は命中! ネクセラリアに21のダメージ!


***

339 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:01:07 ID:???

「……ッ!」

槍と剣が相対したとき、勝敗を決するのはまず第一に間合いである。
如何にしてその間を詰めるか、或いは詰めさせぬかが闘いの枢要であった。
森崎が選んだ初手は、単純である。
正眼の槍、その突きの軌道から身を逸らすように相手の左へ、左へと回り込みながら
にじり足で半歩を埋め、それを二度繰り返して一歩と為した。

「―――」

当然の如く、柄による打撃が森崎を迎え撃たんと振るわれる。
槍の恐るべきは鋭い穂先の突きばかりではない。
遠心力と梃子の原理を利用した打擲は充分に人体を破壊する威力を持つ。
円弧を描いて迫り来るその一撃を、森崎はどう捌いたか。
盾であった。
左の腕に通した円盾を、森崎は槍を受け止めるのでなく、むしろ槍の柄に叩きつけたのである。
強い衝撃が、森崎の腕に走る。
痺れるような感覚に顔を顰めながら、しかし更に間合いを詰めようとした森崎が、思わず瞠目する。

「……!?」

盾を叩きつけられた槍が一瞬、止まっていたのである。
すぐに石突を返しての第二撃、跳ね上げるような打撃が繰り出されるが、しかし、

(傷が、深いのか……)

振り上げられた槍にぬるりと垂れる鮮血を目にして、森崎が悟る。

340 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:02:13 ID:???
想定したであろう打撃位置よりも幾分か前での防御で芯をずらしたとはいえ、
円から円に動きを繋ぐのが洋の東西を問わず長柄の基本である。
自ら流れを切るような僅かな停滞など、熟練の槍遣いには考えられぬ。
考えられぬそれをもたらす程に、眼前の男、ネクセラリアの傷は深いのだった。

(なら……!)

下からの槍を半歩を退いて躱した森崎が、その後退に伴う回転を利用して繰り出したのは上段、
敵の顔面を強襲する横薙ぎの剣である。

「……っ!」

常であれば陽動にもならぬ大振り。
しかし相手の動きが案の定、遅い。
辛うじて、といった風に身を反らしたネクセラリアを、森崎の脚が襲う。
爪先に鉄板の埋め込まれたブーツが、真紅の鎧の隙間を狙って伸び、抉るように食い込んだ。

「……ぐ、ぬ……!」

思わず呻き声を上げて、ネクセラリアが後ずさる。
ずるりと抜けた、森崎のブーツの先に鮮血がへばりついた。
鎧の下は、血袋も同然の有様のようであった。


***

341 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:03:26 ID:???
森崎有三
ガッツ:210
ATK:78 DEF:140 SPD:72 Ini:14

アクティブスキル:
(名称/消費ガッツ/効果)
牽制打/10/そのターンの攻撃ダメージを70%とし、命中値を+30する。
スマッシュ/10/攻撃の最終ダメージを150%として計算する。

VS

疾風のネクセラリア
ガッツ:49
ATK:118 DEF:64 SPD:75 Ini:15

***

342 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:04:51 ID:CDkvTPFs
【ターン2】

・行動選択
攻撃、スキルの内から『8/23 0:45』までに、どれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。

***

343 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/23(木) 00:28:07 ID:???
牽制打を使います。
スマッシュ一発で倒すのもほぼ不可能なので、素直にあとニ発で。

344 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:48:37 ID:???
ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>342の選択については……

>>343 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
さすがにこの深夜に短時間区切りは厳しいものがありましたね。
その条件下でもしっかりとご回答いただきまして、誠にありがとうございます。
CP3を進呈いたします。

345 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 00:49:39 ID:???
***


1ターン目、牽制打の「攻撃ダメージを70%とする」効果が発揮されておりませんでした。
正しくは14ダメージとなりますが、プレイヤー側有利となるジャッジミスにつき
遡っての訂正はせず、このまま継続させていただきます。


森崎有三
スキル使用『牽制打』


・ダイスロール
★マークごとに一人づつ、! と dice、numnum の間のスペースを消して
森崎の行動ダイスを引いてください。


森崎
[イニシアチブロール ! dice]
森崎
[命中ロール ! numnum]
森崎
[ダメージロール ! dice + ! dice]


ネクセラリア
[イニシアチブロール  2 ]
[命中ロール  25 ]
[ダメージロール ! dice + 3 ]

***

346 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/23(木) 01:11:31 ID:???

森崎
[イニシアチブロール  5 ]
森崎
[命中ロール  78 ]
森崎
[ダメージロール  6 + 5 ]


347 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/23(木) 01:26:41 ID:???
余計なお世話かもしれませんが、ネクセラリアのを。
[ダメージロール  1 + 1 ]

348 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 01:33:37 ID:???
>>347
ありがとうございます。
何故か手元のテンプレに謎のスペースが挿入されておりました…。
334からの数時間に一体何が!?w

349 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 01:34:59 ID:???
***

・イニシアチブ処理
森崎 14+5 *先手!
ネクセラリア 15+2


森崎
・命中処理
72-75 +78+30 命中!
・ダメージ処理
(78-64 +6+5)*0.7 =16

スキル『牽制打』:消費ガッツ10
ガッツ 210→200

ネクセラリア
・命中処理
75-72 +25 空振り…
・ダメージ処理
-

森崎の攻撃は命中! ネクセラリアに16のダメージ!
ガッツ49→33
※ガッツ半減によりイベント発生!

ネクセラリアの攻撃は空振り!


350 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 01:36:16 ID:???
******

おや? ネクセラリアのようすが……といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

351 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 17:31:18 ID:???
***


胴への鋭い突きを、前に出した右足を軸に回避。
続いて払い、と見せかけた短いモーションからの二段突を、今度はバックステップで躱す森崎。
開いた距離に、三つ目の突きが来る。
風を巻き、正中線を狙って伸びてくる、それこそが森崎の待っていた攻撃である。
誘った、といっても過言ではなかった。

(……これなら!)

踏み込めば、一直線に貫かんとする槍は、森崎の脇を僅かに掠めて後ろへと逸れていく。
盾を使うことすらない、見切り。
それを可能としていたのは言うまでもなく相手、ネクセラリアの動きの鈍りであった。
時を追うごとに突きは遅く、払いは鈍重になっていく。
今や、その穂先の動きは森崎の目に完全に捉えられている。
二歩、踏み込んでの片手突き。

「……っ」

重い手応えは、剣先がネクセラリアの真紅の鎧、その胸元を抉ったものである。
刃はそのまま鎧に弾かれ、しかし森崎は体制を崩すこともなく剣を引いた。
間合いの内側ぎりぎりからの変則的な攻撃には、鎧を纏った敵を一刀に屠るだけの威力など
もとより望むべくもない。
ただ敵の構えを崩し、間合いを揺さぶり、一撃、一撃をとどめへの布石としていく。
それが狙いである。

「……賢しいぞ、小童ッ!」

352 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 17:32:22 ID:???
叫んだネクセラリアが、石突近くまで長く持った槍を大きく振るう。
遠心力による打撃、というよりは間合いを取るための薙ぎ払いであった。
落ち着いて飛び退き、その軌道から逃れた森崎に、ネクセラリアが口を開いた。

「モリサキ……だったか。攻め手が、緩いな」
「……」

対する森崎は応えない。
半身で円盾を翳し、急所を隠しつつ慎重に構えを取る。

「深手を負った相手に、勝負を急ぐことはないと、そう踏んだか」
「……」

じり、と摺り足が、ほんの足の爪半分ほどの間を詰める。

「成る程、いい判断だ。剣筋も悪くない。ヤングの見込んだだけのことは、ある。
 ……だが、大事なことを、教わっていなかったようだ」

そこまでを言ったネクセラリアが、ふと言葉を切って息をつく。
汗が、その精悍な頬を伝って顎から垂れた。
流れる内に血を掬い、薄く赤を帯びた汗だ。

「今からそれを、教えてやる。―――獣は手負いが、最も恐ろしいということを、な」

ぎり、と。
槍を構えたネクセラリアの手が、鳴った。

「学んで、死ね」


***

353 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 17:35:30 ID:???
***


ネクセラリア
イベントスキル発動『ボルキアニ』
種別:パッシブ
効果:ATK値を以下の二通りの内、高い方に設定する。
・+20
・相手のDEF+10


***

354 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 17:36:45 ID:CDkvTPFs
***


森崎有三
ガッツ:200
ATK:78 DEF:140 SPD:72 Ini:14

アクティブスキル:
(名称/消費ガッツ/効果)
牽制打/10/そのターンの攻撃ダメージを70%とし、命中値を+30する。
スマッシュ/10/攻撃の最終ダメージを150%として計算する。

VS

疾風のネクセラリア
ガッツ:33
ATK:150※ DEF:64 SPD:75 Ini:15

※スキル『ボルキアニ』の効果で森崎のDEF値+10となっています。


***

【ターン3】

・行動選択
攻撃、スキルの内から『8/23 19:00』までに、どれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。

***

355 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/23(木) 17:51:46 ID:???
一撃必殺の範囲には入ってきたし、ここでスマッシュで。

356 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/23(木) 18:24:22 ID:???
スマッシュを使用します。
そろそろ決着をつけたいですね。

357 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/23(木) 18:57:57 ID:???
スマッシュを使用します。
ダイスで8くらいなら、加算込みで出せるかなと。

358 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 19:07:48 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>354の選択については……

>>355 傍観者  ◆YtAW.M29KM様の回答を採用させていただきます!

一撃必殺を狙うには(14+『8』)*1.5ということで、ダメージロールで8以上。
かなり有利な勝負ですが、前提はまず命中させることですね。
CP3を進呈いたします。

また同様にスマッシュ利用を提案いただいた>>356 さら ◆KYCgbi9lq様、
>>357 ◆9OlIjdgJmY様にも次点としてCP1を進呈いたします。


>>356
そうですね。逆に仕留めきれないと、また何かが起こるかも…?

>>357
ポイントによるバックアップを計算に入れるなら、ほぼ確実に勝負を決することができるでしょう。
華麗に決めて下さいませ!


359 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 19:09:28 ID:CDkvTPFs
森崎有三
スキル使用『スマッシュ』


・ダイスロール
★マークごとに一人づつ、! と dice、numnum の間のスペースを消して
森崎の行動ダイスを引いてください。


森崎
[イニシアチブロール ! dice]

森崎
[命中ロール ! numnum]

森崎
[ダメージロール ! dice + ! dice]


疾風のネクセラリア
[イニシアチブロール  5 ]
[命中ロール  66 ]
[ダメージロール  2 + 3 ]


***

360 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/23(木) 19:19:43 ID:???
森崎
[イニシアチブロール  1 ]

361 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/23(木) 19:35:23 ID:???

森崎
[命中ロール  09 ]

362 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/23(木) 19:37:20 ID:???

森崎
[ダメージロール  3 + 5 ]


363 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/23(木) 19:39:18 ID:???
命中には数値いくら足りない?

364 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 19:41:25 ID:???
>>363
72-75+9=6 ですので、
あと25(ポイント使用*5)の上昇で命中になりますね。

365 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/23(木) 19:43:53 ID:???
あえて加算しないのもありかと。
次当てればいい話ですし。

366 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/23(木) 19:51:54 ID:???
【数値加算】CP15を使って命中の数値を25上げます。
次のターンまで行くと相手が何か仕掛けて来そうに見えるので勝負つけたいと思います。

367 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/23(木) 19:51:59 ID:???
今回は加算見送っても大丈夫なようでしたら次に全てを賭ける方向で良いでしょうか?

>>358によると長引くと何かが起こってしまいそうですが

368 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/23(木) 19:56:32 ID:???
おっと、それでは【代理消費】します。
CP3EP10で数値加算25中15分を担当します。
これでささら ◆KYCgbi9lqIの消費はCP6でよいでしょうか。

369 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/23(木) 19:59:33 ID:???
っと、代理消費の場合はあくまで消費したCPを肩代わりするのみで
CPをEPで代用は出来ませんでしょうか?

370 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 20:06:20 ID:???
>>369
はい、CPによる消費はCPでのみ代理可能となっています。

371 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/23(木) 20:15:14 ID:???
それでは>>368の【代理消費】を訂正しまして
>>366からCP9肩代わりさせて頂きます。

372 :◆W1prVEUMOs :2012/08/23(木) 20:19:37 ID:???
CPはなるべく温存した方がいいと思うので
【数値加算】EP25するので
>>366を取り下げてもらえませんか

こういうのはありですか?

373 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/23(木) 20:23:40 ID:???
わかりました。GMさんが良ければ取下げます。そしてEP10を【代理消費】します。

374 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 20:30:05 ID:???
>>372
難しいところですが、当事者間の合意であると確認できるようであれば、
ルール外の特例としてその都度判断いたします。
今回は>>373にて、さら ◆KYCgbi9lqI様の同意が確認されましたので
ご提案を承認させていただきます。

ただしケースによっては他プレイヤーのポイント利用方法についての介入ともなり得ますし、
また事実上のCP⇔EPの交換にも利用できてしまうので、あまり乱用はなさらないように
お願い申し上げます。

375 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/23(木) 20:34:15 ID:???
>>372からEP5【代理消費】します。

すみません、命中ロール引いた私の判断が鈍かったのもありますね。

376 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 20:37:21 ID:???
今回の裁定結果を整理いたします。

>>361に対する【数値加算】は、現時点で>>372 ◆W1prVEUMOs様のEP25消費による
25点の加算が行われています。
またそれに対し>>373 さら ◆KYCgbi9lqI様がEP10、>>375 源氏 ◆rLDAH8Hy8Y様がEP5を
それぞれ【代理消費】されています。

GMの判断遅延もあり複雑な処理となってしまいましたが、皆様におかれましては
ご容赦、またご理解いただきますようお願い申し上げます。
それでは処理を再開いたします。

377 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 20:39:08 ID:???
***

・イニシアチブ処理
森崎 14+1
ネクセラリア 15+5 先手!


ネクセラリア
・命中処理
75-72 +66 命中!
・ダメージ処理
150-140 +2+3 =15


森崎
・命中処理
72-75 +9 +25 命中!
・ダメージ処理
(78-64 +3+5)*スマッシュ1.5 =33

スキル『スマッシュ』
消費ガッツ:10
残りガッツ 185→175

ネクセラリアの攻撃は命中、森崎に15のダメージ!
森崎の攻撃は命中、ネクセラリアに33のダメージ!

森崎の勝利!

***

378 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/23(木) 20:45:03 ID:???
******

終わってみれば完全勝利、といったところで一旦ここまでとさせていただきます。
後ほど、勝利の描写から再開いたします。

戦後処理では評価値が現時点で得られる最高値に近くなりそうな予感……!

379 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/23(木) 20:58:34 ID:???
乙です!
>>372からEP5【代理消費】します。

380 :◆W1prVEUMOs :2012/08/23(木) 21:38:01 ID:???
>>374
乱用しないように心がけます

>>373>>375>>379
代理消費ありがとうございます


381 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:42:14 ID:???
***


神速、と。
たとえばその槍捌きを見る者があれば、そう呼んだかもしれなかった。

「……ッ!?」

先程までならば見切って躱せたはずの突きが、今は森崎の胸甲を掠めて抉る。
盾に当てて容易く弾けたはずの薙ぎが、当てた腕ごと圧し折らんとする勢いで森崎を吹き飛ばす。

「―――アァァッ!!」

裂帛の気合が、ネクセラリアの喉から溢れて轟いた。
その咆哮に合わせるように、槍の速度が更に一段、上がる。
身を捩った先に蛇のような動きで襲い来る槍の柄を辛うじて剣の鍔で止めた森崎が、
次の刹那、怖ろしいまでの寒気を感じて大地に身を投じるように屈んだ。
ほとんど本能、脊椎反射による動きである。
それが、森崎の命を救った。
一瞬前まで森崎の首があった場所を、茜色の光が薙ぎ払う。
夕陽を反射する、槍の穂先であった。

382 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:43:17 ID:???
「ちィ……ッ!」

低い姿勢のまま、森崎が剣を横に振るう。
ネクセラリアの膝を狙った一閃は、しかし虚しく空を切る。
代わりに降ったのは、骨を砕くような突き降ろしである。
たまらず転がった森崎の脇を石突が抉り、大地を穿った。
二撃、三撃、必死に転がる森崎が、ついに槍の間合いを抜ける。

「……!」

回転の勢いのまま飛び起きた森崎が闇雲に翳した剣に、重い衝撃。
案の定、追撃が繰り出されていたのだった。
しかし今度は先ほどよりも間合いが遠い。
一度止めた突きが、払いに繋げられる距離ではなかった。
槍が、一旦引かれる。

「……それが本気、かよ」

ぜぇ、と乱れた呼吸の向こう、腹の奥から競り上がるようなものを無理矢理に飲み込んで、
森崎が声を出す。
見た目は、無傷。
泥にまみれ、鎧は傷つき、体に開く風穴と隣り合わせの、無傷であった。
そんな森崎に、

「……く、くく」

思わず、といった風にネクセラリアが漏らしたのは笑い声である。

383 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:44:18 ID:???
「クク……ハハ、ハハハハ!」
「何が……おかしい」

憮然と言う森崎の前、構えた槍の穂先は一寸たりとも動かさずに哄笑してみせたネクセラリアが、

「楽しい、楽しいな……!」
「なにィ!?」

目を剥いた森崎の前で、続ける。

「ここまで、ここまでやれるか、ヤングの育てた戦士は!
 ならば俺も応えよう! 疾風と称された、この槍の冴えを以て!」

そう言い放つや、ネクセラリアの表情が変わる。
形は、笑みのまま。しかしその性質だけが、決定的に変容していく。
その眼から、すう、と光が消えた。
否。消えたのは、眼に宿る光の、ただ闘争という二文字を除いたすべてである。

(何か……ヤバいのが、来る)

危険を察知したのは森崎の、戦士としての本能であっただろうか。
構えは一見、特段の変哲もない正眼。
しかしこれまでとは、気迫の練りが違う。

「やらせねえ……ッ!」

振り絞るように言った森崎の構えは、上段。
それまで用いていた西洋剣術とは一線を画す、奇妙な構えである。
右手側、真っ直ぐに立てた剣を大きく耳の辺りにまで翳し、円盾を着けた左手をその柄に添える。
自然、円盾に下方の視界を極端に遮られる格好となるが、森崎は気にした風もなく
その姿勢のまま細く静かに息を吸い、吐く。

384 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:45:44 ID:???
「ただ一撃の、疾さに賭ける……東洋の剣、か。面白い」

一目、森崎の構えから狙いを見て取ったネクセラリアが、そう呟いて口角を上げる。
間合いは、槍のそれよりも更に外。

「その剣、我が槍よりも疾く、在れるか!」
「試してみるさ―――命懸け!」

互いに踏み出せば、詰まる間は合わせて二歩。
槍が、雷光の如く、伸びる。
森崎が更に踏み込むその胸を目掛けて一直線、だが同時、天より落ち来るのは、森崎の刃。
剣を支えるは右手の一本、半身を一杯に伸ばした姿勢からの振り下ろし。
刃の先に届いた方が、勝つ。
その刹那、

「―――く、かは……ッ」

血飛沫が、飛び散った。
槍の刺さるより、剣の断ち割るより、一瞬だけ、早く。
紅い華は、ネクセラリアの口から、漏れていた。
槍の穂先が、僅かに一寸足らず、ぶれる。
それが文字通り、生死を分けた。

「……ぇぇぇ、ァァァァァァッッ!!」

槍は森崎の胸を甲ごと真一文字に切り裂くに留まり、
そうして森崎の、全身の気迫を込めた刃が、ネクセラリアの肩口から心の臓までを、
真っ二つに断ち切った。

385 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:50:05 ID:???
「―――、」

末期、茜色の空を仰いだネクセラリアが、何かを口にしようとして声にならず、
ゆっくりと傾ぎ、自らの血溜まりに口づけるように、伏した。
それが疾風と呼ばれた男の、死に様である。
そして彼こそは、このいくさ場に立つヴァルファバラハリアンの、最後の一人であった。

ゆらゆらと沈みゆく夕陽の下、歓声はない。
ただ疲れきった勝鬨だけが、風に乗って響く。


いくさが、終わった。


******

386 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:51:15 ID:???

◎損害処理

[総参戦兵数【300】−残存兵数【117】]/3 = 死亡人数【61】名
騎馬損耗数【147】

傭兵団員数【300→239】
所有騎馬数【200→53】


◎戦果処理

部隊目標(敵5の撃破):達成
評価値:10

戦術目標(敵1の殲滅):達成
評価値:20

敵ユニット撃破数:3
評価値:9

公約{分隊員(名前あり)から戦死者を出さない。(達成難易度:易)}:達成
評価値:5

一騎討ち:勝利
評価値:15


合計獲得評価値:59

387 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/24(金) 02:52:15 ID:???
******

ご、ごじゅうきゅう……合わせて、この段階で評価69ですか。
しばらくは対人関係の判定が自動成功し続けそうな高さですw

喪ったものは大きい、しかし得たものもまた大きな戦いとなりました、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。

次回は戦後処理による称号獲得描写から、8月度に入ります。
7月は消化にリアル一ヶ月かかった計算ですね……ペースアップを目標に頑張ります。
それではまた、次回更新にて。


388 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/24(金) 12:58:06 ID:???
この戦争で得られる評価値はベストに近いみたいだね。

389 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/24(金) 13:17:31 ID:???
CPEPをかなりぶち込んで、ダイス目もかなり良くて(ダメージ系はほとんど4-6しか出てない)、
チュートリアルで、かつNPC(ヤング)が自滅覚悟レベルの特攻をして…でようやくこれだからねえ。
勝って兜の緒を締めよ、の気分で行きたいかな。
もちろん、選択肢で頑張っていたみんなの活躍が一番大きかったと思うけど(俺は基本黙ってたし)

390 :◆W1prVEUMOs :2012/08/25(土) 11:54:00 ID:???
>>216
> 知略の限りを尽くし、かつ運が味方してようやく勝てるかどうかというバランスであり、
> また最終的に勝利を収めるとしても何度かの死亡判定を潜り抜ける必要があったでしょう。

だから勝って兜というか名有りが何人か死んでも仕方ないと思ってるなあ

391 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/25(土) 12:00:54 ID:???
五割死亡判定で01とか出しちゃったらCPEPぶち込むのも無理があるしねー。

392 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/25(土) 12:05:40 ID:???
名有りもこれから増えるだろうし厳しい決断しなくちゃいけない事もあるんでしょうね。

393 :◆W1prVEUMOs :2012/08/25(土) 12:09:57 ID:???
森崎入院だけは全力回避ってことになるかな
入院のペナルティを見ると立て直せる気がしない

394 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/25(土) 13:56:41 ID:???
一騎打ちで負けないよう、ガッツ管理が重要ですね。

395 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:25:39 ID:???
>>388
公約の難易度による上乗せ分以外はほぼ満点を獲得していますね。
素晴らしいです!

>>389
GMの想定していた最適解からですら手損がおそらくニ手分くらいという、
驚異的な高効率で戦争パートを乗り切っていただきましたからね。
率直に言ってネクセラリア隊の撃破は困難であろうと考えておりましたので、
この結果は手放しに賞賛させていただきます!

>>390
引用先はあくまで今回のヤング隊のような戦い方をすれば、という話ではありますが、
もし今後そういった完全勝利、戦功評価満点を狙っていくのであれば似た状況にはなっていくでしょう。
ただゲーム全体としてはそこまで高い水準の評価値を要求するわけではありませんので、
考え方としてはいわゆる「やりこみ」の一種となるかもしれません。

>>391
そうですね、所属隊員の多い部隊で死亡判定が発生するとダイスの事故率も跳ね上がってしまいますし、
ポイントにも限界が出てきてしまうかもしれません。
今回、苦しい判定できっちり高い目を出していただいたことで、膨大な量のポイント投入が
避けられたのは今後に向けて大きかったと思います。


396 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:26:46 ID:???
>>392
ネームドキャラについては順次追加していく予定ですが、ご贔屓キャラがいた場合は
万が一の事態に備えてある程度ポイントに余裕をもたせるのも一手ですね。

>>393
はい、入院してしまうとかなり厳しいです。
翌月訓練が休憩に固定されるためガッツは強制的に200回復しますが、
様々なデメリットがありますので、できる限り避けてくださいね。

>>394
ちなみに今回、もし戦況が悪い状態(ヤングの判定失敗/全滅)でイベントが発生した場合は
ネクセラリアのパラメータダウンは50%となっていました。
つまり、今回実際に戦った数値が1.25倍になる計算ですね。
7月訓練時に残りガッツが100前後だとちょっと怖いかな、と言った意味がわかっていただける…かも?w


397 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:28:20 ID:???
***


「よっ、モリサキ! 傷の具合はどうだ?」
「ネイか。……先生の話じゃ、明日には出られるってよ」

質素な病室の静寂を破った褐色の肌の優男に、森崎が笑みを向ける。
腰掛けるのは木組みの粗末なベッドではあったが、シーツは虫も湧いていない清潔なものだった。
ドルファン王立病院。
世界に冠たる文化先進国スィーズランドの様式を模して設立された、学園と並ぶドルファン文化の粋である。
この病院の存在こそが、ドルファンをして南欧随一の医療技術を維持させている。

「傷も……ほれ。もう薄皮が張ってるんだぜ」
「うわ! 男の胸なんざ見たくねえって! しまえ、しまえ!」

上着をめくり上げてみせた森崎に、ネイが顔を顰めて手を振る。
森崎の胸、既に包帯も取れた傷痕には確かに桃色の薄皮が張っていたが、しかし真一文字に刻まれた痕は
どこまでも深く、それが消えることは生涯なかろうと思わせた。

「トニーニョはどうしてる?」
「ああ、もうすっかりいつも通りだぜ。俺たちにも鍛錬しろって喧しいくらいだ」
「そうか。あいつらしいな」

仏頂面の友人は、森崎に先がけて日常に復帰している。
それを聞いて安堵した森崎が、低い天井を仰いだ。

「……もう、一週間か」
「あー……」

398 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:32:41 ID:???
言われ、ネイもまた小さく息をついて窓を見やる。
開け放たれた窓の外には夏空が広がっていた。

「……生きてる、なあ」
「生きてるな。酒も美味い。女の子も可愛い。生きてるぜ、俺」

そう言ったネイの長く伸ばした前髪を、微かにそよぐ風が揺らす。
ニヤリと笑って、森崎が言った。

「俺のおかげだぜ。感謝しろよ」
「しょってらあ。その分隊長サマが病院送りになってりゃ世話ないぜ」

軽い冗談を交わし合って、笑う。

「―――生きてんなあ、ちくしょう」

六十一人と、一人。
死者の名は、出さない。
降りた静寂を、窓の外から聞こえてくる蝉の声が埋める。
欧州でこれほど蝉が鳴くのは南欧マルタギニア海の沿岸くらいだという。
蝉しぐれ、とでもいうような鳴き声の波に、ぼんやりと思い起こされるのは
遥か遠い故郷の光景だっただろうか。

「……そうだ。可愛い女の子といえば、モリサキ」
「あァ? 何が、といえば、だ」

沈黙を無理に破るように唐突に話題を変えたネイに、森崎が片眉を上げる。

「いや……ここんとこ、お前のこと、よく聞かれるんだよ。
 ヴァルファをやっつけた東洋人ってどんな人? カッコいい? ……ってさ」
「へぇ。それで、何て?」

399 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:33:49 ID:???
大袈裟に肩をすくめてみせるネイに、森崎が尋ねる。
ネイはといえばおどけた様子で、

「ま、俺の半分……いや足元くらいにはイイ男かな、って伝えてるぜ。ちゃんと」
「こいつ!」

森崎の振り上げた拳から逃れるように、ネイが笑って飛び退く。

「ハハッ、すっかり『話題の人』ってわけだ。明日っからは町中でおちおち小便もできないぜ」
「しねえよ! ……いや、そうでもねえか……」
「へべれけでぶっ倒れたりとか、四股かけて怒り狂ったコたちに追っかけ回されたりもな」
「全部お前のことじゃねえか!」
「いやいや、俺は四股程度で下手はこかないぜ」
「自慢顔で言うな……」

呆れ顔で言った森崎に軽く手を振って、踵を返したネイが言葉だけを続ける。

「ま、そんな面白おかしい毎日を送れるのも、無事に生き延びたからってワケだ。
 戦場じゃ色々言っちまったが……これからもその調子で頼むぜ、『隊長』!」
「おう、……ん?」

病室から出ていくネイの背を見送りながら、森崎が違和感に首を捻る。

「あいつ……今、何て言った?」


******

400 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:34:56 ID:???
******


※称号が『ウワサの人』になりました。

スキル『准騎士候補』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:全ヒロインの好感度が一段階アップする。


******


※称号が『話題の人』になりました。

スキル『青騎士候補』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:全ヒロインの好感度が一段階アップする。特殊なイベント以外でもドルファン城に入城できる。


******



   『イリハ会戦』(了)



.

401 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:36:03 ID:???

*D26.8月
フレーバーテキスト


◎イリハの傷

「ヴァルファ、シンラギ対陣続く……か」
『こんなこと言う日が来るとは思わなかったけど……シンラギ様々、だねえ』

ふわふわと飛ぶピコの言葉に、森崎が新聞から顔を上げて大きく伸びをする。
戦場で負った傷はすっかり癒えていたが、鈍った身体はまだ戻りきっていなかった。

「シンラギなんぞに救けられるたあ……ケッ、情けなくて涙も出ねえや」
『上海でもカフカスでも散々やられたからね』
「うるせえよ! ラダックじゃあ勝っただろうが!」
『南葛では戦うこともできなかったくせに』
「……」
『……ごめん』

シンラギ、正式な名称をシンラギククルフォンというその組織は、東洋圏に拠点を置く軍事結社である。
ちなみにククルフォンとはウズベク地方に伝わる猿の妖怪を指す。
軍事活動部門を右陣、テロ活動を行う部門を左陣、政治活動部門を本陣と呼び習わし、
右陣では紅東軍団、紫南軍団などが東洋圏の大きな戦役で勇名を轟かせている。
流浪の傭兵たる森崎もまた、何度も苦渋を飲まされた相手であった。
今回プロキアに雇用されたのはその右陣、紫南軍団と呼ばれる一団である。

「……ま、実際イリハはひでえ負け戦だったからな。連中がテラ北河を渡ろうとしてなけりゃ
 ヴァルファは取って返したりしなかったし、そうなりゃ追い討ちで俺らは間違いなく全滅してた」

402 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:37:04 ID:???
森崎たち外国人傭兵大隊の活躍によりヴァルファ第三大隊を壊滅に追い込んだ
ドルファン軍右翼であったが、戦線を押し込むことはできなかった。
辛勝を収めた傭兵大隊には追撃の余力は残されていなかった上に、後詰の第三、第五大隊は
とうとう右翼に投入されることはなかったのである。
原因は、左翼である。
森崎たちの至近、即ちドルファン軍右翼に現れた大軍、トロサ騎士団。
彼らが本来担当していたのが、左翼であった。

「まさか担当正面をまるっきり放棄して転進してるなんざ、思わねえだろ普通……」
『あのまま街道通って帰っちゃったんだっけ、あの人たち』
「ああ……地元まで引き返して、『将帥の負傷により』だか何だかって言い訳の書面寄越したらしいぜ」
『何しに来たんだろうね……』
「さあな。おそろしく強かったのはこの目で見たが……何がしたかったのかは、正直さっぱりだ」

大穴の開いた左翼から雪崩込んだ敵軍により、ドルファン本隊である中央、第二大隊は
側面からの攻撃に対応しきれず、半包囲の窮地に陥った。
慌てて投入された後詰の軍勢では、一度傾いた形勢を覆すには至らない。
ほとんど総崩れとなった本隊は多数の死傷者を出しながら右翼の残存部隊とともに交通の要衝、
中部ウエールの北まで撤退を余儀なくされる。
迫るヴァルファの第二、第五大隊の勢いにウエールの陥落すら時間の問題と思われたとき、
もたらされたのは北部国境戦線の一報である。
シンラギ・プロキアの混成軍が、ヴァルファ本隊を迂回して国境であるテラ北河の渡河を企図し、
大規模に展開しているというものであった。
南北の二正面に兵力の大半を割いているヴァルファとしては、拠点である都市ダナンへの強襲は
絶対に避けねばならぬ事態である。
かくしてヴァルファの侵攻部隊は転進、ドルファン側は残存兵力の全滅とウエールの陥落を
辛くも免れたのだったが、局地戦での勝利を無に帰す、事実上の大敗であった。

403 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:38:12 ID:???
「今、こうして生きてんのもシンラギと……あとはまあ、ヤングのおっさんのおかげ、ってか。
 あのとき向こうの傷が開いて槍が滑らなけりゃ、真っ二つになってたのは俺の方だったろうからな」
『……』

武骨にして口の悪かったハンガリア人の顔を思い出したのか、ピコが眉尻を下げて黙りこむ。
と、湿度の高い沈黙が降りかけた部屋の空気を吹き飛ばすように、森崎が笑ってみせた。

「暗い顔すんな! 俺たちゃ切った張ったで飯食ってんだ、おっさんや他のくたばった連中と
 俺らの違いなんざ、昨日死んだか明日死ぬかって程度のもんよ。
 んなこたあ、初陣の前に女奢られて腰振ってるヒヨっ子だって弁えてるぜ」
『うん……そうだね』
「しっかし、情けねえのは騎士団の連中だ」

うっすらと浮かんだ涙をこしこしと手の甲で擦るピコの頭をひと撫でして、森崎が話の向きを変える。

「指令は聞かねえわ、陣形も戦略もなしに突っ込んじゃあ無駄に死人を出して逃げ帰るわ……。
 ああクソ、敵として相手したかったぜ……馬も武具も選り取り見取り、おまけに貴族の子弟となりゃ
 捕虜にして身代金も取り放題だったのによ……」
『ヴァルファは大儲けしたんだろうねえ』

潰走した第ニ大隊の生存者は半数強。
右翼でヴァルファと交戦し壊滅した第四大隊に至っては参戦した兵の七割近くが死亡するという
凡そ考えられない被害を出していたドルファン正規軍であったが、その死者の殆どは歩兵や従卒といった
平民階級の者たちである。
騎兵、即ち騎士階級とみなされる者の多くは殺害されることなく拿捕され、多額の身代金と引換に
ドルファンへと帰還を遂げていた。

404 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:39:35 ID:???
「俺たち傭兵は片っ端からぶっ殺されちゃあ身ぐるみ剥がれて捨てられるだけ、
 良くて奴隷として売っぱらわれるのが関の山だってのに、不公平な話だぜ」
『でもお金が払えなかった家の人は、捕虜にされてもやっぱり殺されちゃったんでしょ?』
「まあな……騎士とは名ばかりで、恩給暮らしをしてるような没落貴族も多いみたいだからな。
 腕もねえ、カネもねえのに気合だけで戦場に出た時点で、三途の川を渡るのは決まってたようなもんだ」
『ふ〜ん……それにしてもこの戦争、これからどうなるんだろうねえ……』

ふわりと飛んだピコが、森崎の手に腰掛けて新聞を覗き込む。

「さあな……プロキアとシンラギ次第ってとこじゃねえか」
『ドルファンの騎士にも頑張ってもらわないとね』
「まあ、自由騎士どもでなけりゃ少しはマシだと思いたいぜ。
 いつまでも俺らだけで孤軍奮闘ってんじゃ割りに合わねえからな……」

言って窓の外を見る森崎。
夏の陽射しは朝から真白く街を照らしている。

「さ……今日は、葬式だ」

首都城塞を覆う熱波は、収まる気配もない。


******

405 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:40:36 ID:???

*D26.8 「気のいい話題の人」森崎有三
訓練所イベント

******


葬送の列は長く、足取りは重い。
幾十もの棺を担ぐ二百余の男たちが纏うのは例外なく黒衣である。

「……」

無言のまま歩む黒衣が担ぐ棺には、実のところ遺骸など入っていない。
撤退に撤退を重ねた負け戦に、戦死した者たちを後送する余裕などありはしなかった。
そしてまた、真夏のことである。
生き延びた者たちが再び戦場跡に赴いたとき、形を保っている骸などあるはずもない。
そもそもが鎧や剣など金目の物は敵兵や賊、付近の住民によって剥ぎ取られ、残った骸は
誰彼かまわず山積みにされている状況であった。
腐り融けた肉の山を掻き出して供養する習慣は、西欧にない。
代わりに棺に入っていたのは、死者たちが生前に使っていた形見の品々だった。
それはたとえば古びた銅貨であったり、僅かに中身の残った安酒の瓶であったり、
或いは馴染みの娼婦の肌着であったりと、形見といっても宿舎住まいの傭兵の身の上、
他愛もないものばかりである。

「……」

からり、からりと。
がらんどうの棺から、他愛もない中身の転がる、他愛もない音がする。
黒衣の男たちは、無言である。


***

406 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:41:37 ID:???

「……終わった、な」

海を望む断崖の上、広い墓地の片隅にある古ぼけた石碑と、その脇の真新しい墓碑を見やって、
森崎が息をつく。
葬儀を終え、周囲には既に人の姿はない。
暮れなずむ夕陽に照らされた古い石碑は、戦死者の慰霊碑である。
個別の名を刻まれることもない、墓とすら呼べぬ古今合同の碑であった。
骸のない棺はようやく葬儀を終え、少し離れた場所に形だけ埋葬されている。
本来であれば土に還り骨だけとなるまでは静かに眠らせるものであったが、何しろ彼らは骸がない。
数日後には再び掘り起こされ、形見の品が納骨堂へと納められる手はずだった。

「……墓が作ってもらえるのはおっさんだけ、か」

慰霊碑の隣、新しい墓碑に刻まれる名はヤング・マジョラム。
正規軍大尉であった彼にのみ、遺族には恩給が支払われ、また隊葬としての経費も支給されている。
しかし、そのヤングとて骸が墓に眠るわけではなかった。
棺に入っているのは苛烈な追撃の中、辛うじて持ち帰れた彼の愛剣とマントのみである。
寡婦となったのであろう女性の、葬儀の間中そのマントを抱き締め震えていた背中を、森崎は思い起こす。

「……」

その悲しみを、推し量ることはできない。
共有することも、できない。
流れのいくさ働きを生業とする森崎が、轡を並べた男たちの死に抱くのは悲しみではなかった。
そうであってはならぬと、自らに任じてもいた。
故に、森崎はただ踵を返す。
その墓に勝利を捧げることも、復讐を誓うこともない。

「あばよ、おっさん」

407 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:42:38 ID:???
それだけを告げ、歩き出した森崎の前。
歩を遮るように立つ、影があった。

「ユーゾー・モリサキさん、ですネ?」
「……?」

いきなり名を呼ばれ、森崎が眉根を寄せる。
立っていたのは壮年の男である。

「おっト、そう警戒しないでくださイ。怪しい者ではありませン」
「……」

そう告げた男の、しかし怪しさはこれ以上ない程である。
灰金色の頭髪を丁寧に油で撫でつけたオールバックに、几帳面に切り揃えられた顎髭と、
首から上はひとかどの伊達男といった風情。
しかし、その服装たるや惨憺たる有様である。
素肌の上に直接着ていると思しき、乱暴に二の腕までまくり上げられたシルクのシャツはまだ許せる。
ボタンを上からいくつ開けているのか、筋骨隆々たる胸元が大きくはだけているのも、
不快ではあったが男所帯の傭兵団ではまだ見慣れたものといえた。
が、そこに農夫の如き朽葉色の麻ズボンが合わされると、これは奇妙を通り越してひたすらに胡散臭い。

「……何者だ、あんた」
「オゥ、ひどい距離を感じマス……」

大袈裟に肩をすくめた男が、訛りの強い語尾でそう言うと、ため息をつく。
しかし森崎は警戒を解かない。
葬儀帰りのこと、帯剣こそしていなかったが、徒手空拳でまるきり戦えぬというわけではない。
黒衣の下、そっと固めた拳はいつでも繰り出せるように油断なく構えられていた。


408 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:43:42 ID:???
そも、中継貿易の拠点として雑多な人種の入り混じるドルファン王都においては格別に
意識されることも少ないが、服装とはその人間の所属する組織や階級をも表すものである。
流行や文化を追う富裕層の若者であればともかく、人品卑しからぬ壮年の男性が、
どの層に身を置いているのかもわからぬような風体をしているのは、それ自体が
侮蔑と警戒の対象としてくれと大声で叫びながら歩いているようなものであった。

「……」
「マジョラム大尉のコト、残念でシタ。お悔やみ申し上げマス」
「……?」

唐突に頭を垂れ、そう言った男に森崎が戸惑ったような表情を浮かべる。
決して葬儀に参列しにきたわけではなかろう服装の男が、しかし弔辞を述べる。
その意図を量りかねていた。
そもそも内輪のこと、先の戦から日も経ったこの日に葬儀を行うことを知る者はそう多くはない。
傭兵大隊の関係者か、或いは、

「申し遅れまシタ。私、バウミール・ルーカスといいマス。陸軍外局編成部、階級はカーネル、デス」
「……陸軍? それもカーネル……相当のお偉いさんってことか? あんたが……?」

ルーカスと名乗った男の語る身分と、その風体の差異に森崎がじろじろと男を睨めつける。

「カーネルと言ってモ、傭兵の皆サンと同格でないとキチンとした話をしにくいという理由デス。
 今回の皆サンはフリーですが、傭兵団の単位で雇い入れれば、隊長サンは皆カーネル扱いですからネ」
「……」
「要はハクつけの階級デス。実権は全然ありまセン。HAHAHA!!」
「……」
「まだ疑ってマスか? 心配いりまセン、モリサキさん。アナタにはこれから、私と一緒に
 王城に来ていただきマス。正門顔パスなら、きっと信用してもらえマスね」

409 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:44:48 ID:???
では参りましょウ、とやはり訛りの強い語尾でそう告げたルーカスが踵を返して歩き出すのを、
森崎が慌てて呼び止める。

「ちょ、ちょっと待て! 待ってくれ! 王城!? 軍の本部から呼び出しがかかってるってことか!?」
「ハイ、その通りデスが、何か?」

事も無げに言ってのけるルーカス。

「何か? じゃねえよ! 今更責任問題ってか!? 勘弁しろよ、おい!」

森崎が泡を食ったのも無理はない。
先の大敗を受け、騎士団では第二・第四大隊長が共に更迭の憂き目にあっている。
その段でいけば、分隊長という低い役職とはいえ部隊責任者である森崎が王城に呼び出されるということは
何らかの責めを負わされるものと考えるのも自然であった。

「責任? あー……責任といえば、責任デスが……」
「……!」
「ユーゾー・モリサキ。編成部はイリハ会戦の結果を受け、アナタに―――」
「アーアー、聞こえなーい!」

耳に手を当てて抵抗する森崎。
そんな森崎の様子に怪訝そうな顔をしたルーカスが、告げる。

「アナタに、外国人傭兵大隊の隊長就任を要請いたしマス」
「アーアー……へ?」

きょとん、とする森崎に、ルーカスが小さくため息をついて首を振り、
まるで幼子を諭すように繰り返す。

「ですかラ、アナタに新隊長を務めていただきたいのデス、モリサキ」
「……なにィ!?」


410 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:46:25 ID:???
***



事務手続きは簡便なものであった。
予め用意されていた何枚かの書類に署名をした、それだけである。



******


※称号が『気のいい傭兵隊長』になりました。

スキル『部隊指揮』を獲得しました。
種別:パッシブ
消費ガッツ:-
効果:戦争パートで傭兵大隊の指揮ができるようになり、幾つかのパラメータが追加される。
   また訓練パートの項目が開放される。


******

411 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:47:26 ID:35jxfBfg

*D26.8月
訓練選択

『今月は何をするの? これまでとは少し変わってるから、注意してね!』

森崎有三
称号:気のいい傭兵隊長

個人パラメータ:
ガッツ175
剣術68 馬術10 体術62 魅力78 評価69
(ATK78 DEF140 SPD72 ini14)

部隊パラメータ:
兵数239 騎馬53 練度30

所属隊員:
トニーニョ(威圧Lv1)
ネイ(鼓舞Lv1)
ジェトーリオ(撹乱Lv1)


剣術・馬術・体術・魅力・礼法・墓守・休憩・部隊訓練・陳情の中から『二種類』選んで下さい。
(※隊長就任により、部隊訓練・陳情が可能になっています)

412 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:48:35 ID:35jxfBfg
※システムメッセージ※

新システム『陳情』について説明いたします。
これは軍上層部とかけ合って兵員の臨時増強や騎馬の優先供給を要請するものです。
評価値を消費して、それぞれの数値を増やす形式になります。
具体的なレートは以下の通りとなります。

兵数増強:兵100につき評価値20
騎馬供給:騎馬100につき評価値5

『陳情』を選ぶ際には上記を参考に、何をいくつ要請するのかを付記してください。
兵員と騎馬を同時に陳情することも可能です。

注意:
このコマンドを使用しなくても、兵員や騎馬は定期的に供給されます。
また本作において、戦争パート以外で評価値を得る手段は極めて限られていますし、
評価値は様々な判定において比重が大きく設定されています。

※システムメッセージここまで※


同じ訓練を二つ選んでも構いません。
また個人訓練の内、剣術・馬術・体術を選んだ場合は、所属する隊員の中から
共に訓練する相手を一人だけ選ぶことができます。
所持スキルの強化・変化や、イベントによる称号取得が起こる可能性があります。

その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願い致します。
期限は『8/28 18:00』です。

413 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:50:11 ID:35jxfBfg
>>412訂正です。
期限は『8/28 23:00』とさせていただきます。
申し訳ございません。

414 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 00:55:50 ID:???
******

何だかあっさり隊長に就任してしまいましたが…? といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


415 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/28(火) 01:17:08 ID:???
陳情で兵数や騎馬を補充した場合、軍からの定期的な供給はなくなるんですかね?

416 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 12:17:34 ID:???
>>415
いいえ、陳情による補充は定期供給とは別の枠としてカウントされます。

417 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/28(火) 19:05:42 ID:???
馬術 陳情 兵数増員100 騎馬補充100
馬術が手付かずなのでそろそろ訓練した方が良いと思います。兵数が少しでも多い方が戦争に有利ですので増員したいです。
騎馬補充は先の戦闘で騎馬はかなり有効でしたので少しでも多い方が良いと思いました。

418 :◆W1prVEUMOs :2012/08/28(火) 19:10:37 ID:???
馬術・馬術
馬術が低いので補いたい
しばらく対人関係の判定が自動成功し続けそうな評価値を対価に『陳情』するのは勿体無いかな

419 :Q513 ◆RZdXGG2sGw :2012/08/28(火) 19:36:13 ID:???
馬術・休憩
隊長が馬に乗れないとしまらないので。それとガッツは高めにもっておきたい
すぐには合戦はないだろうけれど、個人戦はいつあるかわからないので

420 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/28(火) 19:41:42 ID:???
馬術・馬術
訓練効果アップのスキルが発動中なので、訓練判定のあるものを。
その中でも低い馬術を一気に上げたいです。

421 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/28(火) 21:34:09 ID:???
投票時は気づかなかったけど

>9月/収穫祭:豊作を祝うお祭りです。剣術大会や馬術大会、武闘大会が開催されます。

それぞれ剣術・馬術・体術に対応してそうですね。

422 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 23:33:03 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>412の選択については……

>>420 ◆9OlIjdgJmY様の回答を採用させていただきます!
そうです、なにぶん前スレのことではありますが、夏至祭の『幸運の星』効果は
「来月(7月)から3ヶ月間」ですので、9月までは積極的な訓練推奨なのでした。
よくご指摘いただきました!
CP3を進呈いたします。

また次点としまして、同様に馬術訓練*2を推していただきました>>418 ◆W1prVEUMOs様にも
CP1を進呈いたします。


>>417
おお、早速の大胆な陳情ですね。
実際兵数100はかなりの戦力増強ですし、たとえ全滅しても66%は次戦で使えるので
戦力面だけで考えるなら終盤で行うより次の戦争パート前にやってしまう方が効率的です。
騎馬にしても歩兵部隊と比較して採り得る戦術の幅が大きく広がりますしね。
…ただここだけの話、来月には最初の定期供給がありますので、その数値を見ていただいてから
再度ご判断いただいても遅くはないかもしれません!

>>419
そうですね、まだ余裕があるといえばありますが、100を割ってしまうと
突然の戦闘に対応できなくなってしまう可能性もありますので、ご注意くださいませ。

>>421
鋭いご指摘、ありがとうございます。
その通り、収穫祭では「3つのパラメータの内、最も高いもの」に自動的にエントリーされます。
実は戦争以外で評価値を稼ぐ(……といっても、戦争と比べれば微々たるものですが)
数少ないチャンスでもありますので、積極的に狙っていくのも有効かもしれません。

423 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/28(火) 23:34:12 ID:35jxfBfg
***

*訓練ダイス

※訓練は前後半に分かれています。
★マークごとにお一人づつ、!と numnumの間のスペースを消してダイスを引いてください。
目標値【30】に対しプラスマイナス30以内で成功、プラス31以上で大成功、マイナス31以下で失敗となります。
大成功時は成果が1.5倍、失敗時は0.5倍となります。


前半(馬術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

前半(馬術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(馬術)1
! numnum + ! numnum + ! numnum =

後半(馬術)2
! numnum + ! numnum + ! numnum =


424 :ノータ ◆JvXQ17QPfo :2012/08/28(火) 23:37:01 ID:???

前半(馬術)1
53  +  16  +  53 =

425 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/28(火) 23:37:48 ID:???

前半(馬術)2
26  +  34  +  42 =

426 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/08/28(火) 23:39:55 ID:???

後半(馬術)1
94  +  41  +  29 =

427 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/29(水) 00:07:00 ID:???

後半(馬術)2
96  +  23  +  77 =

428 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/29(水) 00:13:13 ID:???
【数値加算】
424の右にEP10消費して+10、63にして大成功へ

429 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:23:34 ID:???

>>428
今回は特に影響が小さいので認めさせていただきますが、【数値加算】は原則として
当該判定から15分以内にお願いしております。
期限後に結果が大きく変わってしまうと描写をやり直さなくてはならないという
GMの実際的な都合によるルールで恐縮至極ですが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。


******


*訓練結果

前半(馬術)1
53  + 16 + 53(+10) = 大成功1 成功2 失敗0

前半(馬術)2
26  + 34 + 42 = 大成功0 成功3 失敗0

→大成功1 成功5 失敗0


後半(馬術)1
94  + 41 + 29 = 大成功1 成功2 失敗0

後半(馬術)2
96  + 23 + 77 = 大成功2 成功1 失敗0

→大成功3 成功3 失敗0


***

430 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:25:00 ID:???

皆様、ダイスロールありがとうございます。
それぞれEP1を進呈いたします。
結果が出揃いましたところで、ひとつご報告を。

この後で個人訓練を共にする相手を選択していただくのですが、このシステムですと
「訓練選択→相手選択」で一日余計に時間がかかってしまうため、次回からは
訓練選択時に「誰と訓練するか」も含めて記載していただく形式とさせていただきます。
不手際をお詫び申し上げます。

それでは改めまして。


***

431 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:26:02 ID:???
*D26.8月
訓練相手選択


訓練内容
前半:馬術
後半:馬術


所属隊員:
トニーニョ(威圧Lv1)
ネイ(鼓舞Lv1)
ジェトーリオ(撹乱Lv1)


前半・後半の訓練を共に行う相手を、それぞれ所属隊員から選んでください。
所持スキルの強化・変化や、イベントによる称号取得が起こる可能性があります。
前後半を通して同じ相手を選択することも可能です。

また共同訓練は行わないことも可能です。
その場合はその旨をご回答ください。

その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『8/29 23:00』です。

432 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:29:06 ID:aTaI8lmk
******

訓練効率に影響はありませんし、また失敗ペナルティなども特にありませんが
スキルの「変化」が困る場合などを考慮して共同訓練をしないという選択肢を
設けました…といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

433 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/08/29(水) 00:31:17 ID:???
申し訳ない、以後注意します

434 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/08/29(水) 00:33:59 ID:???
>>433
いえいえ、細かいルールまで把握しているのはGMだけで充分です。
…それすらたまに怪しいくらいですので、何かあれば是非ご指摘くださいませw

435 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/08/29(水) 10:09:21 ID:???
前半ジュトーリオ
後半トニーニョ
ジュトーリオに関しては撹乱のスキルを教えて欲しいです。
トニーニョは、威圧が強化されたらどうなるのかってのも見てみたいです。

436 :◆W1prVEUMOs :2012/08/29(水) 21:24:36 ID:???
前半ジェトーリオ
後半ジェトーリオ
先の戦いでは撹乱に助けられたので効果範囲・確率を上げておきたい

437 :◆9OlIjdgJmY :2012/08/29(水) 21:25:24 ID:???
前半トニーニョ
後半ネイ

部隊の副隊長的ポジションになるであろうトニーニョとまず話しておきたい
その次はやっぱりネイかな、キャプ森的に考えて。

438 :森崎名無しさん:2012/08/29(水) 23:09:28 ID:???
前スレ埋まっていないけどどうしましょうか?

439 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:02:03 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>431の選択については……

>>437 ◆9OlIjdgJmY様の選択を採用させていただきます!
まず関係の重い方から固めていく、というのは一つの手法ですね。
CP3を進呈いたします。


>>435
申し訳ありません、スキルの強化や変化は「隊員の所持スキル」に限ってのことで、
森崎のスキルには特に影響を与えません……。
ただ「撹乱」はパラメータを上げていけば取得できますので、そちらを目指しましょう!
隊員スキルは、今回の更新を見ていただければお分かりになるかと思いますが、
レベルが上がるとかなり明確に強化されます。
基本的にはLv3が上限となっていますが、場合によってはその先にも……?

>>436
はい、撹乱は狙いが絞れると一気に強くなりますね。
早めに強化してしまえば、状況次第では一方的な攻撃が可能です。


前スレについてはGMが適当に埋めておきますね。

440 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:03:07 ID:???
***

//馬術1


「うわっと、と……と!」

演習場の一角に設けられた林の中、情けない声を上げたのは森崎有三である。

「ふう……相変わらず慣れないぜ、馬ってやつは」
「お前が怖がるからだ。馬は乗り手の怯えを敏感に読むからな」

鞍上、バランスを崩しかけた森崎に言うのはトニーニョだった。
共に腕を磨こうと、森崎の誘ったものである。
しかし馬とのコミュニケーションの初歩で四苦八苦する森崎に比べ、仏頂面の白人は
僅かな体重移動と手綱捌きだけでいとも容易く馬を操っているように見える。
こうも腕が違うと、共同訓練というより個人教授に近い。

「ちぇっ……要はナメられてるってことかよ」
「かもな」
「お前にゃそんな素振りも見せやしねえのにな……何かこう、特別な手綱とか使ってるんじゃねえか?
 桂剥きの人参でできてるとかよ」
「……」
「……? おい、トニーニョ」

お前の努力が足りないんだ。
馬鹿なことを言っていないで鍛錬に戻るぞ。
そんな、いつも通りの説教臭い返しを期待した森崎の軽口は、しかし無言によって粉砕される。
見れば、トニーニョはぼんやりと木々の向こうを見ているようだった。
常らしからぬ様子に眉根を寄せた森崎が声をかける。

441 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:04:24 ID:???
「トニーニョ、おい、トニーニョって!」
「……ああ。すまん、聞いている」
「いや、聞いてるじゃなくてよ……まあ、いいや」

肩をすくめる森崎に、

「……」
「……」

トニーニョは、再び黙り込んでしまう。

「……どうしたんだって、聞いてもいいか」
「……」

ともすれば不機嫌に見られがちな仏頂面に、今は何か違う色が浮かんでいるように見えて
森崎が問うのへ、トニーニョは答えず馬の腹を軽く蹴る。
行け、の合図に歩みだしたトニーニョの馬が、すぐに速歩にまで加速した。

「お、おい……! 待てって!」

慌てて後を追おうとする森崎は、だがすっかり馬に見くびられている。
手綱を引けば首を振られ、腹を蹴れば振り落とされそうになり、その内に相手をするのが
面倒になったのか、仕方がないとばかりにのろのろと歩を進める馬に頭を抱えながら
どうにかトニーニョの消えた方へと鼻を向ければ、果たして仏頂面はすぐ茂みの向こう側にいた。
森崎たちを待っていたのかどうか、その悄然とした様子からは窺えない。

「俺は、」

442 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:06:36 ID:???
トニーニョ、と声をかけるよりも早く、ぼそりと呟く声。

「俺は自分が赦せずにいる」

その声は独り言じみていて、ひどく聞き取りづらい。
森崎に向けて語っているのではないようでもあった。

「俺にもっと……もっと力があれば、隊長を、隊の皆を死なせずに済んだのではないかと、
 そればかりを考えている。あの日から、毎日、毎晩。ずっとだ」
「お前、それは……」

言いかけた森崎を遮るように、トニーニョが首を振って続ける。

「わかっている。俺一人の力で変わる戦況などない。百人、千人の敵を相手にできるはずもない。
 無駄で、無為で、無様な後悔だ。唾棄すべき思い上がりですらある。
 それでも考えずにはいられない。考えていなければ、忘れてしまうからだ」

ふと息をついて、トニーニョが天を見上げる。
木漏れ日が、その顔を斑模様に照らす。
ざわめく梢の向こうに何を見ているのか、森崎にはわからない。

「俺はな、モリサキ」

やがて視線を下ろしたトニーニョの、木漏れ日を集めて霞んでしまったような灰色の瞳が、
森崎を見やる。

「かつて毎晩のように見ていた悪夢を、最近、ほとんど見なくなった。
 見られなく、なったんだよ」

言って、口の端を上げる。
無理やりに作られたその笑みは、決して届かないどこかに向かって泣くような、ひどくねじれた笑い方のように、思えた。

443 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:07:43 ID:efdvYoTg

※ガッツが20減少。
馬術が26上がりました。

現在のガッツ:155
剣術:68 馬術:36 体術:62 魅力:78 評価:69
ATK:104 DEF:140 SPD:98 ini:19



***

*チェック

トニーニョとの関係が一定値に達したため、スキルが強化される可能性があります。

目標値【10】 → ! numnum

※ ! と numnum の間のスペースを消して数値を出して下さい。
目標値以上の値が出れば成功しスキルが強化されます。
00が出た場合はスキルが変化します。

成功→ 威圧Lv2(周囲3マス以内にいる敵全部隊の士気を-10する)

00→ 追撃Lv1
(兵数ダメージロールに5か6の目が出た際、もう一度だけ1D6を振ってその数値を加算する。
 ただし【数値加算】による変更後の出目は対象にならない)


***

444 :源氏 ◆rLDAH8Hy8Y :2012/09/01(土) 12:50:35 ID:???
目標値【10】 →  89

445 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:54:08 ID:???
***


トニーニョのスキルが「威圧Lv2」に強化されました。


***

446 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:55:14 ID:???

//馬術2


「しっかし、あん時ぁ驚いたぜ。お前がいきなり変なおっさん連れてきたと思ったら、
 『このモリサキが皆サンの新しい隊長デ〜ス! そこんトコ、よろしくお願いしマ〜ス!』だもんな」

褐色の優男が、言って快活に笑う。
ネイが口真似をしてみせたのは、森崎の隊長就任を知らせたときのルーカスである。

「ああ……俺だっていきなりのことで、何がなんだかわかんなかったぜ。
 正直今も、実感は薄いんだ」

ややぎこちなく手綱を握りながら答える森崎。
戸惑いは、事実である。

「ま、ゴーカな式典も、御前会議! とか信任投票! なんてのも、なかったしな。
 隊長歓迎の宴会はやったけどよ」
「単に俺を口実にした飲み会だっただろ……」

宿舎の広間に買い込んだ安酒を並べただけの宴席を思い出して、森崎がゲンナリとした顔をする。

「ま、それは言いっこなしだぜ」
「いいけどよ……」
「ところで、隊長ってどんなことしてんだ?」

突然、ネイがそんなことを訊ねてくる。
情報収集に余念がない、というべきだろうか。
苦笑した森崎は、しかし首を捻るのだった。

447 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:56:42 ID:???
「いや……それが、基本、まだ何もしてねえ」
「なにィ!?」

驚愕するネイに、森崎が困ったように告げる。

「人員と物資の確認、それからルーカス大佐の持ってきた書類にサインして……ってくらいでよ。
 他の教官たちは上の雇いだから、とりあえずヤングのおっさんの頃と同じように、つー感じかな。
 正直、隊長室なんて部屋だけあてがわれても、何していいのかわかんねえんだよ」
「……まあ、俺らもヤング教官が普段どんな仕事してたのか、よく知らねえからなあ」

しみじみ言う。

「ルーカス大佐もそこら辺、補佐してくれるヤツを寄越すとは言ってたけどよ……」
「まだ来てないのか?」
「……『こちらも色々てんてこ舞いデス! もうちょっと待っててくだサイ』だとよ。
 ま、俺ら外様が後回しにされるのは慣れてるけどな」

肩をすくめる森崎。
わかるぜ、とその肩を叩いたネイが、ふと続ける。

「ていうか、代わりの隊長ってのはてっきりまた騎士団から派遣されるんだとばっかり思ってたぜ」
「俺もそう思ってたんだけどよ」

頷いた森崎が、

「ルーカス大佐が言うには、イリハの件で上は相当揉めてるんだと」
「負け戦の責任のなすりつけ合いだろ?」
「まず、それだ」
「他にもあるのか?」
「いや、ドルファンと向こうさんじゃ、同じ一個大隊でも規模が違いすぎるってんでよ。
 平時ならそれでも誤魔化しは効いてたが、戦場に出ちまうと、な」
「あー……」

448 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 12:58:55 ID:???
イリハ会戦の惨状を思い起こしたか、ネイが遠い目をする。

「ヴァルファの半分くらいだったもんなあ……」
「ああ。それで騎士団の大規模な再編成やら、退役騎士の招集、戦時増員なんかも検討してるらしい」
「なるほど……こっちに回すような指揮官の余りはいねえってことか」
「そういうこった。将校としての訓練受けてる騎士なんざ、ただでさえ少ないからな」

言った森崎に、ネイが得心したように首肯する。

「ならまあ、隊長のお鉢はお前に回ってくるわな、モリサキ」
「よせよ。ガラじゃねえ」
「何言ってやがる。前第二分隊長、それも八騎将殺しの英雄サマじゃねえか」
「あれは……ヤングのおっさんのおこぼれみてえなもんで、」
「知ってるよそんなこた!」

ぴしゃりと言い切られた。

「けどまあ、上は実際の戦場見てるわけでも、まして人柄見て決めるわけじゃないんだからよ。
 結果と実績からしてお前を選ぶに決まってんだろ」
「人柄見られたら選ばれねえ、みたいな言い方だな……」
「そりゃそうだろ、問題児!」
「ぐむぅ……」

大笑いしながらネイが言うのに、森崎は唸るしかない。

449 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:00:14 ID:efdvYoTg
「ま、俺らとしちゃお偉い騎士様が派遣されてくるよりよっぽど助かるけどな。
 俺らの流儀を知ってる奴が上にいる方が色々やりやすい」
「おいおい、ヤバいことは勘弁してくれよ……何かありゃ、俺がひっかぶることになるんだからよ」
「いきなり日和ってんじゃねえよ!」

ゆっくりと歩ませる馬上、そう軽口を叩いてネイが笑う。
のどかな空気の中、森崎はふと、先日のトニーニョの様子を思い出すのだった。

(そういえば……トニーニョのこと、ネイなら何か知ってるかな)



*選択

A トニーニョのことをネイに相談する。

B それとなく聞くに留める。

C やっぱりやめておこう。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/1 23:00』です。

450 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 13:01:28 ID:???
******

といったところで、一旦これまでとさせていただきます。
それではまた、次回更新にて。

451 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/09/01(土) 13:12:29 ID:???
A
こういうのはきちんと話を回した方がいい。
ただ、ネイはすぐにトニーニョを問い詰めにいきそうなタイプでもあるから、
そこはちゃんと釘を差したいところだけど。

452 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/01(土) 14:20:25 ID:???
【ピココール】
トニーニョの事を相談するにしても、はっきりと相談内容を言った方が良いのか、それとなく聞いた方が良いのか、どう思う?


453 :ピコ ◆ALIENo70zA :2012/09/01(土) 15:35:52 ID:???
>>452
そうだねえ……ネイなら、トニーニョの深い事情も知ってるとは思うけど。
ただ個別に事情を聞いて判断する、っていう以上のこと……誰かに相談するっていうのは、
こっちの下駄を半分、相手に預けるっていうことでもあるんだよ。
それは……ある意味、対等の目線で話すっていうことだよね。

悪いこととは言わないけど、キミは隊長、彼らはそうじゃない……。
全部が全部、対等でいるのは……危険なことも、あるかもしれないね。

454 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/01(土) 18:07:24 ID:???
B確かに部下と対等だとまずいかも知れませんね。
でもトニーニョの事も放って置けないですのでトニーニョの事をよく知ってるはずのネイから情報を得たいと思います。
それに出来るなら隊長として傭兵仲間として力になれるものなら協力したいなと思います。

455 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/01(土) 22:02:54 ID:???

空気読み&気配りのめっちゃ上手そうなネイなので
それとなくで大丈夫かなと。

456 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:37:04 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
更新期間が開いてしまい申し訳ありません。
次の選択まで、と考えていたらテキスト量が膨れ上がりまして……などという言い訳はこの辺りで。
それでは早速、>>449の選択については……

>>454 さら ◆KYCgbi9lqI様の選択を採用させていただきます!
はい、集めた情報をどう判断し、どう動いていくのかはこの先の話ですが、
それが森崎とトニーニョにとって最善の方法になればいいですね。
CP3を進呈いたします。


>>451
それも一つの解決法ですね。
是非の問題ではありませんが、今回はこういった選択を採用させていただきました。
今後の立場によっては、明確な正解のない選択も増えていくかもしれません。
すべては皆様のご回答の説得力次第、というところでもあります。

>>455
はい、ネイは日常的な場面では色々と察してくれますね。
とはいえ、そう簡単に事情のすべてを話してくれるわけではありませんが。


457 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:38:04 ID:???
***

B それとなく聞くに留める。


(……搦め手からいくか)

トニーニョの様子がおかしいのは明らかだった。
しかし同時にまた彼自身の言葉から分かるのは、それが精神的な部分に根ざした
ひどくデリケートな問題であるということでもあった。
情報の少ない現時点で彼と親しいネイに事情を明け透けにするのは、親しい人物であるからこそ
躊躇われるようにも、森崎には思えた。

「そういや……最近のトニーニョ、どうしたんだ?」
「あ? なんかやらかしたのか?」

遠まわしな訊ね方に、直球の返答が戻ってくる。
どうしたものかと思いながら、森崎は言葉を選ぶ。

「いや、そうじゃねえけどよ……ここんとこ、どうもボーっとしてるっつーか、な。
 アイツにゃ集中してもらわねえと困るわけよ、こっちも」
「ま、いい加減な隊長サマにはきっちりした女房役が必要だしな」
「うるせえ!」
「つってもなあ……あ」

と、何かに気付いたようなネイが、しかし眉根を寄せて手綱を引き、馬の歩みを止める。
珍しく考え込むような表情に、森崎があまり良い予感を覚えないままやはり馬を止め、重ねて訊いた。

458 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:39:05 ID:???
「何か、あったのか?」
「もしかして、『また』……か」
「……?」

ぽそり、と口にしたネイの声音は苦々しい。
目を閉じて大きなため息をつく、そんなネイの表情を森崎は見たことがない。

「ったく……いい加減、慣れろっての……」
「何だよ、それ」

口の中だけで呟くような言い方に焦れた森崎が言うのへ、ネイが小さく首を振る。

「いや……まあ、なんつーか……トニーニョのヤツは、『ご主人様』を亡くすのが……。
 昔のコトで、ちょっとな」
「……」

あからさまに言葉を濁したネイの様子は、話せるのはここまで、と口以外の部分で雄弁に語っている。
今はまだこれ以上踏み込めないと判断した森崎が、口を真一文字に引き結んで天を仰ぐ。
しばしの沈黙の後、軽く頷いたネイがぽん、と森崎の肩を叩いて馬の腹を蹴る。

「まあ、俺の方でも気をつけとくよ。ヤバそうなら早めに報告、入れるからさ」
「お、おう。……よろしくな」

片手を上げて遠ざかるネイの後ろ姿を、森崎は見る。
鞍上の長い黒髪は、まるでその背にこびりついた過去という黒雲のように、ゆらゆらと揺れていた。

459 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:40:06 ID:???
※ガッツ20減少。
 馬術が30上がりました。

現在のガッツ:135
剣術:68 馬術:66 体術:62 魅力:78 評価:69
ATK:134 DEF:140 SPD:128 ini:25


※ネイとの関係が上がりました。
 スキルLvの上昇確率は現在-30%のため判定は行われません。

******


※称号が『気のいい見習い騎兵』になりました。

スキル『チャージ』を獲得しました。
種別:部隊パッシブ
消費ガッツ:-
効果:指揮下の騎兵の兵種打撃力を+5する。


******

460 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:41:07 ID:???

*D26.8月 「気のいい見習い騎兵」森崎有三
メインイベント


『overreach yourself』



「オウ、そこを行くのはモリサキさんではありませんカ!」
「げっ……」

石造りの白い町並みは、照り返しで道行く者をじりじりと焼く。
夏も盛りの昼下がり、汗を流しながらキャラウェイ通りを歩く森崎の耳に飛び込んできたのは陽気な声である。
ここ一週間ですっかり聞き慣れた感のあるその声の主を瞬間的に脳裏に浮かべて、思わず顔をしかめる森崎。
振り返れば、果たしてそこに立っていたのはバウミール・ルーカス。
軍部と傭兵大隊を繋ぐ役職にある男である。

「ちょうど良かったデス。これからそちらに伺うところでシタ」
「ルーカス大佐……今日は休みのはずだぜ」
『相変わらずヘンなカッコだね、このオジサン』

露骨に嫌な顔をする森崎の肩を親しげにバンバンと叩く男の服は、どこから調達したものか、
炎天下にもかかわらず長くぞろりとしたガウンのような上着を羽織っている。
大きく前の開いた上着の下には、どうやら軍服を着込んでいるように見えた。
ピコの漏らす通り、目にする度に頭を抱えたくなるような珍奇な服装のセンスは
今日も存分に発揮されているようだった。

「HAHAHA、管理職に休日なんてあってないようなモノですネ。それと、モリサキさん」
「……何だよ」

おそろしいことをさらりと言ってのけたルーカスが、森崎が身構えるのへ、ずいと迫る。

461 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:42:10 ID:???
「ルーカス!」
「……?」
『うわあ……顔、濃いなあ』

唐突に自らの名を呼んだその意図がわからず、森崎が目を瞬かせる。
暑苦しいほどに近づいてきたルーカスが、続けた。

「ワタシのことはルーカスと呼び捨てにしてくだサイ、お願いしたはずデス!」
「……いや、そういうわけにもいかねえだろ」

そのことか、と半ば安堵しながら言う森崎。

「一応、俺らの雇い主なんだからさ。大体アンタだって俺のこと、さん付けじゃねえか」
「当然デス! 言ってみれば皆さんは大事なビジネスパートナーですからネ。呼び捨てなんてできまセン」
『……』
「……はは」
「オウ、オリエンタルスマイル! 東洋の奥義ですネ!」

もはや苦笑するしかない森崎に、屈託のない笑顔を向けるルーカス。
どこまでが本気なのか、皆目検討がつかない。

「……で、何の用だって?」

掴みどころのない親父だ、と辟易しながら、森崎が尋ねる。

「ハイ、そうでシタ。今日はモリサキさんに、もう一人のビジネスパートナーを紹介したかったのデス!」
「もう一人の……?」

首を捻る森崎に、

「―――もう、いいかしら?」

462 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:43:11 ID:???
かけられる声があった。
ルーカスの背後、その大柄な身体に隠れるようにしていた影が、すっと歩み出てくる。
妙齢の女性である。
一目で東洋系であると分かる、服装と化粧であった。
襟とおくみのついた裾の長い帯留めの上着は夏らしく若草色と浅葱色でまとめられ、
足首までをゆったりと覆う空色のスカートには美しい刺繍が施されている。

『襦裙……? 珍しいね、中華のお客さんかな?』

ピコが言う中華、正しい国号を中華皇国というその国は、東洋圏に覇を唱える一大帝国である。
極東から欧州にまで流れてきた森崎としても、その文化様式程度は当然知っている。
襦裙とはその中華皇国の女性が纏う服のことであった。

『ていうかそうすると、ルーカスさんのヘンなカッコって、漢服なのかな……前、開いちゃってるけど』
(……まあ、あの上着にボタンはないからな。オビっつーベルトを締めるんだぜ、ルーカスさん)

ピコの呆れたような声に内心だけで返答した森崎が、改めて女性を見やる。
細面の整った顔立ちの、しかしその頂点に君臨するのは鋭い眼差しである。
アーモンド型の黒い瞳を彩るのは中華独特の鮮やかな紅。
燃えるような化粧に、決して負けぬ煌めきを放つ瞳であった。
己というものを世に誇れる者たちの持つ、特有の煌めき。
その自信は経験によるものか、あるいは実績に裏打ちされたものであったか。

『びっじ〜ん。キミ、気をつけてよね』
(確かに、一筋縄じゃいきません、って顔だぜ……)

肩に垂らした長い黒髪が、黄金色の繊細な耳飾りと共にさらりと揺れる。
甘く漂う香気は麝香だろうか。
ラインの出ないゆったりとした服装の下について思わず妄想逞しくしそうになる白く細い首が
微かに傾げられ、艶やかに紅をさした唇は上弦の月の形で笑んでいる。
美しく、そしてまた自分の価値を熟知しているであろう女性であった。

463 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:44:15 ID:???
「この人、は……?」
「傭兵大隊の酒保商人、許商会の代表さんデス」
『酒保……って、いつも売店開いてる、あれ?』

知らず生唾を飲み込んで聞いた森崎に、ルーカスがあっさりと答える。
酒保商人とは、軍を相手取って総合的な商売を行う商人である。
行軍に随伴してその名の通りの酒や食料の販売、武器弾薬の補充や補修のみならず
芸人、詩人、娼婦といった娯楽の提供から炊事洗濯などの日常サービスまで
およそありとあらゆるものを取り扱う、いわば戦場における生命線であった。

「酒保……? 先月まではニコラ爺さんがやってただろ」
「彼は地元で雇った小売商よ。実際にドルファンの傭兵大隊で酒保を担当してるのは私たち許商会」

短い期間ではあったが何度か世話になった、人の良さ気な老爺の顔を思い浮かべる森崎に、
直接答えたのは女性である。

「ニコラさんが引退して田舎の娘夫婦と同居するっていうんで、これからは私が直接、
 貴方たちの面倒見ようってわけ。
 ようやく本格的な戦争が始まって、仕事もこれまでとは比べ物にならないほど大口になりそうだしね」

そう言って、白くたおやかな手を差し出す女性。

「徽商・許商会、許子先の娘、許陽子(スー・ヤンズゥ)よ。よろしくね」
「森崎有三だ。こちらこそよろしく頼む」
「期待してるわよ、八騎将討伐の隊長さん?」

握り返した手を離さずに言う女性に小さく肩をすくめて、森崎が話題を変える。

「で、徽商……てーと、やっぱ中華の商人か」
「見ての通りね」

微笑むと手を離し、長い袂を夏の風に揺らして、優雅に中華風の礼をしてみせる女性。

464 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:45:16 ID:???
「父の商会は塩が本業。でも最近は本国の情勢が荒れ気味で、貿易のうまみが大きくなってきててね。
 色々手広く扱ってるんだけど、娘の私がドルファンでの名代ってわけ」

へえ、と頷いた森崎を、陽子と名乗った女性がじっと見つめる。
悪戯っぽく細められた目にどぎまぎとする森崎に、陽子がそっと耳打ちするように、言う。

「って言っても、子先は養父でね。……私、本当は貴方と同じ国の生まれなのよ」
「そう、なのか?」

驚いたように訊く森崎に、陽子が笑って頷く。

「ええ。ヤンズゥは中華の読み方。元の名前はヨーコ……っていうの」
「陽子……さん?」

何気ない一言である。
森崎としては、ただ相槌を打っただけのつもりであった。
しかし、陽子の反応は激烈だった。

「んー……! その発音、素敵っ!」
「ちょ、陽子さ……!?」

ぱあっ、と花の開くような満面の笑みを浮かべるやいなや、何と森崎に抱きついてきたのである。
絹の滑るような肌触りとその向こう側のやわらかく温かい感触、そして麝香の甘い香りが、
同時に森崎の顔を包む。

「ぐ、ぐむむ……!」
「オウ、許小姐は情熱的ですネー」

突然のことに、思わず唸ることしかできずにいる森崎。
他人事のように言うルーカスの声が、ひどく遠い。

465 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:46:16 ID:???
「あ、ごめん、つい!」

ぎゅう、と胸に抱えていた森崎の頭を慌てて解放した陽子が、小さく舌を出す。
茶目っ気のある仕草が意外と似合っている。

「ほら、ちゃんと名前呼んでもらえるのってすっごく久しぶりだし、……やっぱり嬉しいから。
 お姉さん、調子に乗っちゃった」

もしかすると、それほど歳は離れていないのかもしれない。
そんなことを考える森崎の前で居住まいを正した陽子が、改めて礼をする。

「貴方の隊の酒保を任されたのも、素敵な縁ね。今後とも許商会をご贔屓に、森崎くん!」
「ああ……こっちからも頼むぜ、陽子さん」

答礼を返す森崎の前に、

「で、早速だけど」

どこから出したものか。
ぴらり、と陽子が差し出したのは紙の束である。

「え……?」
「はい、じゃまずこれ、目を通してみて?」
「あの」
「ちゃんとした数字は後で出すから、今はこんなざっくりした書面でごめんね」
「いや、その」

ざっくりした、というわりには異様に分厚い紙束を押し付けられ、目を白黒させる森崎。

「これがこっちでざっと出した、不足してると思われる物資のリスト。でこっちが見積り、
 ここからここまでが去年の納入実績で、こっちは大隊の予算と突き合わせた今後の提案書……」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ!」

466 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:47:17 ID:???
慌てて陽子を押しとどめる森崎。

「あら、どうしたの?」
「いきなり言われても何がなんだかわかんねえよ!」

悲鳴のような声音で抗議する森崎に、しかし陽子はしれっとした顔で言う。

「このくらいの書類仕事はサクッと片付けなきゃダメよ。
 これからはこういうこと、貴方が全部やっていかなきゃいけないのよ? 隊長さん」
「いや……でもよ、物事には手順とか、修練とか、な」

しどろもどろに言う森崎。
その様子にくすりと微笑んだ陽子が、森崎の手から紙束を取り上げた。

「うふふ。ま、新米隊長さんに免じて、今日はこの辺で勘弁してあげる」
「助かるよ……」

胸を撫で下ろす森崎に、しかし陽子の追撃が待っていた。

「じゃあ明日、改めて隊長室の方へお邪魔するわね」
「なにィ!?」
「再見、また明日♪」

わざとらしく中華風の別れを告げると、陽子は振り返りもせずに去っていく。
その迷いのない足取りは、雄弁に再訪を告げていた。

「オウ、待ってくだサイ、許小姐! 私もご一緒しマス!
 それではモリサキさん、明日から頑張ってくださいネ」

それまでニヤニヤと森崎たちのやり取りを眺めていたルーカスが言って走り去るのへ
適当に返事を返しながら、森崎は暗澹たる気持ちを抱えて歩き出すのだった。

467 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:48:24 ID:???
******


「うう……明日っから数字の山が襲ってくるのか……。いきなり気が重いぜ……」
『あはは、まあ頑張ってね』

くるりと舞う相方に返事も返さず、とぼとぼと俯いて歩く森崎の目には周囲の光景が映っていない。
もしきちんと周りを見ながら歩いていれば、あるいは違う未来が待っていたかもしれない。
だが今この時、森崎に待っていたのは甲高い呼び声とふわりとした感触であった。

「―――お兄ちゃんっ!」
「うおぅっ!?」

唐突な接触に奇妙な声を上げて飛び退こうとした森崎だったが、しかし左腕に絡みつく
人肌の温もりは離れない。
視線を下ろせば、ふわふわと鼻先をくすぐる蜂蜜色の髪が目に入る。
その髪の主に思い至って、森崎が思わず天を仰いだ。

「ロリィ……。お前、いきなり何してんだ!」
「えっへへ〜。お兄ちゃん見つけたから、走ってきちゃった」
「そか……」

がっくりと肩を落とす森崎。
トニーニョと共にこの少女に振り回されたのは、戦の前だったか。
苦い記憶に眉根を寄せる森崎の様子を、それでも少女は斟酌しない。

468 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:49:24 ID:???
「ねえねえ、聞いたよ! 戦争でいっぱい、カツヤクしたんだよね!
 すっご〜い! カッコいいねえ〜!」
「おう、ありがとな……」

大きな瞳をきらきらと輝かせながら賞賛の雨を降らせるロリィに適当な礼を返しながら、
森崎がふと辺りを見回す。

「そういえば、今日はレズリーは一緒じゃないのか?」
「え、お姉ちゃん? いるよ?」

あっさりと返される。
しかし、もう一度見渡してもキャラウェイ通りの人波にレズリーの姿は見当たらない。
これまでの経緯を鑑みても、ロリィがこうも積極的にスキンシップを求めていれば
罵声の嵐と軽侮の視線がセットで送りつけられていてもよさそうなものだった。
それが、ない。

「あれ? さっきまでいたのに……どうしたんだろ、おトイレかな?」
『……キミ、ちょっとこの子にキョーイク、してあげた方がいいんじゃないかな』
「……ロリィ、女の子がそういうこと言っちゃダメだぞ」

ピコの助言通り、頭痛を抑えるようにこめかみを揉み解しながら忠告する森崎に、
えぇ、と抗議の声を上げてロリィが尋ねる。

「じゃ、おトイレ行くとき、オトナはなんて言うの?」
「そういうときはな、ちょっとお花を汲みに……あれ、違ったか、花を踏みに……ってのも
 何かおかしいな、ええと……」
「―――お花を摘みに行ってきます、だ。ちゃんと覚えときな」

背後から響いたのは、呆れたような声である。

469 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:50:25 ID:???
「あ、お姉ちゃん!」

ロリィが指差すのに振り返れば亜麻色の髪と、やや吊り上がった瞳。
レズリー・ロピカーナその人である。
しかし今日はなぜか、その鋭い瞳が右に左に泳いでいる。

「おう、レズリー。夏至祭以来だな」
「よ、よぅ、モリサキ。……無事だったみたいだな」
「ま、ちったあ怪我もしたけどな。おかげさんで、もう大丈夫だぜ」

むん、と力こぶを作ってみせれば、ロリィがわあいとはしゃいでその腕にぶら下がる。
その様子にまた一悶着あるか、と身構えた森崎の眼前、しかしレズリーは頷いただけである。

「そ、そうか。それは何よりだ。……ち、よりによって余計なときに出てきやがって……」
「……?」

目を逸らしながらぼそりと呟く、その声はよく聞こえない。

「ん? 何か言ったか?」
「な、何でもないよ! そ、それより一躍時の人って感じだよな、アンタ」
「はァ?」

いかにも唐突な話題変換に、森崎が片眉を上げる。
しかしレズリーはといえば、そんな森崎の態度を無視するように言葉を続けるのだった。

470 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:52:34 ID:???
「戦争で大活躍だったんだってな、隊長にもなったって聞いたぜ、街の噂の的だよ」
「おい、レズリー……?」
「忙しそうだな、きっと忙しいんだろうな、うんそうだろ、この後も予定がびっしりだよな」
「いや、別に……」
「忙しいって言えよ!」
「いきなりキレんなよ……」

どうにも挙動が怪しい。
記憶の中のレズリーという少女はもっと大人びた、森崎自身にはやけに噛み付いてくるものの
どこか冷めた印象を与える存在のはずだった。

「お前今日、ヘンじゃないか……?」
「何がだよ!」

怒鳴り返すレズリー。
そういうところがだよ、と言いかけた森崎よりも早く、ロリィが口を開いた。

「お兄ちゃん、オトナはこれから『ヨルノマチニクリダス』んだよね!」
「はぁ!?」

予想外の単語に、脳内での変換が遅れる。
ヨルノマチニクリダス。
よるのまちに、くりだす。
夜の街に、繰り出す。

「なるほど……」

ようやく語意を掴んだ森崎が、見上げるロリィに肩をすくめる。

「……あのなロリィ。まだ日も高いし、そもそも今日は俺、別にそんな予定……痛ッ!?」

471 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:53:35 ID:???
痺れるような激痛が、森崎の舌を止めた。
痛覚は、足先からやってきていた。
滲む涙を拭って見やれば、そこにはレズリーの履くアンクルブーツ。
どうやら踵で思い切り踏まれたらしい。

「お、お前な……」
「黙ってろ!」

針のような視線と刺すような言葉。
これでこそレズリー、と妙な納得をした森崎の目に、きらきらと煌めくものが映る。
手を組んでこちらを見上げる、ロリィの瞳であった。

「お洒落なバーかあ……」

その光は、燦々と降り注ぐ陽光を反射しているだけではない。
ある特定の年代にしか見えない、鏡には映らぬ憧憬という光を集めて煌めく、それは瞳であった。

「いいなあ、ロリィも行きたいなあ……」
「や、だから、何を言って……」
「ちょっと、アンタ!」

足を踏んだままのひどく近しい、体温を如実に感じる距離でレズリーが鋭く囁く。

「……頼む。話、合わせてくれよ」

目線は合わせようとせず、しかし切実な口調で言うレズリー。

「つってもお前、俺には何のことだかさっぱり……」
「いいから!」

言って森崎を突き放すようにしたレズリーが、ロリィに向き直る。

472 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:54:36 ID:???
「ロ、ロリィはまだ子供だから酒場には入れないんだ。大人になってからな」
「そうなんだあ……でもお姉ちゃんとかお兄ちゃんは、いっつも行ってるんだよね?」
「そ、そうだよ。アタシらくらいになれば、もう顔パスさ。な?」

と、そこで言葉を切ってちらりと森崎に目線を送るレズリー。
額に汗の珠が浮かんでいるのは、暑さのためばかりではあるまい。

「……そういうことか」

ようやく合点がいったように頷き、小さくため息をつく森崎。
その間にも、ロリィの憧れに満ちた瞳は攻勢を続ける。

「じゃあ、じゃあ、もしかして、『いつもの』とか言っちゃうの?」
「と、当然だね」
「わあ! お姉ちゃん、カッコいい〜!」
「はは……そ、それほどでもないよ」

引きつったように笑うレズリー。

「ねぇねぇ、『いつもの』って言うと、何が出てくるの?」
「え!? ……そ、それはお前、アレだよ……お酒の、」
「お酒の?」
「えーと、ほら……」

口ごもったレズリーが、森崎にちらちらと目配せをする。

(……どうしたもんかな)

しばし逡巡した森崎が、やがて口を開く―――

473 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/07(金) 00:56:42 ID:qowjHo82

*選択

A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す

B 「最近はアドヴォカートにハマってるって言ってなかったか?
   ……あれ? ところでアドヴォカートって何だっけ、レズリー?」 悪ノリする


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/7 24:00』です。


******


余談ながらGMは日本酒党、田酒・獺祭・酔鯨といったところがお気に入りです。
といったところで、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

474 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/07(金) 10:20:12 ID:???
Aレズリーに恩を売りつつ、俺はワインも良いがビールの方が好きだがね、と自らの趣向を言っておきたいですね。

475 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/07(金) 23:35:41 ID:???
A 以前トニーニョに釘を刺されてますし、あまりからかわないであげようかなと。

476 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:37:01 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>473の選択については……

>>474 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
森崎、何気に朝からビール呑んだりしてますからね。
もっともこの時代には気軽に使える氷も冷蔵庫もありませんから常温ですけど……。
今でも日本以外ではそういう呑み方をする国も多いと聞きます。
CP3を進呈いたします。


>>475
そうですね、人を呪わば穴二つと言いますし、あまり弱り目に祟り目状態を楽しんでいると
思わぬしっぺ返しがくることもあるかもしれません。

477 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:38:12 ID:???
***


A 「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか」 助け舟を出す



「ワインだろ。ヴァン=トルキア産の赤がお気に入りだって言ってたじゃないか。
 ま、俺はビール党だからな。レズリーとはよく意見がぶつかるよ」

森崎がそう言うと、レズリーがぶんぶんと首肯する。

「え、あ、そ、そうだね。やっぱり赤だよ。ヴァン=トルキアの。夏だし」

そうだな、夏だな、といかにも適当に相槌を打ってやる森崎の呆れたような視線にも、
レズリーはまるで気付く様子がない。
この間の鋭さと勘の良さはどこかに置き忘れてきたのか、と内心で肩をすくめる森崎の前で
ロリィが瞳を輝かせて頷く。

「ふーん、やっぱりお姉ちゃん、オトナだね! でもケンカはダメ、だよ?」
「わ、わかったかい? じゃあ、アタシたちは行きつけの店に……」

と、森崎に目配せしてそそくさと立ち去ろうとしたレズリーの腕に、ぽすんとロリィが飛び込んだ。

「ロリィ、お店まで着いてってあげるね!」
「え……」

478 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:39:12 ID:???
その引きつった表情を見るに、ロリィを煙に巻いた後は実際に店に入らずに
済ませるつもりだったようである。
この分ではそもそも、入る店の目星がついているかどうかも怪しい。
詰めの甘い少女に小さく首を振ると、森崎が率先して歩き出し、振り返って声をかける。

「ほら、それじゃ行くぜ。二人共」
「え、……あ」
「うん!」

夏空の下、ロリィの元気な返事だけが、高らかに響いた。


***

479 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:40:18 ID:???

「……周りの目が白いんだが」

窓のない半地下の店内では、夕刻にもまだ早い時分から幾組かの客がグラスを傾けている。
客といっても仕事にあぶれ、酒に溺れるという類の酔漢ではない。
避暑に軽くアルコールを嗜む富裕層の婦人とその従者や、あるいは商談を交わしているらしき
異国の商人たちなど、落ち着いた佇まいの店に相応しい人々である。
陽が落ちれば雇いの音楽家による演奏が始まり、酒そのものや店の雰囲気を味わう客層も
姿を見せ始めるだろう。
キャラウェイ通り北、『砂丘の星』亭はそういった店だった。

「アタシだって、もう帰りたいよ……」
「つまらん見栄を張るからだ」

森崎たち腰掛けるのはカウンター席である。
振り返らなければ他の客の様子は見えないが、しかし背中越しに感じる視線は気のせいではないだろう。
原因は隣に座る少女、レズリーであった。

「はあ……」

大きなため息に艶はなく、ただ緊張と疲労が口から漏れただけという体である。
ぐったりと丸めた背中を唐突に伸ばしたかと思うときょろきょろと周りを見やり、
内装を睨み、わざわざ振り返って他の卓の客と目を合わせては慌てて向き直る、
そんなことを繰り返している。
まずカウンター席に座らせるまでが一苦労、座らせても一向に面倒が収まらぬ。

480 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:41:19 ID:???
「いいからちょっと落ち着け」

ため息をつきたいのはこっちだ、と思いながら森崎が言う。
レズリーという少女、実際の歳よりも上に見える端正な顔立ちである。
もとより背も高く、発育もいい。
今日の服装とてアースカラーをベースにしてタイトなレザーのベストでまとめた、
強気な女性らしさを前面に押し出したものである。
堂々としていれば決して奇異の視線を集めるような外見ではないはずだったが、
何しろ挙動が不審なことおびただしい。
結果的に周囲の耳目を一身に集中させてしまっているのだった。

「うぅ……そんなこと言われてもさ」
「ったく……」

形のいい、少し薄い唇が今ばかりは力なく半開きになっているのへ眉根を寄せた森崎に、
カウンターの中から店主らしき男が注文を聞いてくる。

「何にしましょう」
「あー、そうだな……」

気分的には盛大に深酒をして憂さを晴らしたくもあったが、そうもいかない。
明日には執務机に積まれるだろう書面の山と、陽子の悪魔じみた笑顔が脳裏をよぎる。
そもそも隣の少女を、心ならずもエスコートせねばならぬ立場であった。

「それじゃ、」

適当に軽いアルコールを頼もうとした森崎だったが、それを制するように上がる声があった。

「―――い、いつもの!」

言わずと知れた、レズリーである。

481 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:42:20 ID:???
一瞬で周囲の空間を制圧した沈黙の中、もしかしたらこの少女は極度に緊張に弱い質なのだろうか、
などとぼんやり思考した森崎が、困ったように視線を向けてくる店主に苦笑を返す。

「……何かソフトドリンク、出してやってくれ。俺にはエール」
「かしこまりました」


***


「……ロリィのやつが、あんなこと言うから。引きずられただけだからな」

グレープジュースの満たされたグラスを前にして、レズリーがぶすりとした顔で呟く。
森崎が何かを口にする前に先手を打ったつもりらしいが、さすがにその段は通らない。
首を振った森崎が、常温の麦酒で喉を湿らせながら言う。

「初めての店であんな注文、通じるわけねえだろ……」
「だから、わかってるよ! そんなこと! もういいだろ!」

語調は強いが、森崎を睨む目には力がない。

「……そういうアンタは、随分慣れてるみたいじゃないか」
「そうでもねえよ。普段来るのはこんな高い店じゃなくて、安い呑み屋だし。
 ま、それでも商売柄、色んな国の色んな場所に顔は出してっからな」
「……ふぅん」

482 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:43:21 ID:???
しばらく、静かにグラスを傾ける時間が続いた。
陶器のカップではなくグラスを使う辺りは高級店の面目躍如といったところだったが、
レズリーという少女、そこには何の反応も示さない。
普段からグラスを使い慣れているのであれば、それなりに裕福な家庭に育ったのだろう。
豪農、商人、あるいは役人、高級軍人。
はすっぱな口調、手のかかった服装。
手がかりは少なく、正解を知りたいわけでもない。
単に、時間を潰したかっただけである。
そんな風に益体もない想像を巡らせる森崎の沈黙を破ったのは、カウンターに頬杖をついた少女だった。

「退屈」
「……お前なあ」

じろりと森崎。

「ガキみたいなこと言うなよ」
「ヘン、どうせアタシはガキ扱いされてるじゃないか。
 出されるのはワインやシードルどころかこんなジュースだしさ」

手がつけられない。
本当に、強気で尖った少女はどこへ消えたのかと、麦酒を口に含んで香りを楽しみながら
森崎が低い天井を仰ぐ。
もしかしたら、と思う。
普段ロリィという子供じみた存在と接している分、どこかで無理をしているのかもしれない。
今日の浅はかな背伸びなどその典型だろうし、あんなことを続けていれば疲れもしよう。
森崎の知る友人という概念とは随分と違う、奇妙な関係。
ふと、それが気になった。

483 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:47:03 ID:wGdJhpqU

*選択

A「なあ、どうしていつもロリィと一緒にいるんだ?」 軽く聞いてみる。

B(……まあ、いいか) 黙っている。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/12 23:00』です。


******


地中海性気候に加えてカミツレ山脈を抱え水資源の豊富なドルファン城塞では
子供がアルコールを嗜む習慣があまりないという設定で、といったところで
本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。


484 :◆W1prVEUMOs :2012/09/12(水) 18:48:23 ID:???

二人の関係の背景に少し切り込みたいから

485 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/12(水) 19:49:05 ID:???
A ここまで個性が違うと疑問に思うのはおかしくないと思います。

486 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/12(水) 21:12:05 ID:???
A 緊張をほぐすにもいい話題でしょうから。

487 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 00:59:00 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>483の選択については……

>>484 ◆W1prVEUMO様の回答を採用させていただきます!
はい、レズリーとロリィ、いずれを知るにせよ二人の関係は重要になってきます。
なかなか通り一遍ではいかないかもしれませんが、若い子たちには寛容な態度で接してあげて下さいね。
CP3を進呈いたします。


また、>>485 さら ◆KYCgbi9lqI様、>>486 ◆9OlIjdgJmY様の回答も
本編に反映させていただきますので、それぞれCP1を進呈いたします。

>>485
そうですね、個性、価値観、その他にも色々なものが違う二人です。
森崎が関わることでそれらがどう表面化してくるか、がこの先のお話になります。

>>486
はい、いつものルーティンを行うことでいつものペースを取り戻すのは常套手段ですね。
尖った態度まで一緒に戻ってきてしまう可能性があるのは、森崎にとっては痛し痒しですがw

488 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:00:03 ID:???
***

A「なあ、どうしていつもロリィと一緒にいるんだ?」 軽く聞いてみる。


森崎の問いに、しかしレズリーは不思議そうな顔で訊き返す。

「どうして、って……何さ」
「すげえ仲、良さそうだろ。友達っていうか、もうそれこそ姉妹みたいにさ。
 趣味とか、あんまり共通点もなさそうなのに」
「……」

少女の吊り上がった目が、一瞬だけ森崎を見てから中空へと視線を彷徨わせる。

「……さあ。わかんないね、いつの間にか懐かれてたって感じだし……」
「へぇ。いつ頃から一緒だったんだ?」
「あの子が学園に入ってきてからだから……って、なんでそんなこと、知りたがるのさ」

怪訝そうな、というよりは不審げな鋭い視線が返ってくる。
日常の光景を思い出すことで、若干いつもの調子を取り戻しつつあるようだった。
思いもかけない効果だったが、緊張を解くには適した話題だったのかもしれない。
言い繕っている風には聞こえないよう気をつけながら、森崎が続ける。

「いや、お前たちってこう、個性が全然違うっていうか……性格なんか正反対っぽいだろ。
 ちょっと気になっただけだよ」
「……ふぅん」

手元のグラスを弄ぶレズリーの目は、まだ白い。
矛先を逸らせる切り口を、森崎は探す。

489 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:01:06 ID:???
「それにしたって、何で一緒にいるのか分からないってこた、ないだろ」
「そうだね―――」

ふと考え込むようにグラスを置き、カウンターについた手を顎の下で組んで、レズリーが言葉を切る。
僅かな沈黙を挟んで、レズリーが浮かべたのは苦笑である。

「アタシはほら、こんなだから」

と、肩をすくめた表情は、つい先程までとはうって変わって、ひどく大人びている。
一瞬ごとに違う顔を見せる少女という生き物に片眉を上げた森崎が、麦酒をぐびりと喉に流し込む。

「年下の子たちには、勘違いして熱を上げてくれる子なんかもいてね。
 けど、なんていうか……やっぱり壁があるんだよ。向こうが勝手に作る壁がさ」
「……」

首を振ったレズリーの肩が揺れ、隣に座る森崎に、微かに触れる。

「そういう子たちが見てるのは結局、アタシ自身じゃない……アタシと同じ顔をした、何かなんだ。
 近づいてよく見れば、違いがわかる。わかればアタシは、悪人扱いさ」
「悪人?」
「勘違いさせて、憧れてたアタシの、そうでなきゃならない振る舞いと違うことをして、
 心にきらきら輝いてた理想像をぶっ壊すんだ。これは、裏切りってもんだろう」
「……」

視線が、絡みつく。

490 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:02:52 ID:TWs/dt2c

*選択

A 否定する。

B 肯定する。

C 沈黙する。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を、またAとBを選ぶ際は【どのように】否定または肯定するかを
必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/13 23:00』です。


******


久々の手段付記型選択肢ですが、まだまだ失敗のデメリットは小さいので
お気軽にどうぞ、といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

491 :◆W1prVEUMOs :2012/09/13(木) 20:12:08 ID:???
B
「確かに裏切りだ、でもこれで合点がいった
お前がいい女なのはその理想像を壊さないように努力してきたからなんだな」

否定して開放させてあげたいけどロリィとの仲が壊れるかもしれないので、よいしょもしつつ肯定を…
Bが地雷でこのまま決まってしまうのが怖いのでA案もどなたか

492 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/13(木) 20:35:52 ID:???
A 寄ってくる女の子達の理想を壊してしまう事に対して自分を悪人と思うって事自体悪人じゃないな。
本当の悪人はそんな事を気付きもしないし、気にもしないからな。
この商売の経験上から来るもんだがねと軽く言っといてあげたいと思います。

493 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/09/13(木) 22:15:54 ID:???
A
裏切りだけど、同時に裏切られてもある。その点ではイーブンだね。
でもレズリーは努力して、相手の期待に応えようともしてる。優しい人だ。凄いよ。
ただ、たまには素直になることも大事。じゃないと疲れちゃうからね。
そーだ、たまには思いっきり悪人っぽいこともしちゃおうぜ。夜遊びとかさ。

494 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/13(木) 22:18:57 ID:???
A 「そりゃあ勘違いする方が100%悪い。傭兵なら真っ先に死ぬタイプだな。」

まだ話の途中なので、軽い相槌程度に「お前は悪くない」と言いたいので。

495 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:06:08 ID:???

皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、>>490の選択については……

>>492 さら ◆KYCgbi9lqI様の回答を採用させていただきます!
王道の返しながら、三行目、あえて印象を軽くするフォローが心憎いですね。
年上の機微、といった感じで今の森崎というキャラにぴったりハマります。
CP3を進呈いたします。


また今回は手段付記型選択肢、初の本格稼働ということで難しい部分もあったかと思いますが、
皆様しっかりと回答をご用意いただきましてありがとうございます。
それぞれCP1を進呈いたします。

496 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:07:27 ID:???
>>491
今のレズリーは慣れない場の雰囲気に酔っているところがありますので、
関係が一気に進展してすぐにロリィとの仲が壊れるようなことは、まだないでしょう。
もし森崎が人物称号的にワル〜い男だったら、その限りではなかったでしょうが……。

こういった人間関係についての手段付記型選択肢では、選択自体にはあまり成功/失敗を
設定しないようにするつもりです(あからさまに見えている地雷を除いて、ですがw)。
それよりはやはり、内容が決め手になりますね。
相手が言われたがっていることを言ってあげるのもよし、あえて反対側から揺さぶって
リアクションを引き出すもよし、いずれにせよ重要なのは説得力になってきます。

>>493
さ、最後の一行に悪いオトナがいる……!w
現在の森崎はモラル値が高いのでちょっとそこまで踏み込めない部分はありますが、
「>努力して、相手の期待に応えようともしてる」は大変鋭いですね。
レズリーにとって重要なポイントで、この先の展開へちょっと先回りされた感すらあります。

>>494
はい、話の途中というのはその通りで、方向性としてはばっちりなのですが、
混ぜっ返しと取られてしまうとレズリーはまた機嫌を損ねてしまうかもしれません。
話を引き出すことに目標を絞るなら、沈黙するのも悪い手ではありませんでしたね。

497 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:08:28 ID:???
***

A 否定する。(>>492


「悪人……ねえ」
「何だよ、その言い方」

カウンターの向こう、店主の手元で磨かれるグラスをぼんやりと見ながら言う森崎に、
レズリーが目を細める。気にした風もなく、森崎が続けた。

「俺からすりゃ、そうは思えない、って話さ」
「……!」
「理想を壊して、裏切って……だから悪人、ってか」

気色ばむレズリーを宥めるように、殊更ゆっくりと森崎が言う。

「……そういう風に見られるのは、仕方ないだろ」

呟いたレズリーが、森崎から視線を外してカウンターに目を落とした。

「それだよ」
「……それ?」
「仕方ない、ってのさ」
「……」

顔が映るほどに磨き込まれたカウンターばかりを見つめて俯く少女に、ため息を一つ。
森崎が手振りだけで店主に麦酒の追加をオーダーしてから、口を開く。

498 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:09:30 ID:???
「自分が悪いと言われて、仕方ないと思う。それはお前、悪人の考え方じゃねえよ」
「……」

レズリーは、顔を上げない。
ほとんど空になったグラスの縁を指で何度もなぞりながら、黙っている。

「どうしようもねえクズ、救いようのねえ悪党……その手の連中は、そんな風には考えねえ。
 手前ぇのやりたいようにやることが当たり前、やらねえヤツが馬鹿なんだと、こうだ」
「……」
「連中はな、だから自分が悪いなんてこれっぽっちも思ってねえ。気付きすら、しねえんだよ。
 悪いと言われりゃ怒るか嗤うか、だ。仕方ない、なんて思えるのは―――」

思わせぶりに切った森崎の言葉を、

「……悪人なんかじゃない、って言いたいのかい」

僅かな沈黙を挟んで、レズリーが引き取った。
顔を、上げる。

「モリサキ」

背筋を伸ばして森崎の横顔を見据えるレズリーの目には、怒りに近い炎の色と
消沈と諦念を湛えた泉の色と、幾つもの感情がぐるぐると渦を巻いている。

「アタシを……慰めてる、つもりかい」
「いンや」

切り込むような声音に、森崎の即答は短く、軽い。
顔を向けぬまま小さく口角を上げたその表情は、少女の感情を容易くいなす。

499 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:10:31 ID:???
「商売上の経験、ってやつさ。そうご大層なもんじゃねえよ」
「……」

いなされた感情の渦が、潮が引くように少女の瞳から消えていく。
それでも、視線だけは森崎の横顔から離れない。
じっと、見つめる。
森崎は、見返さない。

「……」
「……」

先に口を開いたのは、レズリーだった。

「―――ロリィの話だったね」

何かを振りきるように、視線を切って言う。

「あの子にはさ……ないんだ。そういう、アタシを通して、アタシじゃない誰かを見てるって感じが。
 だから、アタシにまとわりついて、アタシのことをよく知ったって、裏切られたとは思わないでくれる。
 今ここにいるアタシ自身を見て、だけどそれでも、懐いてくれてる。
 そういう子だから、一緒にいられる……のかな」

そこまでを言って、レズリーがふと息をつく。
僅かに空いた間に、店主が麦酒を満たしたグラスを、無言で森崎の方へ寄越した。
受け取ったその手でくい、と酒を流し込む森崎。

500 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:11:32 ID:???
「だから……」

と、そんな森崎に何を言うでもなく続けたレズリーの声音が、ふと変わる。
低く篭った、しかしどこか熱に浮かされたような、独白じみた声。

「だからこそアタシは、あの子を裏切っちゃいけない。期待に応えなくちゃいけない。
 あの子が本当のアタシを見てるなら、アタシは、もっと、もっと―――」

そこまでを呟いたレズリーが、はっとしたように顔を上げた。
目線だけで回りを見回すと、森崎と視線が絡まる。

「と、とにかく」
「……?」

どこかバツが悪そうに顔を背けながら、レズリーがグラスを手に取った。

「あの子と一緒にいるのが、今のアタシたちには当たり前の形だってだけ。
 アンタにどう見えてるかは知らないけどね」

一方的に話を打ち切ると、僅かに残ったグラスの中身を飲み干した。
口の端から紫色の滴がつう、と垂れたのには、気づいていないようだった。


***

501 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:12:35 ID:???

「それより、なんか面白いことないのかい」
「あんまりキョロキョロするなっての。ったく……仕方ねえな」

とん、とグラスを置いたレズリーが言う。
話題を変えてほしいと書いてあるその顔に、森崎が顎をしゃくってみせた。

「あっちの卓、見てみろ」

森崎の示した店の一角には、他とは違う雰囲気を漂わせる調度が並んでいる。
何か模様を書いた布が敷かれた大きめのテーブルや豪華な装飾を施された飾り椅子。
燐光石による間接照明の色までが、他とは変えられているようだった。
品の良い薄暗さに調節された店内に比べ、その一角だけは僅かに黄色と紅色が強い。

「……あれ、何だい?」
「カード卓だよ。この店じゃそっち系もやってるみたいだ」
「そっち系って……賭け事!?」

思わず、といった風に声を上げたレズリーに、森崎が反射的に顰めた眉間を揉みほぐす。

「だから大声出さないでくれ、恥ずかしいから」
「……悪かったよ」
「こういう店じゃ、手汗だらけの汚い札を目ぇ血走らせて賭けるヤツはいねえ。
 あくまで余興、嗜み程度って感じだな」

拗ねたように言う少女にひとつ息をつくと、森崎が立ち上がる。

「子供の前でギャンブルってのもアレだが……ま、小銭程度ならいいだろ」
「誰が子供だ! ……って、ちょっと待てってば」

502 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:13:37 ID:???
歩き出したのは、カード卓の置かれた一角の方だった。
つい今しがた自分が口にしたことを忘れたように言い返すレズリーだったが、
しかし慌てて席を立つと森崎を追いかけてくる。

「遊ばせてもらえるかい」
「―――いらっしゃいませ。承ります」

卓のある一角には専任のディーラーが立っている。
とはいえ、あくまでバーの余興であり専業のカジノというわけではない。
卓ごとにディーラーがつくわけではなく、少なくともこの時間は一人で全体を回すようだった。
執事を思わせるモノトーンの略装に身を包んだディーラーを一目見て、

「え……?」

森崎の動きが止まった。
そんな森崎を目にしたディーラーもまた、

「あ……」

凍りついたように、固まる。
そこに立っていたのは、女性である。
品の良い所作と、端正だが常に伏せられがちな表情。
暗緑色の瞳が帯びる憂いを隠すように、長い睫毛が瞬く。
森崎が、光に透かすと緑を帯びるハンガリア系特有の黒髪を長く伸ばしたその女性を見知ったのは、
つい先日のことだった。
言葉を交わしたわけではない。
森崎が目にしたのは、ただその背中である。
血と泥とに汚れたマントを抱き締め震える、黒い背中。

「……マジョラム、さん」
「……」

503 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:16:49 ID:???
思い出すのはヤングの葬儀。
涙にくれていた寡婦が、そこにいた。

「……知り合い?」

重い空気にただならぬものを感じ取ったのか、レズリーがそんな風に訊ねてくる。
森崎の返答は―――


*選択

A 「……ちょっと、な」 言葉を濁す。

B 「前の隊長の……奥さんだ」 説明する。


森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。
その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。
期限は『9/15 18:00』です。


******


悪い男よりズルい男の方がタチが悪い気もしなくもありません、
といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。
夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

504 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/14(金) 19:27:40 ID:qxkqhA8w
おっと、一応ageておきましょうか。

505 :◆W1prVEUMOs :2012/09/14(金) 21:51:59 ID:???

世話になった人の奥さんだし、きちんとした方が失礼がないかなと

506 :見てる人 ◆S/MUyCtQBg :2012/09/15(土) 00:42:52 ID:???
B
隠す理由がないからね。ヒロインはどっちだ、って話なのでw
ヒロインに隠し事は悪い印象与えそうだし。

507 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/15(土) 08:00:26 ID:???
B ヤングは良い隊長でしたし、その奥さんをヒロインに紹介しつつ、奥さんと話してみたいです。

508 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/09/15(土) 08:04:34 ID:???
A
ヤングの死で森崎の受けたダメージってそんなに軽くないんじゃないかな、と。
突然目の前に現れたら、思わず関係性を隠してしまいそうな気がする。ショックが大きすぎて。

509 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/15(土) 12:51:55 ID:???
B 聞けるものなら、夫妻とネクセサリアの因縁について聞いておきたいから。

510 :森崎名無しさん:2012/09/15(土) 22:11:52 ID:???

世界観的にどうなのかは分からないけれども、
「夜の酒場で、この前の戦で戦死した傭兵隊長の妻がディーラーをしている」
という事実を大にして話すのは、レズリーを含めた他の客から哀れみの視線を投げかけられそうなので。

511 :D ◆wSerlfzosE :2012/09/15(土) 22:13:31 ID:???

世界観的にどうなのかは分からないけれども、
「夜の酒場で、この前の戦で戦死した傭兵隊長の妻がディーラーをしている」
という事実を大にして話すのは、レズリーを含めた他の客から哀れみの視線を投げかけられそうなので。


トリップ入れ忘れ(ノ∀`)

512 :傍観者  ◆YtAW.M29KM :2012/09/15(土) 22:14:44 ID:???
なるほど、その発想はなかった。
…しかし残念、このスレの投票には時間制限があるんだ…。

513 :D ◆wSerlfzosE :2012/09/15(土) 22:28:19 ID:???
Oh...し、知ってたんだから!ちょっといい思いつきを自慢したくなっただけなんだからね!

514 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/15(土) 22:36:01 ID:???
考えもしなかったな。

515 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 21:58:51 ID:???
皆様、ご回答ありがとうございます。
それでは早速、 >>503の選択については……

>>508 傍観者  ◆YtAW.M29KM様の回答を採用させていただきます!
成る程、そういう意味合いで関係を隠してしまう…というのは想定外でしたが、
言われてみれば実に頷ける話ですね。
すとんと落ちてくるものがありました。
CP3を進呈いたします。


516 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 21:59:52 ID:???
>>505
そうですね。
後を継いだ立場ということもありますし、礼を失することのないようにしたいところです。

>>506
この方、原作ではしっかりヒロインの一員なんですよ。
本作では諸処あって攻略対象外とさせていただきましたが……魅力的なキャラクタですね。

>>507
はい、ヤングの記憶を共有、補完できる相手ですので、そちらに興味があれば
今後も接触の機会を作って掘り下げていくことはできますね。

>>509
そうですね、物語としては存在しているんですが、ただいかんせん今は相手の仕事場なので、
深い思い出話をするには微妙なシチュエーションかもしれません。
今後も選択によっては個別に接触する機会がありますので、その際には是非。

>>511
申し訳ありません、今回は期限外となってしまいます……。
ただ、ご回答自体はとても的確でして、実際のところ選択肢Aは本来、そのご回答で
仰られる通りのベクトルを意図して設定させていただいたものです。
この時代、寡婦がいわゆる夜の店で商売をすることは文化風俗として珍しくありませんが、
(むしろ珍しくないだけに)当然のように「そういう目」で見られてしまいますからね。
期限内であれば次点としてCP1を進呈してしまいたいくらいです。
次回のご参加を是非ともお待ちしております!

517 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:00:54 ID:???
***

A 「……ちょっと、な」 言葉を濁す。


隠すほどのことではない。
一言、二言説明すれば済む話であった。
それでも、森崎はそれを口にすることを躊躇った。
たとえばそれが生業であると、何度も越えてきた経験であると整理をつけたはずの感情。
そういうものをしまい込んだ箱の蓋は存外に緩く、不意を打たれれば口を開けてしまいそうで、
だから森崎は、曖昧な言葉に感情を埋めて、衝動を受け流そうとする。
しかし無論のこと、そんな機微が事情も何も知らぬ少女に伝わるはずもない。
苛立ったように目を細めるレズリー。

「……何、それ」
「ここで話すようなことじゃねえ」
「……っ!」

口にした瞬間に、後悔する。
断ち切るような口調は、反発しか生まない。
もっとうまいやり方はいくらでもあった、はずだった。
反省に昇華する前の後悔は、何の役にも立たなかった。
案の定、レズリーの表情が変わる。
険悪、を絵に描いたような視線が、森崎を射貫く。

「へえ……コドモの前じゃ言えないような関係ってわけ」
「……」

付き合っていられない、とばかりに口を閉ざして首を振る森崎。

518 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:01:55 ID:???
感情的になりすぎていると、理解はしていた。
この対応では状況が悪化することは火を見るより明らかで、それでも止められない。
今このとき、人としての器を満たしているのは自分の心を守るための緩衝材。
その他のものは、注がれるそばから溢れ、零れ落ちていく。
どこか他人事のようにそんなことを感じる森崎の顔には、未加工のままの拒絶と苛立ちが浮かんでいる。
レズリーが気色ばんで何かを言おうとした瞬間、

「……モリサキさん、でよかったかしら」

ディーラーの女性が、静かに声を発していた。
しん、と。
空気が、変わる。
人ひとりいない湖のような声音が、圧倒的な寂莫と静謐を以て場を支配し、
ただの一瞬で棘や刃や、何かを傷つける概念の何もかもを奪い去っていた。

「いいのよ、気を遣ってもらわなくて」

森崎の名を呼んだ女性が、そう言って微かに笑う。
眉尻を下げた、少し困ったようにも見える、音のない笑み。

「いや、あの……」

森崎が女性との関係について言葉を濁したのは、決して気遣いゆえではなかった。
ただ、自らの中の癒えきらぬ傷から咄嗟に目を背けた、それだけである。
そこへ微笑を向けられ、森崎は二重の気まずさに会話の接ぎ穂を見失う。

「それに、そんな言い方をされたらその子だってきっといい気分じゃないわ」
「……」

レズリーに向き直った女性の顔には、やはり幽かな笑みがある。
秋の夜の煙雨のようなその表情を前に、レズリーから瞬く間に昂ぶりが失われていくのが分かった。
毒気を抜かれたような少女に、女性が一歩近づくと、名乗る。

519 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:04:22 ID:???
「ごめんなさい、嫌な気分にさせてしまって」
「……」
「私、クレア・マジョラムと申します。主人はこちらのモリサキさんがお勤めしている
 外国人傭兵隊の、前の隊長だったの」
「前の……って、……あ」

何かに気付いたように、レズリーが表情を曇らせる。
前隊長がイリハ会戦で戦死したという報は、どうやら耳にしているようだった。
一瞬、レズリーが森崎の方を見やる。
交わした目線は、森崎の態度の幾ばくかを察したように、既に怒りの色もない。
そのまま力なく項垂れてしまう少女に、クレアと名乗った女性が言葉をかけた。

「主人は……ヤングは、自分の仕事をしただけ。私だって、軍人の妻だもの。
 いつかこういう日が来るかもしれないって、覚悟はしていたわ」
「……」
「だから、そんな顔をしないで。ね」

穏やかに言われ、それでも何も返せないレズリーの手が、ぎゅう、と色が変わるほどに
握り締められるのを見て、ひとつ息をつくと、森崎が口を開く。

「マジョラムさんは……」
「クレアでいいわ」

淡色の微笑に滲むのは、やはり淡色の、しかし掬えば粘るような、情動の波紋である。
マジョラムという姓で呼ばれるとき、込められる意味は余人に計り知れぬ。
察して、言い直す森崎。

「クレアさん……は、どうしてこの店に……?」
「変かしら」
「いえ……そういうわけじゃ」

520 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:05:23 ID:???
言った森崎の顔は、しかし困惑を隠しきれずにいたのだろう。
その表情を見たクレアが、くすりと笑っていた。
それまでの慈雨の如き微笑ではない、人としての日常に浮かぶ笑み。
それが合図だったかのように、声音からも近寄り難いような静謐の色が消えていく。

「私も、ずっと家にばかり篭ってちゃいけないって言われて……知り合いのやっているこのお店で、
 お手伝いをさせてもらっているの」
「そう……だったんですか」
「主人の恩給があるから、お金が必要というわけではないのだけれど」

言ったクレアが、テーブルに指をついてチップを弄る。

「でも、ディーラーって……」
「これでも若い頃は色々と、ね?」

意味深に片目を閉じてみせたクレアの艶に、森崎の心拍数が跳ね上がる。
隣の少女に気取られなかったかと横目でちらりと見やれば、しかし少女もまたクレアに見入っていた。
ほっと息をついた森崎にクレアがチップを弾くと、真新しいカードを手にとって掲げる。

「私のことはいいのよ。それより、カードを楽しみに来たのでしょう?」
「あ、いや……」
「ここで引き返されたら、私がお客様を追い返したみたいに思われてしまうわ」

悪戯っぽく言ったクレアが、慣れた手捌きでカードをシャッフルすると、
小さく首を傾げて提案する。

521 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:06:25 ID:???
「そうね……シンプルに、ブラックジャックなんてどうかしら」
「あ……ええ。じゃ、それで……」

流れに飲まれたように返事をしてしまう森崎。

「そちらのお嬢さんも、彼を応援してあげてね」
「は、はい」

そして、勝負が始まった。


***

522 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:07:29 ID:???

◎基本ルール
ディーラーとプレイヤーとのカード勝負です。
複数名がプレイヤーとしてエントリー可能です。
手順に従ってカードを引き、手元のカードの点数が合計で21に近い方が勝ちとなります。

カードの点数は、2〜10は数字通りとなりますが、絵札(K、Q、J、JOKER)はすべて10と数えます。
Aは特殊なカードで、11もしくは1の有利な方として数えます。

また本ゲームでは賭け金の勝利分をEPに変換することが可能です。
まずプレイヤー個々に$10ずつ貸与されます。
ゲーム終了時の収支決算の際に$10は回収されますが、残りの勝ち分を$1=EP1として変換します。
もし収支がマイナスとなった場合でも、参加いただいたプレイヤーの皆様には
それぞれEP1を進呈いたします。

523 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:08:30 ID:???

◎ゲームの流れ

1.プレイヤー側、ベット。賭け金を自由に設定します。
 ゲームに勝利した場合は賭け金の倍額の払い戻しとなります。

2.ディーラーがカードを1枚引きます。

3.プレイヤーがそれぞれカードを2枚引きます。
 この時点でプレイヤーの点数が21であれば「ナチュラル21」として賭け金の2.5倍の払い戻し権利を得ます。
 ただし手順5でディーラーもナチュラル21だった場合は引き分けとなりますのでご注意ください。

4.プレイヤーはそれぞれ、ヒット(カードを追加する)またはスタンド(点数を確定する)を選択します。
 点数が21を超えなければ何回でもヒットすることができますが、21を超えてしまうとバースト、
 つまり自動的に負けとなってしまいます。賭け金はこの時点で没収されます。

5.プレイヤーが全員スタンドした(点数が確定した)後、ディーラーは2枚目を開きます(※)。
 ディーラーはプレイヤー側の点数にかかわらず自分の点数が17以上になるまで追加でカードを
 引かなければならず、また17以上になった時点で自動的にスタンドします。
 Aと6の組み合わせ(17もしくは7とカウントできる)の場合は17と数え、ディーラーはスタンドします。
 プレイヤーとディーラーが同じ点数の場合には引き分けとなります。
 ディーラーがバーストした場合、スタンドしたプレイヤーは自動的に勝利となります。

※この時点でディーラーが21(ナチュラル21)であればプレイヤー側の自動敗北となります。
 3枚目以降のヒットで点数が21となっていた場合でも負けとなりますのでご注意ください。
 ただしプレイヤーもナチュラル21だった場合は引き分けとなります。

6.1〜5を1ゲームとして5ゲーム行い、収支を決定します。
 プレイヤー側で最も勝っている方の収支がプラスであればイベントは成功となります。

524 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:09:59 ID:Sj1xz2ns


◎特殊ルール
ダブルダウンあり。
スプリット、インシュランス、サレンダーは採用しません。

ダブルダウン:
最初の2枚のカードを見てから、「ベットを2倍」にしてもう1枚だけカードを引くことができます。
引けるのは1枚だけで、更に追加して引くことはできません。
手順4のヒットorスタンドの際に宣言してください。
ただしディーラーがナチュラル21だった場合は追加した賭け金も没収されますのでご注意ください。


******


というわけで、今から30分ほどプレイヤーを募集いたします。
参加を希望される方はその旨をご記入下さい。
もしエントリー数が0であれば明日以降に順延となります。

525 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 22:49:06 ID:???
参加を希望しようと思ったのですが、もう30分すぎてしまってますね。
というか、一人で挑むのは荷が重いw

526 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 22:54:48 ID:???
>>525
もしよろしければイベントとは別のエキジビションということで試遊していただけますでしょうか?
まずは3ゲームほどで。

527 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:03:09 ID:???
分かりました。BJはほぼ未経験なので、不手際があったら申し訳ありません。

528 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:08:56 ID:???
いえいえ、簡単なゲームですので、お気軽に。
ではとりあえず、スタートいたしますね。

>>527
あなたは$10を持っています。
23:15までに1〜10まで、好きな数でベットを宣言して下さい。


529 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:11:17 ID:???
では、3でベットを。

530 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:12:40 ID:???
はい、それではディーラーが一枚、カードを引きます。

ハート3

531 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:13:55 ID:???
次にプレイヤーの方に2枚、カードを引いていただきます。

! card
! card

※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。

532 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:15:01 ID:???
ハートK
ハートJ

533 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:17:16 ID:???
おお…この場合は絵札を10と数えますので、合計20となります。
次にヒットorスタンドを決めますが、

ディーラーは「3+?」
プレイヤー様は「10+10」
(21を超えたらその時点で負け)

という情報を元に、カードを追加で引くか止めるかを決めます。
あまり迷う余地がない場面ですが一応、宣言をどうぞw

534 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:17:51 ID:???
もちろんスタンドでw

535 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:18:52 ID:???
はいw
次にディーラーが2枚目のカードを引きます。
ディーラーは自分の点数が17以上になるまで追加でカードを引かなければならず、
また17以上になった時点で自動的にスタンドします。

JOKER

536 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:19:54 ID:???
なんという無駄JOKER……。
ここで13なので、更にヒットします。
9、10、絵札が出たらバーストです。

クラブ10

537 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:22:32 ID:???
ディーラーのバーストです。
スタンドしているプレイヤーの方は勝利となります。

賭け金の$3*2=$6が払い戻しとなります。
おめとうございます!

それでは、ゲームの流れを掴んでいただいたところで第二ゲームです。
現在の持ち金は$13です。
自由にベット宣言をお願いいたします。

538 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:24:26 ID:???
では6でベットを。

539 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:25:33 ID:???
なかなかのギャンブラーですね!
ではディーラーの一枚目です。

ダイヤA

540 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:26:37 ID:???
ディーラーにAが来ている場合、プレイヤーの方はピンチと言えます。
ではプレイヤーの方に2枚、カードを引いていただきます。

! card
! card

※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。

541 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:27:26 ID:???
ダイヤ7
ハートA

542 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:28:39 ID:???
おお…これは非常に判断の難しい局面です。
ヒットorスタンド、決断をお願いいたします!


543 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:30:16 ID:???
ちなみにこの場合、Aは11と数えて合計は18点です。
ディーラーに7が来た場合はドロー。
8〜絵札で負けとなります。

544 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:33:30 ID:???
今度はヒットで!

545 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:35:11 ID:???
その前のめり精神に敬意を表します!
では3枚目、どうぞ!

! card

※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。


546 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:36:00 ID:???
ハートQ

547 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:37:30 ID:???
この場合はAを1と数え直し、7+1+10=18点となります。
22点以上となった場合はバーストですので、1〜3までのみセーフです。

ヒットorスタンド?

548 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:38:51 ID:???
スタンドです。

549 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:40:39 ID:???
はい、それではディーラーが2枚目を引きます!

ダイヤ9


550 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:43:15 ID:???
A+9で20点となりましたので、ディーラー勝利です。
賭け金$6は没収されます!

それでは、最終ゲームに入らせていただきます。
現在の持ち金は$7です。
ベット宣言をどうぞ(今ようやく気づいたんですが、これ最終戦で負けてたら
ノータイムで全賭け一択ですね、本番では修正しますw)!

551 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:46:08 ID:???
もちろん全掛けでw

552 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:48:25 ID:???
ですよね〜w
ではオール・オア・ナッシングの最終戦、まずはディーラーから!

ハート10

553 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:49:26 ID:???
我ながらなかなかの引きでした。
それではプレイヤーの方に2枚、カードを引いていただきます。
どうぞ!

! card
! card

※ ! と card の間のスペースを消してカードを引いて下さい。


554 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:50:27 ID:???
スペード5
ダイヤJ

555 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:52:06 ID:???
現在15点です。
ディーラーは10+?…さあ、ギャンブラー魂の結論やいかに!

ヒットorスタンド?

556 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/16(日) 23:54:57 ID:???
ヒットで!

テストプレイ的にはバーストしておくのもありかとw

557 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/16(日) 23:56:42 ID:???
素晴らしい決断ですw
それでは……どうぞ!

! card

558 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/17(月) 00:01:43 ID:???
と め る !

クラブ9

559 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/17(月) 00:08:28 ID:???
お〜っと! ◆9OlIjdgJmYくん ふっとばされた〜!!
見事にバーストです!w

賭け金$7は没収されます。
最終ゲームが終わりましたので収支を計算します。

最終収支:$0

見事なギャンブル魂を見せていただきました……!
それでは参加していただいた◆9OlIjdgJmY様にはEP1と、
試遊でシステム上の欠陥を浮き彫りにしていただいたことにCP1を進呈いたします。

本日は遅くまでのお付き合い、誠にありがとうございました!

560 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/17(月) 00:11:17 ID:???
******

それでは改めまして、本日の更新はこれまでとさせていただきます。
BJ参加を希望される方は明日18時までに参加可能な時間帯を書いてみて下さいね。
ゲーム自体は19〜20時頃か、23時〜0時頃を予定しております。

遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。
それではまた、次回更新にて。

561 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/17(月) 00:13:15 ID:???
イベント成功のためには守りに入るべきでしたねw

楽しかったですが、参加者を上手く集められるかがネックですね。

562 :◆9OlIjdgJmY :2012/09/17(月) 00:15:37 ID:???
23時〜0時頃なら参加できるかもしれません。

563 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/17(月) 00:15:39 ID:???
はい、お一人様でもこのパートのシナリオ進行は問題ないのですが、
せっかくなら大勢集まっていただいた方が楽しいですからね。
皆様のご参加をお待ちしております。

564 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/17(月) 08:58:50 ID:???
ルールもわかりやすそうなので、時間の都合が合えば参加したいと思います。

565 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/17(月) 18:03:07 ID:???
>>564
23時〜でもご参加はいただけますでしょうか?
難しいようであれば19時&23時の二部構成も検討させていただきますが。

566 :森崎名無しさん:2012/09/17(月) 18:32:55 ID:???
23時からだと参加出来ると思います。

567 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/17(月) 18:43:47 ID:???
それでは、今回は23:00からの開催とさせていただきますね。
では、また後ほど。

568 :異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/17(月) 23:00:44 ID:SVT5i/P6
はい、それでは時間となりましたので開始させていただきます。

******

卓についた森崎たちを前に、クレアが尋ねる。

「まず、今回のプレイヤーは……何人だったかしら?」


*選択

参加を希望されるプレイヤーの方はまずエントリーをして下さい。
期限は本日23:10です。

569 :さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/17(月) 23:02:13 ID:???
参加します。よろしくお願いします。

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