キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【イタリアJrは】俺inキャプ森6【弱いはず】
1 :
森末(仮)
:2014/04/09(水) 22:51:05 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品です。
参加者の皆さんの選択、及びカード引きによって物語が展開していきます。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。
☆前スレ☆
【板野くん】俺inキャプ森5【世界デビュー】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1395242717/l50
☆あらすじ☆
キャプテン森崎を心から愛する男板野住明はある日キャプテン森崎の精、
通称『森末』からキャプテン森崎の外伝スレへと参加してみないかと提案をされ外伝世界へと飛ばされる。
ふらの中学で松山達と共に鍛錬を繰り返し、1年と少しの期間を費やして臨んだ3年目の全国大会は惜しくも準決勝で敗退。
その後、同じ中学出身である松山と共に全日本Jrユースに選出された板野は、
松山、若島津らとキャプテンとしても争う事となる。
全国大会で共に競い合った立花兄弟や合宿で集中的に練習に付き合った新田らの後押しもあってか、板野は見事キャプテンに選ばれる。
そして舞台は世界へ。まず全日本Jrユースは遠征試合第一戦目であるハンブルグと対決。
西ドイツに留学をしていた若林、更に西ドイツの皇帝の異名を持つシュナイダーと強敵揃いのクラブチームを相手に、
ここまで2−2と競った試合を繰り広げる。
そして、勝ち越し点をと立花兄弟のスカイラブツインがハンブルグゴールを襲うのだが……?
501 :
森崎名無しさん
:2015/01/13(火) 23:51:38 ID:???
おかえりなさい!
いやー待ってましたよ!
502 :
森崎名無しさん
:2015/01/13(火) 23:53:46 ID:???
おお! おかえりなさいませ!
503 :
森崎名無しさん
:2015/01/13(火) 23:57:51 ID:???
おかえりなさい、待ってました!!
504 :
森末(仮)
:2015/01/14(水) 00:05:04 ID:???
>B.多少分が悪くても止めに行くぞ!2人がかりならなんとかなるはず!
=================================================================================
板野「(もう残り時間も少ないんだ! 体力なんて考えてらんないよ!!)」
ダダッ!!
ここで板野はすぐさまカルツへの距離を更に詰め、ボールを奪いに向かった。
時間は既に残り少なく、体力の出し惜しみをするような場面でもない。
もしもここで即座に奪い返せれば、シュナイダーが上がっている分むしろチャンスになると判断しての事である。
真「さぁボールを奪ったカルツくんは、そのまま持って上がっていくけど……。
これには板野くん、それにさっき入ったばかりの反町くんが追いついた!!」
響「ここでボールを奪えれば、もう一度シュートに行けるぞ! 頑張れ、2人とも!!」
板野「ここで奪い返して、もう一度突き放させてもらうよ!」
反町「(ベンチから見てただけでも、こいつのキープ力は群を抜いてたな……俺に止められるのか?)」
カルツ「(シュナイダーちゃんはとーぜんまだまだ上がり切ってないよなぁ。
他の奴に渡しても不安だし……俺が持っていくしかないだろうよ!)」
505 :
森末(仮)
:2015/01/14(水) 00:06:05 ID:???
先着3名様で、
★カルツ→ドリブル 57 (! card)(! dice + ! dice)+(本気モード+1)=★
★板野→タックル 51 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+1)=★
★反町→タックル 53 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+1)=★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。
MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→カルツが悠々と突破! 更にそのままボールを持って駆け上がる!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。左から(インメルがフォロー、インメルと沢田で競り合い、小池がフォロー)
≦−2→全日本ボールに。
【補足・補正・備考】
カルツ:クラブ以外で「ハリネズミドリブル(+3&吹っ飛び係数2)」
>>500-503
おかえりありがとうございます。またよろしくお願いします。
506 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 00:08:40 ID:???
★カルツ→ドリブル 57 (
スペード7
)(
4
+
6
)+(本気モード+1)=★
507 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 00:08:51 ID:???
★板野→タックル 51 (
スペード3
)(
2
+
5
)+(人数差補正+1)=★
508 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 00:09:32 ID:???
★反町→タックル 53 (
ハート8
)(
6
+
2
)+(人数差補正+1)=★
509 :
森末(仮)
:2015/01/14(水) 00:56:59 ID:???
>★カルツ→ドリブル 57 ( スペード7 )( 4 + 6 )+(本気モード+1)+(ハリネズミドリブル+3)=71★
>★板野→タックル 51 ( スペード3 )( 2 + 5 )+(人数差補正+1)=59★ *吹っ飛び*
>★反町→タックル 53 ( ハート8 )( 6 + 2 )+(人数差補正+1)=62★ *吹っ飛び*
>≧2→カルツが悠々と突破! 更にそのままボールを持って駆け上がる!
=================================================================================================
攻撃力はピカイチではあるものの、FWであるが為か守備能力には些か不安が残る板野。
そこそこの守備力を持っているが、やはりあくまでもそこそこレベルである反町。
そんな2人がカルツに挑みかかった所で、ボールを奪えるとは誰も思っていなかった。
カルツ「どけェッ! 今のワシに近づくんじゃねェ!!」
ドガガガァッ!!
板野「うぎゃああああっ!?(ハ、ハリネズミドリブルだけど、強引なドリブルで吹き飛ぶ選手っていつもこんな気持ちだったのかなぁ)」
反町「うわああああっ!?(や、やっぱり駄目だー!)」
そして、大方の予想通り板野と反町はカルツを止められなかった。
相手のパワーを活用し、小さな身体でも相手を吹き飛ばすハリネズミドリブル――。
板野という中学生離れしたパワーを持つ相手の力を応用したが為か、板野と反町は仲良く揃って吹き飛ばされ、
カルツは悠々とそのまま突破してしまう。
真「あーっ! 駄目だ、板野くんと反町くん、止められない!
流石は仕事師カルツくん、この大事な終盤の局面で、絶対にボールを離さない!
そのままボールを持って一気に中盤を突破、これはこのまま……最後まで決めるつもりかな?」
響「あ、でもでも、あのシュナイダーくんもゴール前に駆け込んでるぞー!!」
観客「いいぞカルツ! そのまま行け!!」「今度こそドリブルゴールだ!!」
「いや、シュナイダーに渡すんだ!そっちの方が確実だ!」
ディアス「(俺があのカルツってのなら自分で最後まで行くけど……。
このハンブルグのエースは、あのカルツじゃねぇからなぁ。 きっとフィニッシュは……)」
510 :
森末(仮)
:2015/01/14(水) 00:58:11 ID:???
シュナイダー「(よし……いいぞ、カルツ! いつでも来い!)」
カルツ「(オッケー、シュナイダー!)」
まるで止まる気配も見せず突き進むカルツを見て、一部からはこのままカルツが決めてしまうのか?という声が沸き始める。
しかし、フィールドでプレイをする者達――。
取り分けボールを持つカルツの中では、自分がこのままシュートを決めるという選択肢は無かった。
ゴール前に、このチームの絶対的なエースストライカーが走り込んでいる。
仮にマークがついていようと、彼に渡す方が自分がドリブルゴールを狙うよりも勝算があると誰よりもカルツが解っていたからである。
だが、当然ながら全日本もそう易々とカルツにラストパスを出させようとはしない。
小池「ええい! 反町の奴も何をやってやがるんだ、折角出場しておきながらこのまま何も出来なければ東邦学園の名に泥が……」
沢田「こ、小池さん! 集中して下さい!」
中山「(本気のカルツは手強い……これまでの戦いで、それはよくわかった!
だが、手強くても止めるしかない! このまま通して逆転を許すわけにはいかないんだ!)」
中里「(シュナイダーに渡るより前に止めねば!)」
両サイドハーフの沢田と小池、ボランチの中山。
そして、右サイドハーフの中里までもが一斉にカルツの元へ殺到し、決死の覚悟でボールを奪いに向かったのである。
真「これは……全日本、もう一度カルツくんに4人がかりで挑んだーっ!!」
響「さっきPKを与える前の攻防は4人がかりでもまるでびくともせず吹き飛ばされてたけど、今度こそ止めて欲しいぞ!!」
中山「みんな、死守だぞ!! ここまで来て逆転されてたまるか!!」
カルツ「大した気迫だが……そう簡単にボールをやる訳にはいかん!!」
511 :
森末(仮)
:2015/01/14(水) 00:59:11 ID:???
先着5名様で、
★カルツ→ドリブル 57 (! card)(! dice + ! dice)+(本気モード+1)=★
★沢田→タックル 51 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+2)=★
★小池→タックル 49 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+2)=★
★中山→タックル 55 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+2)=★
★中里→タックル 53 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+2)=★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。
MAX【攻撃側】−MAX【守備側】
≧2→カルツが再び6人抜き! そしてゴール前のシュナイダーへ低い弾道のラストパス!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。左から(ヤラがフォロー、ヤラと中西で競り合い、中西がフォロー)
≦−2→全日本ボールに。
【補足・補正・備考】
カルツ:クラブ以外で「ハリネズミドリブル(+3&吹っ飛び係数2)」
沢田:ダイヤで「パワーチャージ(+2&吹っ飛び係数4)」
中里:ダイヤ・ハートで「疾風迅雷脚(+2)」
512 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:00:01 ID:???
★カルツ→ドリブル 57 (
ダイヤ3
)(
2
+
4
)+(本気モード+1)=★
513 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:00:54 ID:???
★沢田→タックル 51 (
スペード10
)(
5
+
6
)+(人数差補正+2)=★
514 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:00:55 ID:???
★沢田→タックル 51 (
ダイヤ5
)(
1
+
2
)+(人数差補正+2)=★
515 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:01:16 ID:???
★小池→タックル 49 (
スペード8
)(
1
+
6
)+(人数差補正+2)=★
516 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:02:38 ID:???
★中山→タックル 55 (
クラブ9
)(
4
+
2
)+(人数差補正+2)=★
517 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:08:45 ID:???
★中里→タックル 53 (
ダイヤ5
)(
5
+
1
)+(人数差補正+2)=★
518 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 01:08:59 ID:???
相手の普通の引き=こっちの良い引きってのが辛いねぇ
★中里→タックル 53 (
スペードJ
)(
5
+
6
)+(人数差補正+2)=★
519 :
森末(仮)
:2015/01/14(水) 01:11:26 ID:???
本日は一旦ここで区切らせていただきます。
改めまして、またよろしくお願いします。
しばらく離れていたのでちょっと文章などに変な所があるかもしれませんが、笑って許してもらえるとありがたいです。
それでは。
520 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 21:13:15 ID:???
見ろ、人がゴミのようだ(白目)
521 :
森崎名無しさん
:2015/01/14(水) 21:16:27 ID:???
遅ればせながら乙です&お帰りなさい。
スレ主さんの文章が大好きだったので、戻ってきてくれて本当に嬉しいです。
522 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:03:00 ID:???
>>521
乙ありがとうございます。嬉しいと言っていただけて、私も嬉しいです。ありがとうございます。
>★カルツ→ドリブル 57 ( ダイヤ3 )( 2 + 4 )+(本気モード+1)+(ハリネズミドリブル+3)=67★
>★沢田→タックル 51 ( スペード10 )( 5 + 6 )+(人数差補正+2)=64★ *吹っ飛び*
>★小池→タックル 49 ( スペード8 )( 1 + 6 )+(人数差補正+2)=58★ *吹っ飛び*
>★中山→タックル 55 ( クラブ9 )( 4 + 2 )+(人数差補正+2)=63★ *吹っ飛び*
>★中里→タックル 53 ( ダイヤ5 )( 5 + 1 )+(人数差補正+2)+(疾風迅雷脚+2)=63★
>≧2→カルツが再び6人抜き! そしてゴール前のシュナイダーへ低い弾道のラストパス!
==============================================================================================
カルツ「(正直言って見くびってた……まさか東洋の島国が、ここまで俺達と互角に渡り合うなんてな!)」
四方八方より自身に迫る4人を見ながら、カルツは小さく胸の内で彼らに対し謝罪をする。
最初のたった1分……若林からの提案で自由に攻めさせた事からも見て取れるように、
ハンブルグの選手たちは全日本の事をまだまだサッカーについては発展途上である弱小国であると断定をしていた。
試合開始直後に1点を取られた事も、あくまでも若林が止められなかっただけ。
自分たちならばすぐさま得点を返し、一気に試合を決める事が出来る筈であると誰もが思っていた。
だが、現実は違った。
523 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:04:01 ID:???
シュナイダーが逆境に置かれた時に見せる驚異的なパフォーマンス。
カルツが追いつめられてからようやく発揮する本気のプレイ。
そして手を抜く事を止め、いつも通り――いや、いつも以上の力を見せてプレイをするハンブルグの面々。
それでも全日本は何度も食らいつき、肉薄し、既に試合終了間際となっていながらスコアは3−3のイーブン。
ただのまぐれでもなく、またハンブルグの手加減によるものでもない。
たかだかサッカー発展途上国と思っていた国は、自分たちの思っていた以上に強かった……。
そう考えるしかない程のここまでの試合展開であった。
故に、カルツは謝罪をした。
カルツ「(すまんな全日本! それでも最後に勝つのは、俺達ハンブルグだ!)」
最後の最後まで伯仲し熱戦を繰り広げようと、それでも勝つのは自分たちであると。
このまま同点で終わるのではなく、勝って終わらなければならないと考えていたからである。
524 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:05:02 ID:???
ドガァッ!
小池「ぎょぴっ!?」
カルツ「(お前さん達も国の為に、自分の為に、この試合に勝ちたい所なんだろうな!)」
バゴォッ!
沢田「げほぉっ!!」
カルツ「(じゃがそれは俺達ハンブルグも同じだ! ヨーロッパNo.1クラブチームの誇りに賭けても、負ける訳にはいかん!!)」
ガゴォッ!
中山「ぐっ……はっ!!」
カルツ「(何よりこの試合は……)」
バギャアッ!
中里「ぐぼぉっ!!」
カルツ「(シュナイダーとハンブルグでする、最後の試合なんだよ!!)それっ、シュナイダー!!」
バシュウウッ!!
525 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:06:07 ID:???
既にバイエルンへの移籍が決定している西ドイツの若き皇帝――カール=ハインツ=シュナイダー。
Jrユースクラスとはいえ、既にプロとしての自覚も目覚め始めているカルツ達にとって、
仲間がクラブ移籍をするというのは寂しさもあれどそれもまたプロの世界にはままある事であると理解をしていた。
しかし、それでもシュナイダーと同じクラブチームでプレイをするというのはこれが最後の試合。
その晴れの舞台を有終の美で飾ってやろうと思うのは、人として当然の心持ちであったと言えるだろう。
正に鬼気迫るという表情でその花道を飾るべく4人をアッサリと弾き飛ばしたカルツは、
そのまま一気にゴールへと走るシュナイダーへラストパス。
ワーワー! ワーワー!!
観客「いいぞ、カルツ!」「お前がいればシュナイダーが移籍をしても安心だ!!」
真「あ〜っ! カルツくん、再び……再び4人抜き!!
板野くん達を含めれば、これで6人抜き! 凄いキープ力だ!!」
響「そしてボールは……うが〜っ! やばいぞ、またシュナイダーくんに渡ろうとしてるーっ!!」
板野「(カ、カルツがここまで凄かったなんて……いや、凄さは十分知ってたつもりだけど!
それでもこんなにあっさりと中山さん達が抜かれるなんて!? って……ま、まずい!)わ、若島津!!」
若島津「ちっ……!」
シュナイダー「(カルツめ……フッ、こうまでされて決めきれなければ男じゃないな!)」
そして、シュナイダーもまたカルツの心意気をプレイを見て解っていたのか、
小さく笑みを浮かべながらもすぐさま獲物を狙う狩人のような瞳を浮かべながら飛んでくるボールに合わせ、
そのまま大きく飛び上がりジャンピングボレーの体勢を取る。
早田「(げっ、ダイレクトボレー!? 一旦トラップしてあのファイヤーショットとやらを打ってくるんじゃねぇのか!)」
これを受けて、マークについていた早田は内心苦く思いながらも慌ててシュナイダーに打たせはすまいと自身も飛び上がる。
それはシュナイダーの必殺技は既に見せていたあのファイヤーショットであると考えていたからこそのささやかな疑問であったが……。
一方でシュナイダーがシュート体勢に入った瞬間、そのような疑問を一切持たず。
むしろこれがただのボレーシュートではないと感づいた者達がいた。
526 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:07:43 ID:???
ビリビリビリッ……!!
若島津「!?」
中西「なっ、なんやこの悪寒は!?」
若島津健、中西太一。
共に日本を代表するレベルのキーパー(もっとも両者の間にはレベル差があるが)であるとされていた彼ら2人である。
彼ら2人はシュナイダーと相対しただけで、これがただのボレーシュートではない……。
なんとしてでも逆転だけは許したくないと、そう考える全日本守備陣を嘲笑うかのような、
余りの破壊力を秘めたシュートであると瞬時に悟ってしまう。
中西「(ただのボレーやない……まさかこいつ、板野みたいに……!?)」
若島津「(ファイヤーショットを、ダイレクトボレーで打てるとでも言うのか!?)」
正に圧倒的な実力を持ってして全日本ゴールを脅かそうとするシュナイダーの覇気に、
もはや中西は軽く戦意を喪失してしまいそうになりながら……それでもその巨体を持ってしてクリアーに。
一方で若島津は軽く周囲の状況を確認しながら、自身はどうすべきかと素早く思考を張り巡らす。
若島津「(クリアー要因は皆無! 相手のFWは当然こぼれ球に詰めている!
ここで飛び出してこぼれ球にしてしまえば……『バランスを崩す』どころではなく、『ゴールを空っぽ』にしてしまうも同然!
位置的に考えても、三角飛びでフォローも出来ん! どうする、若島津健!
一か八か飛び出すか、それともこの拳で弾き返すか!)」
試合の残り時間は既にロスタイムに差し掛かっており、ゴールが決まっても決まらずとも、すぐさま笛は鳴ってしまうだろう。
つまり全日本の勝敗に関する末路は引き分けか、負けかの二択。
今この時、全日本の命運は守護神――若島津健のその腕、或いは脚にかかっていると言っても過言ではなかった。
527 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:08:58 ID:???
☆どのセービング方法でいきますか?
A パンチング セーブ力:60(1/4で+2) ガッツ消費80
B キャッチ セーブ力:57 ガッツ消費40
C 飛び出し せりあい力:60(人数補正+1) ガッツ消費40
D 浴びせ蹴り せりあい力:64(人数補正+1) ガッツ消費200
シュナイダーのダイレクトファイヤーの威力:67
若島津ガッツ 850/850
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
528 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:09:09 ID:RF4ZvomQ
D
529 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:09:22 ID:4ewvOH/Q
D
530 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:31:29 ID:???
>D 浴びせ蹴り せりあい力:64(人数補正+1) ガッツ消費200
================================================================================
若島津「(いや、恐れるな!!
確かにゴールを開けてしまう事になるが、それでも俺が1番の自信を持っているのはこの空中戦だ!)」
バッ!!
逡巡した後、やがて意を決した若島津は迷う事無く飛び出し、
その右足を突きだしながらシュナイダー目がけとびかかった。
ゴールを空にするというハイリスクな賭けではあるが、ただパンチングをするよりは遥かにゴールを守れる可能性が高いと踏んでである。
真「シュナイダーくん、背後から来る難しいボールにピッタリ合わせてるよ!
だけど全日本も3人がかり! 必死にこのボールを打たせまいとクリアーに向かってる!」
響「時間は……もう殆ど無いぞ! お願いだからここで止めてくれ〜!!」
板野「た、頼む若島津!(若島津の浴びせ蹴りならまだ勝負になる筈!)」
若林「(ここで止められれば若島津に『シュナイダーのシュートを止めた事がある』という実績を作られてしまう!
てめぇは怪我をしてもいいから、意地でも決めろシュナイダー!!)」
早田「わりぃが俺達も負ける訳にゃいかねぇんだよ!」
中西「(くっそ……震えが止まらん! 板野相手の練習でもこんな事なった覚えはないで!!)」
若島津「キェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」
シュナイダー「 F I R E ! ! 」
531 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 00:32:39 ID:???
先着4名様で、
★シュナイダー→ダイレクトファイヤー 67 ( ! card )( ! dice + ! dice )=★
★早田→低いクリアー 57 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+1)=★
★中西→低いクリアー 57 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+1)=★
★若島津→浴びせ蹴り 64 (! card)(! dice + ! dice)+(人数差補正+1)=★
と書き込んでください。カードやダイスの結果で分岐します。
≧2→シュナイダーのダイレクトファイヤーが全日本ゴールに突き刺さる! 試合終了!
=1、0、−1→ボールはこぼれ球に。そして左から順に(ヤラがねじ込み)(ナイカがねじ込み)(松山がフォロー)
≦−2→全日本ボールに。試合終了!
【補足・補正・備考】
シュナイダーの「ダイレクトファイヤー」には吹っ飛び係数2がついています。
532 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:32:59 ID:???
★シュナイダー→ダイレクトファイヤー 67 (
ハート4
)(
3
+
1
)=★
533 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:33:17 ID:???
★シュナイダー→ダイレクトファイヤー 67 (
クラブK
)(
5
+
2
)=★
ふぁいやー
534 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:33:54 ID:???
★早田→低いクリアー 57 (
スペード4
)(
6
+
6
)+(人数差補正+1)=★
535 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:34:49 ID:???
★中西→低いクリアー 57 (
ハートQ
)(
5
+
5
)+(人数差補正+1)=★
536 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:35:04 ID:???
★若島津→浴びせ蹴り 64 (
ダイヤJ
)(
5
+
2
)+(人数差補正+1)=★
537 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:35:16 ID:???
★若島津→浴びせ蹴り 64 (
ダイヤ10
)(
5
+
5
)+(人数差補正+1)=★
538 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:35:22 ID:???
★若島津→浴びせ蹴り 64 (
クラブ6
)(
1
+
5
)+(人数差補正+1)=★
539 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 00:36:15 ID:???
負けなかった、これでイタリアと戦えるぜ(更なる地獄)
540 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:04:33 ID:???
若島津「守ったぞォ!」
541 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:07:15 ID:???
あれっ、これどうだっけ?
早田が70で弾いてるけどはじいても若島津あびせげった状態なんだっけ?
一応松山フォローだけど
542 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:12:40 ID:???
若島津も他のクリアーと同時判定だから松山のフォローで問題ないと思う
543 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:47:17 ID:???
>★シュナイダー→ダイレクトファイヤー 67 ( ハート4 )( 3 + 1 )=71★
>★早田→低いクリアー 57 ( スペード4 )( 6 + 6 )+(人数差補正+1)=70★
>★中西→低いクリアー 57 ( ハートQ )( 5 + 5 )+(人数差補正+1)=68★
>★若島津→浴びせ蹴り 64 ( ダイヤJ )( 5 + 2 )+(人数差補正+1)=72★
>=−1→ボールはこぼれ球に。松山がフォロー
==========================================================================================
カルツからのハンブルグでのラストパスを受け取ったシュナイダー。
その蹴り足から放たれようとしたのは、彼の代名詞となっているファイヤーショットである。
ダイレクトに、ジャンピングボレーの形から放たれるそれは地上で放たれるファイヤーショット以上の威力を秘めており。
これを止める事は並のGKどころか、一流のGKでさえも難しいとされる程のものであった。
故に、観客たちの誰もがこれは決まったと確信めいた予感を持っていた。
バギャゴッ!
早田「俺をタックル一辺倒の奴だと思うなよっ!!」
シュナイダー「なっ!?」
そしてその予感は裏切られた。
既に世界レベルとも言える程のタックルの巧さを誇り、しかしそれ以外は然程得意とは言えなかった伏兵――早田誠。
そんな彼の、タックルの次に得意としているのがこの空中戦である。
次藤や中西といった巨漢にも負けない当たりの強さとジャンプ力を持つ彼はその負けん気の強さで超威力のシュートにも恐れず飛び込み、
ボールを間に挟んでシュナイダーとの力比べをし、一瞬ではあるものの彼の動きを止める事に成功する。
若島津「よくやった早田ァァァッ!! でりゃあああああああっ!!」
ガギィィイイイイイイイイイイイインッ!! バゴォンッ!!
カルツ「なっ……」
若林「ばっ、おまっ……!」
544 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:48:20 ID:???
たかが一瞬ではあったが、それでもその一瞬だけで若島津にとっては十分であった。
早田とシュナイダーの間で挟まれるボールを横やりする形で飛びげりした若島津は、
そのまま高く跳ね上がったボールを咄嗟に両腕でパンチング。
結果、ボールはゴール前から大きく離され、全日本は試合終了間際、絶体絶命のピンチを辛くも脱出する事に成功する。
ワアアアアアアアアアアアアアアアッ!?!?!?
観客「なっ、なんでシュナイダーのシュートが決まらないんだー!?」「て、手を抜いてるのかよシュナイダー!!」
「そんな事する筈ないだろ!」「それじゃあどうして……」
マリー「(お兄ちゃん……)」
ディアス「(決める所でキッチリ決めきれないのかよ……って感じだが。
それでも十分な威力のシュートだったよな。 ウチのGK達じゃ間違いなくとめらんねぇ。
となりゃ……ニッポンの守備陣が予想以上に実力者揃いだったって事かねぇ。
ま、俺ならかるーく突破出来るんだろうが。 ……逆に言えば俺くらいしか点を奪えねぇ、か)」
この結果を受けて、観客たちからは悲鳴にも似た声が上がる。
シュナイダーのシュート――しかもただのボレーシュートなどではなく、ファイヤーショットが止められた。
ここまでの試合で全日本の実力が決して低くは無いという事をわかっていたとしても、
その現実は彼らにとって信じがたいものでしかなかった。
そんな混乱をする彼らを尻目に、
そっと偵察に来ていたアルゼンチンの至宝――ファン=ディアスはゴール前に佇む若島津達を苛立たしげに睨みつけるのだった。
545 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:49:28 ID:???
シュナイダー「………………」
そしてシュートに失敗をした張本人。
カール=ハインツ=シュナイダーはといえば……驚きに満ちた表情で若島津を見つめたままその場に立ち尽くし、微動だにしなかった。
どれだけ想定外の事が起きようとも、常に冷静にプレイに走るシュナイダーにとって、
時計が止まっていない間微動だにしないというのは極めて珍しい事であり。
それだけ若島津達のファインセーブが彼に与えた衝撃の強さを物語っている。
しばらくそうしていたシュナイダーだが、やがていつまでもその場にいられないと意識を取り戻したのか。
そのまま踵を返して自陣に戻ろうとするも……。
若島津「ナイスシュート」
シュナイダー「!? 貴様……!」
不意に背後から声をかけられ、振り向いてみれば……そこには不適な笑みを浮かべた若島津の姿。
前半戦、シュナイダーのただのボレーシュートを止めた際に言われた、
まるでこちらを見下すかのように放たれたシュナイダーの発言を模して放たれたその言葉を受け、
シュナイダーは若島津を睨みつけるのだが……若島津もまた睨み返しながら、更に口を開く。
546 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:50:33 ID:???
若島津「俺達を舐めるなよ……!
今日の試合……貴様にハットトリックを決められこそしたが、次に戦う時……。
フランス国際Jrユース大会では、この借りは必ず返す!」
シュナイダー「……最初から本気を出していれば、などという言い訳はしない。
何より、最後のシュートは間違いなく本気でゴールを狙いに行ったものだ。
こちらこそ……今日の日の借りは、倍にして返してやる」
若島津「ふんっ!」
シュナイダー「………………」
若島津からしてみれば、今日の試合は何度もファインセーブを見せたものの……。
終わってみれば3失点と多くの失点をしてしまっており、全日本の守護神としては不満な結果。
シュナイダーからしてみれば、ハットトリックを上げる活躍はしたものの……。
その内はPKで取った1点であり、また、最後のシュートチャンスを含めもっと点を取れていてもおかしくない試合展開であった。
それでも僅か3点に終わってしまったというのは、それもまた彼にとって不満な結果である。
そんな彼らの口から出た言葉は、互いに満足の行く成果が出せなかったからこそ、
次に対戦をした時こそは必ずや相手を完膚なきまでに叩きのめしてやるという決意表明。
ただそれだけを発言すると、再びシュナイダーは踵を返して自陣へと戻って行き、
若島津もまた、地に手をついて立ち上がると小さくため息を吐き緊張から解き放たれるのだった。
早田「(よくぞ言ってくれたぜ若島津! 胸がスッとすらぁ!)」
中西「(……やっぱコイツには敵わんなぁ。 認めたくないけど認めなしゃーないわ)」
※早田と中西の若島津への評価が+1されます。
※絶体絶命のピンチを阻んだ事で若島津の支持率が上昇します。 若島津支持率:38→39
※若島津とシュナイダーの関係が 若島津→(リベンジ)←シュナイダー になりました。
547 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:51:35 ID:???
若林「なっ、なっ、なっ……何をやってやがるんだあの野郎は……!
(若島津の株が上がると相対的に俺の立場がねぇんだよ!!)」
カルツ「こりゃ参った……お手上げだ(まさかファイヤーショットが止められるとはなぁ)」
板野「す、すごい! 凄いぞ若島津!(やっぱり浴びせ蹴りって強い!)」
松山「ナイスプレイ、早田、若島津!!(さて、ボールは持ったけど……)」
その後、若林が忌々しげにシュナイダーを睨みながら地団太を踏んだり、
カルツがお手上げと言いつつ両手を上げて茶化すように降参のポーズを取ったり、
板野が純粋に若島津の凄さについて改めて認識しながら素直に称賛をしたり……と各々反応を示す。
そんな中でボールを持ったのは中盤深い位置まで戻ってきていた松山だったのだが……。
ピーッ! ピーッ! ピーッ!!
それと同時に審判の長い笛が鳴り響く。
日本にとっても、そして、世界にとっても。
互いにとって驚きと発見が満ちていた、あまりにも内容の濃すぎる練習試合は、
こうしてようやく幕を閉じたのだった。
見上「(3−3……まさか、ここまで善戦出来るとはな。
中西と立花兄弟の連携など収穫も多い試合だったが……負けん気の強い奴らの事だ。
この程度で満足はしまい。 いや……してもらっては、困る)」
森末「(よく頑張ったね、板野! ハンブルグを相手に引き分けなら上出来過ぎるよ!!
ただ……不安もあるんだよなぁ。 イタリアの事とか。 なんとかして板野に伝えないと……)」
全日本Jrユース 3−3 ハンブルグJrユース
548 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:53:12 ID:???
真「試合終了〜っ!! 全日本JrユースvsハンブルグJrユースの遠征試合第一戦は、3−3のドローで試合終了!
いやー……最初は日本の押せ押せムードだと思ってたけど、途中からはかなりハンブルグに押し込まれる展開だったね」
響「でもでも、日本は一度もハンブルグを相手に逆転は許してないんだぞ!
そういう意味では、日本がずっとハンブルグに優位と言える立場で戦えてたんじゃないかな?」
真「スコア的にはそうかもしれないけど、でも、ハンブルグも流石に名門っていう貫録があったよ。
……最後のシュートは惜しかったけど、シュナイダーくんがいるだけでいつ逆転されてもおかしくなかったしね」
響「つまり総括すると、いい勝負だったって事だな!」
真「うん、そうだね! 本当に、面白い試合だったと思うよ!」
ざわざわ…… ざわざわ……
観客「くそーっ、結局引き分けかー」「最後に決めきれなかったシュナイダーが悪いよー、シュナイダーがー」
「いや、あれは止めたニッポンが凄いんだ」「たかだか東洋の島国だと思ってたのになぁ」「あの長髪のGK欲しいなぁ」
そして試合が終わり、実況を務めたアイドルの2人が試合の総括。
観客たちも試合の感想を言い合って盛り上がる中で、このスレの主人公――板野くんはといえば。
板野「(お、終わった……やっと終わってくれた……こ、怖かった……)」
いつ逆転されてもおかしくない。
シュナイダーの実力と世界とのレベル差を誰よりもわかっていた彼はそんな緊迫続きの60分間からようやく解放され、
どっと押し寄せてきた精神的疲労に倒れそうになりながら、額に浮かぶ汗をぬぐっていた。
だが、やがてその緊張が解かれてしばらくすると彼の心に湧き上がってきたものは……。
549 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:54:12 ID:???
A.惜しい所まで行ったにも関わらず、勝てなかった悔しさ
B.強敵ハンブルグを相手に対等に渡り合えた嬉しさ
C.ストライカーとして完全に負けているシュナイダーへの劣等感
D.外国で修行をしていた(筈の)若林の実力への不安感
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
>>539-540
勝てはしませんでしたが負けなかった。実力差を考えれば、大金星ですね。
>>541-542
クリアーは全員同時判定ですね。飛び出し=浴びせ蹴りもクリアーと同じ扱いになります。
550 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:54:49 ID:RF4ZvomQ
A
551 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 01:55:51 ID:???
本日はここで一旦区切らせていただきます。遅くまでのご参加ありがとうございました。
それでは。
552 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:57:45 ID:???
>D.外国で修行をしていた(筈の)若林の実力への不安感
どうしてこうなった…乙乙乙
553 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:59:30 ID:950mSZss
A
554 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 02:00:59 ID:w5SgkGSs
C
乙です
若島津の評価が高くなるのがうれしい
そして相対的に下がる若林の評価
555 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 07:19:12 ID:???
板野くんの課題としてはプレイの幅を広げたいとこ。
全体的に底上げされているとはいえ、翼日向森崎抜きでよく引き分けることができた万歳
最後は失点するものかと。
556 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 07:45:13 ID:???
イタリアと試合するのはわかるけどブレーメンはどうなるんでしょうね
557 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 08:56:03 ID:???
シュナって割とへたれるよね
2Dで9の差で弾かれるとかかなり運が良かったとしか
558 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 13:06:57 ID:???
一応まこっちゃん2Dで12でボールにも触れたけど、若島津の判定が優先だからフラグはお預けだっけ?
559 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 18:47:34 ID:???
3点取られといてなんだけど
シュナイダーの引きの悪さには助けられるし
このままでいて欲しいよ
560 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 18:49:15 ID:???
引きが良ければ5点ぐらいとられるから、悪いぐらいでちょうど良い。
561 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 20:44:13 ID:???
キックオフシュートを余裕で決めてくるとか普通にありえたしね
562 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:32:48 ID:???
>>552
>>554
乙ありです。
>>558
この場合は若島津の判定が優先なので、お預けになりますね。
もしも若島津が早田と同数値以下でしたら、フラグゲットになっていました。
563 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:34:10 ID:???
>A.惜しい所まで行ったにも関わらず、勝てなかった悔しさ
===================================================================
やがて恐怖心が過ぎ去ると、板野の胸中に現れたのは――試合に勝てなかった、という事実に対する純粋な悔しさであった。
キャプテン翼の……そして、キャプテン森崎の読者でありファンである板野には、
このハンブルグ戦というのがどれ程勝つ事が難しい試合であったかは重々承知していた。
海外とのレベル差に加え、シュナイダー、カルツという実力者が相手では苦戦は必至。
引き分けに出来ただけでも値千金と言ってもいいくらいだったのだが……。
頭ではそう理解していても、感情が必死にそれを否定してくる。
板野「(また勝てなかった……もうあんな気持ちはしたくなかったのに……また勝てなかった……!)」
中学サッカー大会準決勝――ふらの中学対東邦学園。
松山率いるふらのに所属をしていた板野は小池率いる東邦学園と対戦し、
その対決は熾烈を極め、PK戦にまでもつれ込んだ。
結果的にふらのは辛くも敗北を喫してしまうのだが……その際、板野は一目も憚らず号泣をしていた。
負けた、勝てなかった、悔しい。
言葉にしてしまえばあまりにも陳腐で、一見すると幼稚とも取れる感情。
だが、それがその時板野が感じた素直な感情であった。
そしてその時、板野は誓った……もう二度と負けない。
これほどまでに悔しい思いを、もう二度と味わいたくないと。
しかし、そう決めた矢先……全日本Jrユースの初の対外試合は、負けこそしなかったものの勝利する事が出来なかった。
もう二度と味わいたくないと感じたあの苦い思いを再び板野は受ける事となり、
板野はつい先日の準決勝の時と同じく、その瞳に大粒の涙を―――。
板野「ちくしょう……!」
流す事はなかった。
564 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:35:11 ID:???
松山「! 板野……」
板野の変化に真っ先に気づいたのはこの中で一番付き合いが長いと言える松山だった。
彼は微かに呟くように……しかし、はっきりした声で絞り出された板野の声を聞くと驚いたような表情を浮かべる。
板野の性格は、端的に言えば酷く子供っぽい。
それは純粋で素直とも言え、
それに加えて人並の優しさを持つ彼の口から口汚く『畜生』という言葉が出た所を松山は見た事が無かったからである。
しばらく呆気にとられたように板野を見つめる松山だったのだが……。
しかし、やがて彼の胸中に察しがついたのか、小さく誰にもわからない程度に頷きながら納得を示す。
松山「…………(1得点を上げた。 それだけで満足、する訳がないよな。
俺達は負けなかった。 だが、勝った訳じゃない。
ゴールを上げられたからって、ただそれだけで喜べるような人間じゃないもんな……。
個人の成果がどれだけ優れていたって、チームとして勝てなければ何の意味も無い……そうだよな。
勝てなくて喜べる筈がない。 俺達は勝つ為に努力をしてきたんだから……!)」
無論、選手間での個人的な勝負というものに拘りを見せ、いつも以上のパフォーマンスを発揮するという事に不満は無い。
松山としても、かつては若島津に対してライバル心を持ち打倒若島津の為に北国シュートを開発した程である。
だが、例えその間で勝敗がついたとしても……チーム自体が勝てなければ意味は無い。
板野と同じく悔しい思いをしてきた松山もまた、試合中で感じた自身の無力さを含めて勝てなかった悔しさに駆られ、
引き上げていくハンブルグ選手の背中を睨みつけるのだった。
565 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:36:13 ID:???
板野「ちくしょう……! ちくしょう……!」
新田「(フリーだったってのに決めきれなかった……!
シュート以外なんの役にも立てない俺が力を見せれるのは、唯一あの場面だけだったってのに!
これじゃ合宿で散々付き合ってくれた板野さんに申し訳がたたねぇよ!)」
反町「(殆どプレイに絡めなかった……出場出来た時間が短いのもあるけど、結局その程度の選手としか見られてないって事なんだよな。
その上で、板野や立花兄弟達フルメンバーと言える全員でかかっても、引き分けがやっと……か)」
板野の呪詛を聞きながら、新田は悔しげに歯噛みをし、反町は悲痛な表情を浮かべる。
合宿で多くの時間を割いてもらった上で完成させたシュートを決めきれなかった新田。
最後の最後、監督にすら殆ど期待されていない状態で送り出され、結局成果も何も出せなかった反町。
沢田「(突破はある程度上手く行った場面もあったけど、絶対的じゃなかった。
それに……守備じゃ完全にお荷物だったな、僕……)」
小池「おかしい……全国大会優勝を果たした東邦学園率いるこの小池秀人様が何故勝てない……。
よ、よもや……これが東邦学園と世界との壁という事なのか……?」
中山「(……小池ですら感じる程の世界の壁。
余りにも大きく、余りにも高く……そして、余りにも堅すぎる。
だが……俺達はこんな所で終わらない!)」
攻撃では要所で活躍を見せたものの、守備に関してはかなりお粗末だった沢田。
同じく守備面でも活躍が出来なかった上、攻撃面でも目立った活躍のなかった小池。
全日本No.1DFとの触れ込みでありながら、その絶対的な強さというものを示す事の出来なかった中山。
566 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:37:20 ID:???
早田「(2点目のアレは板野の指示もあるが、俺がシュナイダーを止めきれなかったのも一因っちゃ一因だ。
クソッタレが! カミソリファイター早田誠の名が聞いてあきれるぜ!)」
中西「(DFとしてのアピールはぼちぼち出来たとは思うけど……ほんま、あくまでぼちぼち程度やったなぁ。
今のまんまやと、ただの立花の土台役や)」
中里「(今日の試合、拙者は何もしておらぬ……オーバーラップも失敗に終わり、守備は言うまでも無し。
サッカーは難しい、難しいと思っておったが……これが、世界のサッカーでござるか)」
若島津「(3失点……か。 都大会以来だな、これほどの大量失点は。
しかもこちらには東邦のボンクラとは違い役に立つDFどもがいる。 それでこの体たらく……)」
最後に大きなファインプレーを見せたものの、ストッパーとしてシュナイダーを止める事の出来なかった早田。
好判断などでDFとしての動きに問題は無いとアピール出来たものの、決して大活躍とはいかなかった中西。
攻撃ではオーバーラップを即座に止められ、守備ではまるで役に立てなかった中里。
都大会――対武蔵中学戦以来の大量失点を喫してしまった若島津。
彼らにも当然後悔の念はある。
567 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:38:23 ID:???
そして――それは彼らだけではない。
井沢「(松山ですらハンブルグを相手にまるで何も出来てなかった……俺じゃやっぱりOMFは無理……。
い、いや、違う! 松山は確かに凄い奴だが……俺だって決してアイツに負けてる訳じゃないんだ。 空中戦での強さとか。
アイツ以上に力をつけて、奪い取りさえすればいいだけの話なんだ……)」
次藤「(……シュナイダーのファイヤーショット。 あれは……あれは間違いなく板野のマグナムシュート以上タイ。
世界はひろか……日本でケンカに明け暮れてた時じゃ考えられん程、どえらい連中ばっかりタイ……)」
和夫「(結果だけを見りゃ、俺達だけで2点取れたって言っていいんだけどよ……)」
政夫「(それも最初は手加減されて。 2点目はPKだからなぁ……それにその2発で俺達はガス欠だったし)」
三杉「(負傷さえしていなければ……と、言い切れないのが悔しい所だ。
何よりこの試合は6人までの交代がありとされていたが、本大会では3人まで。
もしもこの試合が本大会ならば、フィールドには体力が切れた立花兄弟が残り続けてた事になるが……。
そうなれば結果が違っていた事くらい、子供でもわかるな)」
板野「ちくしょう……!」
見上「(……まずは自分たちが井の中の蛙である、と把握出来たか。
問題はここから大海へと漕ぎ出せるかだが……見ている限り、殆どの連中は悲しさではなく悔しさを感じているか。
フッ、揃いも揃って負けず嫌いどもだ)」
途中交代をしベンチに下がった選手。そして、試合に出る事すら敵わなかった者達。
彼らは日本と世界との大きすぎる壁に圧倒され……これが今の自分たちの実力なのかと、ここに至ってようやく理解をし、
やがて沈黙に包まれていった。
呪詛を呟き続けていた、板野でさえも。
来生「(……あれっ、試合終了!? おっ、俺の出番は!?)」
なお、一部には理解が出来ていない者もいた。
568 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:40:00 ID:???
一旦ここまでです。ここからはNPCシーンが長くなるかもです。
569 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 00:11:45 ID:???
連日更新乙です&おかえりんさい
570 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:07:29 ID:???
シュナイダー「すまんな、みんな。 ラストパス、決め切る事が出来なかった」
カルツ「はー……あそこで決めてくれりゃー格好よかったってのによ。
ま、そこら辺は言いっこなしだ。 誰だってミスキックくらいはあるからな」
こうして全日本のメンバー達が悔しさに身を震わせていた頃。
ハンブルグの選手たちもまた、(一部の者を除いて)集まり声を掛け合っていた。
常にハンブルグは全日本に対してリードを許すという展開だった為に、
彼らとしても常に冷や冷やする試合だったのだが……。
終わってみれば3−3の引き分け。手放しで喜ぶわけには行かないが、なんとか面目を保ったと言える結果と言えるだろう。
そんな中でシュナイダーは1人、最後の絶好のチャンスで決めきれなかった事を仲間たちに謝罪するのだが……。
どんなに優れたストライカーでもミスキックはある、と誰もが理解をしており。
また、この試合が練習試合である事もあってか彼を糾弾する者は皆無であった。
……一部にはこの輪に交わらず、恨みがましい目でにらんでくる者もいたが、彼については殆どの者が無視を決め込んでいた。
ヤラ「しかし思った以上に手こずったな……正直、下手なクラブチームよりずっと手強かったぜ」
ブリーゲル「ああ。 実際にこっちは結局一度もリード出来てなかったしな」
カルツ「こりゃ大会の前に実際に手合せ出来て正解だったな、シュナイダー」
シュナイダー「ああ……(敵のGK……ワカシマヅ、だったか。 大会では必ず借りを返すぞ)」
全日本のメンバー達が悔しさを感じる一方で、彼らの反応はといえばカラッとしたものだった。
無論、シュナイダーを初めとして、
仮にもヨーロッパNo.1クラブと言われているハンブルグの面々が、
サッカー発展途上国と言われる全日本に引き分けたという事実は重いと感じている。
だが、彼らのメンタリティは環境の違い故かプロに近いそれだった。
勝負に絶対はない――勝つ事もあれば負ける事もあるというのが、プロの世界。
油断をしていた格下相手に負けそうになってしまう、というのも常にある事。
この試合が練習試合だったという事もあってか、彼らにとって後悔などを感じるのはひと時の事であり、その目は既に前を見据えていた。
571 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:08:44 ID:???
若林「(くそっ! くそっ! くそっ!! どうしてこうなった!! どうしてこうなった!!)」
そんなハンブルグの面子とは違い、そう簡単に割り切れない男がいる。
若林源三である。
先ほどからシュナイダー達を恨みがましい目で見つめていた彼であったが、
シュナイダー達が無視を決め込んでいると判断するとすぐさま八つ当たりをするように地団太を踏み始めた。
若林「(こんな筈じゃねぇんだよ! 本当なら5−0くらいで勝ってる筈なんだよ!!
なんだったら試合終了間際に相手に打たせて、
『フン、この1点は俺からのプレゼントだ。ありがたく受け取りな』くらい言ってやりたかったんだよ!!)」
彼の思い描いていた理想の試合展開は、自身が完全に全日本の攻撃をシャットアウト。
逆に若島津が守るゴールからシュナイダーが大量得点をし、世界と日本との壁――。
もとい、天才GKであり西ドイツに留学をしていた若林源三とその他の日本の選手との格の違いを見せつける事だったのだ。
それが蓋を開けてみれば若林は立花兄弟のスカイラブツインで早々に失点。
更には2点、3点と失点を重ねてしまい……とてもではないが格を見せつけるどころの話ではなかった。
若林「(本当にどうしてこうなったんだ……!? 俺が一体どこで間違えたっていうんだ!
このままじゃ全日本のキャプテンどころの話じゃねぇ。
正GK争いだって……スコアは3−3だったものの、ストライカーの格を考えりゃ若島津の方が優れてると思われかねん!
というか、どうして若島津如きがシュナイダーのファイヤーショットを止めてるんだ!?
どういう事なんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!?)」
こうして若林は理想と現実のギャップに苦しんだ。
絶対的な地位を手に入れる筈が、逆にこのままでは全日本内での居場所すらないかもしれない。
一瞬、大会において……ハーフタイムを迎えて帰ってくる仲間たちをベンチで迎え、
控え選手として試合に出場する選手たちにドリンクやタオルを配る姿を想像してしまう若林。
それはまさにゾッとするような考えであり……。
やがて地団太を踏むのを止め、頭を抱えるようにして苦悩する若林だった……。
572 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:10:13 ID:???
真「ふー、終わったねー。 これでやっと一息つけるよ」
響「実況ってずーっと喋ってないといけないから疲れるぞ……うー、これ本大会でもしないといけないんだよな?」
真「本当なら本職のアナウンサーの人とかにやって貰えればいいんだけどなぁ。
ま、プロデューサーもこれも一つの経験って言ってたんだし、頑張ろうよ」
一方、この試合の全てを全日本へと中継する為に同行をしていたTVクルー。
そのスタッフの一員である765プロ所属アイドル、菊地真と我那覇響の2人は、
慣れないサッカーの実況という大役を終えてほっと一息をついていた。
ようやく一仕事が終わったとはいえ、まだまだ先は長い。
これから全日本のメンバーは練習試合を重ね、それからはフランス国際Jrユースへと参加するのである。
遠征をするたびに各国を渡り、時には取材もしなければならないのだから、このくらいではへこたれていられないのだ。
真「予定だと明日はブレーメンとイタリアJrユースとの練習試合……。
その後はオランダに渡ったりしないといけないし、大会になれば当然フランスに行かなきゃね」
響「ハードスケジュールだなぁ……あ、そうだ!
早速試合が終わった後だし、感想を板野くん達に聞いてきた方がいいんじゃないか!?」
真「あー、それは……今はやめておこうよ」
響「むがっ!? どうしてだ?」
真「負けた訳じゃないけど、勝った訳じゃないし……それに見てみなよ、皆の顔をさ」
早速日本に残るサッカーファンの為にも、試合が終わったばかりの彼らにインタビューを……と駆けだそうとする響だったが、
これには真が苦笑をしながらストップをかけ、フィールドで未だに佇む彼らを指し言葉を続ける。
真「ボク達だって、オーディションで負けたばかりの時に記者の人にインタビューなんてされたら……嫌じゃないか。
そういう時って大体悪徳さんだし」
響「……そういえばそっか」
真「だからさ、今は何も聞かない方がいいと思うんだ」
響「そっか……うん、そうだな。 次……皆が勝った時には、ちゃんと聞けるようにしたいな!」
仕事でついてきているとはいえ、彼女たちもまたサッカーファンである事には間違いない。
実際にプレイをするでもなく、外から単に見るだけの彼女たちであったが……。
しかし、彼女たちは確かに彼らの事を応援しているのだった。
573 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:11:34 ID:???
それから数十分後。
やがて選手たちが帰り支度を済ませ、またTVクルーも早々に撤収し……観客たちも誰もいなくなった試合会場にて。
一人、森末は物陰に隠れながらため息を吐いていた。
森末「(はぁ……なんとか引き分け。 もうちょっと勝てそうだった分惜しかったといえば惜しかったけど、それでも十分過ぎる戦果だ。
板野も若林からゴールを奪えたし、キャプテンもほぼ安泰と言っていいな。
でもやっぱりイタリアの事が不安過ぎるよ……)」
この世界の管理者……だった筈の森末。
彼の溜息の原因、不安の種は……無論、この試合中に観戦していた者達の中にいた集団。
イタリアJrユースの主力メンバー達についてである。
正しい歴史ならばイタリアJrユースはこの時点でキャプテンのジノ=ヘルナンデスしか主力はおらず、その戦力は余りに脆弱。
しかし、この世界では本来はいない筈のストラット、バンビーノ、ランピオン、ジェンティーレ。
本編において絶対的な力を見せたFWとDFに、優秀なMFとポストプレイヤーが加わっているのである。
森末「(流石にワールドユース編みたいな無茶苦茶な技を覚えてないとは思う。 というか思いたい。
このままでもバランスがおかしいっていうのに、そんな事になったらリセットは必至になっちゃうよ。
っていうか本当にどうなってるんだ? まさか他の国も強化されたりとかしないよね?
急にベルリンの壁が崩れましたとか言って西ドイツにフライハイトとかポブルセンとか入らないよね……?
っと……ん……?)」
世界を管理する者として、1番に彼が考えているのはバランス――秩序である。
板野に何度も言って聞かせているように、この世界はあくまでも森末が作り出したゲーム。
ゲームであり、そして板野が初期設定で「難しい」を選んだ以上、
ある程度難しくは作っているが、それでも十分にクリアー出来るレベルのものを作らなくてはならない……と森末は考えていた。
故にこのまま敵チームばかりが強くなるようでは不安しかないと頭を抱えるのだが……。
そんな悩める森末の耳に、ぼそぼそと誰かの声が聞こえてきた。
一体この試合会場に自分以外に誰が残っているのかと、
思い声の聞こえた方角へと姿が見つからないように気を付けながら近づいていけば……。
574 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:12:39 ID:???
ディアス「……ってなわけで、シュナイダーはやっぱり脅威ですよ。
今日は調子が悪かったのか、プレイに精彩を欠いてましたけどね。大会でも西ドイツは要注意です」
バルバス「そうか……」
森末「(ディアスと……あれは、バルバス監督か! 一瞬スーツ着てるからわからなかった!)」
そこにいたのはこの試合の偵察に来ていたアルゼンチンの至宝、ファン=ディアス。
そして、アルゼンチンJrユース監督のディエゴ=バルバスであった。
どうやらバルバスはディアスを迎えに来たらしく、
2人はバルバスが乗ってきたと思われるタクシーに近づきながらも今日の試合観戦での収穫について話しあっている。
森末もそんな2人につかず離れず、バレないような適度な距離を保ちながら2人の会話に耳を傾けるのだが……。
バルバス「それで、日本はどうだった?」
ディアス「思ってた以上にはやるって印象ですね。 なんか曲芸師みたいな双子とか、面白いのもいましたけど。
実力も大したもんです。 特に9番と14番……あの2人は要警戒じゃないですかね。
マグレかもしれないけど、シュナイダーのファイヤーショットを止めたGKも俺以外じゃゴールを奪えないでしょ」
バルバス「そうか……出場していた選手にはイシザキやミサキといった名前はなかったか?」
ディアス「? いえ、覚えてないですね……多分いなかったと思いますけど。
何かあるんですか?」
バルバス「何、私の友人がかつて日本で住んでいた事があったらしくてな。
その時、近所の小学生にサッカーを教えていたそうだ……その子供が、丁度お前たちと同じ年齢だからな。
もしかすれば……と思ったんだが」
森末「(……ここらへんは、別におかしくはないか)」
バルバスの言う友人というのは、間違いなくロベルト本郷その人の事なのだろう。
大空翼というサッカー少年がいない世界ではあるが、ロベルトは確かにこの世界にも存在し、
目の怪我の治療の為に日本に来訪。
どこに住んでいたか、どうやってかかわったかはわからないが、原作・本編と同じく南葛で石崎達にサッカーの特訓をしたのだろう。
575 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:13:55 ID:???
バルバス「しかし話を聞いている限りでは、日本も要警戒のようだな。
特にFWとMF……点はお前さえいれば、幾らでも取れると言えるんだが……」
ディアス「……ま、任せておいてくださいよ。 ほら、俺ってば天才ですから。
俺がいれば日本が相手だろうが西ドイツが相手だろうが勝てますって」
森末「(ん?)」
そのまま、特に情報などは得られそうにないかと思い引き返そうとする森末だったが……。
不意にディアスの口調が陰った事に、強い違和感を感じた。
森末の知るディアスといえば、基本的に陽気で自信家というもの。
この場面も、ディアスなら明るい笑顔で笑い飛ばす勢いで言うものと思っていたのだが……。
ディアスの見せた表情は間違いなく真剣なそれで……まるでそれは死地に向かおうとする戦士のような顔。
本編でもままみせた事のある、冷静で非情な一面を見せられた気分になる森末だったが、
更に違和感と言えば……と思いつき、ある事実にここに至って気づく。
森末「(そういえば……おかしいぞ。 どうして……ディアスの隣に"アイツ"がいないんだ!?)」
もしかして……と不安を抱く森末。
バランスは保たれなければならない、森末は確かにそう考えていた。
だが、だからといって……必要以上に世界を"改変"してはならないと、されてはならないと、森末は同時に思っていた。
だから何かの勘違いであってくれと、森末は強く願った。
バルバス「すまんなディアス、アルゼンチンの命運……全てをお前に賭けるような真似をして」
ディアス「大丈夫ですよ、監督。 俺は必ず優勝してみせます。
"アイツ"の喧嘩に巻き込まれて参加出来なくなった、"パスカル"や"ガルバン"の分もね」
しかし、その願いは届かず。再び改変の片鱗を見せつけられた。
強化されたイタリアと比較するように、弱体化されたアルゼンチンの内情を聞かされたのだ。
576 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:15:01 ID:???
――フランス パリ
イタリアとアルゼンチンの改変。
それによって世界の管理者が多大な衝撃を受けている中、国際大会が行われるフランスの都・パリ。
ここでもまた、この世界に本来はいてはならない筈の人物が姿を表そうとしていた。
岬「(確か日本の皆が来るにはまだ時間があるんだっけ?
ヨーロッパ各地を遠征試合しながら回るみたいだけど……どれくらいやれてるのかなぁ。
三杉くんと松山がいれば中盤はそこそこ回るだろうし、守備も若林くんが合流するなら多分大丈夫だろう。
でも世界とのレベル差もあるからな……攻撃に関しても不安だらけだし、多分痛い目にあいまくってるんだろうなぁ。
そういえばキャプテンは誰なんだろう?
松山か若林くん、それに若島津って所だろうけど……松山がなってくれてると僕にも恩恵があるから嬉しいんだけどなぁ)」
リフティングをしながら階段を下り、思いを馳せる男――岬太郎。
原作では誰よりも優しさに溢れているかのような甘いマスクを持った大人気キャラも、
この世界では本編同様、それはあくまでも表の顔で裏では徹底的な利己的主義に凝り固まっていた。
既に片桐の手によって全日本代表への参加を要請され、
全日本サッカー界の覇権を奪う為にもとこれに乗り気であった彼は、
この頃常にチーム内での立ち回り方について想像を膨らませる。
岬「(ただ松山は……殆ど僕と同じ程度の実力者、なんだよね。
出来る事なら僕よりワンランク上の人がいて、僕がそのパートナーって形になれればいいんだけどな。
まあ……無い物ねだりしても仕方ないけど)」
この世界においての彼の立ち位置は、本編同様のように見えて、しかし、その実少し違う。
本編では絶対的なOMFという存在もあってか、あくまでも縁の下の力持ち的役割に甘んじていたものの、
この世界ではその絶対的な存在がいない為にその価値も大きく増していた。
故に、彼としては甚だ不本意ではあるが、誰かを支えてその甘い汁を啜るという行為は難しいかもしれないとも考えていた。
577 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:16:11 ID:???
岬「(ああ、それにしても楽しみだなぁ。
今からどうやって振る舞うか、どうやって好感度を上げるか、どうやって評価を高めるか……。
想像だけでワクワクしてくるよ)」
それでもやはり、全日本サッカー界の覇権を握るという大仕事を前にして、岬は珍しくテンションが上がっていた。
だからという訳ではないが、階段の下に人物が立っている事に気づかず――。
ダダダダダッ! パシィッ!
岬「!? えっ!?」
その人物が一気に階段を駆け上って自身がリフティングをしていたボールを奪い取っても、
まるで反応をする事が出来なかった。
岬に出来たのは思わず素っ頓狂な声を上げながら、ボールを奪った人物を振り返り視認する事。
岬「きっ……君は……?(あの髪色……日本人? って、なんだあの髪型? 凄いセンスだ……)」
???「アハハ! 久しぶりだね、岬くん!」
岬「へっ?」
そしてその人物がいきなり自分の名を呼んだ事による驚きで、目を白黒させる事だけであった。
578 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:17:13 ID:???
>>569
乙あり、おかありです。これからまたよろしくお願いします。
判定はありませんが本日は一旦ここで区切らせていただきます。
それでは。
579 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 02:23:07 ID:???
乙です
・・・アルヘンは実質天パのワンマンチームなように見えてアシスト役のパスカルと
ガルバンという壁がいないのは大きい
あいてのフィニッシャーは天パだけだし点の取り合いでかなり余裕が持てる
まぁ戦えると決まったわけじゃないけどね
フランスはまぁいつも通りだろう
580 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 02:41:42 ID:???
乙乙!
日向に続いてまさか奴まで来るのかw森崎ももしかしたら……続き楽しみにしてます!
581 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 03:48:08 ID:???
森崎はもう出たぞ
582 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 16:47:19 ID:???
翼が敵になるのか?
583 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 17:00:03 ID:???
若林の脳内w
584 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 22:09:11 ID:???
なるほど、イタリアとアルゼンチンの立場が逆になるんだね。
アイツはまさか…
585 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 23:15:47 ID:???
翼という分かりやすいスタープレイヤーに価値を見出して
全日本入りしない岬とかはありえそう。
関係ないけどカリオストロはやはり名作
586 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:17:41 ID:???
>>579-580
乙ありです。
=================================================================================================
それから数十秒……岬は唖然としたまま、件の男――恐らくは自分と同年代であろう少年を見つめ続けていたのだが、
岬太郎のその最大の長所は誰よりも素早く回転をする頭脳である。
すぐさま平静を取り戻すと、彼は謎の少年の身なり、年齢を即座に分析し自身が知る人物であるかどうかを脳内で整理。
それも芳しくないとなれば、街の草サッカー仲間らこれまでのフランスでの生活で培われた人脈からここまで得た情報で、
かつて自身に会いに来たエル=シド=ピエールのように自分の実力を見定めに来ようとした者かどうか確認しようとするのだが……。
少なくとも彼の脳内ライブラリーの中に、彼の特徴と一致する情報は存在しない。
岬「(旅行者というのはまずない。 僕の名前を知っている段階で、それは無い筈だ。
確かに小学生時代、南葛小で全国大会に優勝をしたけれど……あの時の主役はあくまで若林くんの筈だ。
僕はあくまでもフィールダーとして、若島津から辛うじてゴールを奪えた程度の男、という認識……だから誰も知らない筈。
ならこれまでに渡り歩いてきた土地での友人かと言うと絶対違う。 これだけ特徴のある髪型なら覚えてる筈だ。
それはこの土地――フランスで過ごす日系人だと仮定をしたとしても同様。
……いくら意識が上の空だったからといって、僕からボールを奪うなんて並大抵の実力じゃない!)」
常に脳内で思考を繰り返し、先手を取って自身が優位に立とうとする岬にとって、
このイレギュラーな『来訪者』の存在は正に青天の霹靂であった。
尚も混乱をし、どう対処をしたものかと躊躇する岬に対し――件の少年は大いに悲しそうに眉を下げ、
それでも奪ったボールを岬以上に華麗にリフティングをしながら口を開く。
587 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:19:22 ID:???
???「……信じられなかったけど、本当に俺の事を覚えてないんだね」
岬「(覚えてない……という事は、やっぱり一度会っているのか? まずい、これだけの実力者と仲たがいになる訳には……)
い、いや、そんな事ないよ! ただ、突然の事でビックリして……」
???「ううん、いいんだ! 岬くんも、石崎くんも……誰も、俺の事を知らない。
ここはそういう世界だって、神様が言っていたから!」
岬「……は?」
ここで少年との接点を失っては未来において岬がサッカー協会にある程度の地位を得た際、
相当の実力者と関係を築けているという大きなアドバンテージを失う事になる。
それだけは避けたい岬だったのだが……不意に彼の口から「神様」、などという一見すれば危な過ぎる発言を聞いて、
いよいよ平静を取り繕う事が不可能となってしまった。
岬「(もしかして……相当"アレ"な人物なのか? この人は)」
???「だけど、どうしても会っておきたかったんだ……これから岬くんは、Jrユース大会に参加するんだろう?」
岬「(どうするどうするどうする!?
変に関わり合いになると面倒かもしれない……でも、これだけの実力者と関係を持てなくていいのか!?
上手くコントロール出来れば松山以上に使える"友達"になってくれるかも……)」
???「俺も出来る事なら参加したい……もう一度、ディアスやピエール……それにシュナイダーと戦ってみたかった!
ワールドユースでは、一度も戦えなかったからね。
だけど、それは駄目だって……今は出来ないって言われたから、諦めたんだ。
それでも、俺、岬くんを応援したくて……」
岬「(ピエール? 戦った? それに……ワールドユースだって!? 一体何を言ってるんだ彼は!?
本当に"アレ"なのか!? どうする、逃げる!? いやでも追いかけられたらまずいぞ!?)」
逃げるべきか、それともこのまま彼と対話をするべきなのか。
迷いに迷う岬に対して謎の少年は言葉を並べ続けるのだが、当然岬としてはそれどころではない。
完全にパニック状態となり、押し黙る岬だったのだが……。
588 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:20:36 ID:???
???「頑張ってね、岬くん! フランス国際Jrユース大会、必ず優勝してくれ!
そしていつかまた……いつかまた、一緒にプレー出来る時を待ってるから!」
大声で――ともすれば絶叫とも取れる声量で、わざとらしく両手を口にあてて叫ぶ謎の少年。
もしもこれが普通ならば――いつもの岬ならば、どこか照れた様子(勿論演技)ながらその声に応える。
或いはこのように相当"アレ"そうな人物に大声で話しかけられれば、全速力で逃げていただろう。
だが、この時の岬の反応はそれらとは違った。
岬「う……うん! 頑張るよ! 絶対に、優勝してみせる!」
???「うん、その意気だ! 大丈夫、岬くんに若林くん……それに皆の力を合わせれば、絶対に優勝出来るよ!」
それはまさに反射のように岬の口から出てきた言葉だった。
自分の頭が、少年の言葉を脳内でよく理解してから適切と思われる返答をするいつもの受け答えではなく。
ただ、少年の言葉に対して頭が理解をしてからではなく心が――否、"魂"が先に反応を示して答えた。
少年のまじりっけの無い満面の笑みと素直で純朴な声援を受けて、岬太郎はただそう反応する以外になかったのである。
岬「!?(い、今……僕はなんて……!?)」
???「それじゃあ、またね岬くん!」
589 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:21:50 ID:???
やがて我に返り、自身の反応に自ら驚く岬を尻目に、
少年はニコッとこれまたわざとらしすぎる程に清々しい笑みを浮かべてそのまま立ち去って行った。
後に残ったのは茫然とする岬に、転々と転がる少年が置いて行った"トモダチ"。
しばらく呆けていた岬だったが……それでもようやく転がるボールを回収すると、
改めて少年が去って行った方角を見つめ、物思いに耽る。
岬「(一体……一体、なんだったんだ……?
初対面の相手に頭で考える前に先に言葉が口から出るなんて、今まで無かった事なのに……。
それに……これは……この気持ちは……?)」
ボールを持ちながら、不意に岬が瞳を閉じれば……。
その瞼に映るのは、つい先ほどまでそこにいた謎の少年の快活な笑み。
笑顔を得意な顔であると自負する岬から見ても、それはあまりにもわざとらしすぎたものだったのだが……。
それでもそれは、何故か深く深く、岬の心に刻まれてしまっていた。
しかも悪印象ではなく、好印象として。
あの笑顔を見るだけで、気持ちが嬉しくなる。
共に笑いあいながら、サッカーをプレイしたい。
それは遠い昔、岬がまだ利己主義に目覚める前――本当に純粋にサッカーを楽しんでいた頃に、置いてきた筈の感情。
この世界では……少なくとも、このフランスに移り住んだ頃には既に、その感情は失くしてしまっていた筈である。
それを思い出させた――否、「本来あるべき岬太郎」に近づけたのは、間違いなくあの少年の笑顔。
一体あの少年は何者なのか……そして、自分の心に一体何が起こってしまったのか。
岬がそれを知る事になるのは、まだ先の事である。
590 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:22:57 ID:???
タッタッタッタッ
???「ただいま、神様!」
眼鏡の男性「ああ、おかえり。 どうだった、久しぶりの再会は?」
一方、岬の元から立ち去った少年は、やがてこのフランス……パリにある公園へとやってくると、
そこで待ち構えていた男性――眼鏡をかけ、やや痩せた体型の壮年の男へと駆け寄り、首尾を報告していた。
???「やっぱり、岬くんが俺の事を覚えてないのは悲しいよ……。
この調子だと石崎くんや若林くん……それに、ロベルトも俺の事を覚えてないっていうのも本当なんだろうね」
眼鏡の男性「仕方ないさ、ここはそういう世界なんだからね。
でも大丈夫、落ち込む事はないよ。 この世界も、いずれ、僕の思うように……。
そう、『キミ』を中心とした、『キミ』の世界に変貌する筈なんだからね」
しょげ返る少年を慰めるように優しげな口調で話す男性。
彼もまた、少年のようにこの世界にはいない筈の存在――。
いや、存在しないどころではない……本来ならばこの世界の事など、知る由もない筈なのがこの男性である。
しかし、彼は間違いなくこの世界の存在を感知し――そして森末が恐れていた通り、変革しようとしていた。
眼鏡の男性「まず手始めに、イタリアを強化しておいたよ。
僕が今まで描いて来た中だと弱いイタリアっていうのは読者からは不評だったようだし、ね。
あれだけ強化すれば、この世界で主人公『だった』男はかなり苦戦する筈だ。
そうなれば、彼は主人公では完全になくなる。 大会の決勝にすら出れない主人公が、存在する筈がないからね」
???「そっか……全日本が負けちゃうのは悲しいけど……。
でも、ゲームでの俺とチームメイトだったストラットも活躍出来るなら、それは嬉しい事だね」
そして実際に、男は行動を起こしていた。
イタリアJrユースが強化されている原因――。
チェザーレ=ストラットが暴力事件を起こしていない、という歴史を『創り出した』のは、この男の所業によるものだった。
管理者と言える森末以外にストーリーを曲げる事が出来ない筈のこの世界。
その世界で、新たな歴史を作りだせたという事実こそが――少年が彼を『神様』だと呼んでいる一つの要因だった。
591 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:24:00 ID:???
絶世の美女「はぁ……やはりあのイタリアの強化は貴方の仕業でしたか」
眼鏡の男性「おや? 君たちは……」
和気藹々と、これから変わってゆく世界について話しあう少年たち。
そんな少年たちに呆れたような声をかけたのは――かつて中山が全日本Jrユースの合宿に参加する直前に出会った少年。
その少年の隣についていた、誰もが見惚れるかの如き美貌を備えた絶世の美女であった。
絶世の美女「あまり派手に動かれると困るんですけどね……。
私達にもある程度の力があるとはいえ、この世界はあくまでも私達がいた世界とは別。
歴史を変えるのにも大きな力を使いますし、どんな副作用があるかもわかりません。
何よりまだ私達は表舞台に立てない……その時までに力は蓄えておきたい所ですのに」
眼鏡の男性「何を言うんだ。 君たちだってアルゼンチンを弱体化させたんだろう? お互い様じゃないか。
……というか、なんで弱体化なんてさせたんだ。 全日本が勝ってしまう」
美女の非難に対し、思わず男性は反論をするのだが……。
これに美女はやはり憂鬱げなため息を吐きつつ、子供に言い聞かせるようにして説明をしていく。
絶世の美女「あなたにはわからないかもしれませんが、この世界はゲームですの。
確かに主人公が負けてくれる方が、私もあなたもとてもやりやすい。 世界を自分のものにする為には、ね。
ただ、その世界が誰にも見向きされなければ意味がないんです。
私には参加者がいなければ――あなたには読者がいなければ。 違いますか?」
592 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:25:46 ID:???
眼鏡の男性「……だから、アルゼンチンを弱体化させる事でバランスを取ろう、と?」
絶世の美女「これでバランスになってるかどうかはわかりませんけどね。
ただ私の世界でのアルゼンチン戦での絶望感が、イタリア戦で味わえ……。
イタリア戦でのそれなりに勝てるという感じがアルゼンチン戦で味わえると思いますよ」
美女もまた、この世界を変革しようとする者の1人であった。
森末の力が弱まり、板野が主人公でなくなろうとしているこの世界。
その世界を乗っ取る為に行動をし、実際に持つの力でこの世界の歴史を変えたのだが――。
それは板野の手助けをするが如き、アルゼンチンが弱体化をしてしまうという正史とは違う改変であった。
何故わざわざそのような事をするのかと言われれば――。
それは多分に、この世界の秩序――バランスを保つ為である、と美女はキッパリ言い切る。
眼鏡の男性「うーん……まぁ、納得をしておくよ。
でもそれでこの世界の主人公だった彼が力をつけたら、責任を取ってもらいますよ」
絶世の美女「心配ありません、手は二手三手先を打ってますから。 如何様にもなります。
それより……ここから先は、少なくともフランス国際大会が終わるまでは共に行動しましょう。
そちらの方が、色々とやりやすいですから」
???「ゲーッ、マジかよ……コイツと一緒に行動すんのか?」
渋々といった様子で納得をする男性に、涼しげな表情で返答する美女。
更にその美女が一つの提案をした所で……美女の隣にいた少年――中山に声をかけていたどこか性根が悪そうな男が不満の声を上げる。
彼にとって、目の前にいるテバサキ頭の少年は目の仇だったからである。
593 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:26:47 ID:???
???「そんな! どうしてそんな事を言うのさ!」
???「うげーっ、気持ちわりぃ! そんな顔してそんな事言うんじゃねぇよ! ホモじゃねぇのか!?」
逆にテバサキ頭の少年にとっては、目の前の少年は友人の一人だった為に悲鳴を上げ……。
大人2人は同時にため息を吐きながら、両者の肩を持ち諌める。
絶世の美女「落ち着きなさい、今は我慢する時よ。
いずれこの世界が貴方のものになったら……その時は、全てがあなたの思うがままになるのだから。 その時までは、ね」
眼鏡の男性「彼も僕たちの知る彼ではないんだ。
ただ安心しろ……この世界が君のものになりさえすれば、全ては元通りになるんだからね。
彼も君の事を、『ボールはトモダチ』だという事を教えてくれた大事な恩人だと認識してくれるようになるさ」
森崎「ケッ……わかったよ。 だが百歩譲って手を組んでやってもいいが仲良しこよしは御免だぜ!」
翼「森崎……どうしてそんな事を言うんだ。 俺達はずっと一緒に頑張ってきたチームメイト……友達だろう!?」
少年たちの名前は、森崎有三と大空翼。
それぞれ、別の世界では主人公と呼ばれていた者。
高橋「それで? 僕たちが共に行動する事でどんなメリットが生まれるんだい、ニネー?」
ニネー「まず書く側が一々場面転換する必要がなくなって労力が減りますわね。
私達に関するメリットなら……それは追々話させてもらいますわ」
大人たちの名前は、高橋とニネー。
それぞれ、別の世界では『神様』が如き力を持っていた者達だった。
594 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 00:27:20 ID:???
YO1神とニネーさんwww
595 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:27:48 ID:???
一旦ここで区切らせていただきます。
596 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 01:09:56 ID:???
一旦乙です。
まさか陽一神と2ねいさんが出るとは……凄い展開だ!
597 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:07:05 ID:???
――西ドイツ ハンブルグ ハンブルグJrユース寮
そして舞台は再び西ドイツ、ハンブルグへと移る。
ここハンブルグJrユース寮では、つい先ほど試合を終えた男――若林源三が荷造りをしていた。
この後全日本Jrユースに合流し、共に遠征に出る為である。
見上「私だ、源三」
若林「! み、見上さん……ど、どうぞ」
そんな若林の元に訪れたのは、全日本代表監督――見上辰夫。
周知の通り小学生時代から見上に世話になっている若林からはいつものような傲慢さは影をひそめ、
気を使うようにしてドアを開けて見上を招き入れるのだが……。
若林「すみません、すぐに支度しますんで!」
見上「どうした、源三。 いつになく神経を使っているようじゃないか。
……私に叱られるのがそんなに恐ろしいか? それとも、正GKの座が危うくなって精一杯機嫌を取ろうとしているのか?」
若林「! い、いえ……そんな事は……」
普段から他者を顧みない若林の不慣れな対応はあまりにもお粗末、
その行動が心から見上を敬ってのものではなく、単純に機嫌を損ねないようにとしているのは明白であり……。
当然のように、そんな若林の魂胆は百戦錬磨の見上からすれば御見通しである。
思わずため息を吐く見上に対し、若林は必死に否定しようとするのだが、それが通じる相手でもないのは誰よりも若林が知っている。
小さくすみません、と謝罪をすると、しばし部屋に静寂が訪れるのだが……。
やがてその静寂を切り裂き、若林はぽつり、とつぶやく。
若林「見上さん……」
見上「なんだ……?」
若林「どうして……どうしてこんな事になったんですか。
日本で一体何があったんです!? あの板野ってのは何者ですか!? なんで俺が3失点もしなきゃいけないんです!
どうして若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められるんです! なんで……!」
598 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:08:41 ID:???
最初はぽつり、ぽつりと小声だったものが……徐々に大きなものへと変化していき、最後には絶叫に近くなる。
それはまさに、若林源三の正直な吐露であった。
何故、どうして……。若林の心の中には、その疑問しかない。
小学生時代全く名前も聞いた事がなかった板野という男が、何故自分からゴールを奪ったのか。
日本時代に無双とも言える程の活躍を見せ、サッカーの本場西ドイツで留学をした自分が何故ここまで失点を重ねなければならないのか。
何故日本時代は自分よりも劣っていた筈の若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められたのか。
それらの質問について、あくまでも見上は表情を崩さないまま淡々と答えていく。
見上「一つ目の質問だが、私も知らん。 小学生時代は、全国大会どころか主要なサッカークラブにも所属をしていなかったらしい。
だが、中学時代――ふらの中学への転入から突如才覚を表してきたストライカーだ。
……奴のように中学に入ってから伸びてきた者は他にもいる。
奴はただ小学生時代は無名だったが中学生になってからは国内トップクラスのストライカーになった、というだけだ。
二つ目の質問だが、3点目のPKはともかく、1点目はお前が指示したのだろうハンブルグの舐めたプレイとお前の判断ミスでの失点。
2点目は単純にお前が板野との勝負に負けた……というだけだ。
どうしても何も無い。
三つ目の質問だが……私の目から見ても、若島津が10回やって10回シュナイダーのシュートを止められるとは思わん。
10回やって2回、3回……止められればいい方だろう。 その2回か3回かの内の1回が来ていた、というだけに過ぎん。
無論、それだけの実力をつける為に若島津が努力に努力を重ねたのは言うまでもない事だがな」
若林「………………」
見上「いい加減に現実を見ろ、源三。 今の自分の立ち位置が解らん程、馬鹿ではないだろう」
599 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:10:00 ID:???
認めたくない事実、何かの間違いだと言って欲しかった現実。
しかし、それらは全て実際に起こってしまった事なのである。
結果的に、3失点という大口を叩いたのに見合わない失点の数も。
板野という見た事も無かったポッと出の男に点を奪われてしまった事も。
自分より圧倒的に格下であると思っていた筈の若島津が、シュナイダーのファイヤーショットを止められた事も。
全て、現実なのである。
若林「どうしてこうなったんです……どうして……俺は……」
見上「ふん、『小学生時全国大会優勝チームキャプテン』で、『ハンブルグの正GK』だ、とでも言うつもりか?」
若林「!!」
見上「タワケ。 過去の実績も、肩書も、無論評価する際に参考にする重要な要素だ。
だがそれだけでゴールを奪われないというのなら、誰も苦労はせん。
対戦相手は実績や肩書を相手にシュートを放ってくるんじゃない。 シュートを止める際に頼れるのは、己の身一つだけだ」
輝かしい実績に、誇らしい肩書き。
プライドの高い若林にとっては何よりも大事にしてきた心の拠り所なのだが、
それらが実際の試合で役に立つ事は決してないと見上は断言。
これを聞いて若林はショックの余り茫然と口を開けてしまうのだが、更に見上は若林にとって耳に痛い言葉を続けていく。
見上「大体が小学生時代の実績など、所詮は過去の栄光に過ぎん。
お前はこの先……ユース、そしてプロになってもその事を口にして生きていくつもりか?
ハンブルグの正GKという肩書にしてもそうだ。
確かにハンブルグは欧州No.1クラブチームと言われている、その正GKとなれば大したものだ……と言って欲しいんだろう。
だが貴様はあくまで正GKであるだけで、欧州No.1GKという訳ではないだろうが」
若林「うっ……」
600 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:11:42 ID:???
確かに小学生時代の実績など、既に過去の栄光でしかない。
全日本Jrユースにも南葛の面々などを初めとして小学生時代から活躍をしている者も複数いるが、
先に見上の言ったように中学に入ってから頭角を現してきた者達も多数存在する。
彼らにしてみれば今日、先ほどの試合で見た若林が全てであり、過去の栄光というフィルターを通しては当然見てくれない。
また、若林はハンブルグの正GKとして活躍を続けていながらも、決して欧州No.1キーパーとは言われてはいない。
ヨーロッパ研修をしていた見上は当然のようにその欧州No.1キーパーと呼ばれている男――。
ジノ=ヘルナンデスのプレイを実際に見学しており、彼がそう呼ばれる所以……。
そして、若林が決してそうは呼ばれない原因というものをよくわかっていた。
見上「小学生時代の栄光より、何故今の栄光を掴もうとせん。
正GKに満足せず、欧州No.1キーパーという異名を手に入れようと何故躍起になれん」
若林「………………」
見上「小学生時代、私のしごきに耐えていた時はコイツは必ずモノになると思った。
それほどまでにお前は才能の塊であり、また努力も出来るだけの根性も持っていた。
それがどうした、この西ドイツに来てからは。
正GKの座につけば早々に満足し、練習はサボり、態度は不真面目。おまけに喧嘩に明け暮れる。
中学3年間、例え環境がよかろうと言われるだけの練習を――。
いや、それすらもサボってきた男が、例え日本という狭い環境でも3年間努力を重ねてきた者達にそう簡単に勝てると……。
本気で思っていたのか?」
やがて見上の説教を聞くにつれて、若林は頭を垂れ、じっとこれまでの3年間を思い出していた。
見上の言うように、若林は決して努力に努力を重ねてきた……とは言い難い。
メニューで組まれている練習すらもおざなりにこなし、自主練習に励むという事は少なくとも記憶になかった。
それだけである程度の結果が出ていたし、それなりにも勝ててきていたのだ。
故に、彼は完全に慢心してしまっていた。油断してしまっていた。
若林にとって幸運だったのは……それを今日の試合で気づけた事。
そして、気づかないフリをしていた所で、しっかりと言い聞かせてくれる恩師がいてくれた事だろう。
601 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:13:26 ID:???
見上「……言っておくが、かつての教え子といえど贔屓はせんぞ。
自分の力で這い上がり、正GKとキャプテンの座を掴んで見せろ。
慢心し、驕っていた分、それなりに厳しい道かもしれんがな」
若林「! (見上さん、今……!?)」
見上「ホテルの住所を書いたメモを置いておく。 準備が出来たら来い」
ガチャッ バタン。 カッカッカ……
若林「見上さん……俺のせいで、泣いていたのか……」
最後にそれだけ言って、メモを残して去っていく見上。
彼がドアに振り向く際、不意にサングラスの中に映る瞳に涙が浮かんでいた事を知り、
若林は今日、試合で受けたもの以上の衝撃を受ける。
名家の若林家の三男として生まれた彼に、身内に仲のいいものなどはただの一人もおらず。
幼い頃に懐いていたのは、もっぱら家のお手伝いの女性と、コーチである見上であった。
ある意味、若林にとって見上は幼少期の父親代わりだったと言っていい。
その見上が見せた涙――しかも、自分のせいで流させてしまった涙。
それを見て思う所が無い程、若林源三という男は情が無い男ではなかった。
若林「………………!」
若林はしばらくその場で立ち尽くしていたが、やがてそれも終わると、
先ほどとは打って変わってキビキビとした態度で荷造りを始めた。
黙々と荷造りをしながら、新天地での、厳しいかもしれないがそれでも目指すべき道を思い顔を引き締める若林。
見上が流した涙が片桐から借りた遅効性の目薬によるものだったと知らなかったのは……。
彼にとって幸運だったのか不幸だったのか、定かではない。
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