キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【イタリアJrは】俺inキャプ森6【弱いはず】
1 :
森末(仮)
:2014/04/09(水) 22:51:05 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品です。
参加者の皆さんの選択、及びカード引きによって物語が展開していきます。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。
☆前スレ☆
【板野くん】俺inキャプ森5【世界デビュー】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1395242717/l50
☆あらすじ☆
キャプテン森崎を心から愛する男板野住明はある日キャプテン森崎の精、
通称『森末』からキャプテン森崎の外伝スレへと参加してみないかと提案をされ外伝世界へと飛ばされる。
ふらの中学で松山達と共に鍛錬を繰り返し、1年と少しの期間を費やして臨んだ3年目の全国大会は惜しくも準決勝で敗退。
その後、同じ中学出身である松山と共に全日本Jrユースに選出された板野は、
松山、若島津らとキャプテンとしても争う事となる。
全国大会で共に競い合った立花兄弟や合宿で集中的に練習に付き合った新田らの後押しもあってか、板野は見事キャプテンに選ばれる。
そして舞台は世界へ。まず全日本Jrユースは遠征試合第一戦目であるハンブルグと対決。
西ドイツに留学をしていた若林、更に西ドイツの皇帝の異名を持つシュナイダーと強敵揃いのクラブチームを相手に、
ここまで2−2と競った試合を繰り広げる。
そして、勝ち越し点をと立花兄弟のスカイラブツインがハンブルグゴールを襲うのだが……?
553 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 01:59:30 ID:950mSZss
A
554 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 02:00:59 ID:w5SgkGSs
C
乙です
若島津の評価が高くなるのがうれしい
そして相対的に下がる若林の評価
555 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 07:19:12 ID:???
板野くんの課題としてはプレイの幅を広げたいとこ。
全体的に底上げされているとはいえ、翼日向森崎抜きでよく引き分けることができた万歳
最後は失点するものかと。
556 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 07:45:13 ID:???
イタリアと試合するのはわかるけどブレーメンはどうなるんでしょうね
557 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 08:56:03 ID:???
シュナって割とへたれるよね
2Dで9の差で弾かれるとかかなり運が良かったとしか
558 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 13:06:57 ID:???
一応まこっちゃん2Dで12でボールにも触れたけど、若島津の判定が優先だからフラグはお預けだっけ?
559 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 18:47:34 ID:???
3点取られといてなんだけど
シュナイダーの引きの悪さには助けられるし
このままでいて欲しいよ
560 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 18:49:15 ID:???
引きが良ければ5点ぐらいとられるから、悪いぐらいでちょうど良い。
561 :
森崎名無しさん
:2015/01/15(木) 20:44:13 ID:???
キックオフシュートを余裕で決めてくるとか普通にありえたしね
562 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:32:48 ID:???
>>552 >>554
乙ありです。
>>558
この場合は若島津の判定が優先なので、お預けになりますね。
もしも若島津が早田と同数値以下でしたら、フラグゲットになっていました。
563 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:34:10 ID:???
>A.惜しい所まで行ったにも関わらず、勝てなかった悔しさ
===================================================================
やがて恐怖心が過ぎ去ると、板野の胸中に現れたのは――試合に勝てなかった、という事実に対する純粋な悔しさであった。
キャプテン翼の……そして、キャプテン森崎の読者でありファンである板野には、
このハンブルグ戦というのがどれ程勝つ事が難しい試合であったかは重々承知していた。
海外とのレベル差に加え、シュナイダー、カルツという実力者が相手では苦戦は必至。
引き分けに出来ただけでも値千金と言ってもいいくらいだったのだが……。
頭ではそう理解していても、感情が必死にそれを否定してくる。
板野「(また勝てなかった……もうあんな気持ちはしたくなかったのに……また勝てなかった……!)」
中学サッカー大会準決勝――ふらの中学対東邦学園。
松山率いるふらのに所属をしていた板野は小池率いる東邦学園と対戦し、
その対決は熾烈を極め、PK戦にまでもつれ込んだ。
結果的にふらのは辛くも敗北を喫してしまうのだが……その際、板野は一目も憚らず号泣をしていた。
負けた、勝てなかった、悔しい。
言葉にしてしまえばあまりにも陳腐で、一見すると幼稚とも取れる感情。
だが、それがその時板野が感じた素直な感情であった。
そしてその時、板野は誓った……もう二度と負けない。
これほどまでに悔しい思いを、もう二度と味わいたくないと。
しかし、そう決めた矢先……全日本Jrユースの初の対外試合は、負けこそしなかったものの勝利する事が出来なかった。
もう二度と味わいたくないと感じたあの苦い思いを再び板野は受ける事となり、
板野はつい先日の準決勝の時と同じく、その瞳に大粒の涙を―――。
板野「ちくしょう……!」
流す事はなかった。
564 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:35:11 ID:???
松山「! 板野……」
板野の変化に真っ先に気づいたのはこの中で一番付き合いが長いと言える松山だった。
彼は微かに呟くように……しかし、はっきりした声で絞り出された板野の声を聞くと驚いたような表情を浮かべる。
板野の性格は、端的に言えば酷く子供っぽい。
それは純粋で素直とも言え、
それに加えて人並の優しさを持つ彼の口から口汚く『畜生』という言葉が出た所を松山は見た事が無かったからである。
しばらく呆気にとられたように板野を見つめる松山だったのだが……。
しかし、やがて彼の胸中に察しがついたのか、小さく誰にもわからない程度に頷きながら納得を示す。
松山「…………(1得点を上げた。 それだけで満足、する訳がないよな。
俺達は負けなかった。 だが、勝った訳じゃない。
ゴールを上げられたからって、ただそれだけで喜べるような人間じゃないもんな……。
個人の成果がどれだけ優れていたって、チームとして勝てなければ何の意味も無い……そうだよな。
勝てなくて喜べる筈がない。 俺達は勝つ為に努力をしてきたんだから……!)」
無論、選手間での個人的な勝負というものに拘りを見せ、いつも以上のパフォーマンスを発揮するという事に不満は無い。
松山としても、かつては若島津に対してライバル心を持ち打倒若島津の為に北国シュートを開発した程である。
だが、例えその間で勝敗がついたとしても……チーム自体が勝てなければ意味は無い。
板野と同じく悔しい思いをしてきた松山もまた、試合中で感じた自身の無力さを含めて勝てなかった悔しさに駆られ、
引き上げていくハンブルグ選手の背中を睨みつけるのだった。
565 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:36:13 ID:???
板野「ちくしょう……! ちくしょう……!」
新田「(フリーだったってのに決めきれなかった……!
シュート以外なんの役にも立てない俺が力を見せれるのは、唯一あの場面だけだったってのに!
これじゃ合宿で散々付き合ってくれた板野さんに申し訳がたたねぇよ!)」
反町「(殆どプレイに絡めなかった……出場出来た時間が短いのもあるけど、結局その程度の選手としか見られてないって事なんだよな。
その上で、板野や立花兄弟達フルメンバーと言える全員でかかっても、引き分けがやっと……か)」
板野の呪詛を聞きながら、新田は悔しげに歯噛みをし、反町は悲痛な表情を浮かべる。
合宿で多くの時間を割いてもらった上で完成させたシュートを決めきれなかった新田。
最後の最後、監督にすら殆ど期待されていない状態で送り出され、結局成果も何も出せなかった反町。
沢田「(突破はある程度上手く行った場面もあったけど、絶対的じゃなかった。
それに……守備じゃ完全にお荷物だったな、僕……)」
小池「おかしい……全国大会優勝を果たした東邦学園率いるこの小池秀人様が何故勝てない……。
よ、よもや……これが東邦学園と世界との壁という事なのか……?」
中山「(……小池ですら感じる程の世界の壁。
余りにも大きく、余りにも高く……そして、余りにも堅すぎる。
だが……俺達はこんな所で終わらない!)」
攻撃では要所で活躍を見せたものの、守備に関してはかなりお粗末だった沢田。
同じく守備面でも活躍が出来なかった上、攻撃面でも目立った活躍のなかった小池。
全日本No.1DFとの触れ込みでありながら、その絶対的な強さというものを示す事の出来なかった中山。
566 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:37:20 ID:???
早田「(2点目のアレは板野の指示もあるが、俺がシュナイダーを止めきれなかったのも一因っちゃ一因だ。
クソッタレが! カミソリファイター早田誠の名が聞いてあきれるぜ!)」
中西「(DFとしてのアピールはぼちぼち出来たとは思うけど……ほんま、あくまでぼちぼち程度やったなぁ。
今のまんまやと、ただの立花の土台役や)」
中里「(今日の試合、拙者は何もしておらぬ……オーバーラップも失敗に終わり、守備は言うまでも無し。
サッカーは難しい、難しいと思っておったが……これが、世界のサッカーでござるか)」
若島津「(3失点……か。 都大会以来だな、これほどの大量失点は。
しかもこちらには東邦のボンクラとは違い役に立つDFどもがいる。 それでこの体たらく……)」
最後に大きなファインプレーを見せたものの、ストッパーとしてシュナイダーを止める事の出来なかった早田。
好判断などでDFとしての動きに問題は無いとアピール出来たものの、決して大活躍とはいかなかった中西。
攻撃ではオーバーラップを即座に止められ、守備ではまるで役に立てなかった中里。
都大会――対武蔵中学戦以来の大量失点を喫してしまった若島津。
彼らにも当然後悔の念はある。
567 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:38:23 ID:???
そして――それは彼らだけではない。
井沢「(松山ですらハンブルグを相手にまるで何も出来てなかった……俺じゃやっぱりOMFは無理……。
い、いや、違う! 松山は確かに凄い奴だが……俺だって決してアイツに負けてる訳じゃないんだ。 空中戦での強さとか。
アイツ以上に力をつけて、奪い取りさえすればいいだけの話なんだ……)」
次藤「(……シュナイダーのファイヤーショット。 あれは……あれは間違いなく板野のマグナムシュート以上タイ。
世界はひろか……日本でケンカに明け暮れてた時じゃ考えられん程、どえらい連中ばっかりタイ……)」
和夫「(結果だけを見りゃ、俺達だけで2点取れたって言っていいんだけどよ……)」
政夫「(それも最初は手加減されて。 2点目はPKだからなぁ……それにその2発で俺達はガス欠だったし)」
三杉「(負傷さえしていなければ……と、言い切れないのが悔しい所だ。
何よりこの試合は6人までの交代がありとされていたが、本大会では3人まで。
もしもこの試合が本大会ならば、フィールドには体力が切れた立花兄弟が残り続けてた事になるが……。
そうなれば結果が違っていた事くらい、子供でもわかるな)」
板野「ちくしょう……!」
見上「(……まずは自分たちが井の中の蛙である、と把握出来たか。
問題はここから大海へと漕ぎ出せるかだが……見ている限り、殆どの連中は悲しさではなく悔しさを感じているか。
フッ、揃いも揃って負けず嫌いどもだ)」
途中交代をしベンチに下がった選手。そして、試合に出る事すら敵わなかった者達。
彼らは日本と世界との大きすぎる壁に圧倒され……これが今の自分たちの実力なのかと、ここに至ってようやく理解をし、
やがて沈黙に包まれていった。
呪詛を呟き続けていた、板野でさえも。
来生「(……あれっ、試合終了!? おっ、俺の出番は!?)」
なお、一部には理解が出来ていない者もいた。
568 :
森末(仮)
:2015/01/15(木) 23:40:00 ID:???
一旦ここまでです。ここからはNPCシーンが長くなるかもです。
569 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 00:11:45 ID:???
連日更新乙です&おかえりんさい
570 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:07:29 ID:???
シュナイダー「すまんな、みんな。 ラストパス、決め切る事が出来なかった」
カルツ「はー……あそこで決めてくれりゃー格好よかったってのによ。
ま、そこら辺は言いっこなしだ。 誰だってミスキックくらいはあるからな」
こうして全日本のメンバー達が悔しさに身を震わせていた頃。
ハンブルグの選手たちもまた、(一部の者を除いて)集まり声を掛け合っていた。
常にハンブルグは全日本に対してリードを許すという展開だった為に、
彼らとしても常に冷や冷やする試合だったのだが……。
終わってみれば3−3の引き分け。手放しで喜ぶわけには行かないが、なんとか面目を保ったと言える結果と言えるだろう。
そんな中でシュナイダーは1人、最後の絶好のチャンスで決めきれなかった事を仲間たちに謝罪するのだが……。
どんなに優れたストライカーでもミスキックはある、と誰もが理解をしており。
また、この試合が練習試合である事もあってか彼を糾弾する者は皆無であった。
……一部にはこの輪に交わらず、恨みがましい目でにらんでくる者もいたが、彼については殆どの者が無視を決め込んでいた。
ヤラ「しかし思った以上に手こずったな……正直、下手なクラブチームよりずっと手強かったぜ」
ブリーゲル「ああ。 実際にこっちは結局一度もリード出来てなかったしな」
カルツ「こりゃ大会の前に実際に手合せ出来て正解だったな、シュナイダー」
シュナイダー「ああ……(敵のGK……ワカシマヅ、だったか。 大会では必ず借りを返すぞ)」
全日本のメンバー達が悔しさを感じる一方で、彼らの反応はといえばカラッとしたものだった。
無論、シュナイダーを初めとして、
仮にもヨーロッパNo.1クラブと言われているハンブルグの面々が、
サッカー発展途上国と言われる全日本に引き分けたという事実は重いと感じている。
だが、彼らのメンタリティは環境の違い故かプロに近いそれだった。
勝負に絶対はない――勝つ事もあれば負ける事もあるというのが、プロの世界。
油断をしていた格下相手に負けそうになってしまう、というのも常にある事。
この試合が練習試合だったという事もあってか、彼らにとって後悔などを感じるのはひと時の事であり、その目は既に前を見据えていた。
571 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:08:44 ID:???
若林「(くそっ! くそっ! くそっ!! どうしてこうなった!! どうしてこうなった!!)」
そんなハンブルグの面子とは違い、そう簡単に割り切れない男がいる。
若林源三である。
先ほどからシュナイダー達を恨みがましい目で見つめていた彼であったが、
シュナイダー達が無視を決め込んでいると判断するとすぐさま八つ当たりをするように地団太を踏み始めた。
若林「(こんな筈じゃねぇんだよ! 本当なら5−0くらいで勝ってる筈なんだよ!!
なんだったら試合終了間際に相手に打たせて、
『フン、この1点は俺からのプレゼントだ。ありがたく受け取りな』くらい言ってやりたかったんだよ!!)」
彼の思い描いていた理想の試合展開は、自身が完全に全日本の攻撃をシャットアウト。
逆に若島津が守るゴールからシュナイダーが大量得点をし、世界と日本との壁――。
もとい、天才GKであり西ドイツに留学をしていた若林源三とその他の日本の選手との格の違いを見せつける事だったのだ。
それが蓋を開けてみれば若林は立花兄弟のスカイラブツインで早々に失点。
更には2点、3点と失点を重ねてしまい……とてもではないが格を見せつけるどころの話ではなかった。
若林「(本当にどうしてこうなったんだ……!? 俺が一体どこで間違えたっていうんだ!
このままじゃ全日本のキャプテンどころの話じゃねぇ。
正GK争いだって……スコアは3−3だったものの、ストライカーの格を考えりゃ若島津の方が優れてると思われかねん!
というか、どうして若島津如きがシュナイダーのファイヤーショットを止めてるんだ!?
どういう事なんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおっ!?)」
こうして若林は理想と現実のギャップに苦しんだ。
絶対的な地位を手に入れる筈が、逆にこのままでは全日本内での居場所すらないかもしれない。
一瞬、大会において……ハーフタイムを迎えて帰ってくる仲間たちをベンチで迎え、
控え選手として試合に出場する選手たちにドリンクやタオルを配る姿を想像してしまう若林。
それはまさにゾッとするような考えであり……。
やがて地団太を踏むのを止め、頭を抱えるようにして苦悩する若林だった……。
572 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:10:13 ID:???
真「ふー、終わったねー。 これでやっと一息つけるよ」
響「実況ってずーっと喋ってないといけないから疲れるぞ……うー、これ本大会でもしないといけないんだよな?」
真「本当なら本職のアナウンサーの人とかにやって貰えればいいんだけどなぁ。
ま、プロデューサーもこれも一つの経験って言ってたんだし、頑張ろうよ」
一方、この試合の全てを全日本へと中継する為に同行をしていたTVクルー。
そのスタッフの一員である765プロ所属アイドル、菊地真と我那覇響の2人は、
慣れないサッカーの実況という大役を終えてほっと一息をついていた。
ようやく一仕事が終わったとはいえ、まだまだ先は長い。
これから全日本のメンバーは練習試合を重ね、それからはフランス国際Jrユースへと参加するのである。
遠征をするたびに各国を渡り、時には取材もしなければならないのだから、このくらいではへこたれていられないのだ。
真「予定だと明日はブレーメンとイタリアJrユースとの練習試合……。
その後はオランダに渡ったりしないといけないし、大会になれば当然フランスに行かなきゃね」
響「ハードスケジュールだなぁ……あ、そうだ!
早速試合が終わった後だし、感想を板野くん達に聞いてきた方がいいんじゃないか!?」
真「あー、それは……今はやめておこうよ」
響「むがっ!? どうしてだ?」
真「負けた訳じゃないけど、勝った訳じゃないし……それに見てみなよ、皆の顔をさ」
早速日本に残るサッカーファンの為にも、試合が終わったばかりの彼らにインタビューを……と駆けだそうとする響だったが、
これには真が苦笑をしながらストップをかけ、フィールドで未だに佇む彼らを指し言葉を続ける。
真「ボク達だって、オーディションで負けたばかりの時に記者の人にインタビューなんてされたら……嫌じゃないか。
そういう時って大体悪徳さんだし」
響「……そういえばそっか」
真「だからさ、今は何も聞かない方がいいと思うんだ」
響「そっか……うん、そうだな。 次……皆が勝った時には、ちゃんと聞けるようにしたいな!」
仕事でついてきているとはいえ、彼女たちもまたサッカーファンである事には間違いない。
実際にプレイをするでもなく、外から単に見るだけの彼女たちであったが……。
しかし、彼女たちは確かに彼らの事を応援しているのだった。
573 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:11:34 ID:???
それから数十分後。
やがて選手たちが帰り支度を済ませ、またTVクルーも早々に撤収し……観客たちも誰もいなくなった試合会場にて。
一人、森末は物陰に隠れながらため息を吐いていた。
森末「(はぁ……なんとか引き分け。 もうちょっと勝てそうだった分惜しかったといえば惜しかったけど、それでも十分過ぎる戦果だ。
板野も若林からゴールを奪えたし、キャプテンもほぼ安泰と言っていいな。
でもやっぱりイタリアの事が不安過ぎるよ……)」
この世界の管理者……だった筈の森末。
彼の溜息の原因、不安の種は……無論、この試合中に観戦していた者達の中にいた集団。
イタリアJrユースの主力メンバー達についてである。
正しい歴史ならばイタリアJrユースはこの時点でキャプテンのジノ=ヘルナンデスしか主力はおらず、その戦力は余りに脆弱。
しかし、この世界では本来はいない筈のストラット、バンビーノ、ランピオン、ジェンティーレ。
本編において絶対的な力を見せたFWとDFに、優秀なMFとポストプレイヤーが加わっているのである。
森末「(流石にワールドユース編みたいな無茶苦茶な技を覚えてないとは思う。 というか思いたい。
このままでもバランスがおかしいっていうのに、そんな事になったらリセットは必至になっちゃうよ。
っていうか本当にどうなってるんだ? まさか他の国も強化されたりとかしないよね?
急にベルリンの壁が崩れましたとか言って西ドイツにフライハイトとかポブルセンとか入らないよね……?
っと……ん……?)」
世界を管理する者として、1番に彼が考えているのはバランス――秩序である。
板野に何度も言って聞かせているように、この世界はあくまでも森末が作り出したゲーム。
ゲームであり、そして板野が初期設定で「難しい」を選んだ以上、
ある程度難しくは作っているが、それでも十分にクリアー出来るレベルのものを作らなくてはならない……と森末は考えていた。
故にこのまま敵チームばかりが強くなるようでは不安しかないと頭を抱えるのだが……。
そんな悩める森末の耳に、ぼそぼそと誰かの声が聞こえてきた。
一体この試合会場に自分以外に誰が残っているのかと、
思い声の聞こえた方角へと姿が見つからないように気を付けながら近づいていけば……。
574 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:12:39 ID:???
ディアス「……ってなわけで、シュナイダーはやっぱり脅威ですよ。
今日は調子が悪かったのか、プレイに精彩を欠いてましたけどね。大会でも西ドイツは要注意です」
バルバス「そうか……」
森末「(ディアスと……あれは、バルバス監督か! 一瞬スーツ着てるからわからなかった!)」
そこにいたのはこの試合の偵察に来ていたアルゼンチンの至宝、ファン=ディアス。
そして、アルゼンチンJrユース監督のディエゴ=バルバスであった。
どうやらバルバスはディアスを迎えに来たらしく、
2人はバルバスが乗ってきたと思われるタクシーに近づきながらも今日の試合観戦での収穫について話しあっている。
森末もそんな2人につかず離れず、バレないような適度な距離を保ちながら2人の会話に耳を傾けるのだが……。
バルバス「それで、日本はどうだった?」
ディアス「思ってた以上にはやるって印象ですね。 なんか曲芸師みたいな双子とか、面白いのもいましたけど。
実力も大したもんです。 特に9番と14番……あの2人は要警戒じゃないですかね。
マグレかもしれないけど、シュナイダーのファイヤーショットを止めたGKも俺以外じゃゴールを奪えないでしょ」
バルバス「そうか……出場していた選手にはイシザキやミサキといった名前はなかったか?」
ディアス「? いえ、覚えてないですね……多分いなかったと思いますけど。
何かあるんですか?」
バルバス「何、私の友人がかつて日本で住んでいた事があったらしくてな。
その時、近所の小学生にサッカーを教えていたそうだ……その子供が、丁度お前たちと同じ年齢だからな。
もしかすれば……と思ったんだが」
森末「(……ここらへんは、別におかしくはないか)」
バルバスの言う友人というのは、間違いなくロベルト本郷その人の事なのだろう。
大空翼というサッカー少年がいない世界ではあるが、ロベルトは確かにこの世界にも存在し、
目の怪我の治療の為に日本に来訪。
どこに住んでいたか、どうやってかかわったかはわからないが、原作・本編と同じく南葛で石崎達にサッカーの特訓をしたのだろう。
575 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:13:55 ID:???
バルバス「しかし話を聞いている限りでは、日本も要警戒のようだな。
特にFWとMF……点はお前さえいれば、幾らでも取れると言えるんだが……」
ディアス「……ま、任せておいてくださいよ。 ほら、俺ってば天才ですから。
俺がいれば日本が相手だろうが西ドイツが相手だろうが勝てますって」
森末「(ん?)」
そのまま、特に情報などは得られそうにないかと思い引き返そうとする森末だったが……。
不意にディアスの口調が陰った事に、強い違和感を感じた。
森末の知るディアスといえば、基本的に陽気で自信家というもの。
この場面も、ディアスなら明るい笑顔で笑い飛ばす勢いで言うものと思っていたのだが……。
ディアスの見せた表情は間違いなく真剣なそれで……まるでそれは死地に向かおうとする戦士のような顔。
本編でもままみせた事のある、冷静で非情な一面を見せられた気分になる森末だったが、
更に違和感と言えば……と思いつき、ある事実にここに至って気づく。
森末「(そういえば……おかしいぞ。 どうして……ディアスの隣に"アイツ"がいないんだ!?)」
もしかして……と不安を抱く森末。
バランスは保たれなければならない、森末は確かにそう考えていた。
だが、だからといって……必要以上に世界を"改変"してはならないと、されてはならないと、森末は同時に思っていた。
だから何かの勘違いであってくれと、森末は強く願った。
バルバス「すまんなディアス、アルゼンチンの命運……全てをお前に賭けるような真似をして」
ディアス「大丈夫ですよ、監督。 俺は必ず優勝してみせます。
"アイツ"の喧嘩に巻き込まれて参加出来なくなった、"パスカル"や"ガルバン"の分もね」
しかし、その願いは届かず。再び改変の片鱗を見せつけられた。
強化されたイタリアと比較するように、弱体化されたアルゼンチンの内情を聞かされたのだ。
576 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:15:01 ID:???
――フランス パリ
イタリアとアルゼンチンの改変。
それによって世界の管理者が多大な衝撃を受けている中、国際大会が行われるフランスの都・パリ。
ここでもまた、この世界に本来はいてはならない筈の人物が姿を表そうとしていた。
岬「(確か日本の皆が来るにはまだ時間があるんだっけ?
ヨーロッパ各地を遠征試合しながら回るみたいだけど……どれくらいやれてるのかなぁ。
三杉くんと松山がいれば中盤はそこそこ回るだろうし、守備も若林くんが合流するなら多分大丈夫だろう。
でも世界とのレベル差もあるからな……攻撃に関しても不安だらけだし、多分痛い目にあいまくってるんだろうなぁ。
そういえばキャプテンは誰なんだろう?
松山か若林くん、それに若島津って所だろうけど……松山がなってくれてると僕にも恩恵があるから嬉しいんだけどなぁ)」
リフティングをしながら階段を下り、思いを馳せる男――岬太郎。
原作では誰よりも優しさに溢れているかのような甘いマスクを持った大人気キャラも、
この世界では本編同様、それはあくまでも表の顔で裏では徹底的な利己的主義に凝り固まっていた。
既に片桐の手によって全日本代表への参加を要請され、
全日本サッカー界の覇権を奪う為にもとこれに乗り気であった彼は、
この頃常にチーム内での立ち回り方について想像を膨らませる。
岬「(ただ松山は……殆ど僕と同じ程度の実力者、なんだよね。
出来る事なら僕よりワンランク上の人がいて、僕がそのパートナーって形になれればいいんだけどな。
まあ……無い物ねだりしても仕方ないけど)」
この世界においての彼の立ち位置は、本編同様のように見えて、しかし、その実少し違う。
本編では絶対的なOMFという存在もあってか、あくまでも縁の下の力持ち的役割に甘んじていたものの、
この世界ではその絶対的な存在がいない為にその価値も大きく増していた。
故に、彼としては甚だ不本意ではあるが、誰かを支えてその甘い汁を啜るという行為は難しいかもしれないとも考えていた。
577 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:16:11 ID:???
岬「(ああ、それにしても楽しみだなぁ。
今からどうやって振る舞うか、どうやって好感度を上げるか、どうやって評価を高めるか……。
想像だけでワクワクしてくるよ)」
それでもやはり、全日本サッカー界の覇権を握るという大仕事を前にして、岬は珍しくテンションが上がっていた。
だからという訳ではないが、階段の下に人物が立っている事に気づかず――。
ダダダダダッ! パシィッ!
岬「!? えっ!?」
その人物が一気に階段を駆け上って自身がリフティングをしていたボールを奪い取っても、
まるで反応をする事が出来なかった。
岬に出来たのは思わず素っ頓狂な声を上げながら、ボールを奪った人物を振り返り視認する事。
岬「きっ……君は……?(あの髪色……日本人? って、なんだあの髪型? 凄いセンスだ……)」
???「アハハ! 久しぶりだね、岬くん!」
岬「へっ?」
そしてその人物がいきなり自分の名を呼んだ事による驚きで、目を白黒させる事だけであった。
578 :
森末(仮)
:2015/01/16(金) 02:17:13 ID:???
>>569
乙あり、おかありです。これからまたよろしくお願いします。
判定はありませんが本日は一旦ここで区切らせていただきます。
それでは。
579 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 02:23:07 ID:???
乙です
・・・アルヘンは実質天パのワンマンチームなように見えてアシスト役のパスカルと
ガルバンという壁がいないのは大きい
あいてのフィニッシャーは天パだけだし点の取り合いでかなり余裕が持てる
まぁ戦えると決まったわけじゃないけどね
フランスはまぁいつも通りだろう
580 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 02:41:42 ID:???
乙乙!
日向に続いてまさか奴まで来るのかw森崎ももしかしたら……続き楽しみにしてます!
581 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 03:48:08 ID:???
森崎はもう出たぞ
582 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 16:47:19 ID:???
翼が敵になるのか?
583 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 17:00:03 ID:???
若林の脳内w
584 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 22:09:11 ID:???
なるほど、イタリアとアルゼンチンの立場が逆になるんだね。
アイツはまさか…
585 :
森崎名無しさん
:2015/01/16(金) 23:15:47 ID:???
翼という分かりやすいスタープレイヤーに価値を見出して
全日本入りしない岬とかはありえそう。
関係ないけどカリオストロはやはり名作
586 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:17:41 ID:???
>>579-580 乙ありです。
=================================================================================================
それから数十秒……岬は唖然としたまま、件の男――恐らくは自分と同年代であろう少年を見つめ続けていたのだが、
岬太郎のその最大の長所は誰よりも素早く回転をする頭脳である。
すぐさま平静を取り戻すと、彼は謎の少年の身なり、年齢を即座に分析し自身が知る人物であるかどうかを脳内で整理。
それも芳しくないとなれば、街の草サッカー仲間らこれまでのフランスでの生活で培われた人脈からここまで得た情報で、
かつて自身に会いに来たエル=シド=ピエールのように自分の実力を見定めに来ようとした者かどうか確認しようとするのだが……。
少なくとも彼の脳内ライブラリーの中に、彼の特徴と一致する情報は存在しない。
岬「(旅行者というのはまずない。 僕の名前を知っている段階で、それは無い筈だ。
確かに小学生時代、南葛小で全国大会に優勝をしたけれど……あの時の主役はあくまで若林くんの筈だ。
僕はあくまでもフィールダーとして、若島津から辛うじてゴールを奪えた程度の男、という認識……だから誰も知らない筈。
ならこれまでに渡り歩いてきた土地での友人かと言うと絶対違う。 これだけ特徴のある髪型なら覚えてる筈だ。
それはこの土地――フランスで過ごす日系人だと仮定をしたとしても同様。
……いくら意識が上の空だったからといって、僕からボールを奪うなんて並大抵の実力じゃない!)」
常に脳内で思考を繰り返し、先手を取って自身が優位に立とうとする岬にとって、
このイレギュラーな『来訪者』の存在は正に青天の霹靂であった。
尚も混乱をし、どう対処をしたものかと躊躇する岬に対し――件の少年は大いに悲しそうに眉を下げ、
それでも奪ったボールを岬以上に華麗にリフティングをしながら口を開く。
587 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:19:22 ID:???
???「……信じられなかったけど、本当に俺の事を覚えてないんだね」
岬「(覚えてない……という事は、やっぱり一度会っているのか? まずい、これだけの実力者と仲たがいになる訳には……)
い、いや、そんな事ないよ! ただ、突然の事でビックリして……」
???「ううん、いいんだ! 岬くんも、石崎くんも……誰も、俺の事を知らない。
ここはそういう世界だって、神様が言っていたから!」
岬「……は?」
ここで少年との接点を失っては未来において岬がサッカー協会にある程度の地位を得た際、
相当の実力者と関係を築けているという大きなアドバンテージを失う事になる。
それだけは避けたい岬だったのだが……不意に彼の口から「神様」、などという一見すれば危な過ぎる発言を聞いて、
いよいよ平静を取り繕う事が不可能となってしまった。
岬「(もしかして……相当"アレ"な人物なのか? この人は)」
???「だけど、どうしても会っておきたかったんだ……これから岬くんは、Jrユース大会に参加するんだろう?」
岬「(どうするどうするどうする!?
変に関わり合いになると面倒かもしれない……でも、これだけの実力者と関係を持てなくていいのか!?
上手くコントロール出来れば松山以上に使える"友達"になってくれるかも……)」
???「俺も出来る事なら参加したい……もう一度、ディアスやピエール……それにシュナイダーと戦ってみたかった!
ワールドユースでは、一度も戦えなかったからね。
だけど、それは駄目だって……今は出来ないって言われたから、諦めたんだ。
それでも、俺、岬くんを応援したくて……」
岬「(ピエール? 戦った? それに……ワールドユースだって!? 一体何を言ってるんだ彼は!?
本当に"アレ"なのか!? どうする、逃げる!? いやでも追いかけられたらまずいぞ!?)」
逃げるべきか、それともこのまま彼と対話をするべきなのか。
迷いに迷う岬に対して謎の少年は言葉を並べ続けるのだが、当然岬としてはそれどころではない。
完全にパニック状態となり、押し黙る岬だったのだが……。
588 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:20:36 ID:???
???「頑張ってね、岬くん! フランス国際Jrユース大会、必ず優勝してくれ!
そしていつかまた……いつかまた、一緒にプレー出来る時を待ってるから!」
大声で――ともすれば絶叫とも取れる声量で、わざとらしく両手を口にあてて叫ぶ謎の少年。
もしもこれが普通ならば――いつもの岬ならば、どこか照れた様子(勿論演技)ながらその声に応える。
或いはこのように相当"アレ"そうな人物に大声で話しかけられれば、全速力で逃げていただろう。
だが、この時の岬の反応はそれらとは違った。
岬「う……うん! 頑張るよ! 絶対に、優勝してみせる!」
???「うん、その意気だ! 大丈夫、岬くんに若林くん……それに皆の力を合わせれば、絶対に優勝出来るよ!」
それはまさに反射のように岬の口から出てきた言葉だった。
自分の頭が、少年の言葉を脳内でよく理解してから適切と思われる返答をするいつもの受け答えではなく。
ただ、少年の言葉に対して頭が理解をしてからではなく心が――否、"魂"が先に反応を示して答えた。
少年のまじりっけの無い満面の笑みと素直で純朴な声援を受けて、岬太郎はただそう反応する以外になかったのである。
岬「!?(い、今……僕はなんて……!?)」
???「それじゃあ、またね岬くん!」
589 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:21:50 ID:???
やがて我に返り、自身の反応に自ら驚く岬を尻目に、
少年はニコッとこれまたわざとらしすぎる程に清々しい笑みを浮かべてそのまま立ち去って行った。
後に残ったのは茫然とする岬に、転々と転がる少年が置いて行った"トモダチ"。
しばらく呆けていた岬だったが……それでもようやく転がるボールを回収すると、
改めて少年が去って行った方角を見つめ、物思いに耽る。
岬「(一体……一体、なんだったんだ……?
初対面の相手に頭で考える前に先に言葉が口から出るなんて、今まで無かった事なのに……。
それに……これは……この気持ちは……?)」
ボールを持ちながら、不意に岬が瞳を閉じれば……。
その瞼に映るのは、つい先ほどまでそこにいた謎の少年の快活な笑み。
笑顔を得意な顔であると自負する岬から見ても、それはあまりにもわざとらしすぎたものだったのだが……。
それでもそれは、何故か深く深く、岬の心に刻まれてしまっていた。
しかも悪印象ではなく、好印象として。
あの笑顔を見るだけで、気持ちが嬉しくなる。
共に笑いあいながら、サッカーをプレイしたい。
それは遠い昔、岬がまだ利己主義に目覚める前――本当に純粋にサッカーを楽しんでいた頃に、置いてきた筈の感情。
この世界では……少なくとも、このフランスに移り住んだ頃には既に、その感情は失くしてしまっていた筈である。
それを思い出させた――否、「本来あるべき岬太郎」に近づけたのは、間違いなくあの少年の笑顔。
一体あの少年は何者なのか……そして、自分の心に一体何が起こってしまったのか。
岬がそれを知る事になるのは、まだ先の事である。
590 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:22:57 ID:???
タッタッタッタッ
???「ただいま、神様!」
眼鏡の男性「ああ、おかえり。 どうだった、久しぶりの再会は?」
一方、岬の元から立ち去った少年は、やがてこのフランス……パリにある公園へとやってくると、
そこで待ち構えていた男性――眼鏡をかけ、やや痩せた体型の壮年の男へと駆け寄り、首尾を報告していた。
???「やっぱり、岬くんが俺の事を覚えてないのは悲しいよ……。
この調子だと石崎くんや若林くん……それに、ロベルトも俺の事を覚えてないっていうのも本当なんだろうね」
眼鏡の男性「仕方ないさ、ここはそういう世界なんだからね。
でも大丈夫、落ち込む事はないよ。 この世界も、いずれ、僕の思うように……。
そう、『キミ』を中心とした、『キミ』の世界に変貌する筈なんだからね」
しょげ返る少年を慰めるように優しげな口調で話す男性。
彼もまた、少年のようにこの世界にはいない筈の存在――。
いや、存在しないどころではない……本来ならばこの世界の事など、知る由もない筈なのがこの男性である。
しかし、彼は間違いなくこの世界の存在を感知し――そして森末が恐れていた通り、変革しようとしていた。
眼鏡の男性「まず手始めに、イタリアを強化しておいたよ。
僕が今まで描いて来た中だと弱いイタリアっていうのは読者からは不評だったようだし、ね。
あれだけ強化すれば、この世界で主人公『だった』男はかなり苦戦する筈だ。
そうなれば、彼は主人公では完全になくなる。 大会の決勝にすら出れない主人公が、存在する筈がないからね」
???「そっか……全日本が負けちゃうのは悲しいけど……。
でも、ゲームでの俺とチームメイトだったストラットも活躍出来るなら、それは嬉しい事だね」
そして実際に、男は行動を起こしていた。
イタリアJrユースが強化されている原因――。
チェザーレ=ストラットが暴力事件を起こしていない、という歴史を『創り出した』のは、この男の所業によるものだった。
管理者と言える森末以外にストーリーを曲げる事が出来ない筈のこの世界。
その世界で、新たな歴史を作りだせたという事実こそが――少年が彼を『神様』だと呼んでいる一つの要因だった。
591 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:24:00 ID:???
絶世の美女「はぁ……やはりあのイタリアの強化は貴方の仕業でしたか」
眼鏡の男性「おや? 君たちは……」
和気藹々と、これから変わってゆく世界について話しあう少年たち。
そんな少年たちに呆れたような声をかけたのは――かつて中山が全日本Jrユースの合宿に参加する直前に出会った少年。
その少年の隣についていた、誰もが見惚れるかの如き美貌を備えた絶世の美女であった。
絶世の美女「あまり派手に動かれると困るんですけどね……。
私達にもある程度の力があるとはいえ、この世界はあくまでも私達がいた世界とは別。
歴史を変えるのにも大きな力を使いますし、どんな副作用があるかもわかりません。
何よりまだ私達は表舞台に立てない……その時までに力は蓄えておきたい所ですのに」
眼鏡の男性「何を言うんだ。 君たちだってアルゼンチンを弱体化させたんだろう? お互い様じゃないか。
……というか、なんで弱体化なんてさせたんだ。 全日本が勝ってしまう」
美女の非難に対し、思わず男性は反論をするのだが……。
これに美女はやはり憂鬱げなため息を吐きつつ、子供に言い聞かせるようにして説明をしていく。
絶世の美女「あなたにはわからないかもしれませんが、この世界はゲームですの。
確かに主人公が負けてくれる方が、私もあなたもとてもやりやすい。 世界を自分のものにする為には、ね。
ただ、その世界が誰にも見向きされなければ意味がないんです。
私には参加者がいなければ――あなたには読者がいなければ。 違いますか?」
592 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:25:46 ID:???
眼鏡の男性「……だから、アルゼンチンを弱体化させる事でバランスを取ろう、と?」
絶世の美女「これでバランスになってるかどうかはわかりませんけどね。
ただ私の世界でのアルゼンチン戦での絶望感が、イタリア戦で味わえ……。
イタリア戦でのそれなりに勝てるという感じがアルゼンチン戦で味わえると思いますよ」
美女もまた、この世界を変革しようとする者の1人であった。
森末の力が弱まり、板野が主人公でなくなろうとしているこの世界。
その世界を乗っ取る為に行動をし、実際に持つの力でこの世界の歴史を変えたのだが――。
それは板野の手助けをするが如き、アルゼンチンが弱体化をしてしまうという正史とは違う改変であった。
何故わざわざそのような事をするのかと言われれば――。
それは多分に、この世界の秩序――バランスを保つ為である、と美女はキッパリ言い切る。
眼鏡の男性「うーん……まぁ、納得をしておくよ。
でもそれでこの世界の主人公だった彼が力をつけたら、責任を取ってもらいますよ」
絶世の美女「心配ありません、手は二手三手先を打ってますから。 如何様にもなります。
それより……ここから先は、少なくともフランス国際大会が終わるまでは共に行動しましょう。
そちらの方が、色々とやりやすいですから」
???「ゲーッ、マジかよ……コイツと一緒に行動すんのか?」
渋々といった様子で納得をする男性に、涼しげな表情で返答する美女。
更にその美女が一つの提案をした所で……美女の隣にいた少年――中山に声をかけていたどこか性根が悪そうな男が不満の声を上げる。
彼にとって、目の前にいるテバサキ頭の少年は目の仇だったからである。
593 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:26:47 ID:???
???「そんな! どうしてそんな事を言うのさ!」
???「うげーっ、気持ちわりぃ! そんな顔してそんな事言うんじゃねぇよ! ホモじゃねぇのか!?」
逆にテバサキ頭の少年にとっては、目の前の少年は友人の一人だった為に悲鳴を上げ……。
大人2人は同時にため息を吐きながら、両者の肩を持ち諌める。
絶世の美女「落ち着きなさい、今は我慢する時よ。
いずれこの世界が貴方のものになったら……その時は、全てがあなたの思うがままになるのだから。 その時までは、ね」
眼鏡の男性「彼も僕たちの知る彼ではないんだ。
ただ安心しろ……この世界が君のものになりさえすれば、全ては元通りになるんだからね。
彼も君の事を、『ボールはトモダチ』だという事を教えてくれた大事な恩人だと認識してくれるようになるさ」
森崎「ケッ……わかったよ。 だが百歩譲って手を組んでやってもいいが仲良しこよしは御免だぜ!」
翼「森崎……どうしてそんな事を言うんだ。 俺達はずっと一緒に頑張ってきたチームメイト……友達だろう!?」
少年たちの名前は、森崎有三と大空翼。
それぞれ、別の世界では主人公と呼ばれていた者。
高橋「それで? 僕たちが共に行動する事でどんなメリットが生まれるんだい、ニネー?」
ニネー「まず書く側が一々場面転換する必要がなくなって労力が減りますわね。
私達に関するメリットなら……それは追々話させてもらいますわ」
大人たちの名前は、高橋とニネー。
それぞれ、別の世界では『神様』が如き力を持っていた者達だった。
594 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 00:27:20 ID:???
YO1神とニネーさんwww
595 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 00:27:48 ID:???
一旦ここで区切らせていただきます。
596 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 01:09:56 ID:???
一旦乙です。
まさか陽一神と2ねいさんが出るとは……凄い展開だ!
597 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:07:05 ID:???
――西ドイツ ハンブルグ ハンブルグJrユース寮
そして舞台は再び西ドイツ、ハンブルグへと移る。
ここハンブルグJrユース寮では、つい先ほど試合を終えた男――若林源三が荷造りをしていた。
この後全日本Jrユースに合流し、共に遠征に出る為である。
見上「私だ、源三」
若林「! み、見上さん……ど、どうぞ」
そんな若林の元に訪れたのは、全日本代表監督――見上辰夫。
周知の通り小学生時代から見上に世話になっている若林からはいつものような傲慢さは影をひそめ、
気を使うようにしてドアを開けて見上を招き入れるのだが……。
若林「すみません、すぐに支度しますんで!」
見上「どうした、源三。 いつになく神経を使っているようじゃないか。
……私に叱られるのがそんなに恐ろしいか? それとも、正GKの座が危うくなって精一杯機嫌を取ろうとしているのか?」
若林「! い、いえ……そんな事は……」
普段から他者を顧みない若林の不慣れな対応はあまりにもお粗末、
その行動が心から見上を敬ってのものではなく、単純に機嫌を損ねないようにとしているのは明白であり……。
当然のように、そんな若林の魂胆は百戦錬磨の見上からすれば御見通しである。
思わずため息を吐く見上に対し、若林は必死に否定しようとするのだが、それが通じる相手でもないのは誰よりも若林が知っている。
小さくすみません、と謝罪をすると、しばし部屋に静寂が訪れるのだが……。
やがてその静寂を切り裂き、若林はぽつり、とつぶやく。
若林「見上さん……」
見上「なんだ……?」
若林「どうして……どうしてこんな事になったんですか。
日本で一体何があったんです!? あの板野ってのは何者ですか!? なんで俺が3失点もしなきゃいけないんです!
どうして若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められるんです! なんで……!」
598 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:08:41 ID:???
最初はぽつり、ぽつりと小声だったものが……徐々に大きなものへと変化していき、最後には絶叫に近くなる。
それはまさに、若林源三の正直な吐露であった。
何故、どうして……。若林の心の中には、その疑問しかない。
小学生時代全く名前も聞いた事がなかった板野という男が、何故自分からゴールを奪ったのか。
日本時代に無双とも言える程の活躍を見せ、サッカーの本場西ドイツで留学をした自分が何故ここまで失点を重ねなければならないのか。
何故日本時代は自分よりも劣っていた筈の若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められたのか。
それらの質問について、あくまでも見上は表情を崩さないまま淡々と答えていく。
見上「一つ目の質問だが、私も知らん。 小学生時代は、全国大会どころか主要なサッカークラブにも所属をしていなかったらしい。
だが、中学時代――ふらの中学への転入から突如才覚を表してきたストライカーだ。
……奴のように中学に入ってから伸びてきた者は他にもいる。
奴はただ小学生時代は無名だったが中学生になってからは国内トップクラスのストライカーになった、というだけだ。
二つ目の質問だが、3点目のPKはともかく、1点目はお前が指示したのだろうハンブルグの舐めたプレイとお前の判断ミスでの失点。
2点目は単純にお前が板野との勝負に負けた……というだけだ。
どうしても何も無い。
三つ目の質問だが……私の目から見ても、若島津が10回やって10回シュナイダーのシュートを止められるとは思わん。
10回やって2回、3回……止められればいい方だろう。 その2回か3回かの内の1回が来ていた、というだけに過ぎん。
無論、それだけの実力をつける為に若島津が努力に努力を重ねたのは言うまでもない事だがな」
若林「………………」
見上「いい加減に現実を見ろ、源三。 今の自分の立ち位置が解らん程、馬鹿ではないだろう」
599 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:10:00 ID:???
認めたくない事実、何かの間違いだと言って欲しかった現実。
しかし、それらは全て実際に起こってしまった事なのである。
結果的に、3失点という大口を叩いたのに見合わない失点の数も。
板野という見た事も無かったポッと出の男に点を奪われてしまった事も。
自分より圧倒的に格下であると思っていた筈の若島津が、シュナイダーのファイヤーショットを止められた事も。
全て、現実なのである。
若林「どうしてこうなったんです……どうして……俺は……」
見上「ふん、『小学生時全国大会優勝チームキャプテン』で、『ハンブルグの正GK』だ、とでも言うつもりか?」
若林「!!」
見上「タワケ。 過去の実績も、肩書も、無論評価する際に参考にする重要な要素だ。
だがそれだけでゴールを奪われないというのなら、誰も苦労はせん。
対戦相手は実績や肩書を相手にシュートを放ってくるんじゃない。 シュートを止める際に頼れるのは、己の身一つだけだ」
輝かしい実績に、誇らしい肩書き。
プライドの高い若林にとっては何よりも大事にしてきた心の拠り所なのだが、
それらが実際の試合で役に立つ事は決してないと見上は断言。
これを聞いて若林はショックの余り茫然と口を開けてしまうのだが、更に見上は若林にとって耳に痛い言葉を続けていく。
見上「大体が小学生時代の実績など、所詮は過去の栄光に過ぎん。
お前はこの先……ユース、そしてプロになってもその事を口にして生きていくつもりか?
ハンブルグの正GKという肩書にしてもそうだ。
確かにハンブルグは欧州No.1クラブチームと言われている、その正GKとなれば大したものだ……と言って欲しいんだろう。
だが貴様はあくまで正GKであるだけで、欧州No.1GKという訳ではないだろうが」
若林「うっ……」
600 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:11:42 ID:???
確かに小学生時代の実績など、既に過去の栄光でしかない。
全日本Jrユースにも南葛の面々などを初めとして小学生時代から活躍をしている者も複数いるが、
先に見上の言ったように中学に入ってから頭角を現してきた者達も多数存在する。
彼らにしてみれば今日、先ほどの試合で見た若林が全てであり、過去の栄光というフィルターを通しては当然見てくれない。
また、若林はハンブルグの正GKとして活躍を続けていながらも、決して欧州No.1キーパーとは言われてはいない。
ヨーロッパ研修をしていた見上は当然のようにその欧州No.1キーパーと呼ばれている男――。
ジノ=ヘルナンデスのプレイを実際に見学しており、彼がそう呼ばれる所以……。
そして、若林が決してそうは呼ばれない原因というものをよくわかっていた。
見上「小学生時代の栄光より、何故今の栄光を掴もうとせん。
正GKに満足せず、欧州No.1キーパーという異名を手に入れようと何故躍起になれん」
若林「………………」
見上「小学生時代、私のしごきに耐えていた時はコイツは必ずモノになると思った。
それほどまでにお前は才能の塊であり、また努力も出来るだけの根性も持っていた。
それがどうした、この西ドイツに来てからは。
正GKの座につけば早々に満足し、練習はサボり、態度は不真面目。おまけに喧嘩に明け暮れる。
中学3年間、例え環境がよかろうと言われるだけの練習を――。
いや、それすらもサボってきた男が、例え日本という狭い環境でも3年間努力を重ねてきた者達にそう簡単に勝てると……。
本気で思っていたのか?」
やがて見上の説教を聞くにつれて、若林は頭を垂れ、じっとこれまでの3年間を思い出していた。
見上の言うように、若林は決して努力に努力を重ねてきた……とは言い難い。
メニューで組まれている練習すらもおざなりにこなし、自主練習に励むという事は少なくとも記憶になかった。
それだけである程度の結果が出ていたし、それなりにも勝ててきていたのだ。
故に、彼は完全に慢心してしまっていた。油断してしまっていた。
若林にとって幸運だったのは……それを今日の試合で気づけた事。
そして、気づかないフリをしていた所で、しっかりと言い聞かせてくれる恩師がいてくれた事だろう。
601 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:13:26 ID:???
見上「……言っておくが、かつての教え子といえど贔屓はせんぞ。
自分の力で這い上がり、正GKとキャプテンの座を掴んで見せろ。
慢心し、驕っていた分、それなりに厳しい道かもしれんがな」
若林「! (見上さん、今……!?)」
見上「ホテルの住所を書いたメモを置いておく。 準備が出来たら来い」
ガチャッ バタン。 カッカッカ……
若林「見上さん……俺のせいで、泣いていたのか……」
最後にそれだけ言って、メモを残して去っていく見上。
彼がドアに振り向く際、不意にサングラスの中に映る瞳に涙が浮かんでいた事を知り、
若林は今日、試合で受けたもの以上の衝撃を受ける。
名家の若林家の三男として生まれた彼に、身内に仲のいいものなどはただの一人もおらず。
幼い頃に懐いていたのは、もっぱら家のお手伝いの女性と、コーチである見上であった。
ある意味、若林にとって見上は幼少期の父親代わりだったと言っていい。
その見上が見せた涙――しかも、自分のせいで流させてしまった涙。
それを見て思う所が無い程、若林源三という男は情が無い男ではなかった。
若林「………………!」
若林はしばらくその場で立ち尽くしていたが、やがてそれも終わると、
先ほどとは打って変わってキビキビとした態度で荷造りを始めた。
黙々と荷造りをしながら、新天地での、厳しいかもしれないがそれでも目指すべき道を思い顔を引き締める若林。
見上が流した涙が片桐から借りた遅効性の目薬によるものだったと知らなかったのは……。
彼にとって幸運だったのか不幸だったのか、定かではない。
602 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 02:15:05 ID:???
>>596
乙ありです。
今日も判定などはありませんが、一旦ここで区切らせていただきます。
それでは。
603 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 10:00:23 ID:???
これはキャプ森本編より難易度高そうだね。
翼日向不在は板野と中山&他メンバーの強化で、森崎不在は若林空手積極起用で補えるけど
ジノのみイタリア<ディアスのみアルゼンチン
アルゼンチン<<四人追加イタリアだろうし
フランス戦も日向がいないと…
604 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 11:40:10 ID:???
日向を送り込んできたの誰だろう
605 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 13:34:34 ID:???
東西ドイツ早期統一はないことを祈りたいけど
メッツァとカペロマン加入は想定しといた方がいいかも。
606 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 14:27:22 ID:???
まあ西ドイツは本編のままでも十分強いよね。
イタリアが必殺技控え目なら
守備 イタリア≧西ドイツ
中盤 西ドイツ>イタリア
前線 西ドイツ>イタリア
くらいかな。
607 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 16:47:08 ID:???
西ドイツの弱点なんてDFが弱いって程度だからな
ところでこの翼はもしかして原作の翼か?
608 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 17:16:07 ID:???
間違いなくそうだろうね
ニネーと高橋は絶対対立すると思う
大会の決勝にすら出れない主人公・・・ねぇ
609 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 17:26:38 ID:???
全国大会で優勝した東邦学園のキャプテン小池秀人が主人公だな(確信)
610 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 17:40:28 ID:???
せやね
611 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 17:48:56 ID:???
つまり二人の目的は小池?
612 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 23:01:35 ID:???
そして視点は、主人公――だった筈の男、板野のものへと戻る。
彼は今、この西ドイツで過ごす間滞在するホテルのロビーにいた。
試合を終えてからは今まで感じた事の無い程の悔しさと無力感に苛まれていた彼は到底自室に戻って身体を休める気持ちにはなれず、
それは他の者達も同じだったようで、板野の周囲には松山を初め多数の全日本Jrユースメンバーが集まっていた。
松山「井沢、三杉……怪我は大丈夫だったのか?」
三杉「ああ、今日一日安静にしておけば明日からはもう問題なく動けるよ」
井沢「一応明日の練習試合については参加は控えた方がいいだろうって言われたけどな」
明るくない雰囲気の中、それでも気遣うように松山が今日の試合で出た負傷者の2名に問いかけると、
2人は大会に影響は出なさそうだと返答。
井沢にしろ三杉にしろ、全日本Jrユースでは重要な戦力である為に本来ならば喜ぶべき事なのだが、
この言葉を聞いても一同に笑顔は戻らない。
明日の練習試合――板野達には、再び憂鬱な現実が待ち構えていたからである。
沢田「あ、明日はブレーメンとイタリアJrユースとの練習試合でしたよね。
ブレーメンはともかく……イタリアってかなりの強豪国だったんじゃ……」
山森「……そんな相手に、三杉さんやキャプ……井沢さん抜きで戦うのか」
中西「シュナイダーみたいなとんでもストライカーはおらんやろなぁ……あんなんと戦うのはもう御免やで」
石崎「西ドイツも大会には参加するんだよな?
そのシュナイダーやカルツに加え、今度は国内の実力者が集まってくるんだろ? ……どうしようもねぇよ」
板野「(皆、落ち込んでるな。 俺もだけど……でも、このままじゃいけないのは確かなんだ。
こういう時、どうすればいいんだろう?)」
613 :
森末(仮)
:2015/01/17(土) 23:02:36 ID:???
A.「皆、落ち込むな! 確かに世界の壁はあまりに厚いけど、まだ大会まで時間はあるだろう!」 情けない一同を叱責する
B.「まずは自分たちの実力が確認出来た……今日の試合、その収穫があっただけでも十分だ」 冷静な一面を見せてみる
C.「どうせこれじゃ大会に出ても勝てないよ……記念に参加するくらいの気持ちで行こう」 自暴自棄になってみる
D.「色々あって皆疲れてるんだよ。 みんな、今日は一旦休もう。 心も体も休息が必要だ」 まずはゆっくり休もう
E.「…………」 黙ってボールを持ち、練習に行く
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
614 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 23:03:06 ID:yZMJ0Dso
E
615 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 23:03:46 ID:r/Aeispw
E
616 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 23:09:28 ID:???
三杉が使えない、もうだめだ…おしまいだぁ…
617 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 23:39:50 ID:???
中盤で守備ができる井沢が使えないのも辛い、松山をボランチにすることも考えないといかんな
618 :
森崎名無しさん
:2015/01/17(土) 23:40:34 ID:???
ブレーメン戦は中山をボランチにして代わりのセンターバックに石崎とかを使っては?
619 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:11:43 ID:???
>E.「…………」 黙ってボールを持ち、練習に行く
========================================================================
板野「(……こういう時、やる事。 それは決まってる。
才能が無い――実力が足りない時。 そんな時に出来る事は……)」
自分が今、何をするべきなのか……その答えはすぐに出た。
そしてそれを即座に行動に移そうとした瞬間――。
松山「!」
板野「ま、松山……」
先ほどまで板野同様、落ち込んだ顔でソファーに腰掛けていた松山が立ち上がった。
これもまた板野同様、近くに置いていたボールを持って。
突如対面に座っていた相手同士が、自身と全く同じ行動をした事で呆気にとられてしまう板野と松山だったが……。
すぐにその意図に気づくと、互いに真剣な表情で頷き合いながら、外へと駆け出して行った。
才能が無い者は、努力するしかない。
ふらの中学で共に過ごしてきた2人は、こういう時に自分たちが取れる行動について、ただそれしか知らなかった。
中山「……俺も行ってくる(そうだ、いつまでも落ち込んでいる場合じゃない……!
世界の広さと自分の矮小さを知ったなら、その差を少しでも埋めようと……。
いや違う、その世界すらも超えてみせるくらいの気持ちにならないと!)」
新田「あ、ま、待って下さい中山さん! 俺も行きます!」
石崎「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺もつれてってくれ!」
三杉「(やれやれ。 試合で疲れている筈なのに……まあ、オーバーワークにならない程度にするよう、後で様子を見に行くとするか)」
反町「……? 若島津、お前は行かないのか?」
若島津「ああ(我武者羅に練習するだけでは……今の俺では駄目だ。 浴びせ蹴りはシュナイダーにも通用したが、セービングの質が足りん。
根本から考え直すしかあるまい……セービングの精度を上げる方法。 何か、きっと何かある筈だ)」
その後、触発されたように中山が続き新田と石崎もそれに同行する。
こうして練習に向かう者達がいる一方で、全日本内でも相当の実力者とされる若島津は1人仏頂面で何やら考え事をしているのだった。
620 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:12:54 ID:???
〜 松山 〜
松山「(甘えていたつもりはない……ふらの中学で過ごした3年間。
そして、大会が終わってからの数日。 俺は毎日、このボールを蹴り込んでいた!
だがそれでも大会では優勝出来なかったし、今日の試合でも何も出来なかった!)」
外に出て板野とは別に練習する事にした松山は、1人公園の影でボールを蹴り込んでいた。
今日の試合、誰よりも悔しい思いをしたのは、この松山だったかもしれない。
日本ではNo.1フィールドプレイヤーと言われ、その実力の高さは国内のサッカー少年ならば知らぬ者はいないとまでされていた。
OMFでありながら守備力も高く、特に粘りのキープと北国で培われた強靭な足腰から放たれるシュート。
そして鋭いタックルは、全国大会でも大いに対戦チームを苦しめてきた。
だが、その松山の自慢の攻撃力も守備力も、世界では通用をしなかった。
全国大会終了後に開発をした雪だるまキープは上手く繰り出すタイミングが無く、ボールを奪われ。
シュナイダー達に何度も抜かされる局面も目立った。
極め付けは北国シュートである。GKに防がれるどころか、DFにブロックされたとあっては、松山としてもぐうの音も出ない。
常人ならば心が折れてもおかしくない状況であったが……それでも松山は諦めなかった。
松山「(俺に才能が無いのはわかっているんだ! だが……それでも俺はサッカーが好きなんだ! 勝ちたいんだ!!
その為にやれる事は全てやる! 才能が無い分は、努力で埋めるしかない!
これまでも何度も負けて、叩きのめされて……でも、あきらめたくないんだ! このまま終わってたまるか!)」
小学生時代、中学生時代と、世代で有数のプレイヤーとして知られながら、松山には優勝経験がない。
そのたびに松山は心で涙を流しながら、努力をし続けてきた。
努力は必ず報われると信じて……雪国にもいつか、春は訪れると信じて。
やがて彼は地道にシュートの威力を上げ、パスの精度も上げる事に成功する。
それらは全て、かつて中学生大会での試合中に感じた"覚醒の兆し"がようやく開花したもの。
しかし、それでもまだ彼は納得しない。
621 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:13:56 ID:???
松山「(地道に基礎能力を高める事は重要だ。 だが、ことシュートに関しては……今のままじゃ通用しないかもしれない)」
基礎的な能力が上昇しただけで満足しなかった彼は、さらなる進化を求めて思案に明け暮れた。
"本来"の松山光ならば、基礎的な能力の向上を重視して、この時点で満足していたかもしれない。
その先を目指す事を、「自分には才能が無いから」と言って。
だが、彼は大きく変わっていた。
信頼が出来、尊敬が出来――そして誰よりも頼りとなる仲間がいたから。
その仲間もまた最初は自分よりも実力が低い――。
否、今でも総合的な能力では劣っているにも関わらず……しかし、自分と一緒に努力に努力を重ね、
時には笑いあい、時には励まし合い、時には慰め合って高みを目指してきたから。
そしてその仲間の力――シュートを目にして、今の自分では到底その仲間に及ばないと感じていたからである。
松山「(アイツには確かに才能がある……あれだけ小柄なのに、パワーだけは人一倍強い。
だけどそれ以外に関しては入部してきた当時は殆どからっきしだったんだ。
それなのに、ドリブルも上手くなった……パスだって俺とコンビを組める程に……。
才能が無いのを、言い訳にしちゃ駄目だ。 俺も……俺だって……更に上を目指せる筈だ!!)」
本編で仲間に恵まれず不遇の一途を辿った荒鷲は、たった1人の男の存在により、
高く世界という名の大空に羽ばたこうとしていた。
※松山がパス・シュートフラグを回収しスキル・パス+1、スキル・シュート+1を習得しました。
更に……?
622 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:15:08 ID:???
〜 中山 〜
松山達とはまた違う公園――手広く、大きく使う事の出来るフィールドにいたのは、中山と新田、石崎であった。
中山「石崎、新田、本当に俺の練習に付き合ってくれていいのか?」
新田「はい!(板野さんと練習するのも考えたけど……。
技術とかを教えてもらうならともかく、FWの俺が板野さんの練習相手に務まるとは思えないしなぁ)」
石崎「中山と一緒に練習できりゃ、それだけでレベルアップになりそうだしな!」
この公園までの道すがら、中山達は練習内容について話し合った結果、
中山がしたい練習に石崎達が協力をするという形になった。
勢いだけで出てきた石崎には具体的にどのような練習をしようかという青写真がなく、新田にしてもそれは同様。
ならば中山の練習に付き合うだけでも、自分たちにとって有益になるだろうと考えたのである。
石崎「それでどうすんだ? タックルの練習か?」
新田「それなら俺が相手しますけど……でも中山さん、下手なMFよりも攻撃力高いですよね。
もしかしてそっちを鍛えたいとかだったりします?」
中山「そうだな……まずはドリブルを鍛えたいから、2人でかかってきてくれるか?」
石崎「ドリブルかー、よっしゃ! ……ん? まず?」
中山「ああ、まずだ」
そして早速何を練習するのかと問いかけられた中山が返答すると、
石崎達は守備ではなく攻撃面での強化を申し出た中山に意外な顔をするのだが……。
不意に中山が呟いた、「まず」という言葉に反応をする。
すると中山は事もなげに、至って涼しい顔で更に言葉を続けた。
中山「ドリブル、パス、タックル、パスカット、ブロック……それにクリアー。
シュートに関してはアイデアが無いから今回は無しだが、これだけの練習をしたい」
石崎「なっ!? ん、んな無茶な! ほんのちょっとの短い時間でそんだけの事をやって成果が出るなんて……」
中山「頼む、やらせてくれ。 試したい事が沢山あるんだ」
新田「お、おれは構いませんけど……(幾ら中山さんでもシュート以外の全ての項目で結果を出すなんて出来るのか?)」
623 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:17:53 ID:???
今、練習を開始しようとしている時間から定められている就寝の時間までは、決して長くはない。
その練習の中で、1つのプレイを集中し繰り返して練習して何か得られるものがあれば、それだけで上出来だと石崎達は思っていた。
だが、中山はその短い時間の中でシュート以外、すべてのプレイの質を向上させようとしていたのだ。
それははっきり言って無謀な考えにしか外野からは思えなかったが、
何故かこの時、中山にはしっかりとモノに出来るという確信に近いものがあった。
中山「(技のアイデア……原理や動き方がさっきから思いついて頭から離れない。
後はそれを実際に動いて体になじませるだけ……! 上手く行くといいんだが……)」
不思議な事に、中山の頭には湯水の如く技の構想が溢れて止まらなかった。
"本来"ならば――それは決してこの段階では中山が考えつかなかったもの。
遠い未来……3年後。
絶望と大きな挫折、そして親友との衝突などを経て、それでもそれを乗り越えて強靭な精神を手に入れ、
更には高いレベルの実力者たちと長い時間をかけて完成させた筈のものである。
中山「(しかしどうしてこんな事が……? それに、さっきから思い浮かぶこの光景はなんだ……?
どうして俺が車いすに……それにこれは……これは、合宿初日の朝に会った男……?)」
それらの技の構想に混じり、中山の脳裏には車いすに乗り悔しい思いをする自分、今の自分より成長をし大人びた自分。
そして、いつか出会った謎の男とわさビーフを頬張っている自分の姿が浮かぶ。
一体自分の身に……否、"魂"に何が起こっているのかと恐怖にも似た感情を覚えながら……。
それでも今は練習に集中を、と気を引き締め直し、石崎達に向かって行った。
624 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:19:39 ID:???
先着3名様で、
★中山のドリブル練習→(! dice + ! dice)=
中山のパス練習→(! dice + ! dice)=★
★中山のタックル練習→(! dice + ! dice)=
中山のパスカット練習→(! dice + ! dice)=★
★中山のブロック練習→(! dice + ! dice)=
中山のクリアー練習→(! dice + ! dice)=★
と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。
5以上→それぞれに対応したフラグ習得!
10以上→それぞれに対応した技習得!
625 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 01:20:00 ID:???
★中山のドリブル練習→(
5
+
6
)=
中山のパス練習→(
5
+
3
)=★
626 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 01:21:06 ID:???
★中山のタックル練習→(
5
+
2
)=
中山のパスカット練習→(
2
+
4
)=★
627 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 01:22:03 ID:???
★中山のブロック練習→(
6
+
4
)=
中山のクリアー練習→(
2
+
1
)=★
628 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 01:22:50 ID:???
2つも技覚えてくれれば上出来。特にブロックはありがたい
629 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 01:24:42 ID:???
本日は一旦ここで区切らせていただきます。
遅くまでお付き合いありがとうございました。それでは。
630 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 10:19:24 ID:???
乙です!
CBとボランチ、どっちで使うか悩ましいところだね。
631 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 21:25:44 ID:???
森末(仮)さん、乙です。
>>593
少し亀レスですが、衝撃の展開ですww
(どうせなら高橋先生の表記は、YO1神or陽一神とかの方が良かったかも・・・。)
>>601
見上さん・・・、いい人過ぎる。・゚・(ノД`)・゚・。
中山さんの活躍も含め、ますます続きが楽しみになってきました。
632 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:42:50 ID:???
>>628
2つ技を覚え、フラグも取得は大きいですね。
中山さんは基礎能力が高いので、試合中の覚醒で回収にも期待が持てます。
>>630
乙ありです。
ドリブル、ブロックが出来ますので置き場所には困るかもしれませんね。
ただどちらも高い水準ですので、どこに置いても活躍が期待できそうです。
>>631
乙ありです。
高橋さんは森末との対比でこんな名前にしております。
続きが楽しみと言っていただけて、ありがたいです。
633 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:44:06 ID:???
>★中山のドリブル練習→( 5 + 6 )=技習得!
> 中山のパス練習→( 5 + 3 )=フラグ習得!★
>★中山のタックル練習→( 5 + 2 )=フラグ習得!
> 中山のパスカット練習→( 2 + 4 )=フラグ習得!★
>★中山のブロック練習→( 6 + 4 )=技習得!
> 中山のクリアー練習→( 2 + 1 )=成果なし★
=======================================================================================
本当にこの短い時間だけで、成果を上げる事が出来るのか?
石崎達の疑問は、結論として杞憂に終わった。
中山「知り難き事陰の如く!」
クルッ……パッ!
石崎「はっ……へ!?」
新田「き、消えた!?」
ボールを相手の死角で弄びフェイントをかける事で、まるでそれが「消えた」と感じさせ突破する技――消えるフェイント。
石崎、新田というボールカットがお世辞にも得意とは言えない彼らは、
一度もボールに触れる事も原理を理解する事も出来ないまま中山に翻弄され続ける。
中山「動かざる事山の如く!」
バシュウ……ボコッ!
新田「なにィ!? 俺の隼シュートが……!(流石中山さんだ!)」
また相手のシュートコースを素早く予測し飛び込みながら――ダイビングしながらブロックする事により、
その加速力で通常よりも更に強い力でボールを弾き飛ばすダイビングブロックの会得に成功。
この日の練習で新田の隼シュートは悉く中山に弾き返される事となる。
そして驚くべき事は、結果が出たのはこのドリブル、ブロックの練習だけではないという事であった。
634 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:45:21 ID:???
パスでは狙った位置にピンポイントで送る精確なパス精度の片鱗を見せつけ、
タックルでは地を抉るかのような鋭いスライディングタックル。
パスカットにおいても、素早い動きだしでまるで疾風のようにボールを掠め取ろうという姿を見せる。
これらは残念ながらまだ試合では上手く使いこなせないものの、
いずれ使い物に出来るかもしれないという下段階を作り上げる事には成功をしていた。
唯一クリアーについては物に出来なかったのだが、練習相手が競りあいに弱い石崎と新田では、これも仕方のない話なのかもしれない。
一通り練習を終えて、荒い息を吐きながら思わずその場に座り込む中山。
そんな彼を新田と石崎は茫然としたまま見つめていたのだが……、
やがて中山がしでかした事を理解すると、すぐさま歓喜にも似た感情を表しながら中山に詰めかける。
石崎「す、スッゲー! すげぇぜ中山!」
新田「ドリブルは中里さん並……? ブロックだって次藤さんに負けてませんよこれ!」
元々中山の事を尊敬していた新田に、よく言えば素直で他人を純粋に応援出来る石崎。
彼らは改めて中山の実力の高さと底知れぬ才能に驚愕し、中山の事を褒めちぎるのだが……。
中山はそれに対して小さく首を振るだけで、決して納得してはいない表情で小さくつぶやく。
中山「いや……いや、まだまだだ。 俺は……俺は、もっと強くなれる。 この程度じゃない、もっと強くなれるんだ。
"アイツ"の前に立ち、手助けする為じゃない。
世界を相手に戦う為に、俺はもっともっと、強くなれる筈で……」
新田「……アイツ? って、誰です?」
中山「……え?」
その口から出てきたのは、満足の行く成果ではなかったという自身に対する戒めの言葉。
そして、新田も石崎も、誰も知らない"アイツ"という存在についての言及だった。
635 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:46:35 ID:???
新田に指摘されると、中山は一瞬呆けた表情を浮かべた後……自分がそんな事を言っていたという事実に驚き、
額に頭をあてて今さっき自分に起こっていた謎の『魂』の揺れ動く様に恐怖を抱く。
中山「(な、なんだったんだ……さっきの不思議な感覚は……。
見た事もない筈の情景が思い浮かび、やった事のない筈の技をやる自分の姿が目に浮かんで……。
それなのに、それが当然のように……本来あるべき姿に思えてしまっていた。
俺が見た情景は、もっともっと未来のもので……しかも経験した事が無い筈なのに……。
それが"懐かしい"と感じてしまうなんてありえ無いのに!)」
本来ならば、中山政男という男はこの時点でこれだけの多種の技を覚える事は無い。
本来の彼は今現在――中学生時代、不幸な事故によりサッカーを諦めねばならぬ状況にありながら、
それでも奇跡的な回復力と精神力、優秀な医師の力を得てサッカー界に復帰。
以後は挫折と苦悩に悩まされながらも選手として大きく成長をし、やがて世界有数のDFへと変貌を遂げるのだ。
だが、この世界では違った。
既にこの時点で彼は世界レベルとも言える水準の力を有し、やがて国際大会では全日本の守りの要として外せない人物となるだろう。
その切欠となったのは――間違いなく、中山がJrユース合宿の初日に出会った、例の男……森崎有三。
彼に出会ってしまった事で、中山政男の運命は変わった。
親友である筈の彼に出会い、対話し、そしてその後に「世界の壁」を知った事で――。
彼はこの世界の中山政男ではない、"別の世界"の中山政男の魂の器へと変貌し始めていたのである。
それ程までに、森崎有三と中山政男という男の関係は、深く、密接なものだった。
中山「(俺に一体何が起こっているんだ……? まるで、ここにいる事が間違いのように思えてくるこの感情は……)」
やがて就寝時間が近づき、新田と石崎に促されてホテルに帰るまで、
中山はその場で愕然としながら、己の身に起こっている不可思議な現象に困惑をしていた。
※中山が「消えるフェイント」「ダイビングブロック」フラグ・パス、フラグ・タックル、フラグ・パスカットを習得しました。
636 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:48:23 ID:???
〜 板野 〜
こうして中山がこの世界に存在しない筈の人物との接触により急成長をしていた頃。
板野もまた、離れた場所で1人練習に明け暮れていた。
彼はボールをただ強く蹴り、マグナムシュートの改良に勤しむ。
今日の試合でマグナムシュートでも……マグナムボレーでも、シュナイダーには敵わないと理解が出来たからである。
板野「(わかっていた事だけど、やっぱりシュナイダーは強い!
今日は調子が悪かったのかもしれないけれど、実際の威力を見てみればファイヤーショットとマグナムシュート。
その威力の差は歴然だ! このままじゃ大会でもミューラーやヘルナンデスにあっさり止められちゃうよ!)」
フランスのアモロやアルゼンチンのガルトーニならともかく、
世界的なキーパーであるミューラーやヘルナンデスといった実力者には現状では歯が立たないかもしれない。
改めて危機感を抱いた板野が取ったこの行動は、ある意味必然だったと言えるのだが……。
やはりとも言うべきか、ただ我武者羅にシュートを打ちこむだけでは目立った成果というのは出なかった。
板野「くそう……どうすればいいんだ?
イタリアはヘルナンデス以外が弱いから数を打てばなんとかなるだろうけど、
西ドイツからはそういう訳にもいかないよ……このままじゃ駄目なのに……」
森末「板野〜!」
板野「!? も、森末!?」
焦るばかりで成果が出ない事に苛立ち始めた板野の耳に聞こえてきたのは、
かつてこの世界に自分を連れてきてくれた精霊の声である。
慌てて振り向いてみれば、そこにはとてとてと歩きながら板野に近づいてくる森末の姿。
思わず板野が練習の手を止めると、森末はなんとも焦燥しきった表情(第三者からはいつもの無表情に見える)を浮かべつつ、
まずは大きく息を吐くと小さな手をピュッと上げてその口を開いた。
637 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:50:25 ID:???
森末「探し回ったよ板野……こんな所にいたんだね」
板野「う、うん……練習してたんだ。 このままじゃシュナイダーのファイヤーショットに勝てないって思って……。
ところでどうしたんだよ森末? 何かあったの?」
森末「何かあったっていうかなんというか……ともかく、色々ありすぎてね。
……あ、それはともかく、ハンブルグとの試合ではひとまず引き分けおめでとう!
負けなかったのは立派だったよ!」
板野「……引き分けで喜べないよ、森末」
森末「……うん、そっか。 ごめん、気が回らなかったね。
じゃあ早速……伝えたい事があるから話させてくれ。
これから話す事はちょっと君にとってもショックな事かもしれないから……まずは落ち着いて聞いてくれよ」
疑問を浮かべる板野に対し、森末は努めて冷静になろうとしながら自身がこれまで見聞きしてきた事を伝えた。
イタリアJrユースに、ストラットらこの時点ではいない筈の4人組がいた事。
逆にアルゼンチンJrユースに、パスカルやガルバンといったディアス以外の主力選手が存在しない事。
端的に言えば、イタリアの超絶な強化とアルゼンチンの更なるディアスのワンマンチーム化。
言葉にしてしまえば簡単であるが、しかし、当然ながらそれは板野が知るキャプテン森崎ともキャプテン翼とも違う出来事であり、
つい先ほど森末に引き分けに終わった事を言われて悲しみに歪めていた表情を驚愕の色に変えるには十分な事実であった。
板野「イ、イタリアに……ストラットとジェンティーレ……おまけにバンビーノとランピオンだって……?
ど、どうしてそんな事になってるのさ!?」
森末「わからない……僕も当然、そんな事はしていないんだから。
ただ、以前から僕が予定していなかった筈の出来事が起こる事はあったから……。
これも、きっとその出来事を起こした犯人がしでかした事なんだ、と思う」
638 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:52:10 ID:???
以前より――中学サッカー大会の頃より、その傾向はあった。
この世界では大空翼がいない為に存在しない筈のツインシュート。
それを立花兄弟が披露した時から、森末の嫌な予感は既に始まっていたのだ。
それでもまだ、板野に対して直接的に大きな被害はないから……と様子を見守っていた。
だが、ここに来ての対戦チームの大きな補強……森末からしてみれば、あまりにもやり過ぎと言える"改変"である。
板野「どうにかならないの? だってそんなの……森末が予定してない事なんでしょ?
修正をして、今からストラット達を参加出来ないようにするとか……」
森末「無理だ……今の僕にはそれだけの力はないし、それにもう彼らは実際に表舞台に出てきてしまっている。
ここから彼らを参加出来ないようにするというのは、それもまた世界を大きく改変してしまう事になるんだ。
修正、ではなくてね」
ストラット、ジェンティーレ、バンビーノ、ランピオン。
彼ら4人のいるイタリアと、ヘルナンデスしかいないイタリア。
その強さの違いについて、板野が知らない筈も無く……故に、森末の言いたい事も理解出来てしまった。
彼らがいる事を、無かった事にする。
それは今後において大きな影響を与えてしまう事であり――。
そして、それだけの大きな改変を、今の森末の力では出来ないのだという事に。
これに対して、森末は実に申し訳なさそうな表情を浮かべ、頭を垂れるしかない。
世界の管理者である彼は、板野が円滑にゲームを進められるようにする義務を持つ。
だというのに、今日のハンブルグとの試合で引き分けに終わった矢先、大会であたるイタリアが超絶的な強化。
もはや無理ゲーであるとして匙を投げられても文句を言えないような状況であった。
森末「ごめんよ板野……僕の力が足りないばかりに……」
板野「……いや、大丈夫だよ。 驚きはしたけど……でも、もう俺達は絶対に負けない……。
違う、どんな敵が出てきても勝つって決めたんだ。
だから……きっと大丈夫!」
それでも板野が弱音を吐かなかったのは、先の試合で悔しい思いをしたからに他ならなかった。
森末の謝罪に対し、板野はあくまで強気な姿勢を崩さずにいると、
森末は一瞬驚いた顔を浮かべ……すぐさま板野を頼もしげに見やり、うんうんと力強く頷いた。
639 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 22:53:12 ID:???
森末「うん……うん、そうだね! きっと君なら勝てる筈だ」
板野「それにしても、逆にアルゼンチンが弱体化か……どういう事なんだろう?」
森末「わからない。 一見すればバランスを取ってるように見えるんだけど……一体どうしてそんな事をする必要があるのか、
僕もちょっと理解できないからね。
イタリアも強化したんなら、アルゼンチンも強化してこっちの反応を愉しみそうなもんだけど……。
ところで板野、ここまでで何か質問はあるかい?
大きな改変は出来ないけれど、僕もまだ力は残ってる。 情報を集めたり君にアドバイスする事なら出来るんだけど……」
板野「え? そ、そうだなぁ……」
A.強化されたイタリアの具体的な実力について
B.弱体化したアルゼンチンの弱体化の理由について
C.他に強化や弱体化したチームの有無について
D.これからのチームの育成方針について助言を貰う
E.森末役に立たなさそうだし特に無いです。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
640 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 22:53:39 ID:EK2pwbXk
A
641 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 22:54:18 ID:s8YeaSn2
A
642 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 23:24:40 ID:???
Eはひどいww
643 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 23:41:48 ID:???
>A.強化されたイタリアの具体的な実力について
===============================================================
板野が気になったのは、やはり強化されたイタリアの具体的な実力についてだった。
本編ではJrユース大会で辛酸をなめさせられ、その雪辱を胸にしユース大会では準決勝で激突。
日本は怪我人を続出させ、カードが舞う荒れた試合展開にこそなったものの、
ストラットを初めとした選手たちの実力の高さは大いに全日本を苦しめた。
板野「特にストラットは強敵だったよなぁ……本編だとリオカップの時にもズタボロにやられたし。
決定力だけならシュナイダー以上だったんじゃなかったっけ?」
森末「ただ、今日あの後……ちょっと偵察に行ってきた所によると、どうやら【ストラットにはメガロゾーンは無い】みたいだよ」
板野「えっ、そうなの!?」
1番の警戒の対象は、本編中最大のシュート力を有していたストラット。
当然ながらその代名詞であるメガロゾーンシュートを板野は恐れていたのだが、
森末の情報によれば現時点ではストラットはメガロゾーンシュートを会得していないのだという。
森末「元々あれは、イタリアにいられなくなったストラットがブラジルに逃げてから覚えたものだった筈だし……。
それを考えると、ここで覚えてないのは納得だよ」
板野「そっか……(っていうか森末、今日試合終わってすぐに偵察に行ったのか。 ワープが使えるって便利だなぁ)
じゃあ他のは? ジェンティーレとか……」
森末「彼らに関しても、ワールドユース編の頃よりは弱い筈だよ。
具体的には未収得な技も多い……ジェンティーレも、【カウンターシュート】とかは覚えてなかった筈さ。
勿論、この段階では味方だって然程成長出来ていないからどっこいどっこいだけどね」
森末の話を聞く限りでは、強化されたというイタリアの選手たちも、
あくまでこのJrユースレベルの能力に落ち着いているらしく、
その点については板野もほっと胸をなでおろす。
644 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 23:42:57 ID:???
板野「まあ流石にオムニゾーンとか打たれたりマグナムボレーをカウンターシュートされたりしたらたまったもんじゃないもんね……」
森末「ああ、だからやりようによってはしっかり勝てる筈さ。
あと、強化……追加されているのはあくまでその4人だけ。
当然ながらアルシオンはいないし、ワールドユースになってから追加されたキャラは他にいないからね」
また、どうやら森末の話によれば、イタリアの強化はあくまでもその4人。
モブのDF達が技を覚えているだとか、ゲーム版に出ていたゴリネバーレらが追加されているという事もないらしい。
イタリアが超強化された!と聞いて最初は驚いていた板野も、
少しずつ安心する要素が出てきた事で笑顔を見せ始めた。
板野「そっか……なら、なんとかなりそうだね!」
森末「ただ強化されてる事には違いないんだから、油断は禁物だよ!
ストラットだってメガロゾーンが無いとはいえ、世界的なレベルのストライカーには変わりないし、
ジェンティーレだって本編同様屈指のDFだ。
何よりヘルナンデスだって強いんだから、ゴールを奪うのは並大抵じゃないよ!」
板野「確かにそれはそうだね……ヘルナンデスとジェンティーレを破れるだけのシュート、か……」
しかしあくまでも森末が戒めるような言葉を言うと、板野は改めて気を引き締める。
確かに思った程には凶悪ではないかもしれないが、それでも強敵には違いない。
特に守備力に関しては、恐らくは大会に出場するチームの中ではNo.1。
今大会、出場する中で最強のキーパーといえばミューラーとなるのだろうが、
守備陣――即ちジェンティーレとヘルナンデスという最高クラスのDFとGKを持つイタリアの方が守備力に関しては上だろう。
実際に彼らが守るゴールを狙うFWとして、板野は果たして自分にそれだけのシュートが打てるのだろうかと少々不安に思うのだが……。
そんな板野を見て、森末はニッコリと笑みを浮かべると、
その肩からかけ引きずっていた袋の中から何かをゴソゴソと取り出した。
森末「安心してくれ板野! こんな事もあろうかと、実は持ってきたものがあるんだ」
板野「え、何!? 何かくれるの!?」
森末「ああ、今の君に必要なもの……それはこれだ!」
645 :
森末(仮)
:2015/01/18(日) 23:44:24 ID:???
先着1名様で、
★森末の贈り物→! card★
と書き込んでください。マークで分岐します。
JOKER→スペード・クラブ+インスタントラーメンだった! 森末「兄貴塩と弟味噌どっちにする?」
ダイヤ→何やら古ぼけた一冊のノートだった
ハート→ボロボロになった野球のボールだった
スペード・クラブ→どす黒いサッカーボールだった
>>642 少なくとも情報などで教えてくれるものは事実なので、これからも森末には頼って行きましょう。
役に立たないと言うと泣かれます。
646 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 23:44:38 ID:???
★森末の贈り物→
ハート8
★
キックオフシュートに怯える心配がいらないなら勝つ方法見えた
647 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 23:44:48 ID:???
★森末の贈り物→
ダイヤ8
★
648 :
森崎名無しさん
:2015/01/18(日) 23:45:11 ID:???
★森末の贈り物→
ハート7
★
649 :
森崎名無しさん
:2015/01/19(月) 00:22:08 ID:???
ハートだけむしろSGGK要素に思えるけど元ネタなんだろ
650 :
森崎名無しさん
:2015/01/19(月) 00:24:33 ID:???
野球ボールでコントロール強化か?
それともピッチングで回転のかけ方学ぶとか?
651 :
森崎名無しさん
:2015/01/19(月) 00:25:09 ID:???
イーファスシュート習得フラグかな?
652 :
森崎名無しさん
:2015/01/19(月) 00:27:11 ID:???
そういや野球関係の知人が板野にはいたな。
登場人物欄にもちゃんといるw
653 :
森崎名無しさん
:2015/01/19(月) 00:28:32 ID:???
小さいボールを力強く蹴り抜く練習で正確にボールの芯を捉えるのかな
ついでにプロ候補のボールを蹴り返す練習もしよう(提案)
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(08:00PM - 02:00AM の間一気に全部は読めません)
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