キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
キャプテン森崎まとめ掲示板TOP

■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 601- 701- 801- 901- 最新50


レス数が1000を超えています。残念ながら全部は表示しません。
【イタリアJrは】俺inキャプ森6【弱いはず】

1 :森末(仮):2014/04/09(水) 22:51:05 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品です。
参加者の皆さんの選択、及びカード引きによって物語が展開していきます。

他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆

【板野くん】俺inキャプ森5【世界デビュー】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1395242717/l50

☆あらすじ☆

キャプテン森崎を心から愛する男板野住明はある日キャプテン森崎の精、
通称『森末』からキャプテン森崎の外伝スレへと参加してみないかと提案をされ外伝世界へと飛ばされる。
ふらの中学で松山達と共に鍛錬を繰り返し、1年と少しの期間を費やして臨んだ3年目の全国大会は惜しくも準決勝で敗退。

その後、同じ中学出身である松山と共に全日本Jrユースに選出された板野は、
松山、若島津らとキャプテンとしても争う事となる。
全国大会で共に競い合った立花兄弟や合宿で集中的に練習に付き合った新田らの後押しもあってか、板野は見事キャプテンに選ばれる。
そして舞台は世界へ。まず全日本Jrユースは遠征試合第一戦目であるハンブルグと対決。
西ドイツに留学をしていた若林、更に西ドイツの皇帝の異名を持つシュナイダーと強敵揃いのクラブチームを相手に、
ここまで2−2と競った試合を繰り広げる。
そして、勝ち越し点をと立花兄弟のスカイラブツインがハンブルグゴールを襲うのだが……?

580 :森崎名無しさん:2015/01/16(金) 02:41:42 ID:???
乙乙!

日向に続いてまさか奴まで来るのかw森崎ももしかしたら……続き楽しみにしてます!

581 :森崎名無しさん:2015/01/16(金) 03:48:08 ID:???
森崎はもう出たぞ

582 :森崎名無しさん:2015/01/16(金) 16:47:19 ID:???
翼が敵になるのか?

583 :森崎名無しさん:2015/01/16(金) 17:00:03 ID:???
若林の脳内w

584 :森崎名無しさん:2015/01/16(金) 22:09:11 ID:???
なるほど、イタリアとアルゼンチンの立場が逆になるんだね。
アイツはまさか…

585 :森崎名無しさん:2015/01/16(金) 23:15:47 ID:???
翼という分かりやすいスタープレイヤーに価値を見出して
全日本入りしない岬とかはありえそう。

関係ないけどカリオストロはやはり名作

586 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:17:41 ID:???
>>579-580 乙ありです。
=================================================================================================
それから数十秒……岬は唖然としたまま、件の男――恐らくは自分と同年代であろう少年を見つめ続けていたのだが、
岬太郎のその最大の長所は誰よりも素早く回転をする頭脳である。
すぐさま平静を取り戻すと、彼は謎の少年の身なり、年齢を即座に分析し自身が知る人物であるかどうかを脳内で整理。
それも芳しくないとなれば、街の草サッカー仲間らこれまでのフランスでの生活で培われた人脈からここまで得た情報で、
かつて自身に会いに来たエル=シド=ピエールのように自分の実力を見定めに来ようとした者かどうか確認しようとするのだが……。
少なくとも彼の脳内ライブラリーの中に、彼の特徴と一致する情報は存在しない。

岬「(旅行者というのはまずない。 僕の名前を知っている段階で、それは無い筈だ。
   確かに小学生時代、南葛小で全国大会に優勝をしたけれど……あの時の主役はあくまで若林くんの筈だ。
   僕はあくまでもフィールダーとして、若島津から辛うじてゴールを奪えた程度の男、という認識……だから誰も知らない筈。
   ならこれまでに渡り歩いてきた土地での友人かと言うと絶対違う。 これだけ特徴のある髪型なら覚えてる筈だ。
   それはこの土地――フランスで過ごす日系人だと仮定をしたとしても同様。
   ……いくら意識が上の空だったからといって、僕からボールを奪うなんて並大抵の実力じゃない!)」

常に脳内で思考を繰り返し、先手を取って自身が優位に立とうとする岬にとって、
このイレギュラーな『来訪者』の存在は正に青天の霹靂であった。
尚も混乱をし、どう対処をしたものかと躊躇する岬に対し――件の少年は大いに悲しそうに眉を下げ、
それでも奪ったボールを岬以上に華麗にリフティングをしながら口を開く。

587 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:19:22 ID:???
???「……信じられなかったけど、本当に俺の事を覚えてないんだね」
岬「(覚えてない……という事は、やっぱり一度会っているのか? まずい、これだけの実力者と仲たがいになる訳には……)
  い、いや、そんな事ないよ! ただ、突然の事でビックリして……」
???「ううん、いいんだ! 岬くんも、石崎くんも……誰も、俺の事を知らない。
    ここはそういう世界だって、神様が言っていたから!」
岬「……は?」

ここで少年との接点を失っては未来において岬がサッカー協会にある程度の地位を得た際、
相当の実力者と関係を築けているという大きなアドバンテージを失う事になる。
それだけは避けたい岬だったのだが……不意に彼の口から「神様」、などという一見すれば危な過ぎる発言を聞いて、
いよいよ平静を取り繕う事が不可能となってしまった。

岬「(もしかして……相当"アレ"な人物なのか? この人は)」
???「だけど、どうしても会っておきたかったんだ……これから岬くんは、Jrユース大会に参加するんだろう?」
岬「(どうするどうするどうする!?
   変に関わり合いになると面倒かもしれない……でも、これだけの実力者と関係を持てなくていいのか!?
   上手くコントロール出来れば松山以上に使える"友達"になってくれるかも……)」
???「俺も出来る事なら参加したい……もう一度、ディアスやピエール……それにシュナイダーと戦ってみたかった!
    ワールドユースでは、一度も戦えなかったからね。
    だけど、それは駄目だって……今は出来ないって言われたから、諦めたんだ。
    それでも、俺、岬くんを応援したくて……」
岬「(ピエール? 戦った? それに……ワールドユースだって!? 一体何を言ってるんだ彼は!?
   本当に"アレ"なのか!? どうする、逃げる!? いやでも追いかけられたらまずいぞ!?)」

逃げるべきか、それともこのまま彼と対話をするべきなのか。
迷いに迷う岬に対して謎の少年は言葉を並べ続けるのだが、当然岬としてはそれどころではない。
完全にパニック状態となり、押し黙る岬だったのだが……。

588 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:20:36 ID:???
???「頑張ってね、岬くん! フランス国際Jrユース大会、必ず優勝してくれ!
    そしていつかまた……いつかまた、一緒にプレー出来る時を待ってるから!」

大声で――ともすれば絶叫とも取れる声量で、わざとらしく両手を口にあてて叫ぶ謎の少年。
もしもこれが普通ならば――いつもの岬ならば、どこか照れた様子(勿論演技)ながらその声に応える。
或いはこのように相当"アレ"そうな人物に大声で話しかけられれば、全速力で逃げていただろう。
だが、この時の岬の反応はそれらとは違った。

岬「う……うん! 頑張るよ! 絶対に、優勝してみせる!」
???「うん、その意気だ! 大丈夫、岬くんに若林くん……それに皆の力を合わせれば、絶対に優勝出来るよ!」

それはまさに反射のように岬の口から出てきた言葉だった。
自分の頭が、少年の言葉を脳内でよく理解してから適切と思われる返答をするいつもの受け答えではなく。
ただ、少年の言葉に対して頭が理解をしてからではなく心が――否、"魂"が先に反応を示して答えた。

少年のまじりっけの無い満面の笑みと素直で純朴な声援を受けて、岬太郎はただそう反応する以外になかったのである。

岬「!?(い、今……僕はなんて……!?)」
???「それじゃあ、またね岬くん!」

589 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:21:50 ID:???
やがて我に返り、自身の反応に自ら驚く岬を尻目に、
少年はニコッとこれまたわざとらしすぎる程に清々しい笑みを浮かべてそのまま立ち去って行った。
後に残ったのは茫然とする岬に、転々と転がる少年が置いて行った"トモダチ"。
しばらく呆けていた岬だったが……それでもようやく転がるボールを回収すると、
改めて少年が去って行った方角を見つめ、物思いに耽る。

岬「(一体……一体、なんだったんだ……?
   初対面の相手に頭で考える前に先に言葉が口から出るなんて、今まで無かった事なのに……。
   それに……これは……この気持ちは……?)」

ボールを持ちながら、不意に岬が瞳を閉じれば……。
その瞼に映るのは、つい先ほどまでそこにいた謎の少年の快活な笑み。
笑顔を得意な顔であると自負する岬から見ても、それはあまりにもわざとらしすぎたものだったのだが……。
それでもそれは、何故か深く深く、岬の心に刻まれてしまっていた。
しかも悪印象ではなく、好印象として。

あの笑顔を見るだけで、気持ちが嬉しくなる。
共に笑いあいながら、サッカーをプレイしたい。

それは遠い昔、岬がまだ利己主義に目覚める前――本当に純粋にサッカーを楽しんでいた頃に、置いてきた筈の感情。
この世界では……少なくとも、このフランスに移り住んだ頃には既に、その感情は失くしてしまっていた筈である。
それを思い出させた――否、「本来あるべき岬太郎」に近づけたのは、間違いなくあの少年の笑顔。

一体あの少年は何者なのか……そして、自分の心に一体何が起こってしまったのか。
岬がそれを知る事になるのは、まだ先の事である。

590 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:22:57 ID:???
タッタッタッタッ

???「ただいま、神様!」
眼鏡の男性「ああ、おかえり。 どうだった、久しぶりの再会は?」

一方、岬の元から立ち去った少年は、やがてこのフランス……パリにある公園へとやってくると、
そこで待ち構えていた男性――眼鏡をかけ、やや痩せた体型の壮年の男へと駆け寄り、首尾を報告していた。

???「やっぱり、岬くんが俺の事を覚えてないのは悲しいよ……。
    この調子だと石崎くんや若林くん……それに、ロベルトも俺の事を覚えてないっていうのも本当なんだろうね」
眼鏡の男性「仕方ないさ、ここはそういう世界なんだからね。
      でも大丈夫、落ち込む事はないよ。 この世界も、いずれ、僕の思うように……。
      そう、『キミ』を中心とした、『キミ』の世界に変貌する筈なんだからね」

しょげ返る少年を慰めるように優しげな口調で話す男性。
彼もまた、少年のようにこの世界にはいない筈の存在――。
いや、存在しないどころではない……本来ならばこの世界の事など、知る由もない筈なのがこの男性である。
しかし、彼は間違いなくこの世界の存在を感知し――そして森末が恐れていた通り、変革しようとしていた。

眼鏡の男性「まず手始めに、イタリアを強化しておいたよ。
      僕が今まで描いて来た中だと弱いイタリアっていうのは読者からは不評だったようだし、ね。
      あれだけ強化すれば、この世界で主人公『だった』男はかなり苦戦する筈だ。
      そうなれば、彼は主人公では完全になくなる。 大会の決勝にすら出れない主人公が、存在する筈がないからね」
???「そっか……全日本が負けちゃうのは悲しいけど……。
    でも、ゲームでの俺とチームメイトだったストラットも活躍出来るなら、それは嬉しい事だね」

そして実際に、男は行動を起こしていた。
イタリアJrユースが強化されている原因――。
チェザーレ=ストラットが暴力事件を起こしていない、という歴史を『創り出した』のは、この男の所業によるものだった。

管理者と言える森末以外にストーリーを曲げる事が出来ない筈のこの世界。
その世界で、新たな歴史を作りだせたという事実こそが――少年が彼を『神様』だと呼んでいる一つの要因だった。

591 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:24:00 ID:???
絶世の美女「はぁ……やはりあのイタリアの強化は貴方の仕業でしたか」
眼鏡の男性「おや? 君たちは……」

和気藹々と、これから変わってゆく世界について話しあう少年たち。
そんな少年たちに呆れたような声をかけたのは――かつて中山が全日本Jrユースの合宿に参加する直前に出会った少年。
その少年の隣についていた、誰もが見惚れるかの如き美貌を備えた絶世の美女であった。

絶世の美女「あまり派手に動かれると困るんですけどね……。
      私達にもある程度の力があるとはいえ、この世界はあくまでも私達がいた世界とは別。
      歴史を変えるのにも大きな力を使いますし、どんな副作用があるかもわかりません。
      何よりまだ私達は表舞台に立てない……その時までに力は蓄えておきたい所ですのに」
眼鏡の男性「何を言うんだ。 君たちだってアルゼンチンを弱体化させたんだろう? お互い様じゃないか。
      ……というか、なんで弱体化なんてさせたんだ。 全日本が勝ってしまう」

美女の非難に対し、思わず男性は反論をするのだが……。
これに美女はやはり憂鬱げなため息を吐きつつ、子供に言い聞かせるようにして説明をしていく。

絶世の美女「あなたにはわからないかもしれませんが、この世界はゲームですの。
      確かに主人公が負けてくれる方が、私もあなたもとてもやりやすい。 世界を自分のものにする為には、ね。
      ただ、その世界が誰にも見向きされなければ意味がないんです。
      私には参加者がいなければ――あなたには読者がいなければ。 違いますか?」

592 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:25:46 ID:???
眼鏡の男性「……だから、アルゼンチンを弱体化させる事でバランスを取ろう、と?」
絶世の美女「これでバランスになってるかどうかはわかりませんけどね。
      ただ私の世界でのアルゼンチン戦での絶望感が、イタリア戦で味わえ……。
      イタリア戦でのそれなりに勝てるという感じがアルゼンチン戦で味わえると思いますよ」

美女もまた、この世界を変革しようとする者の1人であった。
森末の力が弱まり、板野が主人公でなくなろうとしているこの世界。
その世界を乗っ取る為に行動をし、実際に持つの力でこの世界の歴史を変えたのだが――。
それは板野の手助けをするが如き、アルゼンチンが弱体化をしてしまうという正史とは違う改変であった。

何故わざわざそのような事をするのかと言われれば――。
それは多分に、この世界の秩序――バランスを保つ為である、と美女はキッパリ言い切る。

眼鏡の男性「うーん……まぁ、納得をしておくよ。
      でもそれでこの世界の主人公だった彼が力をつけたら、責任を取ってもらいますよ」
絶世の美女「心配ありません、手は二手三手先を打ってますから。 如何様にもなります。
      それより……ここから先は、少なくともフランス国際大会が終わるまでは共に行動しましょう。
      そちらの方が、色々とやりやすいですから」
???「ゲーッ、マジかよ……コイツと一緒に行動すんのか?」

渋々といった様子で納得をする男性に、涼しげな表情で返答する美女。
更にその美女が一つの提案をした所で……美女の隣にいた少年――中山に声をかけていたどこか性根が悪そうな男が不満の声を上げる。
彼にとって、目の前にいるテバサキ頭の少年は目の仇だったからである。

593 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:26:47 ID:???
???「そんな! どうしてそんな事を言うのさ!」
???「うげーっ、気持ちわりぃ! そんな顔してそんな事言うんじゃねぇよ! ホモじゃねぇのか!?」

逆にテバサキ頭の少年にとっては、目の前の少年は友人の一人だった為に悲鳴を上げ……。
大人2人は同時にため息を吐きながら、両者の肩を持ち諌める。

絶世の美女「落ち着きなさい、今は我慢する時よ。
      いずれこの世界が貴方のものになったら……その時は、全てがあなたの思うがままになるのだから。 その時までは、ね」
眼鏡の男性「彼も僕たちの知る彼ではないんだ。
      ただ安心しろ……この世界が君のものになりさえすれば、全ては元通りになるんだからね。
      彼も君の事を、『ボールはトモダチ』だという事を教えてくれた大事な恩人だと認識してくれるようになるさ」

森崎「ケッ……わかったよ。 だが百歩譲って手を組んでやってもいいが仲良しこよしは御免だぜ!」
翼「森崎……どうしてそんな事を言うんだ。 俺達はずっと一緒に頑張ってきたチームメイト……友達だろう!?」

少年たちの名前は、森崎有三と大空翼。
それぞれ、別の世界では主人公と呼ばれていた者。

高橋「それで? 僕たちが共に行動する事でどんなメリットが生まれるんだい、ニネー?」
ニネー「まず書く側が一々場面転換する必要がなくなって労力が減りますわね。
    私達に関するメリットなら……それは追々話させてもらいますわ」

大人たちの名前は、高橋とニネー。
それぞれ、別の世界では『神様』が如き力を持っていた者達だった。

594 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 00:27:20 ID:???
YO1神とニネーさんwww

595 :森末(仮):2015/01/17(土) 00:27:48 ID:???
一旦ここで区切らせていただきます。

596 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 01:09:56 ID:???
一旦乙です。
まさか陽一神と2ねいさんが出るとは……凄い展開だ!

597 :森末(仮):2015/01/17(土) 02:07:05 ID:???
――西ドイツ ハンブルグ ハンブルグJrユース寮

そして舞台は再び西ドイツ、ハンブルグへと移る。
ここハンブルグJrユース寮では、つい先ほど試合を終えた男――若林源三が荷造りをしていた。
この後全日本Jrユースに合流し、共に遠征に出る為である。

見上「私だ、源三」
若林「! み、見上さん……ど、どうぞ」

そんな若林の元に訪れたのは、全日本代表監督――見上辰夫。
周知の通り小学生時代から見上に世話になっている若林からはいつものような傲慢さは影をひそめ、
気を使うようにしてドアを開けて見上を招き入れるのだが……。

若林「すみません、すぐに支度しますんで!」
見上「どうした、源三。 いつになく神経を使っているようじゃないか。
   ……私に叱られるのがそんなに恐ろしいか? それとも、正GKの座が危うくなって精一杯機嫌を取ろうとしているのか?」
若林「! い、いえ……そんな事は……」

普段から他者を顧みない若林の不慣れな対応はあまりにもお粗末、
その行動が心から見上を敬ってのものではなく、単純に機嫌を損ねないようにとしているのは明白であり……。
当然のように、そんな若林の魂胆は百戦錬磨の見上からすれば御見通しである。
思わずため息を吐く見上に対し、若林は必死に否定しようとするのだが、それが通じる相手でもないのは誰よりも若林が知っている。
小さくすみません、と謝罪をすると、しばし部屋に静寂が訪れるのだが……。
やがてその静寂を切り裂き、若林はぽつり、とつぶやく。

若林「見上さん……」
見上「なんだ……?」
若林「どうして……どうしてこんな事になったんですか。
   日本で一体何があったんです!? あの板野ってのは何者ですか!? なんで俺が3失点もしなきゃいけないんです!
   どうして若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められるんです! なんで……!」

598 :森末(仮):2015/01/17(土) 02:08:41 ID:???
最初はぽつり、ぽつりと小声だったものが……徐々に大きなものへと変化していき、最後には絶叫に近くなる。
それはまさに、若林源三の正直な吐露であった。
何故、どうして……。若林の心の中には、その疑問しかない。
小学生時代全く名前も聞いた事がなかった板野という男が、何故自分からゴールを奪ったのか。
日本時代に無双とも言える程の活躍を見せ、サッカーの本場西ドイツで留学をした自分が何故ここまで失点を重ねなければならないのか。
何故日本時代は自分よりも劣っていた筈の若島津がシュナイダーのファイヤーショットを止められたのか。

それらの質問について、あくまでも見上は表情を崩さないまま淡々と答えていく。

見上「一つ目の質問だが、私も知らん。 小学生時代は、全国大会どころか主要なサッカークラブにも所属をしていなかったらしい。
   だが、中学時代――ふらの中学への転入から突如才覚を表してきたストライカーだ。
   ……奴のように中学に入ってから伸びてきた者は他にもいる。
   奴はただ小学生時代は無名だったが中学生になってからは国内トップクラスのストライカーになった、というだけだ。

   二つ目の質問だが、3点目のPKはともかく、1点目はお前が指示したのだろうハンブルグの舐めたプレイとお前の判断ミスでの失点。
   2点目は単純にお前が板野との勝負に負けた……というだけだ。
   どうしても何も無い。

   三つ目の質問だが……私の目から見ても、若島津が10回やって10回シュナイダーのシュートを止められるとは思わん。
   10回やって2回、3回……止められればいい方だろう。 その2回か3回かの内の1回が来ていた、というだけに過ぎん。
   無論、それだけの実力をつける為に若島津が努力に努力を重ねたのは言うまでもない事だがな」
若林「………………」
見上「いい加減に現実を見ろ、源三。 今の自分の立ち位置が解らん程、馬鹿ではないだろう」

599 :森末(仮):2015/01/17(土) 02:10:00 ID:???
認めたくない事実、何かの間違いだと言って欲しかった現実。
しかし、それらは全て実際に起こってしまった事なのである。
結果的に、3失点という大口を叩いたのに見合わない失点の数も。
板野という見た事も無かったポッと出の男に点を奪われてしまった事も。
自分より圧倒的に格下であると思っていた筈の若島津が、シュナイダーのファイヤーショットを止められた事も。

全て、現実なのである。

若林「どうしてこうなったんです……どうして……俺は……」
見上「ふん、『小学生時全国大会優勝チームキャプテン』で、『ハンブルグの正GK』だ、とでも言うつもりか?」
若林「!!」
見上「タワケ。 過去の実績も、肩書も、無論評価する際に参考にする重要な要素だ。
   だがそれだけでゴールを奪われないというのなら、誰も苦労はせん。
   対戦相手は実績や肩書を相手にシュートを放ってくるんじゃない。 シュートを止める際に頼れるのは、己の身一つだけだ」

輝かしい実績に、誇らしい肩書き。
プライドの高い若林にとっては何よりも大事にしてきた心の拠り所なのだが、
それらが実際の試合で役に立つ事は決してないと見上は断言。
これを聞いて若林はショックの余り茫然と口を開けてしまうのだが、更に見上は若林にとって耳に痛い言葉を続けていく。

見上「大体が小学生時代の実績など、所詮は過去の栄光に過ぎん。
   お前はこの先……ユース、そしてプロになってもその事を口にして生きていくつもりか?

   ハンブルグの正GKという肩書にしてもそうだ。
   確かにハンブルグは欧州No.1クラブチームと言われている、その正GKとなれば大したものだ……と言って欲しいんだろう。
   だが貴様はあくまで正GKであるだけで、欧州No.1GKという訳ではないだろうが」
若林「うっ……」

600 :森末(仮):2015/01/17(土) 02:11:42 ID:???
確かに小学生時代の実績など、既に過去の栄光でしかない。
全日本Jrユースにも南葛の面々などを初めとして小学生時代から活躍をしている者も複数いるが、
先に見上の言ったように中学に入ってから頭角を現してきた者達も多数存在する。
彼らにしてみれば今日、先ほどの試合で見た若林が全てであり、過去の栄光というフィルターを通しては当然見てくれない。

また、若林はハンブルグの正GKとして活躍を続けていながらも、決して欧州No.1キーパーとは言われてはいない。
ヨーロッパ研修をしていた見上は当然のようにその欧州No.1キーパーと呼ばれている男――。
ジノ=ヘルナンデスのプレイを実際に見学しており、彼がそう呼ばれる所以……。
そして、若林が決してそうは呼ばれない原因というものをよくわかっていた。

見上「小学生時代の栄光より、何故今の栄光を掴もうとせん。
   正GKに満足せず、欧州No.1キーパーという異名を手に入れようと何故躍起になれん」
若林「………………」
見上「小学生時代、私のしごきに耐えていた時はコイツは必ずモノになると思った。
   それほどまでにお前は才能の塊であり、また努力も出来るだけの根性も持っていた。

   それがどうした、この西ドイツに来てからは。
   正GKの座につけば早々に満足し、練習はサボり、態度は不真面目。おまけに喧嘩に明け暮れる。

   中学3年間、例え環境がよかろうと言われるだけの練習を――。
   いや、それすらもサボってきた男が、例え日本という狭い環境でも3年間努力を重ねてきた者達にそう簡単に勝てると……。
   本気で思っていたのか?」

やがて見上の説教を聞くにつれて、若林は頭を垂れ、じっとこれまでの3年間を思い出していた。
見上の言うように、若林は決して努力に努力を重ねてきた……とは言い難い。
メニューで組まれている練習すらもおざなりにこなし、自主練習に励むという事は少なくとも記憶になかった。
それだけである程度の結果が出ていたし、それなりにも勝ててきていたのだ。
故に、彼は完全に慢心してしまっていた。油断してしまっていた。

若林にとって幸運だったのは……それを今日の試合で気づけた事。
そして、気づかないフリをしていた所で、しっかりと言い聞かせてくれる恩師がいてくれた事だろう。

601 :森末(仮):2015/01/17(土) 02:13:26 ID:???
見上「……言っておくが、かつての教え子といえど贔屓はせんぞ。
   自分の力で這い上がり、正GKとキャプテンの座を掴んで見せろ。
   慢心し、驕っていた分、それなりに厳しい道かもしれんがな」
若林「! (見上さん、今……!?)」
見上「ホテルの住所を書いたメモを置いておく。 準備が出来たら来い」

ガチャッ バタン。 カッカッカ……

若林「見上さん……俺のせいで、泣いていたのか……」

最後にそれだけ言って、メモを残して去っていく見上。
彼がドアに振り向く際、不意にサングラスの中に映る瞳に涙が浮かんでいた事を知り、
若林は今日、試合で受けたもの以上の衝撃を受ける。

名家の若林家の三男として生まれた彼に、身内に仲のいいものなどはただの一人もおらず。
幼い頃に懐いていたのは、もっぱら家のお手伝いの女性と、コーチである見上であった。
ある意味、若林にとって見上は幼少期の父親代わりだったと言っていい。
その見上が見せた涙――しかも、自分のせいで流させてしまった涙。

それを見て思う所が無い程、若林源三という男は情が無い男ではなかった。

若林「………………!」

若林はしばらくその場で立ち尽くしていたが、やがてそれも終わると、
先ほどとは打って変わってキビキビとした態度で荷造りを始めた。
黙々と荷造りをしながら、新天地での、厳しいかもしれないがそれでも目指すべき道を思い顔を引き締める若林。

見上が流した涙が片桐から借りた遅効性の目薬によるものだったと知らなかったのは……。
彼にとって幸運だったのか不幸だったのか、定かではない。

602 :森末(仮):2015/01/17(土) 02:15:05 ID:???
>>596
乙ありです。

今日も判定などはありませんが、一旦ここで区切らせていただきます。
それでは。

603 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 10:00:23 ID:???
これはキャプ森本編より難易度高そうだね。
翼日向不在は板野と中山&他メンバーの強化で、森崎不在は若林空手積極起用で補えるけど
ジノのみイタリア<ディアスのみアルゼンチン
アルゼンチン<<四人追加イタリアだろうし
フランス戦も日向がいないと…

604 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 11:40:10 ID:???
日向を送り込んできたの誰だろう

605 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 13:34:34 ID:???
東西ドイツ早期統一はないことを祈りたいけど
メッツァとカペロマン加入は想定しといた方がいいかも。

606 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 14:27:22 ID:???
まあ西ドイツは本編のままでも十分強いよね。
イタリアが必殺技控え目なら
守備 イタリア≧西ドイツ
中盤 西ドイツ>イタリア
前線 西ドイツ>イタリア
くらいかな。

607 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 16:47:08 ID:???
西ドイツの弱点なんてDFが弱いって程度だからな
ところでこの翼はもしかして原作の翼か?

608 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 17:16:07 ID:???
間違いなくそうだろうね
ニネーと高橋は絶対対立すると思う
大会の決勝にすら出れない主人公・・・ねぇ

609 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 17:26:38 ID:???
全国大会で優勝した東邦学園のキャプテン小池秀人が主人公だな(確信)

610 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 17:40:28 ID:???
せやね

611 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 17:48:56 ID:???
つまり二人の目的は小池?

612 :森末(仮):2015/01/17(土) 23:01:35 ID:???
そして視点は、主人公――だった筈の男、板野のものへと戻る。
彼は今、この西ドイツで過ごす間滞在するホテルのロビーにいた。
試合を終えてからは今まで感じた事の無い程の悔しさと無力感に苛まれていた彼は到底自室に戻って身体を休める気持ちにはなれず、
それは他の者達も同じだったようで、板野の周囲には松山を初め多数の全日本Jrユースメンバーが集まっていた。

松山「井沢、三杉……怪我は大丈夫だったのか?」
三杉「ああ、今日一日安静にしておけば明日からはもう問題なく動けるよ」
井沢「一応明日の練習試合については参加は控えた方がいいだろうって言われたけどな」

明るくない雰囲気の中、それでも気遣うように松山が今日の試合で出た負傷者の2名に問いかけると、
2人は大会に影響は出なさそうだと返答。
井沢にしろ三杉にしろ、全日本Jrユースでは重要な戦力である為に本来ならば喜ぶべき事なのだが、
この言葉を聞いても一同に笑顔は戻らない。

明日の練習試合――板野達には、再び憂鬱な現実が待ち構えていたからである。

沢田「あ、明日はブレーメンとイタリアJrユースとの練習試合でしたよね。
   ブレーメンはともかく……イタリアってかなりの強豪国だったんじゃ……」
山森「……そんな相手に、三杉さんやキャプ……井沢さん抜きで戦うのか」
中西「シュナイダーみたいなとんでもストライカーはおらんやろなぁ……あんなんと戦うのはもう御免やで」
石崎「西ドイツも大会には参加するんだよな?
   そのシュナイダーやカルツに加え、今度は国内の実力者が集まってくるんだろ? ……どうしようもねぇよ」
板野「(皆、落ち込んでるな。 俺もだけど……でも、このままじゃいけないのは確かなんだ。
    こういう時、どうすればいいんだろう?)」

613 :森末(仮):2015/01/17(土) 23:02:36 ID:???
A.「皆、落ち込むな! 確かに世界の壁はあまりに厚いけど、まだ大会まで時間はあるだろう!」 情けない一同を叱責する
B.「まずは自分たちの実力が確認出来た……今日の試合、その収穫があっただけでも十分だ」 冷静な一面を見せてみる
C.「どうせこれじゃ大会に出ても勝てないよ……記念に参加するくらいの気持ちで行こう」 自暴自棄になってみる
D.「色々あって皆疲れてるんだよ。 みんな、今日は一旦休もう。 心も体も休息が必要だ」 まずはゆっくり休もう
E.「…………」 黙ってボールを持ち、練習に行く

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

614 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 23:03:06 ID:yZMJ0Dso
E

615 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 23:03:46 ID:r/Aeispw
E

616 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 23:09:28 ID:???
三杉が使えない、もうだめだ…おしまいだぁ…

617 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 23:39:50 ID:???
中盤で守備ができる井沢が使えないのも辛い、松山をボランチにすることも考えないといかんな

618 :森崎名無しさん:2015/01/17(土) 23:40:34 ID:???
ブレーメン戦は中山をボランチにして代わりのセンターバックに石崎とかを使っては?

619 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:11:43 ID:???
>E.「…………」 黙ってボールを持ち、練習に行く
========================================================================
板野「(……こういう時、やる事。 それは決まってる。
    才能が無い――実力が足りない時。 そんな時に出来る事は……)」

自分が今、何をするべきなのか……その答えはすぐに出た。
そしてそれを即座に行動に移そうとした瞬間――。

松山「!」
板野「ま、松山……」

先ほどまで板野同様、落ち込んだ顔でソファーに腰掛けていた松山が立ち上がった。
これもまた板野同様、近くに置いていたボールを持って。
突如対面に座っていた相手同士が、自身と全く同じ行動をした事で呆気にとられてしまう板野と松山だったが……。
すぐにその意図に気づくと、互いに真剣な表情で頷き合いながら、外へと駆け出して行った。

才能が無い者は、努力するしかない。

ふらの中学で共に過ごしてきた2人は、こういう時に自分たちが取れる行動について、ただそれしか知らなかった。

中山「……俺も行ってくる(そうだ、いつまでも落ち込んでいる場合じゃない……! 
   世界の広さと自分の矮小さを知ったなら、その差を少しでも埋めようと……。
   いや違う、その世界すらも超えてみせるくらいの気持ちにならないと!)」
新田「あ、ま、待って下さい中山さん! 俺も行きます!」
石崎「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺もつれてってくれ!」
三杉「(やれやれ。 試合で疲れている筈なのに……まあ、オーバーワークにならない程度にするよう、後で様子を見に行くとするか)」
反町「……? 若島津、お前は行かないのか?」
若島津「ああ(我武者羅に練習するだけでは……今の俺では駄目だ。 浴びせ蹴りはシュナイダーにも通用したが、セービングの質が足りん。
    根本から考え直すしかあるまい……セービングの精度を上げる方法。 何か、きっと何かある筈だ)」

その後、触発されたように中山が続き新田と石崎もそれに同行する。
こうして練習に向かう者達がいる一方で、全日本内でも相当の実力者とされる若島津は1人仏頂面で何やら考え事をしているのだった。

620 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:12:54 ID:???
〜 松山 〜

松山「(甘えていたつもりはない……ふらの中学で過ごした3年間。
    そして、大会が終わってからの数日。 俺は毎日、このボールを蹴り込んでいた!
    だがそれでも大会では優勝出来なかったし、今日の試合でも何も出来なかった!)」

外に出て板野とは別に練習する事にした松山は、1人公園の影でボールを蹴り込んでいた。
今日の試合、誰よりも悔しい思いをしたのは、この松山だったかもしれない。
日本ではNo.1フィールドプレイヤーと言われ、その実力の高さは国内のサッカー少年ならば知らぬ者はいないとまでされていた。
OMFでありながら守備力も高く、特に粘りのキープと北国で培われた強靭な足腰から放たれるシュート。
そして鋭いタックルは、全国大会でも大いに対戦チームを苦しめてきた。

だが、その松山の自慢の攻撃力も守備力も、世界では通用をしなかった。

全国大会終了後に開発をした雪だるまキープは上手く繰り出すタイミングが無く、ボールを奪われ。
シュナイダー達に何度も抜かされる局面も目立った。
極め付けは北国シュートである。GKに防がれるどころか、DFにブロックされたとあっては、松山としてもぐうの音も出ない。
常人ならば心が折れてもおかしくない状況であったが……それでも松山は諦めなかった。

松山「(俺に才能が無いのはわかっているんだ! だが……それでも俺はサッカーが好きなんだ! 勝ちたいんだ!!
    その為にやれる事は全てやる! 才能が無い分は、努力で埋めるしかない!
    これまでも何度も負けて、叩きのめされて……でも、あきらめたくないんだ! このまま終わってたまるか!)」

小学生時代、中学生時代と、世代で有数のプレイヤーとして知られながら、松山には優勝経験がない。
そのたびに松山は心で涙を流しながら、努力をし続けてきた。
努力は必ず報われると信じて……雪国にもいつか、春は訪れると信じて。

やがて彼は地道にシュートの威力を上げ、パスの精度も上げる事に成功する。
それらは全て、かつて中学生大会での試合中に感じた"覚醒の兆し"がようやく開花したもの。
しかし、それでもまだ彼は納得しない。

621 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:13:56 ID:???
松山「(地道に基礎能力を高める事は重要だ。 だが、ことシュートに関しては……今のままじゃ通用しないかもしれない)」

基礎的な能力が上昇しただけで満足しなかった彼は、さらなる進化を求めて思案に明け暮れた。
"本来"の松山光ならば、基礎的な能力の向上を重視して、この時点で満足していたかもしれない。
その先を目指す事を、「自分には才能が無いから」と言って。

だが、彼は大きく変わっていた。

信頼が出来、尊敬が出来――そして誰よりも頼りとなる仲間がいたから。
その仲間もまた最初は自分よりも実力が低い――。
否、今でも総合的な能力では劣っているにも関わらず……しかし、自分と一緒に努力に努力を重ね、
時には笑いあい、時には励まし合い、時には慰め合って高みを目指してきたから。
そしてその仲間の力――シュートを目にして、今の自分では到底その仲間に及ばないと感じていたからである。

松山「(アイツには確かに才能がある……あれだけ小柄なのに、パワーだけは人一倍強い。
    だけどそれ以外に関しては入部してきた当時は殆どからっきしだったんだ。
    それなのに、ドリブルも上手くなった……パスだって俺とコンビを組める程に……。
    才能が無いのを、言い訳にしちゃ駄目だ。 俺も……俺だって……更に上を目指せる筈だ!!)」

本編で仲間に恵まれず不遇の一途を辿った荒鷲は、たった1人の男の存在により、
高く世界という名の大空に羽ばたこうとしていた。

※松山がパス・シュートフラグを回収しスキル・パス+1、スキル・シュート+1を習得しました。
 更に……?

622 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:15:08 ID:???
〜 中山 〜

松山達とはまた違う公園――手広く、大きく使う事の出来るフィールドにいたのは、中山と新田、石崎であった。

中山「石崎、新田、本当に俺の練習に付き合ってくれていいのか?」
新田「はい!(板野さんと練習するのも考えたけど……。
   技術とかを教えてもらうならともかく、FWの俺が板野さんの練習相手に務まるとは思えないしなぁ)」
石崎「中山と一緒に練習できりゃ、それだけでレベルアップになりそうだしな!」

この公園までの道すがら、中山達は練習内容について話し合った結果、
中山がしたい練習に石崎達が協力をするという形になった。
勢いだけで出てきた石崎には具体的にどのような練習をしようかという青写真がなく、新田にしてもそれは同様。
ならば中山の練習に付き合うだけでも、自分たちにとって有益になるだろうと考えたのである。

石崎「それでどうすんだ? タックルの練習か?」
新田「それなら俺が相手しますけど……でも中山さん、下手なMFよりも攻撃力高いですよね。
   もしかしてそっちを鍛えたいとかだったりします?」
中山「そうだな……まずはドリブルを鍛えたいから、2人でかかってきてくれるか?」
石崎「ドリブルかー、よっしゃ! ……ん? まず?」
中山「ああ、まずだ」

そして早速何を練習するのかと問いかけられた中山が返答すると、
石崎達は守備ではなく攻撃面での強化を申し出た中山に意外な顔をするのだが……。
不意に中山が呟いた、「まず」という言葉に反応をする。
すると中山は事もなげに、至って涼しい顔で更に言葉を続けた。

中山「ドリブル、パス、タックル、パスカット、ブロック……それにクリアー。
   シュートに関してはアイデアが無いから今回は無しだが、これだけの練習をしたい」
石崎「なっ!? ん、んな無茶な! ほんのちょっとの短い時間でそんだけの事をやって成果が出るなんて……」
中山「頼む、やらせてくれ。 試したい事が沢山あるんだ」
新田「お、おれは構いませんけど……(幾ら中山さんでもシュート以外の全ての項目で結果を出すなんて出来るのか?)」

623 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:17:53 ID:???
今、練習を開始しようとしている時間から定められている就寝の時間までは、決して長くはない。
その練習の中で、1つのプレイを集中し繰り返して練習して何か得られるものがあれば、それだけで上出来だと石崎達は思っていた。
だが、中山はその短い時間の中でシュート以外、すべてのプレイの質を向上させようとしていたのだ。
それははっきり言って無謀な考えにしか外野からは思えなかったが、
何故かこの時、中山にはしっかりとモノに出来るという確信に近いものがあった。

中山「(技のアイデア……原理や動き方がさっきから思いついて頭から離れない。
    後はそれを実際に動いて体になじませるだけ……! 上手く行くといいんだが……)」

不思議な事に、中山の頭には湯水の如く技の構想が溢れて止まらなかった。
"本来"ならば――それは決してこの段階では中山が考えつかなかったもの。

遠い未来……3年後。
絶望と大きな挫折、そして親友との衝突などを経て、それでもそれを乗り越えて強靭な精神を手に入れ、
更には高いレベルの実力者たちと長い時間をかけて完成させた筈のものである。

中山「(しかしどうしてこんな事が……? それに、さっきから思い浮かぶこの光景はなんだ……?
    どうして俺が車いすに……それにこれは……これは、合宿初日の朝に会った男……?)」

それらの技の構想に混じり、中山の脳裏には車いすに乗り悔しい思いをする自分、今の自分より成長をし大人びた自分。
そして、いつか出会った謎の男とわさビーフを頬張っている自分の姿が浮かぶ。
一体自分の身に……否、"魂"に何が起こっているのかと恐怖にも似た感情を覚えながら……。
それでも今は練習に集中を、と気を引き締め直し、石崎達に向かって行った。

624 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:19:39 ID:???
先着3名様で、

★中山のドリブル練習→(! dice + ! dice)=
 中山のパス練習→(! dice + ! dice)=★

★中山のタックル練習→(! dice + ! dice)=
 中山のパスカット練習→(! dice + ! dice)=★

★中山のブロック練習→(! dice + ! dice)=
 中山のクリアー練習→(! dice + ! dice)=★

と書き込んで下さい。カードやダイスの結果で分岐します。

5以上→それぞれに対応したフラグ習得!
10以上→それぞれに対応した技習得!

625 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 01:20:00 ID:???
★中山のドリブル練習→( 5 + 6 )=
 中山のパス練習→( 5 + 3 )=★

626 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 01:21:06 ID:???
★中山のタックル練習→( 5 + 2 )=
 中山のパスカット練習→( 2 + 4 )=★

627 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 01:22:03 ID:???
★中山のブロック練習→( 6 + 4 )=
 中山のクリアー練習→( 2 + 1 )=★

628 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 01:22:50 ID:???
2つも技覚えてくれれば上出来。特にブロックはありがたい

629 :森末(仮):2015/01/18(日) 01:24:42 ID:???
本日は一旦ここで区切らせていただきます。
遅くまでお付き合いありがとうございました。それでは。

630 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 10:19:24 ID:???
乙です!
CBとボランチ、どっちで使うか悩ましいところだね。

631 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 21:25:44 ID:???
森末(仮)さん、乙です。
>>593
少し亀レスですが、衝撃の展開ですww
(どうせなら高橋先生の表記は、YO1神or陽一神とかの方が良かったかも・・・。)
>>601
見上さん・・・、いい人過ぎる。・゚・(ノД`)・゚・。

中山さんの活躍も含め、ますます続きが楽しみになってきました。


632 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:42:50 ID:???
>>628
2つ技を覚え、フラグも取得は大きいですね。
中山さんは基礎能力が高いので、試合中の覚醒で回収にも期待が持てます。

>>630
乙ありです。
ドリブル、ブロックが出来ますので置き場所には困るかもしれませんね。
ただどちらも高い水準ですので、どこに置いても活躍が期待できそうです。

>>631
乙ありです。
高橋さんは森末との対比でこんな名前にしております。
続きが楽しみと言っていただけて、ありがたいです。

633 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:44:06 ID:???
>★中山のドリブル練習→( 5 + 6 )=技習得!
> 中山のパス練習→( 5 + 3 )=フラグ習得!★
>★中山のタックル練習→( 5 + 2 )=フラグ習得!
> 中山のパスカット練習→( 2 + 4 )=フラグ習得!★
>★中山のブロック練習→( 6 + 4 )=技習得!
> 中山のクリアー練習→( 2 + 1 )=成果なし★
=======================================================================================
本当にこの短い時間だけで、成果を上げる事が出来るのか?
石崎達の疑問は、結論として杞憂に終わった。

中山「知り難き事陰の如く!」

クルッ……パッ!

石崎「はっ……へ!?」
新田「き、消えた!?」

ボールを相手の死角で弄びフェイントをかける事で、まるでそれが「消えた」と感じさせ突破する技――消えるフェイント。
石崎、新田というボールカットがお世辞にも得意とは言えない彼らは、
一度もボールに触れる事も原理を理解する事も出来ないまま中山に翻弄され続ける。

中山「動かざる事山の如く!」

バシュウ……ボコッ!

新田「なにィ!? 俺の隼シュートが……!(流石中山さんだ!)」

また相手のシュートコースを素早く予測し飛び込みながら――ダイビングしながらブロックする事により、
その加速力で通常よりも更に強い力でボールを弾き飛ばすダイビングブロックの会得に成功。
この日の練習で新田の隼シュートは悉く中山に弾き返される事となる。

そして驚くべき事は、結果が出たのはこのドリブル、ブロックの練習だけではないという事であった。

634 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:45:21 ID:???
パスでは狙った位置にピンポイントで送る精確なパス精度の片鱗を見せつけ、
タックルでは地を抉るかのような鋭いスライディングタックル。
パスカットにおいても、素早い動きだしでまるで疾風のようにボールを掠め取ろうという姿を見せる。
これらは残念ながらまだ試合では上手く使いこなせないものの、
いずれ使い物に出来るかもしれないという下段階を作り上げる事には成功をしていた。
唯一クリアーについては物に出来なかったのだが、練習相手が競りあいに弱い石崎と新田では、これも仕方のない話なのかもしれない。

一通り練習を終えて、荒い息を吐きながら思わずその場に座り込む中山。
そんな彼を新田と石崎は茫然としたまま見つめていたのだが……、
やがて中山がしでかした事を理解すると、すぐさま歓喜にも似た感情を表しながら中山に詰めかける。

石崎「す、スッゲー! すげぇぜ中山!」
新田「ドリブルは中里さん並……? ブロックだって次藤さんに負けてませんよこれ!」

元々中山の事を尊敬していた新田に、よく言えば素直で他人を純粋に応援出来る石崎。
彼らは改めて中山の実力の高さと底知れぬ才能に驚愕し、中山の事を褒めちぎるのだが……。
中山はそれに対して小さく首を振るだけで、決して納得してはいない表情で小さくつぶやく。

中山「いや……いや、まだまだだ。 俺は……俺は、もっと強くなれる。 この程度じゃない、もっと強くなれるんだ。
   "アイツ"の前に立ち、手助けする為じゃない。
   世界を相手に戦う為に、俺はもっともっと、強くなれる筈で……」
新田「……アイツ? って、誰です?」
中山「……え?」

その口から出てきたのは、満足の行く成果ではなかったという自身に対する戒めの言葉。
そして、新田も石崎も、誰も知らない"アイツ"という存在についての言及だった。

635 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:46:35 ID:???
新田に指摘されると、中山は一瞬呆けた表情を浮かべた後……自分がそんな事を言っていたという事実に驚き、
額に頭をあてて今さっき自分に起こっていた謎の『魂』の揺れ動く様に恐怖を抱く。

中山「(な、なんだったんだ……さっきの不思議な感覚は……。
    見た事もない筈の情景が思い浮かび、やった事のない筈の技をやる自分の姿が目に浮かんで……。
    それなのに、それが当然のように……本来あるべき姿に思えてしまっていた。
    俺が見た情景は、もっともっと未来のもので……しかも経験した事が無い筈なのに……。
    それが"懐かしい"と感じてしまうなんてありえ無いのに!)」

本来ならば、中山政男という男はこの時点でこれだけの多種の技を覚える事は無い。
本来の彼は今現在――中学生時代、不幸な事故によりサッカーを諦めねばならぬ状況にありながら、
それでも奇跡的な回復力と精神力、優秀な医師の力を得てサッカー界に復帰。
以後は挫折と苦悩に悩まされながらも選手として大きく成長をし、やがて世界有数のDFへと変貌を遂げるのだ。

だが、この世界では違った。
既にこの時点で彼は世界レベルとも言える水準の力を有し、やがて国際大会では全日本の守りの要として外せない人物となるだろう。
その切欠となったのは――間違いなく、中山がJrユース合宿の初日に出会った、例の男……森崎有三。

彼に出会ってしまった事で、中山政男の運命は変わった。
親友である筈の彼に出会い、対話し、そしてその後に「世界の壁」を知った事で――。
彼はこの世界の中山政男ではない、"別の世界"の中山政男の魂の器へと変貌し始めていたのである。
それ程までに、森崎有三と中山政男という男の関係は、深く、密接なものだった。

中山「(俺に一体何が起こっているんだ……? まるで、ここにいる事が間違いのように思えてくるこの感情は……)」

やがて就寝時間が近づき、新田と石崎に促されてホテルに帰るまで、
中山はその場で愕然としながら、己の身に起こっている不可思議な現象に困惑をしていた。

※中山が「消えるフェイント」「ダイビングブロック」フラグ・パス、フラグ・タックル、フラグ・パスカットを習得しました。

636 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:48:23 ID:???
〜 板野 〜

こうして中山がこの世界に存在しない筈の人物との接触により急成長をしていた頃。
板野もまた、離れた場所で1人練習に明け暮れていた。
彼はボールをただ強く蹴り、マグナムシュートの改良に勤しむ。
今日の試合でマグナムシュートでも……マグナムボレーでも、シュナイダーには敵わないと理解が出来たからである。

板野「(わかっていた事だけど、やっぱりシュナイダーは強い!
    今日は調子が悪かったのかもしれないけれど、実際の威力を見てみればファイヤーショットとマグナムシュート。
    その威力の差は歴然だ! このままじゃ大会でもミューラーやヘルナンデスにあっさり止められちゃうよ!)」

フランスのアモロやアルゼンチンのガルトーニならともかく、
世界的なキーパーであるミューラーやヘルナンデスといった実力者には現状では歯が立たないかもしれない。
改めて危機感を抱いた板野が取ったこの行動は、ある意味必然だったと言えるのだが……。
やはりとも言うべきか、ただ我武者羅にシュートを打ちこむだけでは目立った成果というのは出なかった。

板野「くそう……どうすればいいんだ?
   イタリアはヘルナンデス以外が弱いから数を打てばなんとかなるだろうけど、
   西ドイツからはそういう訳にもいかないよ……このままじゃ駄目なのに……」
森末「板野〜!」
板野「!? も、森末!?」

焦るばかりで成果が出ない事に苛立ち始めた板野の耳に聞こえてきたのは、
かつてこの世界に自分を連れてきてくれた精霊の声である。
慌てて振り向いてみれば、そこにはとてとてと歩きながら板野に近づいてくる森末の姿。
思わず板野が練習の手を止めると、森末はなんとも焦燥しきった表情(第三者からはいつもの無表情に見える)を浮かべつつ、
まずは大きく息を吐くと小さな手をピュッと上げてその口を開いた。

637 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:50:25 ID:???
森末「探し回ったよ板野……こんな所にいたんだね」
板野「う、うん……練習してたんだ。 このままじゃシュナイダーのファイヤーショットに勝てないって思って……。
   ところでどうしたんだよ森末? 何かあったの?」
森末「何かあったっていうかなんというか……ともかく、色々ありすぎてね。
   ……あ、それはともかく、ハンブルグとの試合ではひとまず引き分けおめでとう!
   負けなかったのは立派だったよ!」
板野「……引き分けで喜べないよ、森末」
森末「……うん、そっか。 ごめん、気が回らなかったね。
   じゃあ早速……伝えたい事があるから話させてくれ。
   これから話す事はちょっと君にとってもショックな事かもしれないから……まずは落ち着いて聞いてくれよ」

疑問を浮かべる板野に対し、森末は努めて冷静になろうとしながら自身がこれまで見聞きしてきた事を伝えた。
イタリアJrユースに、ストラットらこの時点ではいない筈の4人組がいた事。
逆にアルゼンチンJrユースに、パスカルやガルバンといったディアス以外の主力選手が存在しない事。
端的に言えば、イタリアの超絶な強化とアルゼンチンの更なるディアスのワンマンチーム化。
言葉にしてしまえば簡単であるが、しかし、当然ながらそれは板野が知るキャプテン森崎ともキャプテン翼とも違う出来事であり、
つい先ほど森末に引き分けに終わった事を言われて悲しみに歪めていた表情を驚愕の色に変えるには十分な事実であった。

板野「イ、イタリアに……ストラットとジェンティーレ……おまけにバンビーノとランピオンだって……?
   ど、どうしてそんな事になってるのさ!?」
森末「わからない……僕も当然、そんな事はしていないんだから。
   ただ、以前から僕が予定していなかった筈の出来事が起こる事はあったから……。
   これも、きっとその出来事を起こした犯人がしでかした事なんだ、と思う」

638 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:52:10 ID:???
以前より――中学サッカー大会の頃より、その傾向はあった。
この世界では大空翼がいない為に存在しない筈のツインシュート。
それを立花兄弟が披露した時から、森末の嫌な予感は既に始まっていたのだ。
それでもまだ、板野に対して直接的に大きな被害はないから……と様子を見守っていた。
だが、ここに来ての対戦チームの大きな補強……森末からしてみれば、あまりにもやり過ぎと言える"改変"である。

板野「どうにかならないの? だってそんなの……森末が予定してない事なんでしょ?
   修正をして、今からストラット達を参加出来ないようにするとか……」
森末「無理だ……今の僕にはそれだけの力はないし、それにもう彼らは実際に表舞台に出てきてしまっている。
   ここから彼らを参加出来ないようにするというのは、それもまた世界を大きく改変してしまう事になるんだ。
   修正、ではなくてね」

ストラット、ジェンティーレ、バンビーノ、ランピオン。
彼ら4人のいるイタリアと、ヘルナンデスしかいないイタリア。
その強さの違いについて、板野が知らない筈も無く……故に、森末の言いたい事も理解出来てしまった。
彼らがいる事を、無かった事にする。
それは今後において大きな影響を与えてしまう事であり――。
そして、それだけの大きな改変を、今の森末の力では出来ないのだという事に。

これに対して、森末は実に申し訳なさそうな表情を浮かべ、頭を垂れるしかない。
世界の管理者である彼は、板野が円滑にゲームを進められるようにする義務を持つ。
だというのに、今日のハンブルグとの試合で引き分けに終わった矢先、大会であたるイタリアが超絶的な強化。
もはや無理ゲーであるとして匙を投げられても文句を言えないような状況であった。

森末「ごめんよ板野……僕の力が足りないばかりに……」
板野「……いや、大丈夫だよ。 驚きはしたけど……でも、もう俺達は絶対に負けない……。
   違う、どんな敵が出てきても勝つって決めたんだ。
   だから……きっと大丈夫!」

それでも板野が弱音を吐かなかったのは、先の試合で悔しい思いをしたからに他ならなかった。
森末の謝罪に対し、板野はあくまで強気な姿勢を崩さずにいると、
森末は一瞬驚いた顔を浮かべ……すぐさま板野を頼もしげに見やり、うんうんと力強く頷いた。

639 :森末(仮):2015/01/18(日) 22:53:12 ID:???
森末「うん……うん、そうだね! きっと君なら勝てる筈だ」
板野「それにしても、逆にアルゼンチンが弱体化か……どういう事なんだろう?」
森末「わからない。 一見すればバランスを取ってるように見えるんだけど……一体どうしてそんな事をする必要があるのか、
   僕もちょっと理解できないからね。
   イタリアも強化したんなら、アルゼンチンも強化してこっちの反応を愉しみそうなもんだけど……。
   
   ところで板野、ここまでで何か質問はあるかい?
   大きな改変は出来ないけれど、僕もまだ力は残ってる。 情報を集めたり君にアドバイスする事なら出来るんだけど……」
板野「え? そ、そうだなぁ……」

A.強化されたイタリアの具体的な実力について
B.弱体化したアルゼンチンの弱体化の理由について
C.他に強化や弱体化したチームの有無について
D.これからのチームの育成方針について助言を貰う
E.森末役に立たなさそうだし特に無いです。

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

640 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 22:53:39 ID:EK2pwbXk


641 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 22:54:18 ID:s8YeaSn2
A

642 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 23:24:40 ID:???
Eはひどいww

643 :森末(仮):2015/01/18(日) 23:41:48 ID:???
>A.強化されたイタリアの具体的な実力について
===============================================================
板野が気になったのは、やはり強化されたイタリアの具体的な実力についてだった。
本編ではJrユース大会で辛酸をなめさせられ、その雪辱を胸にしユース大会では準決勝で激突。
日本は怪我人を続出させ、カードが舞う荒れた試合展開にこそなったものの、
ストラットを初めとした選手たちの実力の高さは大いに全日本を苦しめた。

板野「特にストラットは強敵だったよなぁ……本編だとリオカップの時にもズタボロにやられたし。
   決定力だけならシュナイダー以上だったんじゃなかったっけ?」
森末「ただ、今日あの後……ちょっと偵察に行ってきた所によると、どうやら【ストラットにはメガロゾーンは無い】みたいだよ」
板野「えっ、そうなの!?」

1番の警戒の対象は、本編中最大のシュート力を有していたストラット。
当然ながらその代名詞であるメガロゾーンシュートを板野は恐れていたのだが、
森末の情報によれば現時点ではストラットはメガロゾーンシュートを会得していないのだという。

森末「元々あれは、イタリアにいられなくなったストラットがブラジルに逃げてから覚えたものだった筈だし……。
   それを考えると、ここで覚えてないのは納得だよ」
板野「そっか……(っていうか森末、今日試合終わってすぐに偵察に行ったのか。 ワープが使えるって便利だなぁ)
   じゃあ他のは? ジェンティーレとか……」
森末「彼らに関しても、ワールドユース編の頃よりは弱い筈だよ。
   具体的には未収得な技も多い……ジェンティーレも、【カウンターシュート】とかは覚えてなかった筈さ。
   勿論、この段階では味方だって然程成長出来ていないからどっこいどっこいだけどね」

森末の話を聞く限りでは、強化されたというイタリアの選手たちも、
あくまでこのJrユースレベルの能力に落ち着いているらしく、
その点については板野もほっと胸をなでおろす。

644 :森末(仮):2015/01/18(日) 23:42:57 ID:???
板野「まあ流石にオムニゾーンとか打たれたりマグナムボレーをカウンターシュートされたりしたらたまったもんじゃないもんね……」
森末「ああ、だからやりようによってはしっかり勝てる筈さ。
   あと、強化……追加されているのはあくまでその4人だけ。
   当然ながらアルシオンはいないし、ワールドユースになってから追加されたキャラは他にいないからね」

また、どうやら森末の話によれば、イタリアの強化はあくまでもその4人。
モブのDF達が技を覚えているだとか、ゲーム版に出ていたゴリネバーレらが追加されているという事もないらしい。
イタリアが超強化された!と聞いて最初は驚いていた板野も、
少しずつ安心する要素が出てきた事で笑顔を見せ始めた。

板野「そっか……なら、なんとかなりそうだね!」
森末「ただ強化されてる事には違いないんだから、油断は禁物だよ!
   ストラットだってメガロゾーンが無いとはいえ、世界的なレベルのストライカーには変わりないし、
   ジェンティーレだって本編同様屈指のDFだ。
   何よりヘルナンデスだって強いんだから、ゴールを奪うのは並大抵じゃないよ!」
板野「確かにそれはそうだね……ヘルナンデスとジェンティーレを破れるだけのシュート、か……」

しかしあくまでも森末が戒めるような言葉を言うと、板野は改めて気を引き締める。
確かに思った程には凶悪ではないかもしれないが、それでも強敵には違いない。
特に守備力に関しては、恐らくは大会に出場するチームの中ではNo.1。
今大会、出場する中で最強のキーパーといえばミューラーとなるのだろうが、
守備陣――即ちジェンティーレとヘルナンデスという最高クラスのDFとGKを持つイタリアの方が守備力に関しては上だろう。

実際に彼らが守るゴールを狙うFWとして、板野は果たして自分にそれだけのシュートが打てるのだろうかと少々不安に思うのだが……。
そんな板野を見て、森末はニッコリと笑みを浮かべると、
その肩からかけ引きずっていた袋の中から何かをゴソゴソと取り出した。

森末「安心してくれ板野! こんな事もあろうかと、実は持ってきたものがあるんだ」
板野「え、何!? 何かくれるの!?」
森末「ああ、今の君に必要なもの……それはこれだ!」

645 :森末(仮):2015/01/18(日) 23:44:24 ID:???
先着1名様で、

★森末の贈り物→! card★

と書き込んでください。マークで分岐します。

JOKER→スペード・クラブ+インスタントラーメンだった! 森末「兄貴塩と弟味噌どっちにする?」
ダイヤ→何やら古ぼけた一冊のノートだった
ハート→ボロボロになった野球のボールだった
スペード・クラブ→どす黒いサッカーボールだった

>>642 少なくとも情報などで教えてくれるものは事実なので、これからも森末には頼って行きましょう。
    役に立たないと言うと泣かれます。

646 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 23:44:38 ID:???
★森末の贈り物→ ハート8
キックオフシュートに怯える心配がいらないなら勝つ方法見えた

647 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 23:44:48 ID:???
★森末の贈り物→ ダイヤ8

648 :森崎名無しさん:2015/01/18(日) 23:45:11 ID:???
★森末の贈り物→ ハート7

649 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 00:22:08 ID:???
ハートだけむしろSGGK要素に思えるけど元ネタなんだろ

650 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 00:24:33 ID:???
野球ボールでコントロール強化か?
それともピッチングで回転のかけ方学ぶとか?

651 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 00:25:09 ID:???
イーファスシュート習得フラグかな?

652 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 00:27:11 ID:???
そういや野球関係の知人が板野にはいたな。
登場人物欄にもちゃんといるw

653 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 00:28:32 ID:???
小さいボールを力強く蹴り抜く練習で正確にボールの芯を捉えるのかな
ついでにプロ候補のボールを蹴り返す練習もしよう(提案)

654 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 00:28:37 ID:???
マグナムの習得もアレだったし

655 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:08:43 ID:???
>★森末の贈り物→ ハート8 =ボロボロになった野球のボールだった★
===============================================================================
板野「え、何これは」

思わず困惑しながら、森末が取り出したものを手に取り見つめる板野。
それはボロボロになった、何の変哲もない野球のボールであり――。
当然ながら、こんなものを渡されて森末が一体何をしたいのか板野としては理解が出来ない。
板野が困惑しているのがわかったのか、森末は少し説明不足だったと謝罪しながら、改めて解説をする。

森末「実はこのボールは、君の友人の多田野くんから送られたものなんだ」
板野「えっ、多田野くんが!?」

森末曰く、この野球のボールは多田野のものであるらしい。

子供の頃から野球少年だった多田野は、各地を転々としながらその土地でチームの所属してきた。
しかし、転校も多く、何故か周囲に弄られてしまう事もある彼には中々友達というのが出来なかったのだが、
ふらのに落ち着いた後もすぐに上級生らに目をつけられ財布を取り上げられそうになってしまった。
そこで板野に助けられた多田野は、これで上級生らからちょっかいをかけられる事もないかとホッと安堵。
所属する野球部に力を注ぐ事が出来、この夏、全国大会へと出場する事が出来た。

その切欠となり、また貴重な友人ともなってくれた板野に多田野は感謝をしており、
今日のハンブルグとの試合の中継も大事な友人の晴れ舞台を見ようとTVの前でかぶりつくようにしていたという。
ところが試合の結果は3−3の引き分け、板野は1得点を上げられるという相応の活躍を見せたというのにもかかわらず、
TVに映る板野の顔は晴れやかではない。

板野がこの程度では満足をしていない――。
更に上をめざし、勝利を貪欲に求めているのだと知った多田野はいても立ってもいられず、
板野の力になれればとこの野球のボールと一通の手紙を全日本Jrユースの滞在するホテル宛てに送ったのだという。

板野「……って、ちょっと待って! 届くの早すぎない!?」
森末「早く届けてあげようと思って、僕が持ってきた」

656 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:10:24 ID:???
思わず届く速さにツッコミを入れる板野であったが、そこは無駄にワープなどが出来る森末。
なんと送られてくるものを見つけて実際に手に持って直接板野に届けたのだという。
郵送をしている人たちが商品紛失して大変な事になっているのでは、と思う板野だったが、
とりあえず早くに届けてくれた事に感謝をしつつ、まずは多田野からの手紙を読む事にする。

手紙の冒頭は、板野の試合での活躍を称える言葉とヨーロッパ遠征を激励する言葉。
これを読んで板野は多田野の心遣いに感動しながら、更に読み進めていく。

多田野の手紙『ところで今日の試合を見ていましたが、板野くんはまだまだマグナムシュートだけでは満足していないように思いました。
       僕に出来る事があれば、なんでも手助けしたかったのですが……。
       僕はサッカーをやった事がなく、生まれてこの方野球にしか興味がありませんでした。

       ただ、野球もサッカーも同じ球技。
       それにシュートを打つのもボールを投げるのも、
       対戦相手に触れさせない、空振りさせるという意味ではよく似たスポーツだと思います。
       幸い、僕はピッチャーで板野くんはシュートを打つのが仕事のFWです。
       僕のこれまで培ったピッチャーとしての知識が新しいシュートの開発になればいいなと思い、
       ここに僕の投球術を簡潔ですが書いておきます。

       ヨーロッパ遠征、そして国際大会。 どうかこのボールを、僕だと思ってお守りにして、頑張ってください!』

板野「多田野くん……」

同じ競技をしている訳ではないが、それでも2人はスポーツマンである。
苦悩する板野をなんとか助けようと思った多田野に唯一出来た事は、
その自分が持っている「野球に関する知識」を板野に伝授するというものであった。
更に手紙の2枚目を見れば、そこにはギッシリと書き込まれた多田野の文字。
速球の投げ方や握りを変えての変化球の投げ方などがわかりやすく丁寧に書かれており、
これだけのものを自分の為に送ってくれたのか……と板野は改めて多田野に感謝をする。

657 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:11:29 ID:???
そしてそれからしばらく……公園のベンチに座り込み、街灯を頼りに手紙を読んでいた板野だったが……。

森末「どうだい、板野? 役に立ちそうかい?」
板野「……うーん。 変化球の原理なんかについては、サッカーに応用できるかもしれない。
   ただ、今のマグナムシュート以上のシュートが開発出来るかっていうと……」

まず板野が注目をしたのは多田野の書き記していた変化球の数々をサッカーに転じる事が出来ないかというもの。
早田のカミソリシュートを初めとして、回転をかけたシュートはこの世界にも多数存在する。
多田野が得意球としている鬼スライダーの投げ方を読み、板野はこれを開発しようかと思うのだが……。
どうしてもその場合、球威や球速は落ちてしまい、板野の持ち味であるパワーが発揮出来そうにない。
折角多田野が送ってくれたこの手紙……そして多田野が昔から使っていたという野球のボールも、
彼の思いはありがたいが力にはなってくれないのだろうかと思い始める。
しかし、その時……不意にある一文が板野の目に留まった。

板野「……ん? マグヌス効果?」

その文字を見ただけでは、板野としてはサッパリ意味がわからなかったが、そこは多田野である。
板野にもわかるよう丁寧な解説をしてその現象の説明をしており……。
板野はそれを読みながら、ふむふむと頷きつつ、野球のボールをにぎにぎしながら頭の中でシミュレーションをする。

板野「言葉の意味はわからないし、実際にこんな事が起こりうるのか半信半疑だけど……」
森末「大丈夫だ! この世界はキャプテン森崎を元にした世界! 物理法則とかあんまり関係ない!」
板野「スカイラブハリケーンとかもあるしね」

板野の読んだ文に書かれていたのは、つまりはこうである。
スピードガンなどで球速を計る事が今の時代は出来るが、球速と言っても2種類が存在する。
打者の手元に来てからようやくスピードガンの数値に達するものと、初速から終速まで常にMAXスピードが出るもの。
当然ながら後者の方が打者の体感速度は速く、これが所謂『ノビのあるストレート』というものなのだと書かれてある。

658 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:12:37 ID:???
更に回転数を上げる事などでボールをHOP−UPさせる事も可能であり、
これらを組み合わせる事によって通常のシュート以上に速く、ノビがあり、更に浮き上がるシュートを生み出せるかもしれないのである。
実際にはシュートを打ってボールが加速をするとは、空気抵抗などを考えれば不可能とも思えるのだが、そこはそれ。
ボールが燃えたり分裂したりコンクリートにめり込む事を考えれば、至って現実的。
何よりも多田野が書いてくれたものに嘘偽りが書いてるとも思えない。

板野「これなら、今のマグナムシュートを更に改良して出来るかもしれない。
   確かに思ってたんだ……俺のマグナムシュートよりも、新田の隼シュートの方がノビがあるって。
   威力は俺の方が上だけど、あのノビも一緒に出せるようになれば……」
森末「新田の隼シュートはHOP−UPしてる……?」

その後、板野は多田野の書いてある球速以上に「ノビのあるストレート」の投げ方をサッカー流にする為の試行錯誤を繰り返し、
ボールの回転数を上げ、更にHOP−UPさせる為の練習に着手した。
元々は野球でのストレートの投げ方を応用しようという為か、中々上手くいかないが……。
それでも我武者羅に何の目的も無く練習をするよりは数段マシである。

板野「(多田野くん、ありがとう。 必ずこのシュート……完成させてみせる!
    そしてこのシュートで、世界中のキーパーからゴールを奪ってみせる!)」

大切な友人の暖かな友情に感謝をしながら、その日、板野は就寝時間ギリギリまでボールを蹴りぬいた。
これから世界で戦おうという小さな板野。

そんな彼を助けてくれたのは、やがて遠い未来、世界で――遥か遠いメジャーで活躍をするかもしれない、
世代でも有数の1人のピッチャーだった。

※板野が新必殺シュートの開発に着手しました。
 大会開始前に自動的に習得をします。

659 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:13:38 ID:???
そして日が開け、遠征3日目の早朝。
全日本Jrユースメンバーはバスの中にいながら、改めてこれから合流をする若林の紹介を受けていた。

見上「昨日対戦したハンブルグのGK、若林源三が予定通り今日から全日本Jrユースと合流する」
若林「……皆、よろしく頼む」
全日本メンバー「おう」「よろしくな!」「(元気ねぇな)」「(大口叩いておきながら3失点したからだろ)」

若林には覇気が無く、1日目に大口を叩いていた姿は見る影もない。
あれだけ盛大に自分と全日本メンバーのレベル差を言っておきながら成果を上げる事が出来なかったのだから、
ある意味ではこれも自業自得という事もあり、大多数の者達は同情する事もなかったのだが……。
悲しむ者や頭も抱える者も若干名存在する。

井沢「(若林さん……どうしちゃったんだ)」
滝「(小学生時代はあんなにデカく見えたってのに……)」
高杉「(なんて顔してんですか! 若島津との圧倒的な格の違い見せるんじゃなかったんですか!?)」

だが、この若林の紹介もすぐに流される事となった。
その後にすぐさま見上が重大な発表をしたからである。

見上「それと、今日の練習試合についてだが……」
三杉「ブレーメンJrユースとイタリアJrユースとの2連戦ですよね?」
見上「その予定だった。 が……向こうから突然昨日の夜にキャンセルがあった。 2戦とも……な」
全日本メンバー「「「ええええええええええええええっ!?」」」
板野「(うげっ!? こ、この世界でも練習試合中止になっちゃうの!?)」

660 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:14:55 ID:???
板野だけはある程度予期出来ていた為か然程驚く事はなかったものの、他の者達からは驚愕の声が上がる。
昨日の引き分けから一夜明け、今日の試合こそはと意気込んでいた所に突然の中止。
血気に逸る者は苛立ち、逆に気弱な者はホッと胸をなでおろす中で……。
やがてざわついていた一同がある程度静かになった所で、見上は更に続ける。

見上「更にその後予定していたバイエルンJrやオランダのアムステルダム……。
   ベルギーJrもキャンセルの連絡を入れている。
   今、日本のサッカー協会が対応をしているらしいが……恐らくは中止になるだろう」
中山「……そうすると、もしかして大会まで練習試合が組めないっていう事ですか?」
見上「今から新たに相手を探すというのが難しい以上、そうなる可能性は高い」
松山「一体どうしてそんな……横暴すぎますよ!」
見上「理由については……色々と言ってきてはいるようだが、ハッキリとした事はわかっておらん」
板野「(う、うーん……イタリアと早く会わなくて済んでよかったと捉えるべきなのか。
    それとも大会まで練習試合が組めなくて実戦経験から遠ざかりそうなのを危惧すべきなのか……わかんないな。

    それはともかく、ここは何か言っておこうか?)」

A.「でもこのバスは試合会場に向かってるんですよね? なんでですか?」 無難に質問をする
B.「もしかして昨日の試合のせいですか?」 言葉を濁す見上に深く突っ込む
C.「大会までに練習試合が無いなんて……どうにかならないんですか!」 練習試合をねじ込めないか直訴する
D.「俺達の実力じゃ相手にならないって思われたって事ですか……」 落ち込んで見せる
E.大人の話に子供が口を挟むべきじゃない。お口チャックだ

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

>>652 >>654
野球が好きなので、モブの人も野球関連の人になってしまいますね。元々舞台が北海道だったというのもありますが。

661 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 01:15:38 ID:qM7d1U9A


662 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 01:15:47 ID:30xUi+rU


663 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:46:50 ID:???
>B.「もしかして昨日の試合のせいですか?」 言葉を濁す見上に深く突っ込む
===========================================================================
どこか歯切れの悪い見上の言葉に気づいた板野は、原因を察し素早く突っ込みを入れた。
これには見上もため息を吐きながら、誤魔化しきれないと観念したように説明を始めた。

見上「……恐らくはそうだろう、と私も判断する。 昨日の試合は現地でも注目を受けており、
   地元紙やTVでも特集をされていた。 欧州No.1のJrユースチームが、島国のサッカー後進国と引き分け、とな。
   シュナイダーのファイヤーショットが止められた事、試合展開もほぼ拮抗していた事が話題になっている」
若林「(若島津がファイヤーショットを止めた事を何度も言わないで下さいよ見上さん……)」
見上「つまり、奴らは警戒をしてきた……という事だ。
   未確認情報だが西ドイツを初めとして、予定を前倒しにして合宿を行っていると聞いている。
   我々を本気で倒すつもりになった……という事だぞ。 良い気にならず、気を引き締めろ」
全日本メンバー「「「は、はいっ!」」」

昨日の引き分け、そして世界の壁の高さに落ち込んでいた一同だったが、
周囲が警戒をしているという事を聞き決して自分たちの実力が認められていない訳ではないのだと感じ気を持ちなおす。
それでもそこで褒めないというのが、見上のやり方でもあった。
改めてあくまでも引き分けに終わってしまったのだという事実と、これからの相手は決して油断してはこないと戒めると、
一同も顔を引き締め……丁度話が終わったタイミングで、バスは目的地へと到着をした。

見上「よし、全員降りろ。 ここがブレーメンの本拠地、ヴェーザースタディオンだ。
   今日はこれからここで練習を行う」
来生「へっ? こんなでっかい所で練習していいんですか?」
見上「日本サッカー協会が練習試合のドタキャンを抗議した所、詫びとしてここを練習場として貸してきたのだ。
   練習試合は組めんが、空いた時間は有効活用するぞ」
松山「(凄いなぁ……こんな所だと雪かきなんて絶対必要ないもんな……)」

664 :森末(仮):2015/01/19(月) 01:47:53 ID:???
到着したスタジアムは昨日試合を行ったハンブルグJrユースのコートよりも広く、巨大。
これだけの広さならば思う存分練習が出来るだろうと一同は活気づき、
バスから降りて早速スタジアムの中に入ろうとするのだが……。

石崎「おい見ろよ」
早田「なんだよ石崎?」
石崎「ほらあそこ、西ドイツのかわいこちゃんがいっぱいいるぞ」
反町「ほんとだ。今日ある筈だった試合を見に来たのかな?」

ここで目ざとく西ドイツの少女集団を見つけたのは石崎である。
一同は石崎の言葉を聞いて別段思う所はなく、精々やる予定だった試合を見に来たのだろうという感想くらいしか抱かなかったのだが、
顔の割には女好きである石崎がそのままで終わる筈もない。
今にもとびかからんばかりの勢いで、舌なめずりをしながら西ドイツの少女たちに近づいていく。

石崎「ムフフ……」
板野「(石崎……いい奴なんだけど、本能に忠実だよなぁ。 ここはどうしよう?)」

A.「やめときなよ石崎、どうせ彼女たちの目当ては西ドイツの選手たちだったんだろうし」 ここは石崎を止めておく
B.「ヤーヤーヤー! グーテンタークグーテンターク! ダンケシェーン!」 ここは石崎より早くナンパに行く
C.「(どうせ言っても聞かない! こうなりゃマグナムシュートだ!)」 石崎の顔面にマグナムシュートを打って気絶させておこう
D.「(どうせ言っても聞かないだろうし、離れて見ておこう……)」 黙って見ておく
E.その他 板野くんに取らせたい行動を書いてください

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

665 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 01:48:44 ID:qM7d1U9A


666 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 01:49:03 ID:E+qudtFs
D

667 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 01:49:06 ID:MLxr1pI6
A

668 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 01:49:28 ID:Vp0TBF9g
E石崎、女ってもんは近づけば遠のき遠ざかれば近づくのさ ともっともらしいことを言いながら
 サル崎の行動を抑制する

669 :森末(仮):2015/01/19(月) 02:16:07 ID:???
>A.「やめときなよ石崎、どうせ彼女たちの目当ては西ドイツの選手たちだったんだろうし」 ここは石崎を止めておく
=============================================================================================================
石崎「ギクッ! な、なんだよ板野ぉ……ちょーっとくらいいいじゃねぇか」
政夫「なんだお前? まさかナンパでもするつもりだったのか?」
和夫「鏡見ろよ」
石崎「お前達にゃ言われたくねぇ!」

ここで板野が注意をすると、石崎は困ったような顔をしながら照れ笑い。
これで周囲の者達も石崎が何をしようとしていたのか理解したのか、その無謀さに苦笑し、呆れ、からかう。
しばらくそうして騒いでいると、少女たちも全日本の存在に気づいたらしくやがてこちらへと近づいてくる。

少女たち「なになに、何の騒ぎ?」「あ、この人たち昨日ハンブルグと試合してたジャパンのチームよ」「新聞にも載ってたわね」
石崎「おお!? こ、これが噂の逆ナンか!? や、どーもどーも。 こんにちわ」
少女たち「何この男!サルみたい」
石崎「ギャフン!?」

そして石崎が話しかけてみれば、すぐさま玉砕。
彼の下心が丸出しだった為か、それとも単純の顔のせいか。
その場で崩れ落ちる彼に対して、しかし誰も同情をする事はなかった。

少女たち「この人あのカルツと互角以上に渡り合ったMF!」「昨日観戦した私の兄さんも言ってたわ」「やだ、かっこいい……」
三杉「(どの国も、女性の反応は似たようなものだな……)」

少女たち「きゃっ!同じ顔!」「確か双子のFWが2点も決めたって聞いたわ」「この人たちの事かしら?」
和夫「へへへ、昨日の試合で結構有名になったみたいだな俺達」
政夫「これからもっともっと世界中を驚かせてやらねぇとな」

少女たち「あの1番!シュナイダーのシュートを止めたんですって!」「ええっ、うそー」
      「ブレーメンなんていつもいいようにやられてるのに」
若島津「………………」

670 :森末(仮):2015/01/19(月) 02:17:13 ID:???
石崎が沈むと、やがて少女たちは自分たちが新聞で見た情報、聞いた情報などを頼りとしながら、
昨日の試合で活躍をしていた主軸と言える選手たちを見て彼らに聞こえる声量で話を始めた。
これを聞いてある者は辟易したようにため息を吐き、またある者は目立つ事が好き故か喜ぶ。
ある者は振り向き少女たちに背を向け、いつものぶっきら棒な態度を崩さなかったのだが……、
その頬が朱に染まっていたのは、彼にとって幸運にも誰にも見つからないのだった。

中山「(やっぱり俺の事はまだまだ取り上げられていないか……)」
松山「(俺も……いやいや、俺には藤沢がいるんだ!)」
小池「ヘーイ、君たち! この東邦学園キャプテン、小池秀人様の噂は耳に入っていないのかい!?」
沢田「や、やめて下さい、小池さん! そんなポーズビシッと決めたって誰も見てないです!」

一方で声をかけられなかった者達は、それぞれ原因は別であるもののある程度落ち込んでいた。
彼らもまたサッカーに青春をささげているとはいえ、立派な思春期の男子。
華やかな女性にちやほやされる者が羨ましく思えても、致し方の無い事ではある。

では我らが板野くんはどうだったかというと……。

少女たち「あ、この人……」
板野「(ドキドキ……)」

先着1名様で、

★板野くんの女性受け→! card★

と書き込んでください。マークで分岐します。

JOKER→板野「ウインクバチーン☆」なにィ!? 板野のウインクで全員昏倒しただと!? スキル・女殺し習得
ダイヤ→少女たち「シュナイダー並のシュートを打つストライカーよ!」「キャプテンなんだ!」「すごーい!」 なんと大人気だった!
ハート→少女たち「やだ、かわいい」「東洋人って幼く見えるけどかなり小さく見えるわね」「なでなでしたい」 人気だけどなんか違う
スペード→少女たち「キャプテンみたいよ」「何か凄いシュートを打てるって聞いたけど」「でも1得点だけでしょ?」 なんかイマイチ
クラブ→少女たち「迷子かしら?」「違うわよ、誰かの弟なのよ」「ボク、お菓子いる? はい、バームクーヘン」 子供扱いされた

671 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 02:17:41 ID:???
★板野くんの女性受け→ クラブQ

672 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 02:18:26 ID:???
相手にされないよりきついなぁwww

673 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 02:18:44 ID:???
いじられキャラのキャプテンもいいんじゃない?w

674 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 02:20:28 ID:???
でもまぁバームクーヘン儲けたじゃん、やったぜ。


あとバームクーヘンってどいつだとそこまでポピュラーじゃないんだってね

675 :森末(仮):2015/01/19(月) 02:25:01 ID:???
>>672-673
西ドイツの女性がたからは、かなりの子供に見えちゃったんでしょうね。

>>674
ドイツのお菓子というとバームクーヘン、というイメージがありましたので、意外です。

本日は一旦ここで区切らせていただきます。

次回からは改めて練習パートに移ります。
練習は大会までの5日間、1日1回として「5回」あり、これが大会に臨む前最後の練習となります。
大会が始まってからは原則、練習などで能力が上がる事は一切ないので、予めご了承ください。

また、板野くんの新シュートの名前を募集します。
原理としてはマグナムシュートに、更に強烈なノビとHOP−UPするほどの加速力を持たせたものです。
ご提案のある方は、おひとり何個でもいいのでスレに書きこんでいただけると助かります。
なお、名前は出来る限り銃火器などの名前で統一してくれるようお願いします。
因みに現在私が考えている名称は、そのまま「ネオマグナムシュート」です。

それでは。

676 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 02:31:25 ID:???
乙でした。ライジングショット、ライジングサン。

677 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 02:37:06 ID:???
サンタナ、てつを、ラブマリー

678 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 03:10:37 ID:???
乙です
なんかこっちのスレで似たような原理のシュートやろうとしてたことが先にとられちったw

マグナム・フルバースト アクセラレートマグナム ロケットマグナム
マグナムアッパー ハリケーンショット

679 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 04:59:44 ID:S36EtWb2
乙でした。
マグナム銃(厳密にはマグナム弾を使用した拳銃)より強力な銃っていうと、ライフル銃になっちゃうらしいんですよね。
ライフルショットってシュートは別スレ(キャプテンEDIT)で既出だしな〜。
マグナムの中で強力な銃で有名なのは、デザートイーグルですが、これはこれで松山とかぶるし…。
あとは、ダーティーハリーでお馴染み44マグナム(フォーティーフォーマグナム)
世界最強拳銃「スミス&ウェッソン M500」などが有名ですが、シュート名としてはイマイチでしょうか?
個人的には、バージョンアップ感を出すために、単なるマグナムショットから
44マグナムショットは厨二的でいいなと思ってます(笑)

680 :森崎名無しさん:2015/01/19(月) 05:10:16 ID:S36EtWb2
ちなみに、44マグナムは正式には銃弾名で、
ダーティーハリーが使っていた拳銃の正式名称は「S&W M29」です。
ただ、映画の中の「この銃は、世界一強力な44マグナムだ」"this is a 44 magnum, the most poweful handgun in the world,
というセリフのせいで44マグナムが拳銃名として定着しちゃったそうです。

463KB
掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

0ch BBS 2007-01-24