キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が950を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
【伝説の】Another-CU_9【継承者】

1 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/04/22(火) 12:47:04 ID:PG0gsAI6




この物語はフィクションです。
史実や実在の人物を連想する場面があるとしても、この物語とは関係がありません。
風土、名称については文献を参考としていますが、想像のウェイトも大きく、事実と異なります。


そして……この物語は キャプテン森崎のアナザーストーリーであり…
  とある貴公子と仲間達の サッカーに賭けた青春を描くストーリーです。


恋愛は二の次に、サッカーに命を削って頑張る彼等を応援してあげて下さい。




235 :森崎名無しさん:2014/05/28(水) 23:00:18 ID:???
まだ相手にもクァールだの点のとり方はあるし(運ぶのは難しいが)
ラムネも後半だし2点くらいまで普通じゃない?

236 :森崎名無しさん:2014/05/28(水) 23:54:56 ID:???
今後ファールされた際の方針になるのかな

237 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 02:27:04 ID:???
ディエゴ「どうしてこうなった・・・どうしたこうなった・・・!」

238 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/05/29(木) 15:23:01 ID:???

> A 正しかった。 確実に勝利へ近づく措置だったと言える。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 問われてみて、三杉はあの行動が間違いなく正しかったのだと思った。

 どの試合も負けられない、後がない状況だ。
 勝利へ近づくためにやった結果としては上々である。

 だからと言って何をやっても良いわけがないが… アレはサッカーの要素だという認識だ。
 マリーシアという大きな括りの中の一部として捉えても良いだろう。
 …である以上、三杉は自身の考える『越えてはならない線』を越えていない。
 間違っていたと思う理由もない。

三杉「正しかったと思いますよ、確実に勝利へ近づく措置でした。
    その上で、サッカーとして倫理を逸脱もしてません。」

モニカ「」コクコク

シーザー「なら、大きな問題じゃあない。」

三杉「大きな問題?」

 三杉の言葉を肯定して頷くモニカと異なり、シーザーの反応には含みがあった。
 当然そこは三杉も気になり、追求の手を伸ばす。

239 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/05/29(木) 15:25:06 ID:???

シーザー「さっきみたいなシーン、お前はアアは言ったが、行動を選べたようにはとても思えん。」

三杉「…と言うと?」

シーザー「咄嗟の状況で肉体を動かすのは理性ではなく本能って事だ。
      頭では選択しているつもりでも、実際の行動は決定済み… そういう状況もあるんだ。
      つまりさっきの選択はお前の本能・本質が導き出した物だとオレは言いたい。」

モニカ「本質…」

三杉「勝利に近づく最適な行動を僕の本能が選んでいた…と?」

シーザー「逆だな。 お前が24時間、何にも優先して考えているのがチームの勝利なんだろう。
      チームのため、仲間のため、監督役として、キャプテンとして、サポーターのため、
      今日に限っては泣かされた少女のため… とまあ、勝利を求める理由がどこにあるか
      はオレの知る所じゃあないが、本人なら分かっているだろう。」

三杉「Play for ...... なんとかの話でしたっけ。」

シーザー「まあな。 とにかくお前の本能と理性にすれ違いはないってのが今回の行動で分かった
      と言えるだろう。 そこに乖離があれば、無意識に蓄まるストレスが馬鹿にならない。
      コーチであるオレとしては大きな問題として考えなけりゃいけなかった。」

240 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/05/29(木) 15:26:09 ID:???

モニカ「なるほど… 流石、色々考えているんですね。」

三杉「こう見えて頼りになる人なんだよ。 それで、大きくない問題も窺いたい物です。」

シーザー「こう見えて≠ヘ余計なひと言だ。 そっちの問題はすこぶる単純な事だ。
      お前、ディエゴ・ブランドーよりも自分が劣っていると思ってんだろ?」

三杉(うっ…)

シーザー「図星だな?」

三杉「そう…ですね。 彼と僕とでは役割が違うので単純に比較しても意味はありませんが…
    この試合で僕の存在感(プレゼンス)はディエゴよりも劣っていたと思います。」

モニカ(…そうかなあ?)

シーザー「そうだろう。 それがあるから、『逃げた』なんて発想が後から出てくる。」

三杉「なるほど… 言われてみれば全て説明がつくものですね。」

シーザー「お前は取り敢えず、お前自身に対して誤解がなければ十分だ。
      ディエゴよりも劣っていると感じるなら、それはコーチであるオレの責任だ。
      そこについてはオレが何か手立てを考えるから、ひとまず心配するな。」

三杉「はい。」

241 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/05/29(木) 15:27:53 ID:???

 胸のわだかまりが解きほぐされ、スッキリとした気分になった。
 理性と本能… 今まで深く意識したことがなかったが、自分自身を把握してコントロール
するというのは難しく、それゆえ重要なの事なのだと三杉は知った。

モニカ「ええと… 治療はこれで終わりました。」

三杉「ありがとう。 それじゃあピッチに戻るよ。」

シーザー「ああ、行って来い。」


☆試合は残り15分とアディショナルタイム

 A ここからダイジェストどうぞ
 B ここからnotダイジェスト
 C 抜けてた5分含めてnotダイジェスト

2票決です。メル欄は空白でお願い致します。
※忘れてるかも知れませんが、この試合は回想であって勝利は既に確定しています。

242 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 16:01:36 ID:pMPSm7e+


243 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 16:01:40 ID:6IMkf9qA
B


244 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 16:12:17 ID:oU9WzCGE


245 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 16:37:16 ID:???
完全に忘れてた
0−3とかだったらどうなってたん

246 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 16:40:48 ID:???
ホントに忘れてたw

247 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:14:25 ID:???
もし負けていたら貴公子ポイント減少で勝ったことにして夢オチかな?

248 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/05/29(木) 17:34:22 ID:???

>A ここからダイジェストどうぞ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

先着7名様で
 ★三杉不在中の展開 → ! card(! dice+! dice)★
 ★ブンナークの活躍 → ! card(! dice+! dice)
  新田の活躍 → ! card(! dice+! dice)★
 ★ミハエルの活躍 → ! card(! dice+! dice)
  三杉の活躍 → ! card(! dice+! dice)★
 ★オジオの活躍 → ! card(! dice+! dice)
  レントゥルスの活躍 → ! card(! dice+! dice)★
 ★ダラピッコラの活躍 → ! card(! dice+! dice)
  ミュラーの活躍 → ! card(! dice+! dice)★
 ★スペルマンの活躍 → ! card(! dice+! dice)
  オワイランの活躍 → ! card(! dice+! dice)★
 ★ラムカーネの活躍 → ! card(! dice+! dice)★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

[結果]
 2D6合計値が高いほど扱いが良くなります
 また2D6=12で覚醒、およびJOKERで大覚醒
 複数フラグを所持している選手の技開花についてはスレ主の任意になりますがご容赦下さい。
 
※カードの結果に関わらず、ある程度の規定展開が繰り広げられます。

249 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:38:16 ID:???
★三杉不在中の展開 → クラブ23 + 5 )★

250 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:39:37 ID:???
★ブンナークの活躍 → スペード33 + 4
  新田の活躍 → クラブ43 + 4 )★

251 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:40:37 ID:???
★ミハエルの活躍 → ハート35 + 5
  三杉の活躍 → クラブ91 + 6 )★

252 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:42:01 ID:???
★オジオの活躍 → ダイヤ25 + 1
  レントゥルスの活躍 → ハートQ1 + 1 )★

253 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:47:13 ID:???
★ダラピッコラの活躍 → ハート62 + 1
  ミュラーの活躍 → ダイヤA3 + 3 )★

どうにもパッとしない数値だ
守備陣の覚醒に期待っ

254 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/05/29(木) 17:47:53 ID:???
>>バルサ戦について
 苦戦はするけど負けはしないバランスのつもりでした。
 それに0−3とかならないよう調整とか誘導とか無意識にやってたと思います。
 そんなこんなでディエゴが退場しない場合も、体力切れの前にヴィオラが競り勝つ想定でした。

>>日本戦について
 反町は魔王化いきませんが、大幅パワーアップの可能性が無くはありません。
 あとポストプレイとか出来るFWもちゃんといますよ。

>>三杉の火力
 新田もですが、やはり素のシュート力がネックですね。
 ストも翼もディエゴもクァールもシュート力が三杉より格上ですから。
 とはいえ三杉も新田もパワーアップの布石はあるので心配はちょっとするくらいで大丈夫だと思います。
 まあ若林相手に現状の力で絶望的な程度なのはご了承ください。

255 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 17:56:39 ID:???
 ★スペルマンの活躍 → スペード94 + 6
  オワイランの活躍 → ハートJ6 + 4 )★

256 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 18:05:19 ID:???
★ラムカーネの活躍 → ハートA5 + 5 )★

257 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 18:24:44 ID:???
最終ラインがキッチリシャットアウトしたかな

258 :森崎名無しさん:2014/05/29(木) 19:15:49 ID:???
YMS(やっぱりミハエルはすごかった)

259 :森崎名無しさん:2014/05/30(金) 00:09:56 ID:???
無理にクァール上げてロングシュートを読まれての失点ありえる

260 :森崎名無しさん:2014/05/30(金) 08:14:27 ID:???
バルサは退場で格段に撃たせる前に止めやすくなるから
続いていたら、フィオは3−6−1か3−5−2に変形と予想
中盤支配しまくってシュート数増やして新田とブンナークでとどめ

261 :森崎名無しさん:2014/05/30(金) 12:08:34 ID:???
リーガ・エスパニョーラは当たりがさほど強くないらしいから
怪我の多いファンベルグが移籍するにはうってつけなのかー

262 :森崎名無しさん:2014/05/31(土) 13:27:38 ID:???
2−7−1にミハエル主役会にディエゴ退場
今回の試合もおもろかった

263 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/02(月) 19:21:50 ID:???

> 三杉不在中の展開 → クラブ2 ( 8 )

> ブンナークの活躍 → スペード3 ( 7 )
> 新田の活躍 → クラブ4 ( 7 )
> ミハエルの活躍 → ハート3 ( 10 )
> 三杉の活躍 → クラブ9 ( 7 )
> オジオの活躍 → ダイヤ2 ( 6 )
> レントゥルスの活躍 → ハートQ ( 2 )
> ダラピッコラの活躍 → ハート6 ( 3 )
> ミュラーの活躍 → ダイヤA ( 6 )
> スペルマンの活躍 → スペード9 ( 10 )
> オワイランの活躍 → ハートJ ( 10 )
> ラムカーネの活躍 → ハートA ( 10 )
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ブンナーク「うらあぁぁぁぁっ!!」 バシュッ!

 オジオの蹴った長いFKをブンナークがポストプレイでうまく落とした。
 マークは当然集中していたが、ここはディエゴ退場の動揺もあったのだろう。

新田(敵が動揺しているここで決める!) ダダッ

 このボールに新田が飛び込み、ノートラップでボレーを叩き込んだ。

 スパアァァァァァァァァン!

264 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/02(月) 19:24:17 ID:???

 スパアァァァァァァァァン!

ゴンザレス「(直線的でパワーもない)…が、速い!!」 ダッ

 バチィィィ!

 早すぎるシュートタイミングと球速自体の速さ。
 二段構えのスピードはルベン・ゴンザレスを焦らせたが、惜しくも手に触られた。

グランディオス「よし、拾ったらこっちに回せ! 焦ってクリアするなよ!」

 セカンドボールをねじ込む選手が在れば、或いはここで1点が取れたかも知れない。
 しかし三杉が治療で抜けている事とミハエルの体力引き伸ばしのため、それが出来る
シューターは不在であった。
 何よりバルサ側が三杉不在のこの短い時間を最後のチャンスと見て、窮鼠と化す可能
性を考えれば、ヴィオラはここで思い切った突出が出来なかった。


しかしヴィオラもあたら前に出なかっただけの成果をバルサへ見せつけた。

 グランディオス「10対10の今ならまだ互角以上に戦える!」 ポン!

 ミハエル「ハハン、それは既にwishuful tihinking(希望的観測)でしかありません。」 トッ

 ラーソン「ちょちょっ、キャプテン!? 支持率下降しちゃうっすよそれ!」

265 :今日はこれだけですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/02(月) 19:26:43 ID:???

 現時点ではまだ人数的には互角…
 そう見なしてバルサはそこ突いてパスを繋げに来た。
 先ほどのは只の1回、攻撃を1回防がれただけだと信じていた。

 しかしこの時点で『互角』という言葉は数字的な意味を示すだけの物と成り果てていた。

 ポンッ!  トッ
  スパンッ!  トンッ

 後半ここまでの流れから一転、バルサはボールを得ても攻撃が繋がらなくなった。
 原因を分析することも出来ず、焦りの占める割合が増していく…

グランディオス(な、何故だ…!)
クァール(こんな繋がらねえとか他になかったぞ!?)
リネカー(こいつら今まで本調子じゃなかったのか…!?)

オジオ(このチームのパス技術、貰う技術は本当にすごい。 それは疑いない。
      正直言って掴み所がないし、読んで対処するのは不可能に近かった。)
ミハエル(ですが今のユー達には、そこに『勝負を急ぐ』という要項が加わっています。
       これまでとは違って狙いが随分と明け透けになっているんですよ?)

 そうこうしている間に5分少々が瞬く間に過ぎた。
 三杉淳がピッチに戻り、バルサが主導権を再び握る可能性はここで潰えた。

266 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 00:28:00 ID:???
リグルちゃんハッピーバースデー

267 :うちのリグルが誕生日アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:28:03 ID:???

<VIP>

ファンベルグ「最後のサービスタイムも終わったようですね。
         この様子では引き分けで終わらせるのもまず難しいでしょう。」

クライフ「仕方あるまい、ヤツラは10人でやる事など考えてなかっただろうしな。」

ファンベルグ「…と言うと?」

クライフ「ディエゴが退場した条件下での想定をした事がないのだよ。」

ファンベルグ「アレでも、ですか?」

クライフ「実際に退場をくらうほどの長時間、ディエゴがあのスタイルでプレーを続けた事はない。
      ピンチと言われる時でも、ディエゴが本気を出せばスコアの面でも心理の面でも短時間
      で逆転する事が出来た。 そこまでやれば後は普段通りのBのスタイルで十分勝利を
      挙げて来られたのだ。」

ファンベルグ「諸刃の剣である事は当人たちも分かっていたという事ですか。」

クライフ「だからこそだよ。」

268 :266さん感謝ですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:29:05 ID:???

<ピッチ>

三杉「随分小気味よくインターセプトしていたみたいだね。」

オジオ「うん、相手が焦ってきたのか随分と読みやすくはなってるよ。。
     それにオワイランがボランチ以下をうまく動かしてくれたのも大きいかな。」

三杉「やはりそうか。」

 バルサのショートパスが繋がらなくなったのには、理由がもう一つあった。
 オワイランが周囲の低い位置の選手に指示を出し、敵が中盤以上に至った所で急にプレスが
かかるよう動かしたのがそれだ。

 位置的な問題として、敵の選択肢が減ってくる中盤以降。
 選択肢が狭まった段階で急に厳しいプレスを受けた時、何としても攻めたい(ボールを奪われ
たくない)バルサ選手は反射的と言って良いほどショートパスを即出しした。
 そしてこの時には無理を押すようなチャレンジ性のパスはなく、比較的安全で、尚且つ後方で
ないコースへとボールを流す事がほとんどだった。

三杉(ここまで行動が画一になれば、タイミング的にシビアでも、インターセプトは十分現実的だ。
    相手の欲求を知り、守備側が特定の指向を加える事で、行動を誘導する守備か。
    こういう状況だからこそとも言えるが、それでもこんな難しい発想を実行しようとは中々思え
    るものじゃない。 オワイランは指揮官に向いているのかも知れないな。)

 三杉が戻ってくれば人数の優位性が得られるから、それまでは攻撃より守備重視。
 ただしシュートは打たせたくない、体力の消耗もそうそう増やせない。
 オワイランの指揮はこういったヴィオラの希望を包括する結果を出したと言える。 
 三杉はそれ(及びそれを実行した度胸)に対して舌を巻いた。

269 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:30:47 ID:???

 ヒュン! トンッ!

三杉「よし! みんな走れ、ファストブレイクだ!」

 三杉が戻ってすぐのタイミングで再びバルサのパスをインターセプト。
 ここで満を持してファストブレイクが繰り出された。

 ポンッ! ポンッ!
  スルスル… ト、トンッ ポーーーン!

グランディオス「クッ、速い!」
リネカー(まずいだろコレはぁ…!)
アウミージャ「ちっくしょおぉぉぉぉぉぉぉぉおwwwwww」

 三杉が戻った所で本格的に仕掛けてくるだろうと、バルサ側も薄々分かっていた。
 そのつもりで走る覚悟もあった。
 しかし人数不足、ファストブレイクのスピード、未経験な状況と、対応するには困難な
状況が揃いすぎており、結局素通しでシュートまで持っていかせてしまう。

ミハエル「これでラスト、決めなさい!」 スパァァァァン

 ノートラップでニアへのハイクロス、この難しいプレーをミハエルは難なくこなした。
 このクロスがブンナークにとってベストなポジションに落ちる。

270 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:31:51 ID:???

ブンナーク「このパスは… 撃てって事だなぁ!!!」 バッ

アウミージャ「お断りしますwww」バッ
フェレール(あだ名)「おれの名前を言ってみろ!!」 バッ

 この試合ではまだ無得点だが、ブンナークは誰もが認めるヴィオラのエース。
 その彼にこんな接触プレイを挑んでも結果は火を見るより明らかだった。

 ドッゴオォォォォォォォ!!!!!

ドゴゴォッ!!      アウミージャ「くぁwせdrftgyふじこlp 」
 ベッコリ!!      ファーレル(本名)「ふぁ、ファーレルブロックを……」

 そしていくらパワーに強くとも、ブンナーク相手に100戦100勝するGKはいない。

クァール「ふざけろっ!? オレをどかせたきゃぁ戦車くれえもってk」 バキィィィッ!!!

 まずはCBのクァールが巨大な体躯を無残に散らし…

ゴンザレス「うおおおおおおおおおおおおお!」 バッ

 バキイィィィィィィィィィィィ!!!
   ピイィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイ!

 何度もヴィオラのフィニッシュを妨げてきた南米の巨人も、ここで遂に首を垂れた。
 ブンナークキャノンがゴンザレスを吹き飛ばし、貴重な決勝弾をもぎ取ったのだった。

271 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:32:56 ID:???

 そこからはバルサも開き直り、ロングボールやドリブル突破を多用するようになった。
 それも形振り構わない全員攻撃、全員守備。
 正直なところ、三杉が抜けている間にこれをやられればヴィオラは苦しくなっていた。
 アルゴスに競り合いで勝てる選手が(ブンナークを除き)ヴィオラに居ないからだ。

レントゥルス「うわわわわわ」
ダラピッコラ「くそ、このっ…!」

アルゴス「どけえぇぇぇぇっ!」

 バキィィィッ!
 シュタッ ポーン!

 実際これをやられ、レントゥルスやダラピッコラが為す術なく、敵のキープを許した。

ラーソン「まだまだ逆転はYes we canっしょー!」

オワイラン(このまま突破? それはさせないよ。) サッ

ラーソン(この人には何回もやられてるっすよね。 ちょっとガチで苦手フィーリング。) シュパァァァァン

 オワイランとの勝負を避けたラーソンのクロスにリネカーが走り込む。
 この日はシュートチャンスが少なく、まだ活きていないリネカーのダイレクトシュート。
 だがラムカーネの状態を考えれば、ここで撃てば高い確率で決まるシーンだ。

272 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:34:05 ID:???

スペルマン(この場面はやってみよう…) ターン

 グオォォォォォォォッ

 読み辛いリネカーのダイレクトショットに対し、遅出しの跳躍。
 大きな身体をアクロバティックに反転させたブロックがボールを弾いた。

スペルマン(ものに出来ない事はなさそうか。)

ラーソン「おっとぉ!?」

ラムカーネ「まだだ…」

 バコォッ!!

 PA上空に浮いたボールはバルサにとって継続したチャンスだった。
 実際ラーソンなどは走り込む体勢にあったが、ラムカーネはこれをPA外に弾きだし、
ヴィオラは最大のピンチを見事に脱した。

三杉(危なかったが、ここでもう1点取れば相手の戦意を断てる。)

ラーソン「駆け抜けるのがスペイシー・ロォォーーーック!!」

三杉「速い… が、それだけだ!」 サッ

ラーソン「あり?」

273 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:35:25 ID:???

グランディオス「チィッ、みんな戻れ!」

三杉(すぐに奪い返せないと見るや今度は徹底して引く全員守備。
     これをやられると、キープは出来ても崩すのは難しい。
     まあリードしているのはこちらだから、試合終了までこれを維持すれば良いのだが…)

 攻める必要のない攻めあぐね。
 手札の切り方によっては、時間に追われながらこれを攻めなければならなかったのはヴィオラの方。
 そう思えば、実行の可否はともかくとして、崩す手段を見つけ出すくらいはしておきたい。

ミハエル「へい、こっちへ!」

三杉(…っと、ミハエルがボールを要求?)

 思索を広げようとしていた三杉へミハエルがパスを要求した。
 後半において彼には中盤の守備に専心するよう指示を出しており、それは見事応えられている。
 最後に攻撃を任せて欲しいという事ならば、三杉としては応えてやりたかった。

三杉(これだけガッチリと固められていると、今のミハエルでは突破は厳しいだろう。
    だから奪われた後の守備はキッチリとしなければ。) バシュッ

 次の心配を一通り考え、三杉はボールをミハエルへ渡した。
 だがこの心配は杞憂だった。

ライカール「1人で仕掛けてくるとは大胆不敵の世界…」
フォンセカ「なめられても仕方のない内容だが、故にこそこれは止める!」
アウミージャ「オレのタックルは二枚刃よwwww とか言ってみたりwwww」

ミハエル「………フッ」

274 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:36:25 ID:???

 バルサの手練れ3人がたちまちミハエルを取り囲む。
 怪我への恐怖を克服出来ずにいるミハエルにとっては正直荷が重いだろう。
 …筈だが、ミハエルは不思議と微笑をたたえていた。

 ザザアァァァァァァ!
          シュシュシュッ!!
   ダダッ!
         ザシュッ!

 3+1の厳しい当たりがミハエルを襲った。
 ヴィオラの選手たちもこれは流石に無謀だと確信する。

 ダダッ、スタッ、タタタタッ!!

三杉「なにっ…!?」

フォンセカ「腕でからめ捕る事も出来ないだとぉ!?」
アウミージャ「オレ1人で2回も抜かれてわろちwwwww」
ライカール「判った、これは夢の世界…!」

 驚いたことに、軽快なステップにより3人が一瞬で抜き去られていた。

ミハエル(1点、5点、2点もう一つおまけに1点…
       やはりディエゴ・ブランドーのプレッシャーと比べると、全く問題になりません。) 

クァール「上等だよぅ…? テメェーがケツモチのオレとタイマンだぁ…!」  !?

ミハエル「結構。 ユーのようなブ男はゴールを割られるのを観ていなさい。」 パシュッ

275 :本日はこれだけアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/04(水) 18:38:19 ID:???

 3人を抜き、更にもう一人が接近してきたところで華麗にノールックパス。
 ボールは新田の前方のスペースへ柔らかく転がる。

新田「これは… 行く! 行ける!」 ダッ

クァール「ば、バカッぱえぇッ!!」

 転がる方向へ反転しようとしたクァールだが、新田のダッシュ1発で決まっていた。
 誰も追い付くことは出来ず、ほぼフリーでのファルコンクロウが放たれた。

ギュパアアァァァァァアアアア!!! 
    ピイィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイ!

ゴンザレス「速…過ぎる………。」

 今度はゴンザレスに反応を間に合わせず、見事にゴールネットを揺らした。
 その後アディショナル・タイムが5分と長く取られたが、ヴィオラのゴールが危ぶまれる事はなく…
 最終スコアは以下の通りである。
 終わってみれば全てのゴールにミハエル・ドノヴァンが関わる結果となっていた。


        フロレンティア・ヴィオラ 3−1 バルセロナB 
===========================================
前半12分 三杉     ローズピルエット → ゴールバー → ねじ込み(ダイビングオーバー) (1得点)
後半18分 クァール   PK (1得点)
後半32分 ブンナーク  センタリング → ブンナークキャノン(1得点) アシスト:ミハエル
後半45分 新田      スルーパス → ファルコンクロウ(1得点) アシスト:ミハエル

276 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 18:53:34 ID:???
ミハエルがアシストしまくったなぁ

277 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 19:13:58 ID:???
リグルちゃんだけに6月4日、64(虫)姫で覚えやすいですよね乙

278 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 19:40:40 ID:???
リグルが誕生日だって!?今すぐ日本中のケーキを買い占めないと!

279 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 19:48:05 ID:???
君は何を言ってるんだ

280 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 19:50:29 ID:???
翼「6月4日は虫姫の日で祝日でいいんじゃないかな」
日向「おい若島津、一発入れてから酸素カプセルで永久に眠らせとけ」

281 :森崎名無しさん:2014/06/04(水) 20:33:29 ID:???
手羽先「>>279と日向君は何を言ってるんだ」

282 :皆さんお祝いの言葉をありがとうござますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/05(木) 15:23:44 ID:???

〜 11月中旬 〜 <フィレンツェ/フロレンティア・ヴィオラ クラブハウス>

 試合終了の笛が鳴ったところで、TVの画面は『ザー…』という砂嵐に変わった。
 それと同時に同席者の漏らす満足気な溜め息も聞こえた。

エムスカ「いやあ見応えのある試合だった。
      何より勝利で終わったところがまた素晴らしい。」

三杉「恐縮です。(感想が普通のおじさんの物と変わらないな…)」

 試合中の状況や、その時々の個人的な心理を説明しながら振り返ったバルサ戦。
 ディエゴ・ブランドーの退場以降はヴィオラ側に気持ちの良い圧倒劇だった。
 しかし後半途中までの厳しさについては、オーナーが息を呑んだ回数や『こんな状態から
どうやって…』というような絶え間ない独り言を聞く度、三杉も改めて確認させられた。

 ついでに言えば、このオーナーが普通に熱心なフィオレンティーナサポーターである事も
三杉はよーく、よーく理解した。
 『プレイの結果に一喜一憂する程度で、戦術に対して疎い』と恥ずかしそうに自身を評して
いたのも頷ける。

三杉「非常に厳しい相手でしたが、それにしてはやけに脆い部分もありました。」

エムスカ「ふむ、確かに。 言うなれば挫折を知らない優等生という印象を受けたな。」

283 :本当は昨日は家族で初TDLの予定でしたがアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/05(木) 15:25:40 ID:???

三杉「その喩(たとえ)はまさに言い得て妙でしょう。 選手たちのスキルは非常に高く
    戦術も確かでしたが、上手く繋がらなかった時の判断には悪手が多かったです。
    不利な状況に対する想定が足りず、それが脆さに直結しているのは…」

エムスカ「まさに挫折を知らない優等生だろうな。」

 笑うべきところなのだろうが、三杉は笑えなかった。
 今回の結果は、今後のバルサの怖さを容易に想像させるからだ。
 この無残な自滅の経験から立ち直ったら、バルサからはきっと判断の甘さが消える。
 そうした時、自分達が再戦して勝てるものなのか… いや、その機会には勝たねばならぬが。

エムスカ「そうだキャプテン、この勝利が次のステップを生み出した事を伝えておこう。」

三杉「次のステップと言いますと?」

エムスカ「マンチェスターだよ、マンチェスター・ユナイテッドがテストマッチを申し込んできた。
      今度は正式な手筈でな。」

三杉「それは… それは実にうれしい報せです。」

 三杉は思わず両の拳を『グッ』と強く握った。
 バルサとのテストマッチには確かに勝利した。
 しかし形式としてはあくまで非公式なテストマッチであり、バルサの言い分としてはイタリア遠征
における事前調整でしかなかった。
 これで本当にFIFA(の視察者)に対して力量を証明出来たのか、他のビッグネームに対して
次に繋がるようなアピールになったのか、三杉は試合の後になって密かに心配に思っていたのだ。

284 :あいにくリグルが熱を出したので来週に延期ですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/05(木) 15:27:11 ID:???

エムスカ「日時は丁度今日から一ケ月後、場所はマンUの練習コートでだそうだ。
      オールド・トラッフォードとはいかないが、公開テストマッチという事で観客も入る。」

三杉「なるほど、サポーターによるホームの洗礼を覚悟しておいた方が良さそうですね。
    FA(フットボール・アソシエーション)のサポーターは荒っぽいと聞きますから。」

エムスカ「荒っぽさならばセリエAだって負けていないと思うがな。」

三杉(勝った負けたの話じゃないと思うが…)

エムスカ「まあ心配の必要はあるまい。 未来のあるユースであればサポーターも寛大だ。
      トップの公式戦のような流血沙汰になる事は考えられんよ。」

三杉「そうあって欲しいものです。
    (流血沙汰なんてなったら、こっち(ブンナーク)が加害者になりそうだし)」

 物騒な想像をブンブンと振り払い、三杉は事もなげにこの話を締めくくった。
 とにもかくにも次のステップへ進む事が出来た。
 そして次も当然強敵に違いなく、少なくとも過去の相手より弱いと考える事は出来ない。
 気が引き締まり、同時に熱い闘志が内から湧き出てくるのを三杉は感じた。

285 :そして翼は相変わらずですなあ安心アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/05(木) 15:28:51 ID:???

エムスカ「そうそう、もう一つ。」

三杉「はい?」

エムスカ「これも良い報せだ。 スポンサーがまた一社加わったのだよ。」

三杉「それはまた有り難いですね。」

エムスカ「私個人としても破産の可能性が減るのは嬉しい限りだ。
      …で、栄えある新スポンサーの名はサニー・ペット社。
      最近CMでよく観るフォルツァ10(ディエチ)の製造メーカーだよ。」

三杉「はあ…。(何故オーナーはこんな話を?)」

 フォルツァ10…
 イタリアの獣医師が22年の歳月をかけ、臨床事例を基にペットの健康を目指した食事療法食。
 有機食品加工製造認可やISO基準を取得、オートメーション化された衛生的な自社工場で…
 とまあ色々御託はあるが、ともかくワンニャン愛好家が昨今注目しているペットフードの新星である。

 だがそれを聞いても三杉にとって何だという話でしかない。
 そんな三杉の胸の内を透かしたように、エムスカはニヤリとして本題を切り出した。

エムスカ「実は同時にリザーブチームの者へサニーペット社からCMの出演依頼が届いている。」

三杉「CM出演!? トップの有名選手でもないのに、そんな話が?」

286 :そんなこんなで一旦ここまでっすアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/05(木) 15:30:59 ID:???

 名が売れている訳でもない、ユース上がりのリザーブチーム。
 そんなチームの選手にCM出演の話が来るなど、通常を考えれば異例の事である。
 して誰が、という話に当然なるが…

エムスカ「はっはっは、アーバックル監督にだよ。」

三杉「なるほど、監督ですか! ………って、監督ぅ!?」

 『ネコやん!』と思わず関西弁で突っ込みたくなったが、それをやると貴公子Pが下がりそう
なので、三杉はどうにか思い止まった。
 そのかわり、このオーナーに対して抱いていた崇敬の念を少しだけ崩した。

三杉「そう…………ですか。 なるほど適任ですねえ(棒)」

エムスカ「ちなみに契約金はフォルツァ10(ディエチ)2年分になる。
      監督の食費が2年間無料という事だよ、ハァッハッハ。
      後で寮に届けさせるから、早速今夜から食べさせてくれたまえ。」

三杉「はい(棒)」

 ちなみにフォルツァ10を主食とするようになった事で、何故かアーバックルは人語を解する
という幻想的な進化を遂げる事になるのだが…(※実際の商品にそんな効果はありません)
 それがこの物語に及ぼす影響は後日明らかになるだろう。 多分 恐らく もしかしたら

287 :森崎名無しさん:2014/06/05(木) 16:08:29 ID:???
リグルちゃんお大事に乙です

288 :森崎名無しさん:2014/06/05(木) 16:24:17 ID:???
マンU、マツモトとシンプソンか。にげるんだぁ…かてるわけがないょ…

289 :森崎名無しさん:2014/06/05(木) 18:52:34 ID:???
監督がモイーズなら楽勝なんだけどな。

290 :森崎名無しさん:2014/06/05(木) 20:35:45 ID:???
例のこんにゃくが入ったフード
キャッチコピーは「猫も思わず喋るおいしさ」

291 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 11:42:30 ID:???

三杉「話は以上でしょうか?
    次の試合の事を皆に早く知らせたいので、特になければ私はこれで…」

エムスカ「ああ、ちょっと待ちたまえ。」

三杉「ええ…と?」

エムスカ「最後に一つだけ。 ミハエル・ドノヴァンくんは大丈夫なのかね?」

三杉「ああ、ミハエルの事ですか。 検査の結果何も異常はなかったようです。
    医師は強いて言うなら急性過労ではないかと仰ってましたが、翌日にはもう退院です。」

エムスカ「そうか、ならばいいんだ。 だが次の試合が決まったところで主力に問題が出ては困る。
      キミも他の選手たちも体調管理には気を付けて貰いたい。」

三杉「その事も含めて皆には伝達しておきます。」

 話を締め括り、三杉はオーナー室を後にした。

三杉(………)

 オーナーにはああ言った物の、三杉はミハエルが本当に大丈夫なのか疑問だった。
 医者は何も異常はないと言っていたし、説明を聞きながら検査の結果を見ても異常な数値は
どこにもなかった。
 そして何より翌日にはケロリと元気な姿で退院してきた。

三杉(だけど……息、してなかったような… あの時………)

292 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 11:47:06 ID:???

〜 さかのぼる数日前 〜 <フィレンツェ/フロレンティア・ヴィオラ 練習コート>

 ピッ! ピィッ! ピイィィィィィィィィィィィィィィィイッッ!!!

「勝ったぞおぉぉぉぉぉ!」「やった!やったあぁぁぁぁ!」「ざまあ見ろ!!!」

「あ、あー………」「くっ………」「こんな…オレ達バルセロナが…」

 審判の笛が鳴り止むと同時にヴィオラ選手たちの歓喜の叫びが響き渡った。
 数秒をまたぎ、バルサBの選手たちからは落胆と嗚咽が漏れる。
 勝者と敗者の正しい対比だが、バルサB選手が負ったダメージは特別だろう。
 地元(スペイン)じゃ負け知らずだった彼らが、肩書だけとは言えアマと同格のチームに
これほど無様な敗北を喫せられたのだ。
 
三杉「勝った… これでまだ終わらずに済む。」

 1試合まるまる頭をフル回転させる必要を負うほど、今日は三杉も苦しんだ。
 しかしスコアは3−1と、ぐうの音も出させない勝利である。
 その喜びの第一声はWトーナメント出場の可能性を繋げた実感として口から漏れた。

 その次はディエゴに不埒を働かれたモニカに良い結果を出せたという満足、
さらには試合には勝てたがディエゴ・ブランドーに散々してやられた反省が来る筈だった。

293 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 11:48:50 ID:???

<時を同じくしたVIPルーム>

マエリベリー「そう、そういうことなの…」 ダッ

 バタン!

 ずっと窓の間近でグラウンドを凝視していた接待役が、急に部屋を飛び出して行った。
 『何事か』とクライフも、ファンベルグも、FIFAのヒヨコも驚くが、ひと所に集まるヴィオラ選手と、
その中心で倒れている7番(ミハエル)、介抱しようとしている10番(三杉)の姿に合点がいく。

ファンベルグ「何があったんでしょうか…」

クライフ「分かったところで、我々に出来る程度の事はチームのスタッフが先んじてやるだろう。

 乾いた視線で理を言い放つクライフは、『尤も…』と言葉を繋いだ。
 当然これを聞き逃さず、周囲は続く言葉が気になってクライフへ注視を向ける。


先着で
 ★なに言いますか?→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ、ハート》 クライフ「あまり良い予感はしない」
《スペード、クラブ》 クライフ「なんでもない」
《JOKER》 クライフ()

294 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 11:50:13 ID:???
 ★なに言いますか?→ ダイヤ9

295 :293はミスですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 11:50:44 ID:???
※>>293はミスですので、とばして見て下さい


 その前に『ドサァッ』と人が倒れる音が聞こえた。
 観客のない試合だったからこそ、その大きくもない音は耳に入ったのだろう。
 耳にした瞬間、てっきりバルサBの誰かがショックで倒れ込んだのだと思ったが…
 目にすると、そこに倒れているのが最後まで華麗に大活躍を見せた彼。
 三杉は驚天動地のような衝撃を受けた。


 恐らく『ミハエル!』と絶叫しながら彼に駆け寄ったに違いない。
 そこからは正直記憶が前後している。
 アンザーニ監督の時の心理状態が半ばファラッシュバックのような形で顕われていたのかも知れない。
 とにかく救急車を呼ぶことと、ミハエルの気道確保を最優先に動いたのは確かだ。

 試合後にいつも行なわれる相手チームとのちょっとした交流などは当然頭の片隅にもなく、
彼らがどのようにヴィオラの練習コートを後にしたのかも分からない。
 ヴィオラの立場としては、バルサから報酬を貰って練習場を提供し、調整の相手を務めていた。
 クライアントに対して失礼な対応に当たったかも知れないが、緊急事態と分かってくれただろう。

 そんな不確かな状況ではあるが、気道を確保した際に、ミハエルが息をしていないよう感じたのは
記憶が混濁していたせいだと… そう思い込むには何かが引っかかる三杉だった。


296 :レスのエコ利用のため294の判定は有効としますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 11:53:10 ID:???

<時を同じくしたVIPルーム>

マエリベリー「そう、そういうことなの…」 ダッ

 バタン!

 ずっと窓の間近でグラウンドを凝視していた接待役が、急に部屋を飛び出して行った。
 『何事か』とクライフも、ファンベルグも、FIFAのヒヨコも驚くが、ひと所に集まるヴィオラ選手と、
その中心で倒れている7番(ミハエル)、介抱しようとしている10番(三杉)の姿に合点がいく。

ファンベルグ「何があったんでしょうか…」

クライフ「分かったところで、我々に出来る程度の事はチームのスタッフが先んじてやるだろう。

 乾いた視線で理を言い放つクライフは、『尤も…』と言葉を繋いだ。
 当然これを聞き逃さず、周囲は続く言葉が気になってクライフへ注視を向ける。


先着で
 ★なに言いますか?→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ、ハート》 クライフ「あまり良い予感はしない」
《スペード、クラブ》 クライフ「なんでもない」
《JOKER》 クライフ()

297 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 11:53:47 ID:???
★なに言いますか?→ JOKER

298 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 11:56:25 ID:???
>>296にあるように>>294の判定を採用致します、残念ですがご了承ください

299 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 12:00:30 ID:???
ファンベルグの動向とバルサBのイタリア遠征での全試合結果も気になる所

300 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 16:09:28 ID:???

> 《ダイヤ》 クライフ「あまり良い予感はしない」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

クライフ「あまり良い予感はしないがな。」

トゥイーティ「それってどういう意味でちか…?」

クライフ「息の長そうな選手には見えないという意味だ。 技術があってもな。」

トゥイーティ「???」

ファンベルグ「お得意の預言というわけですか。」

クライフ「私は預言などをしたことは一度もない。 これは只の勘だ。」

ファンベルグ「『私の勘が当たるのは帰納の蓄積と演繹の正確さが常人とは比べ物にならないからだ。』
        …以前に貴方からそう聞かされたと記憶しています。」

クライフ「そんな事を言ったか? …ふむ。」

ファンベルグ「まるで預言者のようだと当時の私は思った者ですよ… 結果も含めてね。
        貴方の私への預言は全て言った通りになったのですから。」

クライフ「そうか。 …だが、それならば尚のこと理解して貰えるだろう。
      話が途切れてしまっていたが、来季の我がバルセロナへの移籍…
      その返事を今ここで聞かせて貰おうか。」

ファンベルグ「………」

クライフ「私の予想・勘を預言のように思っているならば、迷う要素は何も無い筈だ。」

301 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 16:15:03 ID:???

ファンベルグ「その前に一つだけ聞かせて下さい。」

クライフ「うん?」

ファンベルグ「このフロレンティア・ヴィオラというプロ4部のチームですが、
        Wトーナメントの出場を目指しているというのはご存知かと思われますが…」

クライフ「ああ。 その為に各国のビッグネームとテストマッチを組んで実力を証明しているそうだな。」
      …で、それがどうかしたのか?」

ファンベルグ「正直なところどう思いますか? このチームがWトーナメントに出場出来るか否か。」

クライフ「不可能だ。」

ファンベルグ「ほう… それは勘ですか?」

クライフ「いいや、これこそ預言だな。 運命と言っても構わんだろう。」

ファンベルグ「根拠をうかがっても?」

クライフ「良かろう。 第一に、FIFAの品格がそれを許す筈がないというのがある。
     Wトーナメントは新設の大会だが、その扱いはインターコンチネンタルカップとほぼ同格…
     いくら実力を示そうが、その出場枠に4部チームが滑り込むのはあまりに無理がある。
     まあ、特別な懇意と莫大な金があれば話は多少変わってくるかも知れないがな。」

ファンベルグ「今日こうして監査役を寄越す以上、懇意の方はあるのではないかと思いますが。」

トゥイーティ(いやーそれは…)

302 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 16:16:10 ID:???

クライフ「それはFIFA元副会長の爺バカと私は聞いている。」

トゥイーティ(正解でち。)

クライフ「いずれにしても外部から組織を動かすにはコネクションだけでは足らん。
      金の存在がどうあっても不可欠になる。 それがこのチームには絶望的に欠けている。」

ファンベルグ「なるほど、正論です。 それで第二の理由は?」

クライフ「簡単な事だ。 このチームではどう逆立ちしても勝てない試合がある。
      そこで負けた時点でこのチームのWトーナメント出場の可能性は失われる。」

ファンベルグ(テストマッチのスケジュールを既に知っている…?
         いや、そのテストマッチに組み込まれたチームの監督ならば当然かもな。
         帰納に使用する情報の蓄積量がやはり私とは違うという事か。)

クライフ「まあ私がバルサBのヤツラを勝たせる気があれば、今日でそのチャレンジは終わっていた
      所だったがな。 さて、これで満足か? いい加減本題の応えを聞きたいのだが。」

ファンベルグ「ええ、もう十分です。 随分と回答を引き延ばして申し訳ありませんでした。
         私は… バルセロナに移籍するつもりはありません=v

クライフ「なんだと…? 何故だ?」

ファンベルグ「私はこのフロレンティア・ヴィオラがWトーナメントに出場を果たす気がしています。」

クライフ「それは何の話だ?」

ファンベルグ「貴方の預言が外れるという話です。」

303 :一旦ここまでアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/06(金) 16:20:35 ID:???

クライフ「ほう… それはキミがセリエAで今後3年以上プレイを続けられるという話に繋がるのかな?」

ファンベルグ「私はそのつもりですよ。」

クライフ「残念だがそれこそ根拠なき勘、ひいては願望の域を出ないのではないかね?
      負傷したくないと考えていれば負傷をしない訳ではない。
      まして相手のDFが負傷させるつもりで当たって来るならば猶更な。
      先の事を考えるならb」
ファンベルグ「私はクライフの掌の中のマルコで終わるつもりはありません。」

クライフ「…」

ファンベルグ「何より私は現役のサッカー選手=A引退した後の事を今考えるつもりもありません。
         これからも目の前の1プレーに挑戦し続けるだけです。」

クライフ「愚かな……。 だがキミらしいと言えばキミらしい物言いだな。」

ファンベルグ「ご厚意は感謝しています。」

クライフ「ふん、よく言う。 だが私も一度の失敗でチャレンジを諦めるつもりはない。
      このチームのWトーナメント出場が潰えた時、再びキミの前に現れるとしよう。
      私の預言が正しければキミの考えも多少は変わるだろうからな。」

ファンベルグ「了解しました。」

トゥイーティ(ふーむ。 この話をメディアに売ったら幾らになるでちかね?
        いやいや、こういうのは発言力のある人間に売ってコネクションを…)

304 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 16:21:24 ID:???
金が足りない?オーナーがラピュタの財宝見つけて大もうけするからだいじょーぶだいじょーぶ

305 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 16:23:46 ID:???
多分エムスカの姪っ子辺りにおさげの少女がいると思うw

306 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 16:52:43 ID:???
元ネタのファンバステンの特徴を考えるとトップ下で
チャンスメーカーやっても行けそう長生きしそう

307 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 22:39:57 ID:???
戦術でも戦力でも上の相手か、でも一先ずはディフェンスを一段階上ろう

308 :森崎名無しさん:2014/06/06(金) 22:48:12 ID:???
オワイラン、スペルマンが直ぐにでも強化されそうな気配?

309 :森崎名無しさん:2014/06/07(土) 14:17:35 ID:???
シンプソンのスルーパス対策を考えるとオワイランに必殺パスカットがあると助かるか?

310 :森崎名無しさん:2014/06/07(土) 16:46:22 ID:???
この先の展開の予想:ラピュタの雷でヒドラ蒸発、エムスカエンドへ

311 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 12:46:18 ID:???
昨日NHKのミラクルボディをさわりだけ見たけど
ああいったのが周辺視なのかな

312 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 13:05:10 ID:???
もうすぐワールドカップ開幕ということでワクワクしている。

313 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/09(月) 17:12:07 ID:???


〜その数時間後〜 <フィレンツェ/市民病院>

 搬送された市民病院で一通りの検査が終了していた。
 選手総出で来ていたが、結果の説明は三杉とマエリベリーの2人が代表して受ける事となった。

三杉「つまり異常なし…なんですよね。」

            _ -‐         `ヽ
                 ,、 ::: l:::}    ヽ
         /  ,,,   l::!.  /::、   _ l:::} ヽ
       /   ,,、 '''' /::l ´   l:::/  l::::)     ヽ__
       {  ,、゛"_ l:::ノ l::}   _ --― ::: ̄ ̄ :::  ̄ヽ
       {、 l:::l l::}   _ -‐  ̄ :::  :::  ::: ::::  :::  }
       {::l ` _ -  ̄   :::     __;;;;__;;;;_,,_/
         ,ゝ‐'´    l:::}   _;;;;;,ィイlヽヽミミミミミ} /
       l  , 、 .:::  ,.-‐''´  `川l^| |ミミミミミ|´
  r‐、   { ,,,, l:::! / / ,ィュ    川llニコトヽゞヽゞ、
  l  l.  { l:::} ., ヘ_ / / ノノ    川ニコ    __ヽ___
  | _.|.   ヽ ∠_,,, `l          /   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
.   |´ レ-、 / /.   |     ノ   /   /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;}
.  | _|_ゝ| /.‐/     レへ /   /、 /_;;-‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
   |´ |.  |'   !_ -‐、     `iijjjjj//;;;;;;;;;;;_;;_;;,`ー―---‐一'!
.   | -!  ! ‐-ヽ_.ヽ ヽ‐、      ノ;;-‐´ ̄;;;;;;;;/             !
   ! !  ヽ __;  / _/_/     ,'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!           !
.    ! !  ヽ、`ー/ / /     /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!             !
    !      `、l_lフ_フ     /,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!             !
     !       }   j   /,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!          !
    ヽ    ノィ、 r''    /,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!          !

314 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/09(月) 17:13:21 ID:???

医師「ああ、説明した通りどの検査でも異常は見当たらなかった。」

三杉「呼吸は… 呼吸は今はちゃんとしていますか?」

医師「当たり前だ。 目が覚めたらとっとと追い出したいくらい穏やかに寝ていやがる。」

三杉「そうですか...。」

マエリベリー「キャプテン、何か気になる事が?」

 三杉は以前(ミラン戦直後)暴漢に襲われた際にこの医師の世話になった事もあり、
その腕には信頼を寄せていた。
 しかしこの結果は三杉にとって腑に落ちないように思えた。
 倒れた時のミハエルには呼吸がなかったと記憶しているからだ。

三杉「いや、うーん… 倒れた彼を介抱していた時、呼吸がなかったと思って…」

医師「気が動転していたんじゃないか? 身近な人間が倒れた時にはよくある話だぜ。」

三杉「そう…でしょうか。」

マエリベリー「過剰に心配してしまう気持ちは分かりますが、先生がこう仰っています。
        キャプテンも選手の皆さんも一度寮へ戻り、少し休まれた方が良いと思います。」

三杉「いや、それは出来ない。」

315 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/09(月) 17:16:19 ID:???

マエリベリー「キャプテン、試合をしたのにアフターケアを全く出来ていないんですよ?
        ただでさえクールダウンもなくストレスに晒され続けているんですから…」

三杉「む…(言われてみれば…確かにそれはそうだ。)」

マエリベリー「病院には私が残り、何かあればすぐに連絡しますから。」


☆どうしますか?
 A 心配だがマエリベリーの助言も分かる。やむを得ずここは一旦寮へ戻る。
 B 心配で居ても立っても居られない。自分だけでもここに残ると、頑として主張する。
 C 医師がこう言っている以上、いたずらに心配するのは確かに無意味。ひとまず寮に戻る。

3票決です。メル欄は空白でお頼み申す。

316 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 17:25:01 ID:uaimSi2w


317 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 17:27:48 ID:ABknozx+
A

318 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 17:42:12 ID:rAiNecE2
A

319 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/09(月) 18:39:10 ID:???

> A 心配だがマエリベリーの助言も分かる。やむを得ずここは一旦寮へ戻る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「………」

 マエリベリーの助言は正論だったが、それでも三杉は決断に十数秒を要した。
 迷っても結論が変わらないのは分かっていた事だったが。

三杉「判った、僕は皆に説明して寮へ戻る。 ミハエルの事は頼むよ?」

マエリベリー「はい、ベッドの脇で見ているつもりです。」 

 そうと決めてしまえば、後ろ髪を引かれているわけにはいかない。
 三杉は医師にも宜しく伝え、診断室を後にした。


三杉「…という訳で検査の結果は問題なし。 本人は今は静かに眠っているそうだ。」

 そう伝えると一斉に『ほっ』『ああ、良かった』『ビックリしたぜ』と安堵の声が飛び出した。
 自分の反応とはあまりに違うため、三杉はこれには少なからずキョトンとさせられた。
 心配をしすぎていたのかと、何やら納得しがたい妙な気分になるが…

320 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/09(月) 18:42:29 ID:???

新田「いやあ、三杉さんが暴漢に襲われた時も頭が真っ白になったもんなあ。
    あの時も今回も大事にならなくて本当に良かったですよ。」
オジオ「不幸中の幸いで済むうちは良いからね、気を付けないと。」

三杉(ああ、そうか。 皆は僕が入院した時も同じくらい心配していたわけだ。
    僕よりも耐性が付いていても不思議じゃないのかな。)

 そう言われてみれば、皆の反応も納得が出来た。
 ただし、その事と自分が心配している理由≠ヘ直接関係がない。

三杉「とにかく一旦寮に戻って各自アフターケアだ。」

 「「「 はい! 」」」

 病院内なので皆大声は出していないが、それでもこれだけの人数が同時に言えば響く。
 急に気になって三杉は『しぃっ』と指を口の前に立てた。

モニカ「あの…」

三杉「えっ」

 …と、ここで意外な人物に話しかけられた。
 …ような気がしたが、三杉はこれが決して意外ではない事を思い出す。

321 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/09(月) 18:45:05 ID:???

三杉「ああモニカ…。 悪かったね、色々と巻き込んでしまって。」

モニカ「いえ、そんな。」

 今日の試合で彼女は臨時マネージャーを勤め、選手たちのモチベータ―にもなったのだ。
 勝利という結果に対し、彼女の貢献は数%では足りないかも知れない。

モニカ「私…残ってミハエルさんに着いていようと思うんですが、良いですか?」

三杉「残ってくれるのかい? 一応うちの正マネージャーが着いていてくれるけれど。」

モニカ「でも……」

先着で
 ★モニカの回答→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ハート》 「役に立ちたいんです。」
《ほか》 「分かりました…。」
《クラブA、JOKER》 「傍に居たいんです。」

322 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 18:48:14 ID:kARv5if2
★モニカの回答→ クラブ7

323 :森崎名無しさん:2014/06/09(月) 18:48:25 ID:???
 ★モニカの回答→ ハート5

324 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/10(火) 20:23:04 ID:???

> 《クラブ》 「分かりました…。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 口ごもりながら、モニカは了解の意を述べた。
 思う所があるのは三杉にも判ったが、その事で何かを言おうとは思わなかった。

三杉「無事退院する事になったら連絡するよ。
    先生の話だと、このまま何もなければ明日には病院を追い出すそうだけれどね。」

モニカ「まあ。」 クスリ

 少し冗談交じりに伝えると、モニカはようやく笑顔を見せた。

 それ以上は特に話す事もないので、モニカはここで帰らせた。
 そして三杉も選手達を引き連れて寮へと歩き戻った。
 まだ18時になる前だったが、既に日は落ちて空は夜色に深まっていた。
 11月という季節を実感させられた気分だった。


<フィレンツェ中心部/ホテルアルバ>

ディエゴ「誰だ?」

{クライフ「私だ。」}

 受話器の向こう側の相手がディエゴの予想した通りの人物で、ディエゴは内心舌を打った。
 ちゃんと名乗ってはこないが、この声を間違える筈がない。
 昼頃には恐らく同じ場所に居たであろう人物…。

325 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/10(火) 20:26:46 ID:???

ディエゴ(…もっとも、こいつは高みの見物をしていたがな。)

{クライフ「随分と下手な試合をしたものだな。」}

ディエゴ「(チッ、やはり観ていたか。)…言い訳をするつもりはない、オレはもう二度と負けん。」

{クライフ「ほう? 具体的に何をどうする事で負けなつもりでいる?」}

ディエゴ「簡単だ、ラフなスタイルを長時間使い続けずとも勝てるチームを作る。
       現戦術の徹底的な底上げ、そしてこれまで用いなかった予備戦術を複数用意する。
       更に各人が個人だけでも勝負できる武器を一つは持つ。」

{クライフ「ほほう、やはりお前は阿呆ではないな。」}

ディエゴ「抜かせ、阿呆はベップを含むあいつ等全員だ。
       だがいい加減理解しただろう、アンタの言う事だけを聞いているだけではダメだとな。
       そういう意味では悪い試合ではなかった。 到底許せる物ではないがな。」

{クライフ「ふむ、その程度か。」}

ディエオ「なに?」

{クライフ「阿呆ではない、しかし及第にはほど遠い。
       貴様が今日の惨敗で学んだことはその程度かと落胆した所だ。」}

326 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/10(火) 20:28:03 ID:???

ディエゴ「老いぼれが… 奥歯に物を詰めて抜かしてくれるじゃあないか?」

{クライフ「チームの未熟を嘆くばかりで、自身の退場と言う責に目を背けている。」}

ディエゴ「退場を余儀なくされたのは、それだけのプレーが必要だったからだ!
      そこまで追い詰められたのはチームの未熟さが問題だったと言っている!」

{クライフ「それでもチームを勝たせるのがエースの責務というものだ。」}

ディエゴ「ふん、話にならないな。」

{クライフ「貴様の奥の手がアレである限り、同じ失敗は必ずまた起こるぞ。
       それが視野に入っていないほど貴様が愚かだとは私も思っていない。」}

ディエゴ(グッ…!)

{クライフ「分かったところで一つ助言をくれてやる。」}

ディエゴ「…助言だと?」

{クライフ「今日の試合で一度だけお前に感嘆させられたプレーがあった。 …分かるな?」}

ディエゴ「(思考がオーバークロックした時のだな?) ああ。」

327 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/10(火) 20:29:21 ID:???

{クライフ「これからは今までのスタイルを全て捨てて、あの感覚だけを突き詰めてプレーをしろ。」}

ディエゴ「スタイルを捨てろ…だと?」

{クライフ「そうだ。 自ら手を汚すお前のスタイルは所詮子悪党の所業に過ぎない。
       そんな事をせずとも、あの感覚をモノにすれば、誰もがお前に平伏すようになる。」}

ディエゴ「………」

{クライフ「全てを敢えて捨て去った者が、最後には真の全てを得る… そういう物だ。」}

ディエゴ「ハッ、世迷言にしか聞こえんな。 オレは何も捨てる事なく全てを手に入れる。」

{クライフ「(やれやれ)まあいいだろう。 助言もコーチも簡単に受け入れるような奴に用はない。」}

ディエゴ「話は終わりか老いぼれ?」

{クライフ「ふむ、そうだな… ああ、そうだ。 相手チームのコーチの誘いで、ヴェッキオ橋に面した
       オアシス≠ニいうジェラート屋へ行ってきたぞ。 ピスタチオのフレーバーが絶品だった。
       次の遠征地へ向かう前にお前も味わっておけ。」}

328 :本日は以上です。まだこの日の夜のエピソードは続きますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/10(火) 20:30:59 ID:???

ディエゴ「…毎度ながら、話の最後に下らん雑談を入れるのは何なんだ?」

{クライフ「戻ったらちゃんと感想を言いに来るんだぞ。」}

ディエゴ「断る。」 ガチャ

 乱暴に受話器を置かれた音が聞こえた。
 自身も受話器を置き、ヨハン・クライフは目を細めて口をほころばせた。

クライフ(フッ、父親の些細な楽しみというやつさ。)

 フライング・ダッチマン(彷徨えるオランダ人)は、その異名のようであった頃の自分を愛してくれた
1人の乙女の顔を思い出す。
 そして彼女のお腹に自らの種子が宿っていたと知るのがもっと早ければ…と。

クライフ(それにしてもシーザーという男… まず間違いあるまい、あのような入れ知恵を仕掛けて
      くれるとはな。 話が筒抜けだったにしても、油断のならない人間が居るものだ。
      出来るものならばヨハン共々味方に引き入れておきたいところだが…。)

 させられた一つの約束。
 これを実行するような事は起こらないだろうとは思っているし、そうなっては困る。
 だが、あのような人間がコーチをしている以上、億が一は万が一程度にはなるかも知れない。
 そう考えると、意外に楽観は出来ないとクライフは表情を引き締めるのだった。

329 :森崎名無しさん:2014/06/10(火) 20:44:35 ID:???
乙です。
感想はともかく食べに行くのだろうなw

330 :森崎名無しさん:2014/06/10(火) 22:09:20 ID:???
冬にジェラートのフードファイトを思い出す三杉であった
三杉「あんなことはもうしないよ」

331 :森崎名無しさん:2014/06/14(土) 08:05:30 ID:???
T 翼と
D デート
L ラブ

332 :はい、TDL行きましたアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/14(土) 15:07:33 ID:???

<フィレンツェ中心部/フロレンティア・ヴィオラ 営業所>

 ブロロロロ…

 三杉淳は街の中心部にある、クラブハウスとは別の営業所へとやって来た。
 寮から然して離れた場所ではないが、以前の事件を踏まえてタクシーを利用した。

三杉(何事だろうか。)

 試合後の夜である。
 本来ならばアフターケアに努めなければならないところだ。
 ましてそれを理由として、病院へ運ばれたミハエルを置いてきたのだ。

 しかしコーチであるシーザーが『どうしても今でなくては』と言うならば止むを得ない。
 とは言っても抗議の一つもしてやる必要はあるが…

 ガチャ

三杉「こんばんは」

半沢「こんばんは…っと、ああミスギくんか。 遅くまで大変だな。」

三杉「リザーブとは言えチームのキャプテンですから仕方ありませんよ。
    必要な事だから呼ばれたんでしょうし。 それにしても…」

 見回しても営業所内のデスクには所長の半沢一人の姿だけだった。
 定時から2時間といったところだろうが、それにしても人が少ない。

333 :リグルはメリーゴーラウンドが気に入りましたアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/14(土) 15:10:42 ID:???

半沢「他の現地社員は全員定時で帰宅した。 今は私だけだ。
    ここは日本じゃないからな、残業なんていう文化はほとんどないんだ。」

三杉「そのようですね。」

 苦笑を浮かべながら半沢は受話器を持ちあげた。
 内線を使い、三杉が到着した旨をシーザーへ伝えるのだろう。

 この営業所でただ一人の日本人。
 元は日本で大きな銀行の出世頭だったと聞いているが、話すのは初めてだ。

 ガチャリと半沢が受話器を降ろした。

半沢「必要な事…か。 それについてはそうなんだろうな。
    状況から考えて、それくらいは私からも保証出来ると思う。」

三杉「へえ?」

 疑問符を頭上に浮かべる三杉だが、それに彼が直接答える気はなさそうだ。
 シーザーはクラブハウスではなく、わざわざ人の居ない営業所へと呼んだ。
 おいそれと他人に知られたくない話があると言う事なのだろう。
 悪い話でなければ良いのだがと思わずに居られなかったが、どうやら半沢は
何か知っているようである。
 そんな三杉の思考など知らない振りで、半沢は手振りで『応接室へどうぞ』
と伝え、給湯室へと向かっていく。

334 :また近々行きたいものですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/14(土) 15:12:32 ID:???

半沢「エスプレッソで良かったかな?」

三杉「いや… 今夜はカフェインはやめておこうと思います。」

半沢「ではハーブティーを持っていこう。」

 三杉は軽い礼を述べて応接室へと足を向けた。

 コンコン

シーザー「入ってくれ。」

三杉「失礼します。」 ガチャ

 ドアを開けると、シーザーの他にもう一人座っているのが見えた。
 それが誰なのか、三杉には一目で判ってしまった。

シーザー「ミランのマルコ・ファンベルグ選手だ。」

ファンベルグ「はじめまして、ジュン・ミスギ。」

 マルコ・ファンベルグ、三杉が以前から憧れを抱いているFWだ。
 三杉の得意とするオーバーヘッドは彼を倣った物でもあり、誰だか判らぬ筈が無い。
 ただ、誰が居るのかは判ったが、何故居るのかは分からない。

 目の前に憧れの人物が居る事を光栄に思うより、疑問の方が前に来るのは当然だった。

335 :ポップコーンはハニー味が一番美味しいと思いますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/14(土) 15:13:52 ID:???

三杉「はじめまして、ファンベルグ選手ですね。 あの、コーチ… これは?」

シーザー「オレはFIFAの視察員へ挨拶しに行っただけだったんだがな。
      色々と偶然が重なってこういう席を設ける事になった。」

三杉(さっぱり話が見えないが… なるほど営業所に呼ばれた理由は分かった。)

 ファンベルグがクラブハウスに来れば、色々と面倒が起こる事は明らかだった。
 移籍がどうだこうだと、スタッフが勝手な想像を噂として流してしまうだろうからだ。
 そうなると、それは事実と関係なくファンベルグにとって大きな騒動になる事は疑いない。
 彼はこの国のカルチョファンにとって、それほど大きな存在なのだ。

ファンベルグ「Wトーナメントの出場を目指しているんだって?」

三杉「っ、はい。」

 内心にて一つの得心を得た三杉に、ファンベルグは話しかけてきた。
 三杉はやや緊張気味に肯定を返した。

ファンベルグ「その為に各国のビッグネームと試合を繰り返しているとか。」

三杉「はい。」

 今度は冷静に頷いた。
 ファンベルグはそれを聞き、少しだけ間を空けてもう一度だけ問いを投げてきた。

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