キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が950を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
【伝説の】Another-CU_9【継承者】

1 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/04/22(火) 12:47:04 ID:PG0gsAI6




この物語はフィクションです。
史実や実在の人物を連想する場面があるとしても、この物語とは関係がありません。
風土、名称については文献を参考としていますが、想像のウェイトも大きく、事実と異なります。


そして……この物語は キャプテン森崎のアナザーストーリーであり…
  とある貴公子と仲間達の サッカーに賭けた青春を描くストーリーです。


恋愛は二の次に、サッカーに命を削って頑張る彼等を応援してあげて下さい。




536 :森崎名無しさん:2014/06/27(金) 19:55:59 ID:???
派手に雑魚散らしして現実を教えてやるのもいいけど
翼と森崎頼りから翼と森崎と中山頼りにならないか、わずかに心配

537 :森崎名無しさん:2014/06/27(金) 23:04:16 ID:???
中山は主人公っぽい性格してるからね。

538 :森崎名無しさん:2014/06/28(土) 03:10:29 ID:???
このころの日本ってプレスって何?おいしいの?それ?
ってレベルだからな。
プロの舞台へのし上がるために日々戦い続ける最前線の奴らと
国立という学生のアマチュア選手権がゴールだった当時の日本とではそこら辺の練度が段違いなんだよな
戦術ってのは戦わなきゃ見えないものもあるしな

やっぱり中山も焦っているんだろうね
日本の現状もさることながら自身もぬるま湯に浸かって錆びつき
また森崎や三杉達においていかれるんじゃないかって
まあ幻想郷との接触もあったのでしばらくは大丈夫だと思うが

539 :森崎名無しさん:2014/06/28(土) 17:52:11 ID:???
ダーツの旅で北海道に向かった中山が見たものは…
地獄兄弟の巣窟となったふらのの姿だった…

540 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 06:07:07 ID:???
フィオ時代の面子は最高のコーチと監督に指導されたから
そりゃサッカーエリート集団ですわ

541 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 17:10:27 ID:???

> 《ハート》 「オレ個人の力で、自分たちが雑魚である事を気付かせる!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜翌日の放課後〜

 杉本久美にとって、今日は何でもない平日のつもりだった。
 学業に励み、マネージャー業に精を出し、少しだけ先の事(大会予選)を考える…
 そんな毎日の中の1日でしかないと思っていた。

 昼休みに先輩兼自称サッカー部コーチの中山が『練習前にミーティングをしたい』と神妙な
顔つきで連絡してきた時も、特別何も思わなかった。
 精々、マネージャーである自分達に連絡くらい任せれば良いのにと思った程度だ。
 だけどいつもと違う可能性に気が付くべきかも知れなかった。
 彼がマネージャーを使わずに、わざわざ自らの足で連絡して回ったのは、何か腹を据える
事があった故なのだと。


中山「ええと… 皆が俺をコーチ役として認めてくれたのは、療養する前の俺の実力を覚えてるのと、
    詳細は言ってないがイタリアでサッカー指導を受けていた経歴を考えての事だと思う。
    つまり俺の実力が云々ではなく、海外でサッカー指導を受けた点を評価しているんだ。」

 部室に部員を集め、中山はホワイトボードの前に立ってそう切り出した。
 井沢も滝も山森も、他のレギュラー陣も首を傾げており、話の想像がついている様子はなかった。
 もちろん杉本久美も例外でなく、中山の意図は汲み取れずにいた。

542 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 17:12:54 ID:???

中山「だから俺が今現在どれくらいの実力なのか、ここに居る誰も正確には知らない。」

井沢「おい中山、何が言いたいんだよ?」

 少し声が上ずっている中山に対し、井沢が苛立ち気に口を挟んだ。
 貴重な練習時間を取られた事が気に入らないのだ。
 しかしその反発的な口調が逆に中山を落ち着かせた。

中山「そうだな… 例えば井沢は、俺の実力をどれだけ高く見積もるとしても、
    OMF(攻撃的MF)としては自分よりも上の筈がないと思ってるんじゃないか?」

井沢「は? いや、そんなの当然だろ。 どれだけ実力があるとしてもお前はDFだし。」

中山「そうだろ? で、DF陣はもしかしたら自分達の方が下だと思ってるかも知れない。
    だけど例えば俺がFW役の1対4でゴールを奪われるなんて事は思いもしないだろう。
    GKの剛田と一条もそうだな?」

 人を見下したり傷つけるような物言いに馴れていない中山にとって、事実を突きつける事も
ある意味苦痛であった。
 しかし甘い認識、身の程を知らぬ言葉をハッキリと聞くことで、抵抗感も徐々に薄まった。

高杉「なんだそりゃ。」
西尾「おい中山、何言ってんだお前?」
剛田「そりゃあ先輩… 舐めてるんすか?」

 少しずつ部室に騒然となる空気が満ち始める。
 そういう色々な…好意的な感情は皆無で、反発と疑問の感情ばかりの空気だ。

543 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 17:15:08 ID:???

 中山は表情に何の変化も示す事無く、この微妙な空気にトドメを刺した。

中山「いま言った事は、全て俺が簡単に現実の物と出来る内容ばかりだ!
    お前たちは下手だ、見てられない、ハッキリ言って弱すぎる!」

 パンパンに膨らんだ風船に針を刺したみたいに、その瞬間ワッ!≠チと空気が弾けた。
 南葛の選手達は何だかんだでプライドが高い。
 全国大会上位常連、人によっては中学時代に全国3連覇を経験し、国際Jr大会でも
優勝という輝かしい経歴がある。
 そんな彼達が『下手』だの『弱い』だのと言われ、反発しない理由はなかった。
 『はあ!?』『何言ってんだ!?』『上等だ!』『ふざけるな!』『なめてるのか!』など…
中山の侮辱に対して彼らは悲憤慷慨を返した。

 この時、杉本久美も当然驚愕の渦中だった。
 しかし彼女には選手達のような憤慨はなく、そこには期待感が混じっていた。
 南葛が本当の意味で日本一になる切っ掛けになるかも知れないという期待だった。

中里「岬殿、先ほどから黙っておられるが、貴公はどう思っておられるのか?」
長野「そうだ岬、お前もキャプテンならこいつに何か言ってやれよ!」

岬「……」

 周囲がヒートアップする中で、岬を中心とした一角は静かだった。
 どういう意図か分からなくとも、選手達にとってキャプテンの無言は非難の的に成り得た。
 そして…

544 :今日はここまでかもアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 17:16:41 ID:???

先着で
 ★たいした事ある岬太郎は騒がない→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

 《ダイヤ》 「あながち間違ってないかも知れない… そう思ってるのは僕だけじゃ無い筈だよ。」
 《ハート〜スペード》 「論より証拠だ。 今から実際に試してみようよ。」
 《クラブ》 案外たいした事ない岬は内心すっごくファビョッていた
 《クラブA》 (さて、弁当の時に盛った下剤がそろそろ効いてくると思うんだが…)
 《JOKER》 「三杉くんや新田と一緒にイタリアのユースでNo.1になったそうだね?」

545 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 17:18:19 ID:???
★たいした事ある岬太郎は騒がない→ ダイヤ10

546 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 17:31:36 ID:???
三杉にボッコされたからな

547 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 17:35:10 ID:???
岬って実は大したことあるんじゃね?

548 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 17:39:22 ID:???
同調しそうなのは岩見と山森だっけ?
色んな意味で女の寄り付かない全日本になりそうですね。

549 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 17:56:27 ID:???
??「女が寄り付かぬならこちらから覗きに行けばよいでゴザル」

550 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 17:58:39 ID:???
山森に加え圧倒的な力を見せれば中里あたりもついてきそう

551 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 18:49:57 ID:???
岩見の家くらいかな、海外の情報得られそうな金持ちは

552 :今日はここまでかもアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 19:30:57 ID:???

>  《ダイヤ》 「あながち間違ってないかも知れない… そう思ってるのは僕だけじゃ無い筈だよ。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 岬は既に経験していた。
 ここ数年間に表舞台へ出て来なかった選手が、自分よりも圧倒的な実力を備えていた事を。
 心臓病と大怪我… 内実は異なるが、それぞれハンディキャップがあったのも共通している。

 ゆえに中山の言葉を反射的に否定するような事は岬には出来なかった。

岬(…と言うより、半ば想像がついている。 中山はきっと三杉と同じ環境下に居た。)

 三杉淳との差は夏の大会直前、屈辱的なほどに見せつけられた。
 あれから密かに牙を磨いてきたが、それでも差を埋められているかは疑問であった。
 中山があの時の三杉クラスであるならば、彼の言葉が大言壮語でない事は分かる。

岬「あながち間違ってないかも知れない… そう思ってるのは僕だけじゃ無い筈だよ。」

 ゆえに岬は思考を巡らせた妙手を放った。
 こう言えば、あの二人にもきっとピントが合うだろうと考えて。
 結果、彼の予想通りとなった。

553 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 19:35:46 ID:???

 『なにぃっ!?』『キャプテンのお前まで何言ってんだ!』『そんな奴いるかよ!』

岩見「いや待て、俺も岬と同意見だ。」
山森「俺もです。」

 当然反発の目は岬にも向いたが、岩見と山森の二人が岬を援護した。
 彼等2人は三杉の実力を目にした者達だ、薄っすらと感じる所があったに違いない。
 岬はそれを見込んでいたのだ。

中山「岬、岩見、山森…」

岬(計算通り。)

 内心ほくそ笑む岬をよそにして、部室の中はさらに混沌へと走る。

滝「岩見、山森… お前ら見損なったぜ!」
剛田「全くだぜ先輩方! そんな弱気じゃ勝てるもんも勝てねえっすよ!」

山森「興奮せずに話をしましょうよ!」

井沢「偉そうに仕切ってんじゃねえ! 何が興奮せずに、だ!」

来生「何を騒いでるかわかんねーけど、喧嘩なんてやめよーぜ。
    どーせ俺がいれば南葛はぶっちぎりなんだからさ。」

 チームが二分(三分)しそうなまでに状況は混沌へと陥った。
 しかしそれを岬が一喝して黙らせる。

554 :kokomadeアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/06/30(月) 19:37:13 ID:???

岬「とにかくっ!!! どちらにせよこのままでは収集が着かない!
   中山、プレーで僕達全員を納得させてみせろ。 当然僕も本気で挑むよ。 」

中山「ああ、もちろん。 望むところだ。」

岬「岩見と山森は必要によって、パス出し程度のサポートをしてやってくれ。」

山森「はいっ!」
岩見「了解だ!」

岬「井沢、サッカーは実力が全てだ。 君が中山をコテンパンに出来るなら、それでいい。
   だけどもし中山が君以上にトップ下≠上手くやれると判ったら、それは素直に受け入れるんだ。」

井沢「いいぜ、やってやんよ!( 俺が世界でだってやれた事を分からせてやる!)」

 こうして岬は場を取り仕切り、選手達をグラウンドへ誘導した。
 中山の実力がどうであれ、上手く調整したことで岬は一定の評価を得るだろう。
 たとえ岬の実力が中山に劣っていたとしても、人格的な部分で彼の尊敬は保たれるのだ。
 しかし岬が何より望むのは、自分を含む南葛選手全員のレベルアップであった。
 南葛全体がレベルアップすれば、彼が無理に活躍せずとも冬の選手権で優秀が狙えるからだ。

岬(日向率いる東邦を一度でも倒し、且つ自分は出る杭にならない。
  そういう形こそ僕の望む高校サッカーの成果だからね。
  そして中山にも今回の事で貸しが出来た、求めれば優先的な指導も得られる筈だ)。

 反感の芽を持たせず牙を研ぐ事に関して、岬の意思は鉄のようだった。
 全ては日本サッカービジネスに向けた視界から、三杉淳を閉め出すためである。

555 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 21:24:31 ID:???
獅子身中の虫がこんなところに…………

556 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 21:31:14 ID:???
さすが薄汚れた男ですな。

557 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 21:40:03 ID:???
さて、このスレの全日本がどうなっていくのかな
岸田が加わって山森が多少パワーアップしてるなら守備の方はそれなりだろうけど前線の火力がイマイチな予感
葵が強化されてるならまだ分からんが

558 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 22:25:48 ID:???
やっぱり、この世界の日本はワントップなのかー?

559 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 22:57:27 ID:???
クラブを引くべきなのに空気を読めない男、岬

560 :森崎名無しさん:2014/06/30(月) 23:36:37 ID:???
そういえば三杉に対して同族嫌悪的な感情あるんだったか

561 :森崎名無しさん:2014/07/01(火) 00:07:20 ID:???
攻撃陣で現在戦力として計算出来るの葵と翼だけだからな
日向も岬の現状から察するに二流半ってレベルだろうし

562 :森崎名無しさん:2014/07/01(火) 00:10:35 ID:???
反町がパワーアップしてるしポストプレイヤー(大前?)が入ってる可能性もある
若島津がFWにも使えるようになってる可能性もなきにあらずって感じ
でも日向がぶっちぎってるのは変わりない事実

563 :森崎名無しさん:2014/07/01(火) 00:14:16 ID:???
日向の競り合いが強いし原作と同じで日向がポストプレイヤーも兼ねるんじゃ
ワントップなら余計に

564 :森崎名無しさん:2014/07/01(火) 00:16:34 ID:???
キック力の高い次藤のロングフィードを鍛えて
日向のポストプレイと組み合わせると面白いかも

565 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 13:44:41 ID:???

〜数十分後〜

 『こ、こんな…』『くそっ、くそっ!』『以前の儘…いや、あの時よりずっと…?』

中山「ふうっ……」

 呆然と四つん這いになった南葛選手達を置いて、中山は久々に良い汗を掻いたと満足していた。
 1対多の勝負が必然的に多くなったため、中山もそれなりにやり応えがあった。
 逆に自分のポジションで、しかも複数で挑みながら、全方面で一度も勝てなかった南葛サッカー部。
 屈辱と絶望の混合色は誰の目にも明らかで、それを外から目にする一般生徒も好奇に騒いでいる。

井沢「何だよっ、何だよこれはっ!? こんなのいい晒し者じゃねえか!」

長野「ポジショニングで負けてた… どんなに高く跳んでも、届く気がしない。」

高杉「DFとして負けるなら分かる… けど何で、MFもFWもあれだけやれる!?」

西尾「流石は中山… って、言うしかないのか?」

浦辺(デコーの力を借りても勝てる気がしなかったんだが… やっぱ潮時かなぁ…)

滝「凄ぇ… 何て言うかもう、ここまでやられたら凄えとしか言えないぜ…。」

中里「確かに… 拙者、自らの未熟を痛感したでござる。」

一条「手も足も出ない… あの頃の最強だった中山さんを思い出したわ。」

剛田「何てこった、ギッタギタのメッタメタに負けちまったぜ…
   …よし、俺も男だ! 素直に認めてついて行くぜ、中山さんよぉっ!」

566 :一旦区切りますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 13:47:46 ID:???

 反発心よりも興味が先に立ち、中山に対してフォローを入れていた者達も彼に挑んだ。
 その結果は言わずもがなである。

山森「はは… 予想してたより遥かにとんでもない物を見せられた…」

岩見(ある程度予想していた分、俺はあいつらよりショックが少ない。
   そう、ショックよりも期待が勝るぜ、中山の指導を受けて俺はもっと上へ行きたい!)

岬(パスとインターセプトだけは誰にも負けないつもりで磨いてきた筈だった。
   これが今の僕と世界、そして三杉淳との距離と言うわけか。)

 ポストプレイヤー、ストライカー、サイドアタッカー、チャンスメーカー、ドリブラー、
ロングパサー、ストッパー、スイーパー、ブロッカー、ボランチなど… 全国優勝を誇る
南葛イレブン、彼らの得意とするおおよそ全てのサッカープレーにおいて、中山は圧倒的
な差を見せつけた。
 プライドを傷付けられ食って掛かった選手達も、高い実力を想定した選手達も驚愕した。
 だがそこには明確な差があり、等しくショックを分け合ったのではなかった。

 プライド、いや過剰な自尊心や嫉妬心に凝り固まる者は、成長の可能性を自ら阻害し…
 敗北を受け入れ、自らの未熟を知った者は新たな成長の芽を生やし…
 進んで教えを乞うつもりの者は飛躍(ブレイクスルー)へと近づいた。

来生「なかなかやるじゃん中山。 しばらく見ないうちに、この天才に少し近づいたかな。」

中山「え? あ、ああ。 そりゃあどうも…」

 だが来生だけは相変わらず例外だった。
 まあ彼の絶対的なメンタル(馬鹿さ加減)も、歯車さ噛み合えば大化けする可能性が
なくもなかったりする。

567 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 15:18:53 ID:???

ゆかり「す、スゴイ…」
早苗「まるで翼くんを見ているようだったわね。」

 マネージャー達も選手ほどではないがショックを受けていた。
 彼女らは何年も近くで選手達を観てきた分、彼らの上手さは分かっているつもりだった。
 だがマネージャーとしての目は中山と彼らの間にかけ離れた実力差がある事を理解させた。
 つまりは彼らにかける言葉が何一つ見つからなかった。

久美「海外での経験ってこんなに凄いものなんですかね…」

 杉本久美も中山のプレーに感嘆を隠せなかった一人だ。
 彼女は早苗同様、中山のプレーを大空翼に重ねて見ていた。
 だがあの頃の様にように胸がトキメクことはない。
 山森の件で体験した恐怖が恋愛感情に蓋をし、心に響くことをさせなかったのだ。

中山「とにかくこれで俺、というより世界の実力を少しは分かってくれたと思う。」

 馴れ馴れしく肩を組んでくる来生に苦笑いしながら、中山が選手達に言葉をかけている。

久美(世界…か。)

 南葛を日本一にしたいと考え、チームの勝利だけを喜びと考えてきた彼女にとって、世界
という言葉は実感に欠け… しかし確かな空虚さをもたらした。

568 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 15:20:22 ID:???

久美(まともな恋愛を一生出来そうにもない私が、唯一打ち込んできたマネージャー…
    みんなと一緒に喜び、一緒に悲しみ、選手達の背中を押して日本一を夢見てきたけど。)

 それが狭い世界で一喜一憂していただけなんだと彼女は理解した。
 夢から覚めてしまった感覚だった。
 夢から覚めて、いま自分に何があるのだろう?
 冷静に考えるのはとてもとても怖かった。
 考えたくなくて、中山と選手達の会話だけに全神経を集中させた。

中里「中山殿、お主は伊太利亜で指導を受けていたと言っておられたな?」

中山「ああ、そうだ。」

中里「同年代のプレーヤーと比較して、お主の実力はどの程度に位置しているのか窺いたい。」

滝「ああ、それは俺も聞きたい。」
山森「3年前、世界と俺達の間にここまで開きがあったとは思えません。
    それどころか俺は世界を経験して、成長したつもりでした。」
高杉「海外のDFは中山みたいに何でも出来るのか?」

中山「ちょ、ちょ、いっぺんに言わないでくれ。」

 中里の問いかけが切っ掛けとなり、質問攻めの口火が切られた。
 聖徳太子ではない中山はこれに慌て、一人一人順に答えるからとなだめる。

中山「うーん… 俺は一応、DFとしてはトップクラスを争っていたと自負してるかな。」

西尾「イタリアでトップクラスかぁ…」ホッ

569 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 15:21:30 ID:???

中山「でもゴールを守りきれなかった時だってあるし、サンドバッグになった事だってある。」

中里「中山殿ほどの実力者でも、でござるか。」

中山「そりゃそうさ、サッカーはチームワークだからな。
    俺個人が多少上手くても、チームで崩されればゴールは守れない。
    あ、いや、個人技でやられた事もあるか。 でも組織プレイの方が怖いな、うん。」

岩見(聞けば聞くほど山が高くなっていくのが分かるな…)

中山「それに、当たり前だけどMFやFWとしては本職には敵わないよ。
    まあいざって時に攻撃に参加できるDFは間違いなく評価されるし、俺以外にもそう
    いうDFは何人かいた。 本当、どいつもこいつも手強かったよ。」

 積極的に質問を投げかけていた選手達も徐々に消沈へと戻っていく。
 彼らは中山がイタリアで敵無しレベルである事を期待したが、そうではなかった。
 中山はDFとしてトップクラスで頼れる存在だったが、決して無敵ではなかったと言った。
 そして彼が手強いと口にするような… 同じように南葛イレブンを手玉に取るレベルの選手達が
どうやら他にもゴロゴロといるらしい。

山森「あーあ、3年前につけた自信はなんだったんだろ!」

 自ら視野を広げ、鍛錬に努めてきたつもりだった山森が頭を抱えて唸った。
 これは一つ間違えれば彼を自暴自棄へ一直線に走らせるかも知れなかった。

570 :日本の描写終わり。ここでまた区切りますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 15:22:55 ID:???

中山「山森… いや、俺は3年前のフランス国際は出場していないから何とも言えないが…
    み…いや、あいつだ、新田も俺と同じ環境でスゴいFWになったんだぞ?」

(久美「!」ハッ)

山森「えっ… 新田ってあの新田ですか!?」

中山「ああ、新田瞬だよ。 だからお前だってまだこれかr 「詳しく!「新田!?「あいつ今・・・

 中山が新田の名前を出した所で、消沈していた選手達に再び活気が戻った。
 再び中山は質問攻めとなり大変困った様子になった。 
 全員が好き勝手に質問を投げるため、会話が成り立つ状態ではなくなった。

久美(新田瞬……)

 その名前を耳に捉えた時、杉本久美は脱力した心をしばし忘れた。

 憎たらしい、嫌いな奴の名前だった。
 そいつの顔と、南葛中4連覇の悲願を奪った隼ボレーが鮮明に頭の中で再生された。
 そして映像だけでなく感情までも刻銘に再生され始めた。
 どうやらまだ自分はあのチビの事がいけ好かないみたい。
 そう考えて久美は久しぶりに『アハッ』と破顔した。

571 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 18:45:22 ID:???

<UAE 某都市/私有地>

 ズバシュゥッ!!!  ピイィィィィィィィィィィィィィ!!!!

 アルシオンのミドルシュートが敵チームのゴールをまたも貫いた。
 試合終了までもう間もなくだが、彼は今日これで5得点目だった。

シニョール「ヒュー♪ ったく格が違うよなあ。」

ナムリス「まあ奴ならこれくらいは当然だ。」

フィッツウォルタ「突破力SS、得点力SS… 相変わらずの桁外れだ。 しかし…」

 アルシオンのゴール数は数ヶ月前よりも増加傾向にあった。
 反面、アシスト数は激減の一途を辿っている。

 サッカーが得点を競うスポーツである以上、そこに懸念が生じる余地は無い筈である。
 しかしそうもいかないのは、選手達が人間だからであろう。


蓮子「ゴールしても誰も駆け寄らなくなっちゃった。」

 宇佐美蓮子は只の事実を口にして、薄い溜め息を吐いた。
 カンピオーネの選手達は別に薄情なのではない、アルシオンを嫌っているわけでもない。
 これはゴールした後のチームメイトの祝福を、彼自身が嫌がった結果による光景なのだ。

572 :本日はこれで終わりです、選択までいかないなあアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/01(火) 18:47:39 ID:???

蓮子「あれから、なのかな…」

 10月にブラジル・サンパウロの郊外でのちょっとした騒動。
 アルシオンはコインブラと名乗った少年に1on1を挑まれ、それを見事に退けた。
 しかしそれ以来、アルシオンは酷い苛立ちを示すようになったのだ。
 ブラジルの後には共に日本へ向かい、蓮子の個人的な用事(大学への休学届提出)を
済ませた後にご当地案内をするという予定であった。
 しかし蓮子はアルシオンの様子を案じ、一足先に帰国させた。

 11月になって蓮子も再びUAE入りし、アルシオンと再開を果たしたが…
 彼は初めて顔を合わせた頃に戻ったみたいに無口だった。

アルシオン「砕け散れぇっ!!」

 ビリビリッ

蓮子「っつ…!」

 アルシオンの絶叫と共に、空気が鋭く震えた。
 鼓膜に響いて痛むのとは違う、別の種類の痛みを蓮子の痛覚はこの時に認識していた。

 『ああ、ピクシーがまた境界を越えるんだ。』と、結果を見ることなく蓮子は確信し、耳を塞いだ。
 直後には怒号に似た衝撃音が襲ってくるのが、彼女にも判りきっていたからだ。

573 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 15:41:34 ID:???

 ドサッ

 自室に戻ると、蓮子はベッドに身体を委ねた。
 天蓋付きの大仰な装飾、常に柔らかな羽毛。
 自分には不釣合いなベッドだが、いい加減これも馴染んだ。

蓮子「でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。 重要なことじゃない。」

 そう、そんな事より彼女が気になるのはアルシオンの現状だ。
 以前より身体能力が向上しているようだが、反面精神状態はとても優良には見えない。
 一触即発と喩えるべきか… 何か一つの切っ掛けで、廃人になってしまそうな危うさを感じる。

 だがそう感じるというだけの話でもある。
 毎週行われているドクターチェックの結果は毎回異常なしと聞いている。
 何とかしたいと考えてみても、彼の身に何か異常である事を示す根拠があるでもなし。
 あったところで異常を緩和、解消させる提案が出来るとも思えない。
 彼女の専行は超統一物理学… エンジニアの卵でありセラピストではないのだ。

蓮子「知るか!」 ガバッ

 ウーン、ウーンと思い悩んでいたが、彼女はとうとう考えるのを止めた。
 理屈で考えたところで行動の否定しか出てこない。
 しかし彼女はアルシオンが心配で、どうにかしたいと思っているのだ。

蓮子(だったら感情のままに行動してやんべというのが女という種独自の超理論だ。
    それなら私だって女だ、理屈に反して行動してみたって誰も文句はない筈だ。)

 誰に言い訳するでなく、自分自身のポリシーにそう言い聞かせ、蓮子は部屋を飛び出した。

574 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 15:42:44 ID:???

先着で
 ★蓮子の向かった先→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ》 とある少年A
《ハート〜クラブ》 ナムリス
《JOKER》 とある少年Bを尾行
《クラブA》 アルシオン

575 :森崎名無しさん:2014/07/02(水) 15:50:02 ID:???
 ★蓮子の向かった先→ ハート7


576 :森崎名無しさん:2014/07/02(水) 18:25:27 ID:???
今回のワールドカップでフォーメーションの新しい歴史出てきたっぽいですよねー

577 :3バックの復権ですねアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:03:45 ID:???

> 《ハート》 ナムリス
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

蓮子「アルシオンの事なんだけどっ!」

ナムリス「え… ええ、はい…?」

 感情のままに行動すると決めたならば一直線、蓮子はナムリス・ユブンタイの執務室へと押しかけた。
 彼の他にアルシオンと交流のありそうな人間を知らない為、自動的にターゲットはナムリスになった。

蓮子「(試合が終わった後にも仕事をしているナムは見上げた物だけど、それはそれ。)
    アイツの精神状態が心配、ちょっと孤立が行き過ぎだし、最近全然喋らないし。」

ナムリス「ああ… なるほど、そういう事ですか。 しかしそれは先輩の杞憂ですよ。」

蓮子「杞憂ですって?」

ナムリス「元々ボクのチームの選手達は個々の我が強いのですよ、実力に応じてね。
      その中でもアルシオンは飛び抜けた存在です、孤高になって当然です。」

蓮子「ほう…」

ナムリス「試合以外でのプライベートな親交も個々に任せており、制限は設けていません。
      アルシオンが他のメンバーと個人的な親交を持たないのは、それが煩わしいからですよ。
      蓮子先輩も経験がないわけではないでしょう、あまりに学力レベルの違う相手と話すのは
      ストレスがかかる物です。 とりわけレベルの高い方にとってはね。」

蓮子「そんな事ないよ、言葉を交わすのに学力レベルなんて障害にならない。
     それは自分の話したい話題に相手がついて来れないって見下してるだけ。
     会話を楽しむには、共通の話題とそれを楽しみたいって気持ちがあればいい。」

578 :3バックの復権ですねアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:05:04 ID:???

ナムリス「お……?」

蓮子「サッカーでは確かにアルシオンは他の皆よりもずば抜けてるかも知れないけど、
    それ以外の場でサッカーの実力を持ち出すのは間違ってると思う。」

ナムリス「ふむ、どうやらここについては見解の相違があるみたいですね。」

蓮子「そう、確かに見解の相違かも知れない。
    でもサッカーだけがアルシオンの人生じゃないでしょ?」

ナムリス「それは違う。」

蓮子「何が違うの!?」

ナムリス「アルシオンにとって、サッカーは彼の人生の全てです。
      その為に生きてきた、これからもその為に生きていく。
      蓮子先輩は彼の事を何も知らないから言えるのです。」

蓮子「そうだよ! 知らないよ! だから言うんだよ!
    その為に生きてきたからって、これからもそうしなければいけない理由はないから!」

ナムリス「………」

 蓮子は驚いていた。
 自分でもこんな感情的に話す事があるのかと… 今日は一つ大発見をした。
 これだけ大声を出して、彼女は急激に冷静になった。

579 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:06:04 ID:???

蓮子「ごめん、なんか今すごい感情的になった。」

ナムリス「ええ、驚きました。 先輩がそういうタイプだとは思っていなかったので。」

蓮子「うん、私も。」

ナムリス「アルシオンの事を好きになったのですか?」

蓮子「え?」

 問われて蓮子は呆けた。
 アルシオン… ピクシーの事を好きなのか?
 とても直線的な感情の話である。
 自分の気持ちに問いかけてみると、その答えはすぐに出た。

蓮子「いや全然。」

ナムリス「え? いや、そうは思えませんが…」

蓮子「ん〜… なんか弟みたいな感じ? そう、放っておけない弟。 危なっかしいの。」

ナムリス「ふむ… まあ追及するつもりもないので、そういう事にしておきましょう。
      しかし蓮子先輩、アルシオンに近づくのはもうよして下さい。」

蓮子「え? 何で?」

580 :森崎名無しさん:2014/07/02(水) 19:07:02 ID:???
あのフォーメーションってオランダはずっと続けるんでしょうか?

581 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:07:38 ID:???

ナムリス「彼には常人には量れない身体能力があります。
      もし暴走するような事があれば、傍にいる人間に危険が及ぶほどに。」

蓮子「あ………」

 知っていた。
 彼の身体能力が高い事は周知の事実だが、それ以上に現実味のない… ファンタジーのような
所がある事を蓮子はよく分かっていた。
 伊達に映像から解析を実施してはいない。

ナムリス「先輩とアルシオンの交流は認知していましたが、これまで見て見ぬフリをしてきました。
      それがアルシオンの為になる可能性をボクとしても考えていましたから。
      しかし現在そうなっていない以上、彼との交流は先輩にとってリスクでしかない。」

蓮子「………」

ナムリス「彼はサッカーに打ち込み、溜め込んでいる物をグラウンドで吐き出しているようです。
       ボクもそれが彼にとって最良なんだと考えるようになりました。」

蓮子「…………」

ナムリス「自分にとって計り知れない天才の事は、その有りのままに任せるべきなんです。
       その為にチームとしても、彼の邪魔をしない、彼の意思を全てに優先させたいと
       思っています。 それがボクと彼のwin-winですからね。」

582 :どうでしょう?強者のカウンターと言いますか… ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:11:25 ID:???

蓮子「アンタさ… それ本心?」

ナムリス「え?」

 違和感があった。
 何処に違和感を感じたかは判らない。
 そもそも本当にこれが違和感なのかも分からない。
 しかし何かを感じ、蓮子は思わず口に出した。
 そして『しまった』と思った。

蓮子「いや… いいわ。 分かった、ナムの言いたい事は理解した。」

ナムリス「そう… ですか。」

蓮子「ナムがアルシオンの事をちゃんと考えてるのは分かったよ。
    もうアルシオンと特別交流する事はしない… まあ今だと普通に無視されそうだしね。」

ナムリス「良かった… とは言い辛いですね、それを聞くと。」

蓮子「はは、別にいいよ。 一方的に心配してただけだし。
    話はそれだけよ、それじゃ仕事の邪魔してごめんね。」

 蓮子はナムリスの返事を待たずに身をひるがえした。
 少し白々しすぎだろうか。

583 :スペクタクルでない守備サッカーは識者に嫌われますからねアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:13:21 ID:???

 バタン

ナウリス「ふう…」

 蓮子が執務室の扉を締めたのを確認し、ナムリスは溜め息をついた。

ナムリス「おっと、ファーバーカステルが。」

 手の中で粉々になった、愛用の万年筆の残骸に気が付いた。
 飛び散ったインクで絨毯も汚れている。

ナムリス「いい加減… 疎ましくなってくるな。 使い道を持て余した道具というのは。」

 独り言を言い終えて、ナムリスは受話器を取った。
 絨毯と万年筆の新調を秘書官にさせる為であった。
 万年筆のブランドはペリカンかパイロットに変えてみようと考えていた。

584 :でもとことん勝つ事だけを求めればああなるんでしょうかね?アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:14:56 ID:???

 バタン

 扉を閉めて、蓮子は今一度『マズった』と顔をしかめた。
 全く無意味な、不信感だけを呼び起こす問いかけをしてしまった。

 しかし一方で確信に近い感覚が得られた。
 ナムリスの言葉が彼の本心ではないという確信だ。
 蓮子に対してかアルシオンに対してかは分からないが、彼には何か後ろ暗い事がある。
 しかし本人はそれを後ろ暗いとは考えていない。
 それだけ分かった。

蓮子「………参ったな。」

 状況に任せてそう口にしてみたが、意外に参ってはいない事に気がつく。

 まずは先ほどの違和感の正体を見つけてみる事だ。
 そして彼の後ろ暗い事とは何かを推測… 順々に理論を埋めていけば良い。
 そうすれば行動すべき事は必ず見えてくる筈だ。

蓮子(ナムにとって私とピクシーの接触は好ましくない…? 少なくとも今後は?)

 やる事さえ定まれば理系女子は右往左往しない、してたまるものか。
 ひも理論をなめるなよと言ってやりたい気持ちだった。

 蓮子がジョアンに辿り着くのはもう少し先となる。

585 :こうなるとブラジルが圧倒的に復権しそうに思えますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:16:38 ID:???



 某年12月

 月が替わり、ついに激動の年を締めくくる12月が訪れた。
 12月と言えば、一般には師匠の僧がお経をあげるために東西を馳せる…『師馳す』が語源とされている。
 しかしそれは誤りだ。

 十二月(シハス)には 沫雪降ると 知らねかも 梅の花咲く含めらずして

 万葉・記紀時代には十有二月を『しはす』と読んでいた。
 つまり『しはす』は只の数字を示す言葉だった。
 後世になって誰かが当て字として『師走』を付けたのである。

 ならば12月を他人事のような『師走』という言葉で扱いたくはない。
 『一年の最後になし終える』という意味で『為果つ(しはつ)』という意味で受け取りたい。

 そう、フロレンティア・ヴィオラには12月においても為し遂げるべき事があった。



586 :本日はここまでになりますアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/02(水) 19:18:16 ID:???

<フィレンツェ/フロレンティア・ヴィオラ クラブハウス>

 三杉はまたもオーナーに呼ばれてクラブハウスを訪れた。
 何の用事あるか聞いてはいないが、次のテストマッチの話ではないかと推測している。
 どうであれ、キャプテンとしての業務は三杉の足取りを軽くさせていた。

 正直、先月の下旬からの十数日はキャプテンとしての役割を疎かにしている。
 自分を除く選手たちの事もほとんど把握していない。
 正直に事情を話しているので理解は得られているだろうが、昔からのキャプテン気質がある。
 自分の都合だけで毎日動いているのは得も知れず居心地が悪かった。


先着で
 ★ここで唐突に今日までに起こっていた事→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《Joker》 ???
《K》 スペルマンとオジオが話しているのをよく見かけた
《9〜Q》 新田がシーザーと特訓しているのを見かけた
《4〜8》 ミハエルとモニカが食事しているのを見かけた
《A〜3》 ブンナークが女性に声をかけられたそうだ

587 :森崎名無しさん:2014/07/02(水) 19:19:07 ID:???
 ★ここで唐突に今日までに起こっていた事→ クラブ2

588 :森崎名無しさん:2014/07/02(水) 22:28:26 ID:???
こんなとこで顔をだすのがブンナーク

589 :森崎名無しさん:2014/07/02(水) 22:38:35 ID:???
仮にクラブAだったらドブスに引っかかりそうな悪寒

590 :森崎名無しさん:2014/07/03(木) 15:45:52 ID:???
三杉が忙しくて寂しいからと浮気してたか

591 :森崎名無しさん:2014/07/03(木) 15:47:54 ID:???
格闘界からのスカウトかな

592 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/03(木) 19:29:15 ID:???

>《2》 ブンナークが女性に声をかけられたそうだ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉(考えてみれば、みんなとまともに交流出来ていないな。
   ここ最近は食事の時間もなかなか合わせられなかったから当然か。)

 勿論接触が皆無という訳ではなく、日に一つ二つの雑談はあった。
 しかし現在の状況で記憶に残っているような話題はほとんどなかった。
 その中で唯一の例外と言えば、ブンナークの女性関係の話だった。
 三杉はたいした内容と思っていなかったが、何分ブンナークに女性という取り
合わせの珍しさから記憶に残ったのだろう。

 その話の経緯はこういう事だった。


〜数日前〜 <フィレンツェ/ヴェッキオ橋>

ブンナーク「ホテル・ミネルヴァ?」

背の高い女性「はい、どの辺りにあるのか判りますか?」

 共和国広場にある行きつけのジェラート屋へ向かう途中、ブンナークは二人組の女性に
道を尋ねられた。
 一方は背が高く、少々やぼったい恰好をしたショートカットの美人。
 もう一方は背が低く、フランス人形のように着飾ったロングヘアーの美少女。
 明らかに観光客といった感じの荷物を持っていた。

593 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/03(木) 19:30:37 ID:???

背の低い女の子「ちょっと姉さん、この人明らかに地元の人じゃないでしょ。
         聞いたって絶対分からないって。」

背の高い女性「え! そ、そう!? すすすみません、ご迷惑をおかけ…」

ブンナーク「いや、判るぜ。 駅方向に歩いてったら直に亀のモニュメントが支える柱が
      目立つ広場が見えてくる。 その奥の左手が確かミネルヴァだった筈だ。」

背の低い女の子「え、地元の人!? その肌の色からして絶対ないと思ったのに…。
         な、なんかすみませんでした。」

ブンナーク「(そりゃそうだろうな、オレってバリバリのアジア顔だし。)
       んにゃ、別に気にしてねーよ。 あーっと… ミネルヴァは角挟んで正面に
       教会があるから、それも目印になると思うぜ。 そんじゃな。」

背の高い女性「どうもありがとうございました。」 ペコー

 …と、ここまではブンナークも特に相手を意識しなかった。
 女性観光客に道を尋ねられるくらいの事はこれまでもあったし、そこから何かに発展する
かもなんて期待も彼は抱かなかった。
 だが二人と別れた直後、すぐに『キャッ!』と先程の女性の声が聞こえてきた。
 見ると女性は転倒し、持っていた荷物を周囲にばらまいていたのだ。

 ブンナークは呆れ、さっさと目的のジェラート屋へ行こうと思ったが…
 その時、何か不自然な早足で女性から離れて行く影を見つけてピンと来てしまった。

594 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/03(木) 19:32:34 ID:???

ブンナーク「おいそこの! 動くなよテメぇ!?」

スリB/スティール値41「ヒッ!」ビクッ

 周囲の視線は、転倒して荷物をばら撒いた女性からブンナークへ、そしてブンナークが
指差す方向の、走り去る男へと移る。
 そして逃げ去る男を組み伏せ、たった今スッたのであろう財布を男から取り上げるブン
ナークのドヤ顔という光景がアッという間に繰り広げられた。

ブンナーク「ほら、気をつけな。」

 ブンナークは訳の判っていない二人に、取り返した財布を差し出した。

背の低い女の子「え、あーっ!」
背の高い女性「……」 ポカン

ブンナーク「あんま都会って感じの街じゃあないが、それなりにスリも居るんだぜ。」

背の高い女性「ああ」 ポン

背の低い女の子「ポンッ、はないわよ姉さん、危ないなーっ。」 

背の高い女性「ごめんねぇナターリアちゃん。 あの、重ね重ねありがとうございました。
        お名前を聞かせて頂けますか? 私はアナスタシアと言います。」

ブンナーク「えっ…? な、名前?」 ドキ

595 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/03(木) 19:34:44 ID:???

アナスタシア「ええ、ぜひ何かお礼をさせて下さい。」

ナターリア「遠慮しないで、本当に助かっちゃったから。 あ、私はナターリア。」

ブンナーク「えーっと… ブンナークだ。 お礼なんか別にいいぜ、本当に。」

アナスタシア「いいえ、食事くらいご馳走させて下さい。
        それくらい罰が当たらないくらい助けて頂いたんですから。」

ナターリア「そーそー。」

ブンナーク「ああ… んじゃ、こうすっか。 ミネルヴァへ向かう途中に美味いジェラート屋
       があるんだ。 それをご馳走して貰うっつーのでどうだ?」

ナターリア「OK♪ いいよね姉さん?」

アナスタシア「ええ、それで宜しいと仰られるのでしたら。」

ブンナーク「……(おおおおお!)」

 こうしてブンナークは美人二人と一緒に大好きなジェラートを堪能した。
 会話も弾み、彼にとっては至福と言って過言でない時間となった。

 ブンナークはこの日の事が忘れらず、また二人に会いたいと仲間に漏らすのだった。

596 :本日はここまでです、後で少しでも更新出来ればと思いますが難しいかなアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/03(木) 19:36:05 ID:???

〜現在〜 <フロレンティア・ヴィオラ クラブハウス>

 三杉(ま、その後の追加情報は耳に入って来ていないのだけどね。
     その時に連絡先を交換しておかないのブンナークが悪い。)

 普段女っ気のないブンナークにとってビッグチャンスだったのは考えるまでもない。
 それをその場だけの物で終わらせてしまったのは彼自身だが…
 ちょっと可哀相な気がしないでもなかった。

三杉(時間があればアドバイスの一つもしてやれたかも知れないしな。)

 色々と一段落したらブンナークの為に女性との接し方講座を開いてやろうなどと考えつつ…
 三杉はオーナーと面談し、喜ばしい連絡と非常にショックな伝達を同時に受ける事となった。


 前者はマンチェスター・ユナイテッドからのテストマッチ・オファー。
 しかも現地への招待という形であり、試合も一般公開するという話である。


 そして後者はスペルマンのフロレンティア・ヴィオラ退団願いであった。

597 :森崎名無しさん:2014/07/03(木) 19:39:32 ID:???
もうさよならだ…おしまいだぁ…

598 :森崎名無しさん:2014/07/03(木) 19:39:54 ID:???
>>586
ここでKが出ていれば引き止めるチャンスだったのか。
もう一回くらいありそうだけど

599 :森崎名無しさん:2014/07/04(金) 00:18:48 ID:???
このままではスペルマンの一番のイベントがスペルマンの「ン」を書き忘れられた
ことになってしまう

600 :森崎名無しさん:2014/07/04(金) 00:36:22 ID:???
ぼくちゃんいい子だからスペルマンからンを取った後の意味わかんない

601 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 01:15:45 ID:???
正直よくわかんないやつだったな
全然絡まないから距離感が掴めなかった
やっと背景がわかるのかと思ったらこれか
昔の事にここまで触れられたくないのも察せれなかったし

602 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/06(日) 02:03:59 ID:???

三杉「えっ………退団届けですか?」

 まずは耳を疑った。
 今ほど聞いたマンチェスターからのオファーに対し、『事は万事滞りなし』と安堵した矢先。
 それはまさしく思いもよらなかった悪報である。

エムスカ「その通り、イヴァン・スペルマンくんから退団届けが提出された。
      私はキミに詰まらぬ冗談を言うつもりはない。」

三杉「………」

 釘を刺すように事実の話であると返って来て、三杉は絶句した。
 そして程なく彼の心理には狼狽が拡がっていく。
 三杉はこれからの戦いにおいてはスペルマンの守備を大いに期待していたのだ。

 スペルマンと話す機会を持ったのはついぞ3週間ほど前。
 その時に悪い雰囲気で話が終わった… いや、一方的に打ち切られたのは記憶に新しい。
 彼が何を考えていたのか分からなかったが、まさかこういう話になるとは…

三杉「あの、理由は? 彼は何故退団を?」

 当然三杉はスペルマンをどうにか引きとめられないかと考える。
 その為に、まずは彼が退団を希望した理由を知らなければならないと思うのは道理だろう。

エムスカ「情熱が見出せないそうだ。」

三杉「情熱…」

603 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/06(日) 02:05:55 ID:???
エムスカ「トッププロを目指すほどの情熱をサッカーに見出せないとの事だ。
      その程度の覚悟しかない選手が居る事は、勝つか負けるかという勝負の際に
      おいて、フロレンティア・ヴィオラを敗北に追いやるだろう…とな。」

三杉「そんな……」

 情熱がない… シンプルだが、それゆえに対案の出しようのない理由であった。
 自信がない≠竍待遇の不満≠ナあれば、幾らでも話のしようがある。
 しかし情熱がない≠ヘ、そう言った何かを乗り越える気概がない事を言っている。

エムスカ「言っておくが、契約で彼を拘束するのは不可能だ。
      元々雀の涙ほどの契約金で残って貰っている選手だからな、キミ達は。
      こちらが請求できる違約金もタカが知れているし、彼も支払う意思が
      あると既に言って来ている。」

三杉「違約金に言及しているのですか…。
    なるほど、彼も冗談のつもりはないという事ですね。」

エムスカ「そういう事になるだろうな。」


☆ひとまずどうしますか?

 A 急いで寮に戻り、引き止めを試みる
 B 彼を引き止める方法が何かないか聞く
 C 彼がいつまでヴィオラに居るのかを聞く
 D マンチェスターとのテストマッチを延期できないか聞く
 E 仲間達に経緯を報告し、スペルマンを吊るしあげる
 F 諦めて、スペルマンの前途や控え選手についての話題にシフトする
 G 諦めて、マンチェスターとのテストマッチの話題を深く言及する

2票決です、メル欄は空白で

604 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 02:07:16 ID:Virghauw
A

605 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 02:11:09 ID:UCfszVLo
引き留めはなんかこう・・・うん、三杉らしくない気がする



606 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 02:13:00 ID:hqU7S+pU
C

607 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 02:16:13 ID:???
チャンスがあるのに捨てるのか?

608 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 02:31:51 ID:???
>>607 露骨に狙うのはなんか逆効果ぽい気がする
    多分今何を言っても無駄だろうし・・・

609 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/06(日) 02:36:37 ID:???
後で揉める事のないよう言及しておきます。
スペルマンの離脱阻止は前回のカードでA〜3を引いた時点からノーチャンスです。
まあ二票決である時点でその程度の選択肢である事は暗に示されております。

それでは短くて済みませんがこれだけで終わります。
夜泣き娘を寝かしつけていますので。

610 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 03:09:52 ID:???
次のDFに期待。

611 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 04:59:32 ID:???
しばらくはDFの穴は埋まんないのを覚悟せんとな

612 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 08:08:56 ID:???
ストーリー的な意味の離脱は仕方ないかなと思うけど、戦力的な意味で減少は痛い。
ただでさえ戦力はカツカツなのに、モブ入れて正直試合で勝てる気がしない。
敵さんも穴を確実についてくるだろうし憂鬱だぜ…

613 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 08:12:42 ID:???
現実見ると穴を埋めるは今の人材では不可能
補強をかけるならチームの本来の長所のFW
フラグがあるから比較的伸ばしやすい新田のシュートフラグ

614 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 08:49:19 ID:???
この戦力でも次の試合には絶対勝てる
フォーメーションなら俺に任せろー(バリバリ

615 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 12:14:32 ID:???
またなんかものすごくあっさり消えたなあ、スペルマン。
スレ主的に扱い損ねてた?

616 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 12:39:27 ID:???
扱い損ねてはいないよ
参加者が地雷を踏み抜いちゃっただけの話

617 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 13:01:11 ID:???
メカ沢復活希望です!
スペルマン離脱の空気をふっ飛ばして欲しい

618 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 14:39:59 ID:???
メカ沢か完全モブか新加入選手か。

新加入選手だと、スペルマンより格下の選手で希望アンケとるのかな?
中山さんが離脱した時のオワイランみたいに

619 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 14:43:14 ID:???
俺が敵なら確実にメカ沢をつくね。
穴というかチームの弱点丸分かりじゃん。
クリア不能ではないというけど、正直組織力で戦うフィオで人数足りないって致命的じゃないかな?

620 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 15:13:09 ID:???
相手がモブαの能力把握してないし正直いきなり疲れるとは思わないけど・・・
控えだした試合ないし

621 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 15:24:38 ID:???
モブはずっと放置だったからネームド昇格となれば、これまで練習積んできたということになって
強化判定があると思う。

あるいは新キャラ安価か

622 :森崎名無しさん:2014/07/06(日) 17:21:17 ID:???
モブが主戦に躍り出る想定ないらしいし
これからスカウトタイムを作らないとな

623 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 13:40:02 ID:???

> C 彼がいつまでヴィオラに居るのかを聞く
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「それで… 彼はいつここ(フィレンツェ)を発つと?」

エムスカ「既に荷物の大半は片付いているそうだ。 つまり私が承認を降ろせば明日にでも。
      チームとしての戦力低下は痛いだろうが、運営側として引き延ばせる理由がない。」

三杉「明日…。」

エムスカ「彼はこう言っていたよ。
      『長く残っていれば、チームメイトが自分を引き止めようと頭を悩ませる。
       だがそれは無駄な労でしかない、そんな事より次の試合に目を向けるべき。
       だから自分は一刻も早くチームを去りたい。』」

三杉「………」

エムスカ「私も多く人を見て来たが、彼の目は既に腹を決めた者と同じだった。」

三杉「なるほど、分かりました。」

 ここまで聞いて三杉はスペルマンの行動が惰性によるものではないと感じた。
 彼は何かぼんやりとした理由ではなく、明確な意志でヴィオラを去ろうとしているのだろう。
 その行動に迷いがありそうならば引き止める事を考えていたが、それもどうやら無意味だ。

624 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 13:50:11 ID:???

三杉「すみませんでした。 彼が去るのは僕の責任です。
    キャプテンとして気付かなければならなかった事だと思います。」

 三杉はスペルマンの退団の意を受け入れた。
 そして彼が退団を決めるまで、それを察する事が出来なかった事を謝罪した。

エムスカ「誰に相談する事無く、自分の人生を決めてしまえる人間がいる。
      それは稀な、数少ない人間と言えるだろうが…。」

三杉「スペルマンはそうだったと?」

エムスカ「違う、キミ達の全員がそうなのだ。」

三杉「僕達全員…」

 『そうかも知れない…』 三杉は驚くほど自然にそう思った。
 スペルマンが何を考えて退団を決めたのか、具体的な事は何も分からない。
 しかし彼が何らか決意の上に去るというのを理解しただけで、納得すら出来る。
 一般的な人間の反応とはちょっと言えない気がした。

 自分で何もかも決められる人間は、周囲に結果だけしか与えずに振り回す。
 小学生時代、渡伊の件… 三杉はこれまでにそうしてきた。
 相談せずに自分で決定し、若さゆえ時に説明が不足している事もあっただろう。
 それが分かるから、三杉はスペルマンの突然の退団を悪戯に取り乱さなかったのだろうか。
 すんなり受け入れられたのだろうか。

625 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 13:52:20 ID:???

三杉(訳有り同士… 同類の集まりか…)

エムスカ「我々は現状非常に脆い土台の上にあると言わざるを得ない。
      ゆえに同じ事が今後も起きる可能性は十分考えられる。」

三杉「はい。」

 エムスカは目を臥せた。
 他の選手も突然と退団を申し出る可能性。
 こうなった以上は三杉も否定できず、小さく頷いた。

エムスカ「待遇の向上について、運営側は自主的に検討したいと思う。
      我々の出来ることはその程度だ。」

三杉「チーム内のコミュニケーションについては皆で考えたいと思います。」

エムスカ「それが良いだろう、くれぐれもキャプテン一人が思い悩む事のないように。」

三杉「ありがとうございます。」


 …その後、スペルマンの急すぎる退団を伝える席がもたれた。
 直後は誰もが驚きを示したが、 スペルマンは『ごめん皆、決めた事なんだ。』と
明日にでも出ていく旨を告げると、それは自然な事のように受け入れられた。
 理由を無理に聞き出そうとする者もいなかった。
 彼を止めることは出来ないのだと、誰もが分かったのだろう。

626 :ブンナークが出会った二人はスペルマンの関係者でしたアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 13:54:56 ID:???

 その翌日、スペルマンの部屋は空になっていた。
 まるで最初から居なかったみたいにがらんどうだった。
 ヴィオラの人間は、自分達が単なる馴れ合いで此処に居るのではないと改めて知った。
 それぞれの目的を再び思い締めたことだろう。


先着で
 ★そんなスペルマンの残した物→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ》 ハート+これからどうするつもりか、ちょっとだけ漏らして行った
《ハート》 2週間前からモブαを鍛えていた
《スペード、クラブ》 1週間前からモブαを鍛えていた
《JOKER》 ダイヤよりもうちっとランクアップ

627 :森崎名無しさん:2014/07/07(月) 13:58:46 ID:???
★そんなスペルマンの残した物→ ダイヤQ

628 :森崎名無しさん:2014/07/07(月) 14:05:05 ID:???
別に馴れ合いだろうとなんだろうといいけど、
単純にゲーム的不利の意味で辛いよなあ。
これがもっと戦力のあるチームならともかく。

629 :森崎名無しさん:2014/07/07(月) 14:35:38 ID:???
さらばスペルマン!

630 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 16:25:28 ID:???

> 《ダイヤ》 ハート+これからどうするつもりか、ちょっとだけ漏らして行った
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〜数日後〜 <フロレンティア・ヴィオラ 練習コート>

 スペルマンが去ったことで、フロレンティア・ヴィオラは確実に戦力が低下した。
 チームの性質上、どの選手が抜けても影響は全体に波及するだろうが…
 差し当たって守備力、しかもゴール前の弱体化が最大の問題になる事は疑いなかった。

 期間を設ければ、新規に選手を入団させられる可能性はゼロではない。
 しかしプロ4部のチームに即戦力級が好き好んで入団する事は到底期待出来ない。

 すなわち三杉を含む選手たちは、ただ一人の名も知れぬ控え選手を緊急に鍛える
より他の手だてがなかった。

 彼はほんの少しボールカットが得意なだけのボランチ或いはストッパー型の選手。
 SBならば何とかという所でCBは正直厳しい…
 この辺りがヴィオラ選手の認識だった。


ブンナーク「オラアッ!!」

 バシュゥゥゥゥゥゥゥゥッ!  

アルパッツォ・モブリット(モブα)「ひ、ひえ…」 ダッ

 バキィッ!!!  

631 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 16:27:33 ID:???

 特練において、モブリットはブンナークのシュートで派手に宙を舞った。
 これは当然と言うべきで仕方ない… しかしブロックの反応自体は悪くなかった。
 スペルマンと比較すれば見劣りするが、CBの基礎の動きは出来ていた。
 DFとしての連携も、これならば仕込めるというレベルにあった。

 不思議に思った三杉がその事をモブリットへ問い質すと、意外な答えが返ってきた。

三杉「スペルマンが?」

モブリット「ええ、2週間ほど前から付きっ切りでみっちり。」

 まるで出番のなかったこの控え選手に、スペルマンが個人レッスンをつけていたという話だ。
 ブロックや空中戦、フィードなどに加え、全体的なプレーのレベルアップを促したらしい。

三杉「なるほど、スペルマンなりの引き継ぎってとこか。」

モブリット「そうだと思います。 皆さんのレベルにはまだ遠いと思いますが、
       なるべく足を引っ張らないようオレも頑張ります。」

三杉「わかった、どうにか頼むよ。」

 ※モブαの本名がアルパッツォ・モブリットであると判明。
 ※モブリットのブロックとフィジカルが1ずつ上がり、レベルが1上昇(LV39)

◎モブリット(LV39)
 突破力C ボールコントロールC 得点力C ボールカットB フィジカルB 浮き玉C

632 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 16:31:41 ID:???

 もう一つ驚いた事に、スペルマンはモブリットに今後どうするかを漏らしていた。

モブリット「何をするにしても、まずは会って話したい人が居ると言ってましたよ。」

三杉「ほう? それが誰かも聞いたのかい?」

 それを知る必要はないと思ったが、三杉は一応興味本位で尋ねてみた。

モブリット「マンチェスターの選手みたいですよ、なんでも昔馴染みだとか。」

三杉「マンチェスター? それはまた奇遇と言うべきか…
    名前だとか、どんな話をするつもりだのかは聞いたのかい?」

モブリット「いえ、そこまでは…」

三杉「ふむ、まあそうだろうね。」

 次の試合の相手であるマンチェスターの選手にスペルマンの昔馴染みが居るとは
三杉も初めて知る情報だった。
 彼はマンチェスターとのテストマッチがあると知っていて、急な退団を決めたのだろうか?
 …考えようとして三杉はすぐに取りやめた。
 今更それを考えても取り返しがつかず、また試合について頭を使うべきと思ったからだ。 

 そして三杉達選手は試合に向けて実力アップするべく励んだ。
 通常の練習の他に課題を抱えている選手も居たが、それを理由に手を抜く者はなかった。

633 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 16:35:15 ID:???

☆三杉の練習(12月度)を実施します。 

《能力値》
ド パ シ .タ カ ブ .競 高 低 .AT DT ガッツ
 70 71 68 69 72 65 67 +3 +2 +2 +1 .890

《上昇率》
普通 : ブロック
上がりにくい : ドリブル、シュート、タックル(判定+4)、競り合い
上がらない : パス、パスカット


練習したい項目を、上記ドリブル〜競り合い≠ゥら3項目選ぶ為に投票してください。
お1人様につき最大2項目を投票する事が出来、2票に達した項目から順に確定となります。
パス、パスカットについては現時点では無効票になります。

634 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/07(月) 16:37:10 ID:???
能力値がズレまくってすみません m(_ _)m

635 :森崎名無しさん:2014/07/07(月) 16:37:29 ID:K7UTBYtc
シュート、タックル

636 :森崎名無しさん:2014/07/07(月) 16:46:38 ID:hVPafn4I
シュート、タックル

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