キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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レス数が950を超えています。1000を超えると表示できなくなるよ。
【伝説の】Another-CU_9【継承者】

1 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/04/22(火) 12:47:04 ID:PG0gsAI6




この物語はフィクションです。
史実や実在の人物を連想する場面があるとしても、この物語とは関係がありません。
風土、名称については文献を参考としていますが、想像のウェイトも大きく、事実と異なります。


そして……この物語は キャプテン森崎のアナザーストーリーであり…
  とある貴公子と仲間達の サッカーに賭けた青春を描くストーリーです。


恋愛は二の次に、サッカーに命を削って頑張る彼等を応援してあげて下さい。




775 :森崎名無しさん:2014/07/13(日) 16:54:22 ID:WdAlfjSA
左:オジオ 中:三杉 右:ミハエル
ラインは下がり目、中盤の動きはアドリブ
中盤の底に隙ができかねないのでは…いや、おれの勝手な予測でみんなを混乱させたくない

776 :森崎名無しさん:2014/07/13(日) 20:14:05 ID:???
多分3がメインで2や4も混ぜる形になるんじゃないかな
ロングカウンターで同じ3人だけ攻め続けると誰かがガス欠しやすいと
ミラン戦で学んだし選択肢も狭く読まれやすいし

777 :森崎名無しさん:2014/07/13(日) 20:33:48 ID:???
そういうのはここまでの選択で否定されてるでしょ。
その他の選択にも誰も書いてないし。
ガス欠の不安が出てきたら、また考えて変更でしょ。

778 :森崎名無しさん:2014/07/13(日) 20:40:50 ID:???
1はOMFとバランサーとアンカーを固定せず
場合に応じて判断して変えていくってことだろう

779 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 14:09:22 ID:???
なんか現実でメッシだネイマールだ本田だと連呼しまくる中継を見てサッカーにわかですが三杉頑張れ超頑張れと思ってしまいました

780 :フットボールネイションへの道は険しいですねアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 18:52:20 ID:???

> A ペナルティボックスより上で上下運動する程度、あくまで守備最優先。
> 1 全員がセントラルMFとして、場合に応じて判断する
> 左:オジオ 中:三杉 右:ミハエル
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「こんなところかな。」

 フォーメーションは5−3−2、ラインコントロールも露骨に引きこもらない程度の守備最優先。
 中盤の3枚は判断力の高い人選で、敢えて役割を固定しない形をとった。

三杉(中盤アンカーありきで守備ブロックをしっかりと築き、MF1枚とブンナーク、新田でカウンター狙い。
    攻撃への切り替えスピードで勝れば、敵の堅い中央だってかわす事も出来るはずだ。
    マンUにこちらの守備を攻略できる気配が見えたら修正が必要だが、序盤はこれでいこう。) 

 メンバー… 特に守備陣に対しては相手の攻撃パターンの多さを周知しておく必要がある。
 攻撃陣に対しては少ないチャンスを物にする高い集中を求め、また攻撃の本命が新田である事も明言して
おかなければならない。
 ・・・とは言え、試合前の準備として核の部分はこれで完了とみなして良かった。

 三杉は脱力し、紅茶でも淹れて一息つこうと立ち上がった。
 だが先程ブンナークが訪問してきた事を思い出し、ティーブレイクはお預けと判断せざるを得なかった。
 別にそれはそれで嫌ではなかったが。

781 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 18:54:16 ID:???

<グレーター・マンチェスター/マンチェスター市街>

 イングランド北西部、グレーター・マンチェスターに位置する人口49万の英国第9都市マンチェスター。
 産業革命発祥の地という事もあり、ロンドンに次いで英国第二の経済拠点であるが…
 実態としては平均年収約358万円と、英国平均(約462万円)より2割あまり少なく、一方で生活
保護を受けている世帯は割合にして平均の約2倍と、知名度に反して低所得者の多い都市である。
 しかし都市としての伝統は確かであり、文化的にも(特に芸術・音楽面で)栄える、英国紳士に
こそ愛される都市の一つだ。
 そしてスポーツ面ではマンチェスター・ユナイテッドFC、マンチェスター・シティFCという
2大フットボールクラブを擁しており、世界的にはこちらの面でよく耳にされている。

 この低所得層の少なくない大都市の一角、Fish&Chips≠ニいう、そのまんま過ぎる
店名のランチレストランがあった。
 一般にフィッシュ&チップスと言えば新鮮じゃない白身魚を用い、臭みをごまかす為にモルト・ビネガー
を大量にまぶしてから食べるが… この店では比較的新鮮な魚にエールを加えた衣で包み、輪切りのレモン
や酢、塩、タルタルソースを並べて客が好みの味を選べるような配慮がある。
 このような理由で、この店は観光客に圧倒的な支持を得ている人気のランチスポットだが…
 ここにフロレンティア・ヴィオラを退団したイヴァン・スペルマンの姿があった。

 彼はここマンチェスターへ、旧知を訪ねてやって来ていた。
 旧知の名はエフゲニー・C・ピャタコーフ。
 あのカンピオーネの一員であり、またマンチェスターUユースでも活躍している選手である。

スペルマン「ふぅ…」

 彼の目の前には看板メニューであるフィッシュ&チップスが並んでいるが、手が全くつけられていなかった。
 その代わりかミネラルウォーターは既に3杯が飲み干されており、デカンタの中身も半分以下になっている。
 スペルマンの表情は一見してニコやかに見えるが、その視線は店の入り口付近と手のグラスの間を忙しなく
行き来しており、落ち着かない様子が窺える。
 また時折『大丈夫、問題ない』と自らに言い聞かせるようにして頷いているのが見えた。

782 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 18:56:17 ID:???

 カラン…

 店のドアが開いた。
 目をやると、ツンツンと角のように金髪を尖らせた男が入ってきた。
 特徴的な髪型、中性的な顔立ち、そして何より青く鋭い眼差しがピャタコーフである事を示していた。

スペルマン「…」サッ

ピャタコーフ「………」

 スペルマンは手を挙げて自らの場所を知らせた。
 それを認めてピャタコーフは彼の席へと着いた。
 ピャタコーフの態度は一貫して無愛想その物であり、またスペルマンからも再会を喜ぶような定型の
挨拶が出てくる気配は見えない。

スペルマン「統合失調症だったか? もう随分と良くなったようだが調子はどうなんだ?」

 結局2人の会話は前触れのないまま、スペルマンから切り出された。

ピャタコーフ「正確にはICD-10 F20.4… 統合失調症後抑鬱だ。」

スペルマン「そう、確かそんな名前だった。」

783 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 18:58:44 ID:???

ピャタコーフ「一時期は何度も自殺未遂を繰り返したらしいが、今は御覧の通り問題ない。
       …もっとも脳内物質のバランスが完治せず、感情の起伏が減ったようだがな。」

スペルマン「フッ、昔からお前は感情の起伏が見えなかった。 だから問題ないだろう。」

 ここでスペルマンは初めて懐かしそうな顔を表に出し、旧友を語ってみせた。
 『そうかい』と興味なさそうに頷くと、ピャタコーフは店員を手招きし、紅茶と蜂蜜をオーダーした。
 スプーンで蜂蜜を口に含んでから紅茶を流し込む、伝統的なロシアンティースタイルを楽しむつもりだ。
 彼は彼なりに昔を懐かしんでいるのではないかと思い、スペルマンは肩の力を緩める。

ピャタコーフ「…で、そんな詰まらない事を言いに来たのか? 試合を前にして随分と余裕があるようだ」

スペルマン「ああ…」

 そう言われてスペルマンは数秒間だけ口ごもった。
 彼にとっての本題に繋がる話を不意打ちのように持って来られたからだ。
 スペルマンはグラスの水を口に含み、下の動きを滑らかにして言葉を紡ぎ出した。

スペルマン「フロレンティア・ヴィオラは退団した。」

ピャタコーフ「ほう…?」

 ここまで表情のなかったピャタコーフが眉をひそめた。
 『ほう』という相槌の語尾も少し上がっており、彼の興味を匂わせた。

784 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 18:59:58 ID:???

ピャタコーフ「では尚更、何のために訪ねてきたのかが分からないな。
        昔を懐かしみたければもっと相応しい相手がいるだろう。」

スペルマン「思い出語りをするためにこんな所までわざわざ来ないさ。
       …なあエフゲニー、キミもオレのようにクラブを辞めろ。 そして共にロシアへ戻ろう。」

ピャタコーフ「え?」

スペルマン「フィギュア・スケートの世界で再び金メダルを目指そうと言っているんだ。」

 『………』とピャタコーフは呆気に取られた様子で無言になった。
 スペルマンの目は真剣であり、また言葉に熱がこもっているのを感じていた。
 
スペルマン「突然の話に戸惑うとは思う。 だが協会はオレ達の帰還を歓迎すると言っていたんだ。
       心配しなくていい、また昔のようにトップを目指して鎬を削り合おうじゃないか。」

ピャタコーフ「……はは、驚いた。」

 『オレはまだ笑えるようだ。』とピャタコーフは言葉にならないほど薄い声で呟いた。
 表情は無表情のままで、機械仕掛けの人形が笑い声を洩らしたような不気味さがあった。

ピャタコーフ「お前にファーストネームで呼ばれた事も驚いたが、
        それ以上にお前に冗談のセンスがあった事こそ驚きだ。」

スペルマン「冗談…?」

 ピャタコーフの顔から表情が消えていた。
 感情の乏しさによる物ではなかった。

785 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:03:35 ID:???

ピャタコーフ「まさか連邦が崩壊した事を知らないのか?」

スペルマン「知らない訳がない。 そう、ソビエトが崩壊した今だから復帰のチャンスなのだからな。
       いま母国のスケーター達は崩壊のショックで練習どころじゃない、それ所か散り散り…。
       オレ達にとって最初で最後の、フィギュアスケーターとしての復帰のチャンスだ。」

ピャタコーフ「復帰すれば英雄になれる、か… フィギュアも金メダルも甘くない。
        ジュニアでトップだった言えど、ブランクが何年あると思っている。」

スペルマン「ブランク? 技術的な停滞は当然あるだろうが、それは取り戻せる物だ。 重要なのは表現力、
       オレは世界一のレベルと言われるソビエトのJrカップを12歳で獲り、未来の帝王と呼ばれた。
       そしてお前はそのオレが一度も勝てなかった天才… ニジンスキーの再来だ。」

ピャタコーフ「ニジンスキーの再来、か…」 フッ

ピャタコーフ「既に過去の話だ。 今のオレには何の価値もない言葉、お前以外の誰にとってもな。」

 ここでスペルマンの顔からも表情が消えた。

スペルマン「なんだと?」

ピャタコーフ「お前がフィギュアをやりたいなら止めはしない、どうぞ一人で英雄になってくれ。
        お前がオリンピックに出場できるよう応援くらいはする。」

スペルマン「……何故だ? 何故そんな事を言う?」

786 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:05:12 ID:???

ピャタコーフ「ハァ…… 逆に聞こう、何故オレに構う?」

スペルマン「それは… オレもお前もフィギュアスケートをやるべき人間だからだ。
       お前の才能は神が… いや、ニジンスキーが与えた物だ。
       そしてオレはそんなお前と競い、フィギュアの頂点に立つべき男だ。」

ピャタコーフ「ほう? オレが競技会に出られなくなってからお前は敵無しだったんだろう?
        そのまま順調に歩んでいれば、頂点は労せずに掴めた事だろうに。」

スペルマン「そんなのは頂点じゃない… オレが掴みたいのはお前を倒して得られる頂点だ。
       ああそうだ、オレはお前の事をずっとぶっ倒したいと思っていたんだ!
       そしてそれはサッカーなんかじゃない、フィギュアスケートでっ!」

ピャタコーフ「なるほど…。」

 スペルマンの言葉に熱が入るに伴い、逆にピャタコーフの反応は冷えていった。
 ねじれた会話であり、一生交差する事がないのは既に見えていた。

ピャタコーフ「もういい分かった、要するにお前は6年前から時計を止めたままなんだ。」

スペルマン「止めているのではない、取り戻したいだけだ。
       そして今日までの空白を取り戻せる最後のチャンスは手中に収まりかけている。
       後はお前の色よい返事がさえあれば、それは現実の物となる。」

ピャタコーフ「興味ないね。」

スペルマン「な、何故分からん!?」

787 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:06:26 ID:???

ピャタコーフ「お前がどう考えようが、オレは現在進行形で取り戻している最中だ。
        感情が薄まっていても感じるよ、日々の充実と未来への希望をな。」

スペルマン「それはサッカーでの話だろう? もう一度言うがお前は唯一人オレが認めた
       ニジンスキーの再来だ。 その芸術性はフィギュアスケートでこそ輝く…」

ピャタコーフ「稼いでいく為にはサッカーの方が遥かに現実的だ、フィギュアなんかよりもな。」

スペルマン「稼ぐ…? 金なんかの話か!?」

ピャタコーフ「アパートに暮らした事のないお坊ちゃまには分からないだろうさ。
        そう、サンクトペテルブルクの街で一番汚いアパートだ…
        昼間から酒や薬や賭け事に溺れた敗者が出入りする、トイレもない共同アパートで、
        その日食べる物にすら困っていた事などお前にはあるまい。」

スペルマン「それは…!」

 スペルマンはついに返す言葉を失った。

ピャタコーフ「それに、オレが現実世界に戻ってこられたのはジョアンコーチのお陰だ。
        ずっと昔に死んだダンサーや、居もしない神などに感謝する気はない不信心なオレだがな、
        あいにくジョアンコーチにだけは恩を返すべきだと考えている。」

スペルマン「………!」

788 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:08:55 ID:???

ピャタコーフ「分かったら、もうサンクトペテルブルクでも何処へでも帰ればいい。
        オリンピックを目指すのも、婚約者と一緒になって遺産を継ぐのもいいだろう。
        ただ…」

スペルマン「ただ… 何だ……?」

ピャタコーフ「現実に戻って、帰るところなど既にないと理解したならもう一度連絡して来い。
        カンピオーネに入団できるよう推薦する。」

スペルマン「カンピーネに推薦…?」

ピャタコーフ「フィギュアスケートで身につけた体術はサッカーに活かせる。 オレのようにな。
        お前がその気になれば、オレも再びお前を強敵と思えるようになるかも知れない。」

スペルマン「フィギュアの技をサッカーに……だと…」

ピャタコーフ「テストマッチからもうすぐ4ヶ月… お前ならとうに理解していると踏んでいた。」

スペルマン「余計な御世話だ………」

ピャタコーフ「そうか、残念だ。」

 消え入るようなスペルマンの無感情な言葉に対し、ピャタコーフの言葉は感情が乗っている様だった。
 2人を知るものがこの場に居たら、その皮肉さをどう受け取っただろうか。

 ピャタコーフはロシアンティーをほとんど残したまま席を立った。
 スペルマンがそれを呼び止める事はなかった。

789 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:13:37 ID:???

 時計の針は戻す事が出来ない。

 空白の時間を思う暇があれば、今出来る最善を尽くすのみ。
 それがピャタコーフには分かっていた。
 彼にとって空白の時間が文字通り記憶にもない空白だったのが幸いしたのかも知れない。
 ピャタコーフはスペルマンも自分と同じだと考えていた。

 だがスペルマンにとってはどうやらそうでなかった。
 彼にとっての空白の時間は、過去を追い求めてきた時間とイコールだった。
 それがスペルマンを不幸へと追いやった。
 ピャタコーフの居ない氷上で立った表彰台は、彼にとって孤独と空虚の頂点でしかなかった。
 ゆえに終生のライバルと決めた相手が戻ってくる可能性のあるサッカーコートへ身を移し、
その時を待っていたのだ。
 ピャタコーフと再び闘い、倒せるのならばサッカーでも構わない… その時は思ったのだろう。
 だが終生のライバルと再会しても、彼が望んだようにはなったとは言えなかった。
 あくまでフィギュアスケートで勝ちたかったという思いを捨てられなかったのだろう。

 スペルマンは未来のヴィジョンを失ってしまった。
 彼がこれからどういう道を歩むか… 怒りのような負の感情に捉われるのか、地に足をつけて再び
未来を見据える事が出来るのか、はたまた全てを忘れて母国に戻るのか…
 三杉も、ピャタコーフも、スペルマン本人でさえ、この時点では知る由もなかった。

790 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:14:54 ID:???

<グレーター・マンチェスター/マンチェスターU クラブハウス>

 マンチェスターUユースの現監督であるターカー・ウィリアム・モイージ。
 育成に定評があるなどユース監督としては高い評価を得ており、年間最優秀賞を取った事もある人物だ。
 そのモイーズはいま、彼の選手達を集めてミーティングを開こうとしていた。
 内容はフロレンティア・ヴィオラとのテストマッチについてだった。

モイージ「さて、全員揃ったようだな。」

ラスト「おうジジィ、忙しいんだからさっさと終わらせようや。」

モイーズ「グッ! ラスト貴様、また私の事をジジィなどと…
      なぜ私より20は上のサー・チャーチルがオヤジで私がジジィなんだ!」

ギブン「怒るのそこかよ!?」

ラスト「いや、オヤジは初めて会ったときからオヤジだし。」

モイーズ「だからって私をジジィと呼ぶな! ユースとは言え監督なんだぞ!」

シンプソン「ジョン、どうせミンクにフラれる用事しかないのでしょう?
       それならゆっくりとミーティングに勤しむべきです。」

ラスト「ば、バーティーてめぇっ! フラれるとか、そんな不安にさせること言うんじゃねえっ!」

ロブソン「確か10戦10敗だったか… 何回ミスしても1ゴール決めれば評価されるFWらしい考えだな。
      オレにはとても真似できない図太さだぜ。」

791 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:20:33 ID:???

シンプソン「彼女以外でしたら選り取り見取りでしょうに。」

ラスト「グギギ…」
 
モイーズ「このガキども…」 ギランッ

 あっという間にミーティングルームは大騒ぎとなった。
 しかしイングランドで監督をやる武骨者もやわではない。
 この程度のカオスを一瞬で黙らせるのは訳がなかった。

モイーズ「全員、今までの練習を思い出せ!」

 モイーズの雷のような怒号によって、選手達の脳裏には練習風景がフラッシュバックした。

………………
…………
……

「ぐわっ!」「ぷはぁっ!」「あー、ヤバかったぁ…!」「思い出しただけでも吐きそうだ…」

 選手達の悲痛な絶叫が部屋に響いた。
 あのラストでさえ冷や汗を滲ませ、虚ろな目をしている。

モイーズ「がっはっは、どんなに才能があろうがチャーチルに見出されようが、ハードワークは平等だ!
       ここFL(フットボールリーグ=FAプレミアリーグの前身)でオレより厳しい監督は居ないぞ!」

792 :本日は以上ですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/14(月) 19:22:45 ID:???

モイーズ「がっはっは、どんなに才能があろうがチャーチルに見出されようが、ハードワークは平等だ!
       ここFL(フットボールリーグ=FAプレミアリーグの前身)でオレより厳しい監督は居ないぞ!」

 グロッキーになった選手達を眺め、モイーズは満足そうに笑った。
 騒がしい空気はこれにて狙い通り霧散した。

モイーズ「さて、今度やるフロレンティア・ヴィオラはイタリアのクラブユースで一番強いぞ。
       セリエC2のチームと聞いて楽勝だとか考えていた奴はいないだろうな?」

先着で
 ★ヴィオラなめてた奴→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ》 ナポレオン
《ハート》 ダイヤ + ロリマー
《スペード》 ハート + ウォーズミー、ギボン
《クラブ》 スペード + モリス、ネビル
《JOKER》 ブローリン

793 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 19:23:24 ID:???
★ヴィオラなめてた奴→ ダイヤQ

794 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 19:23:38 ID:???
★ヴィオラなめてた奴→ ハート9

795 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 19:23:41 ID:???
★ヴィオラなめてた奴→ ダイヤ2

796 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 20:08:43 ID:???
舐めていたであろうボッシとアモロにやられたばかりなのに
まるで成長していない…

797 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 22:11:04 ID:???
ナポレオン...お前はなめていいほど実力はそんなに高くはないんだよ...

798 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 22:24:12 ID:???
アレは超一流

799 :森崎名無しさん:2014/07/14(月) 22:47:26 ID:???
テクニックなら三杉のほうが圧倒的に上に違いない

800 :森崎名無しさん:2014/07/15(火) 07:37:14 ID:???
モイモイ「ただサイドからクロス上げときゃいいんだよッ!」
ナポレオン「」
ピャタコーフ「」

となりませんようにw

801 :森崎名無しさん:2014/07/15(火) 07:48:22 ID:???
ナポレオン「4部チームごときに負けるわけねーだろ」
ブローリン「お前が真面目にやらなけらば俺はお前の25センチを破壊しつくすだけだぁ!」
モイーズ「やめろ!ブローリンおちつけぇ!」

802 :森崎名無しさん:2014/07/15(火) 12:17:42 ID:???
今回の作戦会議の相談相手、ダイヤが王子だったんだな
クラブのブンナークは……かわいいからゆるす!

803 :森崎名無しさん:2014/07/15(火) 17:31:51 ID:???
いけ!禁断の25cm砲!
キャノン()シュート発射!

804 :森崎名無しさん:2014/07/15(火) 19:47:41 ID:???
ブロリーン(26cm)「何なんだ?今のは」
ナポレオン(25cm)「もうだめだ…おしまいだ…!」

805 :森崎名無しさん:2014/07/15(火) 20:28:09 ID:???
三杉「良いぜ!なんでも大きいと良いなんて思ってんなら…その幻想をぶっ殺す!」
ナポレオン「ダニィ?!」
ブローリン「なんてヤツだ…!」
ブンブン(並以下)「モタモタしてるんじゃないぞ!新田!」
新田(並)「ぶんなーくー!」

ミハエル「大切なのはサイズでなく愛。ユーもそう思いませんか?」
アーバックル「Yes.All need is love.」
レントゥルス「ロマーノ、何のサイズかな?」
ダラピッコラ「指輪だろ。」(すっとぼけ)

806 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 00:07:22 ID:???
本日は気が乗らなかっためお休みしますた(´・△・`)

正直、サイズよりも硬さですよね
あと雰囲気づくり

瞬時にコンビネーションを組めるナポは
相手の実力を読み取ったりイメージを共有するのに長けているはず…
なのに先入観でそれを阻害していちゃ意味ないですよねー

やる気捻出メモ
マンU→渡英・中国・王子ドイツ・三杉?→試合前→中国ドイツ?
矢部→バルサ→幻想話→なんだったっけ?

807 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 00:13:06 ID:???
おお?新加入のDFは中国人!?

808 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 00:30:14 ID:???
ごひ?ズール皇帝は正義だ!

809 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 00:57:41 ID:???
いよいよ、朕の出番アルカネ

810 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:01:29 ID:???

> 《ダイヤ》 ナポレオン
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ナポレオン「セリエC2のチームが最強?」

 モイーズの発言に対して唯一人、ルイ・ナポレオンがいかにも『アテが外れた』調子で聞き直した。
 どうやらナポレオンは今回の試合を格下とのテストマッチと見ていたようで、それゆえにFW
として起用される事を期待していたのだ。

モイーズ「ナポレオン、格下相手だからFWとして使われるチャンスがあると思っていたか。」

ナポレオン「そりゃあ…」

 フランスで点取り屋をやってきた彼は、ここではFWでなく守備的MFをやらされていた。
 守備的MFは彼が想像していたより遥かに面白みのあるポジションだったが、それでもサッカー
の醍醐味を自分自身で決めるゴールに見出していた彼はFWとして起用して欲しかった。

モイーズ「ミーティング後にグラウンド10周のペナルティだ。」

ナポレオン「ゲゲっ!!」

ロリマー「おやおや、残念だったな?」
ラスト「このマンUでFWをやりたがるたぁ身の程知らずな奴だぜ。」

811 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:03:42 ID:???

ナポレオン「クッ、テメェら!」

モイーズ「ロジャーズ、ラスト! お前達も一緒に走りたいか!?」

ロリマー「え!? いやいや監督、そりゃないですよ。」
ラスト「ミンクと愛を確かめる予定なので却下。」

モイーズ「ならばこれ以上は余計なことは言わずに口を閉じていろ。
      そしてナポレオン、下調べを怠るヤツにポジションを期待する資格はない。」

ナポレオン「グッ……」

 こう言われてナポレオンは押し黙るしかなかった。
 フランスのシャンゼリゼでは国内随一の点取り屋として王様でいられたが、ここでは違う。
 自分以外に、自分以上に点を取れるFWが複数居るチームでは競争が当然あるのだ。
 そして単にキック力があるというだけでは競争に勝てない。
 敵チームの下調べや他の要素も含めた決定力での競争だからだ。
 下調べを怠った自分の落ち度である事は今のナポレオンには理解できる話だった。

※後でナポレオンがグラウンド10周、ガッツが少し上がります。

812 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:04:59 ID:???

モイーズ「ではフォーメーションだが、リーグ戦と同様に4−3−3でいく。
      FWは中央にピャタコーフ、右にラスト、左にロジャーズ。」

ピャタコーフ「はい。」
ロリマー「うっす。」
ラスト「任せときな。」

モイーズ「MFはシンプソン、ギブン、ナポレオンでいつものようにやれ。」

ギブン「はいよ。」
シンプソン「はい。」
ナポレオン「へいへい。」

モイーズ「DFは中にオーウェン、ブローリン、右にネビル、左にモリスだ。
      GKは当然ウォーズミーでいく。」

ロブソン「了解です。」
ブローリン「はい…」
ネビル「いつもの感じで。」
モリス「中は任せてうちらは縦を狙いますっと。」

ウォーズミー「っす、守ってみせます。」

813 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:07:24 ID:???

 フォーメーションとスタメンの次は当然具体的な戦術の話になる。

モイーズ「序盤はシンプソンを中心にオーソドックスにいけ。
      相手が守ってくるなら攻撃的に、攻めてくるならもっと攻撃的に…
      そうする事で相手の手の内や綻びを見透かすのは何処が相手でも変わらん。」

シンプソン「承りました。」
ラスト「よしバーティー、オレ好みのパスを頼むぜ。」
シンプソン「主の御心のままに。」

モイーズ「以上。」

「「「「 ……………えっ? 」」」」

 マンUの選手達は一様にて図太いが、そんな彼らも呆気に取られた。
 『序盤はオーソドックスに行け』…戦術指示は以上で終わりだと言われたからだ。
 この監督(ヘッドコーチ)が戦術に疎いわけでも、相手を見くびるタチでもないと知っているだけに、
選手達はどういう意図なのか分からず困ってしまった。

モイーズ「驚いているようだが、基本的にこの試合では自由を与えるつもりだ。
      リーグ戦ではないからな。 自分達で分析し、考えて試合を組み立ててみろ。」

ウォーズミー「ほう。」
ラスト「へへ、自由かぁ。 監督も話せるねえ。」

814 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:09:07 ID:???

モイーズ「言っておくが個々が自分勝手にやる事を許すわけではない。
      規律を自分達で決め、互いに守らせた上での自由を与えると言っている。」

 釘を刺すようにモイーズが付け加えると、周りからは『そりゃそうか』と軽い溜息が漏れた。

ピャタコーフ「監督、その意図は?」

モイーズ「指示がなければ判断できない奴、試合中の変化にその場で対応できない奴。
      そういうのはトップに要らんとお達しが来ている。
      つまり自分達がそうでないと、この試合で示してみろと言っているんだ。」

ロブソン「なるほど。」

モイーズ「一方でこの試合は公開試合、サポーターも多く観に来る。
      しかもおあつらえ向きに休日の昼間だ、気性の荒いフーリガン共も夜に美味い酒を飲み
      たいが為に観戦するだろう。 恥ずかしいプレーはまず見せられんし、もし負けたら……」

 後は分かるなという言葉の替わりにモイーズは首筋を親指でなぞる。
 『ゴクリ…』と唾を飲み込む音が響いた。
 サッカーの母と呼ばれる国の、しかもユースの試合を見に来る程の熱心なサポーター…
 選手達が情けない試合をした時の彼らの叩きっぷりはよく分かっている。

モイーズ「私もフーリガンにリンチされるのはまっぴらだ。
      ゆえにあまりに酷いようなら細かく指示を出していく。
      だがその必要がないよう期待しているぞ。 では解散!」

 プレッシャーを与えられるだけ与え、モイーズは事前ミーティングを締めくくった。
 監督が出て行った後、選手達はなかなか席から立てなかった。

815 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:10:24 ID:???

ギブン「いやあー、参ったなこりゃ。 相手の強さも込みで楽しむつもりだったが…」

ロブソン「ああこれはリーグ戦と同じ… いや、それ以上のつもりでやらなければいかんな。」

ブローリン「それだけオレ達がトップチームに近づいていると言う話でしょう。」

ラスト「ちっ、面倒くせえな… 小難しいこと抜かしてたが、要は勝ちゃいいんだろ。」

シンプソン「ジョンの言うとおりです。 どんな背景であろうといつも通りプレーするだけですよ。」

ロリマー「おいおい、お前はそれでいいかも知れないがこっちは結構プレッシャーだぜ。」

ナポレオン「自信がなけりゃいつでもクロスオーバして良いんだぜ?
       当然その後のポジションごとな。」

ロリマー「チッ、抜かせっての。」

ウォーズミー「いずれにせよ、相手の変化を気にしながらプレーしなきゃならん。
          後ろからもガンガン声を出していくからな。」

 こうして選手達だけのディスカッションは白熱していった。
 彼等もヴィオラ同様に背負う物があり、また課される物もある。
 欧州リーグのトップ入りを目指す者として、テストマッチと言えど落とすつもりはないのである。

816 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:13:07 ID:???

〜 更に数日 〜 <フィレンツェ/サンタマリア・ノヴェッラ駅>

 早朝、三杉たちヴィオラの面々はイングランドのマンチェスターに向けて出発しようとしていた。
 フィアットの開発した高速鉄道ペンドリーノに乗り、ミラノ・マルペンサ国際空港を経てマンチェスター
へと向かう道筋で、ざっと6時間の旅である。
 それなりに面倒な移動ではあるが、ブラジル・サンパウロへ行った事を思えば随分と楽だ。
 三杉はその前に日本との行き来を経験しているため尚更であった。

三杉「ええと、選手は全員揃ってる。 スタッフはコーチと監督(猫)とマネージャー… あれ?」

モニカ「どうも… えーと、おはようございます。」

 人員の確認をしていて三杉は虚をつかれた。
 モニカ・センペルテ・ディマーレが居たのだ、こんな朝も早い時間に。
 しかも彼女は長かった髪をバッサリと切って、ボブカットになっていた。
 長さを説明するならば南葛の中沢早苗以上、青葉弥生未満である。

三杉「えっ、どうしたんだい? 見送り…じゃないね、その荷物。」

モニカ「ええ、あの…」

マエリベリー「キャプテン、彼女は私が推薦して正式なスタッフになって貰いました。
         学生なので身分としてはアルバイトになりますが。」

三杉「そうだったのか。 色々任せきりだったから知らなかったよ。」

マエリベリー「説明が遅れて申し訳ありませんでした。」

817 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/16(水) 17:14:22 ID:???

 説明を聞いて頷いたものの、三杉はマネージャーが二人も必要かという事が気になった。
 モニカを歓迎しない訳ではなく、またマエリベリーの仕事に不満がある訳でもない。
 と言うより、マエリベリーさえ居ればマネージャー業は十分に回ってお釣りがくるのだ。
 バルサ戦の時は色々な事情が重なったので、臨時マネージャーは必要だった。
 だが改めてモニカが正式なマネージャーになったという話にはどうしても違和感を感じてしまうが…


☆如何しますか?

 A こっそりモニカに聞いてみる
 B こっそりマエリベリーに聞いてみる
 C ミハエルの方を見てみる
 D 後でシーザーに聞いてみる
 E 後でアーバックルに聞いてみる
 F 後でブンナークに聞いてみる
 G 後で他の人物(要指定)に聞いてみる
 H 気にしない事にする

2票決です、メル欄空白で

818 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 17:30:28 ID:HRw71q3w
E
監督のお考えのほどは

819 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 17:40:33 ID:L/atrN/2


820 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 18:09:36 ID:uQwvhgBI
E

821 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 20:44:50 ID:???
ワールドカップでアメリカをグループリーグ突破に導いた名猫監督やでえ

822 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 21:09:36 ID:???
モニカにはあんま触れない方がいいかもね。
しかし、五飛枠が加入だと嬉しいなぁ。
スペルマンも最後には救われるといいが…はてさて、

823 :森崎名無しさん:2014/07/16(水) 21:17:20 ID:???
敵として再会するのもまたロマンよの

824 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:48:25 ID:???

>  E 後でアーバックルに聞いてみる
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉(……聞きづらいな。)

 三杉は自ら記憶喪失と名乗ったマエリベリー・ハーンに、得体の知れないところがあると感じていた。
 『得体の知れない』とまで言うと誇張かも知れないが、彼女に隠し事があるのは恐らく間違いないし、
その為に嘘もつける… しかも切羽詰まった状況でもスタンスを変えないほど徹底して。 

三杉(彼女に直接聞いても、その応えが真実かどうかで僕は結局気にするだろう。
     モニカに聞いてもマエルベリーにお願いされたままの言葉が返ってくるだけだろうし、
     正直彼女に深く追及しては色々な意味で気まずくなるかも知れない。)

 表向きの理由だけでも知れば三杉は納得が出来ると思っていた。
 納得が出来れば忘れることは簡単なのだ。
 しかしマエリベリーから直接聞けば、更なる疑問・疑惑を持ってしまう気がしている。
 またモニカに追及する事も、男女の経緯からして個人的に避けなければならない気がしている。

三杉「そういう事なら今了解したよ。 モニカ、頑張ってね。」

モニカ「はい、こちらこそ!」
マエリベリー「ありがとうございます。」

 結局三杉はこの場で疑問を解決するのを諦めた。
 すぐに気にならなくなるかも知れないし、後に知る機会も得られるかも知れないと。

825 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:49:25 ID:???

 ゴオォォォォォォォォォォォォォ...

三杉「………」

 確かETR450という名だったか… イタリアで最新鋭の高速鉄道ペンドリーノが疾走している。
 最高時速は320km/hr(客を乗せる時は最高250km/hr)であり、日本の新幹線『ひかり号』を
上回るほどのスペックだ。
 だが日本も来年から新しく『のぞみ号』というのが運行されるらしい。
 スペック詳細は知らないが、このペンドリーノETR450号以上であって欲しいと考えるのは日本人
として当然の感情だった。

 既に都市部を離れ、牧場や山村と言った緑の多い風景が窓の外に広がっている。
 時々古城のような物も遠くに見えて風情を大変に感じさせる。

三杉(ダメだな…) ハァ

 目に優しく落ち着かせる風景だが、三杉は先ほどの疑問が頭をもたげてくるのを否定できなかった。
 一度気になってしまったものを、意識して忘れようとするのは逆効果だった。
 たいして意味のない疑問かも知れないが、それでもなのだ。

三杉(あーあ、困ったもんだな。)

 三杉は膝の上に乗せた移動ケージの中を覗き込んだ。
 決して美猫ではない、ブサ可愛さ自慢の我等がアーバックル監督が丸まっている。

826 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:50:31 ID:???

三杉(なあ、監督はどう思う?)

アーバックル(マネージャー業はモニカちゃんに全部引き継ぐって言っておったよ。)

三杉「え、何か言ったか?」

新田「はい?」
レントゥルス「どしたの?」

 誰かが何か言ったような気がして、三杉は周囲に座っている選手に問いかけた。
 しかし誰も心当たりはないようで、三杉は逆に空耳を心配されてしまった。

三杉(はあ、疲れてるのかな。)

アーバックル(いや、そうではない。 お前は時々頭が悪いな、三杉。)

三杉(……)

 確かに聞こえた。
 頭の中に響く感じで、可愛くない声で、確かに『三杉』と呼ばれた。
 視線を移動ケージにやると、ジト目のアーバックルと目が合った。

三杉(ええと… まさとは思うが、監督? 幻聴?)

827 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:51:39 ID:???

          /   \ ____
         ,′    {: : :< `<>:.`ヽ ____ 
          {       '、: : <>、 >:.:.:.:.:}       /
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       Y    ̄⌒'ヽ ヽ    ,.-‐r::.x、_,.  {  
       {    二      、,  -‐┴-'、ヽ ニ |¨:.:.、
        ,        ‘-‐'^ヽ._)   ー‐    j:.:.:.:..\ 
       ∧                 ̄   八:.:.:.:.:.:.\ 
        /. : \                 ,〃.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
        ,′  {:ミx、            _..x<:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Y
      {     \:::三ニァ=‐r-----‐=彡'′ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|

アーバックル(そう、監督様のありがたーい言葉だぞぉ。
         メリーちゃんはマネージャー業以外の仕事に回りたいと言っておったぞ。)

三杉(あ、そう…。 ありがとう、少し眠って夢から覚めるとするよ…。)

アーバックル(夢じゃないんだがのぅ。)

 三杉は当然夢だと思い、ペンドリーノという名のゆりかごに身を任せる。
 ユラユラと細かい振動が心地よいリズムを提供してくれている。

三杉(モニカにマネージャーを引き継いで、マエリベリーは違う仕事に就くか。
    それなら今回二人なのは実作業の引継ぎという訳か、辻褄は合う…)

 納得が得られると、三杉はいつの間にか眠りについていた。
 ミラノ中央駅到着まで心地よい夢の世界を堪能できることだろう。

828 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:53:43 ID:???
<マージーサイド・リヴァプール/チャイナタウン>

 マンチェスターから西に約50km、マージサイド州のリヴァプール。
 市域面積マンチェスターとほぼ同じだが、都市の格としてはリヴァプールが上にランクされている。
 マンチェスターが産業革命で発展したのに対し、リヴァプールは北アメリカ、西アフリカを結ぶ大西洋
三角貿易… 主に奴隷貿易で急速に発展した歴史を持つ。
 だが負の歴史による悪名よりもビートルズ発祥の地、そこから生まれたリヴァプール・サウンド≠フ
名こそが有名な都市であると言えよう。

 このリヴァプールには欧州最古のチャイナタウンが存在している。
 ロンドンのチャイナタウンと異なり華々しさはなくヒッソリとしているが、19世紀に香港から渡ってきた人
たちが住み着き、肩を寄せ合って守ってきた料理の味は大型中華街に負けていないと評判だ。
 だがこのチャイナタウンに寄せられるのは良い噂だけではない。
 リヴァプールで最も治安が悪いという不名誉な評判も有名なのだ。


 バキィッ!

 少年の手刀がゴロツキの左肩を深々とえぐった。

ゴロツキA「ぎゃああああっ!! か、肩がっ!」

少年「ただの脱臼だ。 手加減は一度だけだぞ。」

 一般にパオと呼ばれる男物の中国服を纏った少年は、右膝を上下させた。
 ゴロツキに敢えて見せつけるようにしている事から、『次は手刀でなく蹴りだ』という脅しだろう。

829 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:54:59 ID:???

ゴロツキ「分かった! 教える! 教えるって!」

少年「フン、最初からそうしていれば良かったのだ。」 ズイッ

 グキィっ!

ゴロツキ「ギャアッ!? 教えるっつったじゃん!?」

少年「肩を入れてやったのだ。 痛むだろうが、これで今すぐ病院へ行く必要もない。
     さあ、貴様が案内するんだ。」

ゴロツキ「グッ、っつぅ〜… わ、分かったよ…‥」


 中華街のトレードマークである入口の牌楼(門)から300mほど離れた裏通り。
 この辺りは70年代のスラム浄化計画を経ても尚、幽霊ビルが何件か残る、半廃墟といった街並みだ。
 ゴロツキはその幽霊ビルの一つに少年を伴って入って行った。


 中では似たような服装の、いかにもガラの悪い連中がダーツ、ビリヤード、酒などをめいめい楽しんでいる。
 そしてフロアの一番奥… 豪勢な造りのソファーに少年の探し人が座っているのを見つけた。
 無精髭をはやし髪も伸ばすままにしていて汚らしいが、間違いない、肖俊光である。

830 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 13:56:10 ID:???

少年「ようやく見つけたぞ俊光(チュンクァン)」

肖「うん?」

 「あ?」「誰だこいつ」「肖(シャオ)、知り合いか?」「チャイナはここら辺りじゃ珍しくねえが見ねえ顔だな」


先着で
 ★肖俊光登場→! card★
と(!とcardの間のスペースを埋めて)書き込んで下さい、カードやダイスによって分岐します。

《ダイヤ、ハート》 肖「ああ、央龍(ヤンロン)じゃないか。 久し振りだな。」
《スペード、クラブ》 肖「えー…と?」
《JOKER》 ???(なになに? 肖俊光の知り合いだって?)

831 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 13:56:51 ID:???
 ★肖俊光登場→ ダイヤ5

832 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 17:39:35 ID:???

> 《ダイヤ》 肖「ああ、央龍(ヤンロン)じゃないか。 久し振りだな。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 どうやら相手はすぐに察しがついたらしく、少年を指差して言った。

肖「ああ、央龍(ヤンロン)じゃないか。 久し振りだな。」

少年「フン、俺の顔を覚えている程度は正気で何よりだ。」

 ここまで十分面倒がかかっており、場合によっては更に面倒が待っている物と覚悟をしていた。
 どうやらここからは話が進みそうな空気であったため、少年は一つ安心出来た。
 ある意味問題はここからであるため、少年は早速肖に言うべき事を言おうと身構えた。
 だが…

ゴロツキ「この野郎はいきなりオレをボコリやがったんだ! 肖の居場所を吐けってよぉ!
      みんな、こいつ畳んで吊っちまおうぜ!」

 先ほどこの場所を案内させたゴロツキが急にそんな事を叫んだため、少年は思わず溜め息を漏らした。
 怪我をさせたのは悪かったが、丁寧に頼んだつもりだったし、力づくで従わせるような気もなかった。
 公平に考えてみても、このゴロツキが刃物を取り出して有り金を要求してきたのが悪い。
 挙げ句味方の多い場所にきたら威勢を取戻し、リンチをしようという発想である。

少年「弱い奴の考えそうな事だ。」

 そう愚痴が洩れるのも当然だった。

833 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 17:43:01 ID:???

 ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォ

 少年は目的の肖という人物以外に用事はなく、また無意味に乱暴を働くつもりもなかった。
 しかし周囲は彼らを2人きりにしてはくれず、むしろ危害を加えようといきり立つ。
 少年も身に降りかかる火の粉を払うべく、準備運動代わりに爪先でトントンと床を叩いた。
 後で虚しくなるため弱い相手を叩きのめすのは彼の好みではなかったが、それも仕方がない。

肖「やめとけ、何人でかかろうが病院送りにされるだけだぞ。
   何と言ってもこいつは少林拳南派、洪家拳の開祖である陸亞采の直系だ。」

ゴロツキ「ンガッ!?」

肖「しかもそいつ、あの有名な無影脚の使い手でもあるからな。
   本気で蹴られたらマジで命がないぜ。」

 無影脚という言葉が肖の口から出ると、いきり立っていたゴロツキ共の数人が顔を青くした。
 中国拳法に無知なイギリス人でも、黄飛鴻の無影脚を知る者は流石に居たらしい。

 「む、無影脚…」
 「知ってるのかライナス?」
 「ああ、聞いた事がある。 かつて香港にて英国人実業家が猛犬を素手で倒せたら賞金≠ニいう
  イベントを企画したそうだ。 巨大な闘犬によって多くの挑戦者が大怪我を負い、企画は見世物として
  成功を収めつつあったが、惨状に見かねた洪家拳の達人がやむなく参加した。 その男の蹴りは
  影が映らぬほどの一瞬で犬を絶命させ、実業家と観客を黙らせたという伝説がある。」
 「伝説にしては結構最近の話っぽいのな?」
 「と、ともかくだ… そいつが無影脚ってのなんだよな?」
 「恐らく間違いない。 奴がその使い手ならば、我らに勝ちの目は欠片もあるまい。」
 「つ、つまり…」

肖「俺とこいつの二人だけで話をする、お前らはどっかいっといた方が身のためだって話さ。」

834 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 17:44:18 ID:???

ゴロツキ「グギギギギ…」

少年「おいお前、もう病院にいって構わんぞ。 拘束して悪かったな。」

ゴロツキ「だ、誰が…!」

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

肖「おいおい、俺の忠告は聞いておいた方がいいと思うぜ。
   それともお前… もしかして俺に殺されたいのか?」

ゴロツキ「えっ、あっ、いや、そういう事じゃ… 分かった、行く、だから…」

 最後まで顔面を紅潮させていたゴロツキも、肖に凄みを利かされると真っ青になって飛び出していった。
 鬱陶しいだけの話ではあったが、いわゆる最悪の事態はこれで避けられた。

 フロアには2人だけが残った。
 探していた方は陸 央龍(ルー・ヤンロン)、中国武術界では名家とされる陸家の末裔。
 名の由来は中央の龍、即ち五行思想でいう『土』の神獣、黄龍(麒麟)であり、転じて麒麟児だった。
 探されていた方は肖 俊光(シャオ・チュンクァン)、ロンドン華僑を牛耳る肖一門の跡取り。
 名の由来は目映いほど才知に優れた傑物、即ち神童であった。

 共に名が体を表す二人の再会。
 これが物語にどのような影響を与えるのか、それが分かるのはまだ先の話である。

835 :今日はここまでかもですアナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 17:45:29 ID:???

〜 翌日午後 〜 <グレーター・マンチェスター/マンチェスター市街>

 フロレンティア・ヴィオラは無事にマンチェスターへ到着し、指定された宿泊施設で一泊した。
 一夜が明け、午前中はマンチェスターUユースのコートを借りて調整が行われた。
 明日がテストマッチの本番、試合前の準備として問題は残っていなかった。

 後は明日に備えてコンディションを整えるだけとなったが、遅めの昼食を終えてからの僅かな時間、
選手達にほんの少しの自由が与えられる事に決まった。
 たかだか1、2時間かそこらの自由であるため、精々街並みの雰囲気を楽しむ程度しか出来ないが、
三杉にも当然この自由を活用する事が許されている。

☆どうしますか?(その1)

 A 一人で行動する(さらに分岐)
 B 誰かを誘って行動する(さらに分岐)
 C 複数の誰かを誘って行動する(さらに分岐)
 D その他(要『誰と、何処で、何をしたいか』)

2票決です、メル欄は空白で

836 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 18:05:01 ID:Js7/+MJM
C

837 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 18:05:19 ID:TR49op/I
B

838 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 18:38:20 ID:NZR/FCKc


839 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 19:30:38 ID:ai6X2SrI
B

840 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/17(木) 19:43:35 ID:???
☆どうしますか?(その2)

 以下の人物の中から誘いたい相手を1人だけ選んで下さい。

 ブンナーク、新田、ミハエル、オジオ、レントゥルス
 オワイラン、ダラピッコラ、ミュラー、ラムカーネ、
 シーザー、マエリベリー、モニカ

三票決、メル欄は空白

841 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 19:48:17 ID:ai6X2SrI
ブンナーク

842 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 19:49:11 ID:Z5pTiYWw
オワイラン

843 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 19:49:13 ID:fPCo1aRg
オワイラン

844 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 19:52:27 ID:Js7/+MJM
オワイラン

845 :森崎名無しさん:2014/07/17(木) 23:45:54 ID:???
ここにはアーバックルの選択肢はないのか

846 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 02:22:50 ID:???

> B オワイラン1人を誘う ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「出掛けるのかい?」

オワイラン「ええ、人と会う約束をしていまして。」

 オワイランに特定の用事があった訳ではない。
 ただ少しばかり彼と戦術の話を交わしてみるのも良いかと思いついただけだ。
 そんな調子で部屋を訪ねてみたところ、誰かと会うために出掛けようとしている事を知ったのだ。

三杉「マンチェスターに知り合いがいたとはね、それは想定してなかったよ。」

オワイラン「ああ… いえ、この日のマンチェスターで待ち合わせをしたんです。
       試合の詳細日程が決まってから、それが最も都合が良かったので。」

三杉「ほう。」

 話を聞くと、会うこと自体はどうやら以前から決まっていたらしい。
 地元でない場所を敢えて選んだのか、日程や地理的な話を優先した結果かは分からないが、
いずれにせよ何か普通とは言えない大事な目的があると想像出来る。

847 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 02:24:17 ID:???

三杉(または密かに恋人が居て逢瀬とかね… しかも海外を飛び回ってる相手だ。
    …さて、気にならないと言えば嘘になるな。)


☆どうしますか?(その3)

 A 特に何も聞かずに見送って終わる。
 B どんな人と会うのか、それとなく聞いてみる。
 C 誰と何の目的で会うのかを問い質す。
 D 話を切り上げ、後でこっそり尾行してみる。
 E その他(自由記述)

三票決、メル欄空白で

848 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 02:58:33 ID:In5Os1cg


849 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 04:24:44 ID:0RUa12ZM


850 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 07:18:41 ID:ZbrMFibE
B

851 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 07:38:11 ID:bHpF10OE


852 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 11:17:23 ID:???

> B どんな人と会うのか、それとなく聞いてみる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

三杉「ちなみに相手はどんな人なんだい?
     興味本位だから答えたくなければ答えなくても構わないけど。」

 …と、三杉は下世話になり過ぎないよう尋ねた。
 品行方正で容姿にも秀でたオワイランならば恋人がいて何ら不思議ではない。
 恋人との短い逢瀬、遠く異国の地で… シチュエーションとしては羨むようなグレードだ。
 誰であっても想像を禁じ得まい。

 しかしオワイランの回答は三杉の想像とは違っていた。

オワイラン「ヴォルフですよ。 ほら、ヴォルフガング・フライハイト。 覚えていますか?」

三杉「フライハイト… ああ、サーカスの彼かい?」

オワイラン「そう、その彼です。」

 三杉は2〜3ヶ月ほど前に出会ったサーカス団員の少年を思い出した。
 片目が隠れるくらいに前髪を長く垂らした特徴的な外見はバッチリ記憶に残っている。
 それに彼は木から滑り落ちた三杉を受け止めて助けてくれた相手だ。

三杉「そうか。 なるほどね、サーカス団員の彼ならば出先で会うという偶然もあるか。
     マンチェスターかこの付近の都市で巡業があったってところだね?」

オワイラン「ええ、まあそんなとこr……」

三杉「うん?」

853 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 11:19:09 ID:???

 ここで急にオワイランが口籠もった。
 理由が分からずに三杉は首を傾げた。
 オワイランは『よし』と頷き、顔を上げて三杉に視線を向けた。

オワイラン「良かったらミスギも同席しませんか?」

三杉「え? いいのかい? 確かに僕も彼と面識はあるけれど…
    よほど長く懇意のある君達の邪魔にならないか心配だな。」

オワイラン「確かに彼とは旧知の仲ですが… 今日は交流ではなく、少しばかり重要な話をするんです。」

三杉「重要な話…?」

オワイラン「ラムカーネに関係することです。」

三杉「え、ラムカーネに関係…? それは…考えてもみない名前が出て来たね。」

オワイラン「ミスギは知らなくても支障ない事かも知れません。
       でもキミは既に知る権利を持っているから。」

三杉(ええと… これは予想外の展開になったな。)

オワイラン「関わって、危害が及ぶような事は恐らくありません。
        ですが知らなくて良い事を知るのは、人によってはそれだけで負担になります。
        普通に生きていると想像もしない、理解の及ばぬ領分ならば尚更ね。」

854 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 11:20:25 ID:???

三杉「……」

オワイラン「でも、ミスギはそういうタイプではないとボクは見ています。
        どうです、同席しますか? もし同席しないのならば、この話は忘れて下さい。
        勝手な事を言っているとは思いますが。」


☆ どうしますか?(最終)

 A 同行する
 B 同行を断る
 C その他(要記述)

3票決です、メル欄は空白で

855 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 11:21:11 ID:qIr/81VE
A

856 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 11:34:58 ID:1rvaM5vE
わなじゃないし
A

857 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 11:49:10 ID:In5Os1cg


858 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 12:31:19 ID:???
ラムカーネ=自爆マニア、オワイラン=砂漠の王子、フライハイト=ピエロときて、
「●●こそが正義だ!(●●は作品により変化します)」は未登場なんだよね。
あとは…死神か。アイツ出てきたっけ?

859 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 12:33:09 ID:???
死神はヘルマーでは?なお、お約束どおり貧乏くじを引いてる模様

860 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 12:37:30 ID:???
あー、そういえばヘルマー、ヒドラ()がちゃんとヒドラだった時に工作員ムーブして気絶させられたりしてたねえ。

861 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 12:43:30 ID:???
ごひは陸?

862 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 16:16:46 ID:???
DFだから肖では……と思うが、ちょっと強すぎるかなあ。
何しろスペルマンでしくじったからの加入なんだろうし。

863 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 16:19:23 ID:???

> A 同行する
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 オワイランに連れられて到着した場所は、マンチェスター・ディーンズゲートというおよそ庶民が近寄る事も
出来なさそうな高層ホテルだった。
 ついていくままエレベーターに乗って上層階まで一気に上がり、クラウド23という(夜はレストラン・バーとなる)
ティールームに入った。
 パノラマビューの店内はいかにも豪壮で、また席は個室に近いような形で区切られていた。
 店内にはいかにもリッチそうなマダムが数組、アフタヌーンティーを楽しんでいる程度で喧騒は皆無。
 ビジネスシーンでも使われそうな、いわゆる内緒話に都合の良い店という印象を受けた。


フライハイト「同伴者が居るとは聞いていなかったが。 確かジュン・ミスギだったな?」

 個室席の一つでオワイランと共に待っていると、やがてフライハイトが現れた。
 彼は待っていたのがオワイランだけでなかった事に驚いた様子を見せたが、どうやらこちらの顔を覚えて
はいてくれていたようで、まずは手を差し出して来た。

三杉「今日は邪魔してすまない。 ともかく久し振りだね、ヴォルフガング・フライハイト。」

フライハイト「ああ。」

 手を握り返して挨拶をすると、小さいが微笑みを返してくれた。
 ここでようやくオワイランが間に入ってくれた。

オワイラン「ヴォルフ、彼はボクが直前に誘ったんだ。」

864 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 16:21:05 ID:???

フライハイト「マーク… そうか。 聞かれて構わないんだな?」

オワイラン「うん、彼は聞く資格があるんだ。 ラムカーネから名前のないかいぶつ≠受け取ったからね。」

フライハイト「ほう。」

三杉(名前のないかいぶつ…)

 その単語に三杉は心当たりがあった。

 初めてフライハイトと出会ってから間もなく、三杉はラムカーネと話す機会をもった。
 ラムカーネがスタミナ不足ではなく、もっと大きな危うい問題を抱えている事に薄々気づいており、解決
方法を探すために彼の事を知ろうとしたのだ。
 ラムカーネは問題を抱えている事に関しては肯定したものの、その中身や原因については何も語らず、
それ以上の詮索は『無意味』と三杉を拒否する態度を取った。
 だがそれでも諦めず、三杉はサッカーへの情熱や仲間達、ラムカーネ、フロレンティア・ヴィオラというチーム
への思いなどを懸命に語り、ありままの感情を彼にぶつけた。
 結果、三杉は僅かながらラムカーネの心情を聞くことに成功し、一冊の本を渡された。

三杉(その本の題が名前のないかいぶつ≠セった。 ラムカーネはあの本が自分のルーツだと
    言っていたが、僕にはあの本の意味も彼の言葉の意味も結局は分からなかった。)

 今日ここで話されるのは、あの日分からなかった話の答えなのだろうか?
 三杉は驚きと期待が体の中へ広がっていくのを感じた。

865 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 16:22:24 ID:???

フライハイト「まずは最重要項目を伝えておく。 ドクターJの居場所が判明した。」

オワイラン「本当かい!?」

フライハイト「間違いない。 ドイツにあるルーエンハイムという小さな町だ。」

オワイラン「そっか… ようやく…。」

三杉(ドクターJ? 何か引っかかる名前だ。 何処かで見たような…)


☆心当たりはありますか?

 A ある(要:具体的な記述)
 B わからない

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866 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 16:34:55 ID:CbWraR7M
A 別の戦いで心身ともにボロボロになったラムカーネを生かしてくれた
  ・・・つまりラムカーネの過去を知っているかもしれない人物



【楽な戦い】Another-C_4【なんて無い】の>>581 に書いてありました
三杉本人が聞いたドクターJの話はたぶんこれだけのはず

867 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 16:39:30 ID:In5Os1cg
A 別の戦いで心身ともにボロボロになったラムカーネを生かしてくれた
  ・・・つまりラムカーネの過去を知っているかもしれない人物

なるほどー

868 :866:2014/07/18(金) 16:46:23 ID:???
あ、でもあくまで俺の答えだからね?何かほかにあると思うなら探してみたほうがいいかも

869 :866:2014/07/18(金) 16:52:50 ID:???
ただ一つ気になるのが
>三杉(ドクターJ? 何か引っかかる名前だ。 何処かで"見た"ような…)

聞いたんじゃなくて見たっていってること、多分バッドイベントにはならないだろうけど
そこで何かのミスしてる気がしないでもない

870 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 18:01:36 ID:NWRtRQYc
>>866

871 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 18:13:27 ID:???

> A>>866
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 『ドクターJ』という言葉を頭の中で必死に検索し、三杉はその名を思い出した。
 何の事はない、ラムカーネ本人から聞いたのだ。

三杉(ラムカーネはサッカーをしている自分を、戦いに身を置いていると表現した。
    その任務を与えたのがジョアンコーチ、そしてドクターJと言っていた… 確か。)

 それを思い出すと、更に記憶は浮かび上がった。

 『かつてオレは別の戦いの中にいた・・・それは虚しさしか生むことのない戦いだった。』
 『戦いが終わり、身体もボロボロになったオレはこの時代に必要がなくなった。』
 『しかしドクターJはオレを生かし、ジョアンはオレを求めた。』

 ドクターJとは、かつて廃人のようになったラムカーネの命を救った…
 つまりジョアンコーチと共にラムカーネの過去を知っている可能性がある人物かと思い至る。

三杉(だが、違うな…… そうじゃない。 気になるのは文字だ。 J≠フ文字だ。)

 ドクターJは確かに記憶にあった。
 だがその存在の大きさは、記憶の限りにおいてジョアンコーチと同列しかない。
 それならば(今でこそ何処で活動しているか分からないが)、カンピオーネの名前を経由して
ジョアンコーチを探す方が余程楽なように思えた。
 ここでジョアンではなくドクターJの名が出たという事は、ドクターJとはラムカーネにとってもっと
重要な人物、或いは重要な事を知る人物でなくてはならない。

872 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 18:16:38 ID:???

 その解答の鍵となる情報を、三杉は何処かで目にした気がしていた。
 しかしどうしても思いつかなかった。

三杉「すまない、ドクターJとは一体何者か教えてくれないか?
    以前ラムカーネからは、彼の命を救い、サッカーの世界へ行くことを勧めた人物と聞いたが…」

オワイラン「えっ、ラムカーネからドクターJの事を聞いていたのかい!?」

三杉「ああ。 しかしもっと重要な人物の筈なんだ、引っかかる理由がどうしても分からない。」

フライハイト「なるほど、マークから聞いていた通り鋭いな。 探偵の素質がありそうだ。」

 そう言うとフライハイトは紙とペンを取り出し、サラサラと一つの名前を書いてみせた。
 それを見て三杉は思わず『あ、そうか!』と漏らしてしまった。


 Jacob Fabulack


 ヤコブ・ファベロック… そう、あの名前のないかいぶつ≠フ著者の名前だった。

 その頭文字のJ=@これこそが引っかかりの理由だったのだ。
 そしてこれは、引いてはドクターJとラムカーネを繋ぐ引力の強さを浮き彫りにしていた。

873 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 18:18:16 ID:???

三杉「つまり、ドクターJとはラムカーネのルーツとなる人物という事か。」

フライハイト「ああ、この男はラムカーネの生みの親とも言って良い。」

三杉「実の両親ではないと言っているね?」

フライハイト「そうだ。 ラムカーネをあのようにした人物と言うのが正確だった。」

 三杉は絡まった糸が少しずつほどかれていく事に興奮を覚えた。
 一つ分かれば自然と次に知るべき謎も見えてくる。

三杉「ではあの本、名前のないかいぶつとは一体何なんだい?」

フライハイト「簡単に言えば洗脳書だ。」

三杉「洗脳書!?」

フライハイト「長期間読み聞かせる事で、元々の人格を限りなく希薄にする効果があの本にはある。」

オワイラン「人格が希薄になった人間に新たな人格を加えたり、または上書きしたりして、
       全く違う人物像を作り出す… 人格を改造する心理技術のためのテキストブックなんだ。」

三杉「そんな… 何だそれは…」

 衝撃的な告白に三杉は言葉を失った。
 だが逆に頭は冷静に物を考える事が出来ていた。
 ラムカーネの感情が非常に希薄だった理由がこれで明らかになった。
 しかし同時に違和感も生じた。

874 :アナカン ◆lphnIgLpHU :2014/07/18(金) 18:19:38 ID:???

☆ここまでの話を聞いて違和感ありますか?

 A ある(要:具体的な記述)
 B 具体的な事は出てこない

2票決です、メル欄は空白。 投票は本日中のみ受け付けます。
正しい記述を書けば内部的にボーナスが得られますが、パッパと先へ進みたければBを選択して下さい。

875 :森崎名無しさん:2014/07/18(金) 18:27:24 ID:mvoSWKaw
A性格を消したのに何故上書きしないのか?

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