キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【楽園の未来】鈴仙奮闘記31【映す試合】

1 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/26(水) 00:17:11 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで師匠を超えるために努力する物語です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。

☆前スレ☆
【影の役者】鈴仙奮闘記30【天才の相棒】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1435582878/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html

☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠、八意永琳に並ぶ選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。

全幻想郷代表選抜大会で活躍し、代表メンバーの一員となる事を夢見てきた鈴仙はある日、
自身が『プロジェクト・カウンターハクレイ』のキャプテン候補に選ばれている事を知る。
それは霊夢や紫達幻想郷に敵対し、以て幻想郷の価値観を覆すという壮大な計画。
更に鈴仙は、全幻想郷代表の下部組織、『リアル・幻想・セブン』の一員として、
乱心した八雲紫と幻想郷を救って欲しいと紫の式・八雲藍から懇願された。

結論を出せず思い悩む鈴仙の心の隙を突く悪しき者も居た。
幻想郷の人心を把握し暗躍する豊聡耳神子とその一派は、ありとあらゆる手段で鈴仙を苦しめる。
幸いにも鈴仙は仲間を信じる事で、彼女達による魔の手を乗り切り準決勝を突破したが、
紫の弱みに付け込み責任を逃れた神子達は未だ潜伏を続け、『ハイパーカンピオーネ』計画の成就を狙う。

そんな中、準決勝第二試合。紅魔スカーレットムーンズ対博麗連合2015の対戦が幕を開けた。
総合力と大技で押し切り、前半で2点のリードを奪った博麗連合は一見順風満帆。
しかしその影で、キャプテンの霊夢は大きな挫折と劣等感に苦しむ親友・霧雨魔理沙との距離感に悩んでいた。
一方、紅魔スカーレットムーンズは点差を前にしてもますます結束を強め、後半戦でも好プレーを見せる。
――が。体力の消耗を悟った風なパチュリーは、仲間のパスを突然カットして……?

27 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/28(金) 00:44:14 ID:???
ザワザワ……ザワザワ……

実況「……え、えー。一旦状況を整理しましょう。
全幻想郷選抜大会準決勝第二試合、紅魔スカーレットムーンズ対博麗連合2015の試合。
現在は後半12分で、スコアは0ー2、博麗連合が2点をリードしております。
そして満を持して迎えた後半戦、スカーレットムーンズは天子選手の大型シュートを防ぎ、
チャンスを掴んだかと思いきや……!」

魔理沙「……何のつもりだよ。勉強のし過ぎで頭がおかしくなったんじゃないのか?」

パチュリー「ゴホッ、ゴホッ……。――ちょっと、考え方が変わっただけよ。あんたの真似をしようと思っただけ」

スッ……。タッ。

小悪魔「な、なんで……! なんでパチュリー様がレミリアお嬢様へのパスをカットしてるんですか!?」

ボールの位置はセンターサークル付近、やや左サイド寄りの場所。
フランドールとレミリアが共に上がり目の位置に居るのに反し、
パチュリーの位置はFWとして高いタックル力を誇る魔理沙の目の前。
更には先程パスカットに向かった霊夢やアリスもすぐ近くに居る。
これから逆転に向けて攻めるには、あまりに不利な位置取りであり、これが秘策とは思えない。
咳き込みながら、パチュリーはニヤリと唇を歪ませてこう言った。

パチュリー「あんたは昔、私にこうご高説をのたまってくれたわよね。
『お前みたいな魔法使いと比べたら、人間の寿命は短い。
だからこそ、一瞬……だけど、閃光のように輝いてみせる』……って。
その言葉。人間だけの専売特許だと思っているんだったら……それは全くの傲慢よ。
――私は死ぬ前に……一瞬。だけど……閃光のように、輝いてみせる……!」

タッ……!

28 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/28(金) 00:46:08 ID:???
魔理沙「それがお前らしくもないスタンドプレーの理由か?
――霊夢もお前も、最近なーんか妙に変わったよな。何だか暑苦しいぜ!」

スッ、ズザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

そして、パチュリーと魔理沙は同時に跳ねた。
疲労が見え隠れしながらも、尚も『芸術的なドリブル』を操るパチュリーと、生き急ぐようにそれに激しくぶつかる魔理沙。
二人の勝負は一瞬だけ互角のように見えたが、今回はパチュリーの閃光の方が強かった。

――シュッ、パァァァンッ!

パチュリー「ゴホッ、ゴホゴホッ……!」

実況「パチュリー選手、魔理沙選手を一対一で圧倒!
そのまま左サイドへと逸れ、ガラリと空いたスペースを猛スピードで爆走していきます!」

霊夢「どうしちゃったのよ、アイツ。……これも何かの作戦?」

アリス「でしょうね。……と、言いたいところだけど。彼女が喘息を克服する為に発動していた魔法――
『フォトシンセシス』が、今は発動していないのよ。
理知的でリスクを嫌うパチュリーが、わざと魔法の効果をストップさせるとは思い難いし。
もしかしたら、本当の本当に持病の喘息が悪化して、魔法も使えない程、理性を失いつつあるとか……」ブツブツ

針妙丸「ねえねえアリス。さっきから人形に話しかけてるけど、霊夢はそんなんじゃ話聞いてくれないと思うよ?」

アリス「う、うるさいわね小人風情が! 私のオートマタ技術に口を挟まないで頂戴!?」

29 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/28(金) 00:47:39 ID:???
オーバーラップの影響で、衣玖と天子はパチュリーに対しタックルへと向かえない。
そのままパチュリーはバイタルエリアへと到達。
レミリアとフランドールは戸惑いながらも、「まあきっとこれもパチェの作戦ね!」と喜んだ表情で
普段の調子でパチュリーに対してボールを要求しており……困惑するのは、博麗連合の番になった。

萃香「う、うーーん? これ、どうするの、森崎? 定石は、レミリアにラストパスを出させない事だと思うけど……」

森崎「(……なんか、WY決勝の三杉を思い出すな。あんときの三杉は割とガチだったが。――今のコイツも、そうなのか?)」

森崎はパチュリーの顔をもう一度見つめ直す。彼女の表情は真剣な苦悶に満ちていた。

パチュリー「……私はね。……ゴホッ。昔からずっと思っていたのよ。
どうして私だけが、こんな喘息なんてつまらない病気で苦しまなくちゃいけないのかって。
どうしてレミィだけが、名だたるゴールキーパーと勝負できて、私は出来ないのかって」

しかし、身に纏う魔力の層が次第に剥がれて行くと、その表情には苦悶に加えて狂気も見え隠れて来た。
パチュリーは血が出る程の大きな咳を何度も繰り返しつつ、こう森崎達に向かって吐き捨てて――。

パチュリー「ゴホッ……! 何故なのっ!何故私には好きなだけ鍛えられる体が無いのっ!何故こんな弱弱しくて
邪魔にしかならない肺しか無いんのっ! 何故サッカーの才能なんか持ってるのっ!
何故サッカーなんか始めたんだ、何故サッカーなんてあるの……何故何故ナゼナゼナゼッ!!」

タッ!

――その瞬間。人間離れをした速度と技巧で、彼女はペナルティエリアの中へと突っ込んで行った。

中里「い、行ったでゴザる!? これはよもや――体力切れを見越した最後の特攻ではなかろうか!?」

萃香「ちぇっ。そんなら、私も行くしかないか!」

ダダッ!

30 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/28(金) 01:01:24 ID:???
パチュリー「ニクイニクイニクイ…苦シメ! オ前モ苦シメ! 地獄ヘ一緒ニ落チロ!!」

ビュンッ! シュシュシュッ!ヒュンッ!

実況「パチュリー選手、今度は博麗連合のDFすらも抜いた〜〜〜!
レミリア選手へと届く筈のパスを奪ってから、まさかの単独特攻で紅魔スカーレットムーンズに
貴重な1点を得る大チャンスが到来しました〜〜〜!!」

パチュリー「ゲホッ、ゴホオッ!?」

フラン「きゃーっ! パチェの口から血が出てるー!?」

森崎「……ちいいっ! おい、何数行で抜かれてんだあいつ等! もう実質俺だけじゃねーか!?
(――あまりに演技が生々しくて、特攻に見せかけた搦め手と決め撃ちするには尚早な気がして来たな。
喘息のフリをするとして、その為にマジで血痰を吐く様な奴……そう居ないぞ?)」

レミリア「…………」

パチュリー「ゴホッ。ゼー、ゼー……ヒュー、ヒュー……!」

タッ……!

実況「パチュリー選手走って行く! これはもう、森崎選手が止めるほかありません!」

森崎「(……分からねぇ。奴がドリブルで来るのか、ここでシュートを決めに来るのか。
それとも、今までのは全部奇策で、実は冷静にバックパスなりレミリアにパスなのか?)」

パチュリーは森崎と一対一で対峙せんと猛スピードで向かって来る。
その真意が何であるか、森崎には推し量る事は出来なかった。
何故なら、この時のパチュリーの表情からは、まさしく先程自身で言ったとおり。
『閃光のように輝いてみせる』という強い意志しか感じられなかったからだ。

31 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/28(金) 01:04:55 ID:???
パチュリー「はぁ……! ハァ……! ゼヒィー、ゼヒィー……!」

そこには、森崎が得意とする損得勘定や権謀術数は全く存在しない。
意地の塊が何も加工されず、そのままぶつかって来たような錯覚を覚えた。

森崎「(……アリスがボソボソ呟いた情報によると、アイツは――パチュリーは今、
持病の喘息を防ぐ魔法も使わず――もしくは使えずに、ここまでやって来た。
だとすると、これはちょっと凄い覚悟だ。……そして、覚悟のある奴って、大体強いんだよな)」

だからこそ、その正体が策であれ単なる特攻であれ。
森崎はパチュリーが自分に対し見せてくれた意地を評価し、
自分もまた同じ意地で対決したいという気持ちを抱くに至り。

森崎「(――だったら、面白れェ。普段秀才ぶった奴のクソ意地を見るだけでも楽しいが、
それを更にブチ破った後の顔を見るのは、もっともっと面白れェ筈だ!
……となれば、今こそ――『超モリサキモード』の出番だな!)……ハァァァァァァッ………!!」

ゴオオオオッ! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!

森崎は目を閉じ大きく息を吸いこんで―――。

森崎「 ――――カ ッ!」

ゴウッ!!

一言と共に気合を解き放つと同時に、自身の体内に潜む潜在能力を、限界以上に解放させる。
彼は――超モリサキは、今や自信の眼前にまで接近したパチュリーに対して人差し指をくいくいと引きつつ、
こう挑発してやった。


超モリサキ「――来いよ、自称賢者。ぶっつぶして、下剤を盛って、
その上で肺にコークスクリューブローでも掛けて、後悔させてやる。……この俺様に、刃向った事をな!」

32 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/28(金) 01:14:13 ID:???
…と、いったところで今日の更新はここまでです。
本日もお疲れ様でした。

33 :森崎名無しさん:2015/08/28(金) 03:29:36 ID:???
乙です
これはわざと吐血をして血で森崎の足を滑らせるという賢者の作戦に違いない!
フッ、我ながら先の展開が分かっちまうこの俺様の頭脳が憎いぜ(キリッ

34 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/29(土) 02:01:19 ID:???
こんばんは、ちょっとだけ更新します。
>>33
乙ありがとうございます!
判定アリで森崎ピンゾロとかだったら、真面目にそんな展開も良かったかもですw


35 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/29(土) 02:03:16 ID:???
そこからの睨み合いはまさしく一瞬。
しかし対峙するパチュリーと超モリサキにとっては永遠にも等しい時間だった。
ドリブルで突破するか、シュートに向かうか。はたまたキックフェイントで本命はレミリアか。
理性を捨てた獣の如く、両者は言葉も忘れて感覚を研ぎ澄ませ――。

パチュリー「……―――!!」

 グワアァァァァッ……!!

まず最初に動いたのはパチュリーだった。
眼光を光らせ、理性を失った状態でも尚的確なコースを瞬時に割り出し、
全く無駄の無い、効率的で洗練されたシュートフォームを取る。
その動きこそは地味であるが、威力は絶大。
パチュリーの秘密兵器とも称される、『クワッドスパーク』の構えだった。

超モリサキ「……チッ。シュートか!」

そしてそれは、ドリブルに備えていた超モリサキにとっては悪い知らせだった。
このコンマ数秒で既に全身はドリブルボールを包み込むよう大きく飛び出ており、
通常の動きではパチュリーのシュートに対応するのは不可能に思えた。

咲夜「(今の動き……超モリサキ君はドリブルに備えた!
そしてあの体格を見るに。
彼はセービングは一流でも、フィジカルの強弱や体格が大きな差を生む、一対一までもが得意かどうかは怪しい!
――パチュリー様の意図が未だ掴めませんが。これは――とうとう私達に貴重な1点が―――!?)」

――そのため、紅魔スカーレットムーンズを含めた周囲の者が、今の咲夜のように考えるも当然だった。
パチュリーは自分の身体をも犠牲にした策略――あるいは純粋な思いの爆発により、
今大会最強GKを打ち負かす事ができる。出来るに決まっている……と。

超モリサキ「ぐおおお……っ!」

36 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/29(土) 02:04:31 ID:???

しかし、そんな希望的観測には、当然の如くいくつか間違いがあった。
まず、超モリサキは一対一が苦手では無い。
圧倒的なセービングの影に隠れてはいるが、彼は一対一の技術においても世界クラスの名手。
小柄な身体による制約は確かに大きいが、超モリサキがそうした生まれつきのハンディキャップを甘受する訳が無い。
そしてもう一つ。
超モリサキは野心家で傲慢である一方、強者を素直に強者と認め、
必要とあらばその教えを乞う程の謙虚さと誠実さも持ち合わせていた。
そして超モリサキの所属していたチームには、運の良い事に、
一対一を得意とする幻想郷でも最高峰のゴールキーパーが居た。彼はその好機を見逃す筈が無かった。

萃香「おっ。アレをやる気だね、森崎ったら。アレは元々私の専売特許なんだから、くれぐれもミスるなよ」

超モリサキ「(萃香さん……。アンタは正直、俺がこのチームの正GKを獲る為の障害でしかなかった。
だけど俺は、勝つためなら道中の障害を拾って自分の武器にする男だ!
技では無いが、真似させて貰うぜ! アンタの――『不羈奔放の古豪』に相応しいプレーをな)」

――不羈奔放(ふきほんぽう)とは、世間のしきたりに囚われず、思いのままに振舞う事が原義。
それはある意味、サッカーの既存の枠組みに囚われぬ超モリサキにとって相性の良い言葉だった。
だからこそ、超モリサキは途方も無い努力の末に身に付けた。人間離れした執念で、運命ごと全てを捻じ曲げるプレーを。



超モリサキ「―――だぁあああああああああああああああっ! ふざっけんなああああああ!!!!!!」

ドンッ! ガチッ! グギッ、グリィィィッ……………! ブンッ!
 ……バチイッ。―――ガイイイイイイイン、ポーーーーーーーーーーンッ!


パチュリー「…………!?」

37 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/29(土) 02:05:35 ID:???
実況「……し、信じられない! 森崎選手! パチュリー選手のシュートに身体が追いつかないと見るや、
咄嗟の判断で間接を外して骨を伸ばし、腕の長さを無理矢理に拡張して見せた!
そして……ボールは森崎選手の腕を掠め、僅かに軌道を外し、ゴールポストにぶち当たります!
自分の身体を犠牲にしてでもゴールを防ぐ一連のプレー! まさしくこれが森崎選手の『がんばりフォートレス』!
森崎選手、セービングだけでなく一対一においても超一流のプレイヤーである事を証明してしまいました〜〜!!」

パチュリー「ゴホッ、ゴホッ…! ほ、ほんとうに……ゴホッ。信じ……信じられない……!」

ゴリッ、ガリガリッ。……ゴキッ。

超モリサキ「――良いねその反応。その表情。俺が一番好きな種類のヤツだぜ」

フラリ……。

超モリサキ「アイテテ……。やっぱり脳内麻薬が効いてても、痛いモンだな。ま、念じとけば治るか」

小悪魔「ば、化け物……。悪魔です……!」

僅かによろめく身体を自分で抱きしめながら、超モリサキはパチュリーに絶対的な絶望を叩き付けた。
パチュリーが持病の喘息を押してまで一対一に向かった覚悟と同じ
――いや、もしくはそれ以上の覚悟を、超モリサキは持ち合わせていたのだ。

パチュリー「……フフ。ウフフ……」

ドサリッ……。バタンッ。

小悪魔「ぱ、パチュリー様ーーーーーーーーーーーーーっ!?」

パチュリーは後方に飛ぶボールと、超モリサキのバランスを崩した身体との両方を見てから、
虚ろに笑いながら、糸が切れた人形のようにフィールドに倒れ臥した。
ボランチの小悪魔は思わず駆け寄りたくなるが、しかし試合中に自由に持ち場を動いてはいけない。
天才でありながら、チーム戦術と理論に拘った主人の誇りを、自分が汚してはいけないと思った。

38 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/29(土) 02:09:23 ID:???
森崎の新一対一スキル・『がんばりフォートレス』が発動し、パチュリー敗北!? 森崎はやはり完全無欠!?
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
この技の元となった萃香さんのスキルは
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1368371724/909に載ってるヤツでした。
それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。

39 :森崎名無しさん:2015/08/29(土) 02:25:55 ID:???
乙です

輝夜「セービングだけじゃなく一対一も最強なんて反則よ反則!」

40 :森崎名無しさん:2015/08/29(土) 02:54:06 ID:???
乙です
これはズームパンチ!?まさか森崎は波紋の呼吸をマスターしていたのか!?
師匠!酒!波紋!このキーワードから森崎は高い酒の入ったグラスをもって一滴も零さないという
セービング練習をしていたのか!

41 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 01:15:01 ID:???
こんばんは、そしてすみません。
遅くなりましたがちょっとだけ更新しようと思ってたのですが、
キリの悪いところまでしか書き進められなかったので、明日に回します(汗)
>>39
乙ありがとうございます。森崎の能力は、姫様の大体上位互換みたいな感じですね。
>>40
乙ありがとうございます。そういやズームパンチみたいでしたねw
「がんばる」を突き詰めたらこういう感じになるかなと描写しました。

明日は予定が無いので、沢山文章を書きたいです……。
それでは皆様、また明日宜しくお願いいたします。

42 :森崎名無しさん:2015/08/30(日) 13:14:59 ID:???
一対一必殺技と思ってたがスキルか。

43 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:23:16 ID:???
こんにちは、更新再開します。
>>42
扱い的には発動時強制的に消費ガッツが発生するスキル、と考えていたのですが、
確かにそれだと必殺ブロックとかと変わらないような気もしますね……。
表記の仕方については、また変わるかもしれません(汗)

44 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:24:36 ID:???
中里「(幻想郷に来てからの森崎は、前にも輪を掛けて無茶なプレーをするようになった。
無論、それは確かな技術に裏打ちされてのプレーではゴザるが)」

超モリサキの人間離れしたプレーを、中里は比較的離れた位置で冷静に観察していた。
後半戦も間もなく折り返しという地点での相手側――紅魔スカーレットムーンズによる奇行。
その真意が未だ不明としても、相手は今回の攻撃に相当強い想いを抱いていた筈だ。
それを完膚無きまでに叩きのめした超モリサキに対し、中里は改めて畏敬の念を抱くとともに、
超モリサキがこれまでどのような気持ちで幻想郷でのサッカーに取り組んでいたのか。
その気持ちの一端が理解できたような気がした。

中里「(本来の森崎は、ブラジルで才能も熱意も一流の選手達と一緒にサッカーをしていた。
だが、それが今はあの八雲紫とか言う妖怪の都合で幻想郷に呼ばれ、
才能はありつつもノンビリとした連中と、決して良いとは言えぬ環境でのサッカーに追われている。
……一方で、自身の宿命のライバルが今も恵まれた環境で、恵まれた仲間達と共に
サッカーの技術を伸ばしているというにも関わらず。
――だから、森崎はきっと……この幻想郷でずっと、「焦り」続けていたのかもしれないでゴザるなぁ)」

焦っていたからこそ、超モリサキは幻想郷においてもライバルに取り残されず、
ここでしか出来ない努力を重ね、新たな力を幾つも得る事ができた。
そして、焦っていたからこそ、超モリサキは限界を四、五周程超える負荷を自身に与え、
才能の欠如という事実との矛盾から生じる、絶対的な破綻の到来を早回しにしていたとしたら。
超モリサキは焦っているという推測を基に、中里は一瞬、森崎に訪れる残酷な将来を予見しかけていたが――。

バシュンッ!

中里「――なっ! 今視界を横切ったのは……!?」


――幸か不幸か、彼の思考は空を走る一つの影により遮られた。

45 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:26:39 ID:???
*****

パチュリー「……フフ。アハハハ……!」

超モリサキ「とうとう狂いやがったか。これまでも俺にボロ負けして取り乱す自称天才はゴロゴロいたが、
試合中にフィールド上に突っ伏して爆笑するヤツはそうそういなかったぜ」

中里が影を見たほんの少し前の時間。
勝者となった超モリサキは、地面に倒れ伏したガラスの天才を見下し嘲笑していた。
咳をこらえながら、壊れた人形のように笑う少女は既に賢者と呼ぶべき要素は一つもない。
……しかし。にも関わらず、友人に負けず劣らずプライドの高いその魔女は、
超モリサキに対し、相変わらずの自信タップリな態度でこう言いかえした。

パチュリー「違うわ。私が笑っていたのは、そんなバカな理由なんかじゃない……」

超モリサキ「……何だ? まだ言い訳か?」

そんな態度に超モリサキは更なる挑発で答える。
パチュリーはそれを聞き、我が意を得たりと言った表情で解説を始める事にした。

パチュリー「……こう考えてみてはどうかしら。
今の私の命を削った特攻が、仕組まれていたものだとしたら。
圧倒的に不利な私達が、点を取る為の策の一部であるとしたら……と」

超モリサキ「――何をいまさら。その程度の可能性、何度もシミュレート済みだ。
そして結論として、お前は無策にも突っ込んで来た。
体力温存の為の魔法を掛けず、フェイントの余地があったのにしなかったのがその証拠だ。
お前の特攻は、策があると見せかけての無策だったんだろ?」

パチュリー「……そこで思考を終わらせていたとしたら。あんたはまだまだ青二才ね」

超モリサキ「……あ?」

46 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:28:46 ID:???
バシュンッ!

パチュリーの語った意図を改めて説明するかのように、超モリサキの頭上に一つの影が浮かぶ。
――超モリサキは、ここで初めての動揺を見せた。
パチュリーはゼーゼーと呼吸困難に陥りながらも……超モリサキと自分の友人に、こう得意げに言ってやった。

パチュリー「私が実際に死にかけてまで突っ込んだのは、そうでもしないと策を看破されると見越していたから。
前半戦、あんたがレミィのスルーパスをアッサリと看破したのと同じようにね。
――実力と策謀の両方を併せ持つあんたに勝つには、私達は真正面から戦わない。
奇行に勝つのは奇行。奇行がお得意なあんたも、自分が奇行をされるには慣れてなかったみたいね。
――ね。レミィ」

                バアアアアアアアアアアアアアアッ!

レミリア「ええ。全く私の予測していた運命通りの結末になったわ。――ダンケシェン、パチュリー」

超モリサキ「――なんだよ。最初からここまで、全部が全部布石だったとでも言いたいのか?
わざとI番(パチュリー)に失敗させ、そこからの攻撃を防いだ上で、正当に反撃すると見せかけて奇行に走らせる。
そしてその奇行は概ね成功するが、最後にゴールキーパーに辛うじて弾かれ……」

レミリア「――そして、他のDFのジャマが入らず、お前も適度にバランスを崩した体勢で居る内に、
私が再び『バイシクルレッドサン』を放つ。ここまで全てが、私達の秘策だったって事だ」

超モリサキ「そんなの、作戦でも何でもねぇよ。単なる希望的観測じゃねえか!
最初に天子の『全人類の緋想天』が入っていたらオシマイだし、
I番に奇行させるにしろ、ピッタリ俺が辛うじて弾く事になる確率だなんて、数パーセントも無いぞ!」

レミリア「全体を取ればそうかもしれない。……だが、咲夜達が天人の必殺シュートを防ぐ確率。
パチェが博麗連合の中盤を突破する確率。そしてお前が、バランスを崩しつつも一対一でパチェを防ぐ確率。
それぞれ一つひとつは、充分起こり得る事ばかりのつもりだぞ?
紅魔スカーレットムーンズの皆が。そして、博麗連合のお前達が全力だったならば、
今の状況は、当然起こり得る可能性が高い―――そう思ったまでだ」

47 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:30:36 ID:???
超モリサキ「自分や仲間達だけじゃない。敵の可能性すら信じてた上の策って事か。
……成程な。だとしたら――今のは最高の奇策だな」

レミリアは既に空中で大きく回転していた。ボールは彼女の小さな足の先にあった。
このまま彼女が動けば、ボールは凄まじい勢いと熱量で、博麗連合のゴールを焼き尽くすだろう。
そして、超モリサキは先程パチュリーの『クワッドスパーク』を全力で防いだ反動で体勢を崩している。
また、これまでのパチュリーの特攻によって、先ほどは鮮烈なカウンターシュートを放った萃香や、
強力なブロック技を持つ天子は既に駆逐されている。

レミリア「とりあえず、借りの半分――いや、これから逆転するんだし3分の1かな――は、返させて貰おうか。
何か言い残した事はあるかね、人間?」

空中から紅い悪魔が降って来る。
超モリサキは覚悟を決めた死刑囚のような爽やかな表情で、レミリアに対しこう胸を張って言って見せた。

超モリサキ「ありがとよ。今のお前等の奇行……次に俺様が奇行をする際の、参考にさせて貰うぜ」

レミリアはそんな超モリサキのあっけらかんとした態度に応える代わりに、――短く、しかし大きく吼えた。

レミリア「――――――――――H A!!」

バッ、ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
ドギュルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!
                  ……ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!

―――ズバアアアアアアアッ! ピピイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!


全幻想郷選抜大会準決勝第二試合、後半14分。
この大会で超モリサキに初の失点を与えたのは、奇しくも彼の好敵手とよく似た称号。
――『紅帝』とも称される、吸血鬼の少女だった。

48 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:34:34 ID:???

紅魔スカーレットムーンズ 1 − 2 博麗連合2015


大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
13ゴール レミリア
12ゴール 鈴仙
9ゴール  フランドール、射命丸
8ゴール  魔理沙
7ゴール  勇儀
6ゴール  来生、屠自古
5ゴール  星、諏訪子、霊夢
4ゴール  森崎、神子、反町
3ゴール  早苗、謎の向日葵仮面
2ゴール  神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩、岬
1ゴール  妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳、萃香
       影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、パスカル


大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー、霊夢
5アシスト 小町
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB、レミリア、アリス
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、佳歩
       衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅

49 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/30(日) 15:39:20 ID:???
一旦ここまでです。続きは書き次第更新します。

50 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/31(月) 00:42:55 ID:4P85cf0A
実況「……決まった〜〜〜!! ゴーーーール!
紅魔スカーレットムーンズ、ここで起死回生のゴール! 1−2!
後半15分でとうとう待望の初得点、紅魔スカーレットムーンズ!!
味方のパスをカットするというパチュリー選手の奇行からの、
その結末を読み切ったレミリア選手の痛烈なねじ込み!
森崎選手も恐るべき一対一スキルを見せるなど実力を見せましたが、
ここはスカーレットムーンズの方が僅かに一枚上手でした!!」

観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「あれ、なんだ」「紅魔もやるじゃねーか」「このまま同点だー!」「魔理沙―、ファイナルスパーク出せー!」

レミリア「あーあ、そんなに血を吐いちゃって。別に、『フォトシンセシス』は切らなくても良かったのに」

パチュリー「そんな中途半端な演技だったら、森崎にねじ込みを警戒されてたわ。
それにどっちにしろ、『クワッドスパーク』を撃った時点で私はもうガス欠。
――後は、レミィ。任せたわよ……」

レミリア「分かってる。心配しなくても、後2点取ってやるからさ。――私とフランがね」

フラン「とうとうアレの出番ね、お姉様!」

小悪魔「(さっきの行動は、表面的な理論や理屈だけに囚われていては絶対にできない。
人間の感情や局面局面での相性。その全てを読み切った上で、
しかもレミリアお嬢様を信じきっていないと、今の得点はならなかった。
……パチュリー様は、本当に凄い御方です)」

咲夜「(そして、今の身体を張った得点劇は、臆病なメイド妖精達にも幾許かの勇気を与えたみたい。
幾ら鼓舞していても拭えなかった、チーム全体に蔓延する諦めムードが、今ので完全に消えた。
――パチュリー様は、もうボールキープ位しか出来ないでしょうし、お嬢様の体力もやや不安が残る。
だけど、それでも。さっきのような絶望感はもう無くなった……!)」

51 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/31(月) 00:44:47 ID:4P85cf0A

シュウウウウ……。
ズキッ。ズキズキッ……!

森崎「……ッ!(――ぐ、ぐあっ……!? やべぇっ、無理しすぎたか)」

霊夢「……ドンマイ、森崎。今の失点はしゃあないわ。私でも多分取られてたし」

森崎「……あ、当たり前だろ? 萃香だったら、今頃2、3失点はしてるだろうな
(よし。痛みはまた引いたな。今度、どこかで看て貰った方が良いかもな……)」

萃香「へっ。人間風情が偉そうな事を言うねぇ〜。……ま、妥当な実力診断だと思うけどさ」

衣玖「――とはいえ、状況は依然こちら有利です。
あちらは1点を引き換えに、中盤の要であるパチュリー・ノーレッジを犠牲にしました。
後はそれぞれがそれぞれの仕事さえすれば、負ける事は無いと思いますが」

紅魔スカーレットムーンズが明らかに今のゴールで調子づき、士気を向上させた一方。
博麗連合は依然余裕を失ってはいなかった。
レミリア達は確かに森崎を一枚上回る策で点を奪ったが、
逆に言えば彼女達ですら、自らの身を削った奇策でしか点を奪えなかった。
その森崎の体力も大きく削られたが、まだ大きなプレーに支障が出る程ではない。
衣玖が言ったとおり、焦らず各自の仕事をこなしていれば、勝利は充分容易いのである。

魔理沙「…………」

霊夢「――先に言っておくけど、キックオフで『ファイナルスパーク』は無しよ。
そんな事しよう物なら、こっちから先にタックルでボールを奪っちゃうんだから」

そんな中、レミリア達の華々しい活躍を苦々しげな表情で眺めていた魔理沙は、
焦りとも苛立ちとも取れる表情でボールへと向かったところで、霊夢に制止された。
魔理沙は再び親友への悪態を何か考えようと唇を噛んでいたが――今回は喧嘩に発展する事は無かった。

52 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/31(月) 00:45:50 ID:???
森崎「(……そうだ。ここは――)……おい、作戦会議でもしようぜ。――3点目を、取りに行く為のな」

霊夢「――え?」

魔理沙「……何だって?」

霊夢と魔理沙の間に、森崎が割って入って来たからだ。
普段からして様々な形で作戦を提案してきた森崎がこの場に入る事は、そこまで不思議ではない。
二人の険悪さを織り込み済みの上で、森崎は次のキックオフにおける動きを提案する。

森崎「何、簡単な事さ。ここからキックオフシュートは色んな意味でも論外。
リスクに反して、リターンの見込みが無さ過ぎる。
だが、ここでひよって攻めに行かないのもまた危険。
サッカーにおいて、1点差なんてセーフティリードでも何でもないからな。
だからさ、次のキックオフなんだが――」

霊夢と魔理沙は自然と食い入るように森崎の提案を聞き込んでおり。
――そしてそれ故に、次の森崎の発言に対して……二人は仲良く突っ込んだ。


森崎「――なあ。次さ。俺がオーバーラップして攻めれば良いと思うんだが、どうかな?」

霊夢・魔理沙「「……それって、自分が目立ちたいだけでしょ(だろ)! いい加減にしろ!」」

53 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/08/31(月) 00:47:31 ID:???
森崎「目には目を。奇行には奇行だ!」
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。時間があったのに結局あまり書けなかった…(汗)
それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

54 :森崎名無しさん:2015/08/31(月) 20:46:31 ID:???
レミリアお嬢様はルーマニアではなくドイツ出身だった……?

乙です

55 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/01(火) 00:40:51 ID:???
こんばんは、ほんの少しだけ更新します。
>>54
乙ありがとうございます。お嬢様は割とノリで生きてる方なのでどこ出身でも大丈夫です。

56 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/01(火) 00:41:55 ID:???
森崎の提案は当然の如くあっさりと却下された。
何せ森崎は、1点差がセーフティリードでも何でも無いとか言っておきながら、
実際はその安全でないリードを詰めるような危ういプレーを提案している訳である。
適当に理論武装しといて、結局は自分が目立ちたいという下心が丸見えだ。

魔理沙「……あのな。私は真剣に考えてるんだよ! この次どうしようかって――」

森崎「んで、出た結論がキックオフシュートか? だとしたらお前、魔法使い止めた方が良いぜ。知性が少なすぎる。
魔法使いってのは往々にして、チームの参謀役として、どんな時でもクールに最適解を求めるモンだろ?
あっちのチームのパチュリーって奴の、爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いぞ」

魔理沙「……そ、そこまで言う事ないだろ! 私だって……」

スッ……。

魔理沙「(あ。あれ……。森崎の今の仕草。何だか共感を覚えるような……?)」

魔理沙は当然ながら森崎に反発した。
偉そうに語っているが、要するにあいつも霊夢と同じく、高みの位置から自分を見下しているだけだと思ったからだ。
今日の試合開始からずっと拗らせていた霊夢への歪んだ想いが、魔理沙の思考をネガティブにしていた。
――森崎が無意識の内に見せた仕草が、魔理沙の眼に入るまでは。

森崎「(――はあーあ。腰の痛みにも慣れちまって来たなぁ。ジンジン痛むのが、気持ちよくなってきそうだ)」

魔理沙「(――森崎が無意識に腰をさすっている。まるでそこが痛むみたいに!
もしかして。……私が『ファイナルスパーク』の力を制御できないのと同じように。
森崎もまた、自分のガッツを限界以上に解放する大技に……身体が、追いついていないとか……?)」

57 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/01(火) 00:44:48 ID:???
それは魔理沙にとって都合の良い妄想。森崎はこれまで自分の仲間だったから、きっと自分と同じ苦痛を抱えているはずだ。
きっと自分と同じく、どうしても越えられぬ才能の壁の前で、身を削りながらもがいているはずだ。
先ほどまでは森崎を霊夢と同じと否定しつつも、魔理沙は森崎に対し、心の奥でそうした願望を抱き続けていた。
だからこそ――きっかけは妄想であったとしても、魔理沙は森崎の腰痛に気が付いた。

魔理沙「(もしそうだとしたら。森崎もまた、『がんばりセービング』の副作用で私と同じく身を削っているとしたら。
……だとしたら、私はなんて恥ずかしい奴だったんだ。なんせ私が自分の事を考えている間。
森崎は何一つ悩まず、それよりもチームの勝利を優先に考えていたんだからな。
成程。――森崎。お前、私よりもずっと魔法使いに向いてそうだ)……いや。
やっぱり、オーバーラップ作戦についても考えてみるのも良いかもな」

霊夢「……え、マジ?(私が色々言っても逆ギレするだけなのに。森崎が相手だとヤケに素直ね……)」

魔理沙は森崎の真意を察し、彼の提案したオーバーラップ作戦に力強く頷く。
それに目を丸くしたのは霊夢だったが、あの頑なな魔理沙が賛成した事への驚きと
これまでの実績により芽生えた森崎への信用から、強く否定はしなかった。

霊夢「まぁ、それなら……。私からは、ここからのオーバーラップの意義について。
どういう考えか、聞かせてくれるかしら、森崎?」

森崎「……相変わらずの上から目線だな。本当にどっかの誰かさんを思い出すぜ。その爽やかなまでの傲慢さ。
――いいさ。教えてやるよ。この俺様の考えた、良い所どりの攻撃プランをな」

霊夢もまた、森崎の創り出した輪の中には入っていく。
考えてみれば、霊夢にとって自分以外の人物が中心になる機会は新鮮に思えた。

霊夢「(……思えば最初っからコイツはいけ好かない奴だったし。
勝手に派閥を作ったり私のイメージダウン工作を仕掛けてきたり、とんでも無いヤツだと思っていたけど。
――なーんか、憎めないのよねぇ)」

そして不思議な事に、森崎の言い分は勝手かつ傲慢、自己中心的で弱者を顧みないため、
一般的に言えば腹立たしい事が多いのだが――それも含めて、霊夢はこの時間を楽しんでいた。

58 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/01(火) 00:48:25 ID:???
……と、いったところで今日の更新はここまでにします。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

59 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/02(水) 00:26:05 ID:???

――ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!

魔理沙「(よし。始まった……!)」

そうしてキックオフのホイッスルが鳴った。
有力選手が大きく消耗した紅魔スカーレットムーンズは、
0トップの布陣のまま大きく攻める様子は見受けられない。
そんな様子を確認して――森崎の手筈通り、まずは魔理沙が動いた。

魔理沙「……う、うおおおおおおお〜〜!」

ダッ! ダダダダダッ……!

実況「お〜〜っと! ここでとうとう霧雨魔理沙選手が動いた〜〜〜!!
後半15分に1点を追われる状況での、博麗連合のキックオフ!
1−2に傾いた試合を1−3の圧倒的状況に戻すため、ここはもしや……!
霧雨魔理沙選手が第一回戦でも魅せた圧倒的シュート・『ファイナルスパーク』が
出るのでは無いでしょうか〜〜〜〜!?」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ……!!

フラン「だってさ。どうするの、お姉様?」

レミリア「無い無い。あれはどう見てもブラフだ。
大方魔理沙が蹴るフリをして、後ろから霊夢か……もしかしたら例の小人あたりが
ドリブルで突っ込むんでしょうよ」

フラン「ふーん。まあ確かにシュートを撃つにしても、それならあそこまで大袈裟に叫ばないよね。
魔法使いのクセに演技がヘタだもの、魔理沙ったら」

60 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/02(水) 00:28:10 ID:???
センターサークルからシュートを撃つように、後方からダッシュでボールへと駆ける魔理沙。
しかしそれを見ても、紅魔スカーレットムーンズは動じようとしない。
元々レミリアやパチュリーが大きく消耗したため、逆転するにも暫く守勢に回るのは必定だったが、
魔理沙の突進がシュートでは無いと言う意図は、彼女達から見ても容易にわかる事だった。
――が。

魔理沙「うおおおおおおおっ……っと、頼むぜ! ―――森崎!!」

森崎「おう!」

バシッ……ポムッ。  スッ………タタタタタタタタタタタタタタッ!

レミリア「いつもはパチェを立てる為にあえて気を遣ってるけど、
本当は知力においてもこの私が紅魔館ではナンバーワンなのよね。
フッ……妹よ。私は時々、この悪魔のような自分の知能と才覚が恐ろしくなる…――って、アレ?」

パチュリー「ゴホッ、ゴホッ……!(――私の体力と気力さえまだ残っていれば、
オーバーラップを警戒するよう伝えられたのに……! 
レミィったら、本当に、こういう肝心な時に限って間が抜けているんだから……!)」

この時レミリアは迂闊にも失念していた。
博麗連合には霊夢と互角のドリブラーが一名居る事。そしてそのドリブラーは、普段はGKを務めている事を。
魔理沙が予想通りシュートフェイントで右サイドに流したボールは、霊夢でも、針妙丸でも、アリスですらなく。
……いつの間にかゴールを全力疾走で抜け出して来た、森崎によりフォローされた。

実況「あ〜〜っと! ここはシュートでは無く、森崎選手によるオーバーラップでした!
そういえば、森崎選手が外界で活躍していた際も、ゴールキーパーであるにも関わらず、
頻繁にオーバーラップでのドリブル突破を繰り返し、並みのFW以上の実績を挙げていたという噂があります!
そして確かに幻想郷においても、森崎選手は大会前半をFWとして4ゴール2アシストの活躍を遂げている!
これは間違い無く奇策ですが、この奇策はよもや、紅魔スカーレットムーンズに大きく刺さるかもしれません!」

61 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/02(水) 00:30:37 ID:???

観客席「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??」
「す、すげえ……博麗連合のFWが4人になってるよ」「噂は本当だったんだ…」「この幻想郷では常識(ry」
「というか外の世界の方が幻想的じゃね?」「中里とかも分身するしな…」「何でも良い、勝て〜!」

鈴仙(観客席)「失敗したら2点差どころか、同点だってあり得るのに。……ねぇ、中山さん。あの森崎ってのは正気なの?」

佳歩(観客席)「う〜ん。奇襲を狙うのは良いとしても、オーバーラップまで必要だったんでしょうか……?」

中山(観客席)「何、心配は要らないさ。森崎は意味の無い奇策はしない。
奴の行動にはきっと、何らかの深い意図があっての事だよ。……た、たぶん」

霞(観客席)「(あの中山さんですら自信無さげだなんて。規格外の人であるのは間違いなさそうだけど……怖いなぁ)」

観客席のどよめきやざわめきを全て自分への美辞麗句だと思っているのか。
森崎は周囲の歓声に恭しく一礼をして、それからスカーレットムーンズの面々を品定めするように見比べて。

森崎「本当は本気――『超モリサキモード』でドリブルに行きたかったんだけどな。
まあ、雑魚が相手だったら……通るだろ!」

      ――――シ ュ バ ッ !

――短い挑発と同時に彼は右サイドにボールを流して……。
そこからレミリア達が気付いた頃には、スカーレットムーンズの守備陣は。
――森崎一名により、ほぼ半壊状態となっていた。

62 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/02(水) 00:34:51 ID:???
バシュッ! クルルッ……!

レミリア「……!(早い……! そして――巧い!)」

レミリアは森崎の機転を利かせた『頭脳的なドリブル』に対処できず。

……シュンッ、シュパパパパッ……!

メイド妖精G「こ、こんな時こそ『妖精特攻スライディング部隊』よ!」

メイド妖精B「了解よ、Gちゃん! ……って、アレ。もう抜かれてるー!?」

メイド妖精達は徒党を組んで強大な個に挑もうとしたが、
決起した際には既に、森崎の『やや華麗なドリブル』の毒牙に沈められていた。

咲夜「……私は、そう簡単に突破させないわ。だって、通せませんもの」

美鈴「私だって同じです! 最後の最後まで諦めず全力で。これが紅魔の掟ですから!」

森崎「ふうん。忠誠心が強い奴らだな。ま、いいぜ。何せ俺も、これ以上突破する気はねぇからな。
その代わり――」

グワァァッ、バシュウウッ!

咲夜「!?(こうして近くで見ると……彼、パスも上手い! パチュリー様には及ばないまでも、
基礎力では小悪魔を凌駕する程度に……彼の。森崎のパスは危険!)」

63 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/02(水) 00:37:39 ID:???
森崎「俺様は楽々アシストを稼がせて貰うからな。……おい、魔理沙! 今度はぬかるなよ!」

魔理沙「おう、でかした森崎! さっそく決めてやるぜ!」

小町「Zzz……」

陸「だーっ! お前ら何やってるアルかー!?」

ダッ! スタタタタッ……!

そして最後に、咲夜と美鈴によるプレスが森崎による綺麗なパスで遮られると、
紅魔の残された壁は、森崎によく似た顔をした中国人・陸とメイド妖精若干名のみとなっていた。
待望の得点によって紅魔に生まれた一瞬の隙を見つけ、圧倒的な力で尽き穿つ。

レミリア「(……ふん。私とした事が一瞬たりともアイツの危険性を見過ごすなんて。本当に失態だわ)」

パチュリー「(……まさかここまでアッサリ、私達の守備陣を突破されるなんて。
森崎有三。まさか貴方が、ここまでの実力者とは思わなかったわ……!)」

捨て身だがそれ故に危険な森崎の策は見事に嵌り、紅魔は劇的な得点劇から僅か1分半後。
あっという間に、更なる失点の危機の瀬戸際へと立たされていた。

64 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/02(水) 00:41:31 ID:???
……と、いったところで今日の更新はここまでです。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

65 :森崎名無しさん:2015/09/02(水) 00:45:25 ID:???
乙です

イタリア戦、空っぽのゴールにシュート、ゲームオーバー。
……頭の中でなにかが?

66 :森崎名無しさん:2015/09/02(水) 00:47:50 ID:???
慢心はダメ(頭の中の声)

67 :森崎名無しさん:2015/09/02(水) 03:39:57 ID:???
森崎選手、パスと思ったがシュートだったー!
全く違和感がない。
乙でした

68 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/03(木) 00:51:11 ID:???
すみません、今日は更新をお休みします。
分量的にはそこそこ書けたのですが、次のシーンは長々続いたこの試合のクライマックスという事で、
一括で挙げた方が良いかな……という考えです。

>>65
乙ありがとうございます。
常識的に考えればゲームオーバーになる方が普通ですが、多分何とかなります。
>>66
判定だったらメイド妖精にドリブル止められてそうですね…
>>67
乙ありがとうございます。今回はガッツ的に厳しくシュート出来なかった、という事でお願いしますw

それでは、みなさま、また明日宜しくお願いします。




69 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:49:25 ID:???
こんばんは、今日は書き上げる予定でしたが、
仕事が遅かったのと東方紺珠伝をやってた事もあり、最後までは行きませんでした。
それでも分量がたまったので更新していきます。

70 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:50:27 ID:???
バッ! ……グワァアアアアアアアッ!

魔理沙「低いセンタリング……! 『ブレイジングスター』を撃つには丁度良い位置取りだ!」

魔理沙は森崎によって出された的確なパスに動きを合わせ、シュートへと向かっていた。
一見粗雑で無神経な風な森崎だったが、そのセンタリングの軌道は驚く程繊細。
厳しい修練は当然として、パスを受ける仲間の位置や性格をしっかりと把握し、
かつ場面場面ごとの適切なタイミングを考えていなければ、こうしたパスを放つ事は出来ないだろう。

魔理沙「(――何だか、私よりもずっと魔法使いって感じだな、森崎。
普段はずうずうしいけれど、要所要所で思慮に満ちた細やかさも見せて。
それで出す策はオーバーラップみたいな奇行なんだが、その策の裏には確かな勝算と打算がしっかりと根付いている。
ただがむしゃらに努力してるだけじゃない。
森崎は、きちんと考えている。勝つために。強くなり続けるために……)」

――ァァァアアアアアッ……!!

陸「――体力がチト厳しいが、文句はいっとれんアル! ……アチョ〜〜! 『襲爪雷斬脚』〜〜〜〜!!」

バアアアアアッ! ズバシュウウウウウウッンッ!

魔理沙がボールにインパクトするとほぼ同時に、陸が大きく飛び出した。
必殺の『襲爪雷斬脚』が、魔理沙の右脚から迸る閃光に接近していく。

魔理沙「(――『ファイナルスパーク』を覚える前、ちょっとしたスランプだった時。森崎に聞いた事があるっけか。
『お前はどうして、そこまで頑張れるんだ? 何回でも勝ちたい、ナンバー1になりたい、頂点に立ちたい……。
これらの目標を目指し続けるには、終わりない努力が必要だ。そして努力する為の精神力は有限で、補給が必要だ。
お前を前に走らせ続けるのは一体何だ? 教えてくれないか……?』って)」

バッ……ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
バギュルルルッ、ビイイイイイッ……ンンッ!!
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!

71 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:51:52 ID:???
魔理沙も負けじと飛び込みながら右脚を振り抜き、白い虹色の熱線を撃ち放った。
それは大きな雷を帯びた陸の右脚と互角にぶつかりあい、火花を周囲に撒き散らしながらせめぎ合う。

魔理沙「(……そうだ。でも、その時の森崎の答えは全く論理的でも何でも無かったんだ。
『理屈じゃないな。勝ちたいって言うのは感情や本能であって、それがそのまま精神力になっている』
――とか言って。その時は私もえらく怒ったモンだ。そんなの、当たり前すぎるじゃないか! とか言ってさ)」

ドゴゴゴゴゴゴゴゴ………バチバチバチッ……グググッ……!

陸「ア、ググ……!」

勝負は僅かに魔理沙の優位だった。
元々『ファイナルスパーク』に拘らずとも、彼女のシュート力は幻想郷でもトップクラスだったし、
陸の方は前半のオーバーワークによる疲れが回復仕切っていなかった。
そのため、ペナルティエリアでの攻防は、少しずつ魔理沙の放った光の方が大きく膨れていった。

魔理沙「(……だけど。その後森崎に同じ事を逆に聞かれた時。あの時の私は何も答えられなかった)」

――そして同時に、これまで心の中に膨れ上がっていた、自分の心の中の蟠りの原因も、
シュートが放つ一瞬の閃光に照らされて、ハッキリと明らかになっていった。
霊夢への苛立ち。『ファイナルスパーク』への拘り。幻想郷一のFWであり続けたい理由。
それは全て、森崎によるこの問いかけに対する答えに繋がっていた。

72 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:53:08 ID:???


           ――魔理沙。そういうお前はどうして努力を続けているんだ?
        才能に限界を覚えつつも。人間という幻想郷では弱い種族でありながらも。
           どうして今もまだ、サッカーに、魔法にしがみつこうとするんだ?



73 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:54:27 ID:???


魔理沙「その答えは――言うまでもないっ!」



 ゴオオオ―――――――――――ガシイイッ!

魔理沙は利き足とは逆の左脚を出して、今や陸をも超えてゴールへと迸らんとする閃光を止めた。
――自分のシュートを、自分で止めてみせたのである。
……無論、そのような無茶が収まらず、ボールは乱暴に空高く放り出される。

フラン「えっ! ぼ、ボールが……勝手にこぼれ球になっちゃった!?」

レミリア「……いや。むしろこれはチャンスよ、フラン!
ゴールキーパーが不在の今なら、ゴールから60メートルという滅茶苦茶な距離からでも、
『トランシルヴァニア』を撃てば、充分決まるぞ!」

タタタタッ……ドタタタタッ……!

魔理沙「……ふん、決まるかよ。お前達じゃあ、どうあっても決めらんないぜ!」

その動きを、当然レミリアは見逃さなかった。
早々に森崎にドリブル突破をされた後、ボールのフォローもしくは『カウンターシュート』
――紅魔スカーレットムーンズの得点策の一つである――の為に、
フランドール共々下がり目の位置に戻っていた事が功を奏した。


74 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:55:45 ID:???

フラン「えっ、ホント!? 私……やっとお姉さまの、皆の役に立てるのね!」

タッ! ……バッ!

レミリア「(皆の役に立てる……か。――フラン。やはり貴女は、先の聖徳ホウリューズ戦での退場を気にして。
だけど……)――フランドールッ! ストライカーにそうした女々しい感情は不要だ!
あんたはあんたらしく、どこまでも純粋に力強く撃ち抜いて――点を取る事だけ考えろ!」

――バァァッ!

キックオフ早々にオーバーラップをした森崎は当然戻り切れておらず、
その為距離があろうともシュートコースはかなり広い。
萃香の『三歩壊廃』があろうとも、それを無視して任意のコースにシュートを決められる見込みがある。
競り合いに向けて、レミリアとフランは魔理沙が打ち上げたボールに動きを合わせる。

霊夢「(……魔理沙。あんたはやっぱりそうするのね。
鳥が空を飛ぶように、虫が地を這うように。あんたは、閃光のように生きなきゃ、おかしくなっちゃうもん。
……だとしたら、そんなあんたの生き方を決めつけて、押し付けるのは。
――それは果たして、あんたにとっての幸せになるのかな。……なんて、柄にも無い事考えちゃってるけど)」

75 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 00:57:41 ID:???
フラン「行くよ、お姉様!」

                                            レミリア「決めるわ、フラン!」

グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
                         グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!
  ――――バッ、ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!
   バギュウッ! ゴゴオオオオッ、バリバリバリ……ドドドドドドドドッ………!

霊夢「(…………)」

霊夢は魔理沙の異変とその意図に気付き、呆けたように空を見つめていた。
それはレミリアとフランが即席の力業で創り上げた空中ツインシュートが、
今まさに霊夢の四肢を粉々に破壊しようとしていても同じだった。

パチュリー「(……巫女はずいぶんと余裕綽々ね。言っておくけれど、あの二人のシュートこそが、
今回の大会における我々の最終兵器。星熊勇儀の『三歩必殺』にも匹敵する超威力かつ、
ツインシュート特有のブレを含みながら発射するリーサルツイン!
――確かに、大会開始直後では動きが合わず失敗する事もあったけれど。
大会中の様々な出来事で外に大きく心を開いたフランと、その姉であるレミィとの連携は
今大会でも最高峰。だから、この位置からでも……森崎さえいなければ充分入り得る!)」

その様子を慢心と取る者も居た。それは仕方の無い反応だった。
魔理沙が急遽打ち上げたボールを、霊夢は目でしか追いかけておらず、
いざレミリア達がこれ見よがしにシュートに向かっても、クリアやブロックに入る様子すらない。

魔理沙「(霊夢ならきっと分かってくれる筈だろ? 私が、本当の本当に望んでいる事を)」

……しかし、それでも魔理沙は悪戯っぽい笑みを消さなかった。

76 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 01:00:18 ID:???

霊夢「(――魔理沙はきっと、この次に私がどう出るかを知ってた上で。
それで今、こうしてボールを打ち上げたのね、きっと。
……私が一番したくない事をやると思うなんて。頭がどうかしているわ)」

フワッ……。

純粋な笑顔を浮かべる魔理沙に対し、今度は霊夢の表情が濁る。
それは罪悪感か、それとも自身への嫌悪感か、あるいは博麗の巫女としての「機能」によるものか。
兎に角ハッキリ言って嫌な感覚だったが、魔理沙はそれでも自分を認めるように笑ってくれている。
そう考えると、霊夢は緩慢に空へと浮かびながらも、どこか安心したように、天性を夢想へと委ねた。


ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ……!!


地響きを上げながら時速三百キロの速さで動く真紅の光条。
レミリアとフランドールが放った『トランシルヴァニア』は、例え森崎が相手であっても、
5割以上の確率でゴールを割られるのでは無いかと霊夢は思った。
……が。その可能性は自分が居る限り存在しない事も知っていた。
その証明のため、霊夢は無機質な表情でこう呟いた。
  

          ―――霊夢「……『カウンターシュート』」


オオオオオッ…………バギュンッ! ギュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!

地響きをそのままひっくり返したような爆音。
それは霊夢の一言によって、そのベクトルを大きく180度変換させた。
そして、このシュートこそが――魔理沙がこの試合で出した答えに対する、霊夢なりの返事だった。

77 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/04(金) 01:03:39 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。

チラシの裏になりますが、紺珠伝は勿論鈴仙……では無く早苗さんでイージーをクリアをしました。
今回のシステムはいつもの残機制ではなく、ミスったらその地点からやり直しと特殊なのですが、
個人的には合ってたような気がします。ノーマルで血ヘドを吐いてないので分かりませんがw
最近はあまり考えず、いつでもどこでも誰でもサクッと遊べるゲームも増えましたが、
東方に限らず、色々試行錯誤したり、じっくりと腰を据えてやれるゲームというのは大事にしていきたいですね。

それでは皆さま、本日もお疲れ様でした。

78 :森崎名無しさん:2015/09/04(金) 01:06:11 ID:???
乙です
うーん、つまり超森崎のがんばり改と5割をあたりまえで返すと考えると・・・
大体自分ピンゾロでも余裕で返せるってことか
いいねぇ、でももっと無茶苦茶な難易度にしてもいいのよ?

79 :森崎名無しさん:2015/09/04(金) 08:15:51 ID:???
まぁ、リーサルの補正値はすごいしな。
(最終章でないのに超補正シュートをだすのもちょっともったいない気もするがw)

80 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:03:36 ID:???
こんばんは、更新再開します。
>>78
乙ありがとうございます。
霊夢のカウンターシュートは、色々と状況が重なったのと、演出補正もあるので実際はそこまで強くないですw
決勝戦は難しくはあっても、無理ゲーにはしたくないと思っています。
>>79
リーサルって書いちゃいましたが、実際の補正はリーサルツインより低いです(爆)
それでもファイヤードライブ位は強いです。


81 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:04:42 ID:???

――ギュウウウウウウウウウウウウウウ…………ッ!

森崎「……滅茶苦茶な試合だな、オイ」

霊夢が放ったカウンターシュートによる風圧で軽くよろめきつつも、森崎は皮肉気に唇を歪める。

森崎「ゴールキーパーがオーバーラップし、フォワードはそれをシュート……と、思いきや。
血迷ったか、そのボールを後方に蹴り出してしまうし。
敵のFWもFWで、そこから無理やりにダイレクトシュート――しかも滅茶苦茶な威力の
――に向かってくるし。……センターサークル付近なのによ。
それで……」

――ウウウウウウウウウウウウウウウウウ……ッ!

メイド妖精「「きゃ、きゃあ〜っ!? 今のシュートだったの!?」」

咲夜「(今の不自然なまでに予定調和な動きは……きっと、霊夢の『博麗の巫女』としての天性。
幻想郷の理を司り、妖なる者に打ち克つ為に、遺伝子レベルにまで組み込まれた才能の賜物……でしょうね)」

パチュリー「(……しかも今回、凄いのは霊夢の才能だけじゃない。
ボールを持たない他のチームメンバーの動きの練度も、隠れていたけれど優れていた。
レミィ達のジャンプと同時に、MF・DF合わせて――霊夢以外にも6人が、
多少の体勢の崩れはあれどブロックに行ける体勢になっていたし。
少なくともシュートコースを狭める程度の役には立っている。
他の仲間達の、こうした献身的な動きが無ければ、霊夢が仮に才能を発揮していても、
カウンターシュートは成功しなかったかもしれなかった。 ……だから、ここは認めましょう。私達の完敗を)」

霊夢の放ったカウンターシュートを止められる者は、紅魔スカーレットムーンズの中には居なかった。
咲夜が、パチュリーが、美鈴が、小悪魔が。
……それぞれが悔しさや諦めや畏怖を抱きながら、フィールドに吹く一陣の風を見送るだけだった。

82 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:05:50 ID:???
森崎「(こと幻想郷に住む人間や妖怪その他諸々と対峙する際に取り分け光る、『博麗の巫女』としての才能。
それに、巫女としてでは無く。霊夢の……アイツ自身の、分け隔てなく人を呼び寄せる不思議な力。
その両方が発揮されて放たれた、必殺の『カウンターシュート』。
正直、これが嵌っちまったら、俺が敵の立場でも止められる気はあまりしないな。面白くねぇ)」

魔理沙「(ああ……。やっぱり、綺麗だな)」

霊夢によるまさしく「奇跡のカウンターシュート」に対し、
森崎は自分では一生辿り着く事の出来ぬ才能と、単純に自分が目立て無かった事への嫉妬を膨らませる中。
対照的に魔理沙は……そのシュートを惚れ惚れとした表情で見つめていた。

魔理沙「(……ありがとな、霊夢。試合前やら試合中は、カリカリして八つ当たりして、悪かったよ。
――だけど、もう大丈夫。私、思い出したよ。これは――森崎のお蔭、かな? けどアイツへのお礼は別にいいや)」

――そして、それと同時に、魔理沙は霊夢に感謝していた。
何故なら、魔理沙は直観的に理解していたからだ。
このシュートは、『博麗の巫女』としての霊夢から放たれたのと同時に、
『魔理沙の親友』としての霊夢から放たれたのだという事を。
そして、それが何を意味するかについては――この次の展開が示していた。

――ウウウウウウウウ……ッ! ――スカッ!

陸「あ、アイヤ〜〜〜!? やっぱり外したアル〜〜〜〜!?」

陸がなけなしの体力で放った『雷斬脚』を外した事について狼狽していたが、それは大した事実では無い。
問題は、その次の瞬間だった。


ギュウウウ………、 ガイイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!


83 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:07:44 ID:???
針妙丸「ご………ゴール、ポストだ!?」

小町「Zzz……え? ポスト? ポストプレイ!? あたいの出番かい??」

美鈴「この人は何を寝ぼけてるんですか。肝心な局面で居眠りとは、敵ながら感心しませんね!」

小町「アンタだけには言われたくないねぇ、それは」

美鈴「わ、私はアレよ。ワークライフバランスを大事にしてるだけですし!」

小悪魔「美鈴さん、低次元な言い争いをしている場合じゃないです! 早くボールをフォロー……!」

――霊夢の『カウンターシュート』は、盛大にポストを叩いたのである。
ゴール周辺の選手がこの意外な展開に思わず慌てふためき、取り乱しすらする中で。
……ただ一人だけ、この結果を始めから分かっていた者だけが淀みなく動いた。

魔理沙「……それには及ばないぜ」

シュンッ! ――バアアアッ……ポムッ!

実況「魔理沙選手、ポストによって弾かれたボールをいち早くにトラップしフォロー!
紅魔スカーレットムーンズのゴール前にて、絶好の形でボールを持ちました!!」

魔理沙「……要するに、今の『カウンターシュート』は、壮大なパスだったんだ。
わざとボールをポストに当てて、私がゴール前でグラウンダーのシュート
――それでも、さっきのに負けない程スゴいシュートを放つ為の、引き立て役だな」

実況や観客、他のチームメイトや敵を無視するかのように、魔理沙は呟き始めた。
本来ならば問答無用で、ペナルティエリア内での乱戦が発生するべき場面だったが。
彼女の周囲で渦巻く狂気にも似た純粋な感情の渦が、思わず他の者の足を留めていた。


84 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:15:58 ID:???
     魔理沙「……私はどうして努力を続けるのか。どうして何度挫折をしても、辛い目に遭っても。
  自分の才能の無さに絶望しても。それでも尚、希望を持ち続けられたのか。その理由は、こうだったんだ」

          ………グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

          魔理沙が静かに、しかし決意と覚悟を持ってその右脚を振り上げた。

     魔理沙「私は……小さい頃から自分こそが、この物語の主人公だと信じて疑わなかった。
       だけどそれは同時に、「本当の主人公」に対する、憧れでもあった……んだと思う。
     自分も主人公になれば、そいつと対等に話せる。対等に戦える。対等にサッカーが出来る。
           ――きっと、心の奥底では、そんな事を夢見ていたんだと思う」

         霊夢「――知ってたけど。こうして聞くと……あんたって、ほんとバカね。
        ……そんなあんたにボールを渡しちゃってる私も、かなりのバカだと思うけど」

        魔理沙はそこで、悲しそうな眼で自分を見つめる霊夢に視線を合わせる。
        口先では相変わらず皮肉を呟いてはいたが、表情には躊躇いがあった。
         気にせず、魔理沙は振りかぶった足に魔力を籠めながら語り続けた。

                ゴオオオオオオオオオオオオオオッ……!

        魔理沙「私が努力を続ける理由。それは――私が、「本当の主人公」に……。
               霊夢。お前に並び立てる存在でありたいからだ!」

          オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ……!

   魔理沙「私が今から放つこのシュートは――お前の『カウンターシュート』や『夢想封印・瞬』や。
                もしかしたら『夢想天生』にも負けない威力がある。
           つまりさ……このシュートはこれまで叶えて来た私の夢の中でも、
           最高に大きくて、最高に幸せな夢である事に間違いないんだよ!」

85 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:17:29 ID:???
       オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ……!!

    魔理沙「だから。……例えこのシュートが私の身体を破壊したとしても、それでも良い!
      これまで家族や、友達や、色々なものを犠牲にしてでも、夢を掴もうとしたんだ。
          今更自分自身を犠牲にしたって……ちょっとだけしか怖くないぜ!」

      霊夢「……結局、怖いんじゃないの。だったら、止めたら良いんじゃない?」

           魔理沙「……今更、止めらんないよ。だって―――!!」


                ――――だって。これが、私だから。


               その言葉は、霊夢には聞こえなかった。
     ゴールへと向かって蹴り出されたボールの放つ爆音があまりに大きすぎ、
         魔理沙の絞り出すような声を掻き消してしまった為である。

     バッ……ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!
 バギュウウウウウウウウウウウンッ! ドギュルルルルルルルルルルルルルルルルルッ……!
        ―――カッ!  チュドゴーーーーーーーーーーーーーーンッ!
        ビイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ………ンン!!
         ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…!!

           ―――文字で表現するにも困難なまでの大音量は、
    バランスを崩しながらも果敢にパンチングに出た陸の存在自体をも掻き消した。
  そして、笛の音すら掻き消された状態のまま……博麗連合はどうやら、後半18分に3点目を得た。

86 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:19:08 ID:w+5RN9Lg
紅魔スカーレットムーンズ 1 − 3 博麗連合2015


大会得点ランキング(表記はメインキャラのみ):
13ゴール レミリア
12ゴール 鈴仙
9ゴール  フランドール、射命丸、魔理沙
7ゴール  勇儀
6ゴール  来生、屠自古
5ゴール  星、諏訪子、霊夢
4ゴール  森崎、神子、反町
3ゴール  早苗、謎の向日葵仮面
2ゴール  神奈子、ピエール、メルラン、天子、赤蛮奇、空、佳歩、岬
1ゴール  妹紅、咲夜、美鈴、サニー、リリーB、ぬえ、響子、永琳、萃香
       影狼、藍、幽々子、幽香、針妙丸、パチュリー、小田、椛、パスカル


大会アシストランキング(表記はメインキャラのみ):
6アシスト パチュリー、霊夢
5アシスト 小町
4アシスト てゐ、神子
3アシスト 早苗、ピエール、小悪魔、マミゾウ
2アシスト 森崎、反町、はたて、岬、空、お燐、ウサギB、レミリア、アリス
1アシスト 鈴仙、影狼、大妖精、橙、諏訪子、佳歩
       衣玖、針妙丸、リリーW、ルナサ、ぬえ、永琳、妹紅


87 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/05(土) 02:22:02 ID:???
魔理沙が夢を叶えたところで、今日の更新はここまでです。
これだけ描写してると、魔理沙はこのシュート撃った時点で死にそうですが、
まだ次の決勝戦までは持つので、少なくともゲーム的には大丈夫です。

それでは、皆さま、本日もお疲れ様でした。

88 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/06(日) 00:03:49 ID:???
すみません、明日は早朝から仕事があるので今日は更新をお休みします。
明日は夕方くらいから更新できればと考えています。

89 :森崎名無しさん:2015/09/06(日) 09:53:41 ID:???
ゲーム的には大丈夫ってw
お疲れさまでっす!

90 :森崎名無しさん:2015/09/06(日) 21:31:15 ID:???
魔理沙も森崎の腰といっしょさ。
多分この試合終わったら森崎と魔理沙二人で仲良く治療行きだな。

91 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/07(月) 00:11:07 ID:???
こんばんは、少しだけですが更新再開します。
>>89
お気遣い頂きありがとうございます。
ジャパンカップ編の森崎みたいなイメージですね。
>>90
大筋としてはそんな感じです。

92 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/07(月) 00:12:23 ID:???
――ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア……ッ!

実況「先ほどのキックオフからおよそ数十秒。
……僅か間でしたが、凄まじい乱戦が繰り広げられました。

森崎選手のオーバーラップを交えた奇襲からの、魔理沙選手へのアシスト。
しかし魔理沙選手は敢えてシュートを撃たず、後方にクリア。
そのボールはレミリア選手とフラン選手が捕捉しツインシュートに向かいましたが、
それは霊夢選手の『カウンターシュート』により防がれます。
――ですが、それで攻撃が終わりでは無かった!

ボールはポストを叩き、魔理沙選手の足元へと転がって……絶対無敵の新技・『ファイナルスパーク』が、
とうとう唸って、紅魔スカーレットムーンズのゴールを突き破りました!!
1−3! 様々な結果が予測されましたが、最後に勝ったのは博麗連合!
後半も半ばを過ぎた現在の状況で、点差を2に広げたのは非常に大きいでしょう!!
ゴールを決めた霧雨魔理沙選手も、今ゴールを決めた喜びを、仲間達と分かち合っ、て……!?」


魔理沙「あ……が、がぁぁぁああああっ………!!」

フラリ……ドサッ。


アリス「ま、魔理沙!」

針妙丸「え……? そ、そんなに痛いの! あのシュート……?」

天子「ちょっとちょっと! アンタ私より目立ち過ぎでしょ……って、もしかしたらヤバい?」

実況や観客達が魔理沙の異変に気が付いたのは、
混沌としたキックオフから鮮烈なゴールまでの複雑な流れを消化してからとなった。
そしてその頃にはもう、チームメイトは地面に倒れ右脚を抱えて悶絶する魔理沙を取り囲んでいた。

93 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/07(月) 00:15:32 ID:???
小町「こりゃ酷いね。今は辛うじて形を保っているけど。
多分一枚皮を剥がしたらミンチみたいになってるよ、この右脚」

衣玖「……普通の人間ならば、このレベルの痛みを受ければショック死すると聞きます。
私からしてみれば、まだ貴女が生きてる事自体が奇跡ですよ」

中里「取りあえず、忍法仕込の骨接ぎ施術はしてみたが。これ以上の試合続行は無理でゴザろう……」

過去に霊夢が推察した通り、魔理沙の『ファイナルスパーク』は絶大な威力と引き換えに、彼女の脚を破壊する代物だった。
実際に、深夜での練習にて始めて放った一回目、地霊殿サブタレイニアンローゼスとの対戦で放った二回目。
そして今放たれた三回目のシュートと、回を重ねるごとに魔理沙への負荷は重くなっている。
中里が漏らしたように、通常ならば少なくとも、これ以上の試合続行は不可能。
できる事なら、今後シュートは永久に封印した上で、数か月は絶対安静にすべきレベルの症状の魔理沙を見て、
チームメイトの多くは同情を感じたのか嘆息した。
――しかし、魔理沙本人が現在抱いていた感情は、およそ普通の感性を持つ者には理解しがたいものだった。

霊夢「………」

スッ。

そして、数少ない魔理沙の理解者は、穏やかな笑みで魔理沙に歩み寄る。
彼女だけが知っていた。魔理沙は今、苦悶の表情を浮かべつつも笑っているという事に。
霊夢は分かっていた。だから、悩みつつ――そして、最後には決断した。
魔理沙のサッカー生命を延ばす事よりも、魔理沙がサッカーを通じて叶えたい夢の手伝いをしよう、と。
霊夢は本心から、魔理沙に優しくこう言った。

霊夢「……あんたと居ると、本当にいっつもいつもハラハラさせられて。
だけど、今みたいに純粋に凄いと思わせるようなトコもあって。
――うん。やっぱり私の相棒には、あんたしか居ない。言葉でなく態度でそれが伝わった」

94 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/07(月) 00:17:02 ID:???

魔理沙は霊夢の言葉を聞いて、苦痛にゆがんだ顔を更に歪めて笑顔を作り。
目から一筋の涙を零しながら、こう誇らしげに言ってやった。

魔理沙「まあな。なんせ私はお前の相棒で、この物語の主人公なんだから。
――この位、……ッ、普通だぜ!」

今も痛みをこらえていて、明らかに普通では無い表情と声色と態様の魔理沙。
その姿は客観的に見て惨めで哀れなものだったに違いない。
しかし、それでも――『霊夢に並び立ち活躍すること』を夢として来た彼女にしてみれば、
今はまさしく、彼女の夢が叶った瞬間だった。だが、欲張りな魔理沙はこれだけでは飽き足らない。

魔理沙「(――これで終わりじゃない。まだこの試合だって20分近くあるし、
一番大事な事として、まだ決勝戦や、大会後の世界大会が控えているんだ。
まだまだこれから。このまま点差を維持してレミリアにほえ面をかかせて。
決勝戦でも活躍して、うどんげの奴をぎゃふんと言わせてやって。
それで……私が霊夢と肩を並べられる名プレーヤーである事を世界に証明しなくちゃ……な)」

パタリ。

激痛と疲労により薄れゆく意識の中、遠い未来の戦いにまで想いを馳せながら。
如何なる逆境や状態であっても全力以上の力を発揮する『不屈の主人公』は、
その物語の最終章を目の前にして、まずは一旦の休息に入った。

95 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/07(月) 00:19:02 ID:???
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

96 :森崎名無しさん:2015/09/07(月) 00:40:32 ID:???
鈴仙「駄目だぁ、どう考えても魔理沙の方が主人公だあ……」
てゐ「私はあんなズタボロになってまで主人公になりたくないけどねえ」

乙です

97 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/08(火) 00:42:31 ID:???
こんばんは、短いですが更新再開します。
>>96
乙ありがとうございます。
博麗連合戦では、鈴仙の主人公としての素質が改めて問われると思います。

98 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/08(火) 00:44:43 ID:???

レミリア「……あんな茶番で、戦意をまるで削がれた奴は居ないな?」

担架に運ばれて退場する魔理沙を見送りつつも、紅魔の軍勢は未だ勝利を諦めてはいなかった。
状況は最悪、攻める駒は体力不足、時間は残りわずか。
2点差になった以上、ここで魔理沙が退場して名無し妖精が入ったとしても何ら有利はない。
それでも勝利を諦めないのは彼女達の流儀。
レミリアは厳しく言い放ちチームメイトを鼓舞し、彼女達もまた無言でそれに従った。

――しかし、運命はこれ以上、スカーレットムーンズの味方をする事は無かった。



……ピイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!

キックオフのホイッスルが鳴った。
魔理沙を代償として、後半18分に2点のリードを得た博麗連合はこれ以上は攻めなかった。
元々パス力の高い中盤を厚くする事で、スカーレットムーンズはボールの所有する事すら困難となった。
死に物狂いでボールを奪いに猛進するレミリアや咲夜、フランドールがボールを奪取する事は
度々こそあれども、そこから得点につながる有効打までは出ない。

後半30分に、レミリアとパチュリーがワンツーで中盤を突破し、
フランドールが『495年の波紋』をペナルティエリア内で放てた機会も一度はあったが。
――それはDFの位置にまで下がっていた霊夢や、競り合い強さでは幻想郷で一、二を争う萃香により
威力を減衰され、森崎のパンチングにより防がれる。

99 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/08(火) 00:46:48 ID:???
レミリア「………!」

ズザアアアアアアアアアアアアアアアアッ!

霊夢「――悪いけど、私はここで負ける訳にはいかないの。……『ヒールリフト』っ!」

グッ、ポーーーーーーーーーーンッ、シュパァァッ!

後半ロスタイム。体力切れであるにも関わらず恐ろしい動きでボールを刈りに向かうレミリアを、
霊夢は華麗な『ヒールリフト』であっさりと受け流す。
実際には、今のレミリアのタックルは疲労により洗練されたのか鋭く、
霊夢も一瞬奪われる事すら覚悟したが。
――それでも、彼女の『博麗の巫女』としての才能は、どんな綻びも逃がさない。
霊夢は自然と最良の体勢で放り投げたボールをトラップしており。

霊夢「……友達とは、互いに違う道を行こうとも、自分を理解してくれる存在。――これって、誰が言ってたんだっけ」

咲夜「――霊夢。勝負が終わっていないのに独り言とは、あまり関心しないわね!」

霊夢「……じゃま」

ブウンッ!

咲夜「……ッ!」

その後に飛び出した咲夜を自慢の『博麗幻影』で軽く抜き去った後。

100 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/08(火) 00:48:29 ID:???

霊夢「私には友達って良く分からないけれど。
皆で同じ道を行った方が、色々と楽しいんじゃないのかなぁ。――普段の宴会みたいに」

グワアアッ、バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!

自分の友人とは、できるだけ最後まで同じ道を歩みたいと思いつつ、
霊夢は大きくボールを蹴り出して―――。


――ピッ、ピッ、ピィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ……!



紅魔スカーレットムーンズ 1 − 3 博麗連合2015  試合終了!

101 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/08(火) 00:55:21 ID:???
漸く大会準決勝が終わったところで、今日の更新はここまでです。
明日は試合後の描写をちょっとしてから、とうとうつかさの特訓に入りたいと思います。
前に選択をやっていたのが8月10日なので、約1か月くらい文章だけでした(汗)

それでは、皆様、本日もお疲れ様でした。


102 :森崎名無しさん:2015/09/08(火) 21:00:33 ID:???
乙です。
完全に主人公が代わりましたねぇw

103 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 01:11:36 ID:???
こんばんは、少しだけ更新します。
>>102
魔理沙は色々な覚悟やら信念やらを背負っているのに対し、
鈴仙は果たしてどうなのか、という事が次の試合のテーマになるかと思います。
それを経て、第二部では鈴仙が真の意味での主人公として活躍してくれる……と信じています。

104 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 01:12:56 ID:???
〜大会15日目・特別イベント〜
【鈴仙とつかさ。ファンキーガッツ特訓!】

鈴仙「……今日の試合、凄かったね」

つかさ「そうですね。ハッキリ言って、今回の大会の博麗連合は、これまでの比ではないと思います」

――紅魔スカーレットムーンズ対博麗連合の準決勝戦が1−3で決着を見せ、
試合を観戦していた鈴仙達永遠亭ルナティックスのメンバーは
口々に感想を語らいながら、妖怪の山モリヤスタジアムを後にしていた。
鈴仙は普段こうした時、てゐや佳歩と他愛の無い話をするか、
それともパスカルや中山と戦略的な話をしているのかのどちらかが多かったのだが、
今回は珍しく、つかさと二人で帰路に就いていた。

つかさ「……けれども、燃えてきました。
私、立ちはだかる障害が大きい程、テンションが上がっちゃうタイプみたいです」

鈴仙「知ってる。つかさはいつも、冷静なお姉さんに見えて、強敵に対しては
真っ先に叫び声上げて飛び込んで行くタイプだもんね。
――そんなつかさだからこそ、私に声を掛けたんでしょう? 今日の夜、二人で特訓をしようってさ」

つかさ「そ、そうですけど……。 ――強敵に対して、そんなに叫んでたでしょうか? 私……。
確かに、気持ちが昂ると、周りが見えづらくなるきらいはあると思いますが」

鈴仙「――今まで気付いて無かったのね。別に恥ずかしがる事じゃあないと思うけれど」

つかさ「いえっ。多少は気になります! その。はしたない、ですから……!」

鈴仙「(ここまで来ると、もはや二重人格ねぇ……。――ま、そのギャップが可愛いんだけど)」

105 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 01:15:48 ID:???
可愛らしく上品に頬を膨らませるつかさの頭を撫でたい衝動に駆られつつも、
鈴仙はもう一つ気になる事を聞いた。

鈴仙「……ところで、Dちゃんは良かったの? いつも一緒だったじゃない。
てっきり、今日の特訓にもDちゃんを誘うのかと思っていたけれど」

つかさ「――Dちゃんは置いていきます。練習はしましたが、
ハッキリ言って、あの子は付いて来れないと思いますから」

つかさは毅然とした表情で答えた。
それは普段ウサギDを妹や娘のように可愛がっているつかさとはかけ離れているが、
鈴仙にはそれが、どんなに厳しい特訓をしてでも、博麗連合という壁に打ち克ちたいという、
つかさの決意とウサギDに対する愛情の表れであると思えた。

鈴仙「(……つかさも凄いわね。自分よりも強い者に対して、
卑屈になる事も諦める事も無く、ただひたすらに勝ちたいと思う。ぶつかってみたいと思えるなんて。
私も勿論その覚悟がある――と、思っていたけれど。それは本物なのかしら……)」

――つかさが明確な意思を見せる一方。
鈴仙は、今日の博麗連合の試合を見てモヤモヤとした感情を抱いていた。
強い意志と高い実力を持ち、たゆまぬ努力を重ねる選手達の姿を見て。
自分は果たして今、彼女達のように輝けているだろうかと自問自答を重ねていた。

106 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 01:19:31 ID:???
鈴仙「(――これまで中山さんと。皆と走って来た私だったら。
こうして思い悩んで立ち止まりそうになった時は、兎に角練習をして、無理矢理にでも前に進み続けて来たんだっけ)」

そして何か事ある度に悩んでいた鈴仙は、こうした時にどうすれば良いかも流石に学習していた。
――とにかく、やるしかないのだ。
道を切り開くのは、他の誰かでも無く自分自身。努力を重ねれば、きっと必ず道が見えて来る筈だ。……と。

鈴仙「……つかさ。今夜の特訓。一緒に頑張ろうね。諦めずにやれば、きっと、何かが見えてくる筈なんだから……」

鈴仙はつかさに対してか、自分に対してか、そう堅く告げる。
それは信念というよりは、努力に対する信仰に近いと思ったが、
鈴仙は敢えてその感想を自身の奥に封じ込める事にした。


――そして、その日の夜。
二人は夜分遅くに永遠亭のサッカーコートに集合し特訓を重ねた。果たして、その結果は……。


先着2名様で、

★鈴仙の意地→! card★
★つかさの意地→! card★

と書き込んでください。数値の合計で分岐します。

35→彼女らに一体何が…? ガッツ+50、全能力+3、更に更に…?/ガッツ+100、全能力+3、更に更に…?
31〜34→超進化!!     ガッツ+30、全能力+2、更に…?/ガッツ+50、全能力+2、更に…?
26〜30→進化!        ガッツ+10、全能力+1、攻撃系or防御系各+1/ガッツ+30、全能力+1、攻撃系or防御系各+1
16〜25→特訓は成功だ!    ガッツ+10、全能力+1/ガッツ+30、全能力+1
10〜15→そこそこの成果だった。ガッツ+10、攻撃系各+1/ガッツ+30、防御系各+1
2〜9  →残念な感じだった…。 ガッツ+0、防御系各+1/ガッツ+10、攻撃系各+1
*次のレスにて特訓判定の注意書きを掲載しますが、レスとレスの間にある判定も有効とします。

107 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 01:20:46 ID:g/Ix9O0E
*左が鈴仙の結果表、右がつかさの結果表です。
*攻撃系=ドリブル・パス・シュート・せりあい で、防御系=タックル・パスカット・ブロック・せりあい です。
*マークか数値が一致した場合、判定に+5されます。これらの効果は重複しません。
*合計値が21以上の時、フラグ習得!(既にあれば回収。無い時は、鈴仙は選択可で、相手は判定)
*合計値が26以上の時、必殺技習得!(分野は鈴仙は選択可で、相手は判定)
*攻撃系の合計と防御系の合計を比較して、低い方=2〜9 高い方=10〜15 で表示しております。
*JOKERが出た場合は『ダイヤの15』として扱います。オールマイティにはなりません。

――――――――――――――――――――――――――
……と、いったところで今日の更新はここまでです。
皆さま、本日もお疲れ様でした。

108 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 01:21:07 ID:???
★鈴仙の意地→ スペード7

109 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 01:21:28 ID:???
★つかさの意地→ クラブQ
またドラゴンボールネタw

110 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 01:21:48 ID:???
★つかさの意地→ ダイヤ9

111 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 14:02:12 ID:???
魔理沙さんの足の具合(中身)についてももっと詳しく描写をしてほしいと思いました。
決勝で期待してます(笑)

112 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 20:50:06 ID:???
ウサギD、カ・ガーミンじゃなくてチャオズだった

113 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 21:27:35 ID:???
むしろつかさ的にはユウスケかと

114 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 22:23:40 ID:???
乙です

ウサギD「さよならつかさちゃん。どうか死なないで」

シリアスにしれっとまざるDB要素である。
この後はつかさをチルノに会わせる方向でいいかな?


115 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 22:34:52 ID:???
しゃべるボールがもう少しで完成っぽいしコーチでいいから練習2回くらいやってみては?
個人的にはてゐのシュートが低くてあがりやすそうなはずだから面白い気がする
ただの絶妙なループシュートが+7は高すぎじゃけん

とりあえずはつかさチルノでいいと思うけど

116 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 22:47:31 ID:???
しゃべるボール完成→アリスさんと友達にしてボールで買収→決勝が12対10になる

テニヌでも買収くらいなら普通にやってたし別におかしくないおかしくない

117 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 23:28:12 ID:g/Ix9O0E
こんばんは、更新していきます。
今日はなんと、選択肢がありますので是非参加して頂けると幸いです(爆)
>>111
詳しく描写すると別のジャンルになりそうですが、熟れたトマトみたいな感じですね。
決勝は多分もっとぶっ飛んだ感じになると思います。
>>112
ウサギD「さよならつかさちゃん! さらばサッカー!」→霊夢と魔理沙の脚を折り無事退場ですね、わかります。
>>113
私のディケイドは地獄兄弟が出てきてアッサリ退場したあたりで終わってますね…。
>>114
乙ありがとうございます。
多分JOKERが出たらDちゃんが魔理沙の肩に張り付いて爆発します。
>>115
しゃべるボールの事もありますね。
カルツ君が森崎からゴールを奪いかけた位ですし、強いと思います>ループシュート
>>116
アリスさんは頭脳派なので多分大丈夫だと思います(震え声)


>>107注意書きに記載が漏れていたのと、前の特訓から結構間が空いたので追記しますが、
今回の特訓においても、これまで同様伸ばせる能力値の限界がありまして、
今回ですと特訓では「52」以上の能力値については上昇しない事としております。
そのため、結果表を見ると全能力+1ですが、
鈴仙のドリブルとシュートについては今回上昇しませんので、ご了承ください。

参考として、特訓後の鈴仙の能力値を載せておきます。

選手   ド  パ  シ   タ  カ   ブ  せ  総   高/低 
鈴仙  52  52  53  51  50  46  52  356  2  3 
最大ガッツ:980/980

……と、なります。それでは、更新を再開します。

118 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 23:29:29 ID:g/Ix9O0E
★鈴仙の意地→ スペード7 ★
★つかさの意地→ クラブQ ★
7+12=19
16〜25→特訓は成功だ!ガッツ+10、全能力+1/ガッツ+30、全能力+1

鈴仙「食らいなさい、『マインド……エクスプロージョン』!!」

つかさ「うらあああああああああああああああああああああっ!」

バシュウウウッ、ゴオオオオッ―――ドガアアアアアアアッ!!

つかさ「あべしっ!? も、……もう一回! もう一回です鈴仙さま!」

鈴仙「ええ。何度でもやってやるわ! 追撃の……『マインドエクスプロージョン』!」

バシュウウウッ、ゴオオオオッ―――ドガアアアアアアアッ!!

つかさ「ゲボハァーーーーッ!? ……こ、この程度! 鈴仙さま、次はもっと近づいて下さい!」

鈴仙「えっ? 今でも充分至近距離だったと思うけど……」

つかさ「ダメです! 鈴仙さまはあの『ファイナルスパーク』の威力を忘れましたか!
――ああ、もう! もはやボールの存在すらもどかしいです! 鈴仙さま、私を蹴って下さい!」

鈴仙「いやいやいや! そんな。つかさの――女の子の顔を真正面から蹴るなんてできないわよ!」

つかさ「良いんです! さあ! 私の事はスイカ割りのスイカか何かだと思って!」

鈴仙「それって、蹴ったら赤いのがパックリブシャーっていっちゃうじゃない! 嫌な例え止めてよ!
……えーい! もう。そんな目しないでよ。 だったらヤケよ! お望み通りやってやろうじゃない!」

119 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 23:30:34 ID:g/Ix9O0E
――ゲシッ、ガシッ、ボガボガッ! ドガッ、バギッ、ボゴッ!

つかさ「ぐ、グワアアッ!も、もっと……もっと……です、鈴仙さま。この程度じゃ、終われませんっ!」

鈴仙「ええ、言われなくても分かってるわよ!(――ところで、何の練習だったっけ。これ。
というかそもそも、これって何かの練習なんだっけ……?)」

――鈴仙とつかさとの特訓はシンプルながらも熾烈を極めた。
軽い総合練習の様相を示していたのはごく最初だけであり、
実戦形式のシュート/ブロック練習が鈴仙とつかさの互いの熱情に火を付けて、
最終的にはボールも使わず鈴仙がつかさの顔面にキックを繰り返すという、
傍目には鈴仙による一方的リンチとしか思えないような惨状となった。

つかさ「はぁ。はぁ……はぁ……! もう少し。もう少しです……!」

鈴仙「(つかさ……凄い。あれだけ撃ち込まれて、まだガッツを残している。
実戦においてはそこまで体力がある方とは言えないつかさだけど。
だったら現に今発揮している、あの子の底知れぬガッツの源は一体何なの?
……何だか、知れば知るほど、余計に底知れなくなるわね。つかさったら)」

先ほどあれだけはしたないのは嫌と言っておきながら、
いざサッカーとなると自らの身を全く厭わず、自身を傷つけてまで鍛えようとするつかさの姿勢に、
鈴仙は畏怖の念すら覚えるも――結果として、この特訓らしき何かは効果があった。
それが分かったのは、鈴仙がつかさの顔面に千度目のダイレクトシュートを撃ちこんだ時の事だった。

120 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 23:38:46 ID:g/Ix9O0E
鈴仙「はぁ、はぁ……どおっせーーーいっ!」

つかさ「うりゃああああああああああっ!!」

グワアアアアッ、バギイイイイッ……! ―――チイイイッッン!

鈴仙「――い、痛ッ!」

既にその時点で東の空は白み、血塗れになったつかさの首からは生気が若干抜けかけていた。
しかしそれでも尚、シュートを求めるつかさに対し鈴仙が大きく右脚を振りかぶり、
急所を撃ち抜いたところ――つかさの顔面がまるで鋼鉄のように固くなったと感じた。

つかさ「そ、そう。この……感覚です」

鈴仙が痛みに顔を顰めるのを見て、つかさはこの特訓で初めて納得したように頷いた。
そして、独り言を話すように虚空に向かって成果を語りだす。

つかさ「――具体的に何か技やそのきっかけを掴んだ訳じゃないけれど。
何度も痛みや苦痛を受けて、だけどそれでも折れずに立ち向かう。
……今までの私は、そんな覚悟がどこかで欠けていましたが。
だけど、今。少しだけ、そんな心構え――DFとして、最低限の心構えが出来たような気がしました」

鈴仙「(あれだけ蹴られまくって「最低限」だったら、
多分全宇宙のDFやってるサッカー選手は皆、DF失格なような気がする……)」

鈴仙は思わず冷静なツッコミを入れてしまいたくなるが、しかしつかさにとってはきっとそれは真実に違いなかった。
つかさは一見淑女に見えるが、その実はご覧の通りのファンキーガッツウーマン。
理屈や理論では語れない、彼女なりの精神論が組み込まれているようだった。
そして、精神に存在の多くを依拠する妖怪兎にとって、そうした精神論は彼女のメンタリティだけでは無く、
身体能力を高める事にも役立っていたらしい。

121 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 23:40:20 ID:g/Ix9O0E

つかさ「……鈴仙さま。最後にもう一度、総合的な練習をしませんか?
きっと、今の私なら、もっとうまく出来るような気がするんです」

――そう言ったつかさの感覚は当たり、実際に鈴仙が見る限りつかさのサッカー能力は
ブロック以外の分野においても著しく成長していたのだ。
しかも更に不思議なのは、鈴仙自身も同様に一定の基礎技術の向上が見られた事だった。

鈴仙「(私は月の兎で、永遠亭の妖怪兎とは違うから。そんな精神論だけで上手くはなれないと思うけれど……。
――それでも、ガッツ溢れるつかさの姿を見て。
余計な心配事とかが解れた分、ノビノビと動けるようになった……のかな)」

今回の特訓で、鈴仙はつかさにも救われていた事を実感する。
博麗連合との試合で感じたモヤモヤが、それだけで完全でないにしろ、大きく晴れた気がした。
そしてそのふわりとした感覚こそが、今回の特訓で得た鈴仙の宝に違いなかった。


*鈴仙の全能力(ドリブル、シュート除く)が+1され、最大ガッツが+10されました。
*つかさの全能力が+1され、最大ガッツが+30されました。

122 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/09(水) 23:45:21 ID:g/Ix9O0E
〜大会16日目・午前〜

鈴仙「はぁ、はぁ。昨日は色んな意味でキツい特訓だったわね……成果があったから良かったけど。
――さて、今日は何をしようかしら。
試合の時にした約束通りつかさの部屋に行って、チルノに会いに行くとか。
前にレミリアさんが言ってた好意に従って、紅魔館に行ってシュートを見てもらうとか。
秋姉妹やらお燐やら、割と仲の良い人に会いに行くとか、……アリスさんと友達になってみるとか。
それとも、ボロボロのボールが喋りださないか練習の場で観察するとか。
やりたい事自体は一杯あるけれど、やれる事は限られるのよねぇ」

A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)
B:練習をする(一人か仲間で練習したり、コーチングをします。更に分岐)
C:狂気度を使用する(更に分岐。一部を除き、この行動では時間を消費しません)鈴仙の狂気度:28
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)
×:アイテムを使用する(この行動では時間を消費しません)
  ※「ボロボロのボール」など、練習用アイテムはCの練習の選択時に使用してください。

先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

(参考:大会16日目〜大会18日目(決勝戦終了)までのスケジュール)
        午   前     午   後
16日目   休   み←今ココ休   み
17日目   休   み    聖徳×紅魔(三位決定戦)
18日目   休   み    永遠×博麗

※試合のある時は、鈴仙は自由行動ができません。
※新聞イベントについては今回省略して、博麗連合戦時に役立つ情報を少し開示する、
  などという形を取る事で代用したいと思います。

123 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 23:49:18 ID:dGVF+h0U


124 :森崎名無しさん:2015/09/09(水) 23:50:35 ID:HqL1CVFE


125 :森崎名無しさん:2015/09/10(木) 00:02:18 ID:???
私はどうやらサッカーを甘く見ていたようだ(震え声)

126 :森崎名無しさん:2015/09/10(木) 00:04:13 ID:???
顔面を蹴ればブロックが鍛えらる・・・
つまりあまりに蹴られすぎて金属みたいに伸びて面積を広くするのか!

127 :鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/09/10(木) 00:05:55 ID:bGgmmqqA
A:自由行動をする(自由行動フェイズに移ります。更に分岐)

鈴仙「――とりあえず、今日は自由行動ね。
……あ。さっき>>122で挙げた内容とかについて、いちいち二回も三回も選択して貰うのは
テンポも悪いし手間だから、ショートカットキーを作ってみたわ。
だけど勿論、このキーに入っていないけれど有益な行動やイベントは他にもあるから、
無理してキーの中から選ばなくっても良いのよ?」

A:永遠亭に居る(さらに分岐)
  主に永遠亭に居るチームメイトと交流をします。
  評価値を上げたり特別なイベントを起こしたりできます。
B:外出する(さらに分岐)
  買い物をしたり、永遠亭に居ないチームメイトや、
  その他の幻想郷の住人と交流できるチャンスがあります。
C:気晴らしに玉兎通信でもしてみる。(さらに判定)
  ランダムで、色々な情報が入ります。運が良ければ必殺技フラグも入手できるかも…
D:現在の能力値を確認する(この行動では時間を消費しません)(※1票決)

<ショートカットキー>
E:先の試合での約束通り、つかさがチルノに会いに行く手伝いをする。
F:紅魔館で、レミリアにシュートの練習を見てもらう。
G:妖怪の山ふもとに行き、焼き芋を無料で買いつつ秋姉妹達に会う。
H:地霊殿に行き、お燐やさとりに会いに行き交流を深める。
I:その他 作者は失念しているがこうしたイベントがあった筈だ! ……などありましたら、一発で繋ぐよう配慮します(汗)


先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。

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