キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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屁理屈推理合戦withキャプ森

1 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:30:43 ID:???






――この物語はどうせ幻想に決まってます。
      キャプ森本編・外伝及び「うみねこのなく頃に」本編と関係有る筈もありません――。











※このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、「うみねこのなく頃に」とのクロスオーバー作品です。
※内容は、「うみねこのなく頃に」本編中の赤字&青字による屁理屈合戦(推理)ゲームを、独自の謎を使って行うものです。
 「うみねこ」本編ストーリーの直接的なネタバレはありませんが、「うみねこ」本編の登場人物がスレに登場します。
※最初のエピソードだけ>>1が書きたいですが、それ以降は他の方も書けるようにしたいとか考えています。

☆出典☆
【うみねこのなく頃に】屁理屈推理合戦スレ@wiki
http://www19.atwiki.jp/herikutu/

143 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 10:51:28 ID:???
続きを投下します。
>>141
乙ありがとうございます。某スレの影響もあってか、反町君をよく弄ってしまいます(爆)
>>142
シュート力は67あります。

144 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 10:54:24 ID:???

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

【毒の魔術師の殺人、そして蘇生】


ソリマチ卿「まずは召喚魔法を行う。日向、若島津、吉良! この3名を俺の部屋に転送する!!」

そして彼はまず、数ある魔法体系の中でも基礎である召喚魔法を詠唱した。
すると今や彼専用の魔術工房となった反町の私室に異空間が現れ、
そこから宣言通り日向、若島津、吉良の3名が召喚される。

日向「な、何だ……? 俺は今、東京のヒューガー本社で会議中だった筈だが……?」

若島津「――飛騨の山奥で修行をしていた筈だったが。何故反町。貴様がここに居る……!?」

吉良「ウイ〜ヒック。んあ? ワシは埼玉の居酒屋で飲んどった筈じゃが。記憶が飛んだか?」

ソリマチ卿「くっくくく……! 愚かな暴君どもめ。俺は今から、貴様らを処刑する」

日向「ホウ……? 良く分からんが反町の奴、随分と調子に乗ってるみたいだな。
    もしかして貴様、俺のタイガーショットを受ける側に回りたいというのか……?」

ソリマチ卿「ハン! 吠えていろ、駄猫が。 ……ハァァァッ!」

パァァッ……ゴオオオッ! ……ブチンッ!

日向「ぐ、ぐわぁぁぁっ……!!」

第一の処刑は、この状況下を理解せず偉大なるソリマチ卿に楯突く愚かな日向小次郎。
毒の魔術師は魔力による大槌を練ると、次の句も告げぬ間に潰され肉塊と化す。

145 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 10:56:28 ID:???
若島津「貴様……よくも日向さんを……!」

ソリマチ卿「若島津よ……今すぐ俺の軍門に下るというならば、命を見逃してやらん事もないぞ?
       力を信望する貴様の事だ、今ので俺と日向、どっちに付く方が得か分かったと思うが」

若島津「ふざけるな……! 自分で強くなる努力を忘れ、下らぬ外法の力に溺れる貴様などの下に誰が付くか!
     俺を従いたいのなら、まずはこの俺を倒し――ぐふっ!」

パァァッ……グシャァァッ!

ソリマチ卿「私のシュート力は67です」

第二の処刑は、力を求める癖して偉ぶり身の程を弁えぬ若島津健。
まずは自分を倒してみせろ、と意気込む割には、ただのシュートを食らっただけで絶命する。

吉良「ひ、ヒイイイ……! ワシは、ワシは被害者なんじゃ。
    日向にそそのかされ、無理矢理東邦学園に連れてこられたんじゃぁ……」

ソリマチ卿「日頃は威張っていながら、窮地に立つと被害者面か。日向や若島津以上に見苦しいぞ」

吉良「な、何が目的じゃ!? か、金ならある! それとも女か!? ひ、ひいいいいっ!?」

ソリマチ卿「死ね」

パァァッ……ブンッ、グシャアアアアアアアアアッ!!

第三の処刑は、殺人思想をばら撒く割には自らの保身には必死の腐った大人、吉良耕三。
ソリマチ卿は天空からグングニールの槍を召喚して、その身体を一突き。それだけであっけなく動かなくなった。

146 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 10:58:26 ID:???

ベアトリーチェ「く……くっくくく! お見事、お見事! 中々やるでは無いか!
         一時譲渡なのが勿体無い、そなたなら修行を積めば、さぞ立派な魔術師に――」

その凄惨なる処刑光景に、ベアトリーチェは若干気圧されながらも、しかし上機嫌にソリマチ卿の魔法に賛辞を贈る。
当初の予定以上にソリマチ卿は優れた魔術師であったが、ともかく、これでベアトリーチェの目的は半分果たされた。

ベアトリーチェ「さてさて。後は妾が適当に密室結界でも張っておく。
         だからその魔力を一旦妾に返すが良い。良い塩梅の不可能犯罪に仕立て上げてや……」

ソリマチ卿「――だが断る」

ベアトリーチェ「ん、んなっ!?」

――しかし、ベアトリーチェは同時に誤算していた。ソリマチ卿の魔法適正の高さを。
彼はもはや、ベアトリーチェの駒を逸脱し、一個の魔術師として覚醒を果たしていた。

ソリマチ卿「俺が今アイツらを殺した魔法は貴様の力による物では無い。
       全て、この俺の血に生まれながら宿っていた毒の魔法。それが目覚めたのだよ。
       くっくくくく……! ああ、スゲー力だぜ魔法ってのは。
       どうして今までこの力に気付いていながら使わなかったのかなァ!!
       食らえよ、毒属性レベル67魔法、『トクシックインパクト』ォ!」

グンッ、ドガァァッ!

ベアトリーチェ「ぐうううううっ!?」

強烈な毒属性の魔法を受け、ベアトリーチェは数メートル先まで吹き飛ばされる。
普段ならば生来の高い抗魔力でレジスト出来た筈の攻撃に耐えられぬ程、今の彼女の力は減衰していた。

147 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 11:03:10 ID:???

ソリマチ卿「……そうだ。この魔力があるんだったら、日向共を何度でも殺せるんだったなァ。
       だったら、あんなショボい殺し方をしてオシマイ、じゃ勿体ねぇ。
       とりあえず、アイツらも生き返られせてやるかァ」

ベアトリーチェ「な、何をやっている! 反魂の魔法はそれ相応の対価が――」

ソリマチ卿「関係ねーよ、ババア!」

ベアトリーチェ「ばッ……。わ、妾はまだ19だ! ぴちぴちの乙女であるぞっ!?」

パァァッ……フワァァッ!

日向・若島津・吉良「「「い、今のは一体……」」」

ソリマチ卿「貴様等とは明日も遊ぶからな。今の内に準備しておけ」

フワァァァッ……

ベアトリーチェ「む、むううっ……! あやつ、何の気も無しに反魂の魔法を成功させおって……!
          こうも容易く魔法を使われては、妾の立つ瀬が無いではないか……!」

そして、思わぬ罵詈雑言にベアトリーチェがたじろぐ間にもソリマチ卿は魔法を使い、
日向達を蘇生させ、彼らが元居た場所にそれぞれ転送させる。
無限の魔女にとって反魂術は簡単であったが、それでもある程度の魔力を消耗する。
それを片手間でやってのける行為は、彼の魔力の青天井さを証しており。
――かつての無限の魔女・ベアトリーチェのそれを圧倒的に上回っていた。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

148 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 11:05:09 ID:???
反町が無双した所で一旦ここまでです。続きは本日の夜21時くらいから始めます。
幻想描写の要点や実際の赤字についてはゲーム開始直前に提示します。

149 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 17:20:49 ID:???
毒々しいソリマチ郷を崇めるのだ乙

150 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 17:34:13 ID:???
キバヤシ「ノストラダムスの予言書によると、反町の子孫がシスの暗黒卿ダース・ソリマチアス卿になるんだよ!」
研究員「な、なんだってーっ!」
キバヤシ「時代を越えて爆誕したのか、ダース・ソリマチアス卿!」

151 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 19:27:07 ID:???
我らが毒々しいソリマチ卿を崇めるのだ乙

152 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 19:32:04 ID:???
乙です……
すみませんソリマチ卿信徒のサバトはこちらでよろしいでしょうか?

153 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:01:17 ID:MGYyPwiA
こんばんは。ゲームを始めていきます。
ですがその前置きの文章が長くなってしまいましたので、暫く文章を投下しています(汗)
出題文とかはまたまとめて出すので、文章に興味ない方はもう暫しお待ちください。
>>149
乙ありがとうございます。ソリマチ卿人気が凄いですね…w
>>150
ダース・ソリマチアス卿「コーホー」(←言いたい事が言えてない)
>>151
乙ありがとうございます。
強キャラっぽいですがゲーム盤の難度自体は低めなので、
「ソリマチ卿って案外大したことなくね?」ってならないか心配です(爆)
>>152
乙ありがとうございます。
キャプ森キャラが魔女(魔術師)になるのが面白いかな?と思いソリマチ卿を出しましたが、
まさかここまで信徒が出来るとは思いませんでしたw

154 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:03:34 ID:MGYyPwiA

ソリマチ卿「……俺はもう、誰にも縛られない。ベアトリーチェ、貴様にもな!
       そして俺は――この魔力で、新世界の神。いや、魔王となるのだ!
       全ての記憶、全ての存在、全ての次元が言いたい事を言えるユートピアを作りあげるのだ!       
       くくくくく! くわーーーーーーーーーーーーっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」

ベアトリーチェ「おのれ、ソリマチ卿……!」

自身の無限の魔法に加え、生来の毒の魔法にも覚醒してしまった今のソリマチ卿には敵わない。
そう悟ったベアトリーチェは、惨めにも金色の蝶の姿のまま、逃げ延びるしかなかった。

ベアトリーチェ「だが……ソリマチ卿の思想は危険だ。誰もが言いたい事を言える世の中だと?
         そんな世の中が実現すれば、魔女やゲームどころではない。社会秩序の崩壊だ! 野放しにしてはおけぬ!」

しかし、全人類が言いたい事を言える世界を魔法で作り出そうとしているソリマチ卿は、
この世界の秩序を乱すのみならず、人類滅亡すら招き得る恐れがある。
故にベアトリーチェは――。

ベアトリーチェ「こうなれば……仕方あるまい。この妾をも倒した『奴』の力を借りるしか……!」

その高いプライドを捨ててまで、ある『ウィッチハンター』に助けを求める事を決意した。

155 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:05:01 ID:MGYyPwiA
〜南葛中・宿舎〜

森崎「ぐが〜、すぴぴ〜」

……ここは東邦学園の宿舎からそう離れた場所ではない、南葛中の宿舎。
日向との決戦を控え、最後の特訓を積んだ森崎は僅かながらの休息を取っていた。

ベアトリーチェ「……森崎。森崎よ! 妾の声に応じよ!!」

森崎「ぐが〜、ん。そのイラつく声は……いや、流石に夢か……」

故に、人としての姿も保てぬ状態で、如何にベアトリーチェが呼びかけようとも、森崎は一向に起きる気配がない。

ベアトリーチェ「ええい、この非常時に……! ならば仕方ない、魔法を使うか……」

元はと言えば自分の誤算により引き起こされた異変であるが、傲慢なる魔女はそうした細かい事は気にしない。
ベアトリーチェは森崎を起こす為、なけなしの魔力でごく小さな魔法を使った。

――ジリリリリ! ジリリリリ!

目覚まし時計に黄金の鱗粉を振りまくと、時計の針が早回しのように進んでいき
――そして、目覚まし時計のベルを鳴らす。
時そのものを加速させる事はできずとも、手を触れずに時計の針を進める程度は造作もない。

森崎「うわっ! やべっ、寝坊した!」

ベアトリーチェ「ようやく起きたか、この寝ぼすけが」

森崎「……姿は見えぬが声は聞こえるぞ。その声は……テメエ。ベアトリーチェだな」

ベアトリーチェ「ほう! 良く覚えていたなぁ森崎。くひひひひ!! そうだよ妾だよ妾ァ。
         可愛い黄金の魔女サマが、お前を起こしに来てやったんだよぉホラホラ喜べよォ!」

156 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:06:39 ID:MGYyPwiA

先の戦いで大きな痛手を負ったベアトリーチェだったが、
同時にあの戦い以来森崎の実力を認め、一方的なライバル心を抱くようになっており。
今日の晩も、ソリマチ卿ではなく自分が出題者として、森崎にリベンジを果たしたいと思っていた。
そうした彼女の内心もあり、ベアトリーチェは嬉しそうに森崎を煽るが。

森崎「……クソッタレ。まだ死んでなかったのかよ。
   誰が喜ぶか、幻想になったとはいえ、翼を嬉々として殺したようなヤツをよ」

森崎としては、ベアトリーチェは翼を殺そうとした、単なる残酷な魔女にしか過ぎない。
無論彼女が先のゲームの終盤で見せた粘り強さや執念はある程度評価していたが、
それはあくまで敵としての視点であり、こうして馴れ合う為のものではない。

ベアトリーチェ「あ、あんときの事は悪かったよォ。
         でも、ちょっと派手にやった方が魔女を信じてくれるかなーって思ったんだもん。
         ポケットから鉛筆が無くなったとか、目覚まし時計が勝手に鳴ったとか。
         そんな手品みたいな魔法を持ち出しても、信じてくんないだろぉ?」

森崎「……『鉛筆が無くなるのはポケットに穴が空いていたから』だし、
    『目覚まし時計が勝手に鳴るのは、単に俺の設定ミス』だからな。
    ――だが、そういう事を言っているんじゃない。
    俺が言いたいのは。魔女のお前にとっては人の生死はゲームかもしれないが。
    人間の俺達にとっては、その生死が一番大事だって事なんだよ」

ベアトリーチェ「む、むぅ……ニンゲン達の価値観位、妾も分かっておる。だが……」

魔女のベアトリーチェと人間の森崎では、根本的に視点がズレていた。
無限の魔女にとっては、人の生死はチェスの駒と同じで、ゲームが終われば何度でも蘇る。
しかし、魔法の使えぬ人間にとっては、一度きりの人生をただのゲームと切り捨てられる訳がない。
故に、二人の口論は平行線。
ゲームを楽しみ、魔法を認めて貰う事が最優先で、人の生死など二の次と平気で話すベアトリーチェと、
野望を求めて毎日を一生懸命に生きている森崎が交じり合う可能性は無かった。

157 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:08:07 ID:MGYyPwiA
ベアトリーチェ「……妾は、そなたとは良きライバルになれると思ったのだがなァ」

森崎「何がライバルだ。ライバルになりたかったらサッカーでも始めやがれ」

――しかし、今はそうした口論をしている場合ではない。決然と、ベアトリーチェは本題を切り出す。

ベアトリーチェ「――だが。今は少なくともそなたに共闘を頼みたいのだ!
          ……凶悪なる毒の魔術師が生まれてしまった。奴はゲームを望んでおらぬ。
         奴の狙いは世界の秩序の崩壊。そうなれば、魔女も人間も、生きる場所が無くなる!」

森崎「へぇ。そりゃいいや。そいつのお蔭で、てめえみたいなゲーム脳で頭薔薇庭園の魔女が消えるんだったら、
    その魔術師さんの方を応援してやるぜ。てか第一、信じられるかそんな与太話」

ベアトリーチェ「与太話などでは無い! 現に脅威はすぐそこにまで迫って来ておる!」

とはいえ、敵視され一切信頼されていないベアトリーチェの発言に、森崎は耳を貸そうとしない。
これも魔女の新たな策略かもしれないのだ。一度彼女の甘言に乗せられている森崎は慎重だった。
しかし、丁度その時だった。

ドオオオンッ!

森崎「な、なんだよ次は……!?」

ベアトリーチェ「……魔術師だ。ヤツが来たのだ!」

南葛中の宿舎を揺るがす地響きとともに、森崎の部屋に大きな穴が空いた。
その穴の先には――ベアトリーチェの言う通り、凶悪な表情をした毒の魔術師が、
かつての無限の魔女がそうであったように、夜の世界の王者として君臨していた。

158 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:09:29 ID:MGYyPwiA
ソリマチ卿「ほう……そんな所に逃げ隠れていたのか、ベアトリーチェ。惨めだな」

ベアトリーチェ「貴様……ソリマチ卿! 妾を追って来たのか!?」

ソリマチ卿「当たり前だ。貴様が再び力を取り戻した際、
       俺様の『言いたい事を言い放題ユートピア』の障害となるかもしれんからな。
       危険因子は、芽のうちに摘んでおかねばなるまい」

ゴオオッ……!

ソリマチ卿はそう言うと邪悪な笑みを浮かべながら、空中に毒々しい色の球体を編み出す。

ソリマチ卿「毒魔法レベル59。『ポイゾナスドライブ』だ。この魔法を受ければ、
       半径10キロメートル内は死の毒に満ち溢れるだろう……!
       くっくっく。たまんねえぜ!! 貴様らは青酸カリのように甘ァいアーモンド臭に溢れて死ぬんだ!」

森崎「いやいや……! そんな魔法を使われたら俺が死ぬだろう!
    ベアトリーチェ、お前が撒いた芽だろう、何とかしろよ!」

ベアトリーチェ「それが出来るなら、もうやっておるわ! 増長した魔術師を倒すのは、森崎。
          この妾をも制してみせたウィッチハンターたる、そなたにか出来ぬのだぞ!」

森崎「倒すったって、どうすれば良いんだよ。俺にかめはめ波でも打て、ってか?」

ベアトリーチェ「違う! ……そもそも、あやつの魔術師幻想を繋ぎとめているのは、
          不可能状況での殺人によるもの。その真相を人間とトリックで説明すれば、
          遡ってあやつの魔力は立ち消える! 要は、妾の時と同じという事よ!」

ソリマチ卿「ホウ……? 貴様、この俺様相手に『魔女のゲーム』で勝負するというのか?」


159 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:11:12 ID:MGYyPwiA

ベアトリーチェの発言に、ソリマチ卿は何らかの興味を示したらしい。
彼は毒の魔法を一旦中止して、森崎の下へと降り立った。

森崎「――知らねえけど、どうせやるしかないんだろ。やらないと俺はこの宿舎を破壊し尽すとか、言っちゃうんだろ?」

ソリマチ卿「成程。どうやらあの小五月蠅い蠅から聞いているようだな。
        俺の魔力の源泉を。それを止めるというのか……くくくくっ! 愚かな!」

そして、かつての森崎とベアトリーチェとの対峙と同じように、
二人の間を隔てるように一台のチェス盤が置かれる。
局面は序盤にも関わらず黒番の不利。盤面中央に白のクイーンが鎮座している一方、
黒はルーク、ビショップ、ナイトの駒が既に1枚ずつ脱落していた。

ソリマチ卿「見るが良い。この俺様が構築した、圧倒的な赤き真実を。
       そして屈服するが良い。ベアトリーチェをも超えた、俺様による完全不可能犯罪の前にな!!」

ベアトリーチェ「……期せずとも勝負が始まったか。森崎!
         そなたが何と言おうとも、このゲーム、妾がそなたのサポートとして補佐をさせて貰おう。
         そして必ず勝つのだ! さもないと魔女幻想やゲームどころでは無い!
         ソリマチ卿の魔力により、この世界は破滅してしまうぞっ!!」

森崎「世界がどうとかは知らねえが。俺はまだ死ねねえんだよ。ベアトッ!
    この戦いが終わったら、俺が説教たんまりかましてやるから、覚悟しとけよ!」

――かくして、些か不格好ではあるが。
世界の崩壊を賭けた、魔女と人間による奇妙な共同戦線がここに張られたのだった。

160 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:14:48 ID:MGYyPwiA
Episode 2   Resurrection of the golden witch 〜黄金の魔女の復活〜 第一の晩 開始

−魔術師の出題(幻想描写は>>144-147)−
【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は、反町一樹により殺害された】。
しかし、【反町一樹の殺害の直前、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に居た】が、
【反町一樹は、殺害時、東邦学園の宿舎の自室から一歩も動いていない】。
加えて、特記事項として【日向小次郎、若島津健、吉良耕三の3人は、反町一樹の殺害の翌日、生存していた】。

魔術師側はこれを、「魔術師が3人を魔法で自室に召喚・殺害し、その後反魂の魔法で3人を蘇生した」と主張する。
人間側は、「魔術師の魔法」以外の方法により、今回の状況を再現できる仮説を提示し(仮説は、【赤き真実】に抵触しないこと)、
以て魔術師の主張を否定する必要がある。

−ルールまとめ−
・人間側(=参加者)は、魔女(=GM)に対し、「復唱要求(=事実の確認)」および、
 『青き真実(=魔法を否定するための仮説)』を放つ事ができます。
 
 (復唱要求ならば、要求したい内容を「」に入れて書き込みを。
  青き真実ならば、事件の一連を示した内容を『』に入れて書き込みをしてください。)

・魔女は、参加者の「復唱要求」に対し、【赤き真実(=絶対的な事実)】にて復唱することができます。
 ただし、魔女は「復唱要求」に応ずる義務はなく、応じない理由を示す義務もありません。

・魔女は、参加者の『青き真実』に対し、【赤き真実】にて否定する義務があります。
 否定の方法は魔女の裁量に委ねられますが、ここで『青き真実』を否定できない場合は、魔女の敗北となります。

・人間側は、魔女の【赤き真実】に対し、打ち出せる『青き真実』が出なくなった場合、
 リザイン(=投了)を表明することにより、敗北となります。
  ※実際にこうなりそうな場合は、GM側にて正解の進行を描写しようと思います。

・(新ルール)どうしても謎が解けない場合、助言役(ベアトリーチェ)にヒントを貰う事ができます。
 ヒントが欲しい場合は、「ベアトにヒントを聞く」と書き込みして下さい。ヒントを書いていきます。
 (ヒントが要る方と要らない方に別れた場合、ヒントが要らない方は申し訳ないですがスルーして下さい。) 

161 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:16:04 ID:MGYyPwiA
−これまでの赤字−※これまでに出ていた内容と、誤解が無いよう書き方を変える場合があります。

【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は、反町一樹により殺害された】
【反町一樹の殺害の直前、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に居た】
【反町一樹は、殺害時、東邦学園の宿舎の自室から一歩も動いていない】
【日向小次郎、若島津健、吉良耕三の3人は、反町一樹の殺害の翌日、生存していた】

162 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:17:57 ID:MGYyPwiA
森崎「――よし。まずは復唱要求でも……って、何だァこの赤字は!?
   遠隔殺人にしても三人の距離が離れすぎてるし、第一、殺害されても生きてるって、矛盾してるじゃねーか!!」

ソリマチ卿「くひゃひゃひゃ! それは勿論、この俺が魔法で3人を召喚・殺害し。
       その後更なる拷問の為に魔法で蘇生させたに決まっておろう!! 全く矛盾しておらぬ!
       逆に聞くが、人間の転送! もしくは遠隔殺害! 極め付けに蘇生! これを人間とトリックでどう説明するのだ!?」

問題を提示しその不可能性を強調する事で悦に浸るソリマチ卿。
実際、悩みながらも、何らかの仮説は出せていた前回のゲーム盤と違い、
非常に強固な赤字で固められたソリマチ卿のゲーム盤を見て、森崎は戦慄していた。

ベアトリーチェ「慌てるな、森崎!」

――それを一喝し、冷静さを取り戻してくれたのはベアトリーチェだった。
彼女は平静なまま、今回のゲーム盤について解説を加えてくれた。

ベアトリーチェ「まずは、核心となるべき謎の整理だ。問題文から読み取れる謎は大きく分けて2つ。

その1、「それぞれ離れた場所に居た日向、若島津、吉良を、反町は東邦学園の自室でどのように殺害したのか」

その2、「一度殺害した筈の日向、若島津、吉良は、何故殺害の翌日に生存しているのか」。

        これを人間とトリックで解き明かす事が、妾達の目的となろう」

163 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:20:10 ID:MGYyPwiA

森崎「その位は分かってるっての。でも、あまりに謎過ぎるだろ!
   前回の翼の密室殺人だったら、まだとっかかりはあったけどよぉ。何も思いつかねえぜ!」

ベアトリーチェ「そうか? 魔女として、様々なゲーム盤を作り、覗いて来た妾からすれば。
        このゲーム盤の心臓はあまりに陳腐で単純と読めるぞ?」

森崎「そうなのか? でもだって、赤が強すぎるぜ。まるでチェス盤の中央でデカイ面してるクイーンみたいだ。
   あいつが居るせいで、どこの駒も進ませようが無いっつーか……」

ベアトリーチェ「だからこそ、よ。ソリマチ卿……きゃつが放った赤き真実は強力だが、強すぎる。
          アーリー・クイーン・ムーブ。――強力なクイーンを先出しする戦法は、
          無能な者を完膚なきまでに叩きのめすという意味では強力だが、欠点も多い。
          強力な赤それ自身が推理の幅を狭め、真相という名の心臓を剥きだしにしてしまうのだ。
          ――名うてのウィッチハンターならば、たった一発の青き杭にて潰されるであろう」

森崎「マジかよ……」

ソリマチ卿「何を話しておる、雑魚共が! 来るならさっさと来るが良い! くははははははは!!」

ベアトリーチェ「――ああは言ったが、無理に一撃必殺を試みる必要はないぞ、森崎!
        失敗や拒否を恐れず、色々な復唱要求や青き真実を放ってみせよ!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

164 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 21:24:32 ID:???
「反町一樹という名称の人物は複数人存在する」
「日向、若島津、吉良という名称の人物は複数人存在する」

165 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 21:28:04 ID:???
「宿舎の中に東京、岐阜、埼玉という呼称の空間が存在する」

166 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:29:21 ID:MGYyPwiA
森崎「……そうだな。確かに可能性は限られる、か。――よし! 復唱要求だ、ソリマチ卿!
    「反町一樹という名称の人物は複数人存在する」
    「日向、若島津、吉良という名称の人物は複数人存在する」ッ!」

ソリマチ卿「……ふんっ! 復唱は拒否だ! 理由は特に無い!」

森崎「へえ。折角魔術師になったってのに、言いたい事も言えねえのか?
    ……それとも、言いたくないから言わねえのか?」

ソリマチ卿「それは好きに解釈するが良い。クククッ……!!」

ベアトリーチェ「相手のペースに乗せられる必要はないぞ、森崎。その調子でどんどん敵を突いて行くが良い!」

森崎「うるせえ、言われなくても分かってるぜ!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

167 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:31:46 ID:MGYyPwiA
>>165

森崎「おっと、もう一つ復唱要求だ。
    「宿舎の中に東京、岐阜、埼玉という呼称の空間が存在する」!」

ソリマチ卿「くっくくくく……! 面白い要求だ。だが拒否する。理由は特に無い!」

ベアトリーチェ「発想は面白いが、魔術師もそう簡単に口を割らぬか。
         これが果たしてブラフなのか、核心を突くが故なのか……」

森崎「まあいいさ。勝負はこれからだ!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

168 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 21:42:16 ID:???
「反町一樹は生存している」
「反町一樹はこの事件の犯人である」
>反町一樹の殺害
読み方によっては反町自体がもう殺されているようにも読めるけど……

169 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 21:47:18 ID:???
『反町一樹は日向小次郎、若島津健、吉良耕三を殺害したが、
同姓同名の別人が、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に存在し、
反町一樹の殺害の翌日時点で生存している』

170 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:48:30 ID:MGYyPwiA
>>168

森崎「……ちょっと待った。この要求には応じられるか? 復唱要求!
   「反町一樹は生存している」
   「反町一樹はこの事件の犯人である」」

ソリマチ卿「なんだ、そう言う事か。ではあらぬ誤解の無いよう、これは復唱しよう。
       【反町一樹は生存している】!
       【反町一樹はこの事件の犯人である】!
       ――更に既存の赤字を、より明確な意味に訂正させて貰おう。
       【反町一樹が殺害を行った直前、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に居た】」

ベアトリーチェ「成程。反町一樹の殺害、という表現をそう取ったか。
         赤字の定義についてしっかりと確認を取る事は、このゲームの基礎中の基礎。流石だなァ、森崎」

森崎「クソ魔女に褒められてもうれしくないぜ。……さっさと次に行くぞ、次!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

171 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 21:49:49 ID:???
『被害者の三人は反町一樹の指示で動いた人物Xによって殺された』

172 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 21:55:42 ID:MGYyPwiA
>>169

森崎「よし。それじゃ誤解も解けたところで青を打って行くぜ! 喰らえ!
   『反町一樹は日向小次郎、若島津健、吉良耕三を殺害したが、
    同姓同名の別人が、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に存在し、
    反町一樹の殺害の翌日時点で生存している』!」

ドーーーーンッ!

強烈な青き真実が杭の形をとり、ソリマチ卿の胸に突き刺さる。

ソリマチ卿「ぐっ……!」

しかし、その直前にソリマチ卿は足に赤きオーラを纏わせ、
その強烈なシュート力を持って杭を破壊する。

ソリマチ卿「【日向小次郎、若島津健、吉良耕三という名前の人間は、この世界に1人ずつしか存在しない】!」

シャキーンッ、ブンッ、ガシャアアアアアアアアアアアンッ!

森崎「チッ、駄目だったか!」

ベアトリーチェ「いや。この青は惜しくも切られたが、確実に真相の範囲を狭めている!
          臆せず攻撃の手を緩めるなよ!」

173 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:02:51 ID:MGYyPwiA
>>171

森崎「おうよ、食らえ! もう一発赤だ!
    『被害者の三人は反町一樹の指示で動いた人物Xによって殺された』!
    人物Xがタケシか、小池か、北詰監督か、それとも高島だか三島だったか誰かは知らんぞ。
    だが、細部に関する説明は『悪魔の証明』理論の応用により、拒否する!」

ドーーンッ!

ソリマチ卿「フン……! ならばこの赤を食らえ、【この事件において、謎の人物Xは一切関与しない!】」

シャキーンッ、ブンッ、ガシャアアアンッ!

ベアトリーチェ「謎の人物Xの関与が否定されたか。……どう思う?」

森崎「くくっ。不可能性が増して大変だが、一方で可能性もまた崩された。随分推理がしやすくなったぜ!」

ソリマチ卿「強がりを言っていられるのも今の内だぞ森崎ィ。
       貴様の運命はトリカブトの如く急激に絶たれるのだァ!!」

森崎「チッ……! それはどっちかな。まだまだ行くぜェ!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

174 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:03:38 ID:???
『反町は自室に日本地図が印刷されたカーペットを敷いており、その東京、岐阜、埼玉の上で三人を何らかの方法で仮死状態にし、
その後三人に蘇生処置を行った』

175 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:04:37 ID:???
『反町は被害者の三人に仮死状態となるような毒物を送り飲ませ、被害者たちはその後息を吹き返した』

176 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:11:58 ID:MGYyPwiA
>>174


森崎「だったら次はトンデモだ!
    『反町は自室に日本地図が印刷されたカーペットを敷いており、その東京、岐阜、埼玉の上で三人を何らかの方法で仮死状態にし、
    その後三人に蘇生処置を行った』!
    何故反町がそんな事をしたのか、その理由Xについては説明拒否!」

ソリマチ卿「くひゃひゃひゃひゃひゃ! 笑わせてくれる、森崎!
       だが……そうだな。如何にして切ろうか。
       【反町の私室に、日本地図は存在しない】。いや、もう少し具体的に言ってやろうか。
       【東京、岐阜、埼玉とは単なる名称ではなく、実際の日本国の都道府県内を指す】
       これはつまり、宿舎内の『東京』『岐阜』『埼玉』という場所で殺害を行った、という意味では無く。
       彼らは実際に、東京都、岐阜県、埼玉県のいずこかに存在していた、という意味よ」

ベアトリーチェ「ふむ……。赤で囲まれていない部分もあるが、ソリマチ卿の発言は信用しても良さそうだ」

森崎「どうしてそう言えるんだ?」

ベアトリーチェ「正確には、疑う必要が無いというべきか。こうした詳細の定義は、日本語での説明が難しい事が往々にしてある。
         どうしても疑いたい場合は、対応する青字を打っても良いが。
         ここは対戦相手を信じても良いのではないか……と、長年の感覚からそう思うだけだ」

森崎「まぁ、お前のゲームに対する律義さというか、流儀は何となく分かってるよ。……参考にはするぜ」

177 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:19:45 ID:???
「反町一樹の部屋から外部に連絡をとる手段は存在しない」

178 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:21:57 ID:MGYyPwiA
森崎「……一度死んだ人間が生き返る方法について、仮説を叩いてみるか。
    『反町は被害者の三人に仮死状態となるような毒物を送り飲ませ、被害者たちはその後息を吹き返した』!
    そんな毒物Xが実際にあるかどうか、三人が実際に飲む理由Xかどうかについては、悪魔の証明により説明拒否!」

ドーーンッ!

ソリマチ卿「クックク……くわーーーーーーーーーーーーっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」

森崎・ベアトリーチェ「「!?」」

森崎が提出した青き真実に対し、ソリマチ卿は待っていたかの如く高笑いを上げる。
そして次の瞬間、彼が何故こうした余裕を持っているかを思い知らされることとなる。

ソリマチ卿「【この事件において、いかなる薬物・毒物Xは関係しない】ッ!」

カッ!

バキイインッ!

ソリマチ卿はまず、森崎の青を赤い気を纏ったダイビングボレーで撃ち返す。
しかし、彼の攻撃はまだ終わらない。

ソリマチ卿「出血大サービスだ、更に赤字を出してやる。
       【日向小次郎・若島津健・吉良耕三はいずれも、反町一樹による攻撃が原因で絶命した】!
       どうだ? 【反町一樹は、殺害時、東邦学園の宿舎の自室から一歩も動いていない】状況下だが、
       俺は【反町一樹の殺害の直前、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に居た】
       アイツ等を殺したのよ。ククク……どうだ森崎ィ? どう見ても不可能だろう??

シャキーンッ! ゴオオオオッ……!!

一旦森崎の青を打ち返した赤きシュートは、ソリマチ卿の魔力に呼応してその威力を増幅させ、
更なる赤き真実を加えて森崎を圧倒する。

179 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:26:53 ID:MGYyPwiA
ベアトリーチェ「魔力増幅術……! いわばこれが奴の得意技と言ったところか。
          得意とする箇所への青を打たれた場合、更なる赤を追加し不可能性を強調する。
         『強烈なシュート』。このゲームに即して言えば、『強烈な赤き真実』と言ったところか……!」

森崎「……ああ。確かに痛い攻撃だぜ。だが、まだ終わっちゃいねえ。生憎と、俺は諦めが悪いんでな」

ソリマチ卿「ホウ……? この俺様の『強烈な赤き真実』を食らって尚耐えるか。面白い……!」


>>177

森崎「面白いついでに復唱要求、
    「反町一樹の部屋から外部に連絡をとる手段は存在しない」!」

ソリマチ卿「応じる。【反町一樹の部屋から外部に連絡をとる手段は存在しない】」

森崎「クッ……!」

ベアトリーチェ「落ち着くのだ森崎。詰まった場合はこれまでの赤字を読み返すのも良い。
          ……とにかく、攻撃の手を休めてはならんぞ!」

森崎「分かってる、分かってる! よし、じゃあ次は……」



☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

180 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:28:23 ID:???
『ソリマチ卿とは別人の反町一樹という名前の医師が複数存在し、
日向小次郎には東京、若島津健には岐阜、吉良耕三には埼玉でそれぞれ心臓の手術を行った
手術中に三人は一時心停止したが、その後再び心臓を動かし蘇生させた』

181 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:28:23 ID:???
『三人は反町一樹の自室から放たれたシュートによって殺された』

キックオフシュートを決める魔王ならやってくれる(信頼の目)

182 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:34:13 ID:MGYyPwiA
>>180


森崎「これはどうだ!
    『ソリマチ卿とは別人の反町一樹という名前の医師が複数存在し、
    日向小次郎には東京、若島津健には岐阜、吉良耕三には埼玉でそれぞれ心臓の手術を行った
    手術中に三人は一時心停止したが、その後再び心臓を動かし蘇生させた』!」

ドーーンッ!

ソリマチ卿「無駄無駄ァ!【反町一樹という名称の者は、この世界に1人しか存在しない】!
       勿論、この1名というのは殺人を行ったこの俺様の事よ! くわぁっかっかっか!!」

シャキーンッ、グワァァッ、ドガァァァァァッ!

森崎「チッ、これもハズレか」

ベアトリーチェ「………」

183 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:38:12 ID:MGYyPwiA

>>181

森崎「チイッ……じゃあこれだ、『三人は反町一樹の自室から放たれたシュートによって殺された』!
    シュート力67の魔王ならこの位楽勝だよなァ!?」

ドーーンッ!

ソリマチ卿「ええい、変な青を打ってきおって……!
        ならばこうだ、【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は、反町一樹の私室にて殺害された】!
        加えて、【反町一樹は殺害にあたり、一切の道具Xを凶器として使っていない】!
        道具Xにはサッカーボール、ブラックボール等も含める!
        ついでに言っておこう、【このゲームに謎の異世界Gは関係しない】!」

シャキーンッ、ズバァァァッ! ガシャァァァンッ!

ベアトリーチェ「なあ森崎ぃ。謎の異世界Gって何だ? 黄金郷の事?」

森崎「俺も知らん。……知らんが、多分どうでも良い事だろう」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

184 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:43:43 ID:???
「東邦学園の宿舎は一つしか存在しない」
「日向小次郎、若島津健、吉良耕三は同じ日に殺害された」

185 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:49:22 ID:???
殺し方まではまだなんとなくいけそうな気がするけど、蘇生の経緯が全く検討もつかない……
「反町の攻撃には明確な殺意が伴っていた」

186 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:50:06 ID:MGYyPwiA
>>184

森崎「くそっ……。悔しいが、詰まって来たな。復唱要求!
   「東邦学園の宿舎は一つしか存在しない」、
   「日向小次郎、若島津健、吉良耕三は同じ日に殺害された」!」

ソリマチ卿「そうだな。別に拒否をしても良いのだが……まァ良かろう。
       復唱に応じる。【東邦学園の宿舎は一つしか存在しない】、
       【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は同じ日に殺害された】。
       更に言ってやろう、【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は、それぞれ5分以内の間隔で殺害された】。
       ククク……どうだァ? 俺は東京、岐阜、埼玉に居る3人の人間を、自室に居ながらにして、
       僅か5分以内の間隔で殺害したのだ。これを魔法と言わずして、何と呼ぶまい?」

森崎「ええい、それも『強烈な赤き真実』ってヤツか? 余計な事ばっかり喋りやがって……」

ベアトリーチェ「案ずるな森崎。赤き真実は伝家の宝刀。使い過ぎはこちらの利になる。
         よいか森崎。事件の不可能性が高いという事は、それだけ他の可能性が想定し難いという事よ。
         後はこれまでの赤字を見たり、不明瞭な定義を確認する事により、心臓を撃ち抜く青を出せばいい事。
         絶対に諦めぬそなたの方が、今なお立場としては強いのだ」

森崎「お世辞がうまくなったじゃねーか。でもご心配なく。俺はまだ諦めてないぜ」

187 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 22:55:18 ID:MGYyPwiA
>>185

森崎「復唱要求だ。……「反町の攻撃には明確な殺意が伴っていた」!」

ソリマチ卿「そうだな。……復唱してやろう。【反町の攻撃には明確な殺意が伴っていた】!
       殺意とは即ち、その対象の生命を奪おうとする意志を指す。
       赤で囲う程ではないため白字だが、この定義について過たない事を約束しよう」

ベアトリーチェ「魔女のゲームは、ゲームマスターとプレイヤー。双方の信頼があって成り立つ。
          ここは妾達も、その言葉を信頼するしかあるまい」

森崎「分かったよ。でも何で白字なんだ? 文字的には黒だろ。
    それを言い出せば、【】も『』も赤でも青でも無いし……」

ベアトリーチェ「そ、それは元ネタの文章が……ええい、そんなつまらぬ事は突っ込まんで良い!
         さっさと青字なり復唱要求なり考えろ!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆


188 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 22:58:50 ID:???
『全てはオンラインゲームX上での出来事だった』


189 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 23:06:14 ID:MGYyPwiA
>>188

森崎「……現実的に考えてあり得ない遠隔殺人、そして死者の蘇生。
    これを説明するのは――そうだ!
    『全てはオンラインゲームX上での出来事だった』!
    こうしたオンラインゲームが存在するか否かについては――」

ソリマチ卿「説明拒否。それも良かろう。なぜならば、
       【この事件は全て、現実世界で起こった事である】からな。
       なお、事件というのは、反町一樹による日向小次郎、若島津健、吉良耕三の殺害を指し。
       現実世界というのは、この我々が存在している世界の出来事、という風に捉えれば良い」

森崎「おいベアト、これも信用できるのか」

ベアトリーチェ「事件及び現実世界の定義か。……まあ、ここを疑ってはキリが無いからなァ。
         ただ、ネットゲーム説は屁理屈推理合戦では頻出かつ、正解になる事もままある青だ。
         こうした柔軟な発想を持つ事自体は悪くないぞ」

森崎「そうかよ。しっかし、どうしたもんか。本当に人間が死んで生き返るのか?」

ベアトリーチェ「そうだな。……そもそも。本当に人間が生き返っているのか?という事も含めて。
         一度これまでの赤字を見返してみるのも、必要かもしれぬな」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆
※今晩のゲームは、24:00まで行います。それまでに回答が無い場合は、明日の夜に続きをやります。    

190 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 23:13:36 ID:???
「反町一樹が殺害した日向小次郎、若島津健、吉良耕三の三名は人間である」

191 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 23:22:20 ID:MGYyPwiA
>>190

森崎「……おっと、そう言えば。――復唱要求!
   「反町一樹が殺害した日向小次郎、若島津健、吉良耕三の三名は人間である」」

ソリマチ卿「……復唱を拒否する。理由は特に無い」

ベアトリーチェ「ほう? 先程までは威勢よく赤を並べておったのに、ここに来てダンマリか」

ソリマチ卿「余裕故よ。これ以上貴様等に赤を出さずとも、この謎は到底解けまい」

森崎「……そうかい。そんなら良いけどよ。……それならお言葉に甘えて、
   有力な青か、それともお前が顔を真っ青にするような復唱要求でも考えてみるぜ?
   お前がこれまでホイホイ下さった赤字をよ〜く検討してみてな!」


☆ソリマチ卿に対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

192 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 23:26:51 ID:???
『反町は自室にて三人の名前をつけた生物Xを殺害した』

193 :森崎名無しさん:2017/01/09(月) 23:27:05 ID:???
『ソリマチ卿が殺害したのは、日向小次郎、若島津健、吉良耕三と名付けた人形である』

194 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 23:42:59 ID:MGYyPwiA
>>192

森崎「そう言えば。序盤にスルーしちまったが、一点気になる赤があったんだよな」

ソリマチ卿「ホウ……?」

森崎はそう言うと、ソリマチ卿が切った無数の赤字の中から一つを取り出した。

   【日向小次郎、若島津健、吉良耕三という名前の人間は、この世界に1人ずつしか存在しない】

それは当初、日向達の同一人物説を否定するために切られた赤字。
一見何の変哲も無い赤字のように見えるが――。

ベアトリーチェ「気付いておったか」

森崎「ああ。……よく考えてみたら、この赤。俺の青を完全には切ってねぇ。
    俺の青はこうだった。」

   『反町一樹は日向小次郎、若島津健、吉良耕三を殺害したが、
    同姓同名の別人が、日向小次郎は東京、若島津健は岐阜、吉良耕三は埼玉に存在し、
    反町一樹の殺害の翌日時点で生存している』

森崎「同性同名の別人の存在については、確かに否定されたかもしれない。
    だが、ソリマチ卿。本当ならお前はもっと良い赤の切り方があった筈なんだ。
    例えば、『このゲームにおいて、日向小次郎、若島津健、吉良耕三の名称を持つ者は1名ずつしか存在しない』
    ……とかさ。でも、お前はしなかった。……いや、出来なかったんだ」

ソリマチ卿「………………………」

先程までの饒舌さが嘘のように、ソリマチ卿は黙して語らない。森崎は更に推理を続ける。

195 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/09(月) 23:53:42 ID:MGYyPwiA

森崎「それと、殺された3人の蘇生トリック。これについてお前は赤では、『殺害された』『生存していた』しか語ってねぇ。
    蘇生した云々は、あくまで幻想描写部分や、赤で無い部分だけでしか言ってない。
    そして、生きた人間が死ぬ方法なんて腐る程あるが、死んだ人間が生き返る方法なんて殆どねぇだろ。
    しかし、お前は【この事件において、謎の人物Xは一切関与しない】、【この事件において、いかなる薬物・毒物Xは関係しない】
    と赤を出す事で、蘇生が可能な医師X、一時的な仮死薬Xの可能性を悉く否定している。ゲームXの出来事である可能性すらもだ。
    こうなると、答えは簡単だ。……【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は、生き返っていない。ずっと死んだまま】なんだろ?」

ソリマチ卿「ぐっ……………」

森崎「そこに気付いてからは早かった。遠隔殺人なんて不可能、死者の蘇生なんて不可能。でも日向達は死んでいる。
    この条件を満たしつつ、【日向小次郎、若島津健、吉良耕三の3人は、反町一樹の殺害の翌日、生存していた】を満たす方法。
    それは――【人間でない】同性同名の日向達を、反町の部屋で殺す事。
    お前は丁寧にも、ちょくちょくヒントを与えててくれたしな」

ソリマチ卿の顔が宣言通りみるみる青ざめるのを尻目に、森崎は幾つかの赤字を並べる。

    【日向小次郎、若島津健、吉良耕三はいずれも、反町一樹による攻撃が原因で絶命した】
    【日向小次郎、若島津健、吉良耕三は、それぞれ5分以内の間隔で殺害された】
    【日向小次郎、若島津健、吉良耕三の3人は、反町一樹の殺害の翌日、生存していた】

森崎「まずはこの赤。死んだ日向達について、お前は「人」という表現を使っていない。
    人という表現が出て来るのは、同名の人間の否定。それと、生存していた3人について赤を出しただけだ」

【反町一樹という名称の者は、この世界に1人しか存在しない】
【日向小次郎、若島津健、吉良耕三という名前の人間は、この世界に1人ずつしか存在しない】

森崎「あとは……この赤もヒントだったんだろ? 『反町一樹』は『者』という抽象的な表現を使用する一方、
    日向達については『人間』と限定している。まぁ、者もイコール人間だっていわれりゃ、きついけどな。
    でも、お前は公正だった。『人間』という表現に疑いを向かせるよう、伏線を張ってくれた」

ソリマチ卿「俺様は……お、俺は……!!」

196 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 00:00:44 ID:LKwyGoHo
森崎「……後半の方では『事件』やら『現実世界』やらについて、嫌に丁寧に定義解説をしてくれたのもそうだろ?
    『殺害』とは人間を殺す事なのか? 動物を殺す場合も含まれるのか?
    ……と聞かれた場合に備えて、定義の確認の重要性を俺達に示そうとした。
    ――ったく。キャラ変はしても、その無駄に真面目で丁寧なトコは変わんねーのな、反町?」

ソリマチ卿「違う。俺をその名で呼ぶな。俺はこれより千年を生きる無限と毒の魔術師。
       ソリマチ・ベアトリウス・ユグドラシル卿であるぞ……!」

森崎はソリマチ卿のハラワタを完全に掴んでいた。後は森崎が手を引き抜き、その心臓を外部に撒き散らすのみ。
魔術師の処刑。その瞬間はすぐそこに迫っていた。
森崎は最後の情けとして、彼の首を取る為の青いギロチンを召喚し。



森崎「――『反町は自室にて三人の名前をつけた生物Xを殺害した』」



ドーーーーーーーーーーーーーーンッ!
……ガシャァァァァァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァンッ!!


ソリマチ卿「ぐ…………ぐぐぐ………………ぐぼぼぼぼぼわーーーーー!!」

プク……プク、プクプク……。


――森崎がそれを振りかざすのとほぼ同時に、ソリマチ卿は自身の体内に溢れる毒を制御できず。
世界を支配しようと試みた魔王であるとは到底思えぬ程情けない断末魔の叫びとともに、
泡を吹きながら、その存在を否定されたのだった。

197 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 00:13:23 ID:LKwyGoHo
無限と毒の魔術師ソリマチ・ベアトリウス・ユグドラシル卿は、
>>192さまの提出した青き真実に対し、リザイン(投了)を表明しました。
よって、このゲームは人間側の勝利となります。お疲れ様でした。

――――――――――――――――――――――――――――――――


……と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
次回以降は幻想描写抜きの真相を描写の上、少し森崎とベアトのやりとりを挟み、
第二話完、としたいと思います。

前回は『死んだ理由当て』が謎の核心でしたが多くて難しかったので、
今回は逆に『復活した理由当て』を謎の核心にしようと思っていました。
人間が死ぬ理由は沢山ありますが、生き返る(ように見える)理由は少ないと思ったので…。
最初>>172が出て来た時ヒヤリとしましたが、
『人間』という表現について特段の突っ込みが無かったため、続行させて頂きました。
結果としては、前回よりも難易度を下げつつ、そこそこ駆け引きと推理を楽しめるゲームになったのではないか、
と思っています。また感想や意見を書き込みして頂ければ嬉しいです。

>>192
正解おめでとうございます。私の中では反町が殺した生物Xはアリでした。
反町はアリの巣キットを持ち歩いており、ストレスが溜まった際は適当なアリを日向と見立てて、
愚痴を言ったり殺したりしてストレス発散を試みていたようです。
>>193
この場合、【殺害とは、特定の対象Xの生命を意図的に奪うことである】【人形に生命は無いものとする】
と逃げようと思いましたが、これは実質、1手詰のチェックメイトに近い状況でしたね。

今回もゲームに参加して頂き、また色々なコメントを頂き、誠にありがとうございました。
お疲れ様でした。

198 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 00:18:23 ID:???
乙なのです
>>193を書き込んだあと、よく考えれば人形は殺害したとか言いませんよねって自分でも思いました(汗)

でも今回も楽しめました!

199 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 00:21:15 ID:???
乙でしたー
二回目ということもあり、参加者としては前回よりもある程度は慣れてきた感じがして非常に楽しめました。
次回もあるなら期待してます。

……それと反町がフィクションでよくいるサイコパスみたいに哺乳類には手を出してなくて良かった。
元・相方の某エースは激怒するだろうけどwww

200 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 05:12:42 ID:???
人間ごときにヒントをくれるとは、なんと慈悲深き御方よ
我らが偉大なる毒々しいソリマチ卿を崇めるのだ乙

201 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 07:08:50 ID:???
乙でした!
ソリマチ卿渾身のサバト楽しかったですよ
……ソリマチ卿信徒になろうかな

202 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 07:56:11 ID:???
いやあてっきりシュートによる殺害だと信じて疑わなかったぜ(超次元脳)
皆さんお疲れ様でした

203 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:51:06 ID:LKwyGoHo
こんばんは、今日はボチボチゲーム後の描写をしたいと思います。
>>198
乙ありがとうございます。楽しんで頂けて安心しております。
『人形は謎の生きてる(?)人形Rゼンメイデンだった可能性は否定できない。だから人形は殺害された!』
とかいう屁理屈もアリだと思いますw
>>199
乙ありがとうございます。魔女側としても鋭い復唱要求をどうかわすか悩んだり、
面白い青が色々出てきて笑ったりして、前回以上に楽しめました。
現在第三のゲーム盤までは考えていますが、
皆さんのレベルが上がって一撃リザインしそうなのもあり、ちょっと怖いですw(屁理屈推理合戦では良くある事ですが)
すみません、謎の蛍妖怪Rさんへの配慮を忘れていました(爆)
>>200
乙ありがとうございます。ある程度は手掛かりを出さないと、
言い当て合戦になってしまう…というGMとしての配慮もありますね。
「ソリマチ卿って案外(ry」にならず崇拝されててよかったですw
>>201
乙ありがとうございます。サバト(アリ殺し)なのが哀愁を誘いますね…。
ソリマチ卿は序盤のザコ的な設定でしたが、意外な人気が出て良かったです。
第三のゲーム盤もキャプ森キャラを魔女化させる予定ですが、人気ではソリマチ卿には勝てないかも…(汗)
>>202
お疲れ様でした。実は>>181のシュート殺人説は結構切り辛かったですw
実際それで、日向達は反町の私室で殺害された事が確定したりするなど、
人間側にとって有利な赤が出たりしますし、私も面白いので、超次元な説を期待してますw

204 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:52:10 ID:LKwyGoHo
**************************************
【S少年の秘めやかなる安息】

反町「畜生……日向の奴め。あいつのせいで俺のサッカー人生お先真っ暗だ……!」

全国中学サッカー大会決勝戦、その前夜。
反町一樹は誰もいない自分の部屋で、言いたかったが言えなかった事を壁にぶちまけていた。

反町「日向だけじゃない! 日向のお引きの若島津に、そいつらを煽って殺人サッカーを促す吉良監督!
    タケシはまだ良いとしても、あの3人が居るせいで……!」

その理由は勿論、日向、若島津、吉良という、これまでの反町の人生を全否定するような、
現在の東邦学園サッカー部を牛耳る連中のせいである。

反町「尊敬していた北詰監督は、胃潰瘍が悪化し危篤。
    仲の良かった友達からは、日向との癒着をでっち上げられ苛められる。
    これも全部、全部、あいつらのせいなんだ……!!」

これまで優等生として、概ね順風満帆なサッカー人生を歩んで来たが故に、
反町は日向達アウトローの存在を認められない、認めたくないという幼い気持ちもあった。
しかしそれ以上に、日向達はまだ中学3年生の少年の心を黒く蝕みすぎた。

反町「そうだ。アイツらだ。アイツラを殺せば。コロセサエスレバ……!」

――反町はいつしか、日向達の死を強く望むようになっていた。
事故に遭ってくれないか、突然病気になってくれないか、こうなったらいっそ自分がナイフで……!
いや、ナイフは足がつく。ならば、何処にいても殺せるような魔法を使って……!!

205 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:53:17 ID:LKwyGoHo


反町「――はぁ。一体俺は何を考えているんだ……!」

しかし同時に、反町は聡明な少年であった。黒い妄想を抱きこそすれど、決して実行には移さない。
それどころか、こうした妄想が何も生まないという事すらも知っていた。

反町「喉が渇いた。自動販売機で、ドリンクバーでも買って来ようかな……。
    って、何言ってるんだ俺。自販機でドリンクバーなんて買える訳ないだろ。
    はぁ……疲れてるのかな、俺。独り言ばかりは増えるし……」

……しかし、大舞台である全国大会の決勝を前にして、少しばかりの気分転換は役に立ちそうになかった。
溜息をつくと、ふと自分の旅行用カバンが目に着く。
すると、反町は最近覚えてしまった、自分の後ろめたい欲求を叶えたくて堪らなくなった。
幸い、ここは一人部屋だ。自分がここで何をしていようとも、決して恥じる必要は無い――。

反町「自分でも気持ち悪い趣味だ、ってのは分かってるけど。やめられないんだよなぁ……」

そう呟きながら大き目の旅行鞄を漁る反町。その目的は如何わしい雑誌……ではなく。
近頃疲れた大人向けへの癒しとして百貨店に販売されるようになった、アリの巣観察キットだった。
反町は最近、小さめの観察キットを買い。日常でも良く持ち歩くようになっていた。

反町「最初はアリでも観察してれば気が楽になるかな、って思っただけだけど……」

しかし、今の反町の目的はアリの観察では無い。アリが目当てである事は間違いなかったが、
その利用方法が一般的な用途とは少しばかり違っていた。

206 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:54:44 ID:LKwyGoHo
反町「よし。今日はこいつと……こいつと……こいつだ」

アリの巣をほじくって、適当な働きアリを3匹ほど見繕うと、
机の上にティッシュを敷いて、アリを乗せる。こうするとアリの身体が良く見えるのだ。
しっかりと3匹ともに区別できるよう、細心の注意を払った上で、こう呼びかける。

反町「よし。お前の名前は、『日向小次郎』。真ん中のお前は『若島津健』。
    それでフラフラしてるお前は、『吉良耕三』だ。良いな、分かったな」

アリ達「「「…………」」」

――勿論、アリ達がそう呼びかけて何かをする訳でも無い。
しかし、この命名が反町にとって大事なおまじない――一種の『魔法』だった。
周囲から見てはアリと話すだけの行為だが、この魔法により反町の脳内ではこいつらが確かに、
『日向小次郎』、『若島津健』、『吉良耕三』となるのだ。反町は物言わぬアリ達に続ける。

反町「くそっ……! いつもいつも俺の事をコケにしやがって!!
    日向ァ、お前はいつも俺にコーラを実費で買わせる上に、こないだも炭酸の吹いたコーラを飲ませようとしやがった!
    若島津ゥ、お前は疲れている俺の背中を蹴り飛ばして、皆の見てる前で転ばせたよな。……畜生、舐めやがって!
    吉良監督、いや吉良ァッ! 何が『心臓をぶち破るつもりでタックルしろ』だ! そんなの、反則指南なだけだろ!!」

アリ達「「「…………」」」

反町はこうしてアリ達を日向達に見立てて日頃の不満をぶつける事により、ストレスを発散させていた。
傍から見ては恐ろしいまでに寂しい行為だが、これが無ければ反町は今頃精神を病み(もう病んでるとか言わない)、
サッカーどころでは無かっただろう。アリ達は今や、反町の生命線と言っても良かった。
しかし、その時だった。

207 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:56:45 ID:???
アリ達「「「…………」」」

アリ達がティッシュの檻を抜け出し自分の腕を駆け上がろうとしている。
彼らを日向と見立てている反町にとって、これは反抗されたように思えて腹が立った。

反町「くそっ! アリまで俺の事を馬鹿にするのかっ! ……死ねぇえっ!」

ブンッ! ……ブチンッ!

アリ達「「………」」

――反町はアリの内一匹を握りこぶしで潰す。これは日向と名付けたアリだったか。
そして間髪入れずに、

アリ達「「………」」

反町「今ので一匹地面に落ちたか。なら俺のシュートを食らえっ!」

ガシッ、……グシャァァァッ!

床に落ちたアリ(これには若島津と名付けていた)を足で踏みつぶす。
普段は滅多にゴールを奪えない若島津にこうも容易く勝ってみせる自分は、
まるで絶不調でも11人を抜いてゴールを決める、シュートの魔王のようだと陶酔した。

反町「ようし、最後は吉良、お前だなァ。……それ、死ねッ! 死んでしまぇええぇぇぇえぇぇッ!」

アリ「……」

ブンッ、グシャアアアアアアアアアッ!!

最後に、そのまま上機嫌で残された吉良アリを指で潰す。
まるで神話の神々が持つ槍に刺されたかのように、その一撃は絶大だった。……アリにとっては。

208 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 23:03:09 ID:???
反町「……はぁ。虚しい」

……そして、吉良耕三を潰してから僅か数秒で陶酔感は消え、死にたくなるほどの絶望感が襲ってくる。
当たり前だ。こんな事をしたところで何も変わらない。
日向は先程ヘリで東京のヒューガー本社に向かい、今は恐らく会議中だろうし、
若島津は人間離れした機動力で、どこかの山奥で熊でも相手に修行中だろう。
吉良は……あの飲んだくれだ。どうせ大会会場の辺りの安居酒屋で引っかけているに違いない。
反町が『魔法』で何億匹のアリを日向達と見立てて殺そうとも、現実の彼らには一切影響しないのだ。

――それでも。それでも、反町は止められないのだ。いくら周囲から見て惨めであっても、
いくら自身の行為が無益であると自覚し理解していても。
それでも、このアリ虐めだけが、今の反町の疲弊した精神を救う唯一の手段だったからだ。

反町「………………寝よう」

ストレスのせいか、最近はあまり眠れない。しかし、昔は眠る事は好きだった。眠ると夢を見れるから。
夢の中では、自分は強豪アルゼンチン相手に10−0で勝ってみせるシュートの魔王だったり。
可愛らしい容姿の神様に言い寄られるハーレムの中心だったり。自分でもびっくりするような凄い存在になれる。
……たまにヒューガーの手によって毒の怪人に改造させられる悪夢も見るけど。

反町「……ふふ……。無限と毒の魔術師、ソリマチ・ベアトリウス・ユグドラシル卿……か。
    なんだか、悪の天才魔術師みたいで、カッコいいな……」

しかし、今日彼が見れた夢はどうやら幸せな夢のようだった。
――夢の中で反町は、いやソリマチ卿は輝き続ける。いつかは現実でも……とは、少し欲張り過ぎだろうか。
とりあえず今は、目覚めの朝まで良い夢見て、ゆっくり休めよ。反町……。
**************************************

209 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 23:07:48 ID:???
『反町一樹が自室で殺害した日向小次郎、若島津健、吉良耕三とは彼がそう名付けたペットのアリの事を指す。
 反町は人間の日向、若島津、吉良には一切関与していない為、彼らの生存は当然の事である』
……と、言ったところで一旦ここまでです。

210 :森崎名無しさん:2017/01/11(水) 12:25:16 ID:???
ソリマチ卿は最初のインパクトが凄まじかったからね
そりゃ信徒が出現しますわ

では、我らが偉大なる毒々しいソリマチ卿を崇めるのだ乙

211 :森崎名無しさん:2017/01/11(水) 13:16:30 ID:???
我らが偉大なる毒々しいソリマチ卿よ永遠なれ乙
次も期待してます

212 :森崎名無しさん:2017/01/11(水) 20:48:11 ID:???
勝負には勝ったけど
信徒を獲得したソリマチ卿にある意味負けたか

213 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 00:56:07 ID:qD5desek
>>210
ソリマチ乙ありがとうございます。これだけ崇められたらもはや魔法ですね…
普段の言いたい事を言えない感とのギャップが良いのでしょうかw
>>211
ソリマチ乙ありがとうございます。
次回は少し難解な謎&ミステリー寄りなトリックに挑戦したいと思っています。
ただ、ちょっと難解なのでもう少し時間がかかりそうです(汗)
他にも、『ベアトリーチェの密室定義』について解説したいと思っているので、
気長に待って頂ければ幸いです。
>>212
アルゼンチン・ラプュタ文明の末裔パルスダ・アア・メガ・ラプュタ王子とかネタ自体は色々ありますが、
彼らがソリマチ卿を超えられるかは微妙ですね…

214 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:02:59 ID:???
ベアトリーチェ「……勝ったな」

森崎「ああ。何とかな」

既に周囲の魔力は消え去り。反町が宿舎に空けた大穴も、何もかもが元通りになっていた。
戦いの内に夜は明けて、白みがかった空が森崎と魔女を優しく照らす。
第二の魔女のゲームにおいても、森崎は勝利した。

森崎「魔法の散り際に、幸薄そうな奴がアリを踏みつけて楽しんでる姿が見えたけど……。
    ――あれが、この事件の『真相』って奴だったのか?」

ベアトリーチェ「うむ。魔法が存在しうる猫箱の中身は、今や人間の手によって暴かれた。
          そなたが見たという光景こそが、魔法幻想の向こう側にある、一なる真実よ」

魔女ベアトリーチェは未だ不定形の蝶の姿を取ったまま、寂し気に呟く。
世界の崩壊を食い止める立場上、今回は人間側に味方した彼女だったが、
哀れで惨めなソリマチ卿の――いや、反町一樹の『真実』を目にする事は、
真実を幻想で包み隠す事を至上の喜びとする魔女にとっては、辛かったのかもしれない。
その真実の痛みを感じ、ベアトリーチェは……ベアトは思い出す。自分が何故、魔法を使おうと思ったのか。

ベアトリーチェ「……あのさァ、森崎」

森崎「何だよ。気持ち悪い声出して……。そんなに説教が嫌か?」

戦いが終わる前、森崎はベアトに対して説教をしてやりたいと思っていた。
人間の生死をゲームとして嘲笑う事が、いかな冒涜であるかを伝えたかった。
しかし……ベアトに対してそう言いながらも、今の森崎は彼女を糾弾する気が失せていた。
故に、暫し沈黙が続く。その中で、不意にベアトが口火を切った。

ベアトリーチェ「すまぬ。……最初のゲーム。妾は、やり過ぎた」

215 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:07:48 ID:???

人間の少女としての姿が保てぬゆえ、ベアトがどのような表情をしているのかは、森崎には読み取れない。
しかし、少なくとも彼女は純粋な想いからそう言っているのだと。そう感じる事は出来た。

ベアトリーチェ「妾はただ、自分の存在を認めて貰いたかった。
          何故なら、そうでなくては、妾はこの世界に存在し続けられないから。
          ――先のソリマチ卿のゲーム盤とその真相を見て分かったろう?
          憎む人物を無限に殺せる毒の魔術師ソリマチ卿は、
          彼の事を理解せぬ第三者に見られれば、あっという間に消え失せる。
          何故なら、第三者にとっては、ソリマチ卿の魔法は魔法でなく。単なるアリ虐めに過ぎぬからだ。
          ……しかし。そのアリ虐めで、反町一樹は精神を保ち、生きようとする気力を持ち続けた。
          妾は、こうした生きる為の魔法すらも、無意味な殺戮で穢そうとしていたようだ」

森崎「……それは、何となく分かったよ。お前も、ソリマチ卿も。
    自分の魔法を認めて欲しい。自分の存在を認めて欲しい。それで必死なんだって事は」

森崎とて、魔女の言い分に納得できずとも、理屈としては既に理解していた。
魔女のゲーム――これは魔女にとっては自身の存在承認の為に必要な儀式であるが、
一方で、真実を暴き出す人間による魔女の処刑にもなり得るのだ。
そうした意味では、魔女もまた、生命を投げ出しゲームに挑戦していると言え。
仮にその際に人間の生命を奪ったとしても、その条件は対等とも考えられる。

森崎「……でも、俺は人間だ。魔女側の理屈は分かっても納得できねえ。
    毎日を頑張ってる人間を、自分の存在の為とは言え殺すって事は……本当に重い事なんだ。
    だから――一つだけ言っておく。仮にお前が今後俺にゲームを挑んで来るとしても。
    もう二度と、残酷な殺し方はするな。……人間を、軽んじるな」

しかし、対等であるからこそ、魔女は人間の尊厳を重んじるべきだ。そう森崎は主張する。
ベアトもまた、先のゲーム盤を通してそうした森崎の主張を理解していた。
魔女の魔法が奇跡であるとするならば。如何に魔法を否定されても、惨めな真相を暴かれても、
それでも尚頑張って日々を生きる反町一樹もまた奇跡。彼の生き様もまた、本来ベアトにとって尊い筈なのだ。

216 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:09:36 ID:???
ベアトリーチェ「……うむ。約束する。【今後一切のゲームで、妾は人間の尊厳を尊重する】であろう。
          勿論、妾は魔女幻想を世に運ぶ側。そしてゲームがその手段である以上、
          今後一切魔法殺人をやらぬ、とは断言しない。だが、その方法については、
          そなた達人間側の意見を聞き入れ、尊重させて貰おう」

森崎「そうかよ。勝手にしやがれ。……ま、正直お前がどんな殺し方をしようとも。
    この俺が絶対に勝ってみせるから、どれも同じだけどな」

ベアトリーチェ「くっくっく……! こうした時すら挑発を止めぬか。本当に面白いヤツよのう……」

魔女ベアトリーチェの絶対の宣言を、森崎はつっけんどんに返しながらも、内心では信じていた。
彼女は確かに残酷で、傲慢で、性格がねじ曲がっているかもしれない。
しかし一方で、ベアトはどこまでも純粋であり、こと勝負に対しては真剣だった。
――双方も頑として認めないだろうが。この二人はやはり、ある意味では似た者同士だった。

パァァァァァァッ……!

森崎とベアトの間に生まれた、未だ奇妙な信頼感。
それに呼応するかのように、周囲には金色の光が満ち溢れ、魔女の姿を包んでいく。

森崎「これは……」

ベアト「――魔法の力の源泉は、互いを信じあう力。妾がそなた達人間を信じる事と決め。
     そなたが妾を信じてくれたから、妾もまた、再びこうして魔力を得る事が出来たのだ」

金色の蝶は一匹、また一匹とその姿を増やしていき。
――やがて蝶の群体は集まって、人間の少女の姿を映し出した。
金色の髪に黒いドレス。青く澄んだ瞳に高貴な笑み。そして黄金の煙管を持った、
黄金の魔女ベアトリーチェは今、互いを信じあうという『魔法』によって、ここに復活を遂げた。


217 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:11:30 ID:???

ベアトリーチェ「……あり、がとう」

彼女は静かな表情のまま、小さく何かを呟いた。
しかし、森崎の耳には聞こえなかったため、何を言ったかを訊き返そうとすると――。



ベアトリーチェ「………………作戦、大・成・功☆」

森崎「……は?」

ニヤリ。そう持ち前の下品で嫌味な笑顔を作って、今度はハッキリ聞こえるように森崎にそう言った。
そしてそこからは、再び魔女のターンだった。

ベアトリーチェ「くーひゃひゃひゃひゃひゃあひゃひゃひゃあひぃ!!
          モロサキったらマジな顔してなーに照れてんだよォ!!
          これまでのしおらしい下りなんて、ぜ〜んぶ妾の演技に決まってるじゃんかァ!!
          魔女はァ、謝罪なんて、しませェん☆ ってか! きひゃひゃひゃひゃ!!」

森崎「て、てめぇ……! まさかさっきまでのも、テメエが魔力を取り戻す為の……!」

ベアトリーチェ「魔女は人間に認められて存在し得る、って言ったじゃん?
          だけど、認められるにはゲームで勝てば良いって訳じゃないんだよなァ!
          良い子ちゃんな魔女を演じて、バカなモロサキに信頼され、存在を認められる!
          ……ってな、陳腐なお涙頂戴の茶番をやっただけでも、魔力を得る事はできるって訳よォ!
          くっひゃひゃひゃひゃヒャァ!」

これまでの反省は全て、自分が森崎に信用される事により、魔女として認めて貰う為の作戦だったと、
ベアトリーチェは下品な笑いと共に明かす。

218 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:14:15 ID:???
森崎「…………」

ぶち、ぶち……ぶちんっ。

森崎の中で何かが切れた。それは、この永遠に口の減らない魔女に対しての、純粋な怒りだった。

森崎「テメエ……やっぱり殺す! 次にゲームを持って来た時は……見てろよ?
    それがテメエの命日だからぁおらぁぁぁっ!!」

ベアトリーチェ「くっくくく……! 腹が立てばすぐに暴力に出る。ニンゲンの悲しい性よのお。
          よいぞ。妾はまたすぐにでも、新たなゲーム盤を用意しようではないか。
          そして森崎、貴様は妾の全裸人間椅子になって、しかる後は山羊の餌になって貰うぞ!
          あっははははははははは! くーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」



こうして、人間と魔女との戦いはまだ当分続く事となったのだが。
不思議な事に、ベアトリーチェの魔力は、当初と比べて随分安定していた。
……その理由は、本人は演技と否定すれどもやはり。
彼女と森崎との間に僅かに芽生えた、互いをライバルとして認め合う為の親近感や信頼感。
その表れであるのかもしれなかった。

219 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:16:09 ID:???



    屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
         Episode 2  Resurrection of the golden witch  〜黄金の魔女の復活〜


                         完

220 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:21:42 ID:???
第二話完、と言ったところで今日はここまでです。
第三のゲーム盤はしっかり準備を整えた後にしたいと思うので、気長にお待ちください。
それまでの間は、TIPSその2を書かせて頂きたいと思います。

(もし魔女側でゲームをやりたい方が居られましたら、是非使ってください。
 ひっさつわざスレにて、屁理屈推理合戦的なシステムについて提案されてる方がいましたので、
 GM需要は私以外にもあるのでは無いか…と思っています)

221 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:34:33 ID:???
【TIPSA・ベアトリーチェの密室定義】

<序・ある日のゲーム盤にて>
〜黄金郷・魔女のテラス〜

ベアト「森崎ィー、妾のゲーム盤で勝負だ!【 ガルシア は密室で死んでいる】」

森崎「密室だァ〜〜? じゃあいくぜ、『その密室には隠し扉があった』」

ベアト「ふん、ならば赤で切ろう。【密室には隠し扉などない】!」

森崎「まだまだ、『犯人は釣り糸を巧く使って、密室の外から殺害した』」

ベアト「【密室の扉には隙間がない!】【すなわち、糸すらも通さんぞ】!」

森崎「ならこれだ、『犯人は携帯電話を使ったトラップXにより殺害した』」

ベアト「甘いわ、【密室は電波も含め、外部からの干渉が一切遮断されている】!」

森崎「チィッ……! 中々に強固な密室だぜ」

ベアト「当たり前よ。何故なら【この密室は、ベアトリーチェの密室定義を常に満たしている】からなァ!
     くひゃひゃひゃはァ! リザインするなら今の内――」

森崎「えっ………何だ、ソレ」

ベアト「えっ」


222 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:35:51 ID:???
***

ワルギリア「……と、いう事があったのですね」

ベアト「だって信じらんねえぜー? 妾の密室定義はもはや常識なのによォ」

森崎「いや、知らねえし。一瞬お前も、ソリマチ卿的な中二病に罹ったかと思ったぜ」

ワルギリア「まぁ、森崎くんの反応が世間的には普通でしょうね。
       別にミステリー用語でも無いですし、この単語に引っかかるのは、
       今や数少ない熱心な「うみねこ」ファンか、魔女のゲーム……屁理屈推理合戦に造詣がある者か。
       そのどちらかでしょうに……」

ベアト「お師匠様まで冷たァーい。だって妾の名を冠しておるのだぞー。
     無限の魔女でありっ、密室魔法の大家でもあるッ!
     この妾が掲げる密室定義なのだぞォ。森崎も実は興味あるよなァ?」

森崎「全然ないな」

ベアト「む、むぅ。本当につれないヤツだのう……妾、スネてしまうぞ」


223 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:36:55 ID:???

ワルギリア「あなたは多少大人しい位が丁度良いです。……ですが、森崎くん。
       『ベアトリーチェの密室定義』は、魔女のゲーム盤においても頻出の単語であるのは本当です。
       この単語が何を意味しているかを学んでおくのは、魔女や魔術師との戦いにおいても非常に役立つ筈。
       敵を知れば百戦も戦わずに済むとも言いますし、これを機会に勉強してみては?」

森崎「学校の勉強はそんなに好きじゃあないがな。でも確かに、知らないせいで戦いを面倒にしたくねえ。
    悪いが、教えてくれないか。ワルギリア」

ベアト「ちょっと待てよー。この単語を創ったのは妾だから、お師匠様より妾を頼るべきだろォ〜?」

森崎「だって、お前ウザいし。笑い声下品だし、一々何でも挑発してくるし。
    ……ハッキリ言って、教師とかには一番向かないタイプだと思うぜ」

ベアト「……お師匠様ァ、森崎がいじめる〜」

ワルギリア「完全に自業自得です。
        ……と、言う訳で今回は『ベアトリーチェの密室定義』について講義しますが。
        【当説明は>>1の主観に則っているため、絶対的に正しいとは限りません】。
        この事を了承して頂ければと思います。それでは、次から講義に入りましょう」


224 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:38:31 ID:???

<第一講・『ベアトリーチェの密室定義』 総論>


ワルギリア「……と、言う訳で。早速ですがこの『ベアトリーチェの密室定義』とは何か。
        これを以下の通り指し示しましょう」



【ベアトリーチェの密室定義】
 内外の出入りが一切隔絶された室内を指す。
 当然、内外からの一切の侵入・脱出は愚か、干渉もできない。
 それは包括的に、隠し扉の否定、外部干渉の余地一切の否定を含む。



森崎「うん……? 良く分からないが、凄い密室って事か?」

ベアト「大枠はそれで良い。……そもそも、どうしてこのような定義を設けたかというと、
    妾がかつて作ったゲーム盤に戦いを挑んだ、とある無能がいてな。
    そやつが妾の密室に一々、『誰にも知られなかった隠し扉から逃げた!』だの、
    『謎の道具Xで外から殺した!』だの、『謎の毒電波で密室内の者を殺した!』だの。
    一々しょうもない事で突っかかっているが故、こうした包括的な定義が必要となったのだ」

225 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:42:17 ID:???
ワルギリア「普通のミステリーの文脈で考えれば、『密室』と聞けば概ね、
       隠し扉や外部干渉の余地はないと考えられるのですが、
       このゲームにおいては、犯人及びトリックを特定しなければならないミステリーと違い、
       魔女幻想を否定――すなわち、犯行を人間とトリックで説明出来さえすれば問題ない。
       それ故に、『悪魔の証明』を用いた謎の犯人/トリックXが認められるのです。
       ですが……そうなると、今度は逆に、如何なる屁理屈がトリックとして認められてしまう問題が発生します。
       当然、それこそがこのゲームの面白さではありますが……」

ベアト「考えてもみろ。一々『密室』とこっちが言うたびに、
     『外部干渉の余地は?』『隠し扉は?』『本当に密室なのか?』とか、
     お決まりの文句を繰り返すのは、人間にとっても疲れるであろう。
     魔女としても、謎の核心とはズレた部分で同じ回答を出すのは疲れるし楽しくない。
     妾の定義のお蔭で、人間・魔女ともが幸せになれるのだぞ! くっくくく!」

ワルギリア「人間側は、密室破りについてある程度の指針を定める事ができる。
        魔女側は、密室の強固さ・犯行の不可能性を手軽に表す事ができる。
        そうした理由から、このゲームにおいて、『ベアトリーチェの密室定義』が、
        非常に有益なものであるのは間違いないでしょう。
        ……ですが、『ベアトリーチェの密室定義』にはいくつかの穴や不明瞭な点があります。
        第二講では、それについて具体的に語りましょう」

226 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:43:24 ID:???

<第二講・『ベアトリーチェの密室定義』 各論>

ベアト「ちょ、ちょっと待ってくれよォお師匠様ァ。妾の密室定義の穴って何だよぉ!」

ワルギリア「ほっほっほ。……では、森崎くん。今までの話を聞いて。
        この『ベアトリーチェの密室定義』の弱点や穴について、何か分かりましたか?」

森崎「いや。弱点は分からんが、三つ程、疑問に思う事はあったな。
    ……そこについて、順番に聞いていってもいいか」

ワルギリア「ええ。構いませんよ。その方が分かりやすいですし。
        ……ただ、恐らく細かい内容になるので、特に興味のないウィッチハンターの方は、
        この第二講は飛ばしていただいても差し支えないかもしれませんね」

227 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:46:04 ID:???
(1)『外部に出入り’不可’な隠し扉』について

森崎「ベアトリーチェの密室定義では、『内外からの一切の侵入・脱出はおろか、干渉もできない』。
    っていう事を理由に、隠し扉を否定できるって書いてあったが。
    ……これって、『内外からの一切の侵入・脱出が不可能な隠し扉』だったら、良いって事か?」

ワルギリア「流石、鋭いですね。ええ……そうです。
       あの子の密室定義においては、そのような隠し扉の存在は決して否定していません。
       仮に、『隠れたクローゼットの中に犯人が隠れていた。探偵はそのクローゼットに気付かなかった』。
       という真相があったとしても、これは『ベアトリーチェの密室定義』に反しないと言えます」

ベアト「……わ、妾もこの位気付いておったわ!」

森崎「(絶対気付いてなかったな、コイツ……)」

ワルギリア「ただ、『犯人が隠れた床下は地下1000メートルあった』という真相を持ってきて、
        【犯人は部屋には隠れていない】! という赤を出す事には是非が別れそうです。
        確かに部屋には隠れていないでしょうが、地下1000メートルもあれば、実質部屋の外とも言えそう。
        ですが部屋の外となれば、『ベアトリーチェの密室定義』に反します」

ベアト「じゃあお師匠様だったら、どんな風な赤を出せば良いと思う?」

ワルギリア「そうですね……。私であれば、『床下は奥行10000キロメートルあった』という事にして。
        【犯人は犯行後、フランス(日本から約10000キロメートル離れた場所)に居た】
        ……とか言う赤を出すでしょうか。
        これならば、部屋の外に出ている、と断言していないので、定義には抵触しないかと」

森崎「ひっでぇ屁理屈だな。流石あのベアトの師匠なだけあるぜ……」

228 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:48:10 ID:???
(2)外部干渉の余地一切の否定について

森崎「次に、外部干渉の余地一切の否定についてだが。この範囲ってのは、どこまでなんだ?
    謎の電波や細い棒やら。そんなのの干渉の余地が無いってのは分かったけどよ。
    例えば、密室の外から声を掛けたりとか。もっと言うと、光とか空気とかも外から中に入れないのか?」

ワルギリア「この辺りは少し釈然としませんが。ゲーム本編、「うみねこのなく頃に」においては。
        『外部から内部へ音声などを伝えることは可能』としています。
        その事をもって、光や気体までは干渉可能ではないか? と、言う向きもありますが。
        ……私の意見として言わせれば、光や気体を認めるのは、ややアンフェアなきらいがあると思います」

ベアト「うむ。それを認めれば、『外部からの謎の毒電波による死亡』は外部干渉としてNGであるにも関わらず、
    『外部からの謎の毒ガスによる死亡』が外部干渉とあたらずOK、という事実になるな。
    音声にしても、『外部からの剛田リサイタルによる死亡』は外部干渉に含まれるのか? という疑問が浮かぶ」

森崎「確かに、『密室はベアトリーチェの密室定義』を満たす! って宣言しつつ、真相が
    『死因は外からの剛田の歌声! 音声による干渉はベアトリーチェの密室定義に反しない!』
    ……って言うんだったら、何となく興ざめな気もするな」

ワルギリア「こうした微妙なラインについては、あらかじめ参加者……人間側との合意を得た上で示すべきでしょうか。
        そもそも、こうした内容を真相に置くべきか? という事も含めて考える必要も出てきますが」

森崎「定義確認も大事だが、定義確認で出た単語の定義確認……とかまで来るとメンドいしなァ。
    この辺りは互いに空気を読むしかないってか」

229 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:49:53 ID:???
(3)『ベアトリーチェの密室定義』の強固性

森崎「……というか。そもそもの疑問になるんだが。
    『ベアトリーチェの密室定義』は、外部からの一切の干渉を受けないんだよな」

ワルギリア「ええ、ええ。そうですとも」

森崎「じゃあ、その密室は、例えば大地震が起きようが、宇宙から小惑星が降って来ようが、
    太陽が膨張して地球を巻き込もうが、……外部からの一切の干渉を受けないのか?
    なんか、色々とおかしい気がするが」

ベアト「くひゃひゃひゃひゃ! 面白い事を言うな森崎ィ!
    だがしかし、ここは敢えて妾が突っ込んでやろう。それは順番が逆であろう、と!」

森崎「順番? ……って、そうか。そういう事か」


230 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:53:30 ID:???
ワルギリア「……理論上、森崎くんが言った事は本当です。しかし、実際はそう言った事実はありません。
       何故なら、地震や隕石衝突があったとしたら。
       その時点で部屋は吹き飛び、『ベアトリーチェの密室定義』を満たさなくなる訳ですから」

森崎「ああ、もう言わなくても良い。例えば、【事件終了時、その部屋はベアトリーチェの密室定義を満たす】
    って赤があったとしたら。
    それはつまり、【事件終了前、その部屋はベアトリーチェの密室定義を崩すような事象Xは起きなかった】
    ……と、言い換える事ができるって訳だろ?」

ベアト「うむ。さすがは妾が見込んだ男よ、理解が早い。その場合、
    『地震などの天災が起きても、ベアトリーチェの密室定義は崩れない』ではなく。
    『ベアトリーチェの密室定義が崩れていないという事は、地震などの天災は起きなかった』
    と、考えるべきであろう、という事だ!」

ワルギリア「少し複雑な話になってしまいましたね。ですが実は、ここはベアトリーチェの密室定義の弱点でもあります。
        つまり、あまりに強固な密室であるが故に、密室を破る可能性が限られてしまうのです。
        更に言えば、ベアトリーチェの密室定義を持ち出すという事は、魔女は人間側に、
        『この謎の核心は密室状態時にはなく、その前後に存在する』と、宣言しているようなものです」

森崎「確かにな。地震やら毒電波やら剛田リサイタルやら剛田シチューの匂いやらに気を取られてるんだったら、
    それは別に一切関係しないし気にするな! ……って、言われてるようなものか」

ベアト「魔女側としても、『ベアトリーチェの密室定義』とは、それだけ大きな駒である、という事であるな!」

231 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:54:45 ID:???
<今回のまとめ>
 
森崎「何だなんだで今回も長かったな、オイ」

ワルギリア「すみません。ですがこの定義も、ただコピペするだけならば簡単なのですが。
       詳細については色々の議論の余地があるところでして。
       これでも、本当に細かい部分については説明を割愛しているのですよ」

ベアト「『外部干渉の余地否定は、扉にも及ぶのか?』『壁や天井や窓はどうか?』
     『外部干渉により密室構築した場合も、ベアトリーチェの密室定義を満たすのか?』
     ……などについては、魔女の評議会においても度々議題とされる内容であるな。
    まぁ、そんな事まで考えても面白くないから、妾は語らぬがな!」

ワルギリア「定義の隙間を縫ったトリックは魔女のゲームの基本であるとしても。
        細かすぎる言葉遊びになってしまうと、それはそれで意見が分かれ面白くない。
        しかし、意外性のある面白い発想は時間により出尽くしてしまう。
        それは、このゲームの難しいところだと思います」

ベアト「それでも、妾たちはあの手この手で魔女幻想を振りまき続けるがなァ!
    うっひゃひゃっひゃっひゃははぁ! 妾もさっそく一つ新たな密室のアイデアが思い浮かんだところだ!
    今度ゲーム盤を片手に、そなたの家に遊びに行くから待っておれ!」

フワァァァッ……!

森崎「そ、それだけは止めろ! 親への説明が面倒だッ!? ……って、行っちまった」

ワルギリア「森崎くんも、厄介な子に好かれてしまいましたね。あの子、中々執念深いですよ?」

森崎「分かってらぁ。……はぁ。綺麗な女に気に入られて絶望的な気分になるなんて、生まれて初めてだぜ……」

ワルギリア「ほっほっほ。それもまた若さですよ。私もつい800年前は……と。
        話が逸れてしまう前に、今回のまとめを置いておきましょうか」

232 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:55:55 ID:???

〜『ベアトリーチェの密室定義』まとめ〜

 1.『ベアトリーチェの密室定義』とは、ざっくり言うと『とても強固な密室』

 2.『とても強固な密室』でも、幾つかの抜け穴はある(『脱出不能な隠し扉』など)

 3.『ベアトリーチェの密室定義』=『このゲームの謎の核心は密室じゃないよ』のメッセージ?

                                                   

233 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:59:52 ID:???
<補講・ロノウェのトラップ定義について>

ワルギリア「……森崎くんとベアトは去ってしまいましたが。
        折角の機会を利用して、もう一つ、魔女のゲームにおいて使われる単語を紹介しましょう」

ワルギリアはこの世界を『観劇』している名もなき無数のウィッチハンターに向かい、補講を始めた。

ワルギリア「定義系の言葉として、『ベアトリーチェの密室定義』に加え、
       『ロノウェのトラップ定義』というものがあります。定義は以下のとおりです」


【ロノウェのトラップ定義】
 仕掛け人が直接関与することなしに殺人を遂行できる全ての仕掛け。


ワルギリア「ええ。ええ。分かっていますよ。『ロノウェって一体誰やねん!?』……ですね。
        彼は、ベアトが使役する大悪魔の一人であり、彼女の家具頭として仕える執事。
        魔女の社交界では彼を雇用する事が一種のステータスで……
        ――とか、設定は色々あるのですが、特に重要ではありません。
        重要なのは言葉と定義です。魔女のゲームにはこうした単語があると言う事だけ、
        頭に入れておいてください。もっとも、議論の余地についてはあまりないのですが。

        強いて言えば、『殺人を遂行できる』とはどこまでの範囲を指すのか。
        そのトラップが直接殺人を行えるもののみか、
        そのトラップが発動した結果、間接的に人間が死亡する(餓死等)ものも含めるか、
        そのトラップ自体に危険性は無いが、事故により結果的に死亡した場合はどうか。
        ……などについては疑問がありますが、そこまで深く考える必要は無いと思います。
        まぁ、魔女のゲームを楽しむためのフレーバーとして、
        『こんな用語もあるんだ!』……程度に覚えて頂ければと思います。
        さて、それでは補講もおしまい。皆さん、次のゲームでもご武運を。ほっほっほ……」

                                                  〜TIPSA 了〜

234 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 19:10:54 ID:???
ベアトリーチェの密室定義について、TIPSを書かせて頂きました。
書いてるうちに一部複雑になってしまいましたが、読んで頂ければ幸いです。

第三のゲーム盤について、当初構想していたゲームの他に、
『ベアトリーチェの密室定義』を使った、シンプルな問題が一問思いついたので、近い内に開催できればと思います。
(ソリマチ卿は出てきませんがw)
内容を詰めて、具体的な日程が決まれば、またアナウンスさせて頂きますので、参加して頂ければうれしいです。

235 :森崎名無しさん:2017/01/14(土) 19:19:29 ID:???
ワルギリアおb・・・先生の分かりやすい講義乙
要するに「そんな細かいところ突っつかなくていいから」という魔女の良心なわけですね


236 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:47:45 ID:???
>>235
乙ありがとうございます。分かり易ければ幸いです。
そうですね、私もそう考えています。>「そんな細かいところ突っつかなくていいから」
ただ、中には定義の穴を利用した問題(脱出不能な隠し扉とか)もあるので、信じすぎても問題かもしれません。

第三のゲーム盤について、準備が出来ましたので投下したいと思います。
取りあえずNPCパートだけ投下しておいて、開始は明日以降人がいる時間にしようと思います。
(私以外にやりたい人がもしいたら、スレを押さえてしまっててすみませんが…)

237 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:55:35 ID:???


   屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
     Episode 3  Revenge of the golden witch 〜黄金の魔女の雪辱〜


おはようございます。

黄金の魔女はあなた方のご活躍に大変驚いております。
魔女も是非雪辱を晴らしたいと意気込んでおられます。

とはいえ、これはあくまでも楽しいゲーム。そう、ゲームの世界の出来事なのです。
そのため、肩肘張らずにお付き合いして頂ければ幸いです。

難易度は王道。
王道の謎には王道の推理、王道の展開、そして王道の真相がつきもの。
どのような真相が待ち受けていようとも、決して諦めない事もまた王道かと思われます。

238 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:58:08 ID:???

森崎「弘法は筆を選ばず、なんて死語だよな。良い選手には良い道具が必要なんだ」

全国中学校サッカー大会を終えた森崎は、Jr.ユースの合宿が始まるまでの束の間の休日を楽しんでいた。

森崎「……優勝したはいいが、大会MVPは翼のクソヤローに取られちまったしな。
    合宿を迎えるまでに、少しでも出来る事はやっておかなくちゃな」

今日の予定はショッピング。しかし森崎は当然、ただ遊び呆けるつもりは毛頭ない。
日本国内だけではなく、世界中に森崎有三の名を知らしめる第一歩として、
次のJr.ユース大会のキャプテン就任、そして優勝は必要不可欠。
そして、その為にはまずは自分自身の実力とコンディションを高めておく必要がある。

フワァァァッ……

ベアト「森崎、こんな所で会うとは偶然だなァオイ? こうもなったら妾が作ったゲーム盤で一勝負……」

森崎「……………」

森崎は暇な時間などない。仮に、スポーツ用品店を目指す道中に金色の蝶が羽ばたいても、
その蝶から現代日本には似つかわしくない豪奢なドレスを来た金髪の女が現れても、
そいつが馴れ馴れしく遊ばないかと誘って来たとしても、構っている暇など存在しないのだ。


239 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:00:42 ID:???
ベアト「おーい、相手してくれよォ。こないだの事なら謝るからさぁ……」

森崎「……………」

ベアト「……むぅ。こうなっては仕方あるまい。先にそなたの家に潜り込んでご両親にでも挨拶しておくか」

森崎「おいやめろ。話をややこしくするな」

と、言いつつこうやって理由を付けて構っているあたり、森崎も根はお人好しなのかもしれない。
以前ひょんな事で知り合ってしまった、黄金と無限の魔女・ベアトリーチェ。
傲然と煙管を吸う彼女に対し森崎は思いっきり舌打ちしながら睨み付けた。

ベアト「まぁまぁ。どうせ、【そなたは今日、これからスポーツショップに行ってグローブを新調する以外、
    特段の予定がない】のであろう? 妾は何でも知っておるぞ!
    なにせ妾は『読心の魔法を使い、そなたの思考を読み取った』のだからなァ! くっくっく!」

森崎「……何が魔法だ。『この通りにはスポーツ用品店以外、俺が好みそうな店はない。
    そして、中学大会の日向のシュートのせいで、俺のグローブは痛んでいる』から、
    推理してそんな事言ってるだけだろう。それが魔法なら、ポーやドイル、
    クリスティやエラリーは大魔術師だぜ」

ベアト「ほう! そなたのような無学な輩にも天界大法院の上席審問官の名が轟いているとは。
    妾も以前は、SSVDのご厄介になったものだ、懐かしい」

森崎「(何言ってるんだ、こいつ……)」


240 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:04:08 ID:???

森崎が幾ら面倒そうな素振りを見せても、この魔女はマイペースを崩さない。
とはいえ無視するともっと面倒なのは明らかなため、森崎は諦める事にした。

森崎「……どうしたらここから失せてくれるんだ?
   世界のてっぺんを目指す俺にはな、お前なんかとじゃれ合ってるヒマは無いんだっての」

だからせめて、森崎は少しでも時間の浪費を最小限にするべく、単刀直入に要件を聞くのだが。

ベアト「くっくくく……! そなたがそう言う位、妾とて推理……じゃなかった。
    地獄の魔女・サトリーヌ卿から学んだ『心を読む魔法』で予知済みよ!」

が。どうもこれがまた、ベアトの思い通りの返しだったらしい。したり顔で笑っている。

ベアト「だから妾は、そなたにゲームを挑むとともに……『ご褒美』を用意している。
    そなたの覇道を手助けする事間違いナシの『魔女のマジックアイテム』をな」

するとベアトの掌から蝶が一匹生まれ、それはみるみるうちに姿を変える。
姿を変えて現れたのは――小さく黄金の蝶の刺繍がなされた、上質なグローブだった。

森崎「……! お、お前。これ幾らで……」

ベアト「魔女に金策の心配とは愚かな。妾は無限の黄金すら生み出せる大魔女ぞ。
    この程度のグローブなど、使用人の支給品にするにも憚られるわ」

『良い選手には良い道具が必要』と主張し、サッカー用具の質には一家言ある森崎が見ても、
そのグローブは素材、製法、性能からして良質だった。
恐らく、これから行こうと思っていたサッカー用品店では売っていない――売っていたとしても、
到底今の森崎の小遣いでは買えるレベルで無い代物である事は間違いなかった。
森崎の目の色が変わった事を確認してから、ベアトは頷いてこう続けた。

241 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:05:34 ID:???
ベアト「妾はそなたに挑戦するため、一つのゲーム盤を用意した。
     もしもこのゲームで、そなたが妾に勝つ事ができれば、このグローブをそなたに贈ろう」

森崎「グローブは良いが、また人を殺すのかよ」

ベアト「なあに! 妾としても、これは自らの存在の為のゲームでは無い。
    純粋に、そなたと妾との知恵比べ。魔女と人間との勝負が楽しみたいだけよ!
    故に、【このゲーム盤の内容はフィクションであり、現実の人物・地名・事件と一切関係しない】事を、
    この【赤き真実】にて誓約しようではないか!」

森崎「現実では無い。これはゲームだ。賞品もある。……だから、勝負に応じろと言う訳だな。
    ケッ、相変わらずズルい奴だぜ。俺が断る理由を丁寧に潰して来てやがる」

ベアト「ほう。それは勝負を受ける……と言う意思表示で良いか?」

森崎「別に良いさ。どうせ帰っても家で基礎トレーニングをやって、漫画でも読んで寝るだけだ。
   だったら、基礎トレーニングの前に漫画みたいな奴とゲームしたって一緒だからな。それに――」

ベアト「それに?」

……ベアトリーチェは高貴なる魔女らしいが面倒なヤツだ。それは間違いない。
しかし、森崎は内心ではこうも思っていた。この魔女は面倒だが、この魔女との勝負は悪くない。
それは、かつて翼を殺しかけた相手に向かって思うには、あまりに不謹慎な感想なのかもしれない。
だからこそ、森崎はこれまでもずっと魔女を軽くあしらい続けていたが――一方で、
ソリマチ卿との戦いを入れれば3度目となるこのゲームに対しては、興味を抱いている事には間違いなかった。

森崎「――俺は勝つのが大好きなんだ。それはサッカーだろうが、魔女のゲームだろうが一緒だ。
    だったら勝ってやるよ。……もうお前が二度と俺に勝負なんて挑みたくなくなる位完璧になァ!!」


242 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:07:10 ID:???
なぜなら、森崎は結局のところ、純粋なまでの勝利主義者。
翼がどうとか、ソリマチ卿の野望がどうとかは勝負に挑む為の外形的な理由作りにしか過ぎない。
森崎は本心では――あの『魔女のゲーム』に挑み、そして勝利する事を心待ちにしていたのだ。

ベアト「……くーーーひゃっひゃっひゃひゃっひゃァァアッ!! よくぞ受け入れたな森崎ィ!!
    それでこそ妾が倒すに相応しい相手よ!」

そしてベアトは、そんな森崎の闘争本能を知っていて、今ここにそれを引きずりだせた事に対し喜ぶ。
同時に、彼が自分の見込み通りの好敵手である事を再認識する。
魔女幻想を認めさせ、人間を屈服させたいベアトリーチェ。相手が誰であろうとも、決して屈服しない森崎。
人命や世界の命運は関係せず、賭け合うのは互いのプライドのみ。
それにも関わらず、これまでで最も熾烈を極める魔女と人間の争いが、今ここに始まろうとしていた――。


243 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:08:57 ID:???
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【地獄の悪魔の復讐】

航海を生業とする北欧の一民族の言葉に、「フラーノ」という言葉がある。
これは彼らの言葉で「地獄」を意味し、東の果てにある大きな島の、その中央に位置すると言われていた。

彼らの中には、本当に「地獄」が存在するのかと疑い、実際にこの眼で確かめたがる者も多く居た。
その者達は好奇心から、伝承の地への航海を試み――そして、実際に辿り着いた者すらも居た。

だが、その地から戻って来た者の全ては人格が変わり果て。そして、口を揃えてこう言ったのだ。

「良いよなァ……お前は。どぉせ俺なんか……」

――部族における協議の結果、彼らは地獄(フラーノ)にて悪魔に憑依されたとし、全員が処刑された。
そして、誰もがフラーノへと近づく事を固く禁じられた。


かの部族が滅んでから数百年の時が流れ、かつて地獄とされたフラーノの地にも開拓民の手が入り、
今では「ふらの」と呼ばれる美しき土地として、多くの人間が住み着くようになった。

しかし、地獄の悪魔はまだこの地に潜んでおり、闇より現れ人間を蹴り殺していると、一部の民俗学者は主張する。
その悪魔は、かつて滅んだ民族が使った言葉に準じて、今でも住民の間でこう呼ばれている。


「ヤグ=ルマ」


――と。

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0ch BBS 2007-01-24