キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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屁理屈推理合戦withキャプ森

1 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:30:43 ID:???






――この物語はどうせ幻想に決まってます。
      キャプ森本編・外伝及び「うみねこのなく頃に」本編と関係有る筈もありません――。











※このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、「うみねこのなく頃に」とのクロスオーバー作品です。
※内容は、「うみねこのなく頃に」本編中の赤字&青字による屁理屈合戦(推理)ゲームを、独自の謎を使って行うものです。
 「うみねこ」本編ストーリーの直接的なネタバレはありませんが、「うみねこ」本編の登場人物がスレに登場します。
※最初のエピソードだけ>>1が書きたいですが、それ以降は他の方も書けるようにしたいとか考えています。

☆出典☆
【うみねこのなく頃に】屁理屈推理合戦スレ@wiki
http://www19.atwiki.jp/herikutu/

401 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:54:05 ID:???
森崎「最後の方、聞こえなかったんだが」

ベアト「べ、べっつにー? 妾別に魔女だしサッカーになんて興味無いし」

森崎「ま、そうだろうな。じゃいいや」

ベアト「うぬぬ……! そなたはわざとやっておるのか?」

こうしてみると、ベアトリーチェは最初と比べると随分と柔和な、そして子供っぽい印象を抱かせる。
――もしかしたら、これが彼女の本来の姿なのかもしれない。
森崎は何故か苛立つ彼女の想いをどこまで汲んだのかは分からないが、
ミルクと砂糖をたっぷり入れた紅茶をぐいっと品なく飲み干すと。

森崎「……ま。人に迷惑をかけないってなら、たまに遊んでやるのもやぶさかじゃないけどな」

ベアト「…………」

……と、少しだけ照れた横顔を見せてそう言った。
ベアトはその表情を見て、少しだけ安心したような様子を見せると、

ベアト「――くひゃひゃひゃひゃ! 何はともあれ、森崎よ。
     一度ならず二度までも、よくぞこの妾を打ち破ったな!
     先の約束通り報酬はくれてやる。だがこれで増長するではないぞ。
     何故なら、魔女は執念深いとどの御伽噺でも決まっておる。
     今にそなたを屈服させうる、極上のゲーム盤を用意するからなァ!
     それまで首を洗って待ってろよ、森崎、いやモロサキァ!」

パァァァァァッ! シュウゥゥゥゥッ!

――最後に、これは初めて会った時と寸分たがわぬ最高に下品な笑い声を立てながら
これまで森崎がくつろいでいたサロンごと、黄金の霧に形を変え、どこかへと消えてしまうのだった。

402 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:55:16 ID:???

〜南葛市・商店街〜

森崎「……はっ!? ゆ、夢か!?」

気づくと森崎は再び、南葛市内のスポーツ用品店を目指す道中に戻っていた。
そこには黄金の蝶も、ゲーム盤も、あの小憎らしい魔女もどこにもいない。
幻想が入り込む余地など、この町のどこにはありはしなかった。

森崎「……いや、夢じゃねーか。残念ながら」

しかし、森崎の体験して来た幻想は真実だった。
彼の手には、小さく黄金の蝶の刺繍がなされた上質なキーパーグローブが握られている。
これは確かにベアトリーチェが、ゲームの前に報酬として提示した『魔女のマジックアイテム』だった。

森崎「だが、落ちてる物は都合良く利用するのが俺様だ。
    こいつはかなりの代物だからな。少々シャクだが、ありがたく使わせて貰うとしよう」

森崎はそう言いながら、入手したグローブを嵌めてみる。自分の手のサイズにピッタリだった。
勿論魔法の力でボールをセーブできるとは到底思えない、ただの高級なキーバーグローブではあったが。
しかし、それでも何だか温かみがあって、確かに自信が湧いて来るような気もした。

ベアト「……森崎ィ。大事にしろよ、そのグローブ。なんせそれは妾が手ずから選び、
     そして刺繍を施したものであるからな。妾の『魔法』、しっかりと受けるがいいぞォ……くっくくく!」

森崎「……あん? 今、アイツのクソ忌々しい声が聞こえたような……気のせいか」

ともあれ、森崎は先を行く。彼の覇道は魔女の介入程度で決して妨げられるものではないからだ。
……後に『キャプテン森崎』がその頭角を初めて世界に示した大舞台。
フランス国際ジュニアユース大会は、すぐそこまで迫っていた。

403 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:56:54 ID:???



    屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
         Episode 3   Revenge of the golden witch 〜黄金の魔女の雪辱〜


                         完

404 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 02:02:38 ID:???
気力があったので、こちらの方も更新しました。
エピソード4については構想はありますが、リアル事情も相まって安定更新が難しいので、
暫くはお休みorTIPSの更新のみになると思います。

前にも言いましたが、このスレは私だけでなく皆さんで共用したいので(その割にはep3更新せずすみません…)、
もし良ければ皆さんも魔女として、このスレにてゲームを出題して頂ければ嬉しいです。私も参加します。

>>399
ありがとうございます。身体を一番に、できる範囲で楽しんでいきたいと思いますので、
もし良ければ次のゲーム盤にも参加して頂ければ幸いです。

405 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:08:35 ID:???
こんばんは、自分が簡単なゲームを思いついたのと、
魔女さんのゲーム作成・出題促進を目的として、一つゲーム盤と連動したTIPSを作りました。
簡単に出題するので、読んで頂ければ幸いです。



406 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:10:43 ID:???
【TIPSB・魔女のゲームの作り方考察】
<実践編・魔女の絵本を読んでみよう>
〜黄金郷・魔女のテラス〜

ワルギリア「突然ですが、今日は森崎くんにあるゲームを解いてもらいます」

森崎「いや、突然すぎるだろ。せめて意図を説明しろよ」

ワルギリア「前置きは短く終えたかったのですが……。まあいいです、簡単に言うとですね。
        この魔女のゲームを、ここに居る皆さんに広めるため、
        一度「魔女ゲームの作り方」というのを考察してみようと思ったのですよ。
        そうしたら、出題者が出て>>1も嬉しい…もとい、
        魔女とウイッチハンターの戦いもよりレベルの高いものになり、有意義ですからね。
        ……で、折角作り方考察をするんでしたら、一度簡単なゲーム盤を解いて貰って。
        そのゲーム盤を通して、色々なポイントを解説できれば面白いかと思いまして」

森崎「そこまでして、出題者が出るかねぇ。余程の物好きじゃねえとやんねえだろ」

ワルギリア「……まあ、屁理屈推理合戦自体が今そこまで熱いとは言えないのは認めますが。
        それでも、各種SNSを見ていると様々な魔女がゲーム盤を作り遊ばせている姿も見えます。
        決して、作り方考察に需要が無い訳ではない、……と、信じていますよ。ええ、信じていますとも」

森崎「まあ、趣旨は分かったが。簡単なゲーム盤を通して……ねえ。ちゃんと準備はしてるんだろうな?」

ワルギリア「ええ。ええ。勿論ですとも。……これをご覧ください」

スッ……。

それだけ言うと、ワルギリアは魔法で亜空間から一冊の古びた絵本を取り出した。
豪奢な革張りの本には、金色の装丁でこう題字がなされている。

407 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:12:17 ID:???

<よいまじょのえほん ざんにょうロベルト と みずのまじょ>


森崎「……すまん。俺、帰っていいか」

題字の時点でこれまで数少なかったやる気がゼロとなった森崎だったが、

ベアト「うっひゃーー! 超懐かしいぜお師匠様ァ!」

クルリと後ろを向いた森崎を押し出すように、小うるさいベアトが絵本に食いついた。

ワルギリア「そういえば。ベアトが幼い頃は、寝る前によくこれを読み聞かせていましたね。
        ああ、あのころは素直で可愛かったのに、どうして今はこんな風になったのやら……」

森崎「いや、そんなタイトルの絵本を読み聞かせてる時点で、どう見てもお前の教育の成果だろ」

ベアト「まあまあ、そんな辛辣なツッコミに回るなよォ森崎ィ。今から妾とこの本読んでみようぜぇ。
    まだ20歳の赤ちゃんだった頃の妾がドハマリした傑作絵本だからさァ〜〜〜!!」

ワルギリア「今も1000歳の赤ちゃんみたいなものですけどね。……まあ、とにかくです。
        折角なので、この絵本を読んでみてくれませんか?
        ごくごく基礎ながら、魔女のゲームにおいて大事な要素が詰まってると思いますので。
        中身はともかく。教材としては、決して悪くない筈ですよ?」

森崎「中身についてはノーコメントかよ……まあわかったよ。そこまで言うなら一度解いてやろうじゃないか」

ワルギリア「そのフットワークの軽さ。流石は森崎くんです。では、読み聞かせてあげましょう。
      良い魔女の絵本、『残尿ロベルトと水の魔女』、はじまりはじまり……」


408 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:13:33 ID:???

++++++++++++++++++++++++++++++++++++

【よいまじょのえほん  ざんにょうロベルト と みずのまじょ】


むかしむかし、あるところに、ロベルトというひげづらのおっさんがいました。

ロベルトはサッカーがじょうずでしたが、ざんにょうのせいでいつもおしっこくさく、みんなからきらわれていました。



あるひ、ロベルトがひとりでたちションをしているときのことです。

ロベルトはざんにょうなので、ひつよういじょうにオチンチンをぷるぷるしていると、おしっこが、

とおりすがりのみずのまじょにひっかかってしまいました。



409 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:14:54 ID:???


「よくもこのわらわに おっさんとくゆうのあまいにおいがする きたないおしっこをひっかけおって!」

だいじなローブにおっさんのおしっこがついた、みずのまじょはおおいかり。

「そなたは わらわのみずのまほうでころす!」

そういうと、まじょはロベルトにたいして、みずのまほうをはなちました。


「うわーん まだどうていなのにしにたくないよー」

まじょのすご〜いまほうに、もちろんロベルトはおおあわて。

とくいのこうそくドリブルでまじょをふりきって、ロベルトはじぶんのおうちににげこみました。

だけどまじょはしゅうねんぶかい。このままではきっと、まじょはロベルトのおうちをつきとめ、ころしにやってきます。




410 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:16:03 ID:???


「そうだ! みずのまじょがはいってこないように おうちをがんじょうにふうさしよう!」

そんなとき、ロベルトはいいことをおもいつきました。

そうです。まじょがおいかけてきても、ロベルトのおうちにいれなければいいのです。

ぜんはいそげと、ロベルトはさっそくまじょがはいってこないよう、おうちのふうさをはじめました。



「まずは、おうちのドアとマドを とてもがんじょうにしよう。カギもかければあんしんだ!」

【ロベルトのおうちのドアとマドは、ないがいからのいっさいのでいりがふかのう】になりました。

「まじょは てっぽうみずのまほうで、おうちをこわすかもしれない。カベとかもじょうぶにしたら もっとあんしんだ!」

【ロベルトのおうちは、はかいふかのう】になりました。

「まじょは おうちにあるみずをあやつって ころすかもしれない。すいどうをこわしてしまえば もっともっとあんしんだ!」

【ロベルトのおうちでは、じゃぐちやいどみずなど、いっさいのすいどうせつびがしようふかのう】になりました。

あ、もちろん、【ロベルトがおうちにはいったとき、おうちにはいっさいのみずはありませんでした】。




411 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:17:36 ID:???

「ふー これであんしんだぜい! んじゃ TSU○AYAでかりてきたAVでもみながらねーようっと」

がんばって、がんばって。すべてのこうじをおえたロベルト。これでまじょがはいってくるよちはありませんね。

ほっとしたロベルトは、まじょからにげているときにかりてきた、えっちなビデオをみながらひとしごと。

しかし、です。



「くっくっく そのていどでわらわからにげたとおもっていたのか?」

まよなかのことでした。ひとしごとをおえ、いつのまにかねむっていたロベルトがめをさますと、

みずのまじょはふしぎなことに、ロベルトのおうちにしんにゅうしているではありませんか。



「ど どうしてまじょがオレのおうちのなかにいるのー!?」

「わらわのまほうがあれば このくらいよゆうだ! というわけでしね!!」

そして、みずのまじょは、まほうをつかってみずをよびだして、そのままロベルトにぶちまけました。

「うわーん! まだしにたくないよー がぼがぼがぼ・・・」



――こうして、【ロベルトは、じぶんのおうちで、おぼれしんでしまいました】。



412 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:19:00 ID:???


でも、ふしぎですよね。ロベルトはニンゲンとして、できるかぎりのたいさくをねったはずです。

だって、【ロベルトのおうちのドアとマドは、ないがいからのいっさいのでいりがふかのう】ですから、

まじょはロベルトのおうちにはいることはできません。

それに、【ロベルトのおうちは、はかいふかのう】ですから、

カベをこわしておうちにはいることもできません。


もちろん、がいぶからのえんかくそうさトラップXをりようして、ロベルトをできしさせたかもしれませんが、

【ロベルトがおうちにはいったとき、おうちにはいっさいのみずはありませんでした】けれども、

【ロベルトのおうちでは、じゃぐちやいどみずなど、いっさいのすいどうせつびがしようふかのう】なので、

みずをつかって、ロベルトをころすことはふかのうです。

 ※ちなみに、【ここでの「みず」は、ロベルトのたいえきをのぞくすいぶんいっさいをさす】ので、
  ふつうのみずいがいにも、おゆ、おちゃ、ジュース、ウイスキーるいも「みず」にふくむとします。




413 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:21:13 ID:???


でも、【ロベルトは、じぶんのおうちで、おぼれしんでしまいました】。

ふしぎですよね? まじょはぜったいにロベルトのおうちにはいれないし、そもそもおぼれしなせるための「みず」もなかったのに。

なのに、【ロベルトは、おぼれしんでいる】のです。


え? ロベルトがおうちにはいるまえに、もうまじょがひそんでいた?

いいえ、それはありません。【ロベルトのおうちには、ロベルトいがいのせいぶつXがはいってきたことはない】

のですから。もちろん、まじょはれいがいですけどね。


どうですか?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? まほうがじつざいしないと、ロベルトはころせませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ロベルトはみずのまほうでしんだにきまってますよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? みずのまじょはじつざいするとしか、いいようがありませんよね?




414 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:23:28 ID:???


ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?


415 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:25:39 ID:???



つーわけで、ニンゲンとトリックじゃ、説明不可能なんだっつーーーーの!!!!!!
何回も言わせてんじゃねーぞこのクソガキ共ぐわぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!
という訳でさっさとテメエラ無能どもはさっさと屈服して妾に跪けやゴラァァアアアァァァァアアアアッ!
屁理屈ゴネてる暇があるんだったら舐めたい靴の種類でも選んどけィェェェイィェェェェェッ!!!!!



―――くーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっっひゃ!!
あーーーーーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃふひゃぁッ!!!!!!!!!





++++++++++++++++++++++++++++++++++++


416 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:28:17 ID:???



ワルギリア「……と、いうところで出題編はおしまいです。森崎くん、準備は良いですか?」

森崎「準備は良いが……その前に、突っ込みどころが満載過ぎるんだが、この絵本」

ベアト「ぎゃーーーはっはっはは! マジうっけるーーー☆ ロベルトってあのツラで童貞なのかよ!!
    そうだそうだ、怖い夢を見てても、ここのくだりが傑作で笑ってるうちにグッスリ寝れてたんだよなァ!
    あー小さい頃の妾は純粋でピュアだったぬうぁぶひゃっひゃっひゃひゃひゃ!!」

ワルギリア「……もう。本当にその下品な笑いに高慢ちきな語り口は、一体どこから学んだんだか………」

森崎「どっからどーみてもこの絵本の影響だろ! 教育委員会はコイツをまず有害図書に指定すべきだろ、マジで!!」

ワルギリア「……と、前置きはこの程度にしておいて。
       この絵本――いえ、ゲーム盤においては、以下のような不可能状況が提示されています。
       【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】にも拘わらず、【ロベルトは自宅にて溺死した】。
       しかも、
       【ロベルトの自宅の扉と窓からは、内外への一切の出入りが不可能】であり、
       【ロベルトの自宅は破壊不可能】であり、
       【ロベルトの自宅では、一切の水道設備が使用不可】という状況にあったのです。
       加えて、
       【ロベルトの自宅には、ロベルト以外の生物Xの侵入は無い】、
       【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】など、
       細かい条件付けにおいても、あらゆる溺死の可能性を封じ込められています。

       これをもって、この絵本の魔女は、
       「ロベルトは魔女の水の魔法により溺死した。人間とトリックでロベルトの死を説明するのは不可能」
       と主張していますが。……果たして、本当にそうでしょうか。これを解き明かすのが、このゲーム盤の趣旨になります」

417 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:31:54 ID:???
ベアト「くひゃひゃひゃひゃ! 外からの守りは完璧! 自宅内にも死因となる水は存在しない!
    にも関わらず魔女に溺死させられたとなると、こりゃあいよいよ魔法を認めざるを得ないよなァ〜?
    どうするどうするモ・ロ・サ・キィ〜?
    絵本に書いてあるとおり、さっさと屈服して舐めたい靴の種類でも選んでろよォ〜????」

森崎「だーれが屈服するか! こんな子供だましのゲーム盤、簡単に解いてみせるぜ!」

ワルギリア「ほっほっほ。実に頼もしい。では、こんな感じでゲームを始めましょうか。
        あ……【ひらがなの赤字はあくまでフレーバー】ですから、ゲーム自体は普通の文章でいきますよ。
        その方が分かりやすいですからね」

ベアト「まあ、このゲーム盤自体超初歩的なレベルだがな!
    妾まで来ると、馬小屋で生まれた直後に七歩歩いた時点で、この謎のハラワタが分かってたしなァ〜!」

ワルギリア「堂々と宗教を絡めるのだけはやめなさい、ベアト。
       ……ですが、この謎のハラワタは、これまでのベアトのゲーム盤と比べてもとりわけ単純なのは事実。
       軽い気持ちで、推理をして頂ければ幸いです」

418 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:35:28 ID:3aLhvowY
Extra Game 1   魔女の絵本〜残尿ロベルトと水の魔女〜 第一の晩 開始

−魔女の出題(幻想描写は>>408-415)−
【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】にも拘わらず、【ロベルトは自宅にて溺死した】。しかも、
 ・【ロベルトの自宅の扉と窓からは、内外への一切の出入りが不可能】であり、
 ・【ロベルトの自宅は破壊不可能】であり、
 ・【ロベルトの自宅では、一切の水道設備が使用不可】であり、
 ・【ロベルトの自宅には、ロベルト以外の生物Xの侵入は無い】という状況であった。
  ※【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】

魔女側はこれを、「水の魔女が魔法で自宅に侵入し、水の魔法でロベルトを殺害した」と主張する。
人間側は、「魔女の魔法」以外の方法により、今回の状況を再現できる仮説を提示し
(仮説は、【赤き真実】に抵触しないこと)、以て魔術師の主張を否定する必要がある。

−ルールまとめ−
・人間側(=参加者)は、魔女(=GM)に対し、「復唱要求(=事実の確認)」および、
 『青き真実(=魔法を否定するための仮説)』を放つ事ができます。
 
 (復唱要求ならば、要求したい内容を「」に入れて書き込みを。
  青き真実ならば、事件の一連を示した内容を『』に入れて書き込みをしてください。)

・魔女は、参加者の「復唱要求」に対し、【赤き真実(=絶対的な事実)】にて復唱することができます。
 ただし、魔女は「復唱要求」に応ずる義務はなく、応じない理由を示す義務もありません。

・魔女は、参加者の『青き真実』に対し、【赤き真実】にて否定する義務があります。
 否定の方法は魔女の裁量に委ねられますが、ここで『青き真実』を否定できない場合は、魔女の敗北となります。

・人間側は、魔女の【赤き真実】に対し、打ち出せる『青き真実』が出なくなった場合、
 リザイン(=投了)を表明することにより、敗北となります。

・どうしても謎が解けない場合、森崎が自分でヒントを考えつきます。
 ヒントが欲しい場合は、「ヒントが無いか考える」と書き込みして下さい。ヒントを書いていきます。

419 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:38:16 ID:3aLhvowY
このゲームについてですが、突発的に始めたものですので、
時間を定めず、随時ゆっくりペースで復唱要求等に応じていきたいと思います。
(それでも、早い時間でリザイン手が出てくると思っています)

とりあえず今日は、およそ25時くらいまで対応できるかと思います。
突然のゲーム盤ですみませんが、気付いた人は参加して頂ければ幸いです。

420 :森崎名無しさん:2017/04/22(土) 23:45:08 ID:???
「ロベルトの家の屋根から水が入ってくることはない」
『大雨でロベルトの家が地盤沈下し、地面から水が湧き出し、ロベルトは溺死した』

421 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:56:32 ID:3aLhvowY
>>420
森崎「それじゃあ早速いくぜ!
   復唱要求、「ロベルトの家の屋根から水が入ってくることはない」!
   それと一緒に青き真実!『大雨でロベルトの家が地盤沈下し、地面から水が湧き出し、ロベルトは溺死した』!」

ワルギリア「それらに対しては、二つの赤で応じましょう。
        【ロベルトの自宅において、雨漏りは発生しなかった】、
        【ロベルトの自宅において、地面からの水の噴出は発生しなかった】」

ワルギリアは一切動揺する事なく、事務的に淡々と赤き真実を切り出していく。
そしてそれは、森崎の放った青き弾丸を日本刀の如く美しく両断した。

ベアト「くくくくっ……! 簡単なゲーム盤で勝負を挑んでいるとはいえ、流石はお師匠様よ。
    使い古されたなまくらであっても、まるで名刀の如く無駄なく優雅に振るいおる!」

森崎「ゲーム盤は簡単とは言っても、出題者の魔女が雑魚とは一言も言ってねえ、ってか。
    まあ、流石に一撃リザインがあったらこっちも興ざめだからな。丁度良いぜ」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

422 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:07:04 ID:???
「ロベルトの自宅は一つである」
「ロベルトの自宅に扉や窓以外の隠し通路は存在しない」

423 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:08:21 ID:???
「ロベルトが死亡するまでに月単位の時間は経過していない」
「ロベルトの家には扉と窓以外に出入りできる場所があった」
あ、自分はローファーでお願いします

424 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 00:36:08 ID:NzSFMfew
>>422-423
森崎「復唱要求!「ロベルトの自宅は一つである」、
    「ロベルトの自宅に扉や窓以外の隠し通路は存在しない」!
    それと、「ロベルトが死亡するまでに月単位の時間は経過していない」、
    「ロベルトの家には扉と窓以外に出入りできる場所があった」!」

ワルギリア「上3つ、復唱に応じます。
       【ロベルトの自宅は一つである】、
       【ロベルトの自宅には、扉や窓以外の隠し通路は存在しない】、
       【ロベルトが死亡するまでに、月単位の時間は経過していない】。
       最後の復唱要求には応じません。
       【ロベルトの自宅には、扉や窓以外の隠し通路は存在しない】、
       という、類似の赤が切られていますので」

森崎「ふん、涼し気な顔で応じやがって……!」

ベアト「だが、お師匠様もあれで、妾に負けず劣らず中々に意地の悪いお人よ。
    あの態度に騙されず、ひたすらに赤をすり抜ける、シンプルな青き真実を撃ち抜くが良い」

ワルギリア「そして、ふむ……>>423くんはローファーが好み、と」

ベアト「くくく! そなたも大方>>1のように、その辺を練り歩く女子校生やOLのローファーに欲情する類の輩なのであろう!
    あい分かった! そなたが屈服した暁にはローファーを舐めさせてやろうぞ!
    ……ロベルト(全裸)が着用中のローファーをなぁあぁああぁぁあァァぐひゃひゃはふぐひゃふひィ!!」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

425 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:43:53 ID:???
『ロベルトの自宅には巨大な冷凍庫があり、冷凍庫内部の氷が溶けてロベルトを溺死させた』
『ロベルトは魔女から逃げるときに大量の酒を持っており、その酒で溺死した』

426 :423:2017/04/23(日) 00:44:50 ID:???
ゆ゛る゛さ゛ん゛!!(血涙)
『ロベルトは自身の血液によって溺死した』

427 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:47:13 ID:???
「ロベルトは自身の尿によって溺死した」

428 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:52:37 ID:???
『ロベルトは自身の尿によって溺死した』

こっちでお願いします

429 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 00:57:49 ID:NzSFMfew
>>425
森崎「『ロベルトの自宅には巨大な冷凍庫があり、冷凍庫内部の氷が溶けてロベルトを溺死させた』
    『ロベルトは魔女から逃げるときに大量の酒を持っており、その酒で溺死した』!」

ワルギリア「これは既出の赤を活用して切りましょうか。
        【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】。
        そして、【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】。
        そのため、【氷や酒も包括して「水」とみなす】こととします。
        ……つまり、ロベルトが自宅に入った時には、冷凍庫の氷も酒も存在しなかった、と言えるため、
        その青き真実は両方とも、否定されることとなります」

森崎「くそっ……! 本当に簡単なのか、このゲーム盤!?」

ベアト「ああ、まあ……そうであるが。お師匠様も手を抜いてはおらぬからな。
    妾はこのゲーム盤の解法を知っておるが、上手く煙に巻いている印象だ。注意して臨むんだぞ?」


>>426-428
森崎「このヘンもハッキリさせておこうか。『ロベルトは自身の血液によって溺死した』!」

ワルギリア「――ええ、そこはこちらも同感です。【ロベルトは自身の体液によって溺死していない】!
        やや不自然にかける「水」の定義でしたが、これは単純にロベルトの自宅に持ち込まれる水分として、
        体液だけは否定できなかった為、こう書かせて頂いたものです。
        そして、>>428についても同時に否定できます。
        理由はもちろん、【ロベルトは自身の体液によって溺死していない】からです」

森崎「まあ、そんな単純な話じゃないってのは分かってたぜ。気にせず次、行くからな!」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

430 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:03:37 ID:???
「ロベルトが自宅に入ってから家の中に水が入ってくることはなかった」

431 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:06:45 ID:???
『ロベルトは結露により発生した水により溺死した』

432 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 01:10:36 ID:NzSFMfew
>>430-431

森崎「復唱要求!「ロベルトが自宅に入ってから家の中に水が入ってくることはなかった」。
    次に青き真実!『ロベルトは結露により発生した水により溺死した』!」

ワルギリア「復唱要求については拒否します。理由は特にありません。
       そして青き真実には当然ながら、対応します。【ロベルトの自宅において、結露は発生しなかった】。
       ……と、言ったところで。本日のゲームはここで一旦お開きとさせていただきます」

ベアト「次回の開催は恐らく、明日の夕方ごろになろうか。
    ニンゲンどもはそれまでに精々、魔女を黙らせる青き真実を練っているが良いぞ!」

森崎「チッ。一晩で仕留め損なったか。……まあ良いさ、次は絶対に勝ってやるからな」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆
 ※コメントへの回答は、明日の夕方以降となります

433 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:13:49 ID:???
『ロベルトの家には外付けの巨大な給水タンクがあり、魔女はそこからロベルトの家に大量の水を流し込んだ』

434 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:21:13 ID:???
『ロベルトが帰宅し扉を開けた瞬間なんらかの要因で大量の水が押し寄せロベルトは溺死した』

435 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 01:24:58 ID:???
−これまでの赤字−
〜ロベルトについて〜
【ロベルトは自宅にて溺死した】 
【ロベルトは自身の体液によって溺死していない】
【ロベルトが死亡するまでに、月単位の時間は経過していない】

〜ロベルトの自宅について〜
【ロベルトの自宅は一つである】
【ロベルトの自宅は破壊不可能】
【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】
【ロベルトの自宅の扉と窓からは、内外への一切の出入りが不可能】
【ロベルトの自宅では、一切の水道設備が使用不可能】
【ロベルトの自宅には、ロベルト以外の生物Xの侵入は無い】
【ロベルトの自宅において、雨漏りは発生しなかった】
【ロベルトの自宅において、地面からの水の噴出は発生しなかった】
【ロベルトの自宅において、結露は発生しなかった】
【ロベルトの自宅には、扉や窓以外の隠し通路は存在しない】

〜「水」の定義について〜
【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】
【氷や酒も包括して「水」とみなす】

436 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 02:51:10 ID:???
『ロベルトの自宅にはそもそも屋根がなく、上から大量の水がロベルトの自宅に流れ込み、ロベルトは溺死した』

437 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 09:27:31 ID:???
「ロベルトは健康体である」
「風呂に水は貼ってあった」
「トイレに水はあった」
『ロベルトは溺死と言っても理想を抱いて溺死した』


438 :437:2017/04/23(日) 09:31:51 ID:???
あ、一切の水はなかったのか
2つ目と3つ目はキャンセルでお願いします

一応溺死の定義でも確認しておくか
「溺死ということは肺に水が溜まって死んだことを表す」
「ロベルトが自宅に入る前に水分をとっていたかどうかは関係ない」

439 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 16:26:25 ID:???
ああ、ドアと窓がないならこれもあるか
『煙突、あるいは換気扇から大量の水が入れられてロベルトは溺死した』

440 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 17:22:06 ID:???
出先から戻ったので、書き始めようと思ったのですが…魔女は>>436の青でリザインを表明します!
描写についてはもう暫くお待ちください。

441 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 18:19:36 ID:???
うーむ、確かに屋根の無い家って妙にロベルトにしっくりくるな

442 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 18:29:18 ID:???
そんな家、やーねー

443 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:42:18 ID:???

森崎「第二の晩を始める前に、昨晩から今までに溜めて来た青をぶつけさせて貰おうか」

ワルギリア「ええ、ええ。当然構いませんとも。……さあ、来るのです」

>>433-434
森崎「青き真実! 『ロベルトの家には外付けの巨大な給水タンクがあり、魔女はそこからロベルトの家に大量の水を流し込んだ』
    『ロベルトが帰宅し扉を開けた瞬間なんらかの要因で大量の水が押し寄せロベルトは溺死した』」

ワルギリア「――【ロベルトの自宅には、外付けの給水タンクは存在しない】!
       そして後者は、【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】以上。
       その「なんらかの要因」は概ね何であるかを説明できなければ、それを仮説として認める事はできません。
       ……ああ。『ロベルトが帰宅し扉を開けた瞬間、魔女の水の魔法により大量の水が押し寄せロベルトは溺死した』
       と、言うのであれば、私は一向に構いませんが。
       これに敢えて赤を付するならば――【ロベルトの自宅には、大量の水を発生させる装置Xは存在しない】と、なるでしょうか」

森崎「謎の核心部分については、説明不要の装置Xでの逃げは許さねえ……ってか」

ワルギリア「そうですね。この場合、魔女の正体は ザガロ だろうと 琴音 だろうと誰でも構わないのですが。
       やはり、『水も水道設備も無い密室において、どうして被害者は溺死したのか?』と、言う問いかけをしている以上、
       『密室から”なんらかの要因”で水が発生し溺死した』と、いう答えは不完全であると私は考えます」



444 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:44:22 ID:???
>>437-438
森崎「復唱要求! 「ロベルトは健康体である」! 「溺死ということは肺に水が溜まって死んだことを表す」!
    「ロベルトが自宅に入る前に水分をとっていたかどうかは関係ない」!
    更に、青き真実! 『ロベルトは溺死と言っても理想を抱いて溺死した』。
    そう、つまりロベルトの溺死とは比喩的表現で、実際の死因は別だったんだ!」

ワルギリア「ほっほっほ……これはまた、何とも詩的な青を持ってきましたね。
        ですが、これは復唱要求に応ずる事で否定しましょう。
        【ロベルトは健康体である】、
        【溺死ということは肺に水が溜まって死んだことを表す】、
        【ロベルトが自宅に入る前に水分をとっていたかどうかは関係ない】。
        ……理想を抱いて溺死するのは、どこぞの日焼けした○ロウくんだけで充分です」

森崎「くそっ……定義の確認自体は悪手ではないにせよ。今回は違ったみたいだな」

>>439
森崎「これはどうだ……?『煙突、あるいは換気扇から大量の水が入れられてロベルトは溺死した』!」

ワルギリア「【ロベルトの自宅には、煙突および換気扇は存在しない】」

ドーーンッ!
  ――シャキーンッ、ズバァァッ!

幾度目かの森崎の青き真実は、ワルギリアの細く鋭い一閃にて飛散する。
彼女はベアトリーチェのように派手で豪奢な赤を操らないが、その代わりに、一つひとつが鋭く、洗練されている。
千年以上を生きた有限の魔女に相応しい老獪な赤に、森崎は苦戦していた。

445 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:45:22 ID:???
>>436
森崎「いや……こういう時こそ、これまでの赤字を見直すんだ。
    そして、その隙間を掻い潜る青も、きっとあるはずなんだ……!!」

森崎は諦めず、これまでに出された赤き真実を確認し。
果たして……ゲーム開始当初の赤で、不自然な物を発見した。

森崎「……【ロベルトの自宅において、雨漏りは発生しなかった】。
    これって確か、「ロベルトの家の屋根から水が入ってくることはない」っていう復唱要求の代わりに出されたんだっけか。
    当時は気にも留めなかったが。なんで、こんな風に言い直したんだ?」

正確には赤そのものというよりも、この赤が出された経緯が不自然だった。
単純に屋根から水が入って来る事は無い、と。そう復唱すれば良いだけだったのに、
ワルギリアはもう一つの青への回答と合わせた形で、「雨漏りは発生しなかった」、と状況を限定してきた。
本来ならば理由を突き詰めるべき所であったが、彼女のポーカーフェイスを前に有耶無耶となってしまったのである。

ワルギリア「ほっほっほ……どうやら、気付かれてしまいましたか。私の、些細な抵抗の正体に」

森崎「……ああ。あれは、魔女の駆け引きだったってワケだな。
    理由なき復唱拒否で、疑いを屋根に向けさせるのではなく。
    敢えて雨漏りの赤を犠牲にする事で、結果として人間側の目を眩ませた。
    ――自軍の駒を犠牲に、敵側の布陣を崩して大局的な利を得る。チェスで言う所のサクリファイス。
    それをお前はやってみせたんだ」

ワルギリア「良きゲームとは、良きゲーム盤のみによっては齎されない。
        悪辣なる魔女の指し手と、それを覆す人間の執念と。……そして、両者を繋ぐ「愛」こそが重要。
        そういう事です。――さあ、森崎くん。
        そこまで解っているのなら、ひと思いに、このゲームのハラワタを引きずり出してはくれませんか?」

446 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:47:43 ID:???
森崎「分かってるぜ。……つまり、真実はこうだ。
    ロベルトはどうやら無い知恵を働かせて、必死にドアに窓の閉鎖や、水道設備の遮断。
    そして自宅外壁の強化をやって、魔女から逃げおおせようとした。
    ……しかし、ロベルトは。……あのクソヒゲ凡庸残尿頻尿全裸サンバグラサンおじさんは、
    ある大事な一点について、全く何の対策も――いや。対策どころかむしろオープンにしてしまっていた。
    あいつの作戦には、文字通りの巨大な穴があったってワケさ」

森崎の周囲に青き力が満ちる。それは赤く燃え上がる魔法に満ちた絵本を包み込まんとする程に膨張し――。

森崎「青き真実。『ロベルトの自宅にはそもそも屋根がなく、上から大量の水がロベルトの自宅に流れ込み、ロベルトは溺死した』」

カッ! ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

ワルギリア「……お見事です、森崎くん」

青き真実は一点の光に収束すると、そのまま絵本を貫いて、大きな穴を作り出した。
それは、人間とトリックでは説明できないと断言した、悪趣味な絵本の魔女の敗北を意味していた。

447 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:51:10 ID:???


有限の魔女ワルギリア卿は、
>>436さまの提出した青き真実に対し、リザイン(投了)を表明しました。
よって、このゲームは人間側の勝利となります。お疲れ様でした。

――――――――――――――――――――――――――――――――

……と、言ったところで一旦ここまでにします。
>>441
普通ならあり得ないんですが「ロベルトならやりかねん」と、皆も納得してくれるかなぁ…と期待してましたw
>>442
これは山羊の皆さんの食料確定ですね…(うみねこ並感)

448 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:11:43 ID:???
**************************************
【よいまじょのえほん ざんにょうロベルト と みずのまじょ 〜さいごのページ〜】


なぜロベルトはおぼれてしんでしまったのか、ですって?

うふふ、それはとってもかんたんです。なぜなら、ロベルトはぼんようなので、きづかなかったのですが。

「おまえのいえはなぜかやねがなかったからな こんなん まじょじゃなくてもはいれるぞ」

「あーーーっ! そうかあ! わすれてたあ!!」

そうです。ロベルトのおうちには、やねといいますか、てんじょうがなかったのです。

ぜんらがだいすきなロベルトは、じぶんのおうちもぜんらっぽいのがすきだからと、

ぎょうせいとゆちゃくしている、ゼネコンぎょうしゃにたのんで、やねとてんじょうをはずしてもらっていたのです。




449 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:14:14 ID:???
「とほほのほ。あーあ、しんでしまってかなしいなあ」

しかし、ふくすいぼんにかえらず。ロベルトはじごくで、おんなのくさったふうなやつみたく、まいにちめめしくないていました。

ですがあるひのことです。まいにちないてるロベルトをキモイとおもったえんまさまが、

ロベルトを、じごくからこのよにいきかえらせてしまったのです。


「もとはといえばざんにょうのせいで オレはまじょにころされたんだったなあ」

いきかえったロベルトは、ここでようやくじぶんのざんにょうが、すべてのげんきょうだときづきました。

そこで、ひにょうきかにいって、おいしゃさんにざんにょうをなおしてもらいました。


するとどうでしょう。もともとサッカーがうまかったロベルトは、ざんにょうとくゆうのおしっこくささがなくなって、だいにんき。

つまとあいじんとセフレをてにいれ、ねんぽういちおくえんプレーヤーとして、ブラジルサッカーかいにかがやくのでしたとさ。

めでたし、めでたし。




よいまじょのみんなも、おしっこがでにくくなったら、すぐにひにょうきかにかかろうね。

でないと、ロベルトみたく、わるいまじょにころされてしまうかもしれませんよ。





450 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:16:09 ID:???




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


         よいまじょのえほん ざんにょうロベルト と みずのまじょ

                  
                      お し ま い


                さく・え プブリウス・ワルギリア・マロ



**************************************

451 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:17:20 ID:???
…書き溜めておいた文を投下して、今日はここまでにします。
次回以降はいよいよ理論編に入っていこうと思います。

452 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:36:25 ID:???
<理論編・魔女の絵本から学ぶゲーム盤の作り方>
(0)はじめに

ワルギリア「……さて。そんなわけで」

森崎「いや、どんなわけだよ。よくもあんなクソみたいな絵本作りやがって……。
   大体、下ネタナンセンスはお前の原作的にもおかしいだろ、お前、そんな奴じゃなかったって」

ワルギリア「そうですね。ですが考えてもみてください。あの絵本を作ったのは、本当は私ではないのかもしれない。
        『たまたま私の本名をペンネームにしていた、 大空奈津子 くんの書いた絵本だった』可能性だって、
       赤で否定されない限りはあり得るのですよ?」

森崎「ああそうだな。ずけずけとそんな大ホラ吹けるあたりは、充分とあんたらしいや。
    ……で、やるんだろ。魔女のゲームの作り方講義」

ワルギリア「ええ、もちろんですとも。とはいえ、>>1が物語を記述する時間の兼ね合いもありますから。
        本日はほんの序文のみを紹介します。

        ……あ。これからの講義の内容ですが、勿論原作及び二次創作においても定義されたものではない、
        完全に>>1の我流オリジナル理論を紹介するものです。また、この理論を満たさないゲーム盤は駄作、
        という烙印を押す為に考えたものではありません。講義という体ではありますが、実際は見習い魔女の>>1が、
        ゲーム盤に関して、徒然と思う事を書きなぐっているだけだと思って頂ければ幸いです。

        そんなんじゃダメだ!……という方はごめんなさい。次から、講義を初めていきます」


453 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:50:48 ID:???
(1)ゲーム盤を作り彩る3大元素、「謎」「戦術」そして「愛」

森崎「まあ、話の都合上、さっきの絵本とゲーム盤を作ったのはお前と断定した上で話を進めるんだが。
    ――あのゲーム盤を作るにあたって重要な事って何だったんだ? 作る立場の意見を聞かせてくれないか」

ワルギリア「ええ、いいでしょう。これは私……というか>>1の場合はなんですがメタ的な発言はこれまでにしておいて。
       ゲーム盤を作り、運営し、結実させるためには大きく分けて三つの要素が大事だと考えています。
       すなわち、「謎」「戦術」そして……「愛」です」

森崎「えらく抽象的な表現だな。勿論、一つ一つ紹介してくれるんだろうな?」

ワルギリア「勿論です。では……さっきから絵本のストーリーに感動して泣いてるベアト。
        それぞれのおおよその意味を、私に代わって説明してみなさい」

ベアト「うええええええん! ロベルトが地獄から蘇っちゃたよおおおッ!
    折角皆が頑張って封印したのに、ひどすぎるよぉぉぉぉおおおおおおぉぉんっ!」

森崎「お前いたのか。……ていうか、そんなストーリーじゃなかっただろ、あの絵本」

ベアト「ふん。妾が童心に帰り無邪気で素直な気持ちになれていたところを邪魔しおって!
    そしてお師匠様ァ。そんな簡単な事を妾に聞かれても困るぜぇオイ。
    ――うむ。たまには妾が自ら答えてみせよう。

    ひとつ。「謎」とはすなわちミステリー。ゲーム盤に与えられた「不可能状況」の構築の巧拙を指し。
    ふたつ。「戦術」とはストラテジー。相手の指し手に応じ、如何に巧妙なる赤を振りまくかの巧拙を指し。
    みっつめは。……えーっと、どんなだったかなァ。妾、忘れちまったよォ」

ワルギリア「はあ。予想通りの答えでしたね。ですが……一つ目と二つ目はまさしくその通りです」

森崎「不可能状況の構築、そして、赤の出し方が大事ってか。……まあ、感覚的に分からんでもないな」

454 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:52:04 ID:???
ワルギリア「ええ。……けだし、屁理屈推理合戦とは、単なる一方通行のミステリークイズではありません。
        魔女は魅力的な幻想を生み出し、人間はその裏に隠れた驚くべき真実を見抜く。
        魔女と人間の双方間の駆け引きと作戦。アクロバティックな暴論が成り立つ、スポーツ的な躍動感。
        それを楽しむことこそが、このゲームの真理と考えます」

森崎「だから、「謎」と「戦術」って訳か。……「愛」が何故必要なのかは俺もイマイチわからんが、そこまでは分かった」

ワルギリア「それは何よりですね。……まあ確かに、「愛」が無くとも、洗練された「謎」と卓越した「戦術」さえあれば、
        その魔女は瞬く間に喝采を浴び、やがてはそのゲーム盤一つ一つが魔女の殿堂に保管されることになるでしょう。
        それだけ、「謎」と「戦術」はゲームの基礎として大事である事は間違いありません」

ベアト「今回の絵本のゲーム盤で言うと、「謎」とは、ロベルトの溺死の謎。
     そして「戦術」とは、お師匠様の赤の出し方やポーカーフェイスにあったな」

森崎「さっきのゲーム。「謎」は今にして思うと単純だが、「戦術」の方に引っ張られてミスリードしちまった所は……。
    悔しいが、認めざるを得んな」

ワルギリア「ほっほっほ。褒めても鯖しか出ませんよ。……ですが、折角そうした流れになりましたし。
        次は「謎」と「戦術」そして「愛」についても、各論的に考えや具体論を述べてみるとしましょうか」


455 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:53:26 ID:???
…と、いったところで今日はここまでです。

456 :森崎名無しさん:2017/04/26(水) 01:23:33 ID:???
愛に関しては原作作者のせいで叩かれる要素にしか聞こえなくなってしまったの悲しいなぁ

457 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:31:50 ID:???
(2)「謎」・・・魔女のゲームで「叙述トリック」は欠かせない

ワルギリア「さて。それでは魔女のゲームを構成するにあたり重要な第一の元素。
        「謎」に関する各論的な講座に入っていきましょう」

ベアト「さっき妾が言ったとおり、この「謎」とはすなわち、魔女から人間への不可能状況の提示!
     もっと言おうか、「謎」とはすなわち、如何にして上手く不可能殺人のトリックを生み出し、
     それを如何にも不可能そうに提示するかであるッ!」

森崎「不可能殺人のトリックと、その提示か。魔女のゲーム盤で言う所の、
    『ニンゲンとトリックでは説明できませんよね?』ってヤツだな」

ワルギリア「その通りです。魔女のゲーム盤における魔女側の目標は、迷宮入りの事件を作る事ではない。
       そうではなく、如何にして、「こんな不思議な事態は、人間とトリックでは説明できない! 魔法しかありえない!」
       ……と、思わせるかになります」

ベアト「ならば妾がとっておきの赤を出そうぞ! 【ロベルトは魔法で殺された】【魔法は実在する】!
     ――こうすれば誰がどうあがこうと、人間とトリックでは説明できんぞ!
     しかも魔法は実在すると絶対の真実で書かれた以上、もはやニンゲンは屈服不可避だ!!」

ワルギリア「――ですが、だからと言って今のベアトのような発言を、魔女は行う事はできません。
       何故なら……少なくとも、普通の屁理屈推理合戦においては。結局のところ、魔法は実在しないからです。
       あ、ステイルメイト云々の話は後々しますので、お詳しい人もご心配なく」

森崎「まあ、ぶっちゃけるとそうだろうな。色々考えさせといて結局「魔法は実在します」オチは、普通ならあり得んだろ」

ワルギリア「そう。悲しい事に、真実の世界では魔法は実在しない。ですが、現実に不可能状況が存在している。
        ……では、魔法が実在しない中で、如何にしてこの不可能状況が発生したのか?
        その隙間を魔法の代わりに埋めるのが、「謎」という概念になります」


458 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:32:56 ID:???
ベアト「『ロベルトは水の無い、閉鎖された空間で溺死した』。……これは、さっきの絵本で提示された不可能状況であるな。
    これを単純に、『水の魔女が魔法で殺した』……と、言えれば言いのだが。
    一なる真実は、『空間は、実は閉鎖されていなかった』……である。
    ――で、この真実を如何にも魔法っぽく見せる為に、魔女側は『閉鎖された空間”らしさ”』を演出する必要があったという事よ」

森崎「で、その”らしさ”を演出する為の手段ってのが、家は破壊不可能だとか、屋内には水は一切なかっただとかの赤き真実。
    それと、その赤き真実を強調して、いかにも人間じゃ再現不可能だって煽り立てる幻想描写。この二つだったって訳か」

ワルギリア「ええ。そしてそれこそが、魔女のゲーム盤に挑むニンゲン達の前に横たわる「謎」ということになります」

ベアト「……んで、お師匠様ァ」

ワルギリア「……貴女がそのような甘えた声を出すのは、大抵が碌な場面ではありませんでしたね」

ベアト「うぐっ。ま、まあよいではないか。……それよりだな。妾、そういう理論的な話はもう飽きちゃったからさァ。
    具体的にどうしたら面白い「謎」が出来るのか、そろそろ教えてくれないかなーって……」

ワルギリア「…………」

ベアト「そ、そんな風に細めた目を更に細めなくってもいいじゃんかよぉ!
     なんだよお師匠様、そんなに面白い謎を安売りするのが勿体無いってかァ〜?」

森崎「へっ、怒られてやんの。大体魔女のゲームだってサッカーと同じだろ。
    きちんとしたセオリーってのは存在しない。毎日毎日、血のにじむような努力を重ねれば、
    やがて進むべき道も開けてくるって……」


ワルギリア「――いえ。面白い、と断言できるかはともかく。
        全ての魔女のゲームに通底して守るべき、「謎」の作り方のセオリーならば考えられます」


459 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:34:47 ID:???

森崎「ま、マジかよ……」

ベアト「うっひょ〜〜! さっすがお師匠様ァ! で、さっさと教えてくれよォ」

ワルギリア「森崎くんはともかく、ベアトは何度も教えたでしょうに……。
       まあいいでしょう。ズバリ、魔女のゲームにおいて魔女側が作るべき謎とは一つ。『叙述トリック』です」

森崎「じょ……じょじゅちゅトリック……?」

ベアト「ダサッ! 噛んでやがるぜふひゃっひゃひゃひゃァ!」

森崎「う、うるせーやい!」

ワルギリア「……コホン。定義を軽く説明しますと、『叙述トリック』とは、端的に言って物語の登場人物ではなく、
        物語を俯瞰する「読者」を騙す為のトリックです。
        具体的には、物語の登場人物にとっては周知の事実である事(年齢、名前、場所等)を敢えて隠蔽し、
        物語のクライマックスでその事実を明かす事で、読者を驚かせるという手法ですね。
        古典小説ではアガサ・クリスティが超有名な長編を書いていますし、日本の本格ミステリーでは、綾辻行人や、
        我孫子武丸などが、それぞれ有名な小説を書いています。
        タイトルまで挙げてしまうと、その時点でネタバレですから言いませんが」

ベアト「詳しくは、『叙述ミステリー 作品』で検索検索ゥ、であるな!」

森崎「ふーん。そういや考えてみれば俺もサッカーばかりで、本なんて全然読まねえからな……。
    今度、中山にでもお勧めを教えてもらうか」

ワルギリア「……で、本題ですが。叙述トリックの特徴として言いました、
        『物語の登場人物にとっては周知の事実である事象(年齢、名前、場所等)を敢えて隠蔽し、
         クライマックスでその事実を明かす』。
        ……これって、魔女のゲーム盤における「謎」の出し方と似てませんか?」


460 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:35:49 ID:???
森崎「……確かに。魔女の絵本とかはまさにコレじゃねーか。作中のロベルトにとって、
    ロベルトの家の天井が無い事は丸わかりだ。だが、俺達読者には、それは明かされていない。
    いやむしろ、幻想描写や赤き真実を使って巧妙にミスリードしてやがる。
    ……そうか。これが「謎」のキモだって訳だな」

ベアト「魔女の絵本にしても、【ロベルトの天井はオープンだった】という赤を早々に出して、
     『では、魔女はどのようなトリックで遠隔地のロベルトを溺死させた?』という「謎」を、
    中心に持って行く事だってできた。しかし、普通はそんな事はしない。何故だかわかるか?
    ――答えは超簡単。それだと単純に、「面白くない」からよ!!」

ワルギリア「……ベアトの言い方には語弊がありますが。まあ、大枠は間違っていません。
        そうです。所謂、通常のミステリーの文脈で使われるトリック
        ――装置類を組み合わせて作る物理トリックや、電車の接続や乗り継ぎを利用する時刻表トリック等を指します――は。
        正直に言って、魔女のゲーム盤における、主たる「謎」とするには向いていません。
        そしてそれは私の好みではなく、明確な理由があります。

        ひとつ。騙す主体が物語の登場人物となる以上、どうしても派手なトリックを構築しづらい。
        物語の舞台そもそもをひっくり返す事に主眼を置いた叙述トリックに対し、
        通常のトリックは、舞台に立つ役者の目を欺く為のもの。
        舞台の大枠をひっくり返せない以上、どうしても真相が地味なものになりがちです。

        ふたつ。通常のトリックを配置するには、多くの描写が必要となります。
        たとえば、氷が溶けると紐が切れて仕掛けが作動するトラップを考えたとします。
        普通の推理小説であれば、氷の溶けた跡とか紐が切れた跡とか、
        仕掛けの基盤となり得る構造物とかの可能性が事前に文中に提示されるので問題ありませんが、
        事実の多くが、【赤き真実】の中でのみしか記述されない魔女のゲームにおいて、
        この類の謎を主題とされると……夥しい数の赤が出されるか。あるいは、乏しすぎる赤の中で、
        不毛な言い当て合戦になってしまうかのいずれでしょう。
        一方、叙述トリックならば、こうした描写を示す必要はありません。
        なぜなら、解くべき真実については、「敢えて描写しなければ良い」だけなのですから。
        事実を一から十まで書く必要のある通常のトリックと、事実を敢えて書かない事で成立する叙述トリック。
        書くべき事実が、赤き真実によって縛られる魔女のゲームにおいて、どっちの相性が良いかは一目瞭然です」

461 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:38:02 ID:???

森崎「確かに。物理トリックや薬物トリックを使おうとすると、色んな前提条件やら予備知識やらが必要になりそうだが、
    叙述トリックだったら、毒の知識やら物理法則やらを知らなくても作れそうな気がするな……。
    騙す為のアイデアが見つかったら、後はそれを言わないだけでトリック成立だからな」

ベアト「と、言ったところで。ここで誤解の無いよう、今のうちに補足しておくが。
     ――妾達は決して、通常のトリックを地味だとか叙述トリックに劣るとかは言っておらぬし、
     叙述トリックを誰でも作れる稚拙なものであるとも言っておらぬぞ!

     ここでは単純に、そもそも悪魔の証明による説明不要のXがまかり通る魔女のゲーム盤と、
     緻密な説明を要する通常のトリックとの相性は悪く。
     そして、推理小説以上に読み手側の情報が制限される魔女のゲーム盤と、
     情報を敢えて伝えない事で成り立つ叙述トリックとの相性が良いであろう、としか言っておらぬ!

     饗宴の場によって取るべき振る舞いが変わると同じく。
     一つの「謎」についても、披露する場によって、好まれるか否かが大きく異なるという事だ!」

ワルギリア「勿論その通りです。それに、魔女のゲームにおいても、通常のミステリー小説めいたトリックが役立つ時もあります。
        例えば本丸となる謎を前に、クイズじみた謎解きがあっても小洒落ていますし、本丸の謎の格も高まる。
        それと、大規模なゲーム盤の合間を縫った余興としても、物理トリックや時刻表トリックは好まれるでしょう」

森崎「長くなっちまったが。「謎」の主題は、事実を敢えて説明せずに隠蔽する叙述トリックがお勧め……って事だな。
    ああ、それは分かった。分かったが……でも、叙述トリックまみれってバレたら、このゲーム、一気につまらなくならないか?
    だって、叙述トリックは大きく舞台をひっくり返せるって言ってたけどよ。
    それって逆に、大きなものしかひっくり返さないとも言えそうっつーか。……ぶっちゃけ、ネタ切れるの早いんじゃねえか?」

ワルギリア「……そこについては、図星かもしれません。しかし同時に、ともすれば被りネタでマンネリ化しつつある
        魔女のゲーム盤において、ただ魅力的な「謎」を置いただけでは不十分。
        そのゲーム盤を支配する魔女がニンゲンと対峙する際に振るう、「戦術」もまた重要となる事が、
        なんとなく分かるのではないですか?」

ベアト「というワケで、次からは「戦術」について考察していくぞぉ」

462 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:46:28 ID:???
屁理屈推理合戦の謎の核心は物理トリックじゃなくて叙述トリックにした方が面白いと思います。
……と、言ったところで一旦ここまでです。
>>456
私的にはうみねこは神ゲーなので、「愛」にまつわるテーマも重要だと思っています。
原作者の発言もそう言いたくなる気持ちは分かるんですが、それでも擁護できない部分はあるかもですね。
ただ、もしも原作者嫌い(やネットの批判)だけが理由でうみねこを食わず嫌いしてる人は、是非一度プレーしてみてほしいです。
原作者が何を言おうとも、その作品に込められたテーマは決して色褪せないと思います。

463 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/25(金) 00:49:07 ID:???
ワルギリア「……と、思いましたがやっぱりやめました」

ベアト「……って、なにィ!?」

森崎「なんだよ。引っ張るだけ引っ張っておいて、ネタ切れかァ?
    千年を生きた魔女サマとやらも、案外大したことないんだな」

ワルギリア「やめろォ?! ……なんて情けない叫び声はあげませんよ。
        勿論、お叱りの言葉は謙虚にお聞きしたいとは思っていますが。
        ……ともかく、やはり魔女のトリック講座は一旦打ち切って、また次回以降にしたいと思います」

ベアト「えー。でも気になるんだけどよォー。せめて何で打ち切るか位は説明してくれよなァー?」

ワルギリア「理由と言いましても、本当につまらないものですよ?
        >>1が別スレのイタリア編を書きあぐねている間に、イタリア繋がりでゲーム盤を一つ、
        思い浮かんだとかそんなような……げふんげふん。……とにかく、そんなような理由です」

森崎「ったく、思った以上にいい加減な理由だったぜ。……で、それだけ色々投げうってやるからには、
    さぞかし面白いゲーム盤なんだろうな?」

ベアト「くっくっく。ゲーム盤と言ったら妾も放ってはおけぬなァ!」

ワルギリア「そうですね。参加者さんがどれだけ居るかも把握する必要がありますし。
        タイトルだけは先に提示しておきましょうか。
        ――タイトルは、『Catenaccio of the golden witch〜黄金の魔女の閂〜』。
        カティナチオと評されるイタリアサッカーの如く、堅牢な密室を用意しましたよ。
        ……と、>>1は言っているようです」

森崎「そうかい。……ま、俺としては堅牢()にならない事を祈ってるぜ」

ベアト「くっひひひひひ! その言葉はマシな推理を構築してからのたまう事たな!
    てなわけで、シーユーアゲイン。ハバナイスデイ、ってな!」        〜TIPSB 了〜

464 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/25(金) 00:57:02 ID:wkpgoQ/+
突然ですが、別スレのネタを考えてる内に紆余曲折あって、ゲーム盤のネタを思いつきました(汗)
そのため、もし現時点〜明日の夜までに参加希望者が1名でも居た場合、
久しぶりに屁理屈推理合戦をやりたいと思っています。
(実際にゲームをするのは、土日になる予定です。リアル事情等で遅れる場合は、早めに連絡します)

なので、もしも参加希望者が居りましたらこのスレに書き込みをしてください。(agesageは問いません)
本筋の方を更新しないままですみませんが、参加して頂ければ大変嬉しいです。

ゲーム盤のタイトルは『Catenaccio of the golden witch〜黄金の魔女の閂〜』。
本スレイタリア編を下敷きに(?)、魔女によるカティナチオな密室をお送りする予定です。

465 :森崎名無しさん:2017/08/25(金) 08:05:26 ID:???
参加させていただきます

466 :森崎名無しさん:2017/08/25(金) 19:58:50 ID:???
私も参加させて頂きます

467 :森崎名無しさん:2017/08/25(金) 21:53:08 ID:???
拙者も参加させていただこう

468 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:17:20 ID:nPx5i6AA
>>465さん、>>466さん、>>467さん、参加表明ありがとうございます。
沢山の参加希望があり大変嬉しいです。
今回のゲーム盤は複雑かつ描写が多いので、明日の開始に先立って文章の投下だけ、
先に初めてしまおうと思います。





469 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:18:33 ID:nPx5i6AA
   屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
     Episode 4  Catenaccio of the golden witch 〜黄金の魔女の閂〜


おはようございます。

黄金の魔女は久々のゲームを楽しみにしておられます。
一人でも多くの客人を丁重にもてなしたいと仰っております。

もてなしの内容は勿論、極上の意地悪と極上の屁理屈。
魔女は何時でも、ニンゲンを陥れる為には知恵を惜しみません。

難易度は姑息にして陰湿。
皆様、魔女の善意には何卒ご注意下さいますよう、僭越ながら私からも忠言申し上げます。


470 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:20:32 ID:nPx5i6AA
〜イタリア・市場〜

「……………」

女が独り、佇んでいた。

「……どうして、ストラット」

彼女の手には、つい先ほど雑貨屋で購入したアイスピック状の杭が握られていた。
捩れた海蛇を象った装飾をしたそれは、さしずめ中世の呪術に用いられた魔道具にも見えるが、
柄には「MADE IN USA」の文字が小さく彫られている。
彼女は、呪いをするために態々これを買った訳ではないのだ。
しかし、オン・ザ・ロックでブランデーを呑むために購入した訳でも無かった。
それを示すかのように、美しいロングの金髪に隠れたその表情は――暗く歪んでいる。

「どうして、他の女なんかと一緒に会話なんてしてたの……?
 どうして、他の女なんかが吐きだした空気を吸っているの……?
 どうして、他の女なんかが存在した場所に存在しているの……? もう許せない……」

彼女の心は強い深い嫉妬に苛まれていた。きっかけはふとした事であったとしても、
その闇はもう、どうしようも無いまでに彼女を蝕んでいたのだ。

「……くすくすくす」

――そして、『魔女』と言えば、人間の心が生んだ闇につけ入る事が世の常だった。
普段来る事の無い雑貨屋に入り、普段使う筈の無い道具を買い、
そして往来にて悩んだように佇む彼女を、黒き魔女は決して見逃さない。

「やるって決めといて、それで立ちすくんで、ウジウジしちゃうなんて。
 ……ばっかみたい。ヘソでも噛んで、死んじゃえばぁ……?」

471 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:22:37 ID:nPx5i6AA
夜の帳のような紫のドレスを身に纏い、腰には子供っぽく可愛らしいリボン。
レースに大きな薔薇の花飾りのついた帽子を被る、まるで御伽噺に出て来るお姫様のような姿をした
愛らしい魔女は、醜く唇を歪めながら、今宵の贄を見定めていた。

「――まぁ。お試しは、あの子で良いかしらね」

果たして、――黒き魔女は黄金の蝶を一羽、天へと放った。
それは濃密な魔力の籠った鱗粉を振りまきながら、項垂れる少女が手に持つ道具を照らすと。

フワァァッ、パァァァァァッ。ギュイーーーン……。

「この力は……!?」

嫉妬に駆られた少女は、魔女の薫陶を受け、新たなる魔女へと変貌する。
……反魔法の毒素に満ち満ちた、雑踏を通り過ぎるニンゲン共には、
この大いなる変身の意味など決して解りはしない。

「フ……ウフフ……! これなら、殺せる。殺して、愛せる。私は今日、真実の愛を知ったのよ……!!
 待っててねストラット。今から貴方を愛しに行くから……。
 ウフフフフッ、ウフフフフフフフフフフフブブブフヒィィィィイイヤァァァァヤアァァッ!!」

――だが、周囲の理解など得られずとも、今の彼女には関係が無かった。
そもそも、いずれ老いさばらえ朽ち果てる肉の檻から解放された彼女にとって。
原始的かつ野蛮な肉欲を捨て去り、真実の愛を知るに至った彼女にとって。
もはや、下等なニンゲンが勝手に創り出した倫理や世界等はどうでも良い。今の彼女にあるのは、果てぬ愛と憎悪のみ。

「くすくすくす……さ。後はお手並み拝見ってトコかしらぁ。
 新しい魔女と、先代様の古くさぁい『家具』と。……二つが合わされば、そこそこの退屈凌ぎにはなるでしょうし。
 ったく、あのクソババアめ。こんなに楽しい世界、あんたなんかに独り占めなんて、させないんだから……ッ」

その様子を見届けて、黒き魔女は黄金の蝶に姿を変えて消え果てる。
後に遺されたのは愛憎の魔女と、その魔力に呼応して緑色に輝く、悪魔の杭のみだった……。

472 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:23:43 ID:nPx5i6AA
***


〜イタリア北部・山奥〜

ブロロロロ……

バスが軽快な音を立てて、先が見えない山道を走る中、
やがて背の高い尖塔が全日本ジュニアユース代表一同の視界に入った。

森崎「へぇ。あれがイタリアの合宿施設か」

早田「けったいな形してるなァ。あれがボンジョルノの趣味か?」

次藤「物の本によると、古代エトルリア人が作ったオーパーツ的施設らしいタイ。
    なんでも、宇宙人との邂逅を目指したとか、バベルの塔に対抗して作ってみたとか。
    ……むむむっ! これはヤバいタイ。来年、イタリアに恐怖の大王が……」

佐野「次藤さん、多分それ観光ガイドじゃなくてムーとか、それ系の雑誌です」

森崎は仲の良い早田や、国内合宿中に日向との一件で絆を深めた次藤達と、バス内での談笑を楽しんでいる。
修学旅行のようにも見える彼らの穏やかな会話を、代表選手らしからぬ気の緩みと謗る者はいない。
というのも、今回の遠征先への旅程は、明らかに長い旅路だったからだ。


473 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:25:06 ID:nPx5i6AA
松山「Jr.ユース大会を前に、ハンブルグとの練習試合で5−4の勝利を挙げた俺達だったけど、
    それでヨーロッパ中のサッカー協会が警戒しちゃって、どことも練習試合を組ませて貰えなかった。
    その中で漸く、イタリアJr.ユースとだけは『合同合宿』という形で遠征が出来たのは喜ぶべき、なんだろうけど……」

石崎「くーっ、それにしても合宿会場が遠すぎだぜ!? 俺達今、何時間くらい山登りしてんだ?」

説明口調の松山が言う通り、彼らの目的地はイタリアJr.ユース代表との合同合宿会場だった。
イタリアとスイス国境を隔てるアルプス山脈、その中でも最高峰とされるモンテ・ローザの中腹に位置する
その施設への所要時間は、空港から車でおよそ38時間。その間ずっと、彼らはバス生活を強いられていたのだ。

反町「(日本サッカー協会が金欠で、国際サッカー界での発言力が乏しいからって、幾ら何でも舐められ過ぎだろ……)」

日向「喉が渇いたな。オイタケシ、コーラ持って来い」

沢田「はい! 今本社に頼んでコンコルドを手配しました!」

若島津「(モンテ・ローザの奥地にはイエティが棲むという。手合わせしたい物だ)」

とはいえ、彼らの表情は決して暗くはない。それは現状を愚痴っても仕方ないという、
彼らの前向きな気質が現れたとも言え。……あるいは、日本代表という重圧を離れて、
普通の中学生のように友人との旅を楽しむ事が出来る喜びもあったのかもしれない。


474 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:26:12 ID:nPx5i6AA
ブロロロロ……キキッ。

見上「……着いたぞ。ご苦労であった」

……やがて、彼らが到着したのは森崎が尖塔を目撃してから6時間後の事だった。
バスは古びた城塞のような施設の前で止まり、代表選手達を降ろしていく。

滝「ホテル・プルガトリオか。……ダンテもこんな場所で『神曲』を書いたのかな」

井沢「山の中にある煉獄(プルガトリオ)だからな。となると、次に出て来るのはベアトリーチェか?」

森崎「!? ベ、ベアトリーチェだと!?」

来生「……? 森崎、何ベアトリーチェに過剰反応してるんだ?」

森崎「う、うるせぇ。黙ってろ!」

……中世のイタリア人作家のダンテは、『神曲』という有名な叙事詩の中で、
『ベアトリーチェ』という名の女性を登場させている。
永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを迎える彼女は、
やがて彼女の導きによって天界へと昇天する、……という話だったろうか。

森崎「ったく。昔の奴はベアトリーチェを理想化し過ぎだぜ。
    あんなの、エログロナンセンス好きの、ロクでもねえ魔女なだけじゃねぇか……」

勿論、森崎の知人であるベアトリーチェは、ダンテの作品の登場人物とは何の関わりもないが、
森崎はそうこっそり悪態を突きたくなる。……しかし一方で、彼は鞄の中のキーパーグローブを撫でつけてもいた。
黄金の蝶の刺繍がなされた、魔女・ベアトリーチェからの贈り物は確かに上質だったし、
森崎は奇跡的にもシュナイダー相手に1失点に留め、チームを勝利に導く事が出来たのだ。
もっとも、「魔女のお蔭じゃねえ。俺の実力だ」と、森崎はそう言って憚らなかったが。

森崎「(流石にJr.ユース合宿までは付き纏ってこなくて助かったぜ。ま、お土産位は買ってやってもいいかな)」

475 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:28:50 ID:nPx5i6AA
すみません、日本語的に気になった部分を修正します。
誤:永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを迎える彼女は、
  やがて彼女の導きによって天界へと昇天する、……という話だったろうか。
      ↓
正:永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを天界へと導いた
  ……という話だったろうか。

476 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:30:09 ID:nPx5i6AA

森崎が古めかしいホテルの看板と、滝達の何気ない会話に想いを馳せていると――。

和夫「ウキャッ、キャッキャッ!(うわっ、すげー!)」

政夫「キャキッ、キキウキッ!(なんだこれ!?)」

……立花兄弟が興奮のあまりの猿語で騒ぎ始めた。
一体何事かと思って、森崎や周囲の仲間が双子の方へと向かうと、そこには巨大な像が鎮座していた。

山森「これは……大きな、鳥の像ですか?」

新田「こいつだけ、ボロホテルの外装と比べて綺麗だな……」

山森と新田は物珍しげに、双子が驚いた像に触れている。森崎が興味本位で覗き込むと、
それは大きな鷲の彫像だった。斧の付いた木の束を掴み、翼を大きく広げたそれは、この山奥のホテルにおいて、
誰とも知れずその雄々しさを示していた。

三杉「ファスケス……翼を広げた鷲の像、か」

翼「何か意味があるのかい?」

三杉「多分、サロ共和国との繋がりかな。木の束と、それを掴んで翼を広げた鷲は、彼らの国旗だったし」

若林「……となると、この施設は戦中に建てられたのか?」

山奥の果てにある、中世古城のようなホテル。そこに佇む鷲の像。
何もかもが御伽噺のような断絶された世界に戸惑う、日本代表の少年達に声を掛けたのは。


477 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:36:22 ID:???

ストラット「……いや、違う。建物自体はずっと昔のものだ。
      それを、サロ共和国――イタリア王国を追われたムッソリーニの建てた臨時政権が、
      ここを軍事施設や実験施設として転用していたらしい」

森崎「お前は……?」

ストラット「名乗るならば、まずはそっちの方だろう、ジャッポネーゼ。
       ……とでも言ってやりたいが。まあ良いか、俺の名はチェザーレ・ストラット。
       今日からの合同合宿には、イタリア代表として参加させて貰うぜ」

声を掛けたのは、ストラットと名乗る。
……強がりながらも、どこか暗い表情をした、イタリア人の少年だった。

森崎「……………」

そして、この少年に対して森崎が覚えた印象は、敵意とか好意とか。
そうした尋常かつ分かりやすい感情では決してなかった。
……魔女との戦いを通して、魔法への適性を知れずの内に深めていた森崎だけは、
彼を単なるアンニュイな印象の少年という風には評価しなかった。

森崎「(こいつ。……生きているのに、死んでいるような。いや違う。
     ……こいつは、きっと殺される。それもただ殺されるだけじゃない。
     陰残かつ、むごたらしく、惨めに殺されるような。そんな気がする……!)」

――森崎は察知した。ストラットという少年は、近い内に必ず、死ぬ。
否、殺される。……きっと恐らくは、魔女の手によって。

478 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:40:51 ID:???
今回の敵は愛憎の魔女ミアータ、被害者はストラット!
……と、言ったところで一旦ここまでです。
前置きが長くなりましたが、事件自体はシンプルで登場人物も少ないです。

また、今更ですが当ゲーム盤では「うみねこ」原作の明示または暗示の要素・ネタバレを含みます。
「うみねこ」原作を知らずとも楽しめるようにしたいと思っていますが、もしネタバレが嫌ですとか、
原作要素が多すぎてついていけない等ご意見ありましたら、極力は反映させたいです。

今の所、予定通り明日の夜にはゲーム盤に入れるかと思っています。
それでは、また明日宜しくお願いいたします。



479 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:36:16 ID:???
〜ホテル・プルガトリオ ロビー〜

支配人「遥々と日本からよくお越しくださいました。
     私は支配人のカスティリオーニでございます」

漆黒のタキシードを身に纏った老人は、見上を先頭にした全日本Jr.ユースメンバーを恭しく出迎えた。
見上はその老人の恭順さには目もくれず、要件だけを伝える。

見上「……イタリアJr.ユースメンバーはもう着いていますか?
    玄関口に一人散歩しているのを見かけた。出来れば、挨拶をしておきたいのですが」

支配人「かしこまりました。今、会議室を借りてミーティングをしているとの事ですので、
     只今私の方からお呼びつけいたします」

見上「分かりました。……お前達、少しの間自由行動だ。ただし、ここを離れるんじゃないぞ」

そう言うと、老練の支配人は音もたてずにロビーを離れ、薄暗がりの廊下へと消えていった。

来生「えー!? 俺達、こんな所に泊まるのかよ。シャワーってあるの? カラオケは? wi-fiは!?」

滝「おい、失礼だぞ来生! あとwi-fiってなんだよ。今は1980年代だぞ……」

支配人の姿が見えなくなると、空気の読めない来生は早速不平不満を言い始める。
癒し系常識人タイプな滝は慌ててそれを押し留めるが、皆も語らないだけで、概ね来生と同意見だった。


480 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:37:25 ID:???
……ホテル・プルガトリオは本当にダンテの時代からあったかと見紛う程に古い。
観光地などで良くある古民家や古寺を利用した民宿等は、その実現代的な電気設備等が整っている事が多いが、
少なくとも森崎達が視る限り、灯りは全て蝋燭だし、テレビも、ラジオも何も見当たらない。

三杉「僕達が考古学者だったら、今頃狂喜乱舞していただろうけどね。
    ……サッカー選手の合宿先としては、およそ最悪の部類かもしれないな」

松山「もうちょっと言葉を選べよ! ……って言葉がすぐに出て来ない自分自身が情けないよ」

古城を改装して作られたらしいが、前の改装は果たしていつの事なのだろうか。
それこそ、古代ローマ帝国期の城をルネサンス期に改装されて以来、そのままなのかもしれない。

森崎「『城は現代的に改装されている。ただし、その現代とは14世紀時点の事を指す!』
    ……って暴論がまかり通っちゃ、ゲームならともかく現実なら投石ものだぜ」

森崎もまた、どこかの悪趣味好きの魔女が好きそうな空間に放り込まれた事に辟易していた。
現実逃避紛いの屁理屈を一つ捏ね上げながら、しかし、と考えを巡らせる。
……いくらハンブルグに勝ったとはいえ、俺達全日本Jr.ユースが国際社会から舐められ、
あるいは不自然に警戒されているのは事実だ。
だが、だからと言って、そんな俺達をこんな辺鄙な場所に閉じ込めたりするだろうか?
いや、更に言うと、さっき挨拶だけしたストラットが居る通り、今回はあくまで、イタリアJr.ユースとの合同合宿という体なのだ。
即ち、こんな辺鄙な場所に閉じ込められたのは、俺達だけじゃない。
……国内中から期待を背負った、イタリアJr.ユースのメンバーもまた、俺達と同じ憂き目に遭っているのだ。


481 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:38:32 ID:???

森崎「一体何故だ? そもそも、他の海外が断る中で俺達との合同合宿を呑んだイタリアJr.ユースにも、
   何らかの事情があるのか? ……っと。これは何だ? 扉に……デカイ閂……?」

そんな中、森崎は自分達が入って来た入口とは真向かいに、大きな扉があるのを見つける。
城門のように大きな木製の扉には、来る者を必ず拒まんとする意思を表す、巨大な閂がかかっていた。

支配人「これは、中庭への通路口でございます。中庭には離れの祠がございまして、
     そこに通じる唯一の道となっております。
     ロビーと中庭を隔てるこの扉は、聞くところによると14世紀に造られたとか」

森崎「って、うわっ!?」

その疑問に答えたのは、先ほど闇に消えた筈の支配人だった。彼はいつの間にか仕事を済ませて戻り、
一人思念に入る森崎に声を掛けたのだった。

支配人「今からイタリアJr.ユースメンバーとの顔合わせ会を行うようです。他の皆さんはもう行かれましたよ?」

森崎「……げ。マジか」

森崎が少しロビーを見回り思案に暮れているうちに、一同は薄情にも森崎より先に居なくなっていた。
森崎は支配人の案内を受けて、慌ててホテルのうす暗い廊下を走りだす。
……その刹那、少しだけ、見る。不気味なまでな堅牢さを演出する、あの巨大な閂を。

森崎「まるで、冥府の門みたいだぜ……」

あらゆる生者を寄せ付けぬ、その門が開かれる時。その時こそ、誰かが死ぬ。
森崎はそんな幻想的な錯覚を抱いていた。


482 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:40:13 ID:???
〜ホテル・プルガトリオ 会議室〜

森崎「キャプテンでゴールキーパーの森崎有三です。今回の合宿では、イタリアのカティナチオが本物なのか、
    それとも守る事しか能の無い馬鹿の勘違いなのかを見極められればと思っています」

見上「(こいつは……! まあ、イタリアサッカーを凌辱するだの言い出すような、最悪の想定は免れたか)」

見上が胃を抑えるのを尻目に、無難から最もかけ離れた自己紹介をやってのけた森崎は、
不敵にイタリアJr.ユースの面々を一瞥した。

ランピオン「……なんだ、こいつ」

ジェンティーレ「…………チッ」

ヘルナンデス「……へぇ」

森崎「(デキそうな奴らは多分……今、明らかにイラっとした態度を見せたこの3人だな。
     それにしても、さっきのストラットってのはいないのか。アイツも中々の腕前だと思ったんだが。
     ……もしかして、手に余る問題児でチームから孤立しているのか?
     とりあえず、この辺りは後で中里の巻物で能力値を確認しておくか)」

挑発の合間にも、森崎は戦力分析を怠らない。
……本気で、イタリアサッカーが攻撃の出来ない雑魚集団であると、森崎が思っている訳がなかった。
森崎は周囲には尊大な態度を見せつつも、内心では周囲の溢れる才能と実力に絶望し、
それでも諦めず努力を重ね、絶対の奇跡を手にし続けて来た、そんな人間なのだ。
故に彼はどこまでも傲慢で、どこまでも謙虚。
二つの矛盾する姿勢を両立こそが、森崎有三という人間の本質だった。

483 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:41:47 ID:???
ジェンティーレ「だったら、早速後で試してみようぜ。お前達の蹴鞠と、俺達のカルチョ。
          どっちが本物で、どっちが馬鹿の勘違いなのかをな?」

森崎「(このジェンティーレって奴は直情型で、大分プライドも高いみたいだな。
    ……こういうヤツ向けの挑発セリフ、また考えとこうっと)」

ランピオン「よせよジェンティーレ。……やるなら、お前達だけじゃない。全員でだ」

森崎「(ランピオンも優等生ぶってるが、本性の短気な性格が隠せてねぇ。
     こういう中途半端な奴が、後々大事な大試合で一発レッドでも食らって退場するんだよな)」

ヘルナンデス「面白いスピーチを有難う。後でまた聞かせてくれ。……できれば、こうした公的な場以外でな」

森崎「(で、こいつがキャプテンのジノ・ヘルナンデスか……。実力はジェンティーレに劣りそうだが、
     その分キャプテンシーとメンタルに優れているタイプだな。ちょっとだけ厄介そうだ)」

見上「(挨拶の時点で情報戦は始まっている、か。
    やりたい事は分かるが、どうしてお前はそう、我々を安心させてくれないんだ……)」

冷や汗を隠しきれない見上が見守る中、森崎は早速に新たな難敵への対処法を考察している。
しかし状況判断力としては見上の方が正確で、プライドを傷つけられたアズーリの戦士達は、
早速極東からの来客の実力を判断し、……そして必要無ければ嘲り笑い切り捨てようと考え始めていた。

ジェンティーレ「さあ、早速実戦練習とでも行こうじゃないか? ホテルの横には広い平地があるから、
          ここで試合をする事も出来なくはない。あれだけのビッグマウスに相応しい実力を見せてくれよ?」

早速ジェンティーレが、穏健派のヘルナンデスの指示も聞かずに森崎に喧嘩を買いに行った、その時だった。

――カッ! ドオオオオオオオオオオオオオオンッ!
 ……ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ…………!

辺りが光り、そして風が吹き始めた。

484 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:42:54 ID:???
支配人「失礼いたします。……どうやら、突然の吹雪に見舞われたようです。
     恐らくはこれより明日の朝まで、下界の街へ戻る事は出来なくなりそうです」

神出鬼没の支配人がノックして報告せずとも、辛うじてガラス張りだった窓を見れば、一目瞭然だった。
このホテルはロの字型に造られており、客室や会議室はロの字の内側に面している。
よって、森崎達は既に会議室の窓からロの字の内側――即ち、ホテルの中庭を見ていたのだが。

ビュオオオオオオオ……ッ! ゴオオオオオオ……ッ!

翼「……雪、だね。それも、猛烈な猛吹雪だ」

若林「確かここは、モンテ・ローザの標高3800メートル地点に立っているんだったか。
    富士山の頂上よりも高い場所にあれば、夏場でも吹雪があってもおかしくない……」

早田「って、いやいや! なんでやねん!? 俺達一応、サッカーの合宿に来てたんだろ!?
    一体どの世界に、こんな山奥の山荘でサッカー合宿をするバカが居るんだよ……!?」

松山「なんだと!? 早田お前、俺が2年の時に企画したふらの中サッカー部冬合宿をバカにする気か!?
    網走の強烈な地吹雪にも負けずに走り続けた、俺だけじゃない、小田や加藤も……皆の想いまで、
    お前は否定するって言うのかよ!?」

――謎な激昂をする松山を邪険に扱いながら、森崎もひょいと窓から中庭を見ると、
その一面はすでに銀色に覆われていた。これを見て、森崎はますます疑念を募らせる。

485 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:46:11 ID:???
森崎「おかしいぜ……」

次藤「まっこと、おかし過ぎるタイ。イタリア人は皆、松山みたいな奴らばっかりなのタイ?
    そんな訳あるまい。ワシらが巻き込まれた理由はさて置いて、ヤツらはなぜ不平も言わんタイ?」

そして、森崎の疑念に真っ先について来たのは、その体躯に見合わず理知的な次藤だった。

森崎「ああ。見上さんに聞いたが、イタリアJr.ユースの連中が来たのは今日の午前。
    ――つまり、俺達の到着とさして時間的な差はない。にも拘わらず、あいつらは不平も言わず、
    むしろ雪が降っても好都合と言わんばかりに無反応だ。
    さっきまで、俺達との練習試合まで申し出て来たような奴らが、だぜ?
    要するに、あいつ等は、自らこんなクソみたいな場所で合宿する事を望んでいるんだ。……どういう訳か、な」

次藤「他にもずっと不思議に思っちょる事がある。玄関口で遭ったストラットタイ。
    ワシは最初てっきり、ヤツは問題児で勝手に行動していると思っとったが、
    ……誰しもヤツについて、何も語りたがろうとせん。まるで、最初からここに居ないかのように……タイ」

お前はタイを語尾に付けないと死んでしまうのか、というツッコミは避けつつ、
森崎は再び思索に暮れていた。古めかしい雪の山荘。不自然なイタリアJr.ユース。
そして、玄関口で顔を合わせたきり、吹雪が吹いても戻らぬイタリア人の少年・ストラット。
謎を孕んだサッカー合宿は、やがて……『魔女』の手に完全に堕ちる。


愛憎の魔女ミアータ・ベアトリーチェ「ウフフ……みぃつけた、ストラット」


雪の降りしきるホテルの中庭。小学校の校庭程の広さを持つその中に、ポツリと佇む『離れの祠』。
その祠の小さな丸屋根の辺りで、金色の蝶が一匹、フワリと舞った。

486 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:48:01 ID:???
……と、言ったところで一旦ここまでです。
ゲームの開始時刻ですが、もう少し更新して、本日の午後22時00分頃を予定しています。
(可能であれば、前倒しで開催したいです。)

487 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:52:47 ID:???
すみません、ちょっと遅くなりそうですが、ゲームを初めていきます。
まずは前提となる幻想描写と、その前置きの展開を投下していきます。
(文章を読みたくない人は、幻想描写だけ見て頂ければ結構です)

488 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:54:26 ID:???
+++++++++++++++++++++++++++++++++++
【愛が無ければ死ねない】

ストラット「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!!」

ストラットはひたすらに逃げ出していた。
雪の積もった山奥を、遭難の危険すら厭わずに。

パァァァァッ……!

彼が逃げているのは、黄金の蝶の大群からだった。
それらの群体は一つの意思を持っているかのように彼を追いかけ続け、
そしてたった今、追い詰めようとしていた。

ストラット「くそっ。やはりホテルに戻るしか……」

一方で、これ以上の逃走には限界があった。逃げ場も無ければ体力もない。
想像以上の追尾性能を誇る蝶達を前に、彼は逃走場所を再検討する必要があった。

タタタタタッ……ガチャッ、バターンッ!

支配人「ど、どうされましたか!?」

ストラット「『閂の扉』を開けてくれ。そして――『離れの祠』の鍵をくれ!」

支配人「状況は察せませぬが、分かりました。今すぐお開けしましょう」

蝶を振り切り、滑り込むようにホテルのロビーへとたどり着いたストラット。
その只ならぬ様子に気圧された支配人は、彼の要求を呑んで、
急いでロビーの向こう側にある大きな閂の扉へと向かう。
支配人が呪文を唱えると、数百年は使われていないであろう閂はギイ、と重厚な大きな音を立て。
――そして、中庭に向かう扉は開け放たれる。

489 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:55:56 ID:???
支配人「さあ、急いでください!」

ストラット「ああ、感謝する!」

ダッ!

暫く前に、雪はもう止んでいた。ストラットは新雪の積もった中庭を一直線に走り、
中庭の中央に佇む『離れの祠』へと向かう。
黄金の蝶のうち、幾つかは閂の扉の抗魔力に阻まれているようだったが、
その一部は屋根を越えて空からストラットを追い続ける。

ストラット「……くそっ、間に合え。うおおおおおおおぉぉぉぉぉぁあぉぉぉぉぉっ!」

バァァァァァッ!

それから得意なオーバーヘッドキックの要領で、祠のドアに向かって飛び込んで。
蝶々がストラットに死の魔法をかけるよりも早く、ドアを開き、部屋に入り、
そして、……ドアを閉めて鍵を掛ける!

ガチャァァァァァァアッ!!

ストラット「はぁ、はぁ……よし。逃げられたァァァアアッ!」

――『離れの祠』は、中世時代の修道士の瞑想場所として用いられていたらしい。
狭い場所で精神を集中し、神への交信を深めるには、この場所は打ってつけだったとか。
だがしかし今となっては、使用する者も殆ど居らず、雪かき用の梯子やシャベル位しか置かれていない。
そしてストラットは視認する。密室には、誰もいないと。

490 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:57:27 ID:???
ストラット「……とにかく、これでもう安心な筈だ」

内側の施錠がしっかりとなされている事を確認しながら、改めてこの密室の強固さを振り返る。

自分の居る『離れの祠』に至るには、ロビーにある『閂の扉』を潜り抜け、
足跡の残る中庭を進み、祠そのものに施された施錠を破る必要がある。

しかし、『閂の扉』にかかっている閂は非常に強固であり、破壊する事は不可能。
奇跡的に扉を破壊出来たとしても、人間は足跡を残さずには中庭を通れぬし、
もし足跡が残れば、それは重大な証拠となる。
それらの困難を潜り抜けて、祠の前まで辿り着く事が出来ても……ダメなのだ。

ストラット「この祠の鍵は、今俺が持っている一つだけ。そして、事前に忍び込むにしても、
      この部屋には、隠れられるようなクローゼットやベッドの類は存在しない。
      そして何より、今、この部屋には『アイツ』はいない。……俺は、助かったんだ!」

本人による内側からの施錠。そして鍵はその内側にある。
事前に密室内の家具類に隠れている可能性もない。
シンプルながらも最強の密室構築を、ストラットは完成させる事ができた。
これならば、魔女の魔法が入り込める余地などどこにも―――



ミアータ「無いと思ったぁ? ウフフ……ストラットったらお馬鹿さん」

ストラット「!?!?!?!?!?!?!?!?」




491 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 21:58:46 ID:???
――いや、いた。魔女は既に忍び込んでいた。
金色の鱗粉に姿を変え、扉の隙間から、壁の外側から、地下から、天井から、平行空間から!
魔女の魔法に、ニンゲン風情が考えた密室如きが通用するはずもない。
緑色の体表で体よく草葉に擬態したと思い込んでいる芋虫を、人間が見つける事の如何に容易い事か。
ストラットの必死の努力は、魔女にとっては芋虫の体表程度の欺きにしかならないのだ。

ストラット「ま、待てミアータ! 俺が、俺が悪かった。許してくれ!」

ミアータ「うん、許してるわ。私、貴方の事だったら全てを許そうと思っているもの♪
      クビになっても、犯罪をしても、浮気をしても、私を裏切っても。
      どんな事をしたって許してあげるわ。だって、私は貴方を愛しているもの」

ストラット「じゃ、じゃあ……頼む。殺さないで……殺さないでくれ!」

同世代のエースストライカーとして、夥しい数のゴールを挙げた彼は今や、
魔女の前では哀れなる乞食も同然だった。しかし、彼に落ち度がある訳ではない。むしろその逆。
彼はあまりに、魔女に愛されていた。それが故に、彼は今こうして、全てを失いつつあるのだから。

ミアータ「あのね、ストラット。私は、貴方を殺す為にここまで来たわけじゃないの。
      私は――貴方を黄金郷に招待しに来たのよ?」

ストラット「またそれか! それは聞き飽きた! 何が黄金郷だ。君の言う黄金郷は、ただの無理心中じゃないか!」

ミアータ「……はぁ。本当に可愛そう。反魔法の毒に染まってしまって、黄金の真実が見えなくなっちゃったのね。
      でも大丈夫よ。私がそうだったみたいに、すぐに良くなるからね?」

シャキーンッ! カランッ、カランカランカランカランカランッ!

ミアータが――愛憎の魔女が指示を出すと、虚空から一本の杭が現れた。
邪悪なる海蛇を象ったそれは、カランカランと部屋中を音速で飛び跳ねまわり、
ストラットの命のカウントダウンを告げる。5、4321……………そして、ゼロ。

492 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:02:38 ID:???
ミアータ「人間の大罪を象りし、煉獄の七姉妹が一。嫉妬のレヴィアタン! あの人を黄金郷に招待しなさい!」

バッ! ズバァァァァァァァンッ!

ストラット「あ、が……。な、んで……み、あ……………」

バタリ。

――彼女が黒き魔女から譲り受けた高級の家具は、あまりにも慈悲深く、男の心臓を貫いた。
そして、倒れ伏せたストラットの亡骸の至る箇所に口づけをしながら、
……魔女ミアータは、悲し気にこう呟いた。

ミアータ「ごめんね、ストラット。誰よりも愛してるわ。……こんなの、他の男にはしないのよ?
      貴方の事が好きで好きで。愛して堪らないからなのよ? 愛が無ければ、殺す事なんてできないんだから」

ある魔女は言った。愛が無ければ、視えないものも存在すると。
ならば、その愛が有り余る場合、一体その風景はどうなるのだろうか?
愛が無ければ、少女は魔女にならなかった。少年は命を落とさなかった。

……愛が無ければ、視えない。

愛憎の魔女の双眸には、凡百のニンゲンは勿論のこと。
千年以上を生きた大魔女にすらも、視えない風景が広がっているのかもしれない。
彼女を観測する者達は、その風景が、せめて美しいものである事を祈るしかなかった。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++

493 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:04:18 ID:???
************************************
〜上位世界・魔女のサロン〜

ベアト「な、なんだこれは……! 妾以外の魔女が、ニンゲンの少女に力を分け与えたと言うのか!?」

ワルギリア「どうやら、そのようです。……航海者権限を与えられたのは、私達だけじゃなかったようですね」

ミアータによる魔法殺人の様子は、森崎達がサッカー合宿を過ごす世界よりも上位に位置する視点にて、
ベアトリーチェとワルギリアによって観測されていた。
碑文を媒体にこの世界へと渡り歩いてきたベアトリーチェとワルギリアだったが、
今回の事件は彼女達にとって想定だったようである。

ベアト「あれだけの力を容易く分け与えられる存在かつ、妾専属の家具であった煉獄の七姉妹を
    貸し与えられる者と言えば、おおよそ検討は付くが……今は、犯人探しをしている場合ではない」

ワルギリア「その通りです。彼女を放置しておけば、今殺されたストラットくんだけじゃない。
        イタリアJr.ユースのメンバー全体……引いては、この世界のサッカー情勢に致命的な影響が生じます。
        そうなると、この世界はロジックエラーを起こし破綻してしまうかもしれない」

ベアトとワルギリアが観測し、今森崎が居る世界は、基本的には『キャプテン森崎』という、
ニネー卿のゲーム盤を下敷きにしたものである。寛大なる彼女の方針もあり、このゲーム盤は
大体の改変や変更は許可されているのだが……その前提となる世界観に破綻が生じた場合、
その波紋はどこまで広がるかは底知れない。別のカケラ世界、別のゲーム盤からやって来たベアト達にとって、
世界の破綻は望む事ではなかった。

ベアト「……魔女の魔法には、ニンゲンのトリックでしか対抗できぬ。
    今の妾とお師匠様で魔法対決に持ち込んでも、口惜しいが返り討ちに遭うのがオチか。
    ……となると、やはりアイツに。森崎に動いて貰うしかないかァ」

ワルギリア「それが賢明でしょうね。後は、森崎くんが私達の意思に気付くかどうかですが……」

???「それについては心配ないわ」

494 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:09:12 ID:???

パァァァァッ……。

不意に、靄が生じて人の形をとった魔女が現れる。
ベアトとワルギリアが腰かける椅子の間に立った彼女は、はあ、と溜息を吐きながらもそう応じた。

ベアト「に、ニネー卿ではないかァ! どうもどうも、今日はこのような僻地まで遠路遥々と……」

ニネー「なーにが僻地よ。人の領域で好き勝手に暴れちゃってさ。確かに私、逆転若林とか、
     ときめきメモリサキとかはやったけど、屁理屈推理合戦を持ち込まれるとは思わなかったわ。
     ……ま、面白いから良いのだけれど」

彼女こそが、話題にも出ていた運命の魔女にしてこの領域の主・大ニネー卿。
あらゆる無限の可能性から絶対の1を抽出し、選び取る魔法に長けた彼女は、
自在に変動する1を無限に並べる魔女のベアト達にも決して引けを取らぬ――いやむしろ、
彼女達を圧倒する佇まいと風格を持って、この場に君臨していた。

ニネー「……で、今回の事件なんだけど、これは一応私の想定の範囲内です。
     ストラット君にはナイスなボートが似合うしね。だから、私の方で、もう既に策は打ってあるわ。
     いや。策を打たずとも問題無かった、と言うのが正しいかしら」

ワルギリア「ニネー卿。貴方はこの事態を予期していた……と。
       私達以外にも、新たな魔女が乱入し、世界を侵食しようと企むであろうと。
       そう、仰られるのですね」

ニネー「……ええ。貴女達を前にしては、本音はまだ話せないけれど。大筋はそうね」

おぞましいまでに長く美しい金髪をはためかせ、運命の魔女はそう答える。
決して雄弁ではなく多くを語ろうとはしない彼女であるが、
その言葉の全てには他の者には無い重みがあった。


495 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:21:11 ID:???

ニネー「下。見てみなさい。……さっそくはっちゃけてるからさ。色々と」

ベアト「……む。こ、これは……!?」

故に、ベアトはニネーの指示通りに再び下位世界――森崎達が生活し、今殺人が起きた世界を覗き込む。
すると、そこには――想定外に手早く、事が進んでいるようだった。


************************************


ミアータ「な、何なのよぉアンタは……私とストラットの愛をジャマしないで!」

森崎「……何なの、って言いたいのはこっちだぜ!
    クソみたいな合宿場に連れていって、結局やらせるのは殺人事件の屁理屈ゲームかよ!
    あんのクソ魔女のせいかは知らんが、後で絶対泣かせてやる!」

――森崎は既に、愛憎の魔女ミアータの存在を認知し、そして早々に勝負を始めようとしていた。
魔女とのゲームもこれで4度目ともなると、森崎も既に手馴れているようだった。

*********

ニネー「(領域の住民たちに、ウイッチハンターの権限を与えておいて正解だったわ。
      お蔭で視点である森崎君の志向が強まっている。これなら、少なくとも勝負はすぐに始まりそうね)」


*********

もっとも、それにはニネーの後方での力添えがあってこそ、ではあったが。
ただし少なくとも、彼女の先見の明は、事件の複雑化を防ぐという効果はあった。
早速、森崎とミアータとの間にチェス盤――今回のゲーム盤の情景が再構築されていく。

496 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:25:29 ID:???

森崎「いいか。ホテルの構図は、こうだ」

森崎はまず、支配人からもらったホテルの平面図を見せながら、状況確認を進めていく。

〜ホテル・プルガトリオ 平面図〜


  □□□□□□□□□□□□□□□
  □                    □
  □                    □
 会□      □□□□□       □
 議□      □     □       □
 室□      □ 離れ □      □  
 ・□      □□■□□       □
 客□          ・          □
 室□          ・          □
 等□          ・          □
  □       (閂の扉)        □
  □□□□□□□■□□□□□□□□              
          (ロビー)
        
□=壁
■=扉・ドア
・=ストラットの足跡(ロビー→離れ行きの片道のみ)

※壁と壁・扉との間には隙間は無いものとする。
※その他、魔女側の補足をここに記すものとする。

497 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:35:18 ID:???
森崎「問題の焦点は3つ――■で記された扉・ドアの密室と、・で記された足跡のトリックの関係だ。
     ひとつ、ロビーと中庭を繋ぐ、『閂の扉』。ここにはストラットが入るまでずっと、閂が掛かっていた筈だ。
          そして、ストラットの入室後、閂は降ろされた。にも関わらず、犯人は如何にしてこの扉を抜けたのか?

     ひとつ、中庭にある足跡。中庭にはストラットの足跡、それもロビーから中庭に向かう足跡しかない。
          もしもミアータなり外部犯が殺したのなら、そいつの足跡が無くてはおかしい筈だ。
          ではなぜ、中庭にはストラットの足跡しか無いのか?

     ひとつ、死体発見現場である『離れの祠』の施錠。これはストラットが内側から施錠し、
          警察が死体を発見するまで、一度も開かれていない。また、内部に潜んでいた可能性を示すにも、
          部屋の内部には、隠れられるような家具類・秘密の部屋類は存在しない。
          ではどうやって、犯人は密室に入り、ストラットを殺したのか?
          またどうやって、犯人はストラットを殺した後、姿を消したのか?

     ……まずは、俺が定義した今回の問題の焦点に間違いが無いならば、関連する赤き真実を貰おうか」

ミアータ「ええ、分かったわ。……分かったけれど、ちょっと提案があるのよ。
      私は今からその3つの問題全てに関連する赤を出す事が出来る。でも、そうすると赤の量が膨大になり、
      推理に不要な手間がかかる。……これじゃあ、どっちも楽しくないわ。
      そこで提案なんだけど――」

そう言いながらも、ミアータは前提となる赤き真実を組み上げていく。
しかしそれは……完璧では無い。彼女が出した赤き真実は、ごく一部のみだった。

498 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:44:03 ID:???
ミアータ「【ロビーから『離れの祠』に通じる扉には、閂がかかっている】!
      【ストラットが中庭に入った瞬間のみ、閂はかかっていなかった】!
      【ストラットと同時に中庭に入った人物Xは存在しない】!
      【『閂の扉』を通らずして、中庭に行ける手段Xは存在しない】!」

バシュッ、バシュッ、バシュンッ!

ミアータが出して来たのは、たった四つの赤き真実。
……すべてが、第一の論点。『閂の扉』に関する謎についてのみだった。

森崎「……ご丁寧に、どうも。魔女が密室を破った順番通りに、俺も順番に密室を破っていけってか」

ミアータ「そうよぉ? そうした方が楽しいし、楽だし、どっちにとっても得でしょお?
      あ、ちなみに今回の謎。私は勿論、『愛の魔法で扉をすり抜けた』!と主張するけれど。
      もしもニンゲンとトリックで説明できるってんなら、やってみればぁ? くすくすくす……!」

森崎「言われなくとも、そうしてやるさ。……さあ来い愛憎の魔女! テメエが作ったカティナチオ、
    この俺がオーバーラップからのリバーシブルボレーで、メチャクチャに凌辱してやるぜ!!」 

499 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:46:27 ID:???
Episode 4   Catenaccio of the golden witch 〜黄金の魔女の閂〜 第一の晩 開始

−魔女の出題(幻想描写は>>488-492)−
【ストラットは離れの祠で、ミアータにより殺害された】。
しかし、
 @【ロビーから離れの祠に通じる扉には、閂がかかっている】
 A【ロビーと離れの祠を繋ぐ中庭には、ストラットの足跡しか存在しない】
 B【離れの祠の扉は、内側から施錠されていた】
すなわち、ストラットの死体は、@閂、A足跡、B内側からの施錠という、巨大な三重密室の中にあった。

魔女側はこれを、『愛憎の魔女ミアータが魔法で扉をすり抜け、魔法で空を飛んで中庭を超え、
魔法で壁をすり抜け祠へと入り、魔法の家具の力でストラットを殺害した』と、主張する。

人間側は、「魔女の魔法」以外の方法により、今回の状況を再現できる仮説を提示し
(仮説は、【赤き真実】に抵触しないこと)、以て魔女の主張を否定する必要がある。
なお、【今回限りの特別ルールとして、人間側は@の魔法から順番に謎を解く必要がある】。

−ルールまとめ−
・人間側(=参加者)は、魔女(=GM)に対し、「復唱要求(=事実の確認)」および、
 『青き真実(=魔法を否定するための仮説)』を放つ事ができます。
 
 (復唱要求ならば、要求したい内容を「」に入れて書き込みを。
  青き真実ならば、事件の一連を示した内容を『』に入れて書き込みをしてください。)

・魔女は、参加者の「復唱要求」に対し、【赤き真実(=絶対的な事実)】にて復唱することができます。
 ただし、魔女は「復唱要求」に応ずる義務はなく、応じない理由を示す義務もありません。

・魔女は、参加者の『青き真実』に対し、【赤き真実】にて否定する義務があります。
 否定の方法は魔女の裁量に委ねられますが、ここで『青き真実』を否定できない場合は、魔女の敗北となります。

・人間側は、魔女の【赤き真実】に対し、打ち出せる『青き真実』が出なくなった場合、
 リザイン(=投了)を表明することにより、敗北となります。

500 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 22:53:50 ID:nPx5i6AA
ミアータ「さあ、ゲームの始まりよッ! ……だけどその前に、もう少しだけ赤で補足をしておこうかしら。
      【ストラットは離れの祠で、ミアータにより殺害された】……今回はフーダニットは不要よ。ハウダニットを考えて頂戴。
      【当スレ>>496にある平面図が正しい事を保証する】……ガタガタに見えるのは、>>1の不手際という事で許してね。
      本当のホテルは、ロの字型で正方形の本館があって、その中に狭い離れがあって、間は雪の積もった中庭。
      ……ってイメージよ」

森崎「問題の区分けにせよ、平面図にせよ。嫌に親切な魔女サマだな。
    だがしかしその余裕、刈らせて貰うぜっ、さあ行くぞ!」

☆ミアータに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆
 ※現在は、@閂の扉の謎についての出題をしております。
   A足跡、B内側からの施錠に関する復唱要求・青き真実は保留にされる可能性があるので、
   ご了承をお願いいたします。(ゲーム全体に関わる内容であれば、GM判断で復唱等を行います)

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