キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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屁理屈推理合戦withキャプ森

1 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:30:43 ID:???






――この物語はどうせ幻想に決まってます。
      キャプ森本編・外伝及び「うみねこのなく頃に」本編と関係有る筈もありません――。











※このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、「うみねこのなく頃に」とのクロスオーバー作品です。
※内容は、「うみねこのなく頃に」本編中の赤字&青字による屁理屈合戦(推理)ゲームを、独自の謎を使って行うものです。
 「うみねこ」本編ストーリーの直接的なネタバレはありませんが、「うみねこ」本編の登場人物がスレに登場します。
※最初のエピソードだけ>>1が書きたいですが、それ以降は他の方も書けるようにしたいとか考えています。

☆出典☆
【うみねこのなく頃に】屁理屈推理合戦スレ@wiki
http://www19.atwiki.jp/herikutu/

199 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 00:21:15 ID:???
乙でしたー
二回目ということもあり、参加者としては前回よりもある程度は慣れてきた感じがして非常に楽しめました。
次回もあるなら期待してます。

……それと反町がフィクションでよくいるサイコパスみたいに哺乳類には手を出してなくて良かった。
元・相方の某エースは激怒するだろうけどwww

200 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 05:12:42 ID:???
人間ごときにヒントをくれるとは、なんと慈悲深き御方よ
我らが偉大なる毒々しいソリマチ卿を崇めるのだ乙

201 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 07:08:50 ID:???
乙でした!
ソリマチ卿渾身のサバト楽しかったですよ
……ソリマチ卿信徒になろうかな

202 :森崎名無しさん:2017/01/10(火) 07:56:11 ID:???
いやあてっきりシュートによる殺害だと信じて疑わなかったぜ(超次元脳)
皆さんお疲れ様でした

203 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:51:06 ID:LKwyGoHo
こんばんは、今日はボチボチゲーム後の描写をしたいと思います。
>>198
乙ありがとうございます。楽しんで頂けて安心しております。
『人形は謎の生きてる(?)人形Rゼンメイデンだった可能性は否定できない。だから人形は殺害された!』
とかいう屁理屈もアリだと思いますw
>>199
乙ありがとうございます。魔女側としても鋭い復唱要求をどうかわすか悩んだり、
面白い青が色々出てきて笑ったりして、前回以上に楽しめました。
現在第三のゲーム盤までは考えていますが、
皆さんのレベルが上がって一撃リザインしそうなのもあり、ちょっと怖いですw(屁理屈推理合戦では良くある事ですが)
すみません、謎の蛍妖怪Rさんへの配慮を忘れていました(爆)
>>200
乙ありがとうございます。ある程度は手掛かりを出さないと、
言い当て合戦になってしまう…というGMとしての配慮もありますね。
「ソリマチ卿って案外(ry」にならず崇拝されててよかったですw
>>201
乙ありがとうございます。サバト(アリ殺し)なのが哀愁を誘いますね…。
ソリマチ卿は序盤のザコ的な設定でしたが、意外な人気が出て良かったです。
第三のゲーム盤もキャプ森キャラを魔女化させる予定ですが、人気ではソリマチ卿には勝てないかも…(汗)
>>202
お疲れ様でした。実は>>181のシュート殺人説は結構切り辛かったですw
実際それで、日向達は反町の私室で殺害された事が確定したりするなど、
人間側にとって有利な赤が出たりしますし、私も面白いので、超次元な説を期待してますw

204 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:52:10 ID:LKwyGoHo
**************************************
【S少年の秘めやかなる安息】

反町「畜生……日向の奴め。あいつのせいで俺のサッカー人生お先真っ暗だ……!」

全国中学サッカー大会決勝戦、その前夜。
反町一樹は誰もいない自分の部屋で、言いたかったが言えなかった事を壁にぶちまけていた。

反町「日向だけじゃない! 日向のお引きの若島津に、そいつらを煽って殺人サッカーを促す吉良監督!
    タケシはまだ良いとしても、あの3人が居るせいで……!」

その理由は勿論、日向、若島津、吉良という、これまでの反町の人生を全否定するような、
現在の東邦学園サッカー部を牛耳る連中のせいである。

反町「尊敬していた北詰監督は、胃潰瘍が悪化し危篤。
    仲の良かった友達からは、日向との癒着をでっち上げられ苛められる。
    これも全部、全部、あいつらのせいなんだ……!!」

これまで優等生として、概ね順風満帆なサッカー人生を歩んで来たが故に、
反町は日向達アウトローの存在を認められない、認めたくないという幼い気持ちもあった。
しかしそれ以上に、日向達はまだ中学3年生の少年の心を黒く蝕みすぎた。

反町「そうだ。アイツらだ。アイツラを殺せば。コロセサエスレバ……!」

――反町はいつしか、日向達の死を強く望むようになっていた。
事故に遭ってくれないか、突然病気になってくれないか、こうなったらいっそ自分がナイフで……!
いや、ナイフは足がつく。ならば、何処にいても殺せるような魔法を使って……!!

205 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:53:17 ID:LKwyGoHo


反町「――はぁ。一体俺は何を考えているんだ……!」

しかし同時に、反町は聡明な少年であった。黒い妄想を抱きこそすれど、決して実行には移さない。
それどころか、こうした妄想が何も生まないという事すらも知っていた。

反町「喉が渇いた。自動販売機で、ドリンクバーでも買って来ようかな……。
    って、何言ってるんだ俺。自販機でドリンクバーなんて買える訳ないだろ。
    はぁ……疲れてるのかな、俺。独り言ばかりは増えるし……」

……しかし、大舞台である全国大会の決勝を前にして、少しばかりの気分転換は役に立ちそうになかった。
溜息をつくと、ふと自分の旅行用カバンが目に着く。
すると、反町は最近覚えてしまった、自分の後ろめたい欲求を叶えたくて堪らなくなった。
幸い、ここは一人部屋だ。自分がここで何をしていようとも、決して恥じる必要は無い――。

反町「自分でも気持ち悪い趣味だ、ってのは分かってるけど。やめられないんだよなぁ……」

そう呟きながら大き目の旅行鞄を漁る反町。その目的は如何わしい雑誌……ではなく。
近頃疲れた大人向けへの癒しとして百貨店に販売されるようになった、アリの巣観察キットだった。
反町は最近、小さめの観察キットを買い。日常でも良く持ち歩くようになっていた。

反町「最初はアリでも観察してれば気が楽になるかな、って思っただけだけど……」

しかし、今の反町の目的はアリの観察では無い。アリが目当てである事は間違いなかったが、
その利用方法が一般的な用途とは少しばかり違っていた。

206 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:54:44 ID:LKwyGoHo
反町「よし。今日はこいつと……こいつと……こいつだ」

アリの巣をほじくって、適当な働きアリを3匹ほど見繕うと、
机の上にティッシュを敷いて、アリを乗せる。こうするとアリの身体が良く見えるのだ。
しっかりと3匹ともに区別できるよう、細心の注意を払った上で、こう呼びかける。

反町「よし。お前の名前は、『日向小次郎』。真ん中のお前は『若島津健』。
    それでフラフラしてるお前は、『吉良耕三』だ。良いな、分かったな」

アリ達「「「…………」」」

――勿論、アリ達がそう呼びかけて何かをする訳でも無い。
しかし、この命名が反町にとって大事なおまじない――一種の『魔法』だった。
周囲から見てはアリと話すだけの行為だが、この魔法により反町の脳内ではこいつらが確かに、
『日向小次郎』、『若島津健』、『吉良耕三』となるのだ。反町は物言わぬアリ達に続ける。

反町「くそっ……! いつもいつも俺の事をコケにしやがって!!
    日向ァ、お前はいつも俺にコーラを実費で買わせる上に、こないだも炭酸の吹いたコーラを飲ませようとしやがった!
    若島津ゥ、お前は疲れている俺の背中を蹴り飛ばして、皆の見てる前で転ばせたよな。……畜生、舐めやがって!
    吉良監督、いや吉良ァッ! 何が『心臓をぶち破るつもりでタックルしろ』だ! そんなの、反則指南なだけだろ!!」

アリ達「「「…………」」」

反町はこうしてアリ達を日向達に見立てて日頃の不満をぶつける事により、ストレスを発散させていた。
傍から見ては恐ろしいまでに寂しい行為だが、これが無ければ反町は今頃精神を病み(もう病んでるとか言わない)、
サッカーどころでは無かっただろう。アリ達は今や、反町の生命線と言っても良かった。
しかし、その時だった。

207 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 22:56:45 ID:???
アリ達「「「…………」」」

アリ達がティッシュの檻を抜け出し自分の腕を駆け上がろうとしている。
彼らを日向と見立てている反町にとって、これは反抗されたように思えて腹が立った。

反町「くそっ! アリまで俺の事を馬鹿にするのかっ! ……死ねぇえっ!」

ブンッ! ……ブチンッ!

アリ達「「………」」

――反町はアリの内一匹を握りこぶしで潰す。これは日向と名付けたアリだったか。
そして間髪入れずに、

アリ達「「………」」

反町「今ので一匹地面に落ちたか。なら俺のシュートを食らえっ!」

ガシッ、……グシャァァァッ!

床に落ちたアリ(これには若島津と名付けていた)を足で踏みつぶす。
普段は滅多にゴールを奪えない若島津にこうも容易く勝ってみせる自分は、
まるで絶不調でも11人を抜いてゴールを決める、シュートの魔王のようだと陶酔した。

反町「ようし、最後は吉良、お前だなァ。……それ、死ねッ! 死んでしまぇええぇぇぇえぇぇッ!」

アリ「……」

ブンッ、グシャアアアアアアアアアッ!!

最後に、そのまま上機嫌で残された吉良アリを指で潰す。
まるで神話の神々が持つ槍に刺されたかのように、その一撃は絶大だった。……アリにとっては。

208 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 23:03:09 ID:???
反町「……はぁ。虚しい」

……そして、吉良耕三を潰してから僅か数秒で陶酔感は消え、死にたくなるほどの絶望感が襲ってくる。
当たり前だ。こんな事をしたところで何も変わらない。
日向は先程ヘリで東京のヒューガー本社に向かい、今は恐らく会議中だろうし、
若島津は人間離れした機動力で、どこかの山奥で熊でも相手に修行中だろう。
吉良は……あの飲んだくれだ。どうせ大会会場の辺りの安居酒屋で引っかけているに違いない。
反町が『魔法』で何億匹のアリを日向達と見立てて殺そうとも、現実の彼らには一切影響しないのだ。

――それでも。それでも、反町は止められないのだ。いくら周囲から見て惨めであっても、
いくら自身の行為が無益であると自覚し理解していても。
それでも、このアリ虐めだけが、今の反町の疲弊した精神を救う唯一の手段だったからだ。

反町「………………寝よう」

ストレスのせいか、最近はあまり眠れない。しかし、昔は眠る事は好きだった。眠ると夢を見れるから。
夢の中では、自分は強豪アルゼンチン相手に10−0で勝ってみせるシュートの魔王だったり。
可愛らしい容姿の神様に言い寄られるハーレムの中心だったり。自分でもびっくりするような凄い存在になれる。
……たまにヒューガーの手によって毒の怪人に改造させられる悪夢も見るけど。

反町「……ふふ……。無限と毒の魔術師、ソリマチ・ベアトリウス・ユグドラシル卿……か。
    なんだか、悪の天才魔術師みたいで、カッコいいな……」

しかし、今日彼が見れた夢はどうやら幸せな夢のようだった。
――夢の中で反町は、いやソリマチ卿は輝き続ける。いつかは現実でも……とは、少し欲張り過ぎだろうか。
とりあえず今は、目覚めの朝まで良い夢見て、ゆっくり休めよ。反町……。
**************************************

209 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/10(火) 23:07:48 ID:???
『反町一樹が自室で殺害した日向小次郎、若島津健、吉良耕三とは彼がそう名付けたペットのアリの事を指す。
 反町は人間の日向、若島津、吉良には一切関与していない為、彼らの生存は当然の事である』
……と、言ったところで一旦ここまでです。

210 :森崎名無しさん:2017/01/11(水) 12:25:16 ID:???
ソリマチ卿は最初のインパクトが凄まじかったからね
そりゃ信徒が出現しますわ

では、我らが偉大なる毒々しいソリマチ卿を崇めるのだ乙

211 :森崎名無しさん:2017/01/11(水) 13:16:30 ID:???
我らが偉大なる毒々しいソリマチ卿よ永遠なれ乙
次も期待してます

212 :森崎名無しさん:2017/01/11(水) 20:48:11 ID:???
勝負には勝ったけど
信徒を獲得したソリマチ卿にある意味負けたか

213 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 00:56:07 ID:qD5desek
>>210
ソリマチ乙ありがとうございます。これだけ崇められたらもはや魔法ですね…
普段の言いたい事を言えない感とのギャップが良いのでしょうかw
>>211
ソリマチ乙ありがとうございます。
次回は少し難解な謎&ミステリー寄りなトリックに挑戦したいと思っています。
ただ、ちょっと難解なのでもう少し時間がかかりそうです(汗)
他にも、『ベアトリーチェの密室定義』について解説したいと思っているので、
気長に待って頂ければ幸いです。
>>212
アルゼンチン・ラプュタ文明の末裔パルスダ・アア・メガ・ラプュタ王子とかネタ自体は色々ありますが、
彼らがソリマチ卿を超えられるかは微妙ですね…

214 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:02:59 ID:???
ベアトリーチェ「……勝ったな」

森崎「ああ。何とかな」

既に周囲の魔力は消え去り。反町が宿舎に空けた大穴も、何もかもが元通りになっていた。
戦いの内に夜は明けて、白みがかった空が森崎と魔女を優しく照らす。
第二の魔女のゲームにおいても、森崎は勝利した。

森崎「魔法の散り際に、幸薄そうな奴がアリを踏みつけて楽しんでる姿が見えたけど……。
    ――あれが、この事件の『真相』って奴だったのか?」

ベアトリーチェ「うむ。魔法が存在しうる猫箱の中身は、今や人間の手によって暴かれた。
          そなたが見たという光景こそが、魔法幻想の向こう側にある、一なる真実よ」

魔女ベアトリーチェは未だ不定形の蝶の姿を取ったまま、寂し気に呟く。
世界の崩壊を食い止める立場上、今回は人間側に味方した彼女だったが、
哀れで惨めなソリマチ卿の――いや、反町一樹の『真実』を目にする事は、
真実を幻想で包み隠す事を至上の喜びとする魔女にとっては、辛かったのかもしれない。
その真実の痛みを感じ、ベアトリーチェは……ベアトは思い出す。自分が何故、魔法を使おうと思ったのか。

ベアトリーチェ「……あのさァ、森崎」

森崎「何だよ。気持ち悪い声出して……。そんなに説教が嫌か?」

戦いが終わる前、森崎はベアトに対して説教をしてやりたいと思っていた。
人間の生死をゲームとして嘲笑う事が、いかな冒涜であるかを伝えたかった。
しかし……ベアトに対してそう言いながらも、今の森崎は彼女を糾弾する気が失せていた。
故に、暫し沈黙が続く。その中で、不意にベアトが口火を切った。

ベアトリーチェ「すまぬ。……最初のゲーム。妾は、やり過ぎた」

215 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:07:48 ID:???

人間の少女としての姿が保てぬゆえ、ベアトがどのような表情をしているのかは、森崎には読み取れない。
しかし、少なくとも彼女は純粋な想いからそう言っているのだと。そう感じる事は出来た。

ベアトリーチェ「妾はただ、自分の存在を認めて貰いたかった。
          何故なら、そうでなくては、妾はこの世界に存在し続けられないから。
          ――先のソリマチ卿のゲーム盤とその真相を見て分かったろう?
          憎む人物を無限に殺せる毒の魔術師ソリマチ卿は、
          彼の事を理解せぬ第三者に見られれば、あっという間に消え失せる。
          何故なら、第三者にとっては、ソリマチ卿の魔法は魔法でなく。単なるアリ虐めに過ぎぬからだ。
          ……しかし。そのアリ虐めで、反町一樹は精神を保ち、生きようとする気力を持ち続けた。
          妾は、こうした生きる為の魔法すらも、無意味な殺戮で穢そうとしていたようだ」

森崎「……それは、何となく分かったよ。お前も、ソリマチ卿も。
    自分の魔法を認めて欲しい。自分の存在を認めて欲しい。それで必死なんだって事は」

森崎とて、魔女の言い分に納得できずとも、理屈としては既に理解していた。
魔女のゲーム――これは魔女にとっては自身の存在承認の為に必要な儀式であるが、
一方で、真実を暴き出す人間による魔女の処刑にもなり得るのだ。
そうした意味では、魔女もまた、生命を投げ出しゲームに挑戦していると言え。
仮にその際に人間の生命を奪ったとしても、その条件は対等とも考えられる。

森崎「……でも、俺は人間だ。魔女側の理屈は分かっても納得できねえ。
    毎日を頑張ってる人間を、自分の存在の為とは言え殺すって事は……本当に重い事なんだ。
    だから――一つだけ言っておく。仮にお前が今後俺にゲームを挑んで来るとしても。
    もう二度と、残酷な殺し方はするな。……人間を、軽んじるな」

しかし、対等であるからこそ、魔女は人間の尊厳を重んじるべきだ。そう森崎は主張する。
ベアトもまた、先のゲーム盤を通してそうした森崎の主張を理解していた。
魔女の魔法が奇跡であるとするならば。如何に魔法を否定されても、惨めな真相を暴かれても、
それでも尚頑張って日々を生きる反町一樹もまた奇跡。彼の生き様もまた、本来ベアトにとって尊い筈なのだ。

216 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:09:36 ID:???
ベアトリーチェ「……うむ。約束する。【今後一切のゲームで、妾は人間の尊厳を尊重する】であろう。
          勿論、妾は魔女幻想を世に運ぶ側。そしてゲームがその手段である以上、
          今後一切魔法殺人をやらぬ、とは断言しない。だが、その方法については、
          そなた達人間側の意見を聞き入れ、尊重させて貰おう」

森崎「そうかよ。勝手にしやがれ。……ま、正直お前がどんな殺し方をしようとも。
    この俺が絶対に勝ってみせるから、どれも同じだけどな」

ベアトリーチェ「くっくっく……! こうした時すら挑発を止めぬか。本当に面白いヤツよのう……」

魔女ベアトリーチェの絶対の宣言を、森崎はつっけんどんに返しながらも、内心では信じていた。
彼女は確かに残酷で、傲慢で、性格がねじ曲がっているかもしれない。
しかし一方で、ベアトはどこまでも純粋であり、こと勝負に対しては真剣だった。
――双方も頑として認めないだろうが。この二人はやはり、ある意味では似た者同士だった。

パァァァァァァッ……!

森崎とベアトの間に生まれた、未だ奇妙な信頼感。
それに呼応するかのように、周囲には金色の光が満ち溢れ、魔女の姿を包んでいく。

森崎「これは……」

ベアト「――魔法の力の源泉は、互いを信じあう力。妾がそなた達人間を信じる事と決め。
     そなたが妾を信じてくれたから、妾もまた、再びこうして魔力を得る事が出来たのだ」

金色の蝶は一匹、また一匹とその姿を増やしていき。
――やがて蝶の群体は集まって、人間の少女の姿を映し出した。
金色の髪に黒いドレス。青く澄んだ瞳に高貴な笑み。そして黄金の煙管を持った、
黄金の魔女ベアトリーチェは今、互いを信じあうという『魔法』によって、ここに復活を遂げた。


217 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:11:30 ID:???

ベアトリーチェ「……あり、がとう」

彼女は静かな表情のまま、小さく何かを呟いた。
しかし、森崎の耳には聞こえなかったため、何を言ったかを訊き返そうとすると――。



ベアトリーチェ「………………作戦、大・成・功☆」

森崎「……は?」

ニヤリ。そう持ち前の下品で嫌味な笑顔を作って、今度はハッキリ聞こえるように森崎にそう言った。
そしてそこからは、再び魔女のターンだった。

ベアトリーチェ「くーひゃひゃひゃひゃひゃあひゃひゃひゃあひぃ!!
          モロサキったらマジな顔してなーに照れてんだよォ!!
          これまでのしおらしい下りなんて、ぜ〜んぶ妾の演技に決まってるじゃんかァ!!
          魔女はァ、謝罪なんて、しませェん☆ ってか! きひゃひゃひゃひゃ!!」

森崎「て、てめぇ……! まさかさっきまでのも、テメエが魔力を取り戻す為の……!」

ベアトリーチェ「魔女は人間に認められて存在し得る、って言ったじゃん?
          だけど、認められるにはゲームで勝てば良いって訳じゃないんだよなァ!
          良い子ちゃんな魔女を演じて、バカなモロサキに信頼され、存在を認められる!
          ……ってな、陳腐なお涙頂戴の茶番をやっただけでも、魔力を得る事はできるって訳よォ!
          くっひゃひゃひゃひゃヒャァ!」

これまでの反省は全て、自分が森崎に信用される事により、魔女として認めて貰う為の作戦だったと、
ベアトリーチェは下品な笑いと共に明かす。

218 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:14:15 ID:???
森崎「…………」

ぶち、ぶち……ぶちんっ。

森崎の中で何かが切れた。それは、この永遠に口の減らない魔女に対しての、純粋な怒りだった。

森崎「テメエ……やっぱり殺す! 次にゲームを持って来た時は……見てろよ?
    それがテメエの命日だからぁおらぁぁぁっ!!」

ベアトリーチェ「くっくくく……! 腹が立てばすぐに暴力に出る。ニンゲンの悲しい性よのお。
          よいぞ。妾はまたすぐにでも、新たなゲーム盤を用意しようではないか。
          そして森崎、貴様は妾の全裸人間椅子になって、しかる後は山羊の餌になって貰うぞ!
          あっははははははははは! くーっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」



こうして、人間と魔女との戦いはまだ当分続く事となったのだが。
不思議な事に、ベアトリーチェの魔力は、当初と比べて随分安定していた。
……その理由は、本人は演技と否定すれどもやはり。
彼女と森崎との間に僅かに芽生えた、互いをライバルとして認め合う為の親近感や信頼感。
その表れであるのかもしれなかった。

219 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:16:09 ID:???



    屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
         Episode 2  Resurrection of the golden witch  〜黄金の魔女の復活〜


                         完

220 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/12(木) 01:21:42 ID:???
第二話完、と言ったところで今日はここまでです。
第三のゲーム盤はしっかり準備を整えた後にしたいと思うので、気長にお待ちください。
それまでの間は、TIPSその2を書かせて頂きたいと思います。

(もし魔女側でゲームをやりたい方が居られましたら、是非使ってください。
 ひっさつわざスレにて、屁理屈推理合戦的なシステムについて提案されてる方がいましたので、
 GM需要は私以外にもあるのでは無いか…と思っています)

221 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:34:33 ID:???
【TIPSA・ベアトリーチェの密室定義】

<序・ある日のゲーム盤にて>
〜黄金郷・魔女のテラス〜

ベアト「森崎ィー、妾のゲーム盤で勝負だ!【 ガルシア は密室で死んでいる】」

森崎「密室だァ〜〜? じゃあいくぜ、『その密室には隠し扉があった』」

ベアト「ふん、ならば赤で切ろう。【密室には隠し扉などない】!」

森崎「まだまだ、『犯人は釣り糸を巧く使って、密室の外から殺害した』」

ベアト「【密室の扉には隙間がない!】【すなわち、糸すらも通さんぞ】!」

森崎「ならこれだ、『犯人は携帯電話を使ったトラップXにより殺害した』」

ベアト「甘いわ、【密室は電波も含め、外部からの干渉が一切遮断されている】!」

森崎「チィッ……! 中々に強固な密室だぜ」

ベアト「当たり前よ。何故なら【この密室は、ベアトリーチェの密室定義を常に満たしている】からなァ!
     くひゃひゃひゃはァ! リザインするなら今の内――」

森崎「えっ………何だ、ソレ」

ベアト「えっ」


222 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:35:51 ID:???
***

ワルギリア「……と、いう事があったのですね」

ベアト「だって信じらんねえぜー? 妾の密室定義はもはや常識なのによォ」

森崎「いや、知らねえし。一瞬お前も、ソリマチ卿的な中二病に罹ったかと思ったぜ」

ワルギリア「まぁ、森崎くんの反応が世間的には普通でしょうね。
       別にミステリー用語でも無いですし、この単語に引っかかるのは、
       今や数少ない熱心な「うみねこ」ファンか、魔女のゲーム……屁理屈推理合戦に造詣がある者か。
       そのどちらかでしょうに……」

ベアト「お師匠様まで冷たァーい。だって妾の名を冠しておるのだぞー。
     無限の魔女でありっ、密室魔法の大家でもあるッ!
     この妾が掲げる密室定義なのだぞォ。森崎も実は興味あるよなァ?」

森崎「全然ないな」

ベアト「む、むぅ。本当につれないヤツだのう……妾、スネてしまうぞ」


223 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:36:55 ID:???

ワルギリア「あなたは多少大人しい位が丁度良いです。……ですが、森崎くん。
       『ベアトリーチェの密室定義』は、魔女のゲーム盤においても頻出の単語であるのは本当です。
       この単語が何を意味しているかを学んでおくのは、魔女や魔術師との戦いにおいても非常に役立つ筈。
       敵を知れば百戦も戦わずに済むとも言いますし、これを機会に勉強してみては?」

森崎「学校の勉強はそんなに好きじゃあないがな。でも確かに、知らないせいで戦いを面倒にしたくねえ。
    悪いが、教えてくれないか。ワルギリア」

ベアト「ちょっと待てよー。この単語を創ったのは妾だから、お師匠様より妾を頼るべきだろォ〜?」

森崎「だって、お前ウザいし。笑い声下品だし、一々何でも挑発してくるし。
    ……ハッキリ言って、教師とかには一番向かないタイプだと思うぜ」

ベアト「……お師匠様ァ、森崎がいじめる〜」

ワルギリア「完全に自業自得です。
        ……と、言う訳で今回は『ベアトリーチェの密室定義』について講義しますが。
        【当説明は>>1の主観に則っているため、絶対的に正しいとは限りません】。
        この事を了承して頂ければと思います。それでは、次から講義に入りましょう」


224 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:38:31 ID:???

<第一講・『ベアトリーチェの密室定義』 総論>


ワルギリア「……と、言う訳で。早速ですがこの『ベアトリーチェの密室定義』とは何か。
        これを以下の通り指し示しましょう」



【ベアトリーチェの密室定義】
 内外の出入りが一切隔絶された室内を指す。
 当然、内外からの一切の侵入・脱出は愚か、干渉もできない。
 それは包括的に、隠し扉の否定、外部干渉の余地一切の否定を含む。



森崎「うん……? 良く分からないが、凄い密室って事か?」

ベアト「大枠はそれで良い。……そもそも、どうしてこのような定義を設けたかというと、
    妾がかつて作ったゲーム盤に戦いを挑んだ、とある無能がいてな。
    そやつが妾の密室に一々、『誰にも知られなかった隠し扉から逃げた!』だの、
    『謎の道具Xで外から殺した!』だの、『謎の毒電波で密室内の者を殺した!』だの。
    一々しょうもない事で突っかかっているが故、こうした包括的な定義が必要となったのだ」

225 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:42:17 ID:???
ワルギリア「普通のミステリーの文脈で考えれば、『密室』と聞けば概ね、
       隠し扉や外部干渉の余地はないと考えられるのですが、
       このゲームにおいては、犯人及びトリックを特定しなければならないミステリーと違い、
       魔女幻想を否定――すなわち、犯行を人間とトリックで説明出来さえすれば問題ない。
       それ故に、『悪魔の証明』を用いた謎の犯人/トリックXが認められるのです。
       ですが……そうなると、今度は逆に、如何なる屁理屈がトリックとして認められてしまう問題が発生します。
       当然、それこそがこのゲームの面白さではありますが……」

ベアト「考えてもみろ。一々『密室』とこっちが言うたびに、
     『外部干渉の余地は?』『隠し扉は?』『本当に密室なのか?』とか、
     お決まりの文句を繰り返すのは、人間にとっても疲れるであろう。
     魔女としても、謎の核心とはズレた部分で同じ回答を出すのは疲れるし楽しくない。
     妾の定義のお蔭で、人間・魔女ともが幸せになれるのだぞ! くっくくく!」

ワルギリア「人間側は、密室破りについてある程度の指針を定める事ができる。
        魔女側は、密室の強固さ・犯行の不可能性を手軽に表す事ができる。
        そうした理由から、このゲームにおいて、『ベアトリーチェの密室定義』が、
        非常に有益なものであるのは間違いないでしょう。
        ……ですが、『ベアトリーチェの密室定義』にはいくつかの穴や不明瞭な点があります。
        第二講では、それについて具体的に語りましょう」

226 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:43:24 ID:???

<第二講・『ベアトリーチェの密室定義』 各論>

ベアト「ちょ、ちょっと待ってくれよォお師匠様ァ。妾の密室定義の穴って何だよぉ!」

ワルギリア「ほっほっほ。……では、森崎くん。今までの話を聞いて。
        この『ベアトリーチェの密室定義』の弱点や穴について、何か分かりましたか?」

森崎「いや。弱点は分からんが、三つ程、疑問に思う事はあったな。
    ……そこについて、順番に聞いていってもいいか」

ワルギリア「ええ。構いませんよ。その方が分かりやすいですし。
        ……ただ、恐らく細かい内容になるので、特に興味のないウィッチハンターの方は、
        この第二講は飛ばしていただいても差し支えないかもしれませんね」

227 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:46:04 ID:???
(1)『外部に出入り’不可’な隠し扉』について

森崎「ベアトリーチェの密室定義では、『内外からの一切の侵入・脱出はおろか、干渉もできない』。
    っていう事を理由に、隠し扉を否定できるって書いてあったが。
    ……これって、『内外からの一切の侵入・脱出が不可能な隠し扉』だったら、良いって事か?」

ワルギリア「流石、鋭いですね。ええ……そうです。
       あの子の密室定義においては、そのような隠し扉の存在は決して否定していません。
       仮に、『隠れたクローゼットの中に犯人が隠れていた。探偵はそのクローゼットに気付かなかった』。
       という真相があったとしても、これは『ベアトリーチェの密室定義』に反しないと言えます」

ベアト「……わ、妾もこの位気付いておったわ!」

森崎「(絶対気付いてなかったな、コイツ……)」

ワルギリア「ただ、『犯人が隠れた床下は地下1000メートルあった』という真相を持ってきて、
        【犯人は部屋には隠れていない】! という赤を出す事には是非が別れそうです。
        確かに部屋には隠れていないでしょうが、地下1000メートルもあれば、実質部屋の外とも言えそう。
        ですが部屋の外となれば、『ベアトリーチェの密室定義』に反します」

ベアト「じゃあお師匠様だったら、どんな風な赤を出せば良いと思う?」

ワルギリア「そうですね……。私であれば、『床下は奥行10000キロメートルあった』という事にして。
        【犯人は犯行後、フランス(日本から約10000キロメートル離れた場所)に居た】
        ……とか言う赤を出すでしょうか。
        これならば、部屋の外に出ている、と断言していないので、定義には抵触しないかと」

森崎「ひっでぇ屁理屈だな。流石あのベアトの師匠なだけあるぜ……」

228 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:48:10 ID:???
(2)外部干渉の余地一切の否定について

森崎「次に、外部干渉の余地一切の否定についてだが。この範囲ってのは、どこまでなんだ?
    謎の電波や細い棒やら。そんなのの干渉の余地が無いってのは分かったけどよ。
    例えば、密室の外から声を掛けたりとか。もっと言うと、光とか空気とかも外から中に入れないのか?」

ワルギリア「この辺りは少し釈然としませんが。ゲーム本編、「うみねこのなく頃に」においては。
        『外部から内部へ音声などを伝えることは可能』としています。
        その事をもって、光や気体までは干渉可能ではないか? と、言う向きもありますが。
        ……私の意見として言わせれば、光や気体を認めるのは、ややアンフェアなきらいがあると思います」

ベアト「うむ。それを認めれば、『外部からの謎の毒電波による死亡』は外部干渉としてNGであるにも関わらず、
    『外部からの謎の毒ガスによる死亡』が外部干渉とあたらずOK、という事実になるな。
    音声にしても、『外部からの剛田リサイタルによる死亡』は外部干渉に含まれるのか? という疑問が浮かぶ」

森崎「確かに、『密室はベアトリーチェの密室定義』を満たす! って宣言しつつ、真相が
    『死因は外からの剛田の歌声! 音声による干渉はベアトリーチェの密室定義に反しない!』
    ……って言うんだったら、何となく興ざめな気もするな」

ワルギリア「こうした微妙なラインについては、あらかじめ参加者……人間側との合意を得た上で示すべきでしょうか。
        そもそも、こうした内容を真相に置くべきか? という事も含めて考える必要も出てきますが」

森崎「定義確認も大事だが、定義確認で出た単語の定義確認……とかまで来るとメンドいしなァ。
    この辺りは互いに空気を読むしかないってか」

229 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:49:53 ID:???
(3)『ベアトリーチェの密室定義』の強固性

森崎「……というか。そもそもの疑問になるんだが。
    『ベアトリーチェの密室定義』は、外部からの一切の干渉を受けないんだよな」

ワルギリア「ええ、ええ。そうですとも」

森崎「じゃあ、その密室は、例えば大地震が起きようが、宇宙から小惑星が降って来ようが、
    太陽が膨張して地球を巻き込もうが、……外部からの一切の干渉を受けないのか?
    なんか、色々とおかしい気がするが」

ベアト「くひゃひゃひゃひゃ! 面白い事を言うな森崎ィ!
    だがしかし、ここは敢えて妾が突っ込んでやろう。それは順番が逆であろう、と!」

森崎「順番? ……って、そうか。そういう事か」


230 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:53:30 ID:???
ワルギリア「……理論上、森崎くんが言った事は本当です。しかし、実際はそう言った事実はありません。
       何故なら、地震や隕石衝突があったとしたら。
       その時点で部屋は吹き飛び、『ベアトリーチェの密室定義』を満たさなくなる訳ですから」

森崎「ああ、もう言わなくても良い。例えば、【事件終了時、その部屋はベアトリーチェの密室定義を満たす】
    って赤があったとしたら。
    それはつまり、【事件終了前、その部屋はベアトリーチェの密室定義を崩すような事象Xは起きなかった】
    ……と、言い換える事ができるって訳だろ?」

ベアト「うむ。さすがは妾が見込んだ男よ、理解が早い。その場合、
    『地震などの天災が起きても、ベアトリーチェの密室定義は崩れない』ではなく。
    『ベアトリーチェの密室定義が崩れていないという事は、地震などの天災は起きなかった』
    と、考えるべきであろう、という事だ!」

ワルギリア「少し複雑な話になってしまいましたね。ですが実は、ここはベアトリーチェの密室定義の弱点でもあります。
        つまり、あまりに強固な密室であるが故に、密室を破る可能性が限られてしまうのです。
        更に言えば、ベアトリーチェの密室定義を持ち出すという事は、魔女は人間側に、
        『この謎の核心は密室状態時にはなく、その前後に存在する』と、宣言しているようなものです」

森崎「確かにな。地震やら毒電波やら剛田リサイタルやら剛田シチューの匂いやらに気を取られてるんだったら、
    それは別に一切関係しないし気にするな! ……って、言われてるようなものか」

ベアト「魔女側としても、『ベアトリーチェの密室定義』とは、それだけ大きな駒である、という事であるな!」

231 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:54:45 ID:???
<今回のまとめ>
 
森崎「何だなんだで今回も長かったな、オイ」

ワルギリア「すみません。ですがこの定義も、ただコピペするだけならば簡単なのですが。
       詳細については色々の議論の余地があるところでして。
       これでも、本当に細かい部分については説明を割愛しているのですよ」

ベアト「『外部干渉の余地否定は、扉にも及ぶのか?』『壁や天井や窓はどうか?』
     『外部干渉により密室構築した場合も、ベアトリーチェの密室定義を満たすのか?』
     ……などについては、魔女の評議会においても度々議題とされる内容であるな。
    まぁ、そんな事まで考えても面白くないから、妾は語らぬがな!」

ワルギリア「定義の隙間を縫ったトリックは魔女のゲームの基本であるとしても。
        細かすぎる言葉遊びになってしまうと、それはそれで意見が分かれ面白くない。
        しかし、意外性のある面白い発想は時間により出尽くしてしまう。
        それは、このゲームの難しいところだと思います」

ベアト「それでも、妾たちはあの手この手で魔女幻想を振りまき続けるがなァ!
    うっひゃひゃっひゃっひゃははぁ! 妾もさっそく一つ新たな密室のアイデアが思い浮かんだところだ!
    今度ゲーム盤を片手に、そなたの家に遊びに行くから待っておれ!」

フワァァァッ……!

森崎「そ、それだけは止めろ! 親への説明が面倒だッ!? ……って、行っちまった」

ワルギリア「森崎くんも、厄介な子に好かれてしまいましたね。あの子、中々執念深いですよ?」

森崎「分かってらぁ。……はぁ。綺麗な女に気に入られて絶望的な気分になるなんて、生まれて初めてだぜ……」

ワルギリア「ほっほっほ。それもまた若さですよ。私もつい800年前は……と。
        話が逸れてしまう前に、今回のまとめを置いておきましょうか」

232 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:55:55 ID:???

〜『ベアトリーチェの密室定義』まとめ〜

 1.『ベアトリーチェの密室定義』とは、ざっくり言うと『とても強固な密室』

 2.『とても強固な密室』でも、幾つかの抜け穴はある(『脱出不能な隠し扉』など)

 3.『ベアトリーチェの密室定義』=『このゲームの謎の核心は密室じゃないよ』のメッセージ?

                                                   

233 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 18:59:52 ID:???
<補講・ロノウェのトラップ定義について>

ワルギリア「……森崎くんとベアトは去ってしまいましたが。
        折角の機会を利用して、もう一つ、魔女のゲームにおいて使われる単語を紹介しましょう」

ワルギリアはこの世界を『観劇』している名もなき無数のウィッチハンターに向かい、補講を始めた。

ワルギリア「定義系の言葉として、『ベアトリーチェの密室定義』に加え、
       『ロノウェのトラップ定義』というものがあります。定義は以下のとおりです」


【ロノウェのトラップ定義】
 仕掛け人が直接関与することなしに殺人を遂行できる全ての仕掛け。


ワルギリア「ええ。ええ。分かっていますよ。『ロノウェって一体誰やねん!?』……ですね。
        彼は、ベアトが使役する大悪魔の一人であり、彼女の家具頭として仕える執事。
        魔女の社交界では彼を雇用する事が一種のステータスで……
        ――とか、設定は色々あるのですが、特に重要ではありません。
        重要なのは言葉と定義です。魔女のゲームにはこうした単語があると言う事だけ、
        頭に入れておいてください。もっとも、議論の余地についてはあまりないのですが。

        強いて言えば、『殺人を遂行できる』とはどこまでの範囲を指すのか。
        そのトラップが直接殺人を行えるもののみか、
        そのトラップが発動した結果、間接的に人間が死亡する(餓死等)ものも含めるか、
        そのトラップ自体に危険性は無いが、事故により結果的に死亡した場合はどうか。
        ……などについては疑問がありますが、そこまで深く考える必要は無いと思います。
        まぁ、魔女のゲームを楽しむためのフレーバーとして、
        『こんな用語もあるんだ!』……程度に覚えて頂ければと思います。
        さて、それでは補講もおしまい。皆さん、次のゲームでもご武運を。ほっほっほ……」

                                                  〜TIPSA 了〜

234 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/14(土) 19:10:54 ID:???
ベアトリーチェの密室定義について、TIPSを書かせて頂きました。
書いてるうちに一部複雑になってしまいましたが、読んで頂ければ幸いです。

第三のゲーム盤について、当初構想していたゲームの他に、
『ベアトリーチェの密室定義』を使った、シンプルな問題が一問思いついたので、近い内に開催できればと思います。
(ソリマチ卿は出てきませんがw)
内容を詰めて、具体的な日程が決まれば、またアナウンスさせて頂きますので、参加して頂ければうれしいです。

235 :森崎名無しさん:2017/01/14(土) 19:19:29 ID:???
ワルギリアおb・・・先生の分かりやすい講義乙
要するに「そんな細かいところ突っつかなくていいから」という魔女の良心なわけですね


236 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:47:45 ID:???
>>235
乙ありがとうございます。分かり易ければ幸いです。
そうですね、私もそう考えています。>「そんな細かいところ突っつかなくていいから」
ただ、中には定義の穴を利用した問題(脱出不能な隠し扉とか)もあるので、信じすぎても問題かもしれません。

第三のゲーム盤について、準備が出来ましたので投下したいと思います。
取りあえずNPCパートだけ投下しておいて、開始は明日以降人がいる時間にしようと思います。
(私以外にやりたい人がもしいたら、スレを押さえてしまっててすみませんが…)

237 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:55:35 ID:???


   屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
     Episode 3  Revenge of the golden witch 〜黄金の魔女の雪辱〜


おはようございます。

黄金の魔女はあなた方のご活躍に大変驚いております。
魔女も是非雪辱を晴らしたいと意気込んでおられます。

とはいえ、これはあくまでも楽しいゲーム。そう、ゲームの世界の出来事なのです。
そのため、肩肘張らずにお付き合いして頂ければ幸いです。

難易度は王道。
王道の謎には王道の推理、王道の展開、そして王道の真相がつきもの。
どのような真相が待ち受けていようとも、決して諦めない事もまた王道かと思われます。

238 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/22(日) 23:58:08 ID:???

森崎「弘法は筆を選ばず、なんて死語だよな。良い選手には良い道具が必要なんだ」

全国中学校サッカー大会を終えた森崎は、Jr.ユースの合宿が始まるまでの束の間の休日を楽しんでいた。

森崎「……優勝したはいいが、大会MVPは翼のクソヤローに取られちまったしな。
    合宿を迎えるまでに、少しでも出来る事はやっておかなくちゃな」

今日の予定はショッピング。しかし森崎は当然、ただ遊び呆けるつもりは毛頭ない。
日本国内だけではなく、世界中に森崎有三の名を知らしめる第一歩として、
次のJr.ユース大会のキャプテン就任、そして優勝は必要不可欠。
そして、その為にはまずは自分自身の実力とコンディションを高めておく必要がある。

フワァァァッ……

ベアト「森崎、こんな所で会うとは偶然だなァオイ? こうもなったら妾が作ったゲーム盤で一勝負……」

森崎「……………」

森崎は暇な時間などない。仮に、スポーツ用品店を目指す道中に金色の蝶が羽ばたいても、
その蝶から現代日本には似つかわしくない豪奢なドレスを来た金髪の女が現れても、
そいつが馴れ馴れしく遊ばないかと誘って来たとしても、構っている暇など存在しないのだ。


239 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:00:42 ID:???
ベアト「おーい、相手してくれよォ。こないだの事なら謝るからさぁ……」

森崎「……………」

ベアト「……むぅ。こうなっては仕方あるまい。先にそなたの家に潜り込んでご両親にでも挨拶しておくか」

森崎「おいやめろ。話をややこしくするな」

と、言いつつこうやって理由を付けて構っているあたり、森崎も根はお人好しなのかもしれない。
以前ひょんな事で知り合ってしまった、黄金と無限の魔女・ベアトリーチェ。
傲然と煙管を吸う彼女に対し森崎は思いっきり舌打ちしながら睨み付けた。

ベアト「まぁまぁ。どうせ、【そなたは今日、これからスポーツショップに行ってグローブを新調する以外、
    特段の予定がない】のであろう? 妾は何でも知っておるぞ!
    なにせ妾は『読心の魔法を使い、そなたの思考を読み取った』のだからなァ! くっくっく!」

森崎「……何が魔法だ。『この通りにはスポーツ用品店以外、俺が好みそうな店はない。
    そして、中学大会の日向のシュートのせいで、俺のグローブは痛んでいる』から、
    推理してそんな事言ってるだけだろう。それが魔法なら、ポーやドイル、
    クリスティやエラリーは大魔術師だぜ」

ベアト「ほう! そなたのような無学な輩にも天界大法院の上席審問官の名が轟いているとは。
    妾も以前は、SSVDのご厄介になったものだ、懐かしい」

森崎「(何言ってるんだ、こいつ……)」


240 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:04:08 ID:???

森崎が幾ら面倒そうな素振りを見せても、この魔女はマイペースを崩さない。
とはいえ無視するともっと面倒なのは明らかなため、森崎は諦める事にした。

森崎「……どうしたらここから失せてくれるんだ?
   世界のてっぺんを目指す俺にはな、お前なんかとじゃれ合ってるヒマは無いんだっての」

だからせめて、森崎は少しでも時間の浪費を最小限にするべく、単刀直入に要件を聞くのだが。

ベアト「くっくくく……! そなたがそう言う位、妾とて推理……じゃなかった。
    地獄の魔女・サトリーヌ卿から学んだ『心を読む魔法』で予知済みよ!」

が。どうもこれがまた、ベアトの思い通りの返しだったらしい。したり顔で笑っている。

ベアト「だから妾は、そなたにゲームを挑むとともに……『ご褒美』を用意している。
    そなたの覇道を手助けする事間違いナシの『魔女のマジックアイテム』をな」

するとベアトの掌から蝶が一匹生まれ、それはみるみるうちに姿を変える。
姿を変えて現れたのは――小さく黄金の蝶の刺繍がなされた、上質なグローブだった。

森崎「……! お、お前。これ幾らで……」

ベアト「魔女に金策の心配とは愚かな。妾は無限の黄金すら生み出せる大魔女ぞ。
    この程度のグローブなど、使用人の支給品にするにも憚られるわ」

『良い選手には良い道具が必要』と主張し、サッカー用具の質には一家言ある森崎が見ても、
そのグローブは素材、製法、性能からして良質だった。
恐らく、これから行こうと思っていたサッカー用品店では売っていない――売っていたとしても、
到底今の森崎の小遣いでは買えるレベルで無い代物である事は間違いなかった。
森崎の目の色が変わった事を確認してから、ベアトは頷いてこう続けた。

241 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:05:34 ID:???
ベアト「妾はそなたに挑戦するため、一つのゲーム盤を用意した。
     もしもこのゲームで、そなたが妾に勝つ事ができれば、このグローブをそなたに贈ろう」

森崎「グローブは良いが、また人を殺すのかよ」

ベアト「なあに! 妾としても、これは自らの存在の為のゲームでは無い。
    純粋に、そなたと妾との知恵比べ。魔女と人間との勝負が楽しみたいだけよ!
    故に、【このゲーム盤の内容はフィクションであり、現実の人物・地名・事件と一切関係しない】事を、
    この【赤き真実】にて誓約しようではないか!」

森崎「現実では無い。これはゲームだ。賞品もある。……だから、勝負に応じろと言う訳だな。
    ケッ、相変わらずズルい奴だぜ。俺が断る理由を丁寧に潰して来てやがる」

ベアト「ほう。それは勝負を受ける……と言う意思表示で良いか?」

森崎「別に良いさ。どうせ帰っても家で基礎トレーニングをやって、漫画でも読んで寝るだけだ。
   だったら、基礎トレーニングの前に漫画みたいな奴とゲームしたって一緒だからな。それに――」

ベアト「それに?」

……ベアトリーチェは高貴なる魔女らしいが面倒なヤツだ。それは間違いない。
しかし、森崎は内心ではこうも思っていた。この魔女は面倒だが、この魔女との勝負は悪くない。
それは、かつて翼を殺しかけた相手に向かって思うには、あまりに不謹慎な感想なのかもしれない。
だからこそ、森崎はこれまでもずっと魔女を軽くあしらい続けていたが――一方で、
ソリマチ卿との戦いを入れれば3度目となるこのゲームに対しては、興味を抱いている事には間違いなかった。

森崎「――俺は勝つのが大好きなんだ。それはサッカーだろうが、魔女のゲームだろうが一緒だ。
    だったら勝ってやるよ。……もうお前が二度と俺に勝負なんて挑みたくなくなる位完璧になァ!!」


242 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:07:10 ID:???
なぜなら、森崎は結局のところ、純粋なまでの勝利主義者。
翼がどうとか、ソリマチ卿の野望がどうとかは勝負に挑む為の外形的な理由作りにしか過ぎない。
森崎は本心では――あの『魔女のゲーム』に挑み、そして勝利する事を心待ちにしていたのだ。

ベアト「……くーーーひゃっひゃっひゃひゃっひゃァァアッ!! よくぞ受け入れたな森崎ィ!!
    それでこそ妾が倒すに相応しい相手よ!」

そしてベアトは、そんな森崎の闘争本能を知っていて、今ここにそれを引きずりだせた事に対し喜ぶ。
同時に、彼が自分の見込み通りの好敵手である事を再認識する。
魔女幻想を認めさせ、人間を屈服させたいベアトリーチェ。相手が誰であろうとも、決して屈服しない森崎。
人命や世界の命運は関係せず、賭け合うのは互いのプライドのみ。
それにも関わらず、これまでで最も熾烈を極める魔女と人間の争いが、今ここに始まろうとしていた――。


243 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:08:57 ID:???
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【地獄の悪魔の復讐】

航海を生業とする北欧の一民族の言葉に、「フラーノ」という言葉がある。
これは彼らの言葉で「地獄」を意味し、東の果てにある大きな島の、その中央に位置すると言われていた。

彼らの中には、本当に「地獄」が存在するのかと疑い、実際にこの眼で確かめたがる者も多く居た。
その者達は好奇心から、伝承の地への航海を試み――そして、実際に辿り着いた者すらも居た。

だが、その地から戻って来た者の全ては人格が変わり果て。そして、口を揃えてこう言ったのだ。

「良いよなァ……お前は。どぉせ俺なんか……」

――部族における協議の結果、彼らは地獄(フラーノ)にて悪魔に憑依されたとし、全員が処刑された。
そして、誰もがフラーノへと近づく事を固く禁じられた。


かの部族が滅んでから数百年の時が流れ、かつて地獄とされたフラーノの地にも開拓民の手が入り、
今では「ふらの」と呼ばれる美しき土地として、多くの人間が住み着くようになった。

しかし、地獄の悪魔はまだこの地に潜んでおり、闇より現れ人間を蹴り殺していると、一部の民俗学者は主張する。
その悪魔は、かつて滅んだ民族が使った言葉に準じて、今でも住民の間でこう呼ばれている。


「ヤグ=ルマ」


――と。

244 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:10:19 ID:???

***


――暗い暗い空間の中で、松山はひたすらに泣き叫んでいた。

「あにきぃ……あにきぃ……助けてよぉ……」

とある事件をきっかけに、ふらの中のサッカー部員はこぞって自分を虐めるようになった。
陰湿な嫌がらせが始まった時は、彼らを全く疑っていなかった。
しかし、それは少しずつエスカレートしていって、やがては決定的な事件が起き。
それでも、まだ仲間を信じたいという想いが残っていて……。
――そう考えている内に、自分はここに閉じ込められたのだった。

「あにきぃ……痛いよぉ……」

……結局は自分が悪いのかもしれない。だけどそれ以上に、仲間に裏切られたという想いが、
仲間を信じていただけに強く、重く、自分の心を蝕んでいた。
暗闇に支配された体育用具室の中で、松山は無力に泣き続ける事しかできなかった。

「光を掴もうと思っても、……結局はこうなんだ。痛いしっぺ返しを食らうだけなんだ……」

内心は絶望に覆われていた。光を目指して前に進んでいた筈の自分の人生は、もう無い。
あるのはただただ辛い現実と、真っ暗闇の無間地獄だけだった。


245 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:11:47 ID:???
それでも、松山は一度だけ泣くのを止めて、口元を歪めてみせた。
……笑うって、どうやるんだっけ。彼はそれすらも判らない様子だった。
だが――結果として、この行為は彼にとって致命的だった。
何故なら、伝承において悪魔は、人間の笑い声を聞いて現れるとされていたからだ。

「……今、……笑ったか? ……俺の事を……笑ったか?」

松山は無意識的な笑顔を止めて、顔を強張らせる。
……他には誰もいない筈の体育用具室。その暗闇が人間の形を取っていた。
背の高い、やさぐれた様子の『悪魔』は、落ちくぼんだ瞳で松山の事を見つめている。

「……笑うな。……笑うな。……笑うな笑うな笑うなワラウナワラウナァアァァァ!!」

――松山の笑いがきっかけとなり、悪魔はその怒りを剥きだしにした。
人間の形をとったシルエットが更に膨れ上がり、飛蝗と人間を掛け合わせた怪物となって、
松山の背丈の倍近くの跳躍を見せて襲い掛かる。

ドガン。ドガン。ドガンドガンドガンドガン。

飛蝗を象った悪魔は、跳ね回って何度も松山の頭を叩き付けた。
まるで特撮映画のワンシーンのように悪魔は飛び回り、その頭蓋を叩き割る。
その跳躍が何回か続いたところで――彼はもう、動かなくなっていた。

「あにきぃ。あにきぃ……ごめんなさいぃぃ……」


246 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:13:30 ID:???

「良いよなァ……お前は。どぉせ俺なんか……」

血塗れとなった松山の死体を見下ろす形で、
悪魔は伝承通りの言葉を呟きながら、暗闇の中、佇んでいる。
この暗闇を破ったのは松山の絶命から数分後の事だった。

「おい、さっきの音は一体どうした――って」

「えっ……!? あ、あれは……」

体育用具室に松山を閉じこめていたふらの中サッカー部員の数名――小田と加藤が、
先程の騒ぎを聞いてその扉を開け放った。
そして、彼らはその目で見てしまったのだ。――かつての伝承にあった、地獄の悪魔を。

「マブシインダヨ……オマエハ……!!」

悪魔は怨嗟の声と共に、次の標的に向かって襲い掛かる。
小田はその時漸く自分達の行為の愚かさを知ったが、時は既に遅かった。
彼は死の間際、薄れいく意識の中で自分を殺した伝承上の悪魔の名前を呼んだ。


「ヤグ=ルマ……!」



――ふらの中サッカー部は全員死亡。
新聞各社はこれを、「地獄の悪魔ヤグ=ルマによる所業」として大体的に報じた。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

247 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 00:15:44 ID:???
今回の敵は地獄の悪魔ヤグ=ルマ!……と、言ったところで今日はここまでにします。
もし参加者が1人でもいれば、明日の夜22時半〜24時半までくらいで、ゲームを始められればと思います。

248 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 00:31:49 ID:???
ゲーム参加させていただきます

「『ヤグ=ルマ』逆から読むと『マル=グヤ』。意味の分からない『マル』はノイズとして考えられるから消すと残る文字は『グヤ』……
つまりこの事件の真犯人は某姫様だったんだよ!」

249 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:29:09 ID:4z784tCM
こんばんは、予定通りゲームを初めていきます。
>>248
ゲーム参加表明ありがとうございます!某姫様「な、なんだってー!?」

250 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:30:32 ID:4z784tCM
〜???・魔女のサロン〜

森崎「……なあ、ベアトリーチェ」

ベアト「うむ。これが妾がそなたに出題するゲーム盤。題して『地獄の悪魔の逆襲』であるぞ。
    内容からしてまさしく、妾によるそなたへの雪辱戦として相応しかろう!」

森崎「いや、そうじゃなくて。……復唱要求。
    「このゲーム盤の内容はフィクションであり、現実の人物・地名・事件と一切関係しない」」

ベアト「くっくっく! 早速ゲーム開始とは気が早いなぁ森崎!
    まぁ復唱しよう、【このゲーム盤の内容はフィクションであり、現実の人物・地名・事件と一切関係しない】
    だが、【この事件はネットゲームの出来事だとか、そんな話ではない】ぞ!
    後述するつもりだったが、謎の本質はそこでは――」

森崎「――そういう事を聞きたいんじゃねーよ。……なんか、今の話に知ってるヤツが出てたから、気になっただけだ」

ベアト「なァんだ、そういう事か。さっきもこないだも言ったであろう、妾は無駄な快楽殺人はせぬと。
    そして、これはあくまでゲーム盤内での出来事。実際の松山とかふらの中とかには、一切危害を加えておらぬ」

森崎「そ、そうかよ……相変わらず悪趣味な事しやがって。てか、ここどこだ」

ベアト「細かい事を気にするでない。妾程の魔女となると、ゲームを楽しむ為の亜空間を作るなど造作もないからな。
     ここは、人目に触れず妾とそなたがゲームを楽しめる遊技場――その程度に思ってくれれば良い」

森崎達は気が付くと、上品な家具が並ぶ洋風屋敷のサロンで机を囲んでいた。
机上には紅茶とチェス盤が置かれており、チェス盤の局面は既に中盤を迎えている。

ベアト「……それでは始めるか。まずは、そなたへの出題の前提として、幾つかの赤を。
     そして、この問題の趣旨である謎について、この盤面を元に示しておこうぞ」

その状況を指しながら、ベアトリーチェは前提となる絶対の事実――【赤き真実】を紡いでいく。

251 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:31:33 ID:4z784tCM

ベアト「【松山は一人で体育用具室にやって来た】。
     【松山は体育用具室に閉じ込められていた】。
     【ゲーム開始時前、体育用具室には誰も居なかった】。
     【ゲーム開始時から終了時まで、体育用具室はベアトリーチェの密室定義を満たす】状況下だった。
     
     ベアトリーチェの密室定義とは、内外の出入りが一切隔絶された室内を指す。
     当然、内外からの一切の侵入・脱出は愚か、干渉もできない。
     それは包括的に、隠し扉の否定、外部干渉の余地一切の否定を含む。
     ――いきなりの単語で悪いが、頭の良いそなたにはすぐに意図が飲み込めるであろう?

     ……さらに、補足として。【ゲーム開始時とはふらの中メンバーが体育用具室を施錠した時を指し、
     ゲーム終了時とはふらの中メンバーが体育用具室を開錠した時を指す】」

ベアトリーチェが真実の赤を切る内に、チェスの盤面は更に進む。
ポーンは前に、ルークは王を守るべく動き。ナイトやビショップは中央の支配権を求め前進する。

ベアト「……キングはキャスリングを終え、守りは盤石。
     敵はナイトやビショップで切り崩そうとしておるが、ポーン・チェーンも堅く、中々に切り込めない状況よ。
     それにも関わらず、【ゲーム終了時、松山は死亡している】のだ。
     だが、それすらも今回の謎の本質を掴んでおらぬ。何故ならば――」

スッ……。

ここまで言うと、彼女はおもむろに自陣の最奥に鎮座する黒のクイーンを手に取ると。
……それを森崎側のキングの真横に堂々と置く。
そして彼女は、このゲーム最大の謎となる【赤き真実】を解き放った。


ベアト「……バックランクメイトだ。【松山はヤグ=ルマによって殺された】」



252 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:33:19 ID:4z784tCM
Episode 3   Revenge of the golden witch 〜黄金の魔女の雪辱〜 第一の晩 開始

−魔女の出題(幻想描写は>>243-246)−
【松山は体育用具室に閉じ込められていた】ところ、【松山はヤグ=ルマによって殺された】。
しかし、【松山は一人で体育用具室にやって来た】上に、【ゲーム開始前、体育用具室には誰も居らず】、
加えて、【ゲーム開始時から終了時まで、体育用具室はベアトリーチェの密室定義を満たす】状況下だった。
 ※なお、【ゲーム開始時とはふらの中メンバーが体育用具室を施錠した時を指し、
  ゲーム終了時とはふらの中メンバーが体育用具室を開錠した時を指す】。

魔女側はこれを、「地獄の悪魔ヤグ=ルマが暗闇から現れて松山を蹴り殺した」と主張する。
人間側は、「魔女の魔法」「悪魔の実在」以外の方法により、今回の状況を再現できる仮説を提示し
(仮説は、【赤き真実】に抵触しないこと)、以て魔術師の主張を否定する必要がある。

−ルールまとめ−
・人間側(=参加者)は、魔女(=GM)に対し、「復唱要求(=事実の確認)」および、
 『青き真実(=魔法を否定するための仮説)』を放つ事ができます。
 
 (復唱要求ならば、要求したい内容を「」に入れて書き込みを。
  青き真実ならば、事件の一連を示した内容を『』に入れて書き込みをしてください。)

・魔女は、参加者の「復唱要求」に対し、【赤き真実(=絶対的な事実)】にて復唱することができます。
 ただし、魔女は「復唱要求」に応ずる義務はなく、応じない理由を示す義務もありません。

・魔女は、参加者の『青き真実』に対し、【赤き真実】にて否定する義務があります。
 否定の方法は魔女の裁量に委ねられますが、ここで『青き真実』を否定できない場合は、魔女の敗北となります。

・人間側は、魔女の【赤き真実】に対し、打ち出せる『青き真実』が出なくなった場合、
 リザイン(=投了)を表明することにより、敗北となります。

・どうしても謎が解けない場合、森崎が自分でヒントを考えつきます。
 ヒントが欲しい場合は、「ヒントが無いか考える」と書き込みして下さい。ヒントを書いていきます。
 (ヒントが要る方と要らない方に別れた場合、ヒントが要らない方は申し訳ないですがスルーして下さい。) 

253 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:34:34 ID:4z784tCM

−これまでの赤字−※これまでに出ていた内容と、誤解が無いよう書き方を変える場合があります。

【このゲーム盤の内容はフィクションであり、現実の人物・地名・事件と一切関係しない】
【この事件は、このゲーム盤世界において現実に起きた事である】
【松山はヤグ=ルマによって殺された】
【ゲーム終了時、松山は死亡している】
【松山は一人で体育用具室にやって来た】
【松山は体育用具室に閉じ込められていた】
【ゲーム開始時前、体育用具室には誰も居なかった】
【ゲーム開始時から終了時まで、体育用具室はベアトリーチェの密室定義を満たす】
【ゲーム開始時とはふらの中メンバーが体育用具室を施錠した時を指し、
 ゲーム終了時とはふらの中メンバーが体育用具室を開錠した時を指す】

254 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:35:48 ID:4z784tCM

森崎「は……はぁ!? ヤグ=ルマは悪魔じゃなくて、実在するって。そう言いたいのかよ……!?」

ベアト「うむ。妾が今回そなたに応えて欲しい謎というのはズバリ、
     『ヤグ=ルマとは一体何者であり、如何にして密室に入って松山を殺害したか?』……と、いう事よ。

    ……もう一度赤を見れば分かるように、ニンゲンには誰も松山を殺せるようには思えぬだろう?
    一人で体育用具室に入り、鍵が閉められ、そこで鍵が開いた時にはもう、松山は死んでいるのだからな。
    この密室を掻い潜って松山を殺せたとしたら、それはもう『悪魔』の所業と言っても良いのではないか?

    ――妾はこれを根拠に、『悪魔ヤグ=ルマの実在』を主張する」

森崎「で、悔しかったら人間とトリックで説明してみやがれって奴か……。
    ――まあ良いさ。どうせ突ける穴なんて幾らでもある。面による推理でお前を倒してみせるぜ!」

☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

255 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 22:38:43 ID:???
『ヤグ=ルマは松山の別人格であり、ヤグ=ルマが身体を支配した状態で松山は自殺した』
まずはジャブ程度に

256 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:45:43 ID:4z784tCM
>>255
『ヤグ=ルマは松山の別人格であり、ヤグ=ルマが身体を支配した状態で松山は自殺した』

ベアト「定番のトリックであるな。だが勿論これが真相では無い。
     【このゲームに、一人で二つ以上の名を持つ人間は存在しない】!
     この場合、「ヤグ=ルマ」と「松山」で、一人が二つの名前を持つ事となる故、赤に抵触すると考えられるな」

森崎「要するに、二重人格とかはありませんよ、って事か。回りくどい表現しやがって……」

ベアト「さあ、勿論これでリザインと言う訳ではなかろう? どんどん来るが良い!
     くっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃはぁッ!!」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

257 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 22:47:28 ID:???
「ヤグ=ルマは生物である」
「ヤグ=ルマの目的は松山を殺すことである」
「カゲ=ヤマが実は存在する」

258 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:52:22 ID:4z784tCM
>>257
森崎「復唱要求!「ヤグ=ルマは生物である」、「ヤグ=ルマの目的は松山を殺すことである」
    「カゲ=ヤマが実は存在する」」

ベアト「あっはっはっは! なんだその復唱はァ! まず一つ目、これは復唱拒否する。
     何故なら、悪魔は生物という学者のチンケな枠組みに収まるモノじゃねぇからなァ〜!
     二つ目、これも復唱拒否! 「目的」という漠然とした表現では分からぬ!
     ……まぁ【ヤグ=ルマは自らの意志で松山を殺した】、この程度は出してやっても良いか!
     そして三つ目は復唱拒否、何故なら【カゲ=ヤマなど存在しない】からだひゃっひゃひゃッ!」

森崎「(コイツ、ゲームになると途端にテンション上がって更にウザくなるな……)
    ――まあ良いさ、次行くぞ、次だ!」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆


259 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 22:55:08 ID:???
「松山は体育用具室のカギを持って体育用具室の中にいた」

260 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 22:55:12 ID:???
「松山は体育用具室で死亡した」

261 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 22:59:28 ID:4z784tCM
>>259-260
「松山は体育用具室のカギを持って体育用具室の中にいた」
「松山は体育用具室で死亡した」

ベアト「二つ目については復唱しようぞ、【松山は体育用具室で死亡した】。
    そして一つ目については復唱できぬ、何故ならば、
    【松山は体育用具室の鍵を持っていなかった】からなァ」

森崎「殺害場所の誤認トリックでは無さそう、って事か……?」

ベアト「さ〜てなァ? どうだと思う?」

森崎「……ハナからお前が気の利いた事を言ってくれるとか、期待してねえけどな」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

262 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:00:48 ID:???
「松山は毒物によってヤグ=ルマによって殺された」

263 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:02:09 ID:???
「松山死亡時、ヤグ=ルマは体育用具室内に存在していた」

264 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:04:28 ID:???
「ゲーム開始時からゲーム終了時まで年単位の時間があった」

265 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:04:54 ID:???
「ヤグ=ルマは単独の存在であり、複数存在しない」

266 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:06:22 ID:4z784tCM
>>262

森崎「復唱要求だ。「松山は毒物によってヤグ=ルマによって殺された」」

ベアト「拒否だ。【松山はヤグ=ルマに蹴り殺された】からな。
    ――が。この辺りの死因は今回そこまで重要ではない。
    先程述べた通り、今回の謎のキモは、『ヤグ=ルマとは一体何者か?』
    『ヤグ=ルマはいかにして密室を抜けて松山を殺害したのか?』だからな」

森崎「いや、でも『ヤグ=ルマが事前に毒薬を松山に飲ませて殺した』とかなら、
    密室破りにも関係――」

ベアト「ええい、だからそこは謎の本質ではないのだ! 故にこれまでの赤を強化し切る!
     【松山は体育用具室にて、ヤグ=ルマの直接攻撃によって殺害された】!」

シャキーンッ! バシュッ!

森崎「へぇ、中々強い赤じゃねーか。だが、その程度で俺がビビると思ってたら、大違いだぜ!」

267 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:06:28 ID:???
「体育用具室内にはヤグ=ルマだけが知っている隠し扉がある」

268 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:10:33 ID:4z784tCM
>>263-265
森崎「復唱要求ッ!「松山死亡時、ヤグ=ルマは体育用具室内に存在していた」
    「ゲーム開始時からゲーム終了時まで年単位の時間があった」
    「ヤグ=ルマは単独の存在であり、複数存在しない」」

ベアト「一番目、……大サービスだ、復唱しよう!【松山死亡時、ヤグ=ルマは体育用具室内に存在していた】
    二番目は復唱できぬ、【ゲーム開始時からゲーム終了時まで年単位の時間は経過していない】からだ!
    三番目は復唱する、【ヤグ=ルマは単独の存在であり、複数存在しない】!」

森崎の復唱要求に合わせ、ベアトの周囲には赤い短刀が無数に現れる。

森崎「……中々良い赤が出てきたじゃないか。さーて、ここからはどうすっかな……」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

269 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:11:11 ID:???
「ヤグ=ルマは固体である」

270 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:13:09 ID:???
「ヤグ=ルマは初めから体育用具室に置かれていたものである」

271 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:14:33 ID:???
『ヤグ=ルマの正体はロボットである』

272 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:15:46 ID:4z784tCM
>>267
森崎「ま、まだだ……! 復唱要求、「体育用具室内にはヤグ=ルマだけが知っている隠し扉がある」」

ベアト「くっくくく……出たなァ隠し扉! だが残念だったな、
     【ゲーム開始時から終了時まで、体育用具室はベアトリーチェの密室定義を満たす】。
     故に、【体育用具室内には一切の隠し扉は存在しない】!」

森崎「チッ……。強固な密室を意味するベアトリーチェの密室定義を前に、
    隠し扉だの鍵開けトリックだのの介入可能性を混ぜ込むのは難しそうか……」

ベアト「当然よ。この密室定義こそ妾の持つ強力な結界魔法。
     並みのウィッチハンター程度には、この中の真相に触れさせなどはさせぬぞ!」

森崎「なーにが結界魔法だ! ……とはいえ、もう一遍考え直しか」

273 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:17:59 ID:???
『松山は体育用具室内の物体Xが崩れ落ちて頭に当たり死亡した』

274 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:20:40 ID:4z784tCM
>>269-271

森崎「復唱要求、「ヤグ=ルマは固体である」、
    「ヤグ=ルマは初めから体育用具室に置かれていたものである」!」

ベアト「こっちが生物と素直に認めぬからとは言え、またそのような屁理屈を……!
    ――分かった、ここで推理が詰まっても面白くないからな、認めてやるよォ。
    【ヤグ=ルマは人間である】! ……ま、ホントは悪魔なんだけどさ。
    ツマラナイ学者サマの分類学的には、人間って言えるかな〜? ……ってヤツさ。
    だが、二つ目の復唱要求については……そうだな。復唱を拒否する。理由は特にない」

森崎「言うならさっさと言えってんだ、全く……。
    (とはいえ、こっちの考えていた『ヤグ=ルマの正体はロボットである』の青が潰れちまったな。
     あの魔女、全然応えて無いみたいだから、ここはもっと攻撃を重ねるしかないか……)」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆






275 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:23:29 ID:???
「ヤグ=ルマは松山のもう一つの人格である」

276 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:24:12 ID:4z784tCM
>>273

森崎「『松山は体育用具室内の物体Xが崩れ落ちて頭に当たり死亡した』!」

ドーーーンッ!

ベアト「ふん、その程度の青。既存の赤で切れるわ!
     【ヤグ=ルマは自らの意志で松山を殺した】! 【ヤグ=ルマは人間である】!
     故に、物体Xによる事故死はこれを否定できるッ!」

シャキーンッ、バギイイッ!

森崎「……その位想定済みだ! こっちの青はまだまだ十分だぜェ! 行くぞベアトォ!」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

277 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:25:12 ID:???
「ヤグ=ルマは道具を使った」
「異常気象は松山の死亡前後に発生していない」
『松山の死因は打撲である』

278 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:29:26 ID:???
やっちまった、275は取り消しで

279 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:31:52 ID:???
「松山を閉じ込めたのはふらの中メンバーである」
「松山を閉じ込めたのはヤグ=ルマである」

280 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:33:56 ID:???
「ヤグ=ルマは松山を閉じ込める前に体育用具室に入った」

281 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:34:06 ID:4z784tCM
>>278了解しました。
>>277
森崎「そんな簡単にあきらめるかってんだ! 復唱要求!
    「ヤグ=ルマは道具を使った」
    「異常気象は松山の死亡前後に発生していない」
    「松山の死因は打撲である」」

ベアト「くひゃひゃひゃひゃ、無駄な事ォ!
     一つ目は復唱拒否だ、【ヤグ=ルマは道具を使わず松山を殺した】からな!
     二つ目は復唱しようぞ、【異常気象は松山の死亡前後に発生していない】。
     まぁもっとも、密室がベアトリーチェの密室定義を満たす以上、
     異常気象による外部干渉Xの存在は一切無いんだがなァ!!
     そして三つ目、【松山の死因は打撲である】。くっくっく……妾のヒントを忘れたかァ森崎。

     ――このゲーム、松山が如何にして死んだかは重要ではない。
     何故なら、犯人は既に分かっており、自らの意志で殺した事も明白なのだからなァ。
     犯人が如何にして密室に入ったのか! それを可能とした犯人とは何者か!
     そこを見抜かねば、真相は見えてこねぇぞぉぉぉおぉぉぉ〜?????」


282 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:36:39 ID:???
「ヤグ=ルマは一人の人間である、人間の集団ではない」 

283 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:39:58 ID:4z784tCM
>>282
森崎「復唱要求、「ヤグ=ルマは一人の人間である、人間の集団ではない」!」

ベアト「二重人格が否定された次は共有人格説かァ?
     だが、これは復唱しようぞ。【ヤグ=ルマは一人の人間である、人間の集団ではない】」

>>279-280
森崎「……まだだ。俺のターンはまだ終わってないぜ! 復唱要求!
    「松山を閉じ込めたのはふらの中メンバーである」
    「松山を閉じ込めたのはヤグ=ルマである」
    「ヤグ=ルマは松山を閉じ込める前に体育用具室に入った」」

ベアト「……一つ目、二つ目は復唱を拒否する。特に理由は無い。
    そして三つ目。これはどういう意図の復唱要求だ?
    【ゲーム開始時前、体育用具室には誰も居なかった】という赤がある以上、
    ヤグ=ルマは松山を閉じ込める前に体育用具室に入る事は不可能。
    もし、そなたがそれ以上の何かを知るならば……青で掛かって来るが良い」

森崎「……!(――これは……俺は、真相に手を掴んだ、のか?
    その割には、ベアトの表情にはまだ余裕が残ってる気がするんだが……。
    ――とにかくまずは、挑発に乗って青を打ってみるべきか? それとも……)」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

284 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:40:09 ID:???
幻想描写だとふらの中メンバーも死んでるのに、赤では一切それらについて触れられていないのがなんか気になるな

285 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:43:57 ID:???
>>284
あ、すみません。そこは悪魔のホラー感を出す為に死者を増やしただけで、謎の本質とは一切関係ありません(汗)
あくまで今回は、ヤグ=ルマとは何者で、松山をどう殺したのかについて考えて頂ければ幸いです。

286 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:45:25 ID:???
【松山は一人で体育用具室にやって来た】
【ゲーム開始時前、体育用具室には誰も居なかった】
誰が松山を閉じ込めたんだろう?

287 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:48:02 ID:???
「松山は一人で体育用具室にやって来た時、すでにヤグ=ルマによって傷を負わされていた」

288 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:49:23 ID:???
「体育倉庫に傷、何かがぶつかった跡はない」

289 :森崎名無しさん:2017/01/23(月) 23:54:21 ID:???
「松山が体育用具室に入室後、
ゲーム開始(ふらの中メンバーが体育用具室を施錠した時)まで
松山以外に体育用具室に入室した者はいない」

290 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/23(月) 23:59:22 ID:4z784tCM
>>287-289
森崎「まだ情報が足りない。復唱要求!
    「松山は一人で体育用具室にやって来た時、すでにヤグ=ルマによって傷を負わされていた」
    「体育倉庫に傷、何かがぶつかった跡はない」
    「松山が体育用具室に入室後、ゲーム開始(ふらの中メンバーが体育用具室を施錠した時)まで
     松山以外に体育用具室に入室した者はいない」」

ベアト「……一つ目は復唱拒否。理由は特にない。
    そして二つ目も復唱拒否。理由は、【松山はヤグ=ルマに蹴り殺された】以上、
    何らかの傷や跡は出来るが、それは今回の謎とは大きく関係しないからだ。
    ――もしも傷や跡を必要とするならば、青き真実を打つのだな。くくくっ……
    そして三つ目も復唱を拒否する。そのような復唱を要求する以上、
    何等かの仮説は出来ているのだろう? ならばそれを打てば良い。
    ……もっとも、それが真相に直結するとは限らぬが」

森崎「魔女側は青き真実に対しては、必ず赤き真実で否定しなければ負け、だからな……。
    (どうする? そろそろ青を出して行くか? それともまだ情報を集めるべきか……?)」


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆



291 :森崎名無しさん:2017/01/24(火) 00:02:50 ID:???
『松山が体育用具室に入室したとき、
体育用具室の外で待ち構えていた人物Xが松山のすぐ後に入室し、入り口を施錠。
その後、松山を蹴り殺した』

292 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/24(火) 00:16:58 ID:fbZZMR3M
森崎「――だったら、お望み通りの青だ!
    『松山が体育用具室に入室したとき、体育用具室の外で待ち構えていた犯人Xが
    松山のすぐ後に入室し、入り口を施錠。その後、松山を蹴り殺した』!」

ドーーンッ!

ベアト「ふむ。中々しっかりと構築された青であるな。だが――無意味!」

カッ!

森崎が放った青き槍にも動じず、ベアトはその眼前で――

ベアト「――犯人Xは不要、【この事件の犯人はヤグ=ルマであり、共犯は無い】からな。
     その上で、【ヤグ=ルマは入口を施錠していない】【入口を施錠したのはふらの中メンバー】。
     【ふらの中メンバーは松山を殺害していない】【ふらの中メンバーにヤグ=ルマは存在しない】!」

カッ! カッ! カッ!

バギイイイイイイイイイイイイインッ……!!

森崎「……なにィ!?」

ベアト「くっくっく。そこそこの青き真実だったが、真相からは程遠い。
    妾に五つの赤を切らせた事は褒めて遣わすが、これで終わりとすれば片腹痛いわ!」

森崎「畜生……全然効いてねぇ……ッ!」

293 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/24(火) 00:18:03 ID:fbZZMR3M

森崎はこのゲームで初めて狼狽した。しかし、それも無理はない。
松山の入室直後にヤグ=ルマと言う名の人間が入り、鍵を閉めてから殺す説は、それなりに筋が通っていた。
しかし、【ヤグ=ルマは入口を施錠していない】。
つまり、松山の殺害とは直接無関係なふらの中メンバーの目を掻い潜ってヤグ=ルマは用具室に入り、
そして松山を殺害しなくてはならないのだ。……そんな事が、本当にできるのだろうか?


森崎「(ヒント役が不在、ってのも相当辛いぜ……。ま、それに頼るってのもシャクだけどな……)」

森崎は気を取り直して、この事件の真相をもう一度考えてみる事にした。


☆ベアトリーチェに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

294 :森崎名無しさん:2017/01/24(火) 00:23:37 ID:???
『ヤグ=ルマは松山と全く同じ外見をしていたため、ふらの中メンバーの目を掻い潜ることができた』

295 :森崎名無しさん:2017/01/24(火) 00:30:45 ID:???
これか?『ヤグ=ルマは藤沢である』

296 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/24(火) 00:39:01 ID:fbZZMR3M
>>294-295
森崎「なら、こうだ……!
    『ヤグ=ルマは松山と全く同じ外見をしていたため、ふらの中メンバーの目を掻い潜ることができた』。
    それから先はさっきと同じ、松山が入った直後に体育用具室に入り、
    ふらの中メンバーが入口を施錠した直後に松山を殺害した!」

ドーーーーンッ!

ベアト「……ふん。中々しつこい男よ。では、少し大きいが――やはりここは温存せず、切ってしまうか」

シャキーンッ!

ベアト「【松山が体育用具室にやって来てから、ゲーム終了時まで、体育用具室に入って来た者はいなかった】!
     ――もっとも、これには悪魔は含めぬぞ。松山が体育用具室に入って来てから、暗闇から悪魔が生まれ。
     そして、松山を蹴り殺したのだ! くひゃひゃひゃひゃァッ!」

ズバァァァッ…! ――ガシャーンッ、ガラガラガラ……。

先程の青を発展させ、森崎が練りだした青き真実の槍は
――ベアトが放った巨大な赤き太刀の一撃により、粉々に砕かれてしまった。

297 :森崎名無しさん:2017/01/24(火) 00:41:19 ID:???
「ヤグ=ルマは松山から生まれた」

298 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/24(火) 00:41:31 ID:fbZZMR3M
森崎「は……はァ!? 【松山が体育用具室にやって来てから、ゲーム終了時まで、体育用具室に入って来た者はいなかった】ァ?
    ふざけんなよ! だったら、いつヤグ=ルマが体育用具室に入って来たって言うんだ!?」

ベアト「だーかーらー。悪魔だから暗闇から生まれたんだってばァ〜。くひゃひゃひゃっひゃ!
     体育用具室はゲーム中ず〜っと密室。でも、松山は体育用具室にやって来て、そこで殺された!
     これをどう人間とトリックで説明するんだァ森崎ィ? そろそろ土下座の時間じゃねぇのかくひゃへおらァ!?」

森崎「ぐ、ぐぐぐ……!! じゃあこうだ、『ヤグ=ルマは藤沢である』!
    藤沢だったら、壁をすり抜けたり、密室を破ったり楽勝……!?」

ベアト「ざんね〜〜ん☆ 【ヤグ=ルマとは藤沢ではない】、っていうかァ、
    仮にヤグ=ルマが藤沢だったとして、どうやって密室に忍び込めるかの説明にはなってないよなァ〜?
    そこを説明しない限りは、どうあってもお前は勝てないんだよモロサキィィイイィィィィイイィ!」

森崎「く、くそっ……!」

くひゃひゃひゃひゃ……と、魔女の高笑いが鳴り響く。
第一の晩、森崎はいよいよ本気を出した魔女の手番に翻弄されるまま、
屈辱の時を過ごしたのだった……。

299 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/24(火) 00:45:30 ID:fbZZMR3M
……と、言ったところで今日のゲームはここまでにします。
今回のゲームは難易度が高いのと、少し定義にイジワルな箇所があるので、
恐らく解けるまで最短で2〜3日かかるのではないかと思っています。

明日も夜10時頃から始めたいと思いますが、
それまでに復唱要求や仮説がありましたら、返してから開始としますので、
コメントして頂ければ幸いです。
本日は、ゲームに参加して頂き、誠にありがとうございました。

>>297
すみません、今日は終わりにしますが、それについて魔女は復唱を拒否するそうです。
もしも確信がおありでしたら、青で攻めてみるのも良いかもしれませんね。

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