キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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屁理屈推理合戦withキャプ森

1 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2016/12/30(金) 03:30:43 ID:???






――この物語はどうせ幻想に決まってます。
      キャプ森本編・外伝及び「うみねこのなく頃に」本編と関係有る筈もありません――。











※このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、「うみねこのなく頃に」とのクロスオーバー作品です。
※内容は、「うみねこのなく頃に」本編中の赤字&青字による屁理屈合戦(推理)ゲームを、独自の謎を使って行うものです。
 「うみねこ」本編ストーリーの直接的なネタバレはありませんが、「うみねこ」本編の登場人物がスレに登場します。
※最初のエピソードだけ>>1が書きたいですが、それ以降は他の方も書けるようにしたいとか考えています。

☆出典☆
【うみねこのなく頃に】屁理屈推理合戦スレ@wiki
http://www19.atwiki.jp/herikutu/

386 :森崎名無しさん:2017/01/26(木) 20:51:55 ID:???
出産説をはっと思い出して閃いたのにぎりぎりで出し負けました・・・ちょいとくやしい!

387 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/01/27(金) 00:28:26 ID:???
今日は描写をお休みします(汗)
>>384
乙ありがとうございます。楽しんで頂ければ幸いです。
松山出産説は比較的導きやすいかな?と思いつつ、
そこから逆転で矢車出産説に行かれないよう工夫しました。
(もしすぐに矢車出産説が出ていたら即リザインせずに、
 どうして矢車が松山より先に体育用具室に入れたのか、…という方向で粘ろうと思っていました。)
>>385
ありがとうございます。適度に悩みつつも答えが出てスッキリした、位が丁度良い塩梅かと思っています。
幻想描写は若干叙述トリック風味にしました。
(文中の「自分」及び台詞を言ってるのは、松山では無く全部ヤグ=ルマだったというオチです)
真相描写はちょっとエグい表現が入るかもしれません…
>>386
魔女のゲームは協力制です。誰かが正解の青に至るまでの道筋も、
他の誰かが築いてくれたものですから、答えが出た時点で本来は皆さんが褒められるべきだと思います。

388 :森崎名無しさん:2017/01/27(金) 12:30:42 ID:???
ちょっと見てない間に面白いスレがたってますな
しかしベアトに出産トリックを提示した時の全く効いてないと見せかける演技力には騙されたな

389 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:48:36 ID:???
大分間が空いてしまいましたが、真相描写を書いていきます。
>>388
ありがとうございます。新しい試みとして何かできないかと思い始めました。
ベアトの出産トリック外しは少し不親切でしたね…
生まれた順番が鍵だったのでリザインは出来なかったですが、もう少し上手い方法があったと思います。

※今回の真相描写ですが、暴行・惨殺描写が含まれております。
  露骨な表現は(多少は)避けていますが、苦手な方は無理して読まない方が良いかもしれません。

390 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:49:41 ID:???
**************************************
【とある少女の復讐】

オギャァ、オギャアァ……と、喉を枯らして泣く赤子の声。

暗い暗い空間に立ち尽くす私を苛立たせるのが、その泣き声だった。
私は堪らず、殺していた筈の情けない声を漏らしてしまう。

「あにきぃ……あにきぃ……助けてよぉ……」

上京した兄が助けてくれる筈もない。しかし、今の私には他に頼れる人はいないのだ。
性別を偽っていた事がバレたのをきっかけに、ふらの中のサッカー部員はこぞって自分を虐めるようになった。
陰湿な嫌がらせが始まった時は、彼らを全く疑っていなかった。
しかし、嫌がらせは少しずつエスカレートしていって、最初はかけがえの無い仲間だった筈の彼らは、
私を人気の少ない場所に誘い込んで、――とても口では言えない事を、私にやった。
それでも、まだ仲間を信じたいという想いが残っていて……。

「ねぇ、私。……誰かの、母親になるかもしれない」
「……はァ? ふざけんじゃねーぞ! そうしたら俺達、どうなるか……!」
「俺の父ちゃんは議員なんだ。父ちゃんに迷惑はかけたくねえ……だから降ろしてくれよ。な?」
「つーか、お前だって満更じゃなかったクセに……」
「そうだ……閉じ込めようぜ。俺達には関係ないからな。お前が勝手に産んで、お前が勝手に死なせるんだ……」
「いいなそれ! 普通ならバレるけど、あいつ孤児で、唯一の身寄りの兄貴は東京だからさ……!」
「……えっ?」

――そう考えている内に、私は閉じ込められた。
サッカーではそんじょそこらの男に負けない自信はあったけど、
単純な力勝負では、私は男に勝てなかった。


391 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:50:45 ID:???
「あにきぃ……痛いよぉ……」

彼らに殴られた時、押し倒された時、そしてここに追いやられた時。
色んな時に出来た傷が今も痛む。しかし一番痛いのは、「あれ」をこの世に放り出した時だった。

どうしてこんな痛いのだろうか?
……結局は自分が悪いのかもしれない。だけどそれ以上に、仲間に裏切られたという想いが、
仲間を信じていただけに強く、重く、私の心を蝕んでいたからだろう。

オギャァ、オギャアァ……。

暗闇に支配された体育用具室の中で、「あれ」は無力に泣き続ける事しかできなかった。
……いや、正確には「あれ」には名前があった。
と言っても、それは名前というより呪いに近かったのかもしれない。
なんせその名前は、とあるの部族の言葉で「不幸」を意味しているのだから。

「光を掴もうと思っても、……結局はこうなんだ。痛いしっぺ返しを食らうだけなんだ……」

私の内心は絶望に覆われていた。光を目指して前に進んでいた筈の自分の人生は、もう無い。
あるのはただただ辛い現実と、真っ暗闇の無間地獄だけだった。
だから――そこにもう、普通の人間と同じような良心だとか感情だとかは、残っていなかった。

……キャッキャッ。

「……笑って、いるの」


392 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:51:59 ID:???
気付けば、その子は笑っていた。口元を歪めて、泣き声以外の音を出そうとしていた。
……笑うって、どうやるんだっけ。彼はそれすらも判らない様子だった。
そう。その子は――彼は、何も知らない。無垢な赤子に罪は無いのだ。
そして彼は決して、彼の父親と同じようにはなるとは限らない。彼には、無限の可能性が残されている。

「――何、笑ってんのよ……!」

……にも関わらず、私は、その無垢さが泣き声以上に腹立たしかった。
全てを失い、暗闇の狂気に囚われた私は、光を掴もうと笑うそいつが憎らしかった。

「……今、……笑ったか? ……俺の事を……笑ったか?」

サッカーは楽しいが、男のスポーツだ。女はマネージャーとして男を支えるべきだ。
少なくともふらのの町では、その認識が絶対だった。
だからこそ、私は小さいときからずっとサッカーに夢中であるとともに――自分の性別を偽り続けて生きて来た。
「俺」の一人称は使い慣れているし、好きだ。使っていると、自分も強い男になれる気分になれるから。

…………。

私の表情に本能的な恐怖を覚えたのか、赤ん坊はもはや笑っていなかった。
しかし、私の怒りは、私の狂気は、私の憎しみは――もう止まらない。

「……笑うな。……笑うな。……笑うな笑うな笑うなワラウナワラウナァアァァァ!!」

女の癖に男のスポーツをして、男に勝って、でも結局は力に負けてしまう道化な私を笑うな。
お前もあいつらと同じ男だ。結局は私の事を笑うんだろ?そうに決まっている。
ふざけるな。何がママだ。何が母親の務めだ。何が母性だ。
世間一般で語られる赤子に対する印象など、今の私には無い。あるのはただ殺意だけだ。

393 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:53:56 ID:???
ドガン。ドガン。ドガンドガンドガンドガン。

「あはっ! あはははははははははっ! 何よ! 弱すぎィ!
 あいつらも生まれて来た時にこんな風に潰したかった! 潰してやりたかったァ!!
 アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

そんな中、あの愚かな赤子――「不幸」を意味するマツ=ヤマと名付けられた忌み子の頭蓋を潰した時、
私は麻薬的な快感に包まれた。こんなに気持ちいいのなら、あいつを産んだ時すぐに首を捻っておくべきだった!
そんな後悔すら抱きながら、私は何度も、何度も、まだ柔らかい骨が千切れるまで踏みつぶし続けた。
暗闇に閉じ込められてからマツ=ヤマを一人で産んで以来、私は最高に満たされた時間を過ごした。

「あにきぃ。あにきぃ……ごめんなさいぃぃ……」

――にも関わらず、私は何故泣いているのだろうか。
それは残った理性か、我が子への愛情か。それとも命を奪った事への純粋な謝罪か。
どっちにしろ、私の感情の残滓こそがこの涙であり。
それから先の私は、単純に光を憎むだけの悪魔に過ぎないのだから。

「良いよなァ……お前は、どぉせ俺なんか……!」

どうせ私なんか、絶対に幸せになれない。
暗闇に閉ざされて、禁忌を犯して、そして罰せられるのがお似合いだ。
でも、どうせ罰せられるんだったら――俺だって、罰してやる。

394 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:54:59 ID:???
「おい、さっきの音は一体どうした――って」

「えっ……!? あ、あれは……」

バンという音と共に、まぶしい光が私の目を刺す。
体育用具室に私を閉じこめていたふらの中サッカー部員の数名――小田と加藤が、
先程の騒ぎを聞いて、扉を開け放ったようだった。
――我が子すらも喜んで殺したような私が、最も悪逆な方法で私を穢した男達を許す筈がない。

「マブシインダヨ……オマエハ……!!」

ドンッ! ……ブウンッ、ガシイッ!

私は、二人を思いっきり弾き飛ばすと、近くにあった角材で彼らの頭を吹き飛ばした。
この細い身体のどこにこんな力があるのか分からなかった。
これこそまさに、悪魔が取り憑いたからなのだろうか。
しかしもはやどうでも良い。どうせ、私はこれから残りの奴らも殺すのだから。
我が子の父親かもしれず、私の夫かもしれない名もなき男達を。

「――夜具、瑠真(やぐ るま)……!」

……その決意を後押ししてくれたのは、皮肉にもあの時真っ先に私にのし掛かって来た小田だった。
彼は私の名前を呼んだだけなのだが――それが、私の過去を再認識させる。
――そう。そうだった。私もまた、望まれない子なんだった。
この辺りの部族で「悪魔」を意味する言葉。それが、……捨てられた私に付けられた名前だった。

395 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:58:29 ID:???

***

――ふらの中サッカー部は全員死亡。
警察はただちに容疑者とされる15歳の少女を逮捕したが、すぐに心神喪失と判定されて病院に送られた。
犯行前の彼女を知る者達は口を揃えて、「明るく、快活な性格だった」と語るのに対し、
病院での彼女は、常に自分自身を罰する為に鎖を巻き、「闇の底にはどんな声も聞こえない」と、心を閉ざし続けるのだった。

後日。面白がった新聞各社はこれを悪魔憑き――「地獄の悪魔ヤグ=ルマによる所業」として、大体的に報じた。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

396 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 00:59:52 ID:???
…と、言ったところで一旦ここまでです。

397 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/01(水) 23:44:36 ID:???
今日は更新をお休みします。

398 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/03/03(金) 00:04:24 ID:???
すみません、今日も更新をお休みします…

399 :森崎名無しさん:2017/03/05(日) 21:36:42 ID:???
おおっと、更新が来ていた
お疲れ様です、「からだ だいじに」でいきましょう

400 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:52:07 ID:???
〜???・魔女のサロン〜

ベアト「『ヤグ=ルマの正体とはふらの中の女子生徒。彼女はふらの中メンバーに体育用具室に閉じ込められ、
     そこで松山という名の男児を出産。しかしその直後殺害した』。
     ……これが、この出題における残酷なる真実よ」

森崎「フィクションとはいえ、胸糞の悪い話しやがって……やっぱり魔女は悪趣味だぜ」

ベアト「魔女に悪趣味は褒め言葉よ。……しかし、妾もちと意地が悪かったかもしれぬな。
    これは本来、そなたとの親睦の為のゲーム盤であったが、つい妙な方向に気合を入れ過ぎてしまったかもなぁ……」

勝負が終わった後、森崎はベアトが振る舞う最上級の紅茶と共に感想戦に興じていた。

森崎「『やって来た』の赤字は良いとしてもだな。やっぱ出産説を否定しといて、オチは出産説でしたーってのもズルいぜ。
    思いつきで解かせたくないってのは分かるけど、オーバーリアクションし過ぎだっての」

ベアト「や、やかましい! そなたはいつも悪いトコばかりをぐちぐちぐちぐちと……!
    そこについては妾だって反省しておるッ! 次のゲームでは改善する事を約束する」

森崎「次のゲーム、って言われてもなぁ。お前をぶっ倒すのは確かに超楽しいけどさ、
    そもそも俺、別に推理ゲームはそこまで好きってワケじゃねーし……。
    それよりサッカーしようぜ。お前と、ワルギリアって魔女と、他にも魔女の眷属とか居るだろ。
    そいつらをかき集めりゃ、11人位にはなるだろうしさ」

ベアト「妾は汗水を垂れ流す運動は好まぬ。サッカーをするよりも、サッカー中に起きた事件を、魔女幻想に満たして惑わす方が好きだ。
    ……まぁ、そなたが教えてくれるのなら、別に、やってもいいかなーなんて思わないでもないけど……」

401 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:54:05 ID:???
森崎「最後の方、聞こえなかったんだが」

ベアト「べ、べっつにー? 妾別に魔女だしサッカーになんて興味無いし」

森崎「ま、そうだろうな。じゃいいや」

ベアト「うぬぬ……! そなたはわざとやっておるのか?」

こうしてみると、ベアトリーチェは最初と比べると随分と柔和な、そして子供っぽい印象を抱かせる。
――もしかしたら、これが彼女の本来の姿なのかもしれない。
森崎は何故か苛立つ彼女の想いをどこまで汲んだのかは分からないが、
ミルクと砂糖をたっぷり入れた紅茶をぐいっと品なく飲み干すと。

森崎「……ま。人に迷惑をかけないってなら、たまに遊んでやるのもやぶさかじゃないけどな」

ベアト「…………」

……と、少しだけ照れた横顔を見せてそう言った。
ベアトはその表情を見て、少しだけ安心したような様子を見せると、

ベアト「――くひゃひゃひゃひゃ! 何はともあれ、森崎よ。
     一度ならず二度までも、よくぞこの妾を打ち破ったな!
     先の約束通り報酬はくれてやる。だがこれで増長するではないぞ。
     何故なら、魔女は執念深いとどの御伽噺でも決まっておる。
     今にそなたを屈服させうる、極上のゲーム盤を用意するからなァ!
     それまで首を洗って待ってろよ、森崎、いやモロサキァ!」

パァァァァァッ! シュウゥゥゥゥッ!

――最後に、これは初めて会った時と寸分たがわぬ最高に下品な笑い声を立てながら
これまで森崎がくつろいでいたサロンごと、黄金の霧に形を変え、どこかへと消えてしまうのだった。

402 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:55:16 ID:???

〜南葛市・商店街〜

森崎「……はっ!? ゆ、夢か!?」

気づくと森崎は再び、南葛市内のスポーツ用品店を目指す道中に戻っていた。
そこには黄金の蝶も、ゲーム盤も、あの小憎らしい魔女もどこにもいない。
幻想が入り込む余地など、この町のどこにはありはしなかった。

森崎「……いや、夢じゃねーか。残念ながら」

しかし、森崎の体験して来た幻想は真実だった。
彼の手には、小さく黄金の蝶の刺繍がなされた上質なキーパーグローブが握られている。
これは確かにベアトリーチェが、ゲームの前に報酬として提示した『魔女のマジックアイテム』だった。

森崎「だが、落ちてる物は都合良く利用するのが俺様だ。
    こいつはかなりの代物だからな。少々シャクだが、ありがたく使わせて貰うとしよう」

森崎はそう言いながら、入手したグローブを嵌めてみる。自分の手のサイズにピッタリだった。
勿論魔法の力でボールをセーブできるとは到底思えない、ただの高級なキーバーグローブではあったが。
しかし、それでも何だか温かみがあって、確かに自信が湧いて来るような気もした。

ベアト「……森崎ィ。大事にしろよ、そのグローブ。なんせそれは妾が手ずから選び、
     そして刺繍を施したものであるからな。妾の『魔法』、しっかりと受けるがいいぞォ……くっくくく!」

森崎「……あん? 今、アイツのクソ忌々しい声が聞こえたような……気のせいか」

ともあれ、森崎は先を行く。彼の覇道は魔女の介入程度で決して妨げられるものではないからだ。
……後に『キャプテン森崎』がその頭角を初めて世界に示した大舞台。
フランス国際ジュニアユース大会は、すぐそこまで迫っていた。

403 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 01:56:54 ID:???



    屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
         Episode 3   Revenge of the golden witch 〜黄金の魔女の雪辱〜


                         完

404 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/16(日) 02:02:38 ID:???
気力があったので、こちらの方も更新しました。
エピソード4については構想はありますが、リアル事情も相まって安定更新が難しいので、
暫くはお休みorTIPSの更新のみになると思います。

前にも言いましたが、このスレは私だけでなく皆さんで共用したいので(その割にはep3更新せずすみません…)、
もし良ければ皆さんも魔女として、このスレにてゲームを出題して頂ければ嬉しいです。私も参加します。

>>399
ありがとうございます。身体を一番に、できる範囲で楽しんでいきたいと思いますので、
もし良ければ次のゲーム盤にも参加して頂ければ幸いです。

405 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:08:35 ID:???
こんばんは、自分が簡単なゲームを思いついたのと、
魔女さんのゲーム作成・出題促進を目的として、一つゲーム盤と連動したTIPSを作りました。
簡単に出題するので、読んで頂ければ幸いです。



406 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:10:43 ID:???
【TIPSB・魔女のゲームの作り方考察】
<実践編・魔女の絵本を読んでみよう>
〜黄金郷・魔女のテラス〜

ワルギリア「突然ですが、今日は森崎くんにあるゲームを解いてもらいます」

森崎「いや、突然すぎるだろ。せめて意図を説明しろよ」

ワルギリア「前置きは短く終えたかったのですが……。まあいいです、簡単に言うとですね。
        この魔女のゲームを、ここに居る皆さんに広めるため、
        一度「魔女ゲームの作り方」というのを考察してみようと思ったのですよ。
        そうしたら、出題者が出て>>1も嬉しい…もとい、
        魔女とウイッチハンターの戦いもよりレベルの高いものになり、有意義ですからね。
        ……で、折角作り方考察をするんでしたら、一度簡単なゲーム盤を解いて貰って。
        そのゲーム盤を通して、色々なポイントを解説できれば面白いかと思いまして」

森崎「そこまでして、出題者が出るかねぇ。余程の物好きじゃねえとやんねえだろ」

ワルギリア「……まあ、屁理屈推理合戦自体が今そこまで熱いとは言えないのは認めますが。
        それでも、各種SNSを見ていると様々な魔女がゲーム盤を作り遊ばせている姿も見えます。
        決して、作り方考察に需要が無い訳ではない、……と、信じていますよ。ええ、信じていますとも」

森崎「まあ、趣旨は分かったが。簡単なゲーム盤を通して……ねえ。ちゃんと準備はしてるんだろうな?」

ワルギリア「ええ。ええ。勿論ですとも。……これをご覧ください」

スッ……。

それだけ言うと、ワルギリアは魔法で亜空間から一冊の古びた絵本を取り出した。
豪奢な革張りの本には、金色の装丁でこう題字がなされている。

407 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:12:17 ID:???

<よいまじょのえほん ざんにょうロベルト と みずのまじょ>


森崎「……すまん。俺、帰っていいか」

題字の時点でこれまで数少なかったやる気がゼロとなった森崎だったが、

ベアト「うっひゃーー! 超懐かしいぜお師匠様ァ!」

クルリと後ろを向いた森崎を押し出すように、小うるさいベアトが絵本に食いついた。

ワルギリア「そういえば。ベアトが幼い頃は、寝る前によくこれを読み聞かせていましたね。
        ああ、あのころは素直で可愛かったのに、どうして今はこんな風になったのやら……」

森崎「いや、そんなタイトルの絵本を読み聞かせてる時点で、どう見てもお前の教育の成果だろ」

ベアト「まあまあ、そんな辛辣なツッコミに回るなよォ森崎ィ。今から妾とこの本読んでみようぜぇ。
    まだ20歳の赤ちゃんだった頃の妾がドハマリした傑作絵本だからさァ〜〜〜!!」

ワルギリア「今も1000歳の赤ちゃんみたいなものですけどね。……まあ、とにかくです。
        折角なので、この絵本を読んでみてくれませんか?
        ごくごく基礎ながら、魔女のゲームにおいて大事な要素が詰まってると思いますので。
        中身はともかく。教材としては、決して悪くない筈ですよ?」

森崎「中身についてはノーコメントかよ……まあわかったよ。そこまで言うなら一度解いてやろうじゃないか」

ワルギリア「そのフットワークの軽さ。流石は森崎くんです。では、読み聞かせてあげましょう。
      良い魔女の絵本、『残尿ロベルトと水の魔女』、はじまりはじまり……」


408 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:13:33 ID:???

++++++++++++++++++++++++++++++++++++

【よいまじょのえほん  ざんにょうロベルト と みずのまじょ】


むかしむかし、あるところに、ロベルトというひげづらのおっさんがいました。

ロベルトはサッカーがじょうずでしたが、ざんにょうのせいでいつもおしっこくさく、みんなからきらわれていました。



あるひ、ロベルトがひとりでたちションをしているときのことです。

ロベルトはざんにょうなので、ひつよういじょうにオチンチンをぷるぷるしていると、おしっこが、

とおりすがりのみずのまじょにひっかかってしまいました。



409 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:14:54 ID:???


「よくもこのわらわに おっさんとくゆうのあまいにおいがする きたないおしっこをひっかけおって!」

だいじなローブにおっさんのおしっこがついた、みずのまじょはおおいかり。

「そなたは わらわのみずのまほうでころす!」

そういうと、まじょはロベルトにたいして、みずのまほうをはなちました。


「うわーん まだどうていなのにしにたくないよー」

まじょのすご〜いまほうに、もちろんロベルトはおおあわて。

とくいのこうそくドリブルでまじょをふりきって、ロベルトはじぶんのおうちににげこみました。

だけどまじょはしゅうねんぶかい。このままではきっと、まじょはロベルトのおうちをつきとめ、ころしにやってきます。




410 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:16:03 ID:???


「そうだ! みずのまじょがはいってこないように おうちをがんじょうにふうさしよう!」

そんなとき、ロベルトはいいことをおもいつきました。

そうです。まじょがおいかけてきても、ロベルトのおうちにいれなければいいのです。

ぜんはいそげと、ロベルトはさっそくまじょがはいってこないよう、おうちのふうさをはじめました。



「まずは、おうちのドアとマドを とてもがんじょうにしよう。カギもかければあんしんだ!」

【ロベルトのおうちのドアとマドは、ないがいからのいっさいのでいりがふかのう】になりました。

「まじょは てっぽうみずのまほうで、おうちをこわすかもしれない。カベとかもじょうぶにしたら もっとあんしんだ!」

【ロベルトのおうちは、はかいふかのう】になりました。

「まじょは おうちにあるみずをあやつって ころすかもしれない。すいどうをこわしてしまえば もっともっとあんしんだ!」

【ロベルトのおうちでは、じゃぐちやいどみずなど、いっさいのすいどうせつびがしようふかのう】になりました。

あ、もちろん、【ロベルトがおうちにはいったとき、おうちにはいっさいのみずはありませんでした】。




411 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:17:36 ID:???

「ふー これであんしんだぜい! んじゃ TSU○AYAでかりてきたAVでもみながらねーようっと」

がんばって、がんばって。すべてのこうじをおえたロベルト。これでまじょがはいってくるよちはありませんね。

ほっとしたロベルトは、まじょからにげているときにかりてきた、えっちなビデオをみながらひとしごと。

しかし、です。



「くっくっく そのていどでわらわからにげたとおもっていたのか?」

まよなかのことでした。ひとしごとをおえ、いつのまにかねむっていたロベルトがめをさますと、

みずのまじょはふしぎなことに、ロベルトのおうちにしんにゅうしているではありませんか。



「ど どうしてまじょがオレのおうちのなかにいるのー!?」

「わらわのまほうがあれば このくらいよゆうだ! というわけでしね!!」

そして、みずのまじょは、まほうをつかってみずをよびだして、そのままロベルトにぶちまけました。

「うわーん! まだしにたくないよー がぼがぼがぼ・・・」



――こうして、【ロベルトは、じぶんのおうちで、おぼれしんでしまいました】。



412 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:19:00 ID:???


でも、ふしぎですよね。ロベルトはニンゲンとして、できるかぎりのたいさくをねったはずです。

だって、【ロベルトのおうちのドアとマドは、ないがいからのいっさいのでいりがふかのう】ですから、

まじょはロベルトのおうちにはいることはできません。

それに、【ロベルトのおうちは、はかいふかのう】ですから、

カベをこわしておうちにはいることもできません。


もちろん、がいぶからのえんかくそうさトラップXをりようして、ロベルトをできしさせたかもしれませんが、

【ロベルトがおうちにはいったとき、おうちにはいっさいのみずはありませんでした】けれども、

【ロベルトのおうちでは、じゃぐちやいどみずなど、いっさいのすいどうせつびがしようふかのう】なので、

みずをつかって、ロベルトをころすことはふかのうです。

 ※ちなみに、【ここでの「みず」は、ロベルトのたいえきをのぞくすいぶんいっさいをさす】ので、
  ふつうのみずいがいにも、おゆ、おちゃ、ジュース、ウイスキーるいも「みず」にふくむとします。




413 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:21:13 ID:???


でも、【ロベルトは、じぶんのおうちで、おぼれしんでしまいました】。

ふしぎですよね? まじょはぜったいにロベルトのおうちにはいれないし、そもそもおぼれしなせるための「みず」もなかったのに。

なのに、【ロベルトは、おぼれしんでいる】のです。


え? ロベルトがおうちにはいるまえに、もうまじょがひそんでいた?

いいえ、それはありません。【ロベルトのおうちには、ロベルトいがいのせいぶつXがはいってきたことはない】

のですから。もちろん、まじょはれいがいですけどね。


どうですか?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? まほうがじつざいしないと、ロベルトはころせませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ロベルトはみずのまほうでしんだにきまってますよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? みずのまじょはじつざいするとしか、いいようがありませんよね?




414 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:23:28 ID:???


ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?

ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?
ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね? ニンゲンとトリックじゃせつめいできませんよね?


415 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:25:39 ID:???



つーわけで、ニンゲンとトリックじゃ、説明不可能なんだっつーーーーの!!!!!!
何回も言わせてんじゃねーぞこのクソガキ共ぐわぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!
という訳でさっさとテメエラ無能どもはさっさと屈服して妾に跪けやゴラァァアアアァァァァアアアアッ!
屁理屈ゴネてる暇があるんだったら舐めたい靴の種類でも選んどけィェェェイィェェェェェッ!!!!!



―――くーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっっひゃ!!
あーーーーーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃふひゃぁッ!!!!!!!!!





++++++++++++++++++++++++++++++++++++


416 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:28:17 ID:???



ワルギリア「……と、いうところで出題編はおしまいです。森崎くん、準備は良いですか?」

森崎「準備は良いが……その前に、突っ込みどころが満載過ぎるんだが、この絵本」

ベアト「ぎゃーーーはっはっはは! マジうっけるーーー☆ ロベルトってあのツラで童貞なのかよ!!
    そうだそうだ、怖い夢を見てても、ここのくだりが傑作で笑ってるうちにグッスリ寝れてたんだよなァ!
    あー小さい頃の妾は純粋でピュアだったぬうぁぶひゃっひゃっひゃひゃひゃ!!」

ワルギリア「……もう。本当にその下品な笑いに高慢ちきな語り口は、一体どこから学んだんだか………」

森崎「どっからどーみてもこの絵本の影響だろ! 教育委員会はコイツをまず有害図書に指定すべきだろ、マジで!!」

ワルギリア「……と、前置きはこの程度にしておいて。
       この絵本――いえ、ゲーム盤においては、以下のような不可能状況が提示されています。
       【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】にも拘わらず、【ロベルトは自宅にて溺死した】。
       しかも、
       【ロベルトの自宅の扉と窓からは、内外への一切の出入りが不可能】であり、
       【ロベルトの自宅は破壊不可能】であり、
       【ロベルトの自宅では、一切の水道設備が使用不可】という状況にあったのです。
       加えて、
       【ロベルトの自宅には、ロベルト以外の生物Xの侵入は無い】、
       【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】など、
       細かい条件付けにおいても、あらゆる溺死の可能性を封じ込められています。

       これをもって、この絵本の魔女は、
       「ロベルトは魔女の水の魔法により溺死した。人間とトリックでロベルトの死を説明するのは不可能」
       と主張していますが。……果たして、本当にそうでしょうか。これを解き明かすのが、このゲーム盤の趣旨になります」

417 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:31:54 ID:???
ベアト「くひゃひゃひゃひゃ! 外からの守りは完璧! 自宅内にも死因となる水は存在しない!
    にも関わらず魔女に溺死させられたとなると、こりゃあいよいよ魔法を認めざるを得ないよなァ〜?
    どうするどうするモ・ロ・サ・キィ〜?
    絵本に書いてあるとおり、さっさと屈服して舐めたい靴の種類でも選んでろよォ〜????」

森崎「だーれが屈服するか! こんな子供だましのゲーム盤、簡単に解いてみせるぜ!」

ワルギリア「ほっほっほ。実に頼もしい。では、こんな感じでゲームを始めましょうか。
        あ……【ひらがなの赤字はあくまでフレーバー】ですから、ゲーム自体は普通の文章でいきますよ。
        その方が分かりやすいですからね」

ベアト「まあ、このゲーム盤自体超初歩的なレベルだがな!
    妾まで来ると、馬小屋で生まれた直後に七歩歩いた時点で、この謎のハラワタが分かってたしなァ〜!」

ワルギリア「堂々と宗教を絡めるのだけはやめなさい、ベアト。
       ……ですが、この謎のハラワタは、これまでのベアトのゲーム盤と比べてもとりわけ単純なのは事実。
       軽い気持ちで、推理をして頂ければ幸いです」

418 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:35:28 ID:3aLhvowY
Extra Game 1   魔女の絵本〜残尿ロベルトと水の魔女〜 第一の晩 開始

−魔女の出題(幻想描写は>>408-415)−
【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】にも拘わらず、【ロベルトは自宅にて溺死した】。しかも、
 ・【ロベルトの自宅の扉と窓からは、内外への一切の出入りが不可能】であり、
 ・【ロベルトの自宅は破壊不可能】であり、
 ・【ロベルトの自宅では、一切の水道設備が使用不可】であり、
 ・【ロベルトの自宅には、ロベルト以外の生物Xの侵入は無い】という状況であった。
  ※【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】

魔女側はこれを、「水の魔女が魔法で自宅に侵入し、水の魔法でロベルトを殺害した」と主張する。
人間側は、「魔女の魔法」以外の方法により、今回の状況を再現できる仮説を提示し
(仮説は、【赤き真実】に抵触しないこと)、以て魔術師の主張を否定する必要がある。

−ルールまとめ−
・人間側(=参加者)は、魔女(=GM)に対し、「復唱要求(=事実の確認)」および、
 『青き真実(=魔法を否定するための仮説)』を放つ事ができます。
 
 (復唱要求ならば、要求したい内容を「」に入れて書き込みを。
  青き真実ならば、事件の一連を示した内容を『』に入れて書き込みをしてください。)

・魔女は、参加者の「復唱要求」に対し、【赤き真実(=絶対的な事実)】にて復唱することができます。
 ただし、魔女は「復唱要求」に応ずる義務はなく、応じない理由を示す義務もありません。

・魔女は、参加者の『青き真実』に対し、【赤き真実】にて否定する義務があります。
 否定の方法は魔女の裁量に委ねられますが、ここで『青き真実』を否定できない場合は、魔女の敗北となります。

・人間側は、魔女の【赤き真実】に対し、打ち出せる『青き真実』が出なくなった場合、
 リザイン(=投了)を表明することにより、敗北となります。

・どうしても謎が解けない場合、森崎が自分でヒントを考えつきます。
 ヒントが欲しい場合は、「ヒントが無いか考える」と書き込みして下さい。ヒントを書いていきます。

419 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:38:16 ID:3aLhvowY
このゲームについてですが、突発的に始めたものですので、
時間を定めず、随時ゆっくりペースで復唱要求等に応じていきたいと思います。
(それでも、早い時間でリザイン手が出てくると思っています)

とりあえず今日は、およそ25時くらいまで対応できるかと思います。
突然のゲーム盤ですみませんが、気付いた人は参加して頂ければ幸いです。

420 :森崎名無しさん:2017/04/22(土) 23:45:08 ID:???
「ロベルトの家の屋根から水が入ってくることはない」
『大雨でロベルトの家が地盤沈下し、地面から水が湧き出し、ロベルトは溺死した』

421 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/22(土) 23:56:32 ID:3aLhvowY
>>420
森崎「それじゃあ早速いくぜ!
   復唱要求、「ロベルトの家の屋根から水が入ってくることはない」!
   それと一緒に青き真実!『大雨でロベルトの家が地盤沈下し、地面から水が湧き出し、ロベルトは溺死した』!」

ワルギリア「それらに対しては、二つの赤で応じましょう。
        【ロベルトの自宅において、雨漏りは発生しなかった】、
        【ロベルトの自宅において、地面からの水の噴出は発生しなかった】」

ワルギリアは一切動揺する事なく、事務的に淡々と赤き真実を切り出していく。
そしてそれは、森崎の放った青き弾丸を日本刀の如く美しく両断した。

ベアト「くくくくっ……! 簡単なゲーム盤で勝負を挑んでいるとはいえ、流石はお師匠様よ。
    使い古されたなまくらであっても、まるで名刀の如く無駄なく優雅に振るいおる!」

森崎「ゲーム盤は簡単とは言っても、出題者の魔女が雑魚とは一言も言ってねえ、ってか。
    まあ、流石に一撃リザインがあったらこっちも興ざめだからな。丁度良いぜ」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

422 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:07:04 ID:???
「ロベルトの自宅は一つである」
「ロベルトの自宅に扉や窓以外の隠し通路は存在しない」

423 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:08:21 ID:???
「ロベルトが死亡するまでに月単位の時間は経過していない」
「ロベルトの家には扉と窓以外に出入りできる場所があった」
あ、自分はローファーでお願いします

424 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 00:36:08 ID:NzSFMfew
>>422-423
森崎「復唱要求!「ロベルトの自宅は一つである」、
    「ロベルトの自宅に扉や窓以外の隠し通路は存在しない」!
    それと、「ロベルトが死亡するまでに月単位の時間は経過していない」、
    「ロベルトの家には扉と窓以外に出入りできる場所があった」!」

ワルギリア「上3つ、復唱に応じます。
       【ロベルトの自宅は一つである】、
       【ロベルトの自宅には、扉や窓以外の隠し通路は存在しない】、
       【ロベルトが死亡するまでに、月単位の時間は経過していない】。
       最後の復唱要求には応じません。
       【ロベルトの自宅には、扉や窓以外の隠し通路は存在しない】、
       という、類似の赤が切られていますので」

森崎「ふん、涼し気な顔で応じやがって……!」

ベアト「だが、お師匠様もあれで、妾に負けず劣らず中々に意地の悪いお人よ。
    あの態度に騙されず、ひたすらに赤をすり抜ける、シンプルな青き真実を撃ち抜くが良い」

ワルギリア「そして、ふむ……>>423くんはローファーが好み、と」

ベアト「くくく! そなたも大方>>1のように、その辺を練り歩く女子校生やOLのローファーに欲情する類の輩なのであろう!
    あい分かった! そなたが屈服した暁にはローファーを舐めさせてやろうぞ!
    ……ロベルト(全裸)が着用中のローファーをなぁあぁああぁぁあァァぐひゃひゃはふぐひゃふひィ!!」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

425 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:43:53 ID:???
『ロベルトの自宅には巨大な冷凍庫があり、冷凍庫内部の氷が溶けてロベルトを溺死させた』
『ロベルトは魔女から逃げるときに大量の酒を持っており、その酒で溺死した』

426 :423:2017/04/23(日) 00:44:50 ID:???
ゆ゛る゛さ゛ん゛!!(血涙)
『ロベルトは自身の血液によって溺死した』

427 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:47:13 ID:???
「ロベルトは自身の尿によって溺死した」

428 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 00:52:37 ID:???
『ロベルトは自身の尿によって溺死した』

こっちでお願いします

429 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 00:57:49 ID:NzSFMfew
>>425
森崎「『ロベルトの自宅には巨大な冷凍庫があり、冷凍庫内部の氷が溶けてロベルトを溺死させた』
    『ロベルトは魔女から逃げるときに大量の酒を持っており、その酒で溺死した』!」

ワルギリア「これは既出の赤を活用して切りましょうか。
        【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】。
        そして、【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】。
        そのため、【氷や酒も包括して「水」とみなす】こととします。
        ……つまり、ロベルトが自宅に入った時には、冷凍庫の氷も酒も存在しなかった、と言えるため、
        その青き真実は両方とも、否定されることとなります」

森崎「くそっ……! 本当に簡単なのか、このゲーム盤!?」

ベアト「ああ、まあ……そうであるが。お師匠様も手を抜いてはおらぬからな。
    妾はこのゲーム盤の解法を知っておるが、上手く煙に巻いている印象だ。注意して臨むんだぞ?」


>>426-428
森崎「このヘンもハッキリさせておこうか。『ロベルトは自身の血液によって溺死した』!」

ワルギリア「――ええ、そこはこちらも同感です。【ロベルトは自身の体液によって溺死していない】!
        やや不自然にかける「水」の定義でしたが、これは単純にロベルトの自宅に持ち込まれる水分として、
        体液だけは否定できなかった為、こう書かせて頂いたものです。
        そして、>>428についても同時に否定できます。
        理由はもちろん、【ロベルトは自身の体液によって溺死していない】からです」

森崎「まあ、そんな単純な話じゃないってのは分かってたぜ。気にせず次、行くからな!」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆

430 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:03:37 ID:???
「ロベルトが自宅に入ってから家の中に水が入ってくることはなかった」

431 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:06:45 ID:???
『ロベルトは結露により発生した水により溺死した』

432 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 01:10:36 ID:NzSFMfew
>>430-431

森崎「復唱要求!「ロベルトが自宅に入ってから家の中に水が入ってくることはなかった」。
    次に青き真実!『ロベルトは結露により発生した水により溺死した』!」

ワルギリア「復唱要求については拒否します。理由は特にありません。
       そして青き真実には当然ながら、対応します。【ロベルトの自宅において、結露は発生しなかった】。
       ……と、言ったところで。本日のゲームはここで一旦お開きとさせていただきます」

ベアト「次回の開催は恐らく、明日の夕方ごろになろうか。
    ニンゲンどもはそれまでに精々、魔女を黙らせる青き真実を練っているが良いぞ!」

森崎「チッ。一晩で仕留め損なったか。……まあ良いさ、次は絶対に勝ってやるからな」


☆ワルギリアに対する復唱要求「」あるいは青き真実『』をコメントしてください☆
 ※コメントへの回答は、明日の夕方以降となります

433 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:13:49 ID:???
『ロベルトの家には外付けの巨大な給水タンクがあり、魔女はそこからロベルトの家に大量の水を流し込んだ』

434 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 01:21:13 ID:???
『ロベルトが帰宅し扉を開けた瞬間なんらかの要因で大量の水が押し寄せロベルトは溺死した』

435 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 01:24:58 ID:???
−これまでの赤字−
〜ロベルトについて〜
【ロベルトは自宅にて溺死した】 
【ロベルトは自身の体液によって溺死していない】
【ロベルトが死亡するまでに、月単位の時間は経過していない】

〜ロベルトの自宅について〜
【ロベルトの自宅は一つである】
【ロベルトの自宅は破壊不可能】
【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】
【ロベルトの自宅の扉と窓からは、内外への一切の出入りが不可能】
【ロベルトの自宅では、一切の水道設備が使用不可能】
【ロベルトの自宅には、ロベルト以外の生物Xの侵入は無い】
【ロベルトの自宅において、雨漏りは発生しなかった】
【ロベルトの自宅において、地面からの水の噴出は発生しなかった】
【ロベルトの自宅において、結露は発生しなかった】
【ロベルトの自宅には、扉や窓以外の隠し通路は存在しない】

〜「水」の定義について〜
【本ゲーム盤における「水」とは、ロベルトの体液を除く水分一切を指す】
【氷や酒も包括して「水」とみなす】

436 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 02:51:10 ID:???
『ロベルトの自宅にはそもそも屋根がなく、上から大量の水がロベルトの自宅に流れ込み、ロベルトは溺死した』

437 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 09:27:31 ID:???
「ロベルトは健康体である」
「風呂に水は貼ってあった」
「トイレに水はあった」
『ロベルトは溺死と言っても理想を抱いて溺死した』


438 :437:2017/04/23(日) 09:31:51 ID:???
あ、一切の水はなかったのか
2つ目と3つ目はキャンセルでお願いします

一応溺死の定義でも確認しておくか
「溺死ということは肺に水が溜まって死んだことを表す」
「ロベルトが自宅に入る前に水分をとっていたかどうかは関係ない」

439 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 16:26:25 ID:???
ああ、ドアと窓がないならこれもあるか
『煙突、あるいは換気扇から大量の水が入れられてロベルトは溺死した』

440 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 17:22:06 ID:???
出先から戻ったので、書き始めようと思ったのですが…魔女は>>436の青でリザインを表明します!
描写についてはもう暫くお待ちください。

441 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 18:19:36 ID:???
うーむ、確かに屋根の無い家って妙にロベルトにしっくりくるな

442 :森崎名無しさん:2017/04/23(日) 18:29:18 ID:???
そんな家、やーねー

443 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:42:18 ID:???

森崎「第二の晩を始める前に、昨晩から今までに溜めて来た青をぶつけさせて貰おうか」

ワルギリア「ええ、ええ。当然構いませんとも。……さあ、来るのです」

>>433-434
森崎「青き真実! 『ロベルトの家には外付けの巨大な給水タンクがあり、魔女はそこからロベルトの家に大量の水を流し込んだ』
    『ロベルトが帰宅し扉を開けた瞬間なんらかの要因で大量の水が押し寄せロベルトは溺死した』」

ワルギリア「――【ロベルトの自宅には、外付けの給水タンクは存在しない】!
       そして後者は、【ロベルトが自宅に入った時、自宅には一切の水が存在しなかった】以上。
       その「なんらかの要因」は概ね何であるかを説明できなければ、それを仮説として認める事はできません。
       ……ああ。『ロベルトが帰宅し扉を開けた瞬間、魔女の水の魔法により大量の水が押し寄せロベルトは溺死した』
       と、言うのであれば、私は一向に構いませんが。
       これに敢えて赤を付するならば――【ロベルトの自宅には、大量の水を発生させる装置Xは存在しない】と、なるでしょうか」

森崎「謎の核心部分については、説明不要の装置Xでの逃げは許さねえ……ってか」

ワルギリア「そうですね。この場合、魔女の正体は ザガロ だろうと 琴音 だろうと誰でも構わないのですが。
       やはり、『水も水道設備も無い密室において、どうして被害者は溺死したのか?』と、言う問いかけをしている以上、
       『密室から”なんらかの要因”で水が発生し溺死した』と、いう答えは不完全であると私は考えます」



444 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:44:22 ID:???
>>437-438
森崎「復唱要求! 「ロベルトは健康体である」! 「溺死ということは肺に水が溜まって死んだことを表す」!
    「ロベルトが自宅に入る前に水分をとっていたかどうかは関係ない」!
    更に、青き真実! 『ロベルトは溺死と言っても理想を抱いて溺死した』。
    そう、つまりロベルトの溺死とは比喩的表現で、実際の死因は別だったんだ!」

ワルギリア「ほっほっほ……これはまた、何とも詩的な青を持ってきましたね。
        ですが、これは復唱要求に応ずる事で否定しましょう。
        【ロベルトは健康体である】、
        【溺死ということは肺に水が溜まって死んだことを表す】、
        【ロベルトが自宅に入る前に水分をとっていたかどうかは関係ない】。
        ……理想を抱いて溺死するのは、どこぞの日焼けした○ロウくんだけで充分です」

森崎「くそっ……定義の確認自体は悪手ではないにせよ。今回は違ったみたいだな」

>>439
森崎「これはどうだ……?『煙突、あるいは換気扇から大量の水が入れられてロベルトは溺死した』!」

ワルギリア「【ロベルトの自宅には、煙突および換気扇は存在しない】」

ドーーンッ!
  ――シャキーンッ、ズバァァッ!

幾度目かの森崎の青き真実は、ワルギリアの細く鋭い一閃にて飛散する。
彼女はベアトリーチェのように派手で豪奢な赤を操らないが、その代わりに、一つひとつが鋭く、洗練されている。
千年以上を生きた有限の魔女に相応しい老獪な赤に、森崎は苦戦していた。

445 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:45:22 ID:???
>>436
森崎「いや……こういう時こそ、これまでの赤字を見直すんだ。
    そして、その隙間を掻い潜る青も、きっとあるはずなんだ……!!」

森崎は諦めず、これまでに出された赤き真実を確認し。
果たして……ゲーム開始当初の赤で、不自然な物を発見した。

森崎「……【ロベルトの自宅において、雨漏りは発生しなかった】。
    これって確か、「ロベルトの家の屋根から水が入ってくることはない」っていう復唱要求の代わりに出されたんだっけか。
    当時は気にも留めなかったが。なんで、こんな風に言い直したんだ?」

正確には赤そのものというよりも、この赤が出された経緯が不自然だった。
単純に屋根から水が入って来る事は無い、と。そう復唱すれば良いだけだったのに、
ワルギリアはもう一つの青への回答と合わせた形で、「雨漏りは発生しなかった」、と状況を限定してきた。
本来ならば理由を突き詰めるべき所であったが、彼女のポーカーフェイスを前に有耶無耶となってしまったのである。

ワルギリア「ほっほっほ……どうやら、気付かれてしまいましたか。私の、些細な抵抗の正体に」

森崎「……ああ。あれは、魔女の駆け引きだったってワケだな。
    理由なき復唱拒否で、疑いを屋根に向けさせるのではなく。
    敢えて雨漏りの赤を犠牲にする事で、結果として人間側の目を眩ませた。
    ――自軍の駒を犠牲に、敵側の布陣を崩して大局的な利を得る。チェスで言う所のサクリファイス。
    それをお前はやってみせたんだ」

ワルギリア「良きゲームとは、良きゲーム盤のみによっては齎されない。
        悪辣なる魔女の指し手と、それを覆す人間の執念と。……そして、両者を繋ぐ「愛」こそが重要。
        そういう事です。――さあ、森崎くん。
        そこまで解っているのなら、ひと思いに、このゲームのハラワタを引きずり出してはくれませんか?」

446 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:47:43 ID:???
森崎「分かってるぜ。……つまり、真実はこうだ。
    ロベルトはどうやら無い知恵を働かせて、必死にドアに窓の閉鎖や、水道設備の遮断。
    そして自宅外壁の強化をやって、魔女から逃げおおせようとした。
    ……しかし、ロベルトは。……あのクソヒゲ凡庸残尿頻尿全裸サンバグラサンおじさんは、
    ある大事な一点について、全く何の対策も――いや。対策どころかむしろオープンにしてしまっていた。
    あいつの作戦には、文字通りの巨大な穴があったってワケさ」

森崎の周囲に青き力が満ちる。それは赤く燃え上がる魔法に満ちた絵本を包み込まんとする程に膨張し――。

森崎「青き真実。『ロベルトの自宅にはそもそも屋根がなく、上から大量の水がロベルトの自宅に流れ込み、ロベルトは溺死した』」

カッ! ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

ワルギリア「……お見事です、森崎くん」

青き真実は一点の光に収束すると、そのまま絵本を貫いて、大きな穴を作り出した。
それは、人間とトリックでは説明できないと断言した、悪趣味な絵本の魔女の敗北を意味していた。

447 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/23(日) 19:51:10 ID:???


有限の魔女ワルギリア卿は、
>>436さまの提出した青き真実に対し、リザイン(投了)を表明しました。
よって、このゲームは人間側の勝利となります。お疲れ様でした。

――――――――――――――――――――――――――――――――

……と、言ったところで一旦ここまでにします。
>>441
普通ならあり得ないんですが「ロベルトならやりかねん」と、皆も納得してくれるかなぁ…と期待してましたw
>>442
これは山羊の皆さんの食料確定ですね…(うみねこ並感)

448 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:11:43 ID:???
**************************************
【よいまじょのえほん ざんにょうロベルト と みずのまじょ 〜さいごのページ〜】


なぜロベルトはおぼれてしんでしまったのか、ですって?

うふふ、それはとってもかんたんです。なぜなら、ロベルトはぼんようなので、きづかなかったのですが。

「おまえのいえはなぜかやねがなかったからな こんなん まじょじゃなくてもはいれるぞ」

「あーーーっ! そうかあ! わすれてたあ!!」

そうです。ロベルトのおうちには、やねといいますか、てんじょうがなかったのです。

ぜんらがだいすきなロベルトは、じぶんのおうちもぜんらっぽいのがすきだからと、

ぎょうせいとゆちゃくしている、ゼネコンぎょうしゃにたのんで、やねとてんじょうをはずしてもらっていたのです。




449 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:14:14 ID:???
「とほほのほ。あーあ、しんでしまってかなしいなあ」

しかし、ふくすいぼんにかえらず。ロベルトはじごくで、おんなのくさったふうなやつみたく、まいにちめめしくないていました。

ですがあるひのことです。まいにちないてるロベルトをキモイとおもったえんまさまが、

ロベルトを、じごくからこのよにいきかえらせてしまったのです。


「もとはといえばざんにょうのせいで オレはまじょにころされたんだったなあ」

いきかえったロベルトは、ここでようやくじぶんのざんにょうが、すべてのげんきょうだときづきました。

そこで、ひにょうきかにいって、おいしゃさんにざんにょうをなおしてもらいました。


するとどうでしょう。もともとサッカーがうまかったロベルトは、ざんにょうとくゆうのおしっこくささがなくなって、だいにんき。

つまとあいじんとセフレをてにいれ、ねんぽういちおくえんプレーヤーとして、ブラジルサッカーかいにかがやくのでしたとさ。

めでたし、めでたし。




よいまじょのみんなも、おしっこがでにくくなったら、すぐにひにょうきかにかかろうね。

でないと、ロベルトみたく、わるいまじょにころされてしまうかもしれませんよ。





450 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:16:09 ID:???




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


         よいまじょのえほん ざんにょうロベルト と みずのまじょ

                  
                      お し ま い


                さく・え プブリウス・ワルギリア・マロ



**************************************

451 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/25(火) 00:17:20 ID:???
…書き溜めておいた文を投下して、今日はここまでにします。
次回以降はいよいよ理論編に入っていこうと思います。

452 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:36:25 ID:???
<理論編・魔女の絵本から学ぶゲーム盤の作り方>
(0)はじめに

ワルギリア「……さて。そんなわけで」

森崎「いや、どんなわけだよ。よくもあんなクソみたいな絵本作りやがって……。
   大体、下ネタナンセンスはお前の原作的にもおかしいだろ、お前、そんな奴じゃなかったって」

ワルギリア「そうですね。ですが考えてもみてください。あの絵本を作ったのは、本当は私ではないのかもしれない。
        『たまたま私の本名をペンネームにしていた、 大空奈津子 くんの書いた絵本だった』可能性だって、
       赤で否定されない限りはあり得るのですよ?」

森崎「ああそうだな。ずけずけとそんな大ホラ吹けるあたりは、充分とあんたらしいや。
    ……で、やるんだろ。魔女のゲームの作り方講義」

ワルギリア「ええ、もちろんですとも。とはいえ、>>1が物語を記述する時間の兼ね合いもありますから。
        本日はほんの序文のみを紹介します。

        ……あ。これからの講義の内容ですが、勿論原作及び二次創作においても定義されたものではない、
        完全に>>1の我流オリジナル理論を紹介するものです。また、この理論を満たさないゲーム盤は駄作、
        という烙印を押す為に考えたものではありません。講義という体ではありますが、実際は見習い魔女の>>1が、
        ゲーム盤に関して、徒然と思う事を書きなぐっているだけだと思って頂ければ幸いです。

        そんなんじゃダメだ!……という方はごめんなさい。次から、講義を初めていきます」


453 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:50:48 ID:???
(1)ゲーム盤を作り彩る3大元素、「謎」「戦術」そして「愛」

森崎「まあ、話の都合上、さっきの絵本とゲーム盤を作ったのはお前と断定した上で話を進めるんだが。
    ――あのゲーム盤を作るにあたって重要な事って何だったんだ? 作る立場の意見を聞かせてくれないか」

ワルギリア「ええ、いいでしょう。これは私……というか>>1の場合はなんですがメタ的な発言はこれまでにしておいて。
       ゲーム盤を作り、運営し、結実させるためには大きく分けて三つの要素が大事だと考えています。
       すなわち、「謎」「戦術」そして……「愛」です」

森崎「えらく抽象的な表現だな。勿論、一つ一つ紹介してくれるんだろうな?」

ワルギリア「勿論です。では……さっきから絵本のストーリーに感動して泣いてるベアト。
        それぞれのおおよその意味を、私に代わって説明してみなさい」

ベアト「うええええええん! ロベルトが地獄から蘇っちゃたよおおおッ!
    折角皆が頑張って封印したのに、ひどすぎるよぉぉぉぉおおおおおおぉぉんっ!」

森崎「お前いたのか。……ていうか、そんなストーリーじゃなかっただろ、あの絵本」

ベアト「ふん。妾が童心に帰り無邪気で素直な気持ちになれていたところを邪魔しおって!
    そしてお師匠様ァ。そんな簡単な事を妾に聞かれても困るぜぇオイ。
    ――うむ。たまには妾が自ら答えてみせよう。

    ひとつ。「謎」とはすなわちミステリー。ゲーム盤に与えられた「不可能状況」の構築の巧拙を指し。
    ふたつ。「戦術」とはストラテジー。相手の指し手に応じ、如何に巧妙なる赤を振りまくかの巧拙を指し。
    みっつめは。……えーっと、どんなだったかなァ。妾、忘れちまったよォ」

ワルギリア「はあ。予想通りの答えでしたね。ですが……一つ目と二つ目はまさしくその通りです」

森崎「不可能状況の構築、そして、赤の出し方が大事ってか。……まあ、感覚的に分からんでもないな」

454 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:52:04 ID:???
ワルギリア「ええ。……けだし、屁理屈推理合戦とは、単なる一方通行のミステリークイズではありません。
        魔女は魅力的な幻想を生み出し、人間はその裏に隠れた驚くべき真実を見抜く。
        魔女と人間の双方間の駆け引きと作戦。アクロバティックな暴論が成り立つ、スポーツ的な躍動感。
        それを楽しむことこそが、このゲームの真理と考えます」

森崎「だから、「謎」と「戦術」って訳か。……「愛」が何故必要なのかは俺もイマイチわからんが、そこまでは分かった」

ワルギリア「それは何よりですね。……まあ確かに、「愛」が無くとも、洗練された「謎」と卓越した「戦術」さえあれば、
        その魔女は瞬く間に喝采を浴び、やがてはそのゲーム盤一つ一つが魔女の殿堂に保管されることになるでしょう。
        それだけ、「謎」と「戦術」はゲームの基礎として大事である事は間違いありません」

ベアト「今回の絵本のゲーム盤で言うと、「謎」とは、ロベルトの溺死の謎。
     そして「戦術」とは、お師匠様の赤の出し方やポーカーフェイスにあったな」

森崎「さっきのゲーム。「謎」は今にして思うと単純だが、「戦術」の方に引っ張られてミスリードしちまった所は……。
    悔しいが、認めざるを得んな」

ワルギリア「ほっほっほ。褒めても鯖しか出ませんよ。……ですが、折角そうした流れになりましたし。
        次は「謎」と「戦術」そして「愛」についても、各論的に考えや具体論を述べてみるとしましょうか」


455 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/26(水) 00:53:26 ID:???
…と、いったところで今日はここまでです。

456 :森崎名無しさん:2017/04/26(水) 01:23:33 ID:???
愛に関しては原作作者のせいで叩かれる要素にしか聞こえなくなってしまったの悲しいなぁ

457 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:31:50 ID:???
(2)「謎」・・・魔女のゲームで「叙述トリック」は欠かせない

ワルギリア「さて。それでは魔女のゲームを構成するにあたり重要な第一の元素。
        「謎」に関する各論的な講座に入っていきましょう」

ベアト「さっき妾が言ったとおり、この「謎」とはすなわち、魔女から人間への不可能状況の提示!
     もっと言おうか、「謎」とはすなわち、如何にして上手く不可能殺人のトリックを生み出し、
     それを如何にも不可能そうに提示するかであるッ!」

森崎「不可能殺人のトリックと、その提示か。魔女のゲーム盤で言う所の、
    『ニンゲンとトリックでは説明できませんよね?』ってヤツだな」

ワルギリア「その通りです。魔女のゲーム盤における魔女側の目標は、迷宮入りの事件を作る事ではない。
       そうではなく、如何にして、「こんな不思議な事態は、人間とトリックでは説明できない! 魔法しかありえない!」
       ……と、思わせるかになります」

ベアト「ならば妾がとっておきの赤を出そうぞ! 【ロベルトは魔法で殺された】【魔法は実在する】!
     ――こうすれば誰がどうあがこうと、人間とトリックでは説明できんぞ!
     しかも魔法は実在すると絶対の真実で書かれた以上、もはやニンゲンは屈服不可避だ!!」

ワルギリア「――ですが、だからと言って今のベアトのような発言を、魔女は行う事はできません。
       何故なら……少なくとも、普通の屁理屈推理合戦においては。結局のところ、魔法は実在しないからです。
       あ、ステイルメイト云々の話は後々しますので、お詳しい人もご心配なく」

森崎「まあ、ぶっちゃけるとそうだろうな。色々考えさせといて結局「魔法は実在します」オチは、普通ならあり得んだろ」

ワルギリア「そう。悲しい事に、真実の世界では魔法は実在しない。ですが、現実に不可能状況が存在している。
        ……では、魔法が実在しない中で、如何にしてこの不可能状況が発生したのか?
        その隙間を魔法の代わりに埋めるのが、「謎」という概念になります」


458 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:32:56 ID:???
ベアト「『ロベルトは水の無い、閉鎖された空間で溺死した』。……これは、さっきの絵本で提示された不可能状況であるな。
    これを単純に、『水の魔女が魔法で殺した』……と、言えれば言いのだが。
    一なる真実は、『空間は、実は閉鎖されていなかった』……である。
    ――で、この真実を如何にも魔法っぽく見せる為に、魔女側は『閉鎖された空間”らしさ”』を演出する必要があったという事よ」

森崎「で、その”らしさ”を演出する為の手段ってのが、家は破壊不可能だとか、屋内には水は一切なかっただとかの赤き真実。
    それと、その赤き真実を強調して、いかにも人間じゃ再現不可能だって煽り立てる幻想描写。この二つだったって訳か」

ワルギリア「ええ。そしてそれこそが、魔女のゲーム盤に挑むニンゲン達の前に横たわる「謎」ということになります」

ベアト「……んで、お師匠様ァ」

ワルギリア「……貴女がそのような甘えた声を出すのは、大抵が碌な場面ではありませんでしたね」

ベアト「うぐっ。ま、まあよいではないか。……それよりだな。妾、そういう理論的な話はもう飽きちゃったからさァ。
    具体的にどうしたら面白い「謎」が出来るのか、そろそろ教えてくれないかなーって……」

ワルギリア「…………」

ベアト「そ、そんな風に細めた目を更に細めなくってもいいじゃんかよぉ!
     なんだよお師匠様、そんなに面白い謎を安売りするのが勿体無いってかァ〜?」

森崎「へっ、怒られてやんの。大体魔女のゲームだってサッカーと同じだろ。
    きちんとしたセオリーってのは存在しない。毎日毎日、血のにじむような努力を重ねれば、
    やがて進むべき道も開けてくるって……」


ワルギリア「――いえ。面白い、と断言できるかはともかく。
        全ての魔女のゲームに通底して守るべき、「謎」の作り方のセオリーならば考えられます」


459 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:34:47 ID:???

森崎「ま、マジかよ……」

ベアト「うっひょ〜〜! さっすがお師匠様ァ! で、さっさと教えてくれよォ」

ワルギリア「森崎くんはともかく、ベアトは何度も教えたでしょうに……。
       まあいいでしょう。ズバリ、魔女のゲームにおいて魔女側が作るべき謎とは一つ。『叙述トリック』です」

森崎「じょ……じょじゅちゅトリック……?」

ベアト「ダサッ! 噛んでやがるぜふひゃっひゃひゃひゃァ!」

森崎「う、うるせーやい!」

ワルギリア「……コホン。定義を軽く説明しますと、『叙述トリック』とは、端的に言って物語の登場人物ではなく、
        物語を俯瞰する「読者」を騙す為のトリックです。
        具体的には、物語の登場人物にとっては周知の事実である事(年齢、名前、場所等)を敢えて隠蔽し、
        物語のクライマックスでその事実を明かす事で、読者を驚かせるという手法ですね。
        古典小説ではアガサ・クリスティが超有名な長編を書いていますし、日本の本格ミステリーでは、綾辻行人や、
        我孫子武丸などが、それぞれ有名な小説を書いています。
        タイトルまで挙げてしまうと、その時点でネタバレですから言いませんが」

ベアト「詳しくは、『叙述ミステリー 作品』で検索検索ゥ、であるな!」

森崎「ふーん。そういや考えてみれば俺もサッカーばかりで、本なんて全然読まねえからな……。
    今度、中山にでもお勧めを教えてもらうか」

ワルギリア「……で、本題ですが。叙述トリックの特徴として言いました、
        『物語の登場人物にとっては周知の事実である事象(年齢、名前、場所等)を敢えて隠蔽し、
         クライマックスでその事実を明かす』。
        ……これって、魔女のゲーム盤における「謎」の出し方と似てませんか?」


460 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:35:49 ID:???
森崎「……確かに。魔女の絵本とかはまさにコレじゃねーか。作中のロベルトにとって、
    ロベルトの家の天井が無い事は丸わかりだ。だが、俺達読者には、それは明かされていない。
    いやむしろ、幻想描写や赤き真実を使って巧妙にミスリードしてやがる。
    ……そうか。これが「謎」のキモだって訳だな」

ベアト「魔女の絵本にしても、【ロベルトの天井はオープンだった】という赤を早々に出して、
     『では、魔女はどのようなトリックで遠隔地のロベルトを溺死させた?』という「謎」を、
    中心に持って行く事だってできた。しかし、普通はそんな事はしない。何故だかわかるか?
    ――答えは超簡単。それだと単純に、「面白くない」からよ!!」

ワルギリア「……ベアトの言い方には語弊がありますが。まあ、大枠は間違っていません。
        そうです。所謂、通常のミステリーの文脈で使われるトリック
        ――装置類を組み合わせて作る物理トリックや、電車の接続や乗り継ぎを利用する時刻表トリック等を指します――は。
        正直に言って、魔女のゲーム盤における、主たる「謎」とするには向いていません。
        そしてそれは私の好みではなく、明確な理由があります。

        ひとつ。騙す主体が物語の登場人物となる以上、どうしても派手なトリックを構築しづらい。
        物語の舞台そもそもをひっくり返す事に主眼を置いた叙述トリックに対し、
        通常のトリックは、舞台に立つ役者の目を欺く為のもの。
        舞台の大枠をひっくり返せない以上、どうしても真相が地味なものになりがちです。

        ふたつ。通常のトリックを配置するには、多くの描写が必要となります。
        たとえば、氷が溶けると紐が切れて仕掛けが作動するトラップを考えたとします。
        普通の推理小説であれば、氷の溶けた跡とか紐が切れた跡とか、
        仕掛けの基盤となり得る構造物とかの可能性が事前に文中に提示されるので問題ありませんが、
        事実の多くが、【赤き真実】の中でのみしか記述されない魔女のゲームにおいて、
        この類の謎を主題とされると……夥しい数の赤が出されるか。あるいは、乏しすぎる赤の中で、
        不毛な言い当て合戦になってしまうかのいずれでしょう。
        一方、叙述トリックならば、こうした描写を示す必要はありません。
        なぜなら、解くべき真実については、「敢えて描写しなければ良い」だけなのですから。
        事実を一から十まで書く必要のある通常のトリックと、事実を敢えて書かない事で成立する叙述トリック。
        書くべき事実が、赤き真実によって縛られる魔女のゲームにおいて、どっちの相性が良いかは一目瞭然です」

461 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:38:02 ID:???

森崎「確かに。物理トリックや薬物トリックを使おうとすると、色んな前提条件やら予備知識やらが必要になりそうだが、
    叙述トリックだったら、毒の知識やら物理法則やらを知らなくても作れそうな気がするな……。
    騙す為のアイデアが見つかったら、後はそれを言わないだけでトリック成立だからな」

ベアト「と、言ったところで。ここで誤解の無いよう、今のうちに補足しておくが。
     ――妾達は決して、通常のトリックを地味だとか叙述トリックに劣るとかは言っておらぬし、
     叙述トリックを誰でも作れる稚拙なものであるとも言っておらぬぞ!

     ここでは単純に、そもそも悪魔の証明による説明不要のXがまかり通る魔女のゲーム盤と、
     緻密な説明を要する通常のトリックとの相性は悪く。
     そして、推理小説以上に読み手側の情報が制限される魔女のゲーム盤と、
     情報を敢えて伝えない事で成り立つ叙述トリックとの相性が良いであろう、としか言っておらぬ!

     饗宴の場によって取るべき振る舞いが変わると同じく。
     一つの「謎」についても、披露する場によって、好まれるか否かが大きく異なるという事だ!」

ワルギリア「勿論その通りです。それに、魔女のゲームにおいても、通常のミステリー小説めいたトリックが役立つ時もあります。
        例えば本丸となる謎を前に、クイズじみた謎解きがあっても小洒落ていますし、本丸の謎の格も高まる。
        それと、大規模なゲーム盤の合間を縫った余興としても、物理トリックや時刻表トリックは好まれるでしょう」

森崎「長くなっちまったが。「謎」の主題は、事実を敢えて説明せずに隠蔽する叙述トリックがお勧め……って事だな。
    ああ、それは分かった。分かったが……でも、叙述トリックまみれってバレたら、このゲーム、一気につまらなくならないか?
    だって、叙述トリックは大きく舞台をひっくり返せるって言ってたけどよ。
    それって逆に、大きなものしかひっくり返さないとも言えそうっつーか。……ぶっちゃけ、ネタ切れるの早いんじゃねえか?」

ワルギリア「……そこについては、図星かもしれません。しかし同時に、ともすれば被りネタでマンネリ化しつつある
        魔女のゲーム盤において、ただ魅力的な「謎」を置いただけでは不十分。
        そのゲーム盤を支配する魔女がニンゲンと対峙する際に振るう、「戦術」もまた重要となる事が、
        なんとなく分かるのではないですか?」

ベアト「というワケで、次からは「戦術」について考察していくぞぉ」

462 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/04/28(金) 00:46:28 ID:???
屁理屈推理合戦の謎の核心は物理トリックじゃなくて叙述トリックにした方が面白いと思います。
……と、言ったところで一旦ここまでです。
>>456
私的にはうみねこは神ゲーなので、「愛」にまつわるテーマも重要だと思っています。
原作者の発言もそう言いたくなる気持ちは分かるんですが、それでも擁護できない部分はあるかもですね。
ただ、もしも原作者嫌い(やネットの批判)だけが理由でうみねこを食わず嫌いしてる人は、是非一度プレーしてみてほしいです。
原作者が何を言おうとも、その作品に込められたテーマは決して色褪せないと思います。

463 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/25(金) 00:49:07 ID:???
ワルギリア「……と、思いましたがやっぱりやめました」

ベアト「……って、なにィ!?」

森崎「なんだよ。引っ張るだけ引っ張っておいて、ネタ切れかァ?
    千年を生きた魔女サマとやらも、案外大したことないんだな」

ワルギリア「やめろォ?! ……なんて情けない叫び声はあげませんよ。
        勿論、お叱りの言葉は謙虚にお聞きしたいとは思っていますが。
        ……ともかく、やはり魔女のトリック講座は一旦打ち切って、また次回以降にしたいと思います」

ベアト「えー。でも気になるんだけどよォー。せめて何で打ち切るか位は説明してくれよなァー?」

ワルギリア「理由と言いましても、本当につまらないものですよ?
        >>1が別スレのイタリア編を書きあぐねている間に、イタリア繋がりでゲーム盤を一つ、
        思い浮かんだとかそんなような……げふんげふん。……とにかく、そんなような理由です」

森崎「ったく、思った以上にいい加減な理由だったぜ。……で、それだけ色々投げうってやるからには、
    さぞかし面白いゲーム盤なんだろうな?」

ベアト「くっくっく。ゲーム盤と言ったら妾も放ってはおけぬなァ!」

ワルギリア「そうですね。参加者さんがどれだけ居るかも把握する必要がありますし。
        タイトルだけは先に提示しておきましょうか。
        ――タイトルは、『Catenaccio of the golden witch〜黄金の魔女の閂〜』。
        カティナチオと評されるイタリアサッカーの如く、堅牢な密室を用意しましたよ。
        ……と、>>1は言っているようです」

森崎「そうかい。……ま、俺としては堅牢()にならない事を祈ってるぜ」

ベアト「くっひひひひひ! その言葉はマシな推理を構築してからのたまう事たな!
    てなわけで、シーユーアゲイン。ハバナイスデイ、ってな!」        〜TIPSB 了〜

464 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/25(金) 00:57:02 ID:wkpgoQ/+
突然ですが、別スレのネタを考えてる内に紆余曲折あって、ゲーム盤のネタを思いつきました(汗)
そのため、もし現時点〜明日の夜までに参加希望者が1名でも居た場合、
久しぶりに屁理屈推理合戦をやりたいと思っています。
(実際にゲームをするのは、土日になる予定です。リアル事情等で遅れる場合は、早めに連絡します)

なので、もしも参加希望者が居りましたらこのスレに書き込みをしてください。(agesageは問いません)
本筋の方を更新しないままですみませんが、参加して頂ければ大変嬉しいです。

ゲーム盤のタイトルは『Catenaccio of the golden witch〜黄金の魔女の閂〜』。
本スレイタリア編を下敷きに(?)、魔女によるカティナチオな密室をお送りする予定です。

465 :森崎名無しさん:2017/08/25(金) 08:05:26 ID:???
参加させていただきます

466 :森崎名無しさん:2017/08/25(金) 19:58:50 ID:???
私も参加させて頂きます

467 :森崎名無しさん:2017/08/25(金) 21:53:08 ID:???
拙者も参加させていただこう

468 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:17:20 ID:nPx5i6AA
>>465さん、>>466さん、>>467さん、参加表明ありがとうございます。
沢山の参加希望があり大変嬉しいです。
今回のゲーム盤は複雑かつ描写が多いので、明日の開始に先立って文章の投下だけ、
先に初めてしまおうと思います。





469 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:18:33 ID:nPx5i6AA
   屁理屈推理合戦withキャプ森『もりさきのふっとぶ頃に』
     Episode 4  Catenaccio of the golden witch 〜黄金の魔女の閂〜


おはようございます。

黄金の魔女は久々のゲームを楽しみにしておられます。
一人でも多くの客人を丁重にもてなしたいと仰っております。

もてなしの内容は勿論、極上の意地悪と極上の屁理屈。
魔女は何時でも、ニンゲンを陥れる為には知恵を惜しみません。

難易度は姑息にして陰湿。
皆様、魔女の善意には何卒ご注意下さいますよう、僭越ながら私からも忠言申し上げます。


470 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:20:32 ID:nPx5i6AA
〜イタリア・市場〜

「……………」

女が独り、佇んでいた。

「……どうして、ストラット」

彼女の手には、つい先ほど雑貨屋で購入したアイスピック状の杭が握られていた。
捩れた海蛇を象った装飾をしたそれは、さしずめ中世の呪術に用いられた魔道具にも見えるが、
柄には「MADE IN USA」の文字が小さく彫られている。
彼女は、呪いをするために態々これを買った訳ではないのだ。
しかし、オン・ザ・ロックでブランデーを呑むために購入した訳でも無かった。
それを示すかのように、美しいロングの金髪に隠れたその表情は――暗く歪んでいる。

「どうして、他の女なんかと一緒に会話なんてしてたの……?
 どうして、他の女なんかが吐きだした空気を吸っているの……?
 どうして、他の女なんかが存在した場所に存在しているの……? もう許せない……」

彼女の心は強い深い嫉妬に苛まれていた。きっかけはふとした事であったとしても、
その闇はもう、どうしようも無いまでに彼女を蝕んでいたのだ。

「……くすくすくす」

――そして、『魔女』と言えば、人間の心が生んだ闇につけ入る事が世の常だった。
普段来る事の無い雑貨屋に入り、普段使う筈の無い道具を買い、
そして往来にて悩んだように佇む彼女を、黒き魔女は決して見逃さない。

「やるって決めといて、それで立ちすくんで、ウジウジしちゃうなんて。
 ……ばっかみたい。ヘソでも噛んで、死んじゃえばぁ……?」

471 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:22:37 ID:nPx5i6AA
夜の帳のような紫のドレスを身に纏い、腰には子供っぽく可愛らしいリボン。
レースに大きな薔薇の花飾りのついた帽子を被る、まるで御伽噺に出て来るお姫様のような姿をした
愛らしい魔女は、醜く唇を歪めながら、今宵の贄を見定めていた。

「――まぁ。お試しは、あの子で良いかしらね」

果たして、――黒き魔女は黄金の蝶を一羽、天へと放った。
それは濃密な魔力の籠った鱗粉を振りまきながら、項垂れる少女が手に持つ道具を照らすと。

フワァァッ、パァァァァァッ。ギュイーーーン……。

「この力は……!?」

嫉妬に駆られた少女は、魔女の薫陶を受け、新たなる魔女へと変貌する。
……反魔法の毒素に満ち満ちた、雑踏を通り過ぎるニンゲン共には、
この大いなる変身の意味など決して解りはしない。

「フ……ウフフ……! これなら、殺せる。殺して、愛せる。私は今日、真実の愛を知ったのよ……!!
 待っててねストラット。今から貴方を愛しに行くから……。
 ウフフフフッ、ウフフフフフフフフフフフブブブフヒィィィィイイヤァァァァヤアァァッ!!」

――だが、周囲の理解など得られずとも、今の彼女には関係が無かった。
そもそも、いずれ老いさばらえ朽ち果てる肉の檻から解放された彼女にとって。
原始的かつ野蛮な肉欲を捨て去り、真実の愛を知るに至った彼女にとって。
もはや、下等なニンゲンが勝手に創り出した倫理や世界等はどうでも良い。今の彼女にあるのは、果てぬ愛と憎悪のみ。

「くすくすくす……さ。後はお手並み拝見ってトコかしらぁ。
 新しい魔女と、先代様の古くさぁい『家具』と。……二つが合わされば、そこそこの退屈凌ぎにはなるでしょうし。
 ったく、あのクソババアめ。こんなに楽しい世界、あんたなんかに独り占めなんて、させないんだから……ッ」

その様子を見届けて、黒き魔女は黄金の蝶に姿を変えて消え果てる。
後に遺されたのは愛憎の魔女と、その魔力に呼応して緑色に輝く、悪魔の杭のみだった……。

472 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:23:43 ID:nPx5i6AA
***


〜イタリア北部・山奥〜

ブロロロロ……

バスが軽快な音を立てて、先が見えない山道を走る中、
やがて背の高い尖塔が全日本ジュニアユース代表一同の視界に入った。

森崎「へぇ。あれがイタリアの合宿施設か」

早田「けったいな形してるなァ。あれがボンジョルノの趣味か?」

次藤「物の本によると、古代エトルリア人が作ったオーパーツ的施設らしいタイ。
    なんでも、宇宙人との邂逅を目指したとか、バベルの塔に対抗して作ってみたとか。
    ……むむむっ! これはヤバいタイ。来年、イタリアに恐怖の大王が……」

佐野「次藤さん、多分それ観光ガイドじゃなくてムーとか、それ系の雑誌です」

森崎は仲の良い早田や、国内合宿中に日向との一件で絆を深めた次藤達と、バス内での談笑を楽しんでいる。
修学旅行のようにも見える彼らの穏やかな会話を、代表選手らしからぬ気の緩みと謗る者はいない。
というのも、今回の遠征先への旅程は、明らかに長い旅路だったからだ。


473 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:25:06 ID:nPx5i6AA
松山「Jr.ユース大会を前に、ハンブルグとの練習試合で5−4の勝利を挙げた俺達だったけど、
    それでヨーロッパ中のサッカー協会が警戒しちゃって、どことも練習試合を組ませて貰えなかった。
    その中で漸く、イタリアJr.ユースとだけは『合同合宿』という形で遠征が出来たのは喜ぶべき、なんだろうけど……」

石崎「くーっ、それにしても合宿会場が遠すぎだぜ!? 俺達今、何時間くらい山登りしてんだ?」

説明口調の松山が言う通り、彼らの目的地はイタリアJr.ユース代表との合同合宿会場だった。
イタリアとスイス国境を隔てるアルプス山脈、その中でも最高峰とされるモンテ・ローザの中腹に位置する
その施設への所要時間は、空港から車でおよそ38時間。その間ずっと、彼らはバス生活を強いられていたのだ。

反町「(日本サッカー協会が金欠で、国際サッカー界での発言力が乏しいからって、幾ら何でも舐められ過ぎだろ……)」

日向「喉が渇いたな。オイタケシ、コーラ持って来い」

沢田「はい! 今本社に頼んでコンコルドを手配しました!」

若島津「(モンテ・ローザの奥地にはイエティが棲むという。手合わせしたい物だ)」

とはいえ、彼らの表情は決して暗くはない。それは現状を愚痴っても仕方ないという、
彼らの前向きな気質が現れたとも言え。……あるいは、日本代表という重圧を離れて、
普通の中学生のように友人との旅を楽しむ事が出来る喜びもあったのかもしれない。


474 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:26:12 ID:nPx5i6AA
ブロロロロ……キキッ。

見上「……着いたぞ。ご苦労であった」

……やがて、彼らが到着したのは森崎が尖塔を目撃してから6時間後の事だった。
バスは古びた城塞のような施設の前で止まり、代表選手達を降ろしていく。

滝「ホテル・プルガトリオか。……ダンテもこんな場所で『神曲』を書いたのかな」

井沢「山の中にある煉獄(プルガトリオ)だからな。となると、次に出て来るのはベアトリーチェか?」

森崎「!? ベ、ベアトリーチェだと!?」

来生「……? 森崎、何ベアトリーチェに過剰反応してるんだ?」

森崎「う、うるせぇ。黙ってろ!」

……中世のイタリア人作家のダンテは、『神曲』という有名な叙事詩の中で、
『ベアトリーチェ』という名の女性を登場させている。
永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを迎える彼女は、
やがて彼女の導きによって天界へと昇天する、……という話だったろうか。

森崎「ったく。昔の奴はベアトリーチェを理想化し過ぎだぜ。
    あんなの、エログロナンセンス好きの、ロクでもねえ魔女なだけじゃねぇか……」

勿論、森崎の知人であるベアトリーチェは、ダンテの作品の登場人物とは何の関わりもないが、
森崎はそうこっそり悪態を突きたくなる。……しかし一方で、彼は鞄の中のキーパーグローブを撫でつけてもいた。
黄金の蝶の刺繍がなされた、魔女・ベアトリーチェからの贈り物は確かに上質だったし、
森崎は奇跡的にもシュナイダー相手に1失点に留め、チームを勝利に導く事が出来たのだ。
もっとも、「魔女のお蔭じゃねえ。俺の実力だ」と、森崎はそう言って憚らなかったが。

森崎「(流石にJr.ユース合宿までは付き纏ってこなくて助かったぜ。ま、お土産位は買ってやってもいいかな)」

475 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:28:50 ID:nPx5i6AA
すみません、日本語的に気になった部分を修正します。
誤:永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを迎える彼女は、
  やがて彼女の導きによって天界へと昇天する、……という話だったろうか。
      ↓
正:永遠の淑女として描かれ、天国と地獄の狭間たる煉獄山の頂上で主人公のダンテを天界へと導いた
  ……という話だったろうか。

476 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:30:09 ID:nPx5i6AA

森崎が古めかしいホテルの看板と、滝達の何気ない会話に想いを馳せていると――。

和夫「ウキャッ、キャッキャッ!(うわっ、すげー!)」

政夫「キャキッ、キキウキッ!(なんだこれ!?)」

……立花兄弟が興奮のあまりの猿語で騒ぎ始めた。
一体何事かと思って、森崎や周囲の仲間が双子の方へと向かうと、そこには巨大な像が鎮座していた。

山森「これは……大きな、鳥の像ですか?」

新田「こいつだけ、ボロホテルの外装と比べて綺麗だな……」

山森と新田は物珍しげに、双子が驚いた像に触れている。森崎が興味本位で覗き込むと、
それは大きな鷲の彫像だった。斧の付いた木の束を掴み、翼を大きく広げたそれは、この山奥のホテルにおいて、
誰とも知れずその雄々しさを示していた。

三杉「ファスケス……翼を広げた鷲の像、か」

翼「何か意味があるのかい?」

三杉「多分、サロ共和国との繋がりかな。木の束と、それを掴んで翼を広げた鷲は、彼らの国旗だったし」

若林「……となると、この施設は戦中に建てられたのか?」

山奥の果てにある、中世古城のようなホテル。そこに佇む鷲の像。
何もかもが御伽噺のような断絶された世界に戸惑う、日本代表の少年達に声を掛けたのは。


477 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:36:22 ID:???

ストラット「……いや、違う。建物自体はずっと昔のものだ。
      それを、サロ共和国――イタリア王国を追われたムッソリーニの建てた臨時政権が、
      ここを軍事施設や実験施設として転用していたらしい」

森崎「お前は……?」

ストラット「名乗るならば、まずはそっちの方だろう、ジャッポネーゼ。
       ……とでも言ってやりたいが。まあ良いか、俺の名はチェザーレ・ストラット。
       今日からの合同合宿には、イタリア代表として参加させて貰うぜ」

声を掛けたのは、ストラットと名乗る。
……強がりながらも、どこか暗い表情をした、イタリア人の少年だった。

森崎「……………」

そして、この少年に対して森崎が覚えた印象は、敵意とか好意とか。
そうした尋常かつ分かりやすい感情では決してなかった。
……魔女との戦いを通して、魔法への適性を知れずの内に深めていた森崎だけは、
彼を単なるアンニュイな印象の少年という風には評価しなかった。

森崎「(こいつ。……生きているのに、死んでいるような。いや違う。
     ……こいつは、きっと殺される。それもただ殺されるだけじゃない。
     陰残かつ、むごたらしく、惨めに殺されるような。そんな気がする……!)」

――森崎は察知した。ストラットという少年は、近い内に必ず、死ぬ。
否、殺される。……きっと恐らくは、魔女の手によって。

478 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 01:40:51 ID:???
今回の敵は愛憎の魔女ミアータ、被害者はストラット!
……と、言ったところで一旦ここまでです。
前置きが長くなりましたが、事件自体はシンプルで登場人物も少ないです。

また、今更ですが当ゲーム盤では「うみねこ」原作の明示または暗示の要素・ネタバレを含みます。
「うみねこ」原作を知らずとも楽しめるようにしたいと思っていますが、もしネタバレが嫌ですとか、
原作要素が多すぎてついていけない等ご意見ありましたら、極力は反映させたいです。

今の所、予定通り明日の夜にはゲーム盤に入れるかと思っています。
それでは、また明日宜しくお願いいたします。



479 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:36:16 ID:???
〜ホテル・プルガトリオ ロビー〜

支配人「遥々と日本からよくお越しくださいました。
     私は支配人のカスティリオーニでございます」

漆黒のタキシードを身に纏った老人は、見上を先頭にした全日本Jr.ユースメンバーを恭しく出迎えた。
見上はその老人の恭順さには目もくれず、要件だけを伝える。

見上「……イタリアJr.ユースメンバーはもう着いていますか?
    玄関口に一人散歩しているのを見かけた。出来れば、挨拶をしておきたいのですが」

支配人「かしこまりました。今、会議室を借りてミーティングをしているとの事ですので、
     只今私の方からお呼びつけいたします」

見上「分かりました。……お前達、少しの間自由行動だ。ただし、ここを離れるんじゃないぞ」

そう言うと、老練の支配人は音もたてずにロビーを離れ、薄暗がりの廊下へと消えていった。

来生「えー!? 俺達、こんな所に泊まるのかよ。シャワーってあるの? カラオケは? wi-fiは!?」

滝「おい、失礼だぞ来生! あとwi-fiってなんだよ。今は1980年代だぞ……」

支配人の姿が見えなくなると、空気の読めない来生は早速不平不満を言い始める。
癒し系常識人タイプな滝は慌ててそれを押し留めるが、皆も語らないだけで、概ね来生と同意見だった。


480 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:37:25 ID:???
……ホテル・プルガトリオは本当にダンテの時代からあったかと見紛う程に古い。
観光地などで良くある古民家や古寺を利用した民宿等は、その実現代的な電気設備等が整っている事が多いが、
少なくとも森崎達が視る限り、灯りは全て蝋燭だし、テレビも、ラジオも何も見当たらない。

三杉「僕達が考古学者だったら、今頃狂喜乱舞していただろうけどね。
    ……サッカー選手の合宿先としては、およそ最悪の部類かもしれないな」

松山「もうちょっと言葉を選べよ! ……って言葉がすぐに出て来ない自分自身が情けないよ」

古城を改装して作られたらしいが、前の改装は果たしていつの事なのだろうか。
それこそ、古代ローマ帝国期の城をルネサンス期に改装されて以来、そのままなのかもしれない。

森崎「『城は現代的に改装されている。ただし、その現代とは14世紀時点の事を指す!』
    ……って暴論がまかり通っちゃ、ゲームならともかく現実なら投石ものだぜ」

森崎もまた、どこかの悪趣味好きの魔女が好きそうな空間に放り込まれた事に辟易していた。
現実逃避紛いの屁理屈を一つ捏ね上げながら、しかし、と考えを巡らせる。
……いくらハンブルグに勝ったとはいえ、俺達全日本Jr.ユースが国際社会から舐められ、
あるいは不自然に警戒されているのは事実だ。
だが、だからと言って、そんな俺達をこんな辺鄙な場所に閉じ込めたりするだろうか?
いや、更に言うと、さっき挨拶だけしたストラットが居る通り、今回はあくまで、イタリアJr.ユースとの合同合宿という体なのだ。
即ち、こんな辺鄙な場所に閉じ込められたのは、俺達だけじゃない。
……国内中から期待を背負った、イタリアJr.ユースのメンバーもまた、俺達と同じ憂き目に遭っているのだ。


481 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:38:32 ID:???

森崎「一体何故だ? そもそも、他の海外が断る中で俺達との合同合宿を呑んだイタリアJr.ユースにも、
   何らかの事情があるのか? ……っと。これは何だ? 扉に……デカイ閂……?」

そんな中、森崎は自分達が入って来た入口とは真向かいに、大きな扉があるのを見つける。
城門のように大きな木製の扉には、来る者を必ず拒まんとする意思を表す、巨大な閂がかかっていた。

支配人「これは、中庭への通路口でございます。中庭には離れの祠がございまして、
     そこに通じる唯一の道となっております。
     ロビーと中庭を隔てるこの扉は、聞くところによると14世紀に造られたとか」

森崎「って、うわっ!?」

その疑問に答えたのは、先ほど闇に消えた筈の支配人だった。彼はいつの間にか仕事を済ませて戻り、
一人思念に入る森崎に声を掛けたのだった。

支配人「今からイタリアJr.ユースメンバーとの顔合わせ会を行うようです。他の皆さんはもう行かれましたよ?」

森崎「……げ。マジか」

森崎が少しロビーを見回り思案に暮れているうちに、一同は薄情にも森崎より先に居なくなっていた。
森崎は支配人の案内を受けて、慌ててホテルのうす暗い廊下を走りだす。
……その刹那、少しだけ、見る。不気味なまでな堅牢さを演出する、あの巨大な閂を。

森崎「まるで、冥府の門みたいだぜ……」

あらゆる生者を寄せ付けぬ、その門が開かれる時。その時こそ、誰かが死ぬ。
森崎はそんな幻想的な錯覚を抱いていた。


482 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:40:13 ID:???
〜ホテル・プルガトリオ 会議室〜

森崎「キャプテンでゴールキーパーの森崎有三です。今回の合宿では、イタリアのカティナチオが本物なのか、
    それとも守る事しか能の無い馬鹿の勘違いなのかを見極められればと思っています」

見上「(こいつは……! まあ、イタリアサッカーを凌辱するだの言い出すような、最悪の想定は免れたか)」

見上が胃を抑えるのを尻目に、無難から最もかけ離れた自己紹介をやってのけた森崎は、
不敵にイタリアJr.ユースの面々を一瞥した。

ランピオン「……なんだ、こいつ」

ジェンティーレ「…………チッ」

ヘルナンデス「……へぇ」

森崎「(デキそうな奴らは多分……今、明らかにイラっとした態度を見せたこの3人だな。
     それにしても、さっきのストラットってのはいないのか。アイツも中々の腕前だと思ったんだが。
     ……もしかして、手に余る問題児でチームから孤立しているのか?
     とりあえず、この辺りは後で中里の巻物で能力値を確認しておくか)」

挑発の合間にも、森崎は戦力分析を怠らない。
……本気で、イタリアサッカーが攻撃の出来ない雑魚集団であると、森崎が思っている訳がなかった。
森崎は周囲には尊大な態度を見せつつも、内心では周囲の溢れる才能と実力に絶望し、
それでも諦めず努力を重ね、絶対の奇跡を手にし続けて来た、そんな人間なのだ。
故に彼はどこまでも傲慢で、どこまでも謙虚。
二つの矛盾する姿勢を両立こそが、森崎有三という人間の本質だった。

483 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:41:47 ID:???
ジェンティーレ「だったら、早速後で試してみようぜ。お前達の蹴鞠と、俺達のカルチョ。
          どっちが本物で、どっちが馬鹿の勘違いなのかをな?」

森崎「(このジェンティーレって奴は直情型で、大分プライドも高いみたいだな。
    ……こういうヤツ向けの挑発セリフ、また考えとこうっと)」

ランピオン「よせよジェンティーレ。……やるなら、お前達だけじゃない。全員でだ」

森崎「(ランピオンも優等生ぶってるが、本性の短気な性格が隠せてねぇ。
     こういう中途半端な奴が、後々大事な大試合で一発レッドでも食らって退場するんだよな)」

ヘルナンデス「面白いスピーチを有難う。後でまた聞かせてくれ。……できれば、こうした公的な場以外でな」

森崎「(で、こいつがキャプテンのジノ・ヘルナンデスか……。実力はジェンティーレに劣りそうだが、
     その分キャプテンシーとメンタルに優れているタイプだな。ちょっとだけ厄介そうだ)」

見上「(挨拶の時点で情報戦は始まっている、か。
    やりたい事は分かるが、どうしてお前はそう、我々を安心させてくれないんだ……)」

冷や汗を隠しきれない見上が見守る中、森崎は早速に新たな難敵への対処法を考察している。
しかし状況判断力としては見上の方が正確で、プライドを傷つけられたアズーリの戦士達は、
早速極東からの来客の実力を判断し、……そして必要無ければ嘲り笑い切り捨てようと考え始めていた。

ジェンティーレ「さあ、早速実戦練習とでも行こうじゃないか? ホテルの横には広い平地があるから、
          ここで試合をする事も出来なくはない。あれだけのビッグマウスに相応しい実力を見せてくれよ?」

早速ジェンティーレが、穏健派のヘルナンデスの指示も聞かずに森崎に喧嘩を買いに行った、その時だった。

――カッ! ドオオオオオオオオオオオオオオンッ!
 ……ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ…………!

辺りが光り、そして風が吹き始めた。

484 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:42:54 ID:???
支配人「失礼いたします。……どうやら、突然の吹雪に見舞われたようです。
     恐らくはこれより明日の朝まで、下界の街へ戻る事は出来なくなりそうです」

神出鬼没の支配人がノックして報告せずとも、辛うじてガラス張りだった窓を見れば、一目瞭然だった。
このホテルはロの字型に造られており、客室や会議室はロの字の内側に面している。
よって、森崎達は既に会議室の窓からロの字の内側――即ち、ホテルの中庭を見ていたのだが。

ビュオオオオオオオ……ッ! ゴオオオオオオ……ッ!

翼「……雪、だね。それも、猛烈な猛吹雪だ」

若林「確かここは、モンテ・ローザの標高3800メートル地点に立っているんだったか。
    富士山の頂上よりも高い場所にあれば、夏場でも吹雪があってもおかしくない……」

早田「って、いやいや! なんでやねん!? 俺達一応、サッカーの合宿に来てたんだろ!?
    一体どの世界に、こんな山奥の山荘でサッカー合宿をするバカが居るんだよ……!?」

松山「なんだと!? 早田お前、俺が2年の時に企画したふらの中サッカー部冬合宿をバカにする気か!?
    網走の強烈な地吹雪にも負けずに走り続けた、俺だけじゃない、小田や加藤も……皆の想いまで、
    お前は否定するって言うのかよ!?」

――謎な激昂をする松山を邪険に扱いながら、森崎もひょいと窓から中庭を見ると、
その一面はすでに銀色に覆われていた。これを見て、森崎はますます疑念を募らせる。

485 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:46:11 ID:???
森崎「おかしいぜ……」

次藤「まっこと、おかし過ぎるタイ。イタリア人は皆、松山みたいな奴らばっかりなのタイ?
    そんな訳あるまい。ワシらが巻き込まれた理由はさて置いて、ヤツらはなぜ不平も言わんタイ?」

そして、森崎の疑念に真っ先について来たのは、その体躯に見合わず理知的な次藤だった。

森崎「ああ。見上さんに聞いたが、イタリアJr.ユースの連中が来たのは今日の午前。
    ――つまり、俺達の到着とさして時間的な差はない。にも拘わらず、あいつらは不平も言わず、
    むしろ雪が降っても好都合と言わんばかりに無反応だ。
    さっきまで、俺達との練習試合まで申し出て来たような奴らが、だぜ?
    要するに、あいつ等は、自らこんなクソみたいな場所で合宿する事を望んでいるんだ。……どういう訳か、な」

次藤「他にもずっと不思議に思っちょる事がある。玄関口で遭ったストラットタイ。
    ワシは最初てっきり、ヤツは問題児で勝手に行動していると思っとったが、
    ……誰しもヤツについて、何も語りたがろうとせん。まるで、最初からここに居ないかのように……タイ」

お前はタイを語尾に付けないと死んでしまうのか、というツッコミは避けつつ、
森崎は再び思索に暮れていた。古めかしい雪の山荘。不自然なイタリアJr.ユース。
そして、玄関口で顔を合わせたきり、吹雪が吹いても戻らぬイタリア人の少年・ストラット。
謎を孕んだサッカー合宿は、やがて……『魔女』の手に完全に堕ちる。


愛憎の魔女ミアータ・ベアトリーチェ「ウフフ……みぃつけた、ストラット」


雪の降りしきるホテルの中庭。小学校の校庭程の広さを持つその中に、ポツリと佇む『離れの祠』。
その祠の小さな丸屋根の辺りで、金色の蝶が一匹、フワリと舞った。

486 :吹飛の魔女モロサキーチェ ◆85KeWZMVkQ :2017/08/26(土) 13:48:01 ID:???
……と、言ったところで一旦ここまでです。
ゲームの開始時刻ですが、もう少し更新して、本日の午後22時00分頃を予定しています。
(可能であれば、前倒しで開催したいです。)

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