キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【不屈の心は】鈴仙奮闘記40【この胸に】
1 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/07/16(日) 23:34:44 ID:???
このスレは、キャプテン森崎のスピンアウト作品で、東方Project(東方サッカー)とのクロスオーバー作品です。
内容は、東方永夜抄の5ボス、鈴仙・優曇華院・イナバがサッカーで世界を救う為に努力する話です。
他の森崎板でのスレと被っている要素や、それぞれの原作無視・原作崩壊を起こしている表現。
その他にも誤字脱字や稚拙な状況描写等が多数あるかと思いますが、お目こぼし頂ければ幸いです。
☆前スレ☆
【追う蜃気楼は】鈴仙奮闘記39【誰が背か】
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1488553934/
☆過去ログ・攻略ページ(キャプテン森崎まとめ@Wiki内)☆
http://www32.atwiki.jp/morosaki/pages/104.html
☆あらすじ☆
ある日突然幻想郷にやって来た外来人、アラン・パスカルと中山政男との出会いにより、
師匠に並ぶ名選手になると決心した鈴仙・優曇華院・イナバ。
彼女は永琳の庇護下で実力を大きく伸ばし、幻想郷中の勢力が集まった大会でMVPを勝ち取った!
しかしその夜鈴仙は、自身の成長は永琳の計画であった事、その計画の副作用で
月に眠る大いなる厄災――「純狐」が八雲紫の身体を乗っ取り目覚めつつある事を明かされる。
そして、鈴仙は永琳に懇願される。「純狐」の純粋なる狂気を止めるべく、
次に紫が計画した大会――『幻想スーパーJr.ユース大会』に優勝し、世界を救って欲しい……と。
鈴仙は戸惑いつつも、永琳の願いを受け入れ、
幻想郷の秩序の変革を狙う新チーム・リトルウイングズの一員として、大会に優勝することを誓った。
その後、修行のため鈴仙は単身ブラジルに渡り、様々な困難や出会いを経験しつつも、
アルゼンチンで成長した佳歩達の助力により、リオカップの準々決勝・フラメンゴに見事勝利した。
しかしここで、鈴仙と行動を共にしていた謎の記者アヤソフィアこと射命丸文がチームを離脱。
同時に彼女は語る。自分はかつて「コインブラ」と名乗り、ブラジルに滞在していた事。
自分の愛した義弟アルツールが、暴徒化したファンにより植物人間にさせられた事を。
――いくつもの謎を残しながら、鈴仙達の戦いは続く。次なる相手は準決勝・パルメイラス戦!
森崎の意思を色濃く残し、また、サンパウロへの逆襲に燃える彼らの実力は高く、鈴仙達は苦戦を強いられるも、
イギリスで光を掴むべく覚醒したさとり達の力もあり、前半終了間際で2−0と優位を保っていたが……?
483 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 20:25:44 ID:???
笊どころか枠だろ
484 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 21:04:54 ID:???
レッチェのDFも相当ヤバい
確かにブルノは枠だけどさ、DFで阻止できたシュートがいくらかあると思うんだ
485 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 21:28:15 ID:???
レッチェのDFって確かそこまで悪い性能じゃなかった気もするけど
486 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 21:32:41 ID:???
おそらくブルノさん飛距離、悲鳴、ブッ飛び方の美しさで加点が入る特別試合だったんだよ
487 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 21:43:21 ID:???
レッチェはぶっちぎりで森崎外伝史上最多失点記録賞を獲得ですな
ブルノと愉快なDF達のザルっぷりが神がかり過ぎ!
488 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 22:20:31 ID:???
SOレミルヌのオウンゴール量産は2002年だったからこの世界では記録に残らないな
489 :
森崎名無しさん
:2017/10/16(月) 23:57:02 ID:???
試しについでに
ジュスト
881
490 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 00:56:39 ID:jjq+ybng
>>481
乙ありがとうございます!
ちょっとした遊び心でしたが、ブルノさんの失点量は予想以上でした…
>>482
! powerの最大値って3ケタでしたっけ?だとしたら最大値近辺ですね…
少ない出番を狙って来ています。
>>483
私的にブルノさんはバキュームですね。
>>484-485
レッチェのDFについては何も考えてませんでした(爆)
多分主力が悉く負傷とか悪条件が重なったのでしょう(適当)
>>486
ブルノさんという概念がもはや失点なので致し方ないですね。
チート失点スキルの賜物だと思います。
>>487
最多失点第二位はこれだと思っています。
http://capmori.net/test/read.cgi/morosaki/1384873883/885-887
>>488
ネットで調べましたが、凄い点差でしたね…w 現実は創作以上に凄いです。
>>489
やはりジュスト君の失点力はブルノさん程じゃないにしろ高いですね…
ゲルティス
848
若林
655
とかだったらやっぱり低い数値になるのでしょうかw
491 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 00:57:43 ID:jjq+ybng
−鈴仙の章D− 〜VS サンパウロ〜
鈴仙は夢を見ていた。夢の中では、自分はめそめそと泣いていた。
鈴仙「私はどーせ、いつまで経っても師匠の――永琳様の添え物なんだ。勝てっこないんだ……」
それを笑い飛ばす少年が居た。
一人は素朴な顔立ちの長身の少年。もう一人は片目がやや隠れた長髪の少年。
彼らはともに瞳の奥に熱い想いを宿しながら、鈴仙に寄り添い慰めてくれた。
鈴仙「――でも。私は変わった。変わる事が出来た。中山さんと、パスカル君のお蔭で……」
少年達は消え失せ、その代わりにまだ幼い女の子達が鈴仙を取り囲んだ。
彼女達は個性豊かに泣いたり、笑ったり、激しく頭の悪そうな声を出したり、不思議な機械を取り出したり。
……全員が全員違っていたが、鈴仙の事を心から慕っているのは同じだった。
鈴仙「佳歩……つかさ。霞……Dちゃんに……あとはCちゃん。Kちゃんも居たわね。
永遠亭の名無しのウサギ達。皆可愛いなぁ……」
鈴仙を取り囲んで慕っているのは、子ども達だけでは無かった。
いつの間にか、年長ぶってひねくれた感じの兎少女や、気丈な薄い青髪の女性。
儚げだが力強い不死鳥のような少女に、世界中のならず者どもをファンに従えてるなんか姫っぽい人。
その全員が、常に前向きな笑顔を絶やさない鈴仙を愛し、信頼していた。
鈴仙「てゐ……慧音さん……妹紅……姫様。私……強くなれたかなぁ……?」
なんか姫っぽい人「いやいや、私の描写おかしいでしょ!? この描写をもって『姫様』って言って欲しくなかった!
ブルノさんとか適当にハズして無難にボケて欲しかったッ!?」
492 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 00:59:07 ID:jjq+ybng
……無軌道なノイズから意識を外して、鈴仙の夢は先に進む。
鈴仙は何時の間にか走っていた。周囲のライバルや、新しい仲間達には目もくれず、
彼女は一目散にある女性の背中を追いかけていた。
そして、表の月面のようなモノクロの地平線の果てに――その女性は居た。
長い銀髪を束ねて、赤と青の対照的な服を纏い、鈴仙の遥か前を進む彼女を、鈴仙は呼び続けた。
鈴仙「――師匠。……ししょおっ!」
何故、自分が呼んでいるのか分からない。振り返って欲しいのか、そのまま無視して欲しいのか。それすらも分からない。
それでも彼女は、ひたすらに師匠の――八意永琳の名を繰り返し呼び続けた。
……そうして呼び続けている間に、何故自分がそうしているのか、思い出した。
鈴仙「私は。鈴仙は……じきに貴女の背中に並び立ちます!
私は、貴女の後ろには居たくない。貴女に並び立ち――そして、追い越します!」
……そう、だった。それこそが、鈴仙の原初の目的。
鈴仙は、内向きでプライドばかりが高くて、だけど結果を出せない惨めな自分が嫌で。
それで、永琳に並び立てるような、強い自分になりたいと思い――実際に、彼女は強くなった。
鈴仙「だけど……私の目的は今や、それだけじゃない」
強くなったからこそ、鈴仙の世界は大きく開け――そこで、気付く。いや、思い出す。
今の自分の目的は、永琳の背中を追う事だけではなくなっていたのだと。
493 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:00:25 ID:jjq+ybng
紫「思い上がりも甚だしいわ。貴女は私の可愛い霊夢の強さを引き立てる為のエキストラ。
いえ、そのエキストラである永琳を引き立てる為のエキストラでしかない。
端役は端役らしく、隅っこで縮まっていなさい?」
藍「今の紫様は、正気を失っている。そして――あの方が愛した幻想郷すらも、
今のあの方は、平気な顔をして壊そうとしている。……それだけは、止めなくてはならない」
神子「私は人間の、人間による。人間の為の世界を創る! そしてその為には、どんな外敵すらも排除する!
人里に妖怪を隔てる為の壁を作るのだ。勿論費用は妖怪が負担する。
強い幻想郷を、強い日本を蘇らせるのが、私の使命だ!」
鈴仙の周囲には、様々な思惑が、様々な野望が、様々な信念が渦巻いている。
八雲紫――月の狂気に曝され、今や正気を失っている――による、博麗の巫女を中心とした支配体制の強化。
その計画を止め、あくまで穏健的に既存の秩序を守りたい彼女の式・八雲藍――彼女は今や、紫の虜囚だが。
『ハイパーカンピオーネ』計画を掲げ、陰ながらで着々と実力を付けつつある豊聡耳神子。
彼女の目的はサッカーを通した人気取り。そしてそれを通じた自身による統治の再開だと言う。
そして――。
魅魔「博麗の巫女を中心とする、封建的で伝統的な幻想郷の体勢。
一部の大妖怪が得をして、内向きに閉ざされた世界で飼い殺しにされる弱者達……。
『プロジェクト・カウンターハクレイ』は、そんな幻想郷の秩序に、一石を投じる計画でもある。
――あんた達が創る新チームで、八雲紫や世界の強者共に勝利する事でね」
永琳「鈴仙。……月の狂気が。――『純狐』が、八雲紫を、……いえ、この世界そのものを蝕んでいるわ。
彼女の膨大なまでの狂気と悪意に勝てるのは、貴女しかいない。鈴仙――サッカーで、世界を救って頂戴……!」
ずっと追いかけていた永琳は、いつのまにか鈴仙の傍で嘆願していた。
彼女の隣には永琳の仲間と思われる亡霊や女神。高度なテクノロジーを操る人間達がいて、
鈴仙に語り掛ける。『幻想郷の秩序に一石を投じてほしい』『サッカーで、世界を救ってほしい』と――。
494 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:01:41 ID:jjq+ybng
鈴仙「……正直、やっぱ、よくわかんないや」
そんな彼女達に、鈴仙は頼りなげに首を振る。だけどそれを恥ずかしいとは思わない。
一番最初に自分を照らしてくれた少年は言っていたではないか。『その弱さこそが、鈴仙さんの強さだよ』と――。
だから胸を張って、彼女達に応じる代わりに、こう言ってやった。
鈴仙「私は、強くなんかない。甘ったるいし弱い。だけど、――だからこそ、世界を変えたい。
例え弱くても、一人では何もできなくても、役立たずでも。
それでも、集まって努力すれば、何かを為す事ができるような。
――そんな力があっても、別に良いんだって。私はサッカーで、そんな世界を作りたいッ!
私が戦う理由はそれだけ。『幻想郷の秩序』や『純狐』とかも大事だけど、それが一番よ!」
永琳「鈴仙……よく言ったわね」
コーチ「流石はワシが育てた選手ゾイ! ほっほ、サッカーで世界平和じゃー!」
アヤソフィア「うーん、如何にも中学生っぽいコメントですけど。それがまた、鈴仙さんの味ですかね」
カルロス「君を信用して良かった。いつかきっと、君もアルツールのトモダチになって欲しい……!」
ネイ「ヒュー! さすがレイセン。惚れ直したぜ!」
力強く宣言する鈴仙の傍らには、何時の間にか人が更に増えていた。
そして彼らの全てが、彼女の優しさを、強さを、勇気を褒め称えていた。
そう。今の鈴仙は気弱に泣きじゃくる一人の少女では無いのだ。
これまでの道程が、その決意が、今や彼女を立派な、物語の『主人公』へと育て上げていた。
鈴仙「皆……あり、がとう……!!」
――しかし。
495 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:02:53 ID:jjq+ybng
ヒュンッ、ズバッ! ズバズバッ! ――ピチャッ。
鈴仙の頬に生暖かい物が飛んだ。手で触って確かめると、それは赤黒い鮮血だった。
鈴仙「……え?」
彼女の周囲には、何時の間にか誰も居なくなっていた。
――いや、正確には。鈴仙の周囲の人物は、何時の間にか物言わぬ肉塊に化していた。
「あんたは……単なる偽善者だ」
ズバッ、キンッ!
近くに居た永琳の首が飛んだ。噴水のように血しぶきが噴き上がり、彼女はへなりと地面に溶けていく。
「あんたは……誰ひとりも救えない」
コーチの、魅魔の。カルロスの、ネイの。
そして穣子の、てゐの、佳歩の、つかさの反町の静葉のアリスさんのさとりのお燐の……!
鈴仙の知る全ての人の、仲間の、ライバルの首や肩や腕が外れて吹き飛び、
汚らわしい血と臓物のゴミになり果てていく。
真っ暗な空に、二振りの日本刀が銀色に輝いて、鮮血を積み重ねていく。
鈴仙の大切な人達は全て虚しいモノだと決めつけるように、それは踊り続ける。
鈴仙「……やめ、て……!」
「……どうして?」
その影は哀願する鈴仙を嘲笑する。
496 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:04:00 ID:jjq+ybng
「やめたいのなら、貴女が守ればよかった。それが出来ない貴女は、結局自分が一番大切なだけなんだ」
ビュンッ! 空を切る音と共に、赤色の果実が飛んだ。その果実はなんだかてゐにそっくりだった。
鈴仙「……違う。私は皆と一緒……。皆と、一緒に……!」
「――皆と一緒? 笑わせないでよ。貴女は結局、自分が主人公であるという幻想に酔いたいだけ。
大切な皆は、貴女を引き立ててくれてるから、大切なんでしょう?」
ヒュンッ、バシャッ。バケツの水が零れる音がした。パチュリーの身体が半分になったからだった。
鈴仙「私はそんな事、思ってなんか……!」
「嘘。そんなキレイ事なんて誰でも言える。まあ、あんたみたいな卑怯者、こっちから願い下げだけど」
ビュンッ、グシャグシャッ。刀は一度切られた筈の寅丸星の上半身を四等分にした。
血と肉が、攪拌されて広がって。いつの間にか世界はモノクロから赤と黒に変色していた。
グロテスクな光景を前に、鈴仙は泣く事はおろか、吐く事すらも許されない。
鈴仙「……なんで。なんでそんな事言うの。貴女だって……貴女だって、道を違えこそすれど、私の……!」
「違うッ!」
キンッ! 刀は初めて、鈴仙の方を向いた。明確な殺意の籠った一刀は、鈴仙に反撃を許さない。
497 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:06:20 ID:jjq+ybng
「――あんたは弱い。弱くて、卑怯で、陰湿だ。私は絶対、あんたなんかとは違う……。違わなくちゃ、いけないんだ……!」
刀の一閃が迫る。銀色の刀身に鈴仙の赤い瞳が反射して鈍く輝く。
真っ赤に彩られた世界では、鈴仙の狂気の瞳など、海に落ちる一滴の涙にしか過ぎない。
鈴仙「妖夢。私は……間違っていないと思ってた。だけどどうして……?
一度道を違えてしまっただけなのに。それだけで、もう、私達は……分かり合えないの?」
その赤に佇む真っ黒な影に対して――鈴仙は、大きく叫んだ。
鈴仙「お願い。……お願い。答えてよ。妖夢。……妖夢ッ!」
ヒュンッ。
鈴仙の叫びも虚しく、刃は鈴仙の首元目がけて猛スピードで迫り行き――。
鈴仙「ようむううううううううううううううううううううううううっっッ!!」
498 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:16:19 ID:jjq+ybng
〜ブラジル・コリンチャンスの宿舎(ビジネスホテル)〜
鈴仙「――ううううううううううううううううううううううっ!!」
てゐ「……鈴仙。うるさぁい。むにゃむにゃ……」
鈴仙「……夢、か……いや、夢だよね。うん……」
――そこで、鈴仙の意識は現実に戻された。
ツインルームの相棒は迷惑そうに一声上げるが、構わずに二度寝を決め込む様子だ。
周囲は既に明るいが、時計を見る分に、まだ早朝という時間帯だった。
鈴仙「……はぁ。やっぱり、意識しちゃってるのかな」
幸せそうなてゐは違い、あんな夢を見た後では到底幸せそうには眠れない。
鈴仙「妖夢……サンパウロFCのエースストライカーで。その実力は……今の私を、何周りかも上回る」
夢の最後に現れ、鈴仙の知る人物を悉く血塗れに切り刻んだ影。
その影は彼女のかつての友人で――今や、道を大きく違えてしまった少女だと、鈴仙は確信せざるを得なかった。
鈴仙「(これまでのリオカップの試合を観戦していて感じた。妖夢は――変わった。変わってしまった。
あんなに不器用だけど優しくて、力を他人の為に使い違っていたあの子が、今は……
自分の力に酔いしれ、自分の力以外を信じられず、そして……冷酷に、他人を蹴落としている)」
499 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:19:36 ID:jjq+ybng
それは単なる鈴仙の主観であり、妖夢の姿や振る舞いは本当は、ブラジルでサッカーで食っていく少年達ならば
ごく普通の事なのかもしれない。しかし鈴仙にとっては、その世知辛い『普通』が、何だか嫌だった。
鈴仙「(……はぁ。何だかまだ、夢の続きを見ているみたい)」
赤黒い影も、流れる血も、それは妖夢の鈴仙に対する感情では無い。
どちらかというと、あの夢は――こうやって妖夢の事について思い悩む、自分の心の底の淀みが具現化したものだと思う。
鈴仙「(中山さんは言っていた。『一度道を違えても、必ず再び交わる日は来る。だから、友人はその道を後押しして欲しい』って。
だけど……中山さん。私はあなたの言っている事は、やっぱり間違いだったんじゃないか、って思うよ)」
半ば現実逃避気味に、鈴仙の決断を後押しした者を詰ってみせるが分かっている。
結局、妖夢が今の妖夢になったのは、少なからず、自分の選択によるものが大きいからだ。
鈴仙「(妖夢は力を得るために、神子の『ハイパーカンピオーネ』計画に参加したいと言った。
私はそれを止めなかった。そして、その結果……妖夢は強くなったけど、なんだか変わってしまった)」
……しかし。そう思う事自体がそもそもエゴなのかもしれない。と鈴仙は思う。
変わってしまった、とは言うけれど、もしもそれで友人が幸せそうならば、それを受け入れてあげるのもまた、
友人の務めではないだろうか。しかし。逆説に逆説を重ねながら、鈴仙は思う。
鈴仙「(妖夢。今の貴女は、本当に幸せなの。これで良かったって。本当に思ってるの……?)」
――幾ら考えても、その問いに答えは出ない。そして、その答えは数日後の決勝戦で、
嫌が応にも出されるのだろう。鈴仙と妖夢が対峙し、そして――その決着が付く事で。
鈴仙「はぁ。……さとりさんやアリスさんが作ってくれたメモでも、もう一回見直そうかな」
これ以上は考えない、と決意した鈴仙は鞄からノートを持って来て、
そこに挟めてある一枚紙に目を通す事にした。そこにはサンパウロの有力選手の名前とその特徴が挙げられており、
具体的にはこのように書かれていた。
500 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:20:46 ID:jjq+ybng
−評価基準−
☆=S級選手。とてつもなく強い。真正面から当たるより、避ける方法を考えた方が良い。
◎=A級選手。かなり強い。エース級の人材を当てるか、戦略で上手く立ち回る事を意識したい。
〇=B級選手。強い。高い能力でゴリ押しするか、弱点を突く事が出来れば優位に立てる。
・=C級選手。そこそこ。名無しレベルに近いが、特筆すべき能力を持った選手を紹介。
−サンパウロ 要注意選手リスト−
☆翼
カルロス級の総合力・決定力を誇り、ネイのような神がかり的なプレーを見せ、トニーニョを上回るゲームメイクを見せる
まさしく今大会最高峰の選手。サッカーに対する執着・プライドは非常に高い一方で、精神的ブレが一切無く、
奇策や騙し手はほぼ通用しない。正攻法でも変化球でも、彼に勝利する事は至難の技。
最近、『ファンタジスタ』の技術に剣闘士の如きフィジカルを兼ね備えた、『ファンタグラジスタ』の極意を身に着けたという。
☆妖夢
今大会ナンバーワンストライカーの座をストラットと争える。ちなみにそのストラットは同チーム。
ストラットとの違いは、ダイレクトシュートに長ける事と、自らボールを運ぶ事が出来る事だろうか。
冷徹かつ徹底的に勝利する事を至上としており、鋼の少女とも呼ばれている。
その意志力は強く、負傷や悪体制すらもろともしないが、一度傷が付けば脆い一面もある?
◎ストラット
純粋なキック力の強さでは今大会ナンバーワン。強力なミドルシュートが持ち味だが、
ダイレクトでのプレーも十二分に強烈であり厄介。妖夢との違いは単独ではボールを運べない事と、
攻撃特化の為守備力はそこまででも無い事だが、中盤が強いサンパウロではこの弱点は目立たない。
彼一人がストライカーならば彼をマークすれば事足りるが、彼と同格かそれ以上のストライカーがもう一人居る。
○マウリシオ
新進気鋭の若きMF。総合力はそこそこ高く厄介だが、翼と比べると大分マシ。
独特の軌道を描く『ジョルトシュート』の威力は恐れる程ではない。
それよりも、技巧的なドリブルによるサイド突破から、妖夢やストラットに繋げられる事が恐ろしい。
501 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:21:47 ID:jjq+ybng
○バビントン
サンパウロ古株の頼れる脇役。総合力はそこまで高くは無く、決定力も無いが、安定したドリブル・パスが持ち味。
翼の代役を充分にこなせる程度の実力は兼ね備えている……とは少々言いすぎか。
明確な弱点は無いが、圧倒的な強者を前には見劣りするのは事実。
○アマラウ
コンドルの異名を持つクリアに強いDF。彼が居るせいでダイレクトシュートは撃ちにくいし、
ポストプレイやスルーも効果を削がれてしまう。また、ブロックも下手ではない。
攻撃力が皆無なのは弱点と言えるが、キーガンクラスの名選手である事は間違いない。
○ドトール
コブラの異名を持つタックルが上手いDF。下手に彼に近づくと、撃たれる前にボールを奪われてしまう。
マンマークをされた場合も厄介で、単なる砲台役のFWは役立たずと化す。
パスカットやブロックもそこそここなすし、最低限のボールキープも持つが、攻撃面はやはり弱点か。
・レナート
サンパウロの正GK。妖夢やストラットのお蔭か最近は上達が著しく、スウェーデン代表GK・ガレリと互角の実力者と目されている。
それが果たして本当に強いと言えるか否かはさておき、ポストより充分マシなGKである事は間違いない。
舐めてかかったら痛い目に遭う。
・新田
日本サッカー協会の育成計画により留学して来た。本職はFWだがこのチームではドリブル力を活かしたSHとして活躍。
そのドリブルも世界レベルでは中の上クラスだが、それでもサイド突破は充分な脅威。
シュートへのこだわりが抜けきらない様子で、シュートを撃ってくれればむしろラッキー。
・石崎
日本サッカー協会の育成計画により留学して来た……と言う名目で実際は翼のメンタルヘルスケア役だったと思われる。
選手としての格はフラメンゴの名無し選手レベルだが、アマラウやドトールが得意としないブロックに長けており、
結果的にこのチームで割と輝いている。弱点はブロック以外。
・リマ
リマは強いリマよ
502 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/17(火) 01:25:08 ID:???
……と、言ったところで随分長くなりましたが、今日はここまでにします。
大分更新に間が空いたので、鈴仙の夢のシーンの前半は、これまでの簡単な総括にしたいな…と思い挿入しました。
次回は前から微妙にフラグの立っていた、新田君との特訓パートを入れたいと思っています。
それでは、本日もお疲れ様でした。
503 :
森崎名無しさん
:2017/10/17(火) 01:29:35 ID:???
乙でした
空飛ぶのがデフォの妖怪相手に壁を造るという迷采配
504 :
森崎名無しさん
:2017/10/17(火) 01:59:19 ID:???
乙なのです
鈴仙「あの描写で姫様以外の誰がいると?」
佳歩「思い当たりませんよね」
霞「私のデータにも姫様以外いないですよ」
ウサギC「さすがの私も世界中までは影響力ないしねー」
505 :
森崎名無しさん
:2017/10/17(火) 18:00:25 ID:???
敵の主砲が多すぎるのが厄介だなぁ
DFはそこまででもないしさっさと一点取ったら奪ってサイドからサイドを利用してDFを揺さぶってプレッシャーかけつつ逃げたい
妖夢のディフェンス能力次第だけど
まさかとは思うけどアナカンさんのところのレナートみたいなレナートになってないよね・・・?
506 :
森崎名無しさん
:2017/10/17(火) 19:42:22 ID:???
これだけシューターが多いとライン高く上げて中盤でボール狩りしていくしかないかな。
507 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:07:03 ID:???
こんばんは、今日は1判定だけになりそうですが、更新します。
>>503
乙ありがとうございます。確かにそうですね…w
神子のトランプ壁発言は公式ネタだったりします(文の捏造という扱いですが)
>>504
乙ありがとうございます。ならず者を纏め上げる姫とかカリスマに溢れてて一見カッコいいですよね。
Cちゃんは激しく頭の悪そうな笑い声を出すのと67という数字に拘る以外は人畜無害な女の子です。
>>505-506
作戦について考察して下さりありがとうございます。
多少の強化はされてますが、守備は依然としてサンパウロの弱点ですね…。
攻撃面はこれまでに無く強力ですし、シュート以外(ドリブル・パス)も長ける選手は多いので、
点の取り合いになるかもしれません。後レナート君は一応人間なので大丈夫ですw
508 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:08:30 ID:???
……コン、コンコン。
鈴仙「――って、ノック? 誰だろう……?」
サンパウロの主力選手の実力を想像して早くも溜息を吐き始める鈴仙の思考は、
不意にドアが鳴らされた事で打ち切られた。同室のてゐを起こしてやらないように気を付けながら、
そろりとドアを開けると、そこには。
新田「やっぱり合ってた。こんな朝早くにすみませんね。変なビールサーバー野郎……じゃなくって、鈴仙・優曇華院・イナバさん」
鈴仙「えっ……?(変なビールサーバー野郎……?)」
観戦時はともかく、それ以外では永らく遭わなかった小柄な少年――妖夢が居るサンパウロのチームメイトである、
新田瞬が、相変わらずの不敵な笑みを湛えながら立っていた。
*****
509 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:09:35 ID:???
〜リオデジャネイロ・街中〜
鈴仙「もう。一体どういう意味かと思ったわよ。変なビールサーバー野郎って。幾ら何でも失礼過ぎない?」
新田「すみません。ただ、それだけ初めてスタジアムで会った時の印象が大きくって。
アルバイト中のバニーさんが、仕事をほっぽらかして控室まで何の用だ? 追っかけか何かか?……ってね。
……あの時は確か、サンパウロとパルメイラスとの親善試合の時でしたっけ?」
鈴仙「うん、そう。私も良く覚えているわ。だって……その、初めてブラジルで、妖夢を――友達を見た日、だったから」
新田「……………あ、そうだ。鈴仙……さん。昨日の俺達の準決勝見ましたか?
バスコ・ダ・ガマが相手で、9−0で大勝した。俺も一応1ゴール挙げたんですよ?」
鈴仙「えーっと。うん。勿論見てたわ。翼君が2ゴール4アシストで、ストラット君と妖夢がそれぞれハットトリックだった。
サンパウロは強いわよね。……数日後の決勝戦が怖いわ」
新田「そういうコリンチャンスも、優勝候補を悉く破ってるじゃないですか。
……ま、そのまま敵のストライカーが怖がってくれた方が、俺達的には有利ですけど」
鈴仙「む。言ったわね……」
新田の案内で街中を練り歩く二人の会話は、自然なようでどこかぎこちなかった。
鈴仙は素直にコミュニケーションを取ろうとしているものの、どちらかと言うと人見知りする気質だったし、
新田も、普段は先輩に対しても割と慇懃無礼に接しそうな性格なのに、今日は遠慮している感じに思える。
その結果、二人は一見楽しく話しているように見えて……裏には互いに示し合わせたような一線が、常に引かれていた。
しかし、そんな気まずさが漂う中でも、二人は途中で別れたりもせず、同じ道を進み続ける。
その理由を、鈴仙は、あるいは新田は――何となく察しながら、敢えて声に出さずにいたが。
510 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:10:55 ID:???
〜街中の公園〜
新田「………あの」
――果たして、先に限界に達したのは新田だった。
サッカーの練習が出来る程の広々とした市民公園の芝生のド真ん中で、彼はこう切り出した。
新田「……もし良かったら。今から暫く、俺と特訓しませんか?」
鈴仙「………………!」
鈴仙は、彼がこう切り出すのだろうと、始めから何となく分かっていた。
だからこそ、眠っているてゐを尻目に客室を抜け出し、ホテルからここまでの数十分の道程を、
新田と喋りながら歩いて来たのだ。そして鈴仙が最初から察していた事を、新田も分かっているようだった。
新田「俺はずっと、あなたに興味を抱いていたんですよ。鈴仙さん。
――何故なら、姉御……妖夢さんはずっと、貴女という存在に執着し続けていたから」
鈴仙「興味があったのは私もよ。なんとなくだけど……妖夢は、あなたみたいな子と気が合うと思ったから」
鈴仙と新田は、妖夢という共通の存在を通した利害関係にあった。
鈴仙は変わってしまってからの妖夢を良く知る新田を知りたいと思っていたし、新田はその逆の意味で同じだ。
だからこうして、互いに知り合い交流する事は、互いの目的を満たす為に必要だと二人とも考えていた。
511 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:12:22 ID:???
新田「翼さんみたいな天才でも無い俺如きが、こんな表現をするのも変だけど。
鈴仙さんのプレーは、今の姉御のプレーとは正反対だ。
姉御は抜き身の刃みたいに常に鋭く、冷たいサッカーをするけれど、
鈴仙さんのサッカーは、普段は鈍い感じだけど、ここぞという時の熱量が凄い。
――だから、気になった。姉御と鈴仙さん。二人は具体的にどこが違うんだ?
どっちのサッカーが、果たして強いんだ? ……ってさ」
純粋に新田は知りたかった。今の妖夢と鈴仙との間を隔てる物は一体何で、
一体どうすれば、正反対な二人の力を理解する事ができるのかを。
鈴仙「どこが違うのか、か。私だって分からないよ。いや、感覚では分かるかもだけど。
言葉じゃ表せない。だからそれよりも、私に見せてほしいな。
貴方が今の妖夢らしい、と思っているサッカーを。
……貴方の目から見える妖夢を見る事で、私は、自分の弱さを知り。そして妖夢の強さを知りたい」
鈴仙は教えてほしかった。何の先入観を持たないままに今の妖夢を、そして鈴仙を見て来た者にとって、
自分はどう映るのか。自分と妖夢とは一体何が違うのか。一体どうすれば、再び同じ道を歩む事が出来るのかを。
新田「……ボールは沢山持っています。今の時間なら人も少ないから、迷惑をかける事も邪魔される事も無い。
だから、――存分にやりましょう。そして、教えて下さいよ。あんたのサッカーってヤツを……!」
鈴仙「貴方は素直だけど、同時に凄く野心が強いのね。全ての物をありのままに受け止めて、
全ての物を自分の力にしようとしてる。でも、そんな貴方と特訓できる事はこっちにとっても幸いだわ。
――私は貴方を通して、迷いなく、自分自身を見つめ直したい……!」
――ホテルで出会った時から、二人にとってこの展開は予定調和だった。
かつての友との戦いを前に、自分を見失いつつあった鈴仙は新田の純粋さと貪欲さを求めており、
更なる高みを目指す為にも、信頼できる師と、そのかつての友人を深く知りたい新田は鈴仙のひた向きさを求めていた。
二人は狡猾ながら誠実に、明日への希望と野望を求めて特訓を重ねる。そして、その結果――。
512 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:13:49 ID:vjl478xw
先着2名様で、
★鈴仙の希望→! card★
★新田の野望→! card★
と書き込んでください。数値の合計で分岐します。
(/の左側が鈴仙、右側が新田の成長判定になります)
35→二人に一体何が…? 能力+3、更に更に…?/全能力+2、更に…?
31〜34→超進化!! 全能力+2、更に…?/全能力+1、攻撃系+1
26〜30→進化! 全能力+1、攻撃系or防御系各+1/全能力+1
16〜25→特訓は成功だ! 全能力+1/攻撃系+1
10〜15→そこそこの成果だった。攻撃系各+1/防御系各+1
2〜9 →残念な感じだった…。 防御系各+1/効果なし
*攻撃系=ドリブル・パス・シュート・せりあい で、防御系=タックル・パスカット・ブロック・せりあい です。
*マークか数値が一致した場合、判定に+5されます。これらの効果は重複しません。
*合計値が21以上の時、鈴仙はフラグ習得!(分野は選択で決定)
*合計値が26以上の時、鈴仙は必殺技習得!(分野は選択で決定)
*JOKERが出た場合は『ダイヤの15』として扱います。オールマイティにはなりません。
*今回については、特訓時の上昇制限は才レベル限界の57とします。
513 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 01:15:07 ID:???
★鈴仙の希望→
ハート6
★
私の青春!
514 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 01:17:07 ID:vjl478xw
……と、言ったところで今日の更新はここまでです。
新田君も成長してしまいますが、成長量は鈴仙より控えめ+追加フラグ習得は無しと抑えめになっています。
次回は、通常の練習フェイズ2回とパチュリー&慧音加入の小イベントを経て、
いよいよサンパウロ戦のミーティングに入っていきたいと考えています。
戦術面等につきましては、また色々と考えて頂ければ大変嬉しいです。それでは、本日もお疲れ様でした。
515 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 01:25:05 ID:???
★新田の野望→
ハートA
★
516 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 08:59:39 ID:???
新田さん、なにやっているッスか…
517 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 10:29:35 ID:???
新田が足を引っ張ったなw
518 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 12:23:46 ID:???
新田ェ……
519 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 19:52:08 ID:???
ある意味新田らしいというかなんというか・・・
はっ、まさかこれで相手の時間を無駄にするという新田の知略!?なんてやつだ・・・
520 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 21:18:31 ID:???
ハートで一致ということは…
まさか新田は鈴仙に惚れて集中出来なかったとか!?
521 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:21:21 ID:vjl478xw
更新再開します。
>新田君について
マーク一致なので鈴仙的には最低限の効果はありましたが、
それならもうちょっと良い数字出してくれよって感じですねw
ここで新田の攻撃能力が+1されてたらサンパウロ戦は勿論、全日本でも脅威度がかなり上がってたと思いますが、
このままでは日向や来生には勝てないですね……。
>>513
鈴仙の青春はダイスですね(白目)
>>519
新田君は本スレではあと一歩だったので、外伝では輝いて欲しいという想いもありますね。
時間が無駄になってるのは鈴仙よりも新田自身という事実…
>>520
その展開もモテモテ鈴仙で面白いとか思いましたが、今回だけではフラグは立ちませんね。
JOKERで唐突に惚れる分岐が生じるフラグにはなったかもしれませんがw
522 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:23:20 ID:vjl478xw
★鈴仙の希望→ ハート6 ★
★新田の野望→ ハートA ★
6+1+(マーク一致+5)=12
10〜15→そこそこの成果だった。攻撃系各+1/防御系各+1
鈴仙と新田のごく短い間での特訓。その中で結果を出せたのは――新田ではなく、鈴仙だった。
新田「でりゃぁぁぁっ、『隼タックル』だッ!」
鈴仙「甘いわね。佳歩のタックルよりも軽いわ。……それっ、私流強引なドリブル・『ラビットスターター』よっ!」
ダダダッ、ガシイイッ!
鈴仙「……一瞬でも閃光のように。幻爆・『マインドスパークルマイン』!」
新田「(凄い! 俺の『隼ボレー』が恥ずかしくなる程の速度……そして威力だ!
姉御と互角……いや、軌道のブレによる幻惑が決まったら、決定率はそれ以上かもしれない!)」
新田「――足の速さなら負けませんよ! その程度のパス……うわっ!」
鈴仙「正確にコーンにボールを当てる練習を繰り返した、かつての私の努力を舐めて貰っちゃ困るわ!」
下手な友人や仲間では無く、新田という、適度に距離のある人間と接する事が、
悩んでいた鈴仙にとって丁度良かったのかもしれない。
これまでの積み重ねを、飾らず素直に特訓の場で昇華できた鈴仙は自信を得て、
元々高水準だった実力を更に一回り伸ばす事に成功する。
新田「(……駄目だ。理解できない! 彼女は――鈴仙さんは、俺がこれまで抱えて来たものよりも、
複雑で、重くて、色んな物を抱えている。……分かったのはせいぜい、俺がまだ未熟である、という事くらいだ!)」
523 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:24:49 ID:vjl478xw
逆に新田は、そんな伸びやかな鈴仙の横顔を見て――畏敬の念を覚えていた。
最初は鈴仙のサッカーをも自らのサッカーに取り込む意気だったが、無理であると素直に諦めざるを得なかった。
そんな鈴仙のサッカーに触れて、新田は思う。
新田「(もしかしたら、鈴仙さんなら……勝つかもしれない。姉御……妖夢さんのサッカーに。
複雑で難解で婉曲で。悩みとか迷いで溢れそうな鈴仙さんの人間臭いサッカーは、
機械のように怜悧な姉御のサッカーよりも一見して弱い。弱いけど……倒れなくて、強い!)」
選手としての劇的な成長は得られなかったし、参考となるプレーも見つからなかった。
しかし新田にとって、今回の特訓はある意味ではこれまでのどの練習よりも、実りある物だったかもしれない。
今日の時点では分からなくとも、彼もまた、その複雑さを理解し強くなる機会を得る事が出来たのだから。
*鈴仙の攻撃系能力値が+1されました。
*新田の守備系能力値が+1されました。
524 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:39:53 ID:vjl478xw
<<<鈴仙の章D・基礎練習フェイズその1>>>
鈴仙「新田君との特訓は有意義だったわね。……当の彼は、後らへんは驚きっぱなしな感じだったけど。
でもお蔭で、今なら基礎能力が効果的に伸ばせそうな気がするわ!
……あ、気がするだけで、具体的な上方修正とかは無いけどねっ」
今回重点的に鍛える能力を選んで下さい。カッコ内は現在の能力値です。
A:ドリブル(56) とても上がりにくい
B:パス(55) とても上がりにくい
C:シュート(56) とても上がりにくい
D:タックル(52) 普通
E:パスカット(52) 普通
F:ブロック(47) とても上がりやすい
G:せりあい(54) 上がりにくい
H:フラグの開発をする。(更に選択)
所持中のフラグ:ドリブル(15/20)、低シュート(18/20)、タックル(10/20)、
スキル・アリスさん操作(特殊)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
525 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:41:34 ID:vjl478xw
※全体的な能力値のインフレ傾向を考慮し、成長しやすさについて、バランスを変更しました。
(普通〜上がりにくい以下の基準が緩和されました。能力値53以上の伸びやすさについては従来通りです。)
【旧版】
数 値 練習での上がりやすさ
S:57〜 上がらない
A:55〜56 とても上がりにくい
B:52〜54 上がりにくい
C:49〜51 普通
D:46〜48 上がりやすい
E:43〜45 とても上がりやすい
【新版】
数 値 練習での上がりやすさ
S:57〜 上がらない
A:55〜56 とても上がりにくい
B:53〜54 上がりにくい
C:51〜52 普通
D:49〜50 上がりやすい
E: 〜48 とても上がりやすい
526 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 23:44:38 ID:XNJSoLaA
D
527 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 23:46:37 ID:NSxpsvIs
D
528 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:46:46 ID:vjl478xw
参考:鈴仙の能力値(特訓後)
選手 ド パ シ タ カ ブ せ 総 高/低
鈴仙 56 55 56 52 52 47 54 372 3 4
所持中のフラグ:ドリブル(15/20)、タックル(10/20)、
スキル・アリスさん操作(特殊)、てゐとのコンビプレイ(ワンツー)(10/20)
最大ガッツ:990
ルナティックブラスト(1/4でドリブル+4)
ラビットスターター(1/4でドリブル+2、吹飛2)
マインドシェイカー(シュート+5、1/4で敵GKにバランス崩しペナ(−2))160消費
マインドブローイング(シュート+7、1/4で敵GKにバランス崩しペナ(−2)、吹飛5)200消費
マインドエクスプロージョン(シュート+9、1/4で敵GKに転倒ペナ(−4)、吹飛2)250消費
マインドスターマイン(空シュート+4、1/4で敵GKにバランス崩しペナ(−2))200消費
マインドスパークルマイン(低シュート+6、1/4で敵GKに転倒ペナ(−4))300消費
マインドベンディング(近シュート+5)120消費
インビジブルデューパー(シュート+12、要てゐ(※))250×2消費
真実の友情(シュート+14、要佳歩、てゐ(※)、ポスト・枠外無効)250×3消費、1試合1回限り
※発動の起点はてゐ。発動には(佳歩と)てゐと鈴仙がゴール前まで上がっている事が必要。
リフレクトバレット(低シュート+6、要パスカル、200×2消費)
月人師弟コンビ(パス+2の連続ワンツー、要永琳)60消費
タイガーバニーシンフォニア(パス+2の連続ワンツー、要星)80消費
マインドストッパー(1/4でタックル+3)
アイドリングウェーブ(1/4でタックル+2)
ディスオーダーアイ(1/4でパスカット+3)
アキュラースペクトル(1/4でパスカット+2)
スキル・狂気の瞳(全判定につき、スート一致時で敵能力−2)
スキル・心象操作(自分が反則時の判定1段階緩和)
スキル・足が速い(細かい判定で有利になるかも?)
スキル・オフサイドトラップ(前線へのスルーパスを1/2でオフサイドにできる)
スキル・フェアプレイ精神(鈴仙は反則を犯さず、代わりに鈴仙が反則の条件を満たした場合−3のペナを負う)
529 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:49:57 ID:vjl478xw
D:タックル(52) 普通
鈴仙「やっぱり、前線でのボールカット力を鍛えなくちゃね!」
鈴仙は試合を見据え、実践的な形でのタックル練習に取り組んだ。
先着1名様で、
★鈴仙のタックル練習→! card★
と書き込んでください。数値・マークで分岐します。
JOKER→+2&必殺フラグ習得!(フラグがある場合は回収)
13→+2!
2〜12→+1!
1→効果が無かった。
530 :
森崎名無しさん
:2017/10/18(水) 23:51:25 ID:???
★鈴仙のタックル練習→
スペード3
★
531 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/18(水) 23:58:59 ID:vjl478xw
★鈴仙のタックル練習→ スペード3 ★
2〜12→+1!
鈴仙「わっせ、わっせ……。ふう。これで単なる吹っ飛び役にはならないで済むかしら?」
鈴仙はタックルの基礎力を向上させる事に成功した。
*鈴仙のタックルが+1されました。52→53
532 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/19(木) 00:00:33 ID:eBI82f0I
<<<鈴仙の章D・基礎練習フェイズその2>>>
鈴仙「さて。今後の日程や休養日的に考えて、今が決勝前に出来る、最後の練習時間になりそうかしら?
時間も少ないから良い成果が出るとは限らないにしても、悔いが残らないようにしないと!」
今回重点的に鍛える能力を選んで下さい。カッコ内は現在の能力値です。
A:ドリブル(56) とても上がりにくい
B:パス(55) とても上がりにくい
C:シュート(56) とても上がりにくい
D:タックル(53) 上がりにくい
E:パスカット(52) 普通
F:ブロック(47) とても上がりやすい
G:せりあい(54) 上がりにくい
H:フラグの開発をする。(更に選択)
所持中のフラグ:ドリブル(15/20)、低シュート(18/20)、タックル(10/20)、
スキル・アリスさん操作(特殊)
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
533 :
森崎名無しさん
:2017/10/19(木) 00:02:28 ID:9ed6yrHs
E
534 :
森崎名無しさん
:2017/10/19(木) 00:06:08 ID:cPKKAKE+
E
535 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/19(木) 00:06:35 ID:eBI82f0I
すみません、所持中のフラグの低シュートはミスですね…既にマインドスパークルマインを習得していますので。
現在のフラグはドリブルとタックルになります。
なおフラグ開発では、鈴仙はフラグ経験値+! diceを得る事ができ、経験値(フラグ横の数字)が20に達するとフラグを回収します。
536 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/19(木) 00:08:45 ID:eBI82f0I
D:パスカット(52) 普通
鈴仙「後1回しかない練習だもの。ここは確実に基礎を磨いていかないとね……」
鈴仙は基礎に立ち返って、パスカットの練習に熱心に取り組んだ。
先着1名様で、
★鈴仙のパスカット練習→! card★
と書き込んでください。数値・マークで分岐します。
JOKER→+2&必殺フラグ習得!(フラグがある場合は回収)
13→+2!
2〜12→+1!
1→効果が無かった。
537 :
森崎名無しさん
:2017/10/19(木) 00:09:31 ID:???
★鈴仙のパスカット練習→
クラブ6
★
538 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/19(木) 00:13:04 ID:eBI82f0I
★鈴仙のパスカット練習→ クラブ6 ★
2〜12→+1!
――タッ、パシッ。――タッ、パシッ。――タッ、パシッ。
鈴仙「……ふう。まあ、こんなものかしら?」
鈴仙は基本的なパスカットの動作を確認し、元々の技術を更に洗練させる事に成功した。
*鈴仙のパスカットが+1されました。52→53
539 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/19(木) 00:16:03 ID:???
……と、言ったところで短いですが今日の更新はここまでにします。
次回はパチュリー&慧音の加入描写を挟みつつ、遂にサンパウロ戦ミーティングに入りたいと思います。
大雑把な能力傾向については
>>500-501
でも描写しましたが、色々戦術等を考えて頂けるよう工夫できたらと考えています。
それでは、本日もお疲れ様でした。
540 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/19(木) 22:36:49 ID:???
今日は仕事がとても忙しいので、更新をお休みします。
541 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 00:02:15 ID:???
〜コリンチャンス宿舎(ホテル)・コーチの部屋〜
コーチ「……………」
カリ、カリカリ……。
白髪に髭をぼうぼうに生やした老コーチは、ノートに書く手をふと止めた。
外の光が眩しくなっており、気付けば夜を明かしてこれをしたためていた事に気付く。
最近はめっきり起きれなくなっていただけに、自らにここまでの気力が残っていた事を、彼は静かに驚いていた。
コーチ「(……これも、レイセンのお蔭か)」
立ち上がり、曲がった腰を伸ばしながら、老人は――いや、実際の年齢はもっと若いのだが、
様々な困難を経験した彼は既に、他の同年代のどの男よりも老いていた――、そう思う。
コーチ「(富。名声。夢。希望。理想。コリンチャンス。仲間達。家族。そしてサッカー……。
私はこれまで、多くの物を失って来た。残されたのは、この空虚な肉体だけだと、ずっと思っていた。
あの子が、ここに来てくれるまでは……)」
最近の彼は満たされていた。貧しいながらも楽しいクラブハウス(ボロ居酒屋)での日々や、
指揮官としての名声や、旧友との和解は、勿論大きかったが。
何より、文句を言いながらも祖父のように慕ってくれる素直な少女の存在が、今の彼を救っていた。
コーチ「(……思えば、皮肉な物だ。貧しかった私はサッカーで金を得、身を立て医師となり。
サッカーによる活躍で、理想を実現する為の名声を得たにも関わらず、その理想は阻まれ。
そして、全てを失ったと思いきや、再びサッカーを通して、また新たな物を得つつある。
この世に神が居るとすれば聞きたい。何故にサッカーは、私をこうも翻弄するのか)」
ロベルト・本郷やエベルトン・レオンと共にブラジルサッカー黄金時代を築き上げ、
政府の陰謀によりその歴史の表舞台から追放された男は、皮肉気に嗤う。
542 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 00:03:32 ID:???
コーチ「……さてと。サンパウロとの決勝戦は、今日だったな?」
そう独り言ちて、彼は再度リオカップの日程を確認する。間違いない。
今日こそが、コリンチャンスがブラジル若手サッカーの登竜門・リオカップの決勝戦にて、
超強豪・サンパウロと対峙するその日である。彼は祈る。
コーチ「神よ。願わくば……私を今日も生かして欲しい」
――『サッカーで世界を平和にする』。若き日の彼の口癖だった。
そして、そのバカげた言葉を真に受けて、更にバカげた言葉を言った娘が傍にいる。
「――だったら。私がコーチの夢を引き継ぎます。
前に言いましたよね。『私はサッカーで世界を平和にするんだ』……って。
コーチがもう動かないなら、私が、貴方の代わりに夢を叶えます」
始めは鬱陶しいとも思ったが、今は違う。
彼女の暢気で、狂気で、しかし、真っ直ぐな赤い瞳を、彼はどこまでも信じたかった。
だからこそ、彼は毎日――鈴仙が自分を起こしてくれたあの日から毎日――祈り、願い続けている。
コーチ「レイセンが――私の理想を継ぐと言ってくれた、私の愛する義娘が。
彼女が成長する姿を、今日もまた、その傍で見せて欲しい。
いつか、彼女が理想を叶えてくれるその日まで……私を生き永らえさせてほしい」
そして。この世に神が居るとすれば――それは少なくともこの老人にとって、最後までどこまでも残酷だった。
543 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 00:06:39 ID:???
コーチ「ゴホッ! ゴホゴホッ! ……ウグッ。ウウウウッ……」
ボタリ。ボトッ、ドバアァァァァッ……。
咳き込むと赤黒い血が手から漏れる。この程度ならば、最近では日常茶飯事だったので驚かない。
しかしその直後、吐き気を覚えて大量の血液を地面にばら撒いた直後では、覚悟せざるを得なかった。
――自分はもう、見る事が出来ないのだと。
彼が晩年愛した義娘が、ブラジルサッカーの大舞台で活躍し、その理想の第一歩を踏み出す、その瞬間を。
コーチ「(もう……時間、切れか……)レイ、セン。……悩む事は無い。そして……先に、進めよ。
お前一人じゃあない。仲間と。それと……道を違えた友人とも……。お前なら、上手く、やって、いけ……」
……バタリ。
彼女がその声を聴く可能性など万に一つも無い。しかし老人は、そう口にせずには居られなかった。
人知れず去りし老兵など気にせず、天下を取って欲しい。そして、理想を実現して欲しい。
彼は倒れる前に簡単な『工作』を施して――そして、安心しきった表情で彼女を見送った。
*****
544 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 00:20:58 ID:???
一旦ここまでです。今晩中には選択肢まで書き上げたいです…
545 :
森崎名無しさん
:2017/10/21(土) 01:03:21 ID:???
一旦乙です
コーチ、無茶しやがって……
546 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 03:49:00 ID:???
〜マラカナンスタジアム・控室〜
鈴仙「……いよいよ、決勝戦ね」
鈴仙は緊張していた。しかしそれはコーチの不在による物ではない。
自らの海外修行の総決算。そしてかつての友人・妖夢との対峙による気持ちの昂りが原因だった。
てゐ「それにしても、あのエロスケベジジイコーチには呆れるよねぇ。
『見たいAVがあるから決勝戦休むゾイグヒヒ』なーんてさ。隠れた名将気取ってるのは知ってたけど、
別に決勝戦の場くらい、隠さなくても良いじゃんよぉ」
静葉「……でも、これもまた作戦かもしれないわ。先のパルメイラス戦で、コーチさんは隠れた実力を発揮した。
その結果、彼の真の実力や輝かしい過去がマスコミにも大きく取り上げられている。
だからこそ、敢えて不在を装う事で、敵の油断を誘おうとしているのかもしれないわ」
穣子「でもやっぱり、作戦と見せかけて普通に見たいえ……え……えっちなビデオがあったのかも……ねぇ?」
お燐「一昨日も、あたいがゴミ捨て場で遺棄死体漁ってたら、あのおじいちゃん、遺棄エロ雑誌漁ってたしねぇ〜」
さとり「昨日貴女が不在にしている時、私の部屋に警察が聞き込みに来た理由が良く分かりました。
お燐、外の世界で死体を漁って持ち去るのはご法度って、いつも言っているでしょう?」
反町「(幻想郷でもご法度だと思うぞ……?)」
547 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 03:50:14 ID:???
コーチは倒れる前の『工作』で、偽の不在理由を作り、今日の試合に参加できない旨を
コリンチャンスのメンバー達に伝えていた。そのため、メンバー達は彼の不在を訝しみこそすれども、
真意には誰ひとり気付いていない様子だった。
鈴仙「(おじいちゃんも……コーチも根は真面目だから、本当にAVを見てる訳じゃないだろうけど。
でもやっぱり、確かにおかしいような。まあ、でも。まずは決勝戦に集中しなくちゃ……!)」
――この中では一番長くコーチと付き合っている鈴仙は、違和感に気付きつつあったが、
それよりも目先のプレッシャーの方が圧倒的に大きかった為に、それ以上の思考には至らない。
佳歩「と、とにかくっ。コーチさんがこのまま来ないとしたら、私達が作戦を考えないとですよね!」
つかさ「……けれど、今回の作戦立案は少し難しいですわ。サンパウロ戦は可能な限り観戦して、
データを取っていたけれど、私の観察眼とデータ収集能力には限界があります。
もし、霞ちゃんが居れば違ったのかもしれないけれど……」
鈴仙「そうねぇ……。これまでは私達だけでも何とか作戦を練るなり、正面から突破するなりできたけど。
今回は互角じゃなくて、格上のチームが相手だもの。やっぱり、きちんと策を練らないと――」
アリスさん「(こ、これはブレイン派の私が戦術を練り、その緻密さで人気者になるパターンねっ!
パターン! パターン入ったコレ! 来た! これで勝った! 人生勝ち組ッ!?)」
そして勿論、来たるべき決戦へのプレッシャーに気押されているのは、鈴仙だけでは無い。
チームメイトも不在のコーチよりも、試合のフォーメーションについて検討している方が有益だと思っていた。
そのため、流れは通常の試合前のミーティングにすぐに移行し、
持ち前のブレインを活かす場面にアリスさんは内心でウキウキ気分になるのだが――。
548 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 03:53:01 ID:???
パチュリー「――それならば、賢者の助力が必要ね」
アリスさん「そ、その声はっ……!?」
カツン、カツン……。
頭脳キャラというアリスさんの数少ない心の拠り所を奪わんと、無慈悲で冷静な声が響いた。
乾いた二つの足音が控室の入り口から聞こえて、鈴仙達が振り返ると。
パチュリー「来たわ。……さ、安心なさい。これで貴方達の勝利は確定したのだから」
慧音「――私も戻った。微力ながら、只今より貴殿達に合流させて貰う」
鈴仙「慧音さん。……マスター・パチュリー。戻ったんですね!」
――ここに、鈴仙が率いる新チーム・リトルウイングズ内でも屈指の実力者二名が揃い。
決勝戦を前にする皆の不安は一挙に希望へと傾いた。
アリスさん「(あ……。ブレイン派キャラ被っちゃったかー。地味に常識人系キャラも被ってるしぃ……。
これ……もしかして、私に対する周囲からの悪意の発露かな? 皆はいつもそうだ。
いつもそうやって笑顔のまま、私から居場所を少しずつ削ぎ取っていくんだ…………。
殺される。このままじゃ殺される。殺さなきゃ殺される……ウフフ……)」
さとり「(アリスさん……だから抗不安剤はきちんと飲んでおけと注意したのに……)」
なお、約一名が自らのアイデンティティに関する不安に苛まれているのはいつもの事である。
*パチュリーと慧音がコリンチャンスに合流しました。
549 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 03:54:11 ID:???
−−@−− @レナート
B−C−A B石崎 Cアマラウ Aリマ
−−D−− Dドトール
−−G−− Gバビントン
E−−−F Eマウリシオ F新田
−−I−− I翼
−−−J− J妖夢
−H−−− Hストラット
サンパウロ 4−3−3
パチュリー「……まず間違いなく、サンパウロはこの布陣で来ると思うわ」
アリスさん「そうかしら。断定できる根拠は?(守るのよ! アリスさん! 私の皆からの信頼を。
ブレイン派キャラとしての、私の居場所を。存在理由を………!!)」
慧音「(彼女がアリスさんか。確か博麗連合でも、チームのブレイン役として活躍したと聞くが。
一体どうして、パチュリーに対しかくも強い対抗意識と焦燥感を頂き続けているんだ……?
同じ仲間だと言うのに……)」
パチュリーはチームに合流するや否や、その慧眼で仲間達の注目を買った。
パチュリー「根拠は3つある。根拠その1、これまでの試合の記録を見ると彼らは変わらずこの布陣で戦っている。
根拠その2、サンパウロの選手は役割傾向がハッキリしているため、他に適当な布陣の選択肢が少ない。
変動があるとしたら、I番の翼とJ番の妖夢位かしら。ただ、それにしてもスターティングで奇策を撃たないでしょうね。
その理由が根拠その3。慧音とこの私が加入して漸く、コリンチャンスとサンパウロは互角程度の実力差だから。
そんな中で、敢えて奇策を取る理由もないし、奇策を取りたがる傾向の選手も居ないでしょう?」
アリスさん「む、むぐぐ……! 確かにそうね……」
550 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 03:57:11 ID:???
静葉「では、この布陣で相手が攻めて来るとして。私達はどう相手を突破すれば……?」
パチュリー「そうね。……大きく分けて、二つの考え方があるかしら」
良い感じの反論が出来ず悔しがるアリスさんを尻目に、パチュリーは静葉の問いに応える。
パチュリー「一つ目は王道だけど、サイドを軸にした攻め方。……と言っても、単なるドリブル突破じゃない。
サイドと中央とのパス交換を増やして、サイドチェンジも交えながら、敵を翻弄する事を念頭に置く。
サンパウロは守備力の高い選手が中央に寄りがちだから、お手軽に高い効果を上げられるでしょうね」
つかさ「確かに……。サイドハーフの新田さんやマウリシオさんは、攻撃力は中々でしたが、
守備力については翼さんとか、後ろのドトールさん頼りだった風に思えます」
てゐ「DFでも、石崎やリマってのはタックルとかパスカットはお粗末極まりなかったしねぇ。
センタリングやり放題かもしれんよ、こりゃ」
アリスさん「と……とは言っても欠点があるわ! 幾らサイドを素通しできても、
敵のCBのアマラウ君はクリアの名手! センタリングの効果は薄いかもしれないわよ?
後それに、…ボールのやりとりが多過ぎると、ドトール君にボールを刈られるリスクも高まるし」
パチュリー「その指摘は正しいわ。だから、もう一つの攻め方がある。
中盤のMFを大量に増やして――この際ゼロトップでも良いわ――、
中央の精鋭選手を数で突破しつつ、アマラウやドトールのマーク先をばらけさせ、
その中でミドルシュートを撃ちまくる戦術よ」
佳歩「ミドルシュートを、撃ちまくる……!」
反町「(となると、俺のシュートも出番になって来そうだな……)」
つかさ「ですが、ミドルシュートを撃ちまくると一言で言いますが、シュートは多くの体力を消耗しますし、
失敗した場合はカウンターのリスクも高まります。
シュートは数よりも、質を求めるべきではないでしょうか?」
551 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 04:00:04 ID:RIcfMbDQ
パチュリー「この辺りは、トレードオフね。質を求めるならば、慎重にサイドを揺さぶった方が良い。
勿論サイドを速攻で攻め落とす考え方もあるけれど、攻め手が孤立しては意味が無いからね。
だから私は、『じっくりとしたサイド突破』か、『中央突破とミドルシュート連発』。
この二つの策を取るのがベターだと思っているわ。――鈴仙、貴女はどう思う?」
鈴仙「わ、私ですか……?(流石はマスター。どっちの攻撃案にもそれなりの道理がある。
勿論最終的にどうするかは、現場の判断にはなるでしょうけど、
作戦に応じて動きやすいフォーメーションを考えないといけないしね……)」
唐突に話題を振られてしまい、ルナティックスで永琳に無茶ぶりされていた時の事を思い出す。
ただ、パチュリーの作戦自体は、どちらも決して無茶では無い事は分かる。
鈴仙「(パチュリーさんが言っていた以外にも、もっと良い策があるかもしれない。
両者を良い所どりしたような案から、普通に考えたらおかしいけど、
効果があるかもしれない薬だし……)」
賢者の問いかけに対し、鈴仙はふと考えてから――。
パチュリーにより始まったサンパウロ戦への攻撃方針について、こう答えた。
A:じっくりとしたサイド突破を重視した攻め方を取る。
B:中央突破とミドルシュート連発を重視した攻め方を取る。
C:両方が実行可能な、バランスを重視した攻め方を取る。
D:右サイド寄りに選手を固め、敵の布陣を混乱させる。
E:Bだが、前線選手はMFではなくFWの位置に置き、更なる速攻を目指す。
F:その他 自由選択枠 案を考えて頂ければ嬉しいです。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
*フォーメーションについては、攻撃(今回選択)、守備(次回選択)の投票結果を踏まえて、
自動的に決定。その後選択肢で調整する形にしてみようと思います。
552 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 04:03:26 ID:???
今晩の更新はここまでにします。
>>545
乙ありがとうございます。
コーチのイベントやストーリーは結構練り込んだと思うので、感想等頂ければとてもうれしいです。
553 :
森崎名無しさん
:2017/10/21(土) 08:33:15 ID:wtzMMw1k
A
乙なのです
554 :
森崎名無しさん
:2017/10/21(土) 09:27:35 ID:w7gq9BVU
A
555 :
森崎名無しさん
:2017/10/21(土) 21:17:05 ID:???
コーチは初めは単なる舞台装置と言うか、城山監督みたいな背景キャラかと思っていたので重い過去が判明した時は驚きました
鈴仙、指導者に恵まれてるなー
556 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 23:29:16 ID:???
更新再開します。
>>553
乙ありがとうございます!
>>555
感想ありがとうございます。
コーチの過去についてはブラジルのソクラテス選手(ドトール君のモデル?)を参考にしました。
(参考と言ってもwikiで調べて分かる程度のレベルですが…)
具体的には、
・コリンチャンスやブラジル代表で活躍した
・医師免許を持ち、引退後はスポーツクリニックを開業
・インテリで政治や経済の分野にも明るい
・長年の飲酒と喫煙が祟り、消化器出血等で入院、死亡
というあたりを勝手に膨らませて、
『サンパウロの市民病院の院長兼コリンチャンスのスーパープレーヤーであり、
理想を掲げて政界への進出も企図していたが、陰謀によって挫かれる。
その後は自堕落な生活を過ごし、末期のガンにも侵されていた所に鈴仙と出会った』
……という設定になりました。なお、セクハラキャラは完全に創作ですw
永琳の庇護下というこれまでの環境との対比のためにも、逆境だらけの場所から己の努力のみで名を挙げる鈴仙
…というのも良かったかもですが、今の展開も割と気に入っているので、これで良かったかなと思っています。
557 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 23:30:45 ID:???
A:じっくりとしたサイド突破を重視した攻め方を取る。
鈴仙「……ミドルシュートの連発は、相手の消耗よりも先に、こちらが息切れしてしまうのが怖い。
であれば、必然と取るべき手は、じっくりとしたサイド突破。これしかないと思います」
パチュリー「そうね……言っておいて何だけど、こちらの方が私も無難だと思うわ」
そう言いながら、パチュリーはホワイトボードにFWからOMFまでのフォーメーション案を何個か書き込む。
佳歩がちらりと覗き込むと、彼女の作る案は全て、現在のコリンチャンスメンバーの能力値やスキルを
理解した前提で作られていたために、彼女は思わず声を漏らしてしまった。
佳歩「……パチュリーさんって、たった今私達と合流したばっかりですよね。
それなのにどうして、もう既に私達の現状を知った上で、布陣を組み立てられるんですか……?」
慧音「それは……彼女は、賢者だからだ」
佳歩の驚きに対して、慧音が本人に代わって答える。
慧音「彼女は――パチュリーは、ここに来るまでにありとあらゆるサッカーに関する雑誌書物を調べ上げていた。
それだけじゃない。魔法を駆使してか、それとも機械かは知らないが、これまでの私達の試合映像も確認していた。
私だって勿論予習はしているつもりだが――彼女程、徹底はしていない。いや、
彼女のように徹底する事など、到底出来そうにも無かった」
静葉「パチュリー・ノーレッジ……。高いサッカースキルすらも読書を通じて学んだと聞いているけれど。
まさかそこまでも知識に貪欲だったとは知らなかったわ」
慧音「ああ。イタリアで彼女と同行し、時には対峙し……分かった。彼女は、自分が知識を得る為ならば、
如何なる手段をも惜しまないし、知識を得たからには有効活用せずには居られない性質。
――そしてそれはまさしく、その知恵と叡智によって衆生を導くべき、賢者ならではの気質と言っても良い」
558 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 23:32:13 ID:???
かつての鈴仙達であれば、慧音の説明をパチュリーの自画自賛と思い、笑ったかもしれない。
しかし、確かに慧音が説明した通り――彼女の後姿は、これまでとは大きく異なっていた。
反町「(小柄な筈の彼女の背中が……とても巨大に見える!)」
穣子「私達、もしかして凄い人を仲間に入れちゃったんじゃあ……?」
イタリアで高度な戦術を吸収し、実践に昇華する術を身に着けた今の彼女は、まさしく知識の巨人。
ネイや翼のような、ファンタジスタと呼ばれる選手とも違う存在感と威圧感。
間違いなく、『次元の違う』選手を初めて自らの布陣に組み込む事となったと感じ、一同は静かに震える。
鈴仙「――それで。守備の方はどうしたら良いかしら。パチュリーさん……じゃなくても良い。
サンパウロは豊富な攻撃陣こそが脅威。色んな意見を聞いて、しっかりと決めたいわ」
その中で、鈴仙は気丈に一歩前に出て話を守備の布陣へと進めようとする。
パチュリー・ノーレッジは確かにイタリアでの修行を経て、
彼女の友人レミリア・スカーレットにも負けぬ賢者としての偉大さ・カリスマ性を得たようだが、
一回り大きくなったのは鈴仙も同じである。
てゐ「(――リオカップでも割と最初の方から一緒だったし、いつもは暢気だから気付かないけど。
気圧されてない……いや逆に、当たり前のように皆を仕切れるようになった鈴仙も凄いね。
パチュリーにも負けん位、デカくなってる)……そんじゃ、私から一つ案を出そうかな」
そんな相棒の成長に気づいたてゐが、率先して口火を切った。
てゐ「つっても、大した奇策じゃあないよ? ……簡単、中央にCBを沢山置くだけだもの」
慧音「サンパウロのミドルシューター対策……か」
559 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 23:34:28 ID:???
てゐは小さく首肯して、
てゐ「そ。だって攻撃で怖いのってそれじゃん。さとりはPA内では滅法強いけれど、
ことミドルシュートへの守りってなると、あー、失礼だけど……」
さとり「お気を遣わなくて結構。てゐさんの思う通り、サンパウロの名だたるシューターによる、
バイタルエリアでのミドルシュートを防げる自信はありませんもの。
特に妖夢さん、ストラット君、翼君。……この三者のシュートは、受け切れる気がしません」
さとりがそれに続く。攻撃案の書き込みを終えたパチュリーも彼女達の意見に賛同している。
パチュリー「そうね。中央に寄った4バック……5バックでも良いかもしれない。
いっその事センタリングは自由にさせても良いから、兎に角ミドルシュート封じに専念する方法も良いわね」
お燐「う〜ん。でもさ、ブロック重視以外にも選択肢はあるんじゃないかな?」
アリスさん「(そ、そろそろ発言しないと私の存在意義が………私が、消滅してしまう!)
――お燐の言う通りね。撃たせてからの体勢を盤石にするだけじゃない。
そもそも撃たれないようにする、という作戦も大事じゃないかしら?」
つかさ「打たせない……となりますと。ラインを大きく上げてボールカットを増やすべき、という事でしょうか」
アリスさん「そうよ。幸いにもこのチームには、ボールカット力に長けた選手は多い(私のパスカットとか)。
だから、ボールカットに長けた選手をDMFやCBに沢山配置して、上がり目の守備を意識するの。
そうしたら、シュートの危険性は大きく減るわ」
反町「(確かに。しかもその戦術なら、穣子さん達の『オータムスカイラブタックル』や『オータムスカイラブパスカット』を
最大限に役立てる事が出来る。俺も土台にはなれるから、俺がボランチ、穣子さんがCB、静葉さんがSBに居れば、
かなり柔軟に『オータムスカイラブ』を運用できるぞ……!)」
560 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 23:35:55 ID:???
慧音「――しかし、もしもボールを止められなかった場合が問題となるな。
さとり殿には少ないブロッカーでシュートを防ぎに行って貰わなくてはならない」
さとり「……それは嫌ですね。少なくとも私にとっては」
佳歩「後は……撃たせる前に止める、となりましたら。サイドへの守備もある程度は気を配る必要が出て来るでしょうか。
PA内をガチガチに固めてあるならば、さとりさんの守備力も相まって、サイドは最悪放棄しても大丈夫そうですけど、
撃たせる前に止める場合、DF陣はPA内に引き籠り続ける訳にもいかない。
そうなると、DF陣の隙間を縫ったシュートが飛んで来る危険性も高りますから、従来通りのサイド守備も大事になってきますね」
お燐「つまり、サイド際の守備に定評のあたい的には、そっちの方が目立ってハッピーってこと?
さとり様すみません。あたいが止められなかった場合は弔ってあげますからね……あいたっ」
さとり「弔った後に私の死体を持ち去りたいのは知ってるけれど、少しはその欲求を消す努力をしなさい……」
穣子「う、うう〜ん。よくわかんなくなって来たけど、結局撃たせる前に止めるよりも、
シュートを撃たせてPA内をガチガチに固めて止める方が良い……ってこと?」
パチュリー「そうとも限らないわ。何故なら、PA内を固めるという事は、ただ単に敵のシュートチャンスを増やすだけじゃない。
”有利な状況下での”敵のシュートチャンスを増やす事になってしまうわ。
具体的には、フリーでのシュートや、撃った後のフォロワーが多い状況を容易に作り出してしまう。
そうなると、幾ら私達のチームのDF陣が堅いと言っても……限界は、必然と生じる」
鈴仙「(要するには、どっちの策にも同じだけのメリットとデメリットがある、って事ね……。
分かり切った事だけど、今回の試合の場合はどっちのメリットを優先させるべきか……)」
仲間達の討議を聞きながら、鈴仙もまた同時に考える。
打たせてからの体制を固めるべきか、打たせる前に止めるべきか。
あるいはその中間を狙うか。はてまた第四の選択肢を思いつくか。
561 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/21(土) 23:39:10 ID:RIcfMbDQ
かくして、鈴仙の考えは――。
A:打たせてからの体制を固めるべく、PA内にブロッカーを多数配置する。
B:打たせる前に止める体制を作るべく、中盤底のボールカット体制を重視する。
C:両者を折衷し、ブロッカーを配置しつつも中盤底のカット体制も厚めにする。
D:自分(鈴仙)がリベロとなり、人数の利や『狂気の瞳』の力で押しつつ、カウンターも狙う。
E:その他 何か別の策や具体の布陣が思いついたら、自由に書き込んで下さい。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
562 :
森崎名無しさん
:2017/10/21(土) 23:40:45 ID:JNGcq7rA
B
563 :
森崎名無しさん
:2017/10/21(土) 23:47:22 ID:1S/iB/XY
B
サンパウロのシューターが軒並み強力な以上、打たせるのは極めて危険
アリスさんの案が一番妥当かな
ところでライア君は試合に出れるんでしょうか?
564 :
森崎名無しさん
:2017/10/22(日) 00:44:19 ID:???
ライア「俺のレギュラーが……やっと、外れる」
565 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 00:56:30 ID:uKQyc/zU
>>563
今回試合から鈴仙達新チームメンバーが12人となり、
GM側としては彼ら12人を優先して選定しています。
その中でライア君をスタメンで使いたい場合は、自由選択枠を活用して頂ければと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
B:打たせる前に止める体制を作るべく、中盤底のボールカット体制を重視する。
鈴仙「――ここは、アリスさんの言う通り。撃たせる前に止める戦術を取るべきよ」
慧音「撃たせる前に止める……か。成程、それもまた上策。
いやむしろ、一人が打てなくなっても代わりが沢山いるサンパウロには、
ヘタにブロッカーを増やすよりも効果が高いかもしれないな」
パチュリー「となると。攻撃はじっくりとしたサイド突破を重視して。
守備は撃たせる前止める方法となるから……こんな布陣を考えてみたわ」
パチュリーが示すと、既に陣形は出来上がっており、以下の通りだった。
566 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 00:57:48 ID:uKQyc/zU
−−@−− @レナート
B−C−A B石崎 Cアマラウ Aリマ
−−D−− Dドトール
−−G−− Gバビントン
E−−−F Eマウリシオ F新田
−−I−− I翼
−−−J− J妖夢
−H−−− Hストラット
サンパウロ 4−3−3
コリンチャンス 4−4−2
−H−J− H鈴仙 J佳歩
−−−−−
−−I−− Iパチュリー
G−−−F Gてゐ F反町
−−E−− Eアリスさん
BA−DC Bお燐 A慧音 D穣子 C静葉
−−−−−
−−@−− @さとり
控え:クラウディ(FW)、ゲーノス(FW)、ナバイロ(MF)、マギッシ(MF)、ライア(MF)、ビベス(DF)
つかさ、ミャージ(DF)、ニータ(DF)
備考:ライアは必殺パス、ミャージは必殺タックル、ニータは必殺ブロック持ち
567 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 00:59:05 ID:uKQyc/zU
つかさ「(私が、スタメン落ち……ですか)」
鈴仙「(つかさ……。そうか。今回から私達新チーム勢力が12人になったから。
これからは、コリンチャンスに元々いた選手だけじゃなく、
他にもスタメンから落ちる選手が当然出て来るのよね……)」
ホワイトボードに自分の名前が無い事につかさの顔に一瞬だけ影が落ちるが、
気丈な彼女はすぐに冷静さを取り繕って布陣を確認している。
アリスさん「そ、そうねぇ……う、うう〜ん(こ、ここで頭の良い反論をして私の存在感を出したいけど、
特段意見も思い浮かばないわ……。強いて言えば、私とてゐの場所を替えた方が、
私のドリブル力を生かせそうな気がする程度だけど、中盤底のボールカットという意味では、
私がボランチに居た方が良いような気もするし……)」
反町「(中盤はダイヤモンド型……まぁ、サイド突破を重視するなら当たり前か。
ただ、守備を重視するならひょっとして、トリプルボランチもアリか?)」
佳歩「えっと、パチュリー……さん。中盤は4人でも大丈夫でしょうか。
サンパウロの中盤には大空翼っていう、凄い選手が居るって話ですけど……」
パチュリー「……鈴仙を私の隣のOMFに置いた、4−5−1の布陣も確かにあり得るわね。
私は、サンパウロの中盤底・ドトールのマンマークを振り切ってシュートを撃つ為には、
FWは二人が良いと思ったけれど。大空翼に対処する為にも、ボールの支配率を高める為にも。
MFを五人置く事だって間違ってはいないわ。
攻撃力の確保と支配力の確保。どっちを大事にするかは、好みの問題かもね」
568 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 01:00:53 ID:uKQyc/zU
――そして、他の仲間達もこの布陣で本当にサンパウロと戦えるかどうか、真剣に検討している。
鈴仙もまた、パチュリーが作った布陣への変更点が無いかを検討し――。
A:この陣形で問題ない。
B:アリスさんとてゐの位置を交代し、アリスさんの突破力を活かすよう提案してみる。
C:てゐと反町の位置を一段下げ、トリプルボランチを提案してみる。
D:自分(鈴仙)が一段下がった、4−5−1の陣形を提案してみる。
E:その他 他にも微調整したい点があればご自由にどうぞ。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
569 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 01:02:14 ID:uKQyc/zU
――そして、他の仲間達もこの布陣で本当にサンパウロと戦えるかどうか、真剣に検討している。
鈴仙もまた、パチュリーが作った布陣への変更点が無いかを検討し――。
A:この陣形で問題ない。
B:アリスさんとてゐの位置を交代し、アリスさんの突破力を活かすよう提案してみる。
C:てゐと反町の位置を一段下げ、トリプルボランチを提案してみる。
D:自分(鈴仙)が一段下がった、4−5−1の陣形を提案してみる。
E:その他 他にも微調整したい点があればご自由にどうぞ。
先に2票入った選択肢で進行します。メール欄を空白にして、IDを出して投票してください。
570 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 01:04:03 ID:???
…と、言ったところで今日の更新はここまでにします。
すみません、間違って二重投稿してしまいました(汗)
>>564
ミャージ君やニータ君も、これ以降は負傷者多数時のリザーバーになりそうですね…。
それでは、本日もお疲れ様でした。
571 :
森崎名無しさん
:2017/10/22(日) 10:40:46 ID:Qq62LLW+
A
572 :
森崎名無しさん
:2017/10/22(日) 10:52:44 ID:WNDEX3SY
A
573 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 21:51:25 ID:???
A:この陣形で問題ない。
パチュリー「……どうかしら、鈴仙? このチームをこれまで総括して来た、
貴女の最終的な意見が聞きたいわ」
鈴仙「私は……とりあえずは、マスターの――パチュリーさんの意見通りで問題無いと思います。
細かい陣形でしたら、試合後にも変える事はできますし」
慧音「となると、こうなる訳だな……」
鈴仙達は改めて、以下に決まったフォーメーション図を見直す。
コリンチャンス 4−4−2
−H−J− H鈴仙 J佳歩
−−−−−
−−I−− Iパチュリー
G−−−F Gてゐ F反町
−−E−− Eアリスさん
BA−DC Bお燐 A慧音 D穣子 C静葉
−−−−−
−−@−− @さとり
控え:クラウディ(FW)、ゲーノス(FW)、ナバイロ(MF)、マギッシ(MF)、ライア(MF)、ビベス(DF)
つかさ、ミャージ(DF)、ニータ(DF)
備考:ライアは必殺パス、ミャージは必殺タックル、ニータは必殺ブロック持ち
574 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 21:52:33 ID:???
鈴仙「(まだ星たちとは合流出来てないけれど……今日の試合が、
これまでの私達の成長を占う、天王山である事は間違いない)」
そうしていると、鈴仙もいよいよ実感が湧いて来る。
ブラジルの全サッカーファンが注目するリオカップ。
その決勝戦の場に、自分達がもうじき立つ事になるのだと。
妖夢の事や新田の事、コーチの不在やパチュリーと慧音の合流等があり、
今の今までは意識が薄れていたのだが、少しずつ、大舞台への緊張が増して来た。
鈴仙「……みんな」
振り絞るように、鈴仙はチームメイトに呼びかける。
本当はキャプテンとして演説をしたりするのは柄でも無いと思っていたのだが、
今ばかりは、自分の想いを伝えたかった。
鈴仙「……皆。今日の試合はリオカップの最後の試合でもあり。
一方で、『プロジェクト・カウンターハクレイ』の新チームとしては、
この試合が始めて、その内の11人が揃った試合になるわ」
反町「(その内の11人……か。これから更に、強力なFW――寅丸星さんも入る。
この試合に勝つのは勿論だけど、俺も先を見据えて行かないとな……)」
575 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 21:54:10 ID:???
鈴仙「だから、この試合は決してゴールじゃない。むしろスタートよ。
とは、言うんだけど……正直に言って、今の私は非常に緊張しているわ」
てゐ「(だよねぇ。明らかにガチガチなんだもの。……どうやら、試合への緊張だけでも無さそうだけど)」
鈴仙「……幻想郷選抜代表と対立して、勝つ事を至上の目的としていた、
『プロジェクト・カウンターハクレイ』の新チーム。それが私達。
何の目的でこのプロジェクトに参加しているのは人それぞれだろうけど、
兎に角、私達は大きな敵に勝たなくてはならないのは事実。
そう考えると、今回の試合も、単なる小さなハードルの一つにしか過ぎない。
でも……。やっぱり私は、怖い。
皆と連携が上手くできなくて、足を引っ張ってしまったらと思うと。
重要な局面でシュートを失敗したらと思うと。負けるのが、怖い」
佳歩「鈴仙さま……(――そうだ。鈴仙さまだって、怖いに決まってるんだ。
鈴仙さまのツートップを名乗りたいんだったら、戦略や実力だけじゃなく、
精神面でも鈴仙さまを支えられるようにならないと……!)」
鈴仙「――でも、私は戦うよ。だって、それが私が。私達が選んだ道だから。
怖くても、恥ずかしくても、惨めでも。最初は逃げてしまっても良い。
それでもなお、立ち向かえるのが強さだって。私は……私は、思う。
だから……お願い。頼りないかもしれないけれど――一緒に、戦って欲しい」
さとり「(彼女の思考は極めて凡庸で、自信と野心に溢れる多くの優秀な選手と大きく異なる。
ですが――そんな彼女だからこそ、他の選手にはできない事が出来るのかもしれませんね)」
576 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 21:55:47 ID:???
鈴仙「……皆! この試合、怖くても、それで失敗しても良い。
だけど、その代わり最後まで戦いましょう! 皆で一緒に、全力を出し尽くしましょう!
私は信じるよ。……皆が、同じ道を歩いてくれることを。
同じ道を歩いてくれる皆が居るからこそ、最後まであきらめずに戦えるってことを……!!」
パチュリー「(……! それぞれの言葉自体は、問題じゃない。
問題なのは、彼女を覆う光の大きさが、輝きが、大きくなっている事!
あんなに頼りなかった彼女が、こんなカリスマ性を放てるだなんて……!)」
――最後の方の鈴仙は演説と言うよりも、これからの試練に対して
自分自身を鼓舞しているだけに近かった。しかし、それにも関わらず、
鈴仙の率直な想いの発露は、周囲の静かな士気の向上を呼んだ。
鈴仙「(コーチが居ないのがちょっとだけ気になるけど。
――でも、コーチだって自分の事を気にされるより、前を向いて戦って欲しいと。
そう思ってくれている筈よ。……だから、行こう。行くしかない。いや……行くのは私だけじゃない!)」
鈴仙は最後に、――こう言って試合前のミーティングを締めくくった。
鈴仙「よし、行こう。……行こうぜ、皆!」
チームメイト一同「「「 お う っ !! 」」」
577 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/22(日) 21:59:27 ID:???
すみません、一旦ここまでです。
今日で試合前の会話選択肢前くらいまでやりたいです。
578 :
森崎名無しさん
:2017/10/22(日) 22:04:08 ID:???
カウンターシュート、ポスタースパーク、開幕メガロゾーン失点・・・うっ、頭が
579 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/23(月) 00:08:19 ID:???
*****
〜サンパウロ・控室〜
翼「……以上で、ミーティングは終了だよ。さあ皆、勝とうね?」ニコッ
――翼によるミーティング(ロベルトは当然空気だ)を終えたサンパウロには、
コリンチャンスのような盛り上がりは無い。翼自身も、鈴仙のように自身や周囲を鼓舞などせず、
これまでの試合と全く同じとおり、「勝とうね?」とだけ、ニコリと伝えるのみに留まる。
しかし、これは決してサンパウロというチームが士気や統制において、
コリンチャンスと比べて劣るという訳では決してない。
ストラット「分かってるさ、言われずともな!」
ドトール「俺達にとってリオカップは、悲願の目的ではなく、単なる通過点だ。
ブラジルの。あるいはそれぞれの祖国のサッカー界で頂点に輝く事を目標とする俺達が、
今更緊張してのぼせ上がるような舞台ではない」
バビントン「リオカップの決勝戦も、これまでの戦いと同じだ。僕達は、ただ自分のできる最大限の仕事をする。
それが、プロのサッカー選手に求められている事であり、僕達が目指すべき姿だからね」
アマラウ「おうよ、俺のコンドルクリアで、あの生意気なウサギちゃん達をボコボコにしてやる!」
リマ「リマの名フォローも光るリマね。レナートは精々ポスト神にお祈りしとくが良いリマよ! リママ!」
レナート「なにィ」
580 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/23(月) 00:10:45 ID:???
――少年ながらも厳しいプロの環境で育った彼らは、
鈴仙がしたような葛藤や苦悩はとうの昔に乗り越えていた。
故に、大舞台を前にしての適度な高揚感こそあれども、それで潰れる訳でも、空回る訳でも無かった。
石崎「そ、そうは言っても俺とかションベン漏れそうだぜ……」
マウリシオ「ふん。石崎さんはブロックするだけしたら、後はマリーニにでも任せておけ、ば……」
マリーニ「マリーニ! マリーニマッリニーィッ! マリマリマリ!」
マウリシオ「いや。何でもないっす。石崎さん。頼むから最後まで立っていて下さいね……。
(ちぇっ、俺も石崎さんを笑えねーな。心臓が不要にドキドキしてやがる……)」
石崎「? お、おう(……いや。大丈夫だ。俺には……俺達には翼が居る。だからきっと、今日も大丈夫だ!)」
……とは言え、年下で経験の薄いマウリシオや、全日本Jr.ユースではベンチが多かった石崎のように、
まだこの空気に慣れていない者も少なからずいた。しかし彼らにもプロの自覚があり、
あるいは絶対的な信頼を寄せたチームメイトが居たために、それがチームの足を引っ張る事は無い。
妖夢「(……ドトール君やバビントン君の言う通り。これは単なる通過点。私が、更なる力を得る為の……通過点にしか過ぎない)」
その中で、妖夢の思いは多数派に近いものだったが――それにも関わらず、
彼女の表情は必要以上に冷たく張り詰めていた。
何故なら、彼女は内心で……強い不安と混乱を拭いきれていなかったからだ。
妖夢「(何も恐れるような試合じゃない筈なのに。なぜ、私はこんなにも怯えているんだろう。
負けるのが怖いから? 活躍できないかもしれないから? ……いや、違う。
そんな恐怖は、私がここに来るまでに真っ先に克服して来た筈だ)」
581 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/23(月) 00:11:53 ID:???
震えを隠しながら、妖夢は自分に言い聞かせる。自分は、強いと。
全幻想郷選抜大会で実感した、絶望的なまでの自分の弱さを実感して。
そして、血の滲むような鍛錬の結果、望み通りの力を得る事で……自分は変わった筈なのだ。
妖夢「(私のFWとしての能力は、この大会の誰よりも――ザガロ君よりも、ストラット君よりも、ネイ君よりも優れている。
攻撃力と突破力だけで言えば、翼君やカルロス君よりも優れている。……もちろん、鈴仙よりもだ。
だから、何も恐れる必要は無い、筈なのに……ッ!)」
妖夢は幾ら考えても、コリンチャンスの試合を前にして、自分がどうしてここまで震えているのかが分からない。
新田「あ、姉御……大丈夫ですか」
妖夢「(新田君……私を、心配してくれてるんだ)」
そんな彼女の内心を察する事が出来たのは新田だけだった。
妖夢の力に憧れ、また他のチームメイトの中で一番多くの言葉を交わしていた新田は、
彼女のちょっとした仕草に違和感を覚え、そう気遣ってくれる。
――そう、彼は純粋な想いから、妖夢を心配して声を掛けてくれているのだ。
妖夢「(駄目だ……。新田君を心配させちゃいけない。彼は、強い私を慕ってくれているんだから。
私が、こんなに弱い事を考えているなんてバレたら……きっと、彼は失望する。それは嫌だ……!)」
にも拘わらず、今の一人で追い詰められた彼女には、そんな優しさすらも届かない。
妖夢は新田が差し伸べてくれた手を振り払い――。
582 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/23(月) 00:13:16 ID:???
妖夢「……私よりも、まずは自分の心配をしたらどうだ、新田君?」
新田「! ――そ、そうですね。すみません……」
……そう、気丈さを装って彼を拒絶した。
妖夢「(そうだ。それで良い。他人に頼るのは、弱さの証だ。力とは、自分の中にしかない。
私のような強者は、絶対に弱者に頼ってはいけないんだ……!)」
そのため、成熟した覚悟が未だ持てないにも関わらず、妖夢は孤独に震え続ける。
ひた隠す為の演技と、サッカーの技術だけは身に着けられたが。
そうやって幾ら強くなっても……いや、強くなればなる程に、彼女の恐怖は、ただ積み重なるだけだった。
妖夢「(鈴仙。……私は、貴女よりも絶対に、強い。弱さをひけらかし、周囲の力無くして立てない貴女に。
私は絶対に、負ける訳にはいかない…………!)」
妖夢はまだ気づいていない。
自らの恐怖の根源が、自ら『弱い』と断じる鈴仙に敗北する事への恐れであることを。
鈴仙への敗北により、自分がこれまで積み上げて来た全てが、否定されてしまう事への不安であることを――。
*****
583 :
鈴仙奮闘記
◆85KeWZMVkQ
:2017/10/23(月) 00:15:54 ID:???
〜マラカナンスタジアム・フィールド〜
しかして、決戦の時は近づく。
実況「――さあ……いよいよです! いよいよ後五分後に、長い長いリオカップの最終戦。
コリンチャンスVSサンパウロの激戦の火蓋が、今まさに切って落とされようとしています!
観客数は、収容人数を大きく上回る10万人! 10万ものブラジル……いや!
世界各国のサッカーファンが、この天下分け目の大決戦の行く末を見守っているのです!」
観客「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「サンパウロ! このまま優勝だ!」「いや、コリンチャンスも負けていないぞ!」
「ツバサ! ヨーム! ストラット!」「レイセン! カホ! そしてアリスさん」
「レナート レナート レナート レナート」「どっちも頑張れー!」「うどんちゃん!!」
――観客の多さは、もはや問題にもならない。
そこに立つ22人の少年少女達が目指すのは、それぞれがそれぞれの栄光の為。
周囲の歓声や罵声等は単なるノイズに過ぎない。
鈴仙「(そう。私は、皆を信じて戦うしかない。……試合が始まったら、後はがむしゃらよ)」
そう覚悟を決めた鈴仙にとって、最初は狂気に溢れて恐ろしいとすら思ったこの場は、
息苦しいどころか心地よかった。むせ返る程に熱い熱気を浴びて、深く呼吸をして――。
鈴仙「……妖夢」
妖夢「……鈴仙」
――鈴仙は、ついにこの決戦の場で、かつての親友と対峙した。
妖夢は少しだけ驚いた表情を見せたが、すぐに普段通りの怜悧さを取り戻して、
妖夢「……今、貴女と話すべき事は何も無い。どっちが正しいかは――試合が決める事だ」
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