キャプテン森崎 Vol. II 〜Super Morisaki!〜
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【SSです】幻想でない軽業師

1 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/01/20(土) 21:45:02 ID:???
Act.1 その時の結末

後半16分。

45分ハーフ、現時点で5−3でのビハインドという劣勢。

佐野「ハァ……ハァ……!」

フランス国際Jrユース大会、準決勝。
全幻想郷Jrユース対、魔界Jrユース。
どこからどう見てもJrユースという年齢層には見えない選手たちを抱えながら、
両チームはぶつかりあっていた。

ぶつかり合った結果が、先に出したスコアである。
電光掲示板に映るその数字を見ながら、魔界Jrユースの――キャプテンですらない、一選手。
"彼"は、走り回る。
走り回る事しか、今の自分に出来る事は無いと知っているから。

佐野「(ふざけんな……! ふざけんなふざけんなふざけんな!!!!)」

叫びたい気持ちを、押し殺しながら"彼"はひた走る。
その脳裏に、ここまでの道程がフラッシュバックした。

ボール運び程度なら出来ると、幻想郷へと召喚され。
しかしながらゲームメイカーには到底足りないと勝手気ままに烙印を押され、あっさり現実へと送還。
かと思えば使い道はあると言われ、妖怪の賢者に送り込まれた先はサッカー未開の地、命蓮寺。
まるでサッカーの素人ながら、素質はある彼女たちと切磋琢磨をし、
召喚の根本となった賢者の傍らにいる天才に羨望の目を送り、そして要因となった魔王をめざし。

394 :森崎名無しさん:2018/03/12(月) 01:04:43 ID:???
ゲームのレッチェを見直したら、ヘボい選手層だと改めて思った
使えるのは顔有り以外はモゼとチェーザレくらいで、他は大して戦力にならない
控えはそれ以下の奴らばかりで(DF一芸のドメーニコを除く)
オテッロに至ってはブルノ以下のセービング能力という酷さ(飛び出しは強いけど)
こんなのでよくセリエAに昇格できたもんだな…

395 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/12(月) 22:48:38 ID:???
>>394
マンチーニで運んで翼に打たせるかゴリに打たせるか。
守備の時はとりあえずタックル押して後はお祈りって感じでやってた記憶ですね。

今日更新する予定でしたが書きあがりませんでしたのでお休みさせていただきます。

396 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:06:00 ID:???
試合などした事が無い――そう、姫海棠はたてという少女は、試合経験というものが一切ない。
何度も言っているように、彼女は人見知りが激しくその上最近サッカーを始めたばかりの少女であった。
故にどこのチームにも所属しておらず……結果、試合をする機会というものがそもそも無かった。
彼女がようやく人並み程度にサッカーの技術が達した頃、
既に世間ではJrユース大会へ向けての活動で幻想郷サッカー界が動いていたのだから。

カルネバーレ「………………」
佐野「お、おいおい……(試合経験が無いって……大丈夫かよ?)」
はたて「(あ、あれ? 何この雰囲気……私、何かマズった!?)」

そして当然のように、このはたての告白を受けて一同は衝撃を受けていた。無論、悪い意味で。
佐野達留学選手ですら、幻想郷では各々、所属するチームがあり試合経験はある。
新設チームである命蓮寺ナムサンズに所属する一輪にしても、練習試合などではゴールを任された事があり、
代表ではサブキーパーに甘んじたとはいえ、まったくの経験不足という訳ではない。
中堅どころといった地霊アンダーグラウンドの中盤を任されていたお燐、
ついでに言えば元々が外の世界出身である佐野に至ってはしっかりと経験がある。

だからこそ彼らはショックを受け……そしてそんな佐野達以上にショックだったのは、
カルネバーレらレッチェに元々いた選手たちであった。
よもやサッカー素人を寄越してくるなど、誰も想像だにしていなかったのだから。
特にここまで佐野達に厳しくあたっていたカルネバーレは、当初は衝撃のあまり口をポカンとあけていたのだが……。
事情を理解するや否や、次第にわなわなと震え始める。

カルネバーレ「しっ、試合経験が無いだとォ!? おいお前! ふざけてるんじゃ……」
マンチーニ「さ、さあっ! 自己紹介も終わった事だし、早速だけど練習をしよう!!
      俺達も早く皆の実力を知りたいし、皆だって早くチームに馴染みたいだろう!
      その為にはやはりボールを蹴るのが一番だ! な!」

397 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:07:38 ID:???
遂にはカルネバーレの堪忍袋の緒が切れるかという矢先、マンチーニが咄嗟に空気を変えた。
このままではまず間違いなくカルネバーレの怒号が響き渡り、
はたてを更に委縮させてしまうと感じての判断である。
ただでさえ緊張をしているはたてを追いつめる事はいけないと考えた、マンチーニのファインプレーである。
こうなってはカルネバーレも矛を収めるより他なく、強くマンチーニを睨み付けながら深く息を吐いた。

カルネバーレ「……まあいいだろう。 フザけた奴なのかどうなのか、実際にやってみればわかる事だ。
       だが言っておく。 到底ここでの練習についてこれないと思った奴は、
       直訴してゲンソーキョーとやらに帰ってもらうぞ」
佐野「なぁマンチーニ、こいつにそんな決定権あんの?」
マンチーニ「まぁ……一応カルネバーレがこのレッチェのキャプテンだからね。
      心配することないさ。 サノの実力はさっき言った通り知ってるけど、君ならウチでもスタメンクラスだ」
佐野「(うげ、マンチーニじゃなくてこのゴリラがキャプテンなのか……めんどくせー。
    まあ……そこはこの俺の実力ってもんを見せてギャフンと言わせてやりゃいいだけの話だけど。
    ほかの面子は……イチさんだってあのブルノとかいうのとのキーパー争いは大変そうだし。
    お燐とはたてってのは実力が未知数だからどうとも言えねぇなぁ……)」

意外な事にこのレッチェのキャプテンは、先ほどから場を纏めていたマンチーニではなく、
佐野達に睨みを利かせ不機嫌そうにしていたカルネバーレであったらしい。
この事実は、これから3年間こんな気難しそうな奴の下でやっていかなければならないのかという不安にもなり……。
しかし、それでも自分の実力を見せてやれば、文句を言われる事も少なくなるだろうと考える。
一方で、佐野としては逆に他のメンバーの心配をするのだが……。

398 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:08:46 ID:???
お燐「にゃあい! やったね、久しぶりにサッカーが出来るよ!」

お燐に関しては、そもそも彼女自身がボールを蹴る事自体久しぶりという事もあり、
純粋に練習でもサッカーが出来るという事に喜んでいた。
幻想郷代表にも選ばれず、腐っていた彼女は新たな環境に向けてとにかく前向きであった。

はたて「れ、練習……(え、普通こういうのって挨拶が終わったらすぐ解散とかじゃないの?
    まだ他の人たちと一緒にいなきゃいけないのね……疲れるなぁ……)」

逆にはたてとしては、挨拶が終われば解放されると思っていたものが更にここから練習と聞いてげんなりしていた。
練習をするというのが嫌いという訳ではない。
事実、彼女は人知れず練習をして……あの案外大したことある派遣選手にも選ばれた射命丸文からも、
留学選手に相応しいとして太鼓判を押されてこのイタリアへとやってくるだけの実力を備えていたのだ。
ならば何が問題かと言えば、やはりこれ以上他人と関わるという事。
人と接するのが苦手な引きこもり天狗は、とっとと与えられた部屋へと戻って1人の時間が欲しかった。

ブルノ「さて、それじゃあこの俺様が新人どもの実力を測ってやるとするか」
佐野「(こいつ……やたらとさっきからでしゃばってくるな。 やはりただものではない……!
    イチさん、こいつからキーパーの座を奪うのは多分相当苦労するぞ!)」

そしてマンチーニが練習を言いだした所で、キーパーグローブを手に嵌め、
やる気満々といった様相でこのチームの正GJ――ブルノは不適に笑みを浮かべた。
腕組みをしながら自信たっぷりに言い放つ彼の姿を見て、
佐野は一輪の行く末を案じながらもマンチーニの先導を受けて練習に向かうのだった。

399 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:09:57 ID:???
早速練習という事になったが、果たして何をするのか。
道中で佐野はキャプテンであるカルネバーレ……ではなく、マンチーニに問いかけた。

マンチーニ「そうだね……まあみっちり練習をしてもいいんだけど、歓迎会を兼ねたレクリエーションとして、
      ミニゲームをしようかとさっきカルネバーレとは話したよ。
      さっきの感じだとオリンも試合には餓えてるようだったしね」
佐野「ほっほー……。 あのゴリ……でなかった、カルネバーレがそんなんで納得したのか?」
マンチーニ「気難しい奴だけどアイツも皆の事を考えてるって事さ。
      (本当はミニゲームでコテンパンにしてサノ達の実力を見て、それ次第では追放を上に進言すると言ってたけど……。
       それを素直に言うのはなぁ……)」

心中でそっと溜息を吐くマンチーニ。彼としても、正直な所試合経験が無いというはたての発言には大層驚き、
果たして戦力として計算が出来るのだろうかと心配をしていたのだが、そこはグッと堪えていた。
カルネバーレの手前、自分がそれに同調をするような事があってははたてだけではなく、
佐野達にも余分な心労を与えてしまうと思っていたのだ。
実際のところ、このレッチェでは――佐野の能力は平均以上……レギュラーになるのもほぼ確実だろうとマンチーニは考えている。
その他の面子にしても、約一名に限っては是が非でもいて貰わなければならないとも感じていた。
ここで不要に悪印象を抱かせる訳にはいかない、と、カルネバーレと佐野達との潤滑油になるマンチーニ。
丸眼鏡をクイッと上げる彼は、その風貌通りかなりのやり手であった。

………

そして一同はコートへと移動した。
ミニゲームをするとの事だが、果たしてチーム分けはどうなるのか……と佐野が疑問に思う中、
キャプテンである(らしい)カルネバーレが口を開く。

カルネバーレ「どうせだからお前ら4人は一緒のチームで組め、その方がわかりやすい。
       後は……ベニャミーノ、モゼ、ミケーレ、ニコーラ、バルトロメオ、チェーザレ、パトリツィオ。 そっちに入ってやれ」
モゼ「俺はヤスィーノ・モゼ」
バルトロメオ「シオーナ・バルトロメオだ」
チェーザレ「カクデム・チェーザレだ、よろしくな」
佐野「おう、よろしく(なんかすげぇモブっぽい顔してんなこいつら)」

400 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:11:21 ID:???
とりあえず頭の中でヤス・シオ・カクと情報をインプットしつつ、
佐野は手渡されたビブスを羽織りながら準備運動を開始した。

佐野「ポジションはどーする? えーと……お燐はMFだっけ?」
お燐「そだよー。 ロンゲのお兄さんはFWも出来るならFWする? 天狗のお姉さんは……」
佐野「あー……ポジション、はいいとしても。 そうだな……得意な事とかってあるか?」
はたて「ひぅっ!? え、えぇっと……ドドド、ド、ドリブルなら……あと少しだけなら走れましゅ……。
    (なんで話しかけてくるのこの人!? 私隅っこで黙ってたのに!?)」
佐野「(走れる……足が速いって事でいいのか?)
   じゃあ……まあサイドハーフやってもらうか。 えーっと、サイドハーフってわかるか?」
はたて「ひゃい!」
佐野「(なんか悪い事してる気がしてきた……普通に喋ってるだけなのに)」

その傍ら、作戦会議とも言えぬとりとめのない会話を選手たちと話し合う。
ただのミニゲーム、レクリエーションのようなものとはいえ、やるからにはどうせなら勝ちたい。
フォーメーションを決め、佐野はFW、お燐はトップ下……そしてはたてはサイドハーフ。
動くことの無い一輪以外の面子はそれぞれ配置へとつき……。
そこで不意に佐野は疑問を抱き、隣に立つ同じくFWに配置されたベニャミーノに声をかける。

佐野「そういや、監督は? さっきもいなかったし、この練習も見に来てねーけど」
ベニャミーノ「監督は、ちょっと入院中で不在なんだよ。 この前のリーグ戦の時からね……」
佐野「えぇっ!? ……おいおい、大丈夫なのかよそれ」
ベニャミーノ「ああいや、何か内臓系に異常があるとかではなくて怪我の類での入院だから……。
       1、2週間もすれば退院出来るって聞いてるし不安に思うような事はないよ」
佐野「そっ、そうか……(しかしどんな監督か早く会ってみたいようなそうでないような……。
   全日本の時の見上さんみたいな人だったらヤだなー、あの人めっちゃ堅いし)」

指導者である筈の監督の不在に不安を覚える佐野であったが、言っても仕方のない事である。
ここはベニャミーノの言う通り、早期に戻ってきてくれるという言葉を信じるしかなく、
気を取り直してミニゲームに臨むのだった。

401 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:12:39 ID:???
………
……


佐野、お燐、はたて、一輪を有するチーム。
対するはレッチェのキャプテンであるカルネバーレと、その補佐役であるマンチーニ……そして、正GKのブルノを有したチーム。
レクリエーションという事で時間は前半後半無しの15分のみとした上での試合は、
まずはジャンケンで勝利した佐野チームのボールではじまり、佐野がその実力を見せる所から始まった。

ポーンッ! クルクルッ!

佐野「あーらよっと! これが俺の必殺! ヒールリフトだ!!」
マンチーニ「(うん……やはり彼の突破力は素晴らしいな。 俺もドリブルには多少自信があったんだけどなぁ)」
カルネバーレ「(……小手先の技術だけは中々だな)」

再三言われている事であったが、佐野のドリブルはこのイタリアでも十分通用をした。
そもそも彼自身、この留学に来る以前は魔界Jrユースという強者たちを集めたチームでレギュラーを取っていた選手である。
守備に関しては大きな穴があるとはいえ、攻撃能力についてはお墨付き。
元々好意的だったマンチーニはもとより、カルネバーレも一定の評価はし……。

カルネバーレ「だが小手先だけだゥホオッ!!」

バギィッ!!

佐野「ぐぎゃっ!? ちょっ、ま……今の反則じゃねーの!?」

しかし、調子に乗っていた佐野は1人、2人と抜いた所で、
猛チャージを仕掛けてきたカルネバーレの強烈なショルダーチャージを受けてボールを零した。
力任せなそのタックルに佐野は思わずうめき声をあげ文句を吐き出すのだが、
周囲の者たち――少なくとも留学選手以外の者たちはそんな佐野に構う事も無いままプレイを続行している。

402 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:14:30 ID:???
佐野「あ、あれっ?(反則でプレイ止まらないのこれ?)」
カルネバーレ「……今のが反則とでも思ったか? バカタレ、あれくらいの当たりで根を上げるな!」
マンチーニ「(言い方はともかく……まぁ、あれくらいなら試合でも普通にある事だからなぁ。
       ただカルネバーレ、レクリエーションなんだから怪我の可能性のあるプレイは……)」

目を丸くしている佐野に対して、カルネバーレは叱るように怒鳴りつける。
実際、彼の言うようにこのイタリア――サッカー先進国の中でも有数の国の中においては、
先ほどのカルネバーレのプレイもそこまで危険なものと判断はされない。
……幻想郷や魔界といった、色々と常識外れな環境でプレイをしてきた佐野ではあるが、
逆にこのような一般的な範疇の乱暴なプレイが流されるという事に微妙に新鮮味を感じるのであった。

お燐「じゃじゃ〜んっ! あたい、参上!!」

そして試合の方はといえば、佐野の零したボールをお燐がフォローしていた。
久方ぶりの試合、久方ぶりのボールの感触。
お燐は笑みを浮かべながら、佐野が突き進んでいた方向とは逆サイドへと流れながらドリブルを開始する。

佐野「おっ、やるじゃねーかお燐」
お燐「ふふ〜ん、ドリブルが得意なのはお兄さんだけじゃないんだよ!」

代表落ちをしたとはいえ、彼女も幻想郷では名の知れたサッカー選手である。
特にその磨かれたネコ科特有のしなやかさを生かしたドリブルは、佐野には及ばずとも上々の出来。
実際にお燐もその軽やかなステップでプレスに来る選手たちをかわし突破を成功させてしまう。

カルネバーレ「(ふん……あいつも、まあ中々やるようだが……)」
お燐「(おっとと、メガネのお兄さんが近づいてきてる……あのお兄さんはちょっと組しにくそうだねぇ。
    それじゃま、ここは逃げよっか)天狗のお姉さん、いくよー!」
マンチーニ「(おっと、逃げられたか)」

パコーンッ!!

403 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:15:57 ID:???
そしてサイドを完全に抉ろうかといった所で、お燐は斜め前方からやってきていたマンチーニに視線を一つやると、
勝負は避けた方が無難と判断し大きく逆サイドに振った。
これにはマンチーニも追いつけず、また中盤のメンバーもカットには向かえなかったのだが……。

ピューン

お燐「ありゃ……」
佐野「おいおい、ライン割っちまうぞあれ」

試合勘が鈍っていたのか、お燐の蹴ったボールははたての遥か前方目掛けて飛んでいた。
これには流石にはたても追いつけず、スローインから仕切り直しかと一同が考える中……。

はたて「わ、わ……(ボールが来た! 取らないと……怒られるっ!!)」

ギュ……

佐野「ん?」

ギュオォオオオオオオオオオオオオオオッ!!

バシィッ!!

佐野「な、なにィ!?」

しかしである、はたてはこのお燐のボールをしっかりと受け取った。
ボールがラインを割ろうかというギリギリ、はたては急加速。
『走れましゅ』と宣言をしていた通り、全速力で走り――その上でガッチリと足でトラップをしていた。

お燐「にゃ〜、凄いねお姉さん。 あの虚報新聞の方のお姉さんみたいに速いや」

404 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:17:13 ID:???
実際の所は文の方がはたての数段上を行く俊足である。
が、それを差し引いてもはたてもまた種族としての特性か足は非常に速い部類であった。
おまけにそれだけの全速力を出しながら、ボールをあっさりとトラップする技術。
少なくともサッカー素人とは思えない動きであるのは間違いない。

佐野「(追いつけたとしても零すくらいが精々かと思ったけどキープ出来てるもんな……って)
   おいはたて! 前、前!! 敵が来てるぞ!!」
はたて「へ……ぴ、ぴぃっ!?」

期待していなかった選手が予想以上のプレイを見せた事に内心驚く佐野であったが、
そんな事はおかまいなしとばかりに敵チームのDF達ははたてにプレスをかける。

ブルノ「なーに、相手が上手くフォローをしたところでそれを奪い返せば問題無い!!
    お前ら、いつまでも新入りなんかにいい恰好させてるんじゃないぜ!!」
佐野「(くそっ、アイツの指示か! トラップした直後を狙うとは……アイツ、中々頭も切れる!)」

敵チームゴール前で大声を出すブルノを後目に、佐野ははたてをフォローできる位置へと急いで走る。
が、当然ながら佐野がどれだけ急いでもDF達がはたてからボールを奪いに向かう方が速い。
ボールを持ったままどうしたものかとまごまごしていたはたては、眼前に迫るDF達に対し……。

はたて「(やだやだなんでこんなにいっぱい来るの!? と、とにかく逃げなきゃ!!)」

シュッ……タタタタァァァァーッ!!!

佐野「うおっ……おお!?(やっぱ速い! それに……結構上手いぞ!?)」

405 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:18:36 ID:???
とにかく逃げるべく、サイドから離れるように中央へと寄りながらドリブルを開始した。
やはりその速度は速く、おまけにドリブル技術自体も決して下手な訳ではない。
少なくとも佐野には及ばないが、それでもお燐同様そこそこは出来るといった様子である。

マンチーニ「(これは嬉しい誤算だな。
       試合もした事が無いというのが事実なら……それでもあれだけ出来るというなら、果たして経験を積めばどうなるか)」
佐野「よーし、いいぞはたて! こっちにパスだ!!」

このままとりあえず一本打っとくか、と、佐野はペナルティエリアに侵入をしハイボールを要求した。
ご自慢のそこまで高い訳ではない浮き球補正と低くは無いけど一流レベルではないシュート力を生かした、
世界レベルでは火力不足である補正のローリングオーバーヘッドを打つ心算である。

はたて「パ、パシュ……(そ、そっか! ボールを手放せば追いかけられなくて済むんだわ!
    うん、そうよね! よしあの……えっと、誰だっけ? ……名前も知らないロンゲの人に渡しましょう!!)」

そしてこの指示を受けたはたては、素直に佐野にパスを出す事にした。
DFに追いかけられるのが(足の速さ的に追いつかれはしないが)怖いからという一心で、
その右足を振り上げてボールを蹴りぬく。

ぱしゅっ……

蹴られたボールは打ち上げられた……ぱしゅっ、と音を立てて、それはそれは弱弱しく。

406 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:19:36 ID:???
佐野「ほげっ……」

あまりの弱弱しさに佐野は思わず息を飲み。

お燐「蹴りそこにゃい……じゃ、にゃいよね……?」

お燐は思わずずっこけそうになりながら、必死そうな表情のはたてとパスとの温度差に引きつった笑みを浮かべ。

マンチーニ「…………よっ!」

このパスコースに飛んでいたマンチーニは、悠々とパスカットをした。

たった1人で練習を繰り返し、ドリブルの技術は佐野達からもそこそこという評価を受けていたはたて。
しかしたった1人で練習をし、試合経験が全く無い彼女は、ドリブルで走る為以外にボールを蹴った事がまるで無い。
何故ならパスを受けてくれる者も、シュートを止めてくれる者もいないのだから。

更に言えば、あの射命丸文をもってして、大局的に物事を見る事が出来ず、視野が狭く、コミュニケーションが下手と言われているはたて。
これが何を意味するのか。
大局的に物事が見れず視野が狭いという事は、パスコースを探す事が苦手であるという事。
そして、パスがボールを通したコミュニケーションという言葉もある通り――。

姫海棠はたてという少女は、パスとシュートがドがつく程に下手であった。

407 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/14(水) 00:28:44 ID:???
一旦ここまで。
なんだかはたてちゃんがメインみたいになってますがそんな事はなく、
前作で出てこなかったキャラなので色々と掘り下げている形となっています。
それでは。

408 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:51:09 ID:???
はたて「ひぅっ!?」

ガーン、と大きなショックを受けながら悲鳴を上げるはたて。
彼女の中ではとっととボールを手放してDF達に追いかけられず、
また、注目されるような事から解放されると思っていた筈が結果はパスミス。
彼女なりに精いっぱい頑張ってのパスであったが、悲しい事にそれはやはり弱弱しく。
ド下手で精度も速度もまるで無いそれを見て周囲の者たちが深い溜息を吐くのを、
彼女はその場で立ち尽くして聞くしか出来ないのであった。

はたて「(失敗しちゃった怒られる〜!? っていうか、ボール手放したのになんでみんなが私見てるの!?)」
佐野「(見た限りパスはへっぽこ……あれじゃシュート打たせようとしても多分キック力不足だろうなぁ。
    ドリブルだけは実践レベルってトコだけど動きも不安定だし……。
    っていうかパスに至っては高杉さんとかと同じくらいのレベルじゃねーか?)」

注目されている事に気づき顔を真っ赤に染めるはたてを見やりながら、佐野は考える。
某日本代表で同チームにいたの先輩を軽くディスっているが気にしてはいけない。
彼はDFの数が少ないが故に選出されているだけであり、
得意であるブロックとクリアー以外はまったくもってお話にならないのは事実なのだ。

マンチーニ「(試合経験が無い……それにしてもパスが出来ないというのは大問題だな。
       これからの練習で向上が見られればいいんだが……それよりもまずは)」
カルネバーレ「マンチーニ!」
マンチーニ「ああ、いくぞっ!」

バシュウッ!

一方でボールをカットしたマンチーニは、そのまま一気に前線へと放り込んだ。
自陣深くから一気にセンターライン付近まで飛んだボール目掛けてカルネバーレは走り込み、
慌ててこれにはDFのバルトロメオとMFのモゼが連携をして競り合いに向かう。

409 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:52:09 ID:???
バルトロメオ「くそっ、二人がかりなら!」
カルネバーレ「止められると思うか!?」

ダダッ! バッ!! ガシィイッ!!

モゼ「だ、駄目だ……」
佐野「(うげ、やっぱあいつ見た目通り競り合いに強い……上に案外ジャンプ力もあるぞ!?)」

体格がいい上に跳躍力も人並み以上にはあるカルネバーレ。
2人がかりで阻みに来たバルトロメオ達をあっさりと蹴散らしながら空中でボールを確保すると、
そのまま脇目も振らずドリブルで中央を突き進む。
流石にキャプテンというだけあって実力は確からしいと佐野が感心する中……。

カルネバーレ「…………」ドタドタ
佐野「って、足おそっ!?」

しかし、そのドリブルスピードの速さが巧さや力に比較をしてあまりに遅い為に思わずそう叫んでいた。
あまりの遅さ……というか鈍重さに、走る音も『タタタ』や『ダダダ』でなく『ドタドタ』であった。
一気に前線に放り込んだはいいものの、これではカウンターにはならない。
実際にカルネバーレはすぐに戻り始めたお燐にもチェックをかけられたのだが……。

お燐「ふふ〜ん、あたいは他のネコ科と違って守備も出来るんだからね! ゴリラのお兄さんボールちょうだい!」
カルネバーレ「誰がゴリラだァッ!!」

バギィッ!!

お燐「うにゃ〜んっ!?」
佐野「うお、やべっ! みんな、そのゴリラ止めるんだ!!」

410 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:53:41 ID:???
横からスライディングタックルにやってきたお燐を、強引に吹き飛ばしながら更にカルネバーレは突き進む。
やはりスピードだけは完全に欠如しているが、パワーについては疑う余地も無い。
このままでは一気にシュートチャンスを作られてしまうと佐野は慌てて守備陣に指示を飛ばし、
これを受けて守備陣もカルネバーレの危険性をよく知っているのだろうすぐさまプレスをかけに向かう。

シュタタタタッ!!

はたて「うぇひっ……(い、勢いで戻っちゃったけど……これ私も行かなきゃいけないの!?)」
佐野「おお……はえぇ。 よしはたて! そのままゴリラに突撃だ突撃!!」
はたて「ぅへあ……」

その中にはなんと先ほどまで前線にいた筈のはたてもいた。
いくらカルネバーレが鈍足といえど、大きく距離が離れていたにも関わらずチェックに行けるあたり、
彼女の足の速さについてはもはや疑う余地も無いだろう。
……割と足が速いつもりであった佐野ですら、まだ追いつけていないのだから。

はたて「(突撃って言ったってどどど、どうすりゃいいのよ〜!? えっとえっと……)」
カルネバーレ「(上手く俺にマークが集中してきたな。 よし、頃合いだ!)マンチーニ!!」
はたて「(うぇっ、あ、ボール蹴る!? さ、触らなきゃ!!)」

指示を受けてもまごまごしていたはたてであったが、
そんなはたてを後目に、カルネバーレはここで強引に突破を図らずパスを選択した。
自身にマークが集中する今、再びマンチーニへと預けて彼にボール運びをしてもらう為である。
その右足を小さく振りかぶり、サイド際に流れてゆくマンチーニにパスを出そうとするのだが……。

ビュンッ!!

はたて「え、ええ〜いいっ!!」
カルネバーレ「むっ!?」

バチィッ!!

411 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:55:07 ID:???
直接ぶつかるのではなくパス相手にならと、思い切って飛び出したはたて。
そのスピードはやはり速く、彼女の突き出した足は辛うじてボールに触れて軌道を変えた。

カルネバーレ「(……俺自身、あまりパスが得意という訳ではないのもあるがそれでも触れたか。
        身体の使い方がてんでバラバラだが……守備がそこまで苦手という訳ではないか?)」
はたて「うぃ、うぃひひ……(なんでこのゴリラ私じっと見てるの!? 食べる気!?)」

ドリブルは上手いがパスは苦手。守備はまるで形がなっていないがスピードには目を見張るものがある。
なんともちぐはぐなはたての動きに、カルネバーレは訝しむような視線を向け。
一方で目の前で凝視されたはたては愛想笑い(のつもりだが完全に引きつっている)を浮かべながら半歩下がった。
ちなみに愛想笑いを浮かべている最中も、はたてはカルネバーレの目をまるで見れていなかった。

そしてこぼれたボールはカルネバーレチームのMFがフォローした。
直接とはならなかったが、そこを経由してボールはマンチーニへ。
結果的にはカルネバーレの狙い通りとなったが、それでも間に1人挟んだ分時間はかかっている。
故にこのマンチーニには佐野が向かう事が出来た。

佐野「よーし、ここで俺が颯爽とボールを奪って……」
マンチーニ「………………」

スッ ササッ タターッ!!

佐野「……あれ?」
マンチーニ「(国際Jrユース大会を見ていてわかったが、やはり情報通り彼の守備は軽いな……)」

もっとも、向かう事が出来ただけで、ボールを奪えはしなかったのだが。

412 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:56:43 ID:???
その後、マンチーニは向かってきたパトリツィオも抜き去り完全にサイドを突破。
そのまま中央を向き、PA内へと侵入してきたカルネバーレへとセンタリングを上げる。
これに対してカルネバーレは高く飛び上がり、慌てて守備陣もクリアーとセービングの構えを見せるのだが……。

カルネバーレ「喰らえ! これが俺の……G・ヘッドだぁ!!」

ドゴオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!

チェーザレ「ぐぼあっ!?」

高い跳躍力と体躯を生かした力任せのヘディングシュートが放たれると同時、爆発的な音を掻き立ててゴールを襲う。
クリアーに向かったチェーザレは威力を殺す事すら出来ないままあっさりと吹き飛ばされ……。

バゴォオオオンッ!! ズバァッ!! ピピィーッ!!

佐野「うげっ……(すげー破壊力……流石に威張ってるだけあるな)」
お燐「うにゃ……(おくうの八咫烏ダイブよりももしかしたら上? うそ〜……)」

更にゴールネットを突き破り、それと同時に審判の得点を告げる笛が鳴り響いた。
無論、このシュートよりも威力は上であるシュートは数多く存在する。
佐野にしろお燐にしろ、そんなシュートを敵として何度も見てきたのだ。
ただ、それでも彼らはカルネバーレの放ったようなシュートを打つ事は出来なかったし、
何よりも上には上がおろうと、それがカルネバーレのシュートの威力を否定する事には繋がらない。
実際にこうやってゴールを決められているのだから尚更だ。

413 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/15(木) 23:58:24 ID:???
佐野「(って、そういや『G・ヘッド』って……なんのGなんだ?)」
チェーザレ「ぐ……いててて。 やっぱりすげーなカルネバーレの『ゴリラヘッド』は」
モゼ「ああ、わかってても止められないぜ。 キーパーの……人も頑張ってたんだけどな」
バルトロメオ「俺達が束になっても止められないもんなぁ、『ゴリラヘッド』は」
佐野「へー、GはゴリラのGなのか。 ははは、そいつぁ傑作だ」

ゴン! ゴン! ゴン! ゴン!!

カルネバーレ「誰がゴリラだ! バカタレ!!」
チェーザレ「げふ……」
モゼ「がへぇ……」
バルトロメオ「ごほっ……」
佐野「いってぇ〜!!」

なお、このカルネバーレの『G・ヘッド』。
当人は巨大な自身の身体と威力から『ジャイアント・ヘッド』というつもりで名づけたのだが、
周囲からの通称は完全に『ゴリラ・ヘッド』で定着してしまっていた。

……無論、それを口にした場合、今のようにカルネバーレの拳骨が飛んでくるのだが。

414 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/16(金) 00:00:32 ID:???
佐野「(畜生……すげぇシュート打てるからって威張りくさりやがって!
    ミニゲームとはいえこのまま負けてちゃ、このゴリラにもチームの皆にも舐められちまいかねん。
    こうなったら残り時間でなんとか点をとらねーと……その為には……)」

内心舌打ちをしながら、痛む頭を摩りつつ敵陣ゴールを睨み付ける佐野。
レクリエーション、互いの実力を知る為のお遊びに近いゲームとはいえ、このまま負けるつもりは毛頭ない。
時間的に逆転は難しいだろうが同点に追いつけば、まだ面目は保てるだろう。
問題は得点が出来るかどうか……先ほどまでのプレイを見ている限り、はたてはどう考えてもシュートは打てそうにない。
お燐は打てるかもしれないが、それでもMFと言っていて、得意なのはドリブルだと言っている以上自分よりは下だろう。

佐野「(俺がゴールを奪えるかどうかにかかってるな……あいつから……!)」
ブルノ「(ふふふ、生意気にもガンを飛ばしてきてやがるな。
     来るなら来い……そう簡単にこの俺様の守るゴールから点は奪えんぞ!)」

このレッチェのゴールを守る正GK――ゴール前で不敵な笑みを浮かべながら、
こちらを睨み返してくるブルノを見て、ゴクリと唾を飲み込む。

佐野とブルノ――後に終生のライバル、とは絶対に呼ばれない2人の対決の時間が、
刻一刻と近づいてきていた。

415 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/16(金) 00:03:06 ID:???
一旦ここまで。
原作では強引なドリブルしかなかったカルネバーレですが、必殺シュートを持たせて強化しています。
威力的にはサトルステギのダイナマイトヘッドくらいですかね。
次回更新でミニゲームパートも終わり。
その後に一輪・お燐・はたて・ゴリラ・マンチーニの現時点での能力を公開出来たらなと思います。
それでは。

416 :森崎名無しさん:2018/03/16(金) 09:50:17 ID:???
ブルノ君はレベル上げればアクセルスピンシュートキャッチ出来るんだぞ
レベル35ぐらい必要だけど!シニョーリのレベル21だけど!

417 :森崎名無しさん:2018/03/16(金) 10:11:04 ID:???
ナチュラルにゴリラヘッドって読んでた
思ったよりゴリラ強そう

418 :森崎名無しさん:2018/03/16(金) 12:05:11 ID:???
流石にランピオンスト様よりは弱いだろうが、
必殺ブロックのハエタタキ持ってたらDFでスタメン取れそう

419 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/17(土) 22:40:32 ID:???
本日も更新はお休みさせていただきます。

>>416
才レベルで14差くらいあれば流石に誰でもキャッチ出来そうですね……。
ちなみにタイユースのワチャラポンくんが才レベル5から更に14上げてキャッチ87になるみたいですね。
ライトニングタイガークラスにも互角に戦えるよ!
>>417
主人公チーム補正とキャプテン補正で結構強化しております。
>>418
イタリアユースのFWはほぼ不動ですからね。
本編でカルネバーレや名前だけですがブルノが出てきたのは嬉しかったです。

420 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/18(日) 22:54:17 ID:???
申し訳ないですが本日も更新は無しです。
ブルノさんをどう描写するかで悩む悩む……多くの他スレ様でも人気キャラですからね。扱いは丁重でなければ。

421 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/21(水) 00:34:05 ID:???
本日も更新はお休みです。明日は更新出来たらと思います。

422 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:02:34 ID:???
ピィーッ! バムッ!!

その後、再び佐野チームのボールで試合再開がされる。
ボールを受け取った佐野は、逡巡する間もなく一旦ボールを右サイドを走るお燐へ。
早く得点をしたいという思いがありながらも、真向からドリブルでの突破は挑まない。

佐野「(中央にはあのゴリラがいるしなぁ……)」

勿論自分のドリブルがまるで通用をしないとは思っていない。
得点力はマシになったとはいえ世界水準で見ればまだまだ低く、ディフェンス技術は殆どお話にならない。
そんな中でも唯一世界の猛者達と対等に渡り合える程までに鍛え上げたのが佐野のドリブルだ。
圧倒的な――幻想郷における水橋パルスィや博麗霊夢、外の世界の大空翼やファン・ディアスクラスのキープ力というには及ばない。
しかし、一選手の武器とするには十分過ぎる程の水準ではある。

ただ、それでもここは佐野が自ら持って上がる事はなかった。
中央にいるカルネバーレに先ほどは反則紛い(と未だに佐野は思っている)のパワーチャージで止められた以上、
彼と再び対決するよりは右サイドのお燐に流した方が勝算があると考えての選択である。
かつて魅魔との問答から、より味方を生かせるようなタイプの選手になろうと考え、それを行動に移したまで。
普段の言動こそあまり知性を感じないが、一応サッカーになるとそれなりには真面目になるらしい。

佐野「(つっても俺もやっぱ他の皆をアッ!と言わせるプレーしてーなぁ。
    キックオフシュートとは言わないけど、11人抜きしてゴールとかさ〜)」

……もっとも、未だに自分がより活躍したいという思いについては未練タラタラであったようだ。

お燐「ふふ〜ん、ナイスパスお兄さん! それじゃいっくよ〜!」

タッタカター

佐野「(うーむ、やっぱお燐は結構上手いな。 はたてみたいに穴という穴が無い感じだ)」

423 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:03:53 ID:???
1人、2人とドリブルで抜き去るお燐を見て感心をする佐野。
サイドに振ったが為に中央に位置していた鈍足カルネバーレは当然追いつけておらず、
そのままお燐が一気に中盤を突破してしまおうかという所まで来るが……。

マンチーニ「(さて……今度はどうするかな?)」
お燐「(メガネのお兄さんがやっぱりやってくるよね〜……)」

しかし、CMFの配置についていたマンチーニがこちらへとすり寄り、プレスをかけに来ているのが見えた。
これは先ほどの突破の場面――佐野がカルネバーレにドリブルを止められた後、
こぼれたボールをフォローをしたお燐がサイドに流れて突破を図った場面と奇しくも同じである。
あの時お燐は逆サイドを走るはたてに向けて大きくサイドチェンジをし、マンチーニとの勝負を避けた。
この目論見は上手くいき、マンチーニをかわすという目的だけは達成出来たのだが……。
その後、はたての壊滅的なパスの下手さがカウンターを誘ってしまった事は記憶に新しい。
よってサイドチェンジという選択肢は浮かんでもすぐに消えた。
では中央にいる佐野に渡すか。これもお燐は一瞬考えたが、すぐに却下した。

お燐「(あたいはパスは……あの天狗のお姉さん程じゃないけど苦手だもんね〜。
    メガネのお兄さんのタックルがどれほどかわからないけど、自分の得意分野で勝負させてもらうよ!)」

ダダッ!!

マンチーニ「来たか!」

パスではなく、自分の得意分野であるドリブルに勝機を見出したお燐。
はたて程のスピードではないが、それでも十分俊足と言える急加速で走りはじめたお燐に対し、
マンチーニも一気に距離を詰めてスライディングタックルに向かう。
ここまで好プレイを見せてきたマンチーニらしく、そのタックルも相応の精度でボールへと向かっていたのだが……。

424 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:05:07 ID:???
キュッ! タンタンッ!! ズダダッ!!

マンチーニ「うっ!?」
お燐「悪いけどあたいのドリブルはそう簡単には止められないよっ!」

踊るようなステップを踏みながら、小刻みにボールを扱い翻弄するお燐。
縦、横、斜め、あらゆる方向へとフェイントを駆使しながらドリブルをするお燐を前に、
マンチーニの足は空を切ってしまう。
その"ランダム"に繰り出したフェイントでお燐はマンチーニをかわしてしまうと、
既に邪魔者はいなくなったとばかりに更に快速を飛ばしてサイドを完全に抉り切った。

佐野「(俺もあれくらいのフェイントが出来ない訳じゃねーけど……あそこからの急加速は無理だな。
    っと、ともかくチャンスだ!)よし、お燐ここは……」
ブルノ「DF、逆サイドだ! あの俊足の新入りに気を付けろ! 奴に上げてくるぞ!!」
佐野「んん?」

お燐の突破に感心していた佐野は彼女にフィニッシュの指示を出そうとし……しかし、その耳に聞こえてきた敵GK――。
ブルノの指示を聞いて首を捻る。
彼の指示を受けてDF達は素直にはたてへのパスコース、
及びボールを受け取ってもすぐに奪いに行けるようにマークにつくのだが、佐野としてはそもそも彼女に合わせる意図は無い。
はたてに決定力が恐らくないであろう事は、パスですらへろへろでまるでキック力が無い事からもわかりきっている事だからである。

佐野「(……そういやこいつ、さっきの時もはたてにプレスかけるように指示出してたな。結果的にDFはあっさり振り切られてたし……。
    ……いやまぁ、あいつの実力を知らなかったから仕方ないっちゃ仕方ないし、
    その後結局はパスが失敗してカウンターになったとはいえ)」

しかし、はたてからボールを奪おうとした――というのは、やはり誤った判断だったと言えるだろう。
マンチーニが好判断からはたてのパスコースを遮断していなければ、
佐野のシュートチャンスが来ていたのは明白である。

425 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:06:33 ID:???
佐野「(ま、いいや。 それよりも改めて……)お燐こっちだ! ハイボールを上げろ!!」
ブルノ「なにィ!?(あの小柄なチビが打ってくるのか!? ドリブルしか出来ないんじゃないのかこいつ!?)」
マンチーニ「(Jrユース大会では見られなかったが……ドリブルに加えてパスも得意な彼の事だ。
       そして、あの試合ではトップ下の役割。 シュートが打てても不思議ではないな)」
カルネバーレ「(あんな小さな身体で威力のあるシュートを打てるものか)」

何はともあれこれで何も邪魔はなくなった、と佐野は改めてお燐にハイボールを要求しながらPA内へと侵入した。
先ほどもはたてからラストパスを要求していたのだが、どうやらブルノの頭からはその事はすっぽり抜け落ちていたらしく、
思いっきり狼狽しながらもセービングの構えを見せ、
カルネバーレとマンチーニは佐野の実力を見極めようと注視をする。

お燐「いくよお兄さん! そーれっ!」

パコーンッ! グワァァアッ!!

佐野「よっしゃあ! 決めるぞ!!」

お燐も佐野の指示には素直に従い、高いボールでのセンタリング。
彼女自身が言う通り、やはりそれはドリブルに比べれば些か精度が落ちていたのだが、
それでも遥かにはたてのものよりはマシであったし、何よりパスコースに誰も入っていなかった為に佐野も簡単に合わせる事が出来た。
慌ててDF達がブロックに入ろうとするものの、クリアーに向かえる者も無し。
佐野はボールの落下地点を予測しながら駆け込み、軽く捻りを加えながら大きく跳躍をする。

マンチーニ「ロベッシャータか! いや……」
カルネバーレ「(捻りを加えている……身体に回転をかける事でボールにも直接回転をかけるつもりか!)」
佐野「いくぜ! これが俺の超必殺! ローリングオーバーヘッドだ!!」

浮き球補正2/2、高シュート力+4補正。
どう考えても超必殺というには些か威力が不足気味なのだが、それでもこれが佐野の最大火力故に仕方ない。
ともかく佐野はこれを放つべくボールに向けて足をたかだかと振り上げ、それと同時に逆さまになったゴール前を見た。
当然シュートコースを探す為である、のだが――。

426 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:07:35 ID:???
佐野「(あれ? あのブルノって奴どこいった?)」

そう、GKであるブルノの姿が見えなかった。
先ほどまではセービングの構えを見せていた彼の姿が佐野の視界からは消え去っていたのである。
これは一体どうしたことかと逆さまの世界の中で佐野は一瞬混乱をしたのだが……。

ブルノ「ふう、ふう……ちょっと待ってくれ。 今上るから」
佐野「なっ……何やってんだアイツー!?」

彼の声が聞こえそちらへと視線を向けた瞬間、思わず佐野は叫んでいた。
ブルノは考えた。彼は常に真剣であり、例えレクリエーションといえど負けるつもりは毛頭ない。
むしろ新入りである佐野達に自分たちレッチェの実力というものを見せつけてやろうと、
カルネバーレ同様並々ならぬ覚悟でこの試合には臨んでいた。
そんな彼は佐野のローリングオーバーヘッドを見た瞬間、考え、動いた。
高い所から放たれるオーバーヘッドキック――佐野のジャンプ力と上背からしてみればそこまで高所という訳ではないが、
それでも通常のヘディングなどに比較をすればかなりの高度である。

角度をつけて放たれたオーバーヘッドを止めるのは至難の業。
ならばと彼は発想の逆転をし、自分もまた佐野と同じだけの高度を手に入れればいいのだと考えた。
ではどうやって同じ高度を手に入れるか。普通にジャンプをしただけでは到底届かないし、
そもそも今からでは飛び出しても佐野との距離を考えれば到底競り合いには向かえない。
そこでブルノは思いついた。

ブルノ「(ゴールバーに乗れば同じ高さ……いや! 俺の方が高くなる!! これはいける!!)」

正しくそれは天啓であり。悪魔的発想であり。逆転の閃きであった。
思いついたが即座に行動をしたブルノは、一気にゴールポストに駆け寄ると登り棒の要領で登ろうとする。

ブルノ「ふう、ふう……(しかしこれ辛いな。ポスト足引っかけるトコ無いから登りにくいぞ)」

427 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:08:43 ID:???
ただ、このブルノの作戦の問題点は、割とブルノが登り棒が苦手でありゴールバーに上るのに手間どった事。
そして…………。

佐野「ゴ……ゴールからっぽやんけ!?」

思わず佐野が錯乱して関西弁になってしまう程に、ゴール前がもぬけの殻となってしまっていた事である。

マンチーニ「ああ……(またか……)」
カルネバーレ「あのバカは……」

とんでもない奇行を見せるブルノに、思わず頭を抱えるマンチーニたち。
一方で佐野は何はともあれチャンスだとゴールを射抜く為にその右足を振りかぶるのだが……。

佐野「あ、やべっ!?(あまりの事で呆気にとられてミスった!?)」

カシュッ!!

ブルノの奇行に気を取られ過ぎたか、ここで痛恨のミスキックとなってしまう。
具体的にはダイスで言う所のピンゾロ。
ローリングオーバーヘッド独特の回転もロクにかけられぬまま、放たれたシュートは無人のゴールへと向かうのだが……。

バゴッ!

しかし、これを相手DFが上手くカバーしブロックに成功した。
悲しい事に佐野のローリングオーバーヘッドは、ミスキックでもゴールを簡単に奪えるという程には威力は高くなかったのである。

佐野「うげげっ!?」
マンチーニ「(ブルノの奇行を見て動揺したか。 ……まあ無理もないな)」
カルネバーレ「(ふん、あの程度……とは到底言えんが、それでも動揺するとは情けない奴め)クリアーだ! 早くしろ!!」

428 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:10:42 ID:???
この結果を見てマンチーニ、カルネバーレの両者はやはり両極端な感想を持ちつつ、
何はともあれともかくクリアーだとカルネバーレの指示を受けてDFは急いでボールを蹴りあげた。
これは至って当然であり、普通のプレイである。カルネバーレの指示も、DFのプレイも何ら問題は無い。
彼らには何ら問題は無く、非も無い。

ブルノ「ふぅ……よし、上ったぞ! くくく、ではこのブルノ様の華麗なるセービングを見せてやろう!!
    無限の彼方へ……さあ行くぞー!!」

ビュバッ!!!

彼らには非は無かった。問題も無かった。……ただ、GKだけが問題だった。
ようやくゴールバーの上へと登り切ったブルノは、割と高い事にちょっとビビりながらも虚勢を張りつつ、
誰も聞いていないというのに声を張り上げながら飛んだ。そう、セービングに向かう為である。
彼は悪くない。彼は彼なりに必死こいて真剣にゴールを守ろうとしていただけである。
……その行為の奇抜さなどには大いに問題があったが、ともかく、ゴールを守ろうとしていた。

ただ、既に佐野のシュートはDFに止められていた。
ブルノは知らなかった。割とバーに上るのに集中してしまっていた為、フィールドで何が起こっているか。
また、やっぱり高い所が微妙に怖いので足元を見過ぎてしまい、目の前で何をしているのか。
よって彼は佐野がシュートに来ていると思いこみ、そのまま飛んでしまったのだ。
これが何を意味するか。

ブルノ「うおおおおおおお!! ゴールは割らせん!!!」
佐野「へ?」

429 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:11:55 ID:???
佐野のシュートを防ぐべく、前に飛んだブルノ。彼の身体はそのまま佐野の目の前までやってきて……。

バゴンッ!!

ブルノ「ぐぎゃっ!?」

位置的に、DFのクリアーボールが直接当たる軌道となってしまっていた。
ブルノの尻に当たったボールは、DFが全力でクリアーしようとしていた為に彼の尻に多大なダメージを与えつつ跳ね返り……。

テンテンテン……

……… ……… ………

そのまま誰もフォローする事も無いまま、無人のゴールへと吸い込まれるのだった。


ピ、ピピィー!!

佐野「………………は?」

最初、佐野は目の前で起こった事を理解出来なかった。というより、彼の脳が理解する事を拒んだ。
何せキーパーがいきなりゴールバーに上るという奇行を繰り出したと思えば、
それが原因で運悪くミスキックしてしまいシュートミス。
これをDFに防がれてしまったのだが、なんとこれにそのキーパーが飛び込んでしまい、ボールは跳ね返されゴールへ。
結果としてはオウンゴールであり、佐野としては喜ぶべきことなのだが、
まったく見た事が無いこの展開に呆気にとられてしまっていたのだ。

430 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:13:11 ID:???
マンチーニ「………………」
佐野「あ、あの、マンチーニ? あいつは……あいつは、何者?」

思わず佐野が近くにいたマンチーニにそう問いかけてしまったのも無理は無い話であった。
これを受けてマンチーニは、やや言いにくそうにしながらもメガネをクイと上げつつ……やはり歯切れ悪く口を開く。

マンチーニ「彼は……うん。 実力自体は、決してそこまで低い訳じゃないんだ。 ……高い訳ではないけど、
      それでもセービング技術に関してはうちでも1番のキーパーなんだ」
佐野「そ、そうなのか?」
マンチーニ「ただその……判断力がね」
佐野「そういう問題じゃない気がする……」

確かに思い返せばDF達の指示から含めて、ブルノの判断は全て裏目ばかりであった。
が、そもそもゴールバーに上るだとか、あまつさえそこから飛び出してクリアーボールをブロックしてしまうだとか、
果たしてそれは『判断力が悪い』という事だけで片づけてしまっていいのか。
佐野の疑問はもっともだったが、マンチーニはそれっきり口を閉ざしてしまい答えは聞けなかった。

佐野「(……え? こんなトンデモが正GKだったの?)」
ブルノ「ぐ、くそっ! まさかこの俺のセービングを掻い潜ってうまくボールをゴールに押し込むとはな!!
    見た目とは違って中々切れるようだな! だが次はそうはいかんぞ!!」
佐野「(え? なんでこんな真っ当な、いかにも俺がライバルでございみたいな口調で話しかけてきてんの?)」

そして当のブルノはといえば、佐野が自身を掻い潜りシュートを放ってボールを当て、
その反動でゴールを決めたと盛大に勘違いし、露骨に悔しがりながらそう息巻いていた。
実際の所はお前がクリアーボールを止めたせいでそれがゴールに入っただけだ、と言いたかったが……、
そんな事を言う気力すら、今の佐野には沸かなかった。

431 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:14:34 ID:???
お燐「(そ、外の世界のキーパーって……みんなこんなんなのかねぇ? ……流石に、そりゃないよね? ね?)」
はたて「(…………。 サッカーってこういうスポーツだっけ?)」
佐野「(正直、イチさんがスタメン取れるかどうか不安だったけど……)」

お燐がポカンと口を開け、はたてがおどおどとしながらブルノへと視線を向ける中。
佐野はくるりと振り返り自身のチームのゴール前にいる少女を見た。
……彼女は彼女でやはりブルノの奇行に驚いていたようだが、それもひと段落すると同点に追いつけた事に喜んでいる様子だった。
こんなゴールで喜べるあたり、割と彼女の性格も色々とおかしい、のではあるが。
どう考えても目の前にいるブルノよりはよっぽどマシである。

ブルノ「さあみんな、まだ同点になっただけだ! もう一度突き放して、俺達の実力を見せてやろうぜ!!」
マンチーニ「あ、ああ……うん、そうだな……」
カルネバーレ「………………」
佐野「(いや、言ってる事はいいんだけど……いいんだけどさ)」

彼の言っている事は間違ってはいない。
残り時間が少ないとはいえ、味方を鼓舞し失点しても凹まないメンタルの強さは素晴らしい。
ただ、マンチーニもカルネバーレも……その他の面々も、あからさまに表情は暗い。
そりゃ当然だ。何故あんな失態を(自らの失態だと気付いていないとはいえ)晒しておきながら、
その事を棚に上げて鼓舞出来るのか、というか如何にも俺がチームの中心選手ですみたいな顔で周囲に声かけが出来るのか。

ブルノ「(俺は……俺達は負けんぞ! 新入りども!!)」
佐野「(……うん。 ……イチさん、スタメン取れそうだぞ。 良かったな)」

その瞳に闘志を燃やし、気合を入れ直すブルノ。
そんな彼を見やりながら佐野はげんなりしつつも、そんな事を考えるのだった。

………

その後、結局同点で試合が終わった翌日。
佐野が初めて参加をした全体練習では、レギュラー組に一輪が。控え組にブルノがしっかりと分けられていましたとさ。
めでたしめでたし。

432 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:30:39 ID:???
本日の更新は一旦ここまで。
ブルノさんをどう描写するかについては色々悩みましたが、
「本人は至って真面目で真剣なのだが、壊滅的に判断力が悪い奇行師」という事に落ち着きました。
それではミニゲームも終わりましたので、レッチェの主力紹介です。
佐野については前に公開してますのでそれ以外について。

名前   ド パ シ タ カ ブ せ 高低 ガッツ 総合
お燐   72 69 69 71 70 68 70 2/2  800/800 489
はたて  73 65 66 69 70 70 70 3/2  700/700 483
一輪               73 3/3  800/800   パンチング77 キャッチ75

カルネバーレ  72 71 73 73 70 74 74 3/2  850/850 507
マンチーニ   73 73 71 72 73 73 72 2/2  800/800 507
ブルノ              70 1/1  600/600   パンチング74 キャッチ72

    お燐
キャッツウォーク(1/4でドリブル力+3)
キャットランダムウォーク(1/4でドリブル力+4)
地獄コンビ(パス力+3で連続ワンツー、要おくう)100消費×2
火焔の車輪(高シュート力+4)200消費
スプリーンイーター(1/4でタックル力+3)

    はたて
高速ドリブル(1/4でドリブル力+4)

    一輪
げんこつスマッシュ(パンチング力+3)120消費
スキル・飛び出し+2

    カルネバーレ
強引なドリブル(1/2でドリブル力+2、吹っ飛び係数2)
Gヘッド(高シュート力+5、吹っ飛び係数2)250消費

433 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:34:50 ID:???
    マンチーニ
やや華麗なドリブル(1/4でドリブル力+2)

    ブルノ
奇行セービング(確率でキャッチ力++0〜+8)200消費
スキル・判断力C(状況判断のカード判定の際、悪い結果が出やすくなる)
スキル・何があっても自信を喪失しない(何があっても自信を喪失しない)
スキル・顔グラフィック(正ゴールキーパーみたいな顔をしている)
スキル・ダイビング(ゴール付近の味方のクリアボールに1/4で飛びつき、オウンゴール)

代表選出されていないお燐、そもそも初心者であるはたてはやや能力が低めです。
が、お燐に関しては割と技が揃っています。ドリブルはもとより守備力も低くないので、
成長すれば秋空の猫と違い攻守両面で活躍出来るタイプになるでしょう。

はたては現段階でもドリブルが十分高いレベル。ですがパスとシュートが壊滅的で守備はそこそこといった所です。
突破したはいいけどどうやって手放そうかという事に頭を抱える事が多くなりそうですね。

一輪さんは地味ながらやっぱりそこそこの実力者です。
必殺技を使ってパンチ80。これをどう見るか。ちなみにウルグアイのカノーバさんが才レベル5でパンチ81です。

上記の3人については、今後3年間で基礎能力も多少なりと上がる予定です。勿論技・スキルも覚えていくでしょう。

434 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/22(木) 01:35:53 ID:???
ゴリは本編から比較し大幅に強化しています。ゲーム版でもレベル差が1,2程度開けばミューラーからでもゴールを決めれるので、
まあこれくらいはあっていいのかなという感じ。

マンチーニはほぼ本編と同じですがドリブル技を密かに追加しています。

ブルノさんは……アモロよりは基礎能力はマシ。ただしマイナススキルが沢山あり、必殺キャッチも確率発動。
ダイヤで+8、ハートで+4、スペードで+2、クラブで+0の予定でした。
ダイヤが出ても一輪のげんこつと同値なので……多分試合で見る事は無いでしょう。
日常パートなどでの賑やかし要員としては出る可能性あります。

……最近久しぶりにゲーム版5をやっているのですが、記憶以上にブルノさんがザルで驚きました。
必殺シュートを止められない←わかる
顔ありキャラの普通のシュートを止められない←まあわかる
名無しキャラのPA外からのミドルシュートすら止められない←は?

それでは。

435 :森崎名無しさん:2018/03/22(木) 01:54:57 ID:???
スキル・顔グラフィック(正ゴールキーパーみたいな顔をしている)
で草

436 :森崎名無しさん:2018/03/22(木) 02:06:12 ID:???
乙でした

ブルノがクリアボールに飛び込んでオウンゴールあったなぁ
ネタ満載で遠くから見てる分には楽しそうなキーパーになってますね
ゴリラとマンチーニ強化&新戦力加入で大分強くなってる感じだけど、
ディフェンス陣が辛そう

437 :森崎名無しさん:2018/03/22(木) 02:33:51 ID:???

恵まれた顔グラから糞みたいなセービングだからな
モブ顔ならまだしもあの顔だから失望も大きいという

438 :森崎名無しさん:2018/03/22(木) 12:13:54 ID:???
リオカップ編みたいなものと考えれば一輪のセービングも悪くないね
サンパウロの悪夢影の立役者であるレナートより上だ

439 :森崎名無しさん:2018/03/22(木) 21:51:27 ID:???
ブルノ強すぎる

赤井のシュートすら止められないぐらいじゃないと駄目

440 :森崎名無しさん:2018/03/22(木) 22:04:17 ID:???
5の能力値見て赤井の能力値イメージするとさすがにシュートは止められると思うぞ
キックオフただのシュートで失点するけど

441 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/23(金) 00:22:00 ID:???
>>435 >>437
乙ありです。
多分これからもちょくちょく無駄に顔を出して正GKみたいな反応を見せてくれる事でしょう。
その分一輪さんの出番も無くなりそうです。
>>436
乙ありです。
よかったポストだ。DFが拾ったしとりあえずパスだ→ガイーン→テンテンテン……
の流れはある種の様式美であり唖然とする出来事でしたね。
>>438
一輪さんは決して弱くは無いですね。
一流とは呼べませんが、三流でもありません。
>>439 >>440
ゲーム版を考えると当然そこまで強くは無いけどめちゃめちゃ弱くは無いというラインかなと思いました。
ただモブのミドルシュートにすら失点する事を考えればパンチング70くらいでも良かったのかなと今では思いますが。
そうするとオテッロくんとかの立場すらなくなっちゃうので……。

442 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/03/23(金) 00:24:59 ID:???
追記:本日も更新はお休みします。
色々と考えてはいますがイタリア編で戦う相手なども煮詰めていきたいのでちょっと次の更新は遅れるかもです。

443 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:21:09 ID:???
EX.もしも反町に好感度トップ3のハーレムルートがあったら

>ポイズンスレ41 >>31からの分岐

反町「……すみません、俺は……。 俺は、早苗さんの気持ちには応えられません」
早苗「……そう、ですか」

反町一樹、一世一代の大舞台。
容姿端麗、頭脳明晰、おまけに常識を取り戻した上に高い浮き球は3もある早苗を前にして、
しかし、反町は早苗の告白に対して謝罪で返した。
早苗の好意――自分を好いていてくれるという気持ちは、ありがたい。
だが、それでも――未だに自分は、早苗の事を深く知っている訳でもない。
確かに試合などを通じて早苗の人柄には触れてきたつもりであるが、
それでもまだ……付き合う付き合わない以前に、男女の恋愛的な感情を反町は早苗に対して抱けずにいた。

反町「それに……」

今先ほどまでの瞬間、早苗に告白をされた際、反町の脳裏には3人の少女の姿が過ぎった。
豊穣の女神、蟲の姫、蓬莱人。
ここまでの短い期間――それでも濃かった時間を共に過ごしてきた少女たち。
1人だけでなく3人というあたりがなんとも反町の優柔不断さを象徴しているようだったが、
それでも反町の心は秋の空のように晴れ渡っていた。

その後、反町は失恋をしながらもこれからも良き友人でいて欲しいと願う早苗の案内を受け、
自身が住まうオータムスカイズメンバーの家へと帰り着くのだが……。

反町「あれ? なんで俺の部屋に明かりがついてるんだ?」

出かけの際にしっかりと電気(河童印)を消した筈なのに……と思いながら自室のドアを開ける反町。
そこには予想だにしない光景が広がっていた。

444 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:22:39 ID:???
*ここから都合により音声のみでお楽しみ下さい*

反町「あれ!? 何やってんだ穣子!?」

穣子「反町!?」

反町「何で部屋の中にはいってるんだ? 覚醒が目当てなんだろお前!?(K引き)」

穣子「違う、違うの……」

反町「とにかくじっとしてろ! 逃げられないぞ! 妹紅さんに連絡するからな(EXボスへの信頼)」

反町「もしもし妹紅さんですか?(河童印のスマホ) 俺の部屋に変態焼き芋屋が入り込んでるんですけど……。
   不法侵入ですよ! 不法侵入!! いっ、今すぐ来てください!」

反町「妹紅さんに連絡したぞ! 大人しくしてるんだ!」

………

妹紅「自警団だ!(二次設定)」

妹紅「穣子、何が目的だったの? お金? 輝夜に言って借りてきてあげようか?(仲良しアピール)」

穣子「ちぇーん!(右サイドアタック)」

妹紅「橙は関係ないでしょ。 反町、部屋に異常とかはなかったの?」

445 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:23:40 ID:???
反町「はい。 特に何もないですけど……穣子、布団の上で枕を抱えて……」

妹紅「枕を!?(驚愕) 抱えて……(ドン引き)」

反町「多分眠かったと思うんですけど(鈍感)」

妹紅「とりあえず部屋に連れていくよ。 おやすみ、反町」

………

妹紅「何が目的だったの?」

穣子「……」

妹紅「もしかして穣子……反町の事が好きだったの?」

穣子「…………(コクリ」(当然のように反町への好感度No.1の風格)

妹紅「そうか……身も心も熱くなってきた!!」(意外な事に反町への好感度No.2の風格)

妹紅「私にいい考えがある。 ついてきて!」

………

446 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:25:31 ID:???
ガチャッ!

妹紅「鳳翼天翔!!」(高クリア力+2 100消費)

反町「えっ、妹紅さん!?」

穣子「〆サバァ!!」(秋の味覚)

反町「穣子も……何するんだ!? 流行らせコラ!」

妹紅「穣子はそっち抑えて!」

反町「ドロヘドロ!(毒属性っぽい)」

穣子「抵抗しても無駄よ!」

妹紅「大人しくしてよ、反町!」

反町「穣子と妹紅さんに……2人に負ける訳ないだろ!(シュート力67) 流行らせコラ!!」

リグル「ハッハァ!! ここで颯爽とエースが登場!!」(貫禄の反町への好感度No.3)

反町「何だリグル!?(多分リグルとの恋愛ルートだけは無かった並の反応)」

穣子「リグルはそっちを押さえて!」

妹紅「3人に勝てる訳ないだろ!(人数差補正+2)」

反町「馬鹿野郎妹紅さん俺は勝つぞ!(オータムドライブ威力76)」

447 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:26:54 ID:???
穣子「フルお芋さん!!(夕飯作りはお嫁さんの特権)」

反町「ゲッホゲッホ(ガッツ300以下ペナ) やめろ……あぁも! あぁ……!」

反町「みんなオータムドライブだからな!(Aを引いて11人吹き飛ばし)」

リグル「シュバルゴ!(申し訳程度のポケモン要素)」

妹紅「さあもう抵抗しても無駄だよ!」

反町「やめろォ!(建前) ナイスゥ……(本音)」

反町「うわーやめろ! みんなドコ触ってんでい!(1回目の判定) どこ触ってんでい!!(類まれなる反射神経)」

穣子「ほら見せてみなさいほら!」

反町「穣子なんだ……俺の事そんな近くで見て喜ぶなよもう……(カップルジュースごくごく)」

妹紅「やっぱりいい身体してるね!」

反町「やはりやばい……」

448 :幻想のポイズン ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:27:56 ID:???
反町「何なんだ皆!(今更) 何なんだ、俺に恨みでもあるのか!?(鈍感)」

リグル「中々いい脚してるじゃないか! ……ところでお腹はぶよぶよだけどブロック鍛えないの?」

反町「いいじゃないか俺の勝手だろ(主人公特有の尖った能力)」

反町「みんなにゴチャゴチャ言われたくないぞ!(秋空特有の尖った能力)」

穣子「もっとよく見せてホラ!(やっぱり芋様ルート書きたかった)」

反町「ンァイ…どけコラ!(メイア・ルア) やぁめろ……ゥァー……」

〜GAME OVER〜

449 :幻想でない軽業師 ◆0RbUzIT0To :2018/04/01(日) 22:29:11 ID:???
はい、という事で4/1という事でアホなネタを書かせて頂きました。
そして申し訳ありませんが本編の方はもう少しだけお待ちください。
ちょっと仕事の引継ぎなどの影響で中々時間が取れない状況です。申し訳ないです。

それでは。

450 :森崎名無しさん:2018/04/04(水) 21:11:46 ID:???
乙でしたー
いっぱい笑わさせていただきましたw

451 :森崎名無しさん:2018/04/30(月) 19:05:30 ID:???
妹紅「モンハン登録してないの?」(ポケモントレーナーへの心配り)
実際のところ早苗の告白OKに5票入ったのは(ログ読んでた)当時ビビリましたね…絶対に穣子ルートだと思ってました
更新再開楽しみに待ってます

452 :森崎名無しさん:2018/05/26(土) 18:51:14 ID:???
佐なんとかさんが報われる日を心待ちにしてます

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