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【どん底からの】キャプテンEDIT2【出発】
[570]森崎名無しさん:2010/03/18(木) 01:37:33 ID:??? 乙でしたー ん?この路線で一向に構わんそう思うのは自分だけ?
[571]森崎名無しさん:2010/03/18(木) 07:15:35 ID:??? 乙です いやいや楽しませてもらいました 中の人をも脅かすダイヤの申し子恐るべし
[572]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:02:04 ID:??? >>570 作者としては、めちゃめちゃ構いますw >>571 本当に恐ろしいですね……けど合宿も終わったので、しばらくは安全圏……と思いたいです
[573]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:04:25 ID:HdLKyJYM 〜埼玉県大宮市(現在のさいたま市大宮区)・大宮公園サッカー場〜 ここで時計の針を一旦巻き戻す。 大前ら鳴紋中サッカー部が、強化合宿に励んでいた頃、埼玉県大宮市では全国中学校サッカー大会の本選が開幕しようとしていた。 実況「全国から激戦を勝ち抜いてきた強豪たちのぶつかり合い、全国中学校サッカー大会の幕開けです! 今年の注目校は、なんといってもサッカー王国静岡代表・南葛中学! 日本有数の激戦区である静岡の代表ながら、県予選での戦績は断トツの一言に尽きます! 目を引く選手は、まずFWにオフェンスに定評のある池上くん。全国の大舞台で前評判通りのプレイを見せることが出来るのか? そして、昨年の小学生王者・南葛SCのキャプテンを務めていた大空翼くんが、1年生ながら10番を背負いスタメン出場とのこと。 驚いたことにトップ下での登録です! FWからMFへの転向は志願してとのことですが、果たしてどのような効果を生むのか!? いずれにせよ、サッカーの申し子が見せるであろうパフォーマンスには、否が応でも期待が膨らみます!」 観客「翼だ! 翼が出るぞ!」「1年で10番か、やっぱり翼はすごいなあ」「トップ下って何するところ?」
[574]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:05:25 ID:HdLKyJYM 翼(トップ下になってからこっち、絶好調だ。オフェンスもディフェンスも、小学校時代から格段に磨きが掛った気がする。 待っていてよ、ロベルト。俺は中学の3年間で最高の選手になって、ロベルトに会いにブラジルへ行くんだ!) 実況の賞賛と観客の歓声を浴び、フィールドに立つ少年・大空翼。 彼の目には、全国から集った強敵たちの姿は映っていない。ただ、自己の目標へと歩む道があるのみである。 そんな翼を不愉快そうに見る者がいた。小学校時代からのチームメイトである、森崎有三である。 森崎(ったく、実況も観客も見る目が無いぜ。去年の小学生大会で活躍した1年なら、俺もいるだろうが。 それにしても、気に入らないのは翼だ。あんちくしょう、これだけの声援を受けて当然ですって顔しやがって) 彼もまた、1年生ながら並居る上級生を押し退けて正ゴールキーパーの座を占めたのだが、この時点での注目度は低い。 一部では、相手のゴールを脅かすほどオーバーラップする変わり種キーパーとして、その名を知られている程度である。 だが―― 森崎(まあ、いいさ。この大観衆の注目と声援は、すぐに俺が頂いてやるぜ! 天才キーパー・森崎有三様がな!) ――この年、全国は森崎の名を知る。
[575]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:06:37 ID:HdLKyJYM 実況「さあ、開会式も終わり、オープニングゲームです! 一回戦第一試合は、南葛中学VS清栄学園中等部! 南葛は言うに及びませんが、清栄学園も大会出場三年ぶり五回目と、なかなかの実力校であります。 奇しくもトップ下を努めるのは共に1年生ながらの10番同士! 南葛はご存じ大空翼くん。清栄は県大会決勝でハットトリックという衝撃的デビューを果たした、金成優くんがこれを務めます。 大会の幕開けに相応しい好ゲームを期待できるでしょう!」 金成「へへっ、一回戦目から標的の片方とぶつかれるのか。幸先がいいっていうか、あっけなくて肩透かし食ったというか……」 清栄キャプテン「(不本意ではあるが)頼りにしているぞ、金成」 金成「任せておきな。翼の野郎も、俺がきっちりと抑えておくからよ。ついでに点取りも、な」 清栄FW「口に見合った活躍、期待しているぜ」 自信満々に豪語する金成と、白けた表情ながら実力には信頼を寄せる清栄イレブン。 だが、対する南葛は冷ややかにそれを受け止めていた。 南葛キャプテン「金成、だっけか? 聞いたことあるか?」 翼「いいえ、全然!(どっちにしろ、俺より強いはずないから興味ないや)」 森崎「去年に当たった中にはいませんでしたね(大会中も名前を聞かなかったし、どうせ大したことないヤツだろ)」 南葛3年生「だよなー」 日本でも有数のサッカーレベルの高さを誇る、静岡代表の自負。加えて、昨年度小学生王者チームのレギュラー二人を擁する構成。 今更、他県の無名1年生の大言壮語を、真に受ける南葛ではなかった。
[576]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:07:48 ID:HdLKyJYM 金成「よう、大空翼くん」 翼「?」 ニヤつきながら、翼へ話しかける金成。 金成「いやあ、君と当たれて嬉しいぜ。前年度小学生王者のキャプテンにしてMVP。一度は戦ってみたかったんだよ」 翼「ありがとう! 光栄だよ!(ニコッ」 森崎(ちっ。見る目の無い野郎だ。お前が翼に勝っても、俺から点を取らなきゃチームが勝てねえんだぜ?) 金成「けど、君も運が無いなあ、翼くん。去年の小学生王者が、全国とはいえ一回戦敗退じゃあ……格好がつかないよな?」 嫌らしい声音の挑発。だが、翼はというと微塵も揺らがなかった。 翼「悪いけど、格好はつけさせてもらうよ! 俺も南葛も、そんなに弱いつもりはないからね!」 晴れがましい笑顔で、挑発を受け流す翼。熱血サッカー少年の見本のような表情と態度である。 だが内心、金成には冷え切った無関心しか感じていなかった。 翼(よくいるんだよなー、こういう出来もしないことを言う勘違いしたヤツって。県大会でも嫌ってほど見たよ) 金成「大した自信だ。これはますます手合わせが楽しみだな(ひひひっ、そのツラを後でたっぷりと歪ませてやる。屈辱で、な)」 言い捨てて、引き下がろうとする金成。だが、それを放っておかない男がいた。 森崎「待てよ。南葛を一回戦負けにするってことは、俺からゴールを奪える気なのか? あん?」 森崎である。
[577]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:09:32 ID:HdLKyJYM 金成「たしか元南葛SCの……モロサキ、とか言ったか?」 森崎「俺の名前はもりさき、だ。人の名前も憶えられないのか? オツムが弱いな、お前」 金成「悪いなあ、翼くんに比べて知名度がイマイチみたいでねえ?」 森崎「へえ? お前が、だろ?」 南葛キャプテン「お、おい森崎。揉め事は困るぞ?」 清栄キャプテン「金成! 必要以上に相手を挑発するな!」 慌てて両校のキャプテンが仲裁に入るが、それで止まる二人ではなかった。 金成「さっきの話だが、もちろんゴールは頂いていくさ。同じ年代なら、俺がゴールを奪えないはずはないからな」 森崎「はっ! 言うだけならタダだな。じゃあ、俺も宣言してやる。この試合は零封だ。お前らのシュートは、一本も通さないぜ」 清栄一同「「なにィ!?」」 森崎の宣言に、清栄一同はいきり立つ。 翼(また始まったよ……) 南葛キャプテン(まあ、県大会と同じだけの動きが出来れば、無理ではないな。あと、オーバーラップも慎めば) 金成「……お前、自分が何言ってんのか、分かっているのか?」 森崎「もちろん。お前が『同年代からなら絶対にゴールは奪える』って言うからよ。 お前なんかより遥かに格上の俺様は、お前だけじゃなく、その先輩方からのシュートも絶対に止めてやろうって言ったのさ。 だから、『せんぱぁい! 僕じゃゴールできませんよお! 助けてくださぁいっ!』って上級生に泣きついても、無駄だぜ?」
[578]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:11:39 ID:HdLKyJYM 滑稽な身振りで、金成の神経を逆撫でする森崎。『』の部分は金成の声色まで使う周到さだった。 たちまち、金成の表情に恥辱と怒りの朱色が差した。 金成「て、めえ……」 森崎(おうおう、軽く挑発を返しただけでムカっと来てやがるよ。よっぽどヌルいところでサッカーしてたんだなあ) この程度のことは、奇行士・森崎にとっては『軽く』の範疇である。 だが、常に相手を嬲る側に立っていた金成にとっては、いたくプライドを傷つけられる行為だった。 金成「……よく覚えておけ。試合の後、全国から集まった選手と観客の前で、赤っ恥を晒しているのはてめえだからな!?」 憎悪の籠った眼差しで吼える金成。だが、それを受ける森崎は、平然として内心で舌を出していた。 森崎(ああいう、自分だけが策士で他人は全部エサ、って思ってる手合いが、一番扱いやすいぜ。 自惚れきっていて、自分が挑発された時に耐えられる我慢強さが、まったく無いからな。 ともかく、相手のエースらしいヤツは冷静さを失くしたし、だいぶやりやすくなるだろ。 ……ま、こんなことしなくても勝てるだろうが、悔しがる相手を見下しながらの方が、何倍も勝利の喜びは増すってもんだしな) 剣呑な雰囲気を漂わせつつ、全国大会一回戦の第一試合が始まろうとしていた。 … … … 実況「さあ、全国大会の最初の試合、南葛対清栄学園。早くも後半20分に突入しました。現在のスコアは――」
[579]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:13:11 ID:HdLKyJYM 金成「なんでだ……なんでこうなるんだ……?」 実況「――5−0! 南葛のリードです!」 ワァァァァァァァァッ!!! 南葛の圧倒的なリードに、沸き返る観客席。群衆が一丸になって歓声を上げる様は、ある種、美しい光景と言えなくもない。 だがそれは、対戦相手である清栄の選手にとっては、ブーイングに等しい効果を持っていた。 なにしろ自分たちの大劣勢が、大勢の人々に喜ばれている状況なのだから。 金成「……くそったれっ!!」 聞こえる音を遮るように一声吼えて、南葛の陣に切り込む金成。その前に、この試合中越せないままでいる壁が立ち塞がる。 翼「金成くん、ここは通さないよ!」 金成「うぐ……!」 試合の序盤こそ森崎の挑発で冷静さを欠いて、凡ミスを繰り返したが、今は終盤である。金成も普段の判断力を取り戻している。 そして、その頭脳と選手としての本能が、ともに最大限の警鐘を鳴らす。 ――無理だ。 ――格が違う。 ――勝てはしない。 この試合中、金成は一度も翼の上を行くことが出来なかった。 パスは信じられないほど高いジャンプでカットされ、ドリブルで抜こうとすればいつの間にかボールの所有権が翼に移っている。 シミュレーションに引っ掛けようとするも見事にかわされて、逆に(ルール上では順当に)金成が審判から警告を受ける始末。 そして、ドリブルする翼は恐ろしく速く、反則覚悟で服を掴んで止めることも出来なかった。 かつて対戦を熱望した相手である、大空翼。それは今や、絶対に補足されることを避けねばならない相手へと変わっていた。
[580]キャプテンEDIT ◆wM6KXCkaLk :2010/03/18(木) 20:14:35 ID:HdLKyJYM 金成(ぬ、抜けない。こいつだけは抜けない……! サイドにはたくしかない……くそ、この俺が対戦を避けるだと?) 翼「あれ? 来ない?」 屈辱に歯噛みしつつサイドにボールを流し、バイタルエリアでラストパスを待つ戦法に切り替える。 観客「あ、パスで逃げたぞ、アイツ!」「こらーっ!! ちゃんと勝負しろーっ!!」「そんなに翼が怖いのかーっ!?」 金成(うるせえぞ凡愚どもがっ!! サッカーには戦術ってもんがあるんだ!! くそっくそっくそっ!!! 俺は逃げていない! 勝つために最善の行動をしているんだ! 逃げてない! 逃げてない! 逃げてなんかいないっ!) 清栄MF「か、金成……俺に渡されても、南葛の守備を抜けるとは思えないぞ……」 金成(情けねえツラしやがって……俺だって、テメエなんかにボールを預けたかねえよ!! これ以外に翼から逃げ――い、いや、確実に攻めこむ手がねえんだよ!) 森崎(お? サイドを突破して、中央の金成に渡す方向で来たか。だが、エースの金成からして挑発する意味さえなかったからな。 放っておいても止まるだろうが……) 明らかに南葛スタメンより格下の清栄選手と、汗みずくになって肩で息をする金成を見て、森崎はニヤリとほくそ笑む。 森崎「(ま、ここら辺で目立っておくか)先輩っ! ここはあえて通すんだ!」 南葛DF「……はいはい(この目立ちたがりめ)」 翼「森崎……また変なことをしだして……」 森崎の指示に面食らったのは、対戦する清栄の選手のみ。森崎の入学から4カ月、この手のことに慣れた南葛の選手は今更童子はしない。 また観客の耳には指示の声は届かず、ただ普通に抜かれたと思われただけだった。
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0ch BBS 2007-01-24