※人気投票開催中※
01/17(日)00:00-01/30(土)23:59
第二回鈴仙奮闘記キャラ人気投票
※新板できました※
ダイス創作物語板
ブログ
現行スレ
投票
最新20
板
1-
前
次
新
レス
【そんなタイトルで】アナザー カンピオーネ1【大丈夫か?】
[60]森崎名無しさん:2010/10/24(日) 21:08:09 ID:??? 乙でした。
[61]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:00:07 ID:??? >>60 乙感謝です、言って貰えるとやはり嬉しい物ですね。 =================================== 1-7)黒の男 この街でも手掛かりなし…。 そう結論付けるしかないと諦め、彼は大きな溜息を吐いた。 その男は全身を黒い服飾で覆い、顔面には手術の痕がクッキリと残っており… さらにその継ぎ接ぎだらけの皮膚の色も半面が異なるという面妖だった。 彼の名はBJ、親友の消息を求めて世界中を旅しているところであった。 幼い頃、全身に火傷を負い瀕死となったBJ…手術には新鮮な皮膚が必要だった。 見舞いに来ていたクラスメイトらは、皮膚の提供を募られると、皆逃げ帰った。 だがたった一人、皮膚の提供を申し出た子供がいた。 それは肌の色が違う混血児の少年、タカシだった。 彼の臀部から剥がされた皮膚はBJの頬に貼り付けられ、手術は無事成功した。 BJ(…長いリハビリを終えて学校に戻った時、君は何処かに転向して連絡を取る事が出来なくなった。 だがこの皮膚は私の宝であり、君との友情の証だった。 それは今も変わらない…。)
[62]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:01:29 ID:??? いつか医者になりタカシに対していっぱいお礼をする… その幼き誓いを果たすため、BJは必死で医者の技術を求め…そしてそれが叶った今、 世界を渡り歩きながら友人の行方を探し続けている。 しかしその消息は一切掴めなかった。 ユーゴ連邦は世界でも類を見ないモザイク国家だ。 東欧、西欧だけでなく、トルコやムスリムとも繋がっている。 故に少しは手掛かりが掴めるのではと期待していたBJだが、今日までに何の情報も得られておらず、 当然ながらこの日ニシュの街でも聞き込みは全くの空振りに終わっていた。 BJ(南で何も掴めなければヨーロッパは全滅か…次はアメリカに渡ってみるか。) 帰路につきながら、もはや探す大陸を変えてみようと、大きなスケールで思案していたBJ。 ふと大きな歓声に気付いたのはその時であった。 ・・・・・ワアアアアアアアアアアアアアアア BJ(うん? 何だかやたら喧しいが………ああそうか、スタジアムが近いのか。)
[63]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:02:51 ID:??? そう言えば聞き込みの時に話題が挙がったのを覚えていた。 何でも地元のチームが国内でNo.1のチームと対戦するとの事で、 やたらと興奮しながら話してくるオッサンの飛ばすオツユが不快だった。 BJ(サッカーねぇ……よく知らんが、こんな怒号みたいな歓声が挙がるもんかね?) BJは興味なく帰路を急ぐ事にした。 と、その時 彼の肌が急にザワツキ始めた。 粘膜に血の匂いを感じる気がする。BJは立ち止まり、建物の陰に入って様子を窺う事にした。 …数分もしないうちに、人が駆ける足音が響いてきた。 これは何かある、という確信がBJを貫いた。 革靴と石畳が奏でる高音は徐々に音量を上げ、こちらに近付いてきた。 そして…姿を見せたのは頭から血を流す初老の男だった。 右腕をダラリと垂らし、逆の腕で何かを抱えている。 BJ(人……それも子供か…。 何があったか知らんが、あの爺さんそろそろ限界だな。)
[64]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:03:55 ID:??? BJ(人……それも子供か…。 何があったか知らんが、あの爺さんそろそろ限界だな。) 無視することも出来ず、BJは陰から飛び出した。 初老の男はBJの影を認め、ギョッとした顔で急停止した そして限界が来ていたのか、そのまま膝が崩れてしまう。 だが眼光だけは強く保ち、こちらを睨みつけていた。 ジョアン「そこを退け……この子は殺させんぞ…!」 BJ「殺すよりも治す方が好みなんだがね……。 それよりアンタ、その出血でこれ以上走ったら、それこそアンタの方が死んじまうぞ?」 その言葉で察したのか、男の態度は警戒から懇願へと色を変えた。 ジョアン「私はいい……! それよりもこの子を!」
[65]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:05:09 ID:??? この言葉を普通に受け取れば、腕の中の子供がそれほど大切という事を示している。 だがBJは男の言葉の端々に、何かそう単純でない物が感じられた。 そう…この男から感じられる雰囲気は、自分の命を軽視している人間の“それ”である。 BJ「ふぅん、“自分は死んでもいい”ねぇ……気に入らないな。 すまんが私は天邪鬼なんだ、アンタの事も助けてやるぜ。」 男と子供を強引に抱え上げながら、BJの口からは思わず皮肉の言葉が飛び出していた。 それに対する男の返事を聞く事はなかった、安堵で気を失ったのかも知れない。 彼の心音が正常なリズムを奏でている事はすぐに判断された。 BJは一先ず安心し、しかし急いで夜の闇へと姿を消した。
[66]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:06:10 ID:??? 1-8)LOST BOY ガチャ… ホテルのドアを開けると、そこにはあの少年が居た。 椅子に座って、何をするでもなく、何を見るでもなくボーッとしていた。 …あれからジョアンはBJと事の成り行きを確認し合った。 その中で少年の事が話に出てきた時、ようやくジョアンは多くを思い出した。 スタジアムで偶然あの少年と家族を目にして驚いた事、 もしかして縁があるのではと考えた後、バカバカしいと自嘲しながら否定した事、 レッドスターの選手達の強さは本物で、フィジカル、知性にも穴はなく舌を巻いた事、 そしてハーフタイム中に起こった乱闘…瞬く間に伝播した憎しみと暴力、 人波に呑まれていった親子、それを追った自分、刃物で刺された少年の父親、 茫然となった母子、叫ぶ自分、パイプで殴打されながらも走る母、自分に少年を託して崩れ落ちた。 仔細を少しずつ思い出すに従い、胃と胸が激しく悲鳴をあげた。 そう言えば、目覚める直前にそんな夢を見ていた気がした。 残念ながら夢では無かったが…。
[67]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:07:12 ID:??? BJの話によれば、少年には外傷が認められず、今のところ命に別状はないそうだった。 ただ、ジョアンが目を覚ます前に、何が起こったか調べると、色々と解せない部分が出てきたらしい。 それ故 少年を病院に置かず、自分の宿泊しているホテルへと移したという事だった。 解せない部分についてはジョアンも色々と思うところがあり、BJの話と合わせると、 どうやら少年の命は別の意味で危険かも知れないという予測が立っていた。 ・・・・・。 BJ「説明した通り外傷は全く無い、無論 殴打もされていないだろう。 だが…… おぅい坊や、爺さんを連れて来たぞ!」 このBJの呼びかけに対して少年の反応は希薄… 僅かに視線を向けただけで、それ以外は全く反応が見られなかった。 BJ「……ご覧の通りさ。」
[68]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:08:19 ID:??? ジョアン「これは………。」 思わず絶句してしまうジョアン。少年の異常はただ反応が乏しいだけの物ではなかった。 覗う事が出来た彼の表情には生気、活力と言った物を見出すことが出来なかったのだ。 BJ「心因的な物だな。 度を超えたストレス、ショックに直面した人間に時折見られる。 病名としては“全生活史健忘症”…アンタの記憶が混濁していたのも程度は違えど同じ物さ。」 ジョアン「つまり……?」 BJ「まぁ理解り易く言えば記憶喪失ってやつだ。」 本や映画の中でしか耳にした事の無い単語にジョアンは耳を疑った。 だがこれまでの会話から、BJが与太を話すような人物でない事は明らかだった。 ジョアン「…治す方法は?」 BJ「自然治癒を待つよりないな、無理に思い出させようとすれば人格崩壊やショック死の恐れがある。 そもそもそう言った最悪の状況から逃れるため、脳が自ら防衛に働いた結果がコレなのさ。」
[69]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:10:25 ID:??? ジョアン「そう…か。」 BJ「…で、どうするんだい?」 ここでBJが心なしか厳しい口調でジョアンに問うてきた。 この問いに対して、ジョアンは自信を持って言える答えはなかった。 その意を力なく聞き返すのが精一杯であった。 ジョアン「どう……とは?」 BJ「アンタはこの少年を母親から託され、そしてこの子の命は助かった。 …だがこの通り。 それでアンタはどうするつもりだ? これでおさらばかい?」 畳みかけるように言葉を紡いでくるBJ。 ジョアンにとってその言葉は一つ一つが堪えた。 命さえ助かれば、あとはサッカーがこの少年の人生を切り開く…そう考えていた。 だが事はそんなシンプルに終わらない事態であるのは明らかだった。
[70]アナカン ◆w2ifIqEU72 :2010/10/25(月) 19:11:29 ID:??? サポーター同士の乱闘で刃物が飛び出す事がまず異常だった。 女子供がパイプで叩かれようとしていたのも信じられなかった。 ジョアンがさらに驚いた事に…BJに見せられた新聞では、あの事件はこう報道されていた。 『怪我人:多数、死者:0、行方不明者:0』と。 BJ「さあ、どうなんだ?」 痺れを切らしたBJが再びジョアンに回答を迫った。 ジョアン「私は………。」 だがジョアンは答えられない。 そう、ジョアンに考えられる答えはたった一つだけしかなかった。 だがそれを口に出せる自信がなかった。 ロベルトを破滅させ、その後も何の力にもなれなかった自分。 そんな自分に人…子供を導く資格など、二度と有り得ないと思っていた。 ハァ…と呆れたような溜息をBJが吐いた。 そしてジロリとジョアンの目を睨みつけ、こう言い放った。
前
次
写
名前
E-mail
0ch BBS 2007-01-24