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【運命が】ファイアーモリブレム39【迫る】
[107]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 09:43:32 ID:??? クライフォート「はは、失敬失敬。少し練習に熱が入りすぎてしまっていたようだね。 君の判断にはいつも助けられているよ。クールダウンも時には必要だからね。 でないと……いつ『彼』のように選手として使い物にならなくなるか分からないからな」 三杉「……それが分かっているのならすぐにマネージャーを呼んでくるんだ。 数日後のブレーメンとの親善試合前に彼を失うわけにはいかないだろ」 ディック「けっ。DFの要ならここにいるじゃねぇか。そいつがいなくたってどうとでもならぁ。 それにブレーメンって言ったってリーグ3位の半端チームだろ? どうせなら1位のケルン、最低でも2位のハンブルガーとやりたかったぜ」 三杉「いいから早く呼んでくるんだ。ボクの目が黒いうちは誰一人だろうと怪我なんかさせない」 クリスマン「さすがは医者との両立を目指してるご大層な人は言うことが違うねえ。偉い偉い」 カイザー「じゃあ俺が呼んでくるぜ!ヒャッホー!」 レンセンブリンク「安心しなさいリブタくん、きっとすぐに来てくれますから。 なにせうちのマネージャーの俊足はチーム内でも有名ですから」 数分後。チーム内でもトップクラスのスピードを誇るカイザーと並走しながら アヤックスのチームマネージャー、シャルが慌てて駆け込んでくる。 シャル「リブタ、痛くない?平気?」 リブタ「だ、大丈夫だよシャル。俺、頑丈なのがとりえだからさ、へへへ……」 三杉「僕も一緒に診よう。シャル、フォローしてくれるかい」 シャル「お願いします」
[108]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 09:44:49 ID:??? 膝にこびりついた芝と泥を剥がし、すりむけた患部をガーゼで塞ぐ。 幸い軽い打撲で済みそうだ。暫く安静にしていればすぐにまた走れるだろう。 リブタ「助けてくれてありがとう三杉。でも俺……悔しいよ。イスラスのこと馬鹿にされて…悔しかったんだ」 三杉「だからといって感情的になるのは得策じゃなかったな。それこそ奴らの思う壺だ。 お構いなしに『守備練習』させてもらえる立派な口実作りをしてくれたんだから」 シャル「……でも、いい加減我慢の限界。わたしも……ううん、今は殆ど下部に落とされちゃってるけど 旧アヤックスのみんなたちだってリブタと同じ事考えてる」 彼らは長い間名門クラブという下駄を履き、イスラスだけに頼って戦おうとする腑抜けた男たちだった。 だが、三杉が日本から研修に来たことで彼らは変わった。体が大きいだけと貶されていたリブタを鍛え、 自ら孤独を選び続けていたイスラスの心を解かし、チームの方向性を見事一つにまとめあげたのだ。 三杉「だが時が経てば季節が変わるように、人の意識や気質も変わってしまうものさ。 今の新体制を見ればわかるだろう?クライフォート……彼の統制はボクやイスラスが築いた時よりも もっと厚い、一枚岩へとなっている。悔しいけれどこればかりは認めざるを得ない」 一つの大きな派閥として有無をいわさず引っ張っていくチーム態勢。この状況を三杉はよく知っている。 三杉「jrユース時代のボクたちのチームもそうだった。そしてそうなったチームはたしかに強い。 主張や理念など試合の中では技術や精神へと取って代わられる。誰もが勝利を目指しボールを追いかける」 淡々と語りながらリブタの治療を進める三杉。シャルは包帯を巻き終え、薬箱をパタリと閉めてうつむく。 シャル「それでも……このままじゃダメだよ。いくらなんでも相手を狙って怪我をさせる守備だなんて……」 三杉「君の主張ももっともだ。道徳的には君のほうが正しい。だが、ボクたちがいるのは勝負の世界。 綺麗事だけでは語れない世界で戦っていることを、君も十分学んできたはずだろう?」
[109]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 09:46:17 ID:??? シャル「うん……。だからわたしは待ってる。イスラスがいつか帰ってきてくれるって。 イスラスは再起不能の怪我なんかしてない。あのときの試合で倒れた時もすぐに目を覚ましてくれたもん……!」 リブタ「でも、いったいどこに行っちゃったんだろう。俺達に何も告げずにいなくなっちゃうなんて…何か事件にでも巻き込まれてるんじゃ」 三杉「しっかりしろ!今の君たちがそんな態度でどうする!これでは昔と同じだ!イスラスに頼りきっていた昔のアヤックスと同じなんだ!」 シャル「三杉……!」 リブタ「う……」 三杉「彼が帰ってくる居場所を守ると決意したんだろ?だったら彼が帰ってくるのを信じて待つんだ。 本当に彼のことを信じ続けることが出来る覚悟があるならば、耐えられるはずだ。 ……諦めちゃダメだ。自分から希望を捨てるようなことをしてはいけない。心が弱くなってしまうから」 重い病気に苛まれ、長い間苦しんできた自分だからこそ言える言葉だった。 体の状態が悪くなることよりも、心が弱り切ってしまうことこそが三杉にとってよほど怖かったのだ。 三杉「(ボクはサッカーを辞めないよ。もし1分や2分しかプレーできなくても、 ボクは必ずフィールドに立つ。いつかボクは必ずこの心臓病にも打ち勝ってみせる。 未だ叶わないこの夢も、ボク自信が諦めない限り、心が折れない限りいつか必ず叶うはずなんだ。だから…)」 だからどうか君たちも。自分を見失わずに信じ続けることを止めないで欲しい。そう三杉が語りかけようとしたその時。 ????「どうした。辛気臭い顔しやがって。誰かの葬式でもやってるのか?」 リブタ「え……う、嘘…!」 シャル「夢……じゃないよね?」 三杉「(おやおや。こうもあっけなく夢が叶うこともあるんだね。全く……。だけどこれでアヤックスは再び変われる。 森崎、君とプロの舞台で戦える日が来るのを楽しみに待っているよ。そして、あの人との約束も……)」
[110]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 09:47:44 ID:??? クライフォート「今さら何をしに戻ってきた…イスラス!」 その夜。月夜に照らされた静かなグラウンドにて二人の男が睨み合っていた。 一人は現キャプテンであるクライフォート。そしてもう一人は元キャプテンのイスラス。 イスラス「別に。ただ、お前も知っているだろ?最近噂になっている『謎のチーム』のことくらい」 クライフォート「ああ、知っているとも。あの伝説の監督と呼ばれていたジョアン氏が突如活動を再開し 各国から素質ある選手を集めてはコーチングをしていると……ま、まさか!」 イスラス「ククッ…そのまさかだとしたらどうだと言うんだ?」 クライフォート「う、嘘だ……どうしていつもお前は……俺の行先を邪魔をする! お前はいつだってその足で先頭を走り続け目立ち続け……俺の出番を奪っていった! 俺が入念に練習の計画を立てレベルアップしても、いつもいつもコーチたちはお前ばかり注目する! 何故だ!実力も才能も俺はお前に絶対に負けていない!それなのにどうしてお前は!!」 イスラス「……ああ、知ってるよ。お前の真の実力に気づけない馬鹿なコーチ陣には俺も長年辟易していたさ」 クライフォート「なっ…!?」 イスラス「だからだよ。お前の才能と実力がとんでもなかったから、俺はこの『足』で 分かりやすく自分の長所をアピールし続けたんだ。休むこと無くひたすらな」 クライフォート「…イスラス、お前は…」 イスラス「ああ、察しの通りさ。俺はお前から逃げていたのさ。お前に目立たされちゃ俺の居場所が消えちまう。 だから慎重なお前がもったいぶって時間をかけて入念に才能を磨いている間にお前の出番を尽く奪い続けてきたんだよ」 クライフォート「……ふざけるな!俺の実力に怯え逃げていただと!?お前が! あの皇帝シュナイダーと並ぶほどの天才だと評されていたお前が!」
[111]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 09:49:15 ID:??? イスラス「だから俺は戻ってきた。俺はもう誰からも逃げたりはしねぇと決めたからここに戻ってきた。 どんな運命にも屈しねぇ。あがき続ける覚悟をようやく準備できたんだよ。 ……だからお前も覚悟を決めな。それとも『負け犬』相手じゃ本気をだせねぇか?」 クライフォート「…………」 イスラス「まだ決めかねてるのか?そんなんじゃとても『真のキャプテン』なんて名乗れねぇぜ。……三杉!」 三杉「ああ。それっ!」 バシッ!! 密かにグラウンドの隅で傍観していた三杉が蹴りこんだボールが イスラスの足元へとピタリと収まる。軽く足の裏で転がした後、クライフォートを指で挑発する。 イスラス「来な。お前が俺に追いつこうとする覚悟ができたらいつでもいいぜ」 クライフォート「……俺は……」 イスラス「昔からお前はそうだったな。周りに合わせてばかりで自ら動こうとなんか全然しねぇ。 お前がそうしてもたもたしていたのも俺に追いつくことが出来なかった原因だろうが。 足を止めたって時間は流れる。だから後で後悔なんかしないように…… 全力を尽くすために俺たちは毎日練習してきたんだろうが!」 クライフォート「!!」 イスラス「いつまでくすぶってやがるブライアン・クライフォート! テメェの言葉がハッタリじゃないのなら俺からボールを奪えるはずだ!」 クライフォート「くっ……舐めるなァ!俺は……俺は負けん!負けられないんだぁっ!!」
[112]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 09:50:32 ID:??? ★オランダの二人の天才→!card★ !とcardの間のスペースを消してカードを引いてください。カードで分岐します ダイヤ・ハート→クライフォートが粘り強く食らいつきイスラスからボールを奪う! スペード・クラブ→イスラスが音速のように駆け抜けクライフォートを抜き去る! JOKER→その時二人の間に謎の仮面男が現れた!
[113]森崎名無しさん:2012/07/20(金) 10:09:25 ID:??? ★オランダの二人の天才→ クラブ4 ★
[114]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 11:17:32 ID:??? ★オランダの二人の天才→ クラブ4 ★ >スペード・クラブ→イスラスが音速のように駆け抜けクライフォートを抜き去る! =========== クライフォート「俺はオランダの無冠の帝王などとふざけた栄誉を取り払うために絶対に負けないチーム作りに励んできた。 だからどんな手段を使おうとも負けない、相手のチーム力をそぎ落とす戦術を考えてきた!」 ダダッ!! イスラス「それがテメェの覚悟か。だがな…それじゃ届かねぇんだよクライフォート!」 ビュンッ…シュパァッ!! クライフォート「くっ…速い!」 三杉「相変わらず見事な足さばきだ。ドリブル中にあれだけ速度と方向を切り替えられれば大抵のマークは振りきれる」 リブタ「でも、クライフォートの粘り強さは本物だよ。相手の進行先を先読みして絶対に主導権を渡さないようにしてる」 三杉「君も来ていたのかリブタ。あえて君やシャルには黙っていたんだけどね」 リブタ「大事な相棒の決死の覚悟だもの。俺が見届けなくて誰が見届けるっていうの?」 シャル「わたしだって。イスラスが守ろうとしたもの、一緒に守るって約束したから」 三杉「…だったら信じて見守ろう。彼ら二人の覚悟が両方共本物だったら…きっと大丈夫」 クライフォート「抜かせない!お前のドリブルはたしかに速い。だけど右脚の舵取りグセは相変わらずだな!」 イスラス「クセじゃねぇよ。右脚でしか取れねぇから仕方なくやってんだ。それに対策ぐらい用意してる」 バコッ!クルッ……
[115]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 11:18:33 ID:??? 三杉「あれはクライフターン!高速でのフェイントだけでなくあのようなテクニックも覚えてきたか!」 リブタ「スピードとテクニックの融合…す、すごいやイスラス!噂のジョアンコーチに鍛えてもらっただけはあるね!」 シャル「(…なんだろ、この胸騒ぎ。なんだか嫌な予感がするよ。イスラス…お願い、無事でいて…!)」 クライフターンでクライフォートの後ろへと回り込んだイスラスは自慢の高速ドリブルで一気に突き放そうとする。 クライフォート「俺だって…俺だって新しい技を編み出している!チームの勝利のために、誇りを捨ててでも!」 グアアッ!! リブタ「ああっ!あの構えはまさか『ダーティディフェンス』!?」 三杉「止めろクライフォート!お前の目指す勝利は敵だけでなく味方までも傷つけることだと言うのか!」 シャル「イスラス危ない!逃げてえぇぇぇぇっ!!」 イスラス「(……情けないやつめ。そんなんじゃ何時まで経っても俺に追いつけやしねぇぞ)」 ガシッ! クライフォート「(よし、服の袖を掴んだ。後はこうして引きずり倒し……!?)」 グググッ…!! クライフォート「(ここで急停止!?俺が仕掛けるタイミングを見計らって!?)」 三杉「並走しながらの守備には勢いがつくが、対象物が同じ方向に動いているからこそその衝撃は少なくて済む。 だがもしもその方向が交わったり逆向きになっていたとしたら……」
[116]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 11:19:50 ID:??? イスラス「せえぇぇいやっ!!」 クライフォート「うっ…うわぁっ!!」 ブォン!! ボールを奪うのではなく転ばそうとするためだけにつけた勢いは余計な力がつきすぎていた。 急停止したイスラスはその衝撃を右腕から左腕へと受け流すようにして身をかがめる。 イスラスの背中の上を一回転しながら吹き飛ぶクライフォートは氷のような表情のイスラスと目があった。 ドシャッ!! クライフォート「げふっ!ごはっ…!」 シャル「ど、どういうこと?まるで自分から吹っ飛んじゃったみたいに…」 リブタ「なるほど。相手の引っ張る勢いを利用してそのまま背負って投げちゃったんだ!」 三杉「背中を向けて自ら倒れこむことでパワーを受け流す。まるでカルツの『ハリネズミドリブル』のようだな」 受け身が取れず背中を強く打ったクライフォートは激しく咳き込む。 イスラスはボールを拾い上げると倒れるクライフォートの足元へと戻ってくる。 イスラス「俺はな、クライフォート」 クライフォート「……なんだ……」 イスラス「いつも前ばかりを見ていた。チームスポーツというサッカーをしているときも。 後ろのことなんて気にもとめずに、ただひたすら自分の世界だけで走り続けていたんだ」 クライフォート「……」
[117]モリブレム ◆RK7RVcZMX2 :2012/07/20(金) 11:21:07 ID:??? イスラス「だがこのままじゃ駄目だと気付かされた。歩調があっていないチームには必ずどこかで綻びが生まれる。 トータルフットボールという全員が走り、攻め、守ろうとする戦術を行使してもだ」 クライフォート「そんな……それじゃあ俺は、俺達は……オランダは何時まで経っても王者にはなれないとでも言うのか…!」 イスラス「そうじゃない。……俺には目標がある。今は絶対に追いつけなくともいつか追いついてみせると誓った目標がな。 俺はその目標へ届くために走り続ける。止まること無くどこまでもどこまでも。 ……だから、お前も俺に追いつきたいなら走ってこい。お前がそうやって足を止めてる間に俺はどこまでも前に進む。 誰も待ってやくれやしない。夢が欲しけりゃ自分の足で歩み寄って掴み取るしか無いんだからよ」 クライフォート「(…何故俺はこいつに勝てない。俺のやってきたことは間違いだったとでも言うのか? 相手を妨害し引きずり下ろすことで自分を前に出すのではなく…… 勇気を出し自ら前に歩み出ることでしか本当の夢は掴みとれないとでも……?)」 だがそんなことが出来る人間はほんのひとにぎりだけだということをクライフォートは知っている。 多くの者が必ずどこかで折り合いをつけてしまうのだ。そして言い訳を考え挫折という現実から目をそらす。 相手が悪かった。自分には才能がなかった。どうせ初めから無駄な努力だった。無謀な考えだったんだ。 そうして人は歩みを止めてしまう。これ以上走り続けるのは苦しいから。楽な道を進んで行きたいから。 イスラス「それじゃ何時まで経っても届きやしねぇんだよ、クライフォート。 ……お前の才能は本物だ。俺が保証してやる。だがその才能を分かってもらうには もっと積極的に前に出ていくべきだったんじゃないのか? もったいぶってていざとなったら出番がありませんでしたじゃ…あまりにも滑稽すぎるだろ」 クライフォート「フ……そうだな。そうかもしれん。だが誰しもお前のように速く走れるわけではないのだ。 それこそ亀のように……歩みの鈍いものには一生栄光など輝かない……」
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0ch BBS 2007-01-24