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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[480]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:41:19 ID:??? 「いいからちょっと落ち着け」 ため息をつきたいのはこっちだ、と思いながら森崎が言う。 レズリーという少女、実際の歳よりも上に見える端正な顔立ちである。 もとより背も高く、発育もいい。 今日の服装とてアースカラーをベースにしてタイトなレザーのベストでまとめた、 強気な女性らしさを前面に押し出したものである。 堂々としていれば決して奇異の視線を集めるような外見ではないはずだったが、 何しろ挙動が不審なことおびただしい。 結果的に周囲の耳目を一身に集中させてしまっているのだった。 「うぅ……そんなこと言われてもさ」 「ったく……」 形のいい、少し薄い唇が今ばかりは力なく半開きになっているのへ眉根を寄せた森崎に、 カウンターの中から店主らしき男が注文を聞いてくる。 「何にしましょう」 「あー、そうだな……」 気分的には盛大に深酒をして憂さを晴らしたくもあったが、そうもいかない。 明日には執務机に積まれるだろう書面の山と、陽子の悪魔じみた笑顔が脳裏をよぎる。 そもそも隣の少女を、心ならずもエスコートせねばならぬ立場であった。 「それじゃ、」 適当に軽いアルコールを頼もうとした森崎だったが、それを制するように上がる声があった。 「―――い、いつもの!」 言わずと知れた、レズリーである。
[481]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:42:20 ID:??? 一瞬で周囲の空間を制圧した沈黙の中、もしかしたらこの少女は極度に緊張に弱い質なのだろうか、 などとぼんやり思考した森崎が、困ったように視線を向けてくる店主に苦笑を返す。 「……何かソフトドリンク、出してやってくれ。俺にはエール」 「かしこまりました」 *** 「……ロリィのやつが、あんなこと言うから。引きずられただけだからな」 グレープジュースの満たされたグラスを前にして、レズリーがぶすりとした顔で呟く。 森崎が何かを口にする前に先手を打ったつもりらしいが、さすがにその段は通らない。 首を振った森崎が、常温の麦酒で喉を湿らせながら言う。 「初めての店であんな注文、通じるわけねえだろ……」 「だから、わかってるよ! そんなこと! もういいだろ!」 語調は強いが、森崎を睨む目には力がない。 「……そういうアンタは、随分慣れてるみたいじゃないか」 「そうでもねえよ。普段来るのはこんな高い店じゃなくて、安い呑み屋だし。 ま、それでも商売柄、色んな国の色んな場所に顔は出してっからな」 「……ふぅん」
[482]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:43:21 ID:??? しばらく、静かにグラスを傾ける時間が続いた。 陶器のカップではなくグラスを使う辺りは高級店の面目躍如といったところだったが、 レズリーという少女、そこには何の反応も示さない。 普段からグラスを使い慣れているのであれば、それなりに裕福な家庭に育ったのだろう。 豪農、商人、あるいは役人、高級軍人。 はすっぱな口調、手のかかった服装。 手がかりは少なく、正解を知りたいわけでもない。 単に、時間を潰したかっただけである。 そんな風に益体もない想像を巡らせる森崎の沈黙を破ったのは、カウンターに頬杖をついた少女だった。 「退屈」 「……お前なあ」 じろりと森崎。 「ガキみたいなこと言うなよ」 「ヘン、どうせアタシはガキ扱いされてるじゃないか。 出されるのはワインやシードルどころかこんなジュースだしさ」 手がつけられない。 本当に、強気で尖った少女はどこへ消えたのかと、麦酒を口に含んで香りを楽しみながら 森崎が低い天井を仰ぐ。 もしかしたら、と思う。 普段ロリィという子供じみた存在と接している分、どこかで無理をしているのかもしれない。 今日の浅はかな背伸びなどその典型だろうし、あんなことを続けていれば疲れもしよう。 森崎の知る友人という概念とは随分と違う、奇妙な関係。 ふと、それが気になった。
[483]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/11(火) 23:47:03 ID:wGdJhpqU *選択 A「なあ、どうしていつもロリィと一緒にいるんだ?」 軽く聞いてみる。 B(……まあ、いいか) 黙っている。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『9/12 23:00』です。 ****** 地中海性気候に加えてカミツレ山脈を抱え水資源の豊富なドルファン城塞では 子供がアルコールを嗜む習慣があまりないという設定で、といったところで 本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[484]◆W1prVEUMOs :2012/09/12(水) 18:48:23 ID:??? A 二人の関係の背景に少し切り込みたいから
[485]さら ◆KYCgbi9lqI :2012/09/12(水) 19:49:05 ID:??? A ここまで個性が違うと疑問に思うのはおかしくないと思います。
[486]◆9OlIjdgJmY :2012/09/12(水) 21:12:05 ID:??? A 緊張をほぐすにもいい話題でしょうから。
[487]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 00:59:00 ID:??? 皆様、ご回答ありがとうございます。 それでは早速、>>483の選択については…… >>484 ◆W1prVEUMO様の回答を採用させていただきます! はい、レズリーとロリィ、いずれを知るにせよ二人の関係は重要になってきます。 なかなか通り一遍ではいかないかもしれませんが、若い子たちには寛容な態度で接してあげて下さいね。 CP3を進呈いたします。 また、>>485 さら ◆KYCgbi9lqI様、>>486 ◆9OlIjdgJmY様の回答も 本編に反映させていただきますので、それぞれCP1を進呈いたします。 >>485 そうですね、個性、価値観、その他にも色々なものが違う二人です。 森崎が関わることでそれらがどう表面化してくるか、がこの先のお話になります。 >>486 はい、いつものルーティンを行うことでいつものペースを取り戻すのは常套手段ですね。 尖った態度まで一緒に戻ってきてしまう可能性があるのは、森崎にとっては痛し痒しですがw
[488]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:00:03 ID:??? *** A「なあ、どうしていつもロリィと一緒にいるんだ?」 軽く聞いてみる。 森崎の問いに、しかしレズリーは不思議そうな顔で訊き返す。 「どうして、って……何さ」 「すげえ仲、良さそうだろ。友達っていうか、もうそれこそ姉妹みたいにさ。 趣味とか、あんまり共通点もなさそうなのに」 「……」 少女の吊り上がった目が、一瞬だけ森崎を見てから中空へと視線を彷徨わせる。 「……さあ。わかんないね、いつの間にか懐かれてたって感じだし……」 「へぇ。いつ頃から一緒だったんだ?」 「あの子が学園に入ってきてからだから……って、なんでそんなこと、知りたがるのさ」 怪訝そうな、というよりは不審げな鋭い視線が返ってくる。 日常の光景を思い出すことで、若干いつもの調子を取り戻しつつあるようだった。 思いもかけない効果だったが、緊張を解くには適した話題だったのかもしれない。 言い繕っている風には聞こえないよう気をつけながら、森崎が続ける。 「いや、お前たちってこう、個性が全然違うっていうか……性格なんか正反対っぽいだろ。 ちょっと気になっただけだよ」 「……ふぅん」 手元のグラスを弄ぶレズリーの目は、まだ白い。 矛先を逸らせる切り口を、森崎は探す。
[489]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:01:06 ID:??? 「それにしたって、何で一緒にいるのか分からないってこた、ないだろ」 「そうだね―――」 ふと考え込むようにグラスを置き、カウンターについた手を顎の下で組んで、レズリーが言葉を切る。 僅かな沈黙を挟んで、レズリーが浮かべたのは苦笑である。 「アタシはほら、こんなだから」 と、肩をすくめた表情は、つい先程までとはうって変わって、ひどく大人びている。 一瞬ごとに違う顔を見せる少女という生き物に片眉を上げた森崎が、麦酒をぐびりと喉に流し込む。 「年下の子たちには、勘違いして熱を上げてくれる子なんかもいてね。 けど、なんていうか……やっぱり壁があるんだよ。向こうが勝手に作る壁がさ」 「……」 首を振ったレズリーの肩が揺れ、隣に座る森崎に、微かに触れる。 「そういう子たちが見てるのは結局、アタシ自身じゃない……アタシと同じ顔をした、何かなんだ。 近づいてよく見れば、違いがわかる。わかればアタシは、悪人扱いさ」 「悪人?」 「勘違いさせて、憧れてたアタシの、そうでなきゃならない振る舞いと違うことをして、 心にきらきら輝いてた理想像をぶっ壊すんだ。これは、裏切りってもんだろう」 「……」 視線が、絡みつく。
[490]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/09/13(木) 01:02:52 ID:TWs/dt2c *選択 A 否定する。 B 肯定する。 C 沈黙する。 森崎の行動としてどれか一つを選択して下さい。 その際【選択理由】を、またAとBを選ぶ際は【どのように】否定または肯定するかを 必ず付記していただくようお願いいたします。 期限は『9/13 23:00』です。 ****** 久々の手段付記型選択肢ですが、まだまだ失敗のデメリットは小さいので お気軽にどうぞ、といったところで本日の更新はこれまでとさせていただきます。 夜遅くまでのお付き合い、ありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
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0ch BBS 2007-01-24