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【貴族の傲慢】異邦人モリサキ2【傭兵の意地】
[812]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:08:19 ID:??? >>808 トマトのないイタリア料理やポテトのないドイツ料理は、今からだと想像できませんね。 まあ、そもそも料理と呼べるほど食材にバリエーションを持てたのはある程度以上の 富裕層だけかもしれませんが。 >>810-811 正ヒロインはソフィア、レズリー、ロリィ、それから今まさに出てきた娘と、 来月に初お目見えする娘で打ち止めですね。 原作だとこれまでに出てきたキャロル、スー、クレアさん(と、一応ノエル)なども ヒロインなのですが、本作ではサポートキャラとして登場いただいております。
[813]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:09:50 ID:??? それと万が一全ヒロインの攻略に失敗した場合でも、ピコだけは森崎から離れません!w *** 成功→ 落ちてきたものを咄嗟に受け止める! 「くっ……、っと!」 森崎がそれを受け止めようとしたのは、頭上に差す影の主が女学生であると瞬時に認識した故である。 濃紅色のチェック柄は、学園に通う生徒のスカートの布地であった。 『何でそんなこと覚えてるのさ!』 相方が鋭く指摘するのを聞き流しながら森崎が腰を落とし、両手を差し出す。 足を下に落ちてくるそれを掬うように片腕を差し入れ、切っ先を受け流すようにその軌道を逸らし、 傾いだ上体を、空いた腕で支える。 重量は、ひと一人分。 支えるだけの力を、森崎という男は十二分に持っている。 ふわり、と。 流れるように、その落下物は一切の衝撃なく、森崎の腕の中に収まっていた。 「……ふう」 「……?」 一仕事終えた感で息をつく森崎の眼前。 ほんの拳ひとつ、ふたつの間を空けた向こうに、きょとんとした顔がある。 少年のように襟足で短く切り揃えた髪は栃栗色。 大きく見開かれた瞳は黒に近かったが、吐息を感じるような距離で覗けば濃紺であることがわかる。 そのごく近い顔が、事態を理解できずにいる空隙から驚愕へと変わるのは正しく一瞬のことだった。
[814]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:10:52 ID:??? 「―――え、えぇっ!? わわ、なに、きゃぁっ!?」 「あ、こら、暴れるな!」 『いや、驚くでしょ。実際』 遠くから他人事のように言うピコに内心で舌打ちしながら、森崎が腕の中の少女を宥めようとする。 「下ろす! いま下ろすから暴れんな!」 「いや、やだ、はな、離して! なに!?」 「ええい、くそっ……うわっ!?」 「きゃあっ!?」 どすんと重い音は、森崎の腕から解放された少女が石畳の上に落下した音である。 「いったたた……」 「だから暴れんなっつったのに……」 呻きながら腰を擦る少女に、森崎が呆れたように漏らす。 そんな声が聞こえたか、少女がきっと森崎を見上げると、口を開いた。 「もう! 何なのさ、キミは!」 「そりゃこっちの台詞だ!」 さすがに言いがかりも甚だしいと、間髪入れずに言葉を返す森崎。 「いきなり落ちてきたのを受け止めてやったんだろうが! つーかお前は一体何なんだ! 一体どっから降ってきた!?」 「う……」 森崎の剣幕に圧されたか、あるいは痛いところを突かれたのか。 少女の表情から見る間に勢いが失われていく。 ちらりと目をやったのは、傍らの高い壁である。
[815]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:11:53 ID:??? 「……お前、学園の生徒だろ」 「え、あ……ははは」 「笑ってごまかそうとするな! つーか、まさかこの壁の上から飛び降りたのか……」 言って森崎が見上げる壁は、彼自身の背丈よりも高い。 自衛意識の現れであろうか、忍び返しの類こそ設置されてはいなかったが、それでも 森崎が腕を伸ばして飛び上がったとしても届かないような位置に、その縁はあった。 「ま、まあ、その……」 と、少女が口ごもった、その時。 「―――ショースキーさん! まだそこにいますね!」 高い塀の向こうから響いたのは、女性の声である。 「おや、この声はいつぞやの……」 『キミが鼻の下を伸ばしてた……』 「やばっ! オルガ先生!」 そうそう、そんな名前だった、と頷いた森崎の手を、がしりと掴むものがある。 小麦色の肌と少し高めの体温。 眼前の少女の手に他ならなかった。 「とにかく、ここはマズいから! こっち!」 「お、おい!? 何で俺を引っ張る!?」 「いいから!」 森崎の声には聞く耳持たず、少女は走りだす。 必然、森崎も共に走る形となった。
[816]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:12:54 ID:??? 『やっさしー。別に振り払ってもいいのに』 「……まあ、大体こんなことになるとは思ってたんだよ」 くるりくるりと頭の周りを回りながら冷やかす相方にもごもごと答えながら、 森崎は手を繋いだまま前を走る少女を見やる。 短い髪が風に靡いて、毛先がふるりふるりと揺れていた。 (つーか……足、早いな) 年端もいかぬ少女である。 しかし日々教練で鍛え抜いている森崎に勝るとも劣らない足を持っているようだった。 無論森崎とてただ早く走るための鍛錬を積んでいるわけではないにせよ、その事実は単純な感心に値した。 しかも僅かながら次第に顎の上がり始めた森崎と比べて、少女の息遣いはまだ小気味のいい律動を 刻んだままでいる。 (……元気なこった) 森崎が初秋に出会った少女の、それが第一印象であった。 ***
[817]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/12(金) 21:14:39 ID:??? ****** といったところで、短いながら本日の更新はこれまでとさせていただきます。 一週間空いたんだから書き溜めておけ! というお声が聞こえてくるようです…。 ともあれ、お付き合いありがとうございました。 それではまた、次回更新にて。
[818]◆W1prVEUMOs :2012/10/12(金) 21:22:19 ID:??? 乙でした > それと万が一全ヒロインの攻略に失敗した場合でも、ピコだけは森崎から離れません!w ピコ→森崎に恋愛感情ありそうなんだよなあ。嫉妬っぽい言動もあるし ピコルートも欲しいw
[819]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/13(土) 13:31:43 ID:??? >>818 ラスト近くで全ヒロインをフりまくれば、夢のピコEDに……! まあ、そうでなくともかの小さな相方の出番は全編に渡りますのでw ちなみに重い場面や桃色な場面では空気を読んで静かにしていますが、 森崎が一人になるとひょっこり出てきて茶化したり慰めたりしてくれています。 *** 「するってーと、お前」 「ハンナ。ハンナ・ショースキー」 ショートカットの少女が言うのは、学園から走りに走って大通りを二つも隔てた北側の フェンネル運動競技公園、通称・運動公園の整備された芝生の端に座り込み、肩で息をしていた森崎が どうにか呼吸を整えた後である。 「で、そのショースキー女学生は」 「ハンナでいいよ。苗字はあんまり好きじゃないんだよね。 お爺ちゃんが移民ってだけで結構ヤな思いしたみたいでさ。 あ、ボクはそんな経験ないんだけどね。アハハ!」 あっけらかんと言い放つ少女。 快活なのか、単に物事を深く考えない質なのかは判然としない。 しかし森崎が引っかかったのは、また別の点である。 「……ボク?」 「ん? あれ、やっぱり気になる?」 「いや、まあ、俺の稼業も大概変人揃いだから、言われりゃそういうもんかって感じだが」 口ごもりつつ言う森崎の肩を、ハンナがばちんと叩いて笑う。
[820]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/13(土) 13:32:44 ID:??? 「アッハハ、それじゃボクが変人みたいじゃない!」 「……」 『そこで黙るんだね』 ピコの茶化す通り、沈黙はある種の場合において雄弁な肯定となる。 だがハンナという少女はそれを斟酌することはないようだった。 「昔っからの癖でさ。ボク、お姉ちゃんが一人いるんだけど」 『今度は語りはじめたよ』 「そのお姉ちゃんていうのがまた、お人形さんみたいな人でね! 自分もすっごく可愛いんだけど、 もう可愛いものが大好きで、リボンとかフリルとか、ああいうのが部屋にも溢れてんの」 「はあ……」 「で、小さい頃のボクはお人形さんみたいなお姉ちゃんの、そのまたご愛用のお人形扱い! いやー、そりゃもうフリッフリに飾られてさ。うぅ、今思い出すと寒気がするよ」 「その話、まだ続くのか」 ぶるり、と大袈裟に身を震わせてみせたハンナに、深い溜息をついて森崎。 「すぐ終わるって! で、ちっちゃいボクは思ったね。可愛くなくなれば、お姉ちゃんに 嫌われるんじゃないか。そうしたらお人形から卒業できるんじゃないか、ってね。 実際、これが名案! ボクって言うようになって、男の子みたいな遊びをしてたら リボンもフリルも似合わないって、お姉ちゃんが匙を投げてくれたんだよ」 「そうか、そうか」 『いい天気だねえ』 青空に浮かぶのは、夏の名残の小さな入道雲である。 広い芝生を吹き抜ける風も実に爽やかだった。 「ま、それ以来ボクは自分のことをボクっていうようになったわけ。 どう、わかってくれた?」 「ああ、よく分かった。とりあえず話を元に戻してもいいかな」 『一歩も進んでないからね』
[821]異邦人 ◆ALIENo70zA :2012/10/13(土) 13:33:45 ID:??? 首を振り振り森崎が言うのへ、ハンナがきょとんとした顔で訊き返す。 「元の話ってなんだっけ?」 「……俺がどうしてこんな目に遭ってるのかと、俺がどうしてこんなところにいるのかと、 ついでに俺がどうして昼日中からこんなに疲れなきゃいけないのかって話だ」 ぐったりとした顔で告げる森崎。 「……とにかくお前、ハンナは、いつものように授業をサボろうと学園の塀を乗り越えたところ、 何だか知らんがカッコいいお兄さんに抱き止められた、と」 「訂正。自主練に行こうとしたら、何だか知らないけど外人の不審者に抱きつかれてたんだよ」 『見解の相違だねえ』 肩をすくめて言うハンナは、しかし既に言葉ほどの嫌悪感を示してはいない。 「不審者ってお前、突然人の上に落ちてきたヤツに言われたくないんだが」 「うっ……そりゃあ、よく確認せずに飛び降りたボクも悪いけどさ……」 長い時間を走っている内に混乱から立ち直り、客観的に状況が整理できていたものか、 ハンナが怯んだように言葉を濁す。 ここぞとばかりに、森崎が反撃に移ろうと―――
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0ch BBS 2007-01-24