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【早苗】鈴仙奮闘記28【サッカー好きか?】
[433]森崎名無しさん:2015/05/06(水) 19:39:01 ID:??? にとり「もうだめだ、おしまいだぁ…!」
[434]森崎名無しさん:2015/05/06(水) 20:08:01 ID:??? これ試合終了じゃなくて前半終了なのか
[435]森崎名無しさん:2015/05/06(水) 20:47:52 ID:??? 組織から追放、ZECTから追放された影山がなんとなく思い浮かぶ
[436]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:49:02 ID:??? −妖怪の山FC 控室− はたて「にとりの調子はどう……?」 雛「――取りあえず、医務室の酸素カプセルに入って貰ってるわ。 ひどく吹っ飛ばされてるけれど、目立った外傷は無かったから、後半には無傷で復帰できると思う」 穣子「ひどいシュートだよねー、もう。嫌になっちゃうよ!」 ――前半を0−5の圧倒的劣勢で折り返す事となった妖怪の山FC。 そのハーフタイム中の控室は凄惨たるものだった。 にとりを始めとする守備陣は、試合に支障が無いとはいえ、 レミリアやフランドールのシュートにより精神的に大きな痛手を負っており。 椛「強いですね。紅魔スカーレットムーンズ……」 はたて「うん。……正直、私の予想以上だった。8月の試合の時より、全体的にかなり実力が上がってた。 それも新シュートを引っ提げたレミリア・スカーレットや、 前後半通して動けるようになったパチュリー・ノーレッジだけじゃない。 メイド長に門番に小悪魔に、それこそメイド妖精まで含むような、全選手が強くなってた」 反町「(まるで、世界が違った。俺が強くなっても、やっぱり上は圧倒的過ぎた……!)」 また、はたてや椛や反町、雛や静葉と言ったFW・MF達も、 同じポジションの選手としての、レミリアやパチュリー、咲夜達の大きな力量差を実感していた。 打開策は、どこにも無いように思えた。
[437]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:50:04 ID:??? はたて「(それにしても……)」 とりわけ。 はたて「(――文のヤツ。一体どこをほっつき歩いてんのよ……。もうすぐ、後半が始まっちゃうじゃない)」 ――妖怪の山のキャプテンにして、唯一この絶望的状況を打破してくれる存在が、 ハーフタイム直後から姿をくらましている事が、チームメイト達の士気をことさらに下げていた。 *** −妖怪の山スタジアム 廊下− 射命丸「…………」 射命丸は、紅魔スカーレットムーンズの控室前の廊下をうろうろと歩いていた。 ミニスカートの小さいポケットに手を突っ込んで、所在無げにさまよう姿は極秘取材を想起させる。 しかし、射命丸が考えていた事は違っていた。彼女のポケットの中には一包の薬品があった。 射命丸「(――この私が、通りすがった天邪鬼ごときの甘言に乗ってしまうなんて……!)」 チームメンバーに合わせる顔が無く、だからと言って全てを投げ出して逃げ出す勇気も無く。 ハーフタイムになると、射命丸は控室に入らず「外の空気を吸いたい」と、フィールド周辺をぶらついていた。 その時、彼女は人里でちょっとした騒ぎを起こしているらしい天邪鬼の少女と出会った。 彼女は妖怪の山の幹部連中以上に下卑た笑顔を湛え、射命丸にこう言ってのけた。 天邪鬼「へへへ。天狗サマとあろう者が『案外大したことない』とは、大変でしたなぁ〜。 これはお悔しい! 私はね、貴女のような有能な方がこうした辱めを受けるのが、本当に耐えられないんです! 貴女こそ、本来天狗社会の上に立つべき方! そう! 今こそ下剋上の時なのです!」 その少女は矢印をあしらったスカートをはためかせ、白いブラウスの胸についた青いリボンを揺らし、 あくまで当人なりに清楚さと可愛らしさを演出しているようだった。 ……そのあまりに邪悪な表情のせいで、騙される者はどこにも居ないようだったが。
[438]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:51:38 ID:??? 射命丸「貴女は……知っています。レジスタンスを装い、各地で人妖問わず破壊工作を行っている天邪鬼。 鬼人正邪ですね。――だとしたら退きなさい、下衆が。 私は確かに案外大した事ないですが、貴様のような者の言う事を聞く程、落ちぶれてはいないわ」 正邪「まあまあ。こっちは何か命令をしようと思って、こう話しかけた訳ではありませんよ! ただね、有能過ぎるが故に上司に干されてるかわいそーな天狗様に、一つプレゼントを贈ろうとしただけです」 現に、射命丸にその悪名が轟いている事を看破された天邪鬼――鬼人正邪も、 射命丸を騙せなくて残念そうにしている様子では無かった。 現に、彼女はこれ以上交渉する気も無く、射命丸の手に無理やり錠剤を押し付けると、そのまま去っていったのである。 去り際に、素の乱暴で粗雑な口調で、その錠剤に関する説明を行いながら。 正邪「へへ。それはね、私が永遠亭ってトコからくすねて来た、一級品の下剤だよ。 本当は永遠亭の薬剤管理のずさんさについて、マスコミにチクろうと思って持ってたんだけど、それ使いなよ。 スカーレットムーンズの、あのケンジャケンジャ偉そうな、何故か下剤が似合うあのもやし女にでもさ! 魔法使いでも関係ない、きっと一発でトイレが恋しくなっちゃうよ。 ほら、困ってるんだろ? 同期の鼻高天狗に『幻想郷最速が聞いてあきれる』とか、 『案外大したことない』とかバカにされてさ、追放までチラ付かされて……!」 射命丸「……こいつ! 何故そこまで知って――!」 射命丸が下剤を片手に振り向いた時、既に正邪の姿は消えていた。 何の背景も無い筈のチンピラ妖怪如きが、何故天狗の集落の臨時査問委員会を――。 いや、委員会の開催と射命丸への処遇案については、多くの天狗の新聞で取り上げられている。 射命丸「(だけど。――何故……私とあの気に食わない鼻高天狗とが同期である事を。 そしてしかも、非公開の会議録を見ないと分からないような情報を知っているの……!?)」 射命丸は天邪鬼への怒りと得も知れぬ不安感を覚えていた。 その上、それから数分後。――そんな外道で信用ならない天邪鬼から託された下剤を手に、 自然と足が紅魔スカーレットムーンズの控室へと向かっていた自分自身に、射命丸はひどく戦慄していた。
[439]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:53:24 ID:??? 射命丸「(普段の私なら、あんな外道から渡されたもの、一つ残らず消し炭にしていたのに……!)」 ――射命丸は、愛おしげにポケット内の丸薬を撫でている自分が心底嫌だった。 結局彼女は鬼人正邪を外道と罵っておきながら、 その外道から託された一発逆転のチャンスに恋焦がれているのだ。 射命丸「(……確かに、パチュリーさんを封じ込めるという戦法は利にかなっている)」 スカーレットムーンズの脅威と言えばレミリアとフランドールだが、彼女達二人はこの前半戦で飛ばし過ぎた。 恐らく後半は暫く温存しつつ、中盤の要であるパチュリーを攻めにも積極的に登用してくる可能性が高い。 また、そうでなくても、パチュリーさえいなくなれば、レミリアやフランドールにボールが渡る確率も減る。 将を射止めんとするならばまず馬から。 パチュリー・ノーレッジは間違いなく、レミリア・スカーレットという規格外の大将を唯一御す事の出来る名馬。 射命丸はこの時図らずも、如何にしてパチュリーに下剤を飲ませるかという事に執心していた。 射命丸「(かつての取材記録によると、パチュリーさんはハーフタイム中、 家来の小悪魔に必ずと言って良いほど メローイエロー を買って来るよう命令していたとか。 だったら、小悪魔さんを何らかの手段で脅して、飲み物に砕いた下剤を混入すれば――!)」 射命丸はおもむろに、胸ポケットのネタ帳を取り出して小悪魔を騙す脅迫状を書いてみる。 自分に足が付く事を恐れた射命丸は、そういえば先日はたてが紅魔館に取材に行っていた事を思い出しながら、 こんな一連の文章を書いた。
[440]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:54:59 ID:??? 〜小悪魔へ〜 先日は貴重な情報ありがとう。 今日は私も絶対負けられない試合なの。それは前も言ったわよね? そこで小悪魔ちゃんにお願いがあるの。 できる限り、今日の試合でパチュリーさんの足を引っ張って欲しい。 小悪魔もパチュリーさんに無理をさせて喘息を悪化させるより、 今日の試合でスッパリサッカーを諦めて普通に付き合ってほしいわよね? 何より、先日の話をケチ臭いパチュリーさんが知ったらどう思うかしら・・・ それじゃあよろしくネ! 姫海棠 はたて 射命丸「……うむ。これぞ我が新スキル・『パチュリー殺し』。 これを使えばきっと後半戦の難易度もルナティックからハード位にはなるわね。 はたてにはちょっと申し訳ないけれど――」 はたて「だーれに申し訳がないって?」 射命丸「ひゅいいっ!?」 ――そして射命丸は、脅迫状を書くのに必死で、 すぐ近くに来ていたツインテールの少女の存在に全く気が付かなかった。 勝手に偽の脅迫状をねつ造されかかった姫海棠はたて本人が、射命丸を探しに来ていたのである。 射命丸「あ、あややややや!! これは奇遇ですねはたて。貴女も外の空気を吸ってたのですか!?」 はたて「……外って、ここ別に廊下じゃない。あんたこそ何してたのよ。 キャプテンの癖にハーフタイムのミーティングサボって。敵チームの状況でも、今更嗅ぎまわろうとしてたの?」 射命丸「あー。えーっと。いえ。はい。そうですね。そんなところですね!」
[441]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:56:42 ID:??? 慌てて取り繕う射命丸の姿は、それはそれではたてにとって珍しい物ではあったが。 はたての興味は射命丸の態度では無く、その片手に書かれたネタ帳に移っていた。 はたて「ま。いいや。それで何か分かったのー?」 バシッ! 射命丸「あっ! こら、はたて! 人のネタ帳を勝手に覗き見するのは犯罪ですよっ!!」 はたて「いいじゃんいいじゃん。情報交換ってヤツよ。何だったら今度、私のだって見ても良いし……って。えっ?」 はたては無遠慮にも射命丸からネタ帳をぶんだくる。 それ自体は普段はたてがやっている(射命丸の方がもっとやっている)行為であったが、 今の余裕の無い射命丸は、全く無警戒だった。……はたての名義で書こうとしていた脅迫状も含めて。 はたて「ちょっとー。全然何もないじゃん……、って。あっ! この脅迫状ってヤツが弱点!? えーと、なになに。小悪魔へ。先日は貴重な情報ありがとう………」 射命丸「あっ……ちょ、それはダメです……!」 はたては途中まで音読していたが、その本旨が書かれているあたりから次第にトーンが小さくなり。 最後の方は手をプルプルと震わせながら文章を黙読していた。 はたて「――それじゃあよろしくネ! 姫海棠 はたて……」 射命丸「……………」 射命丸は何も言えなかった。はたては驚き半分、泣き顔半分で射命丸を見ていた。 そして手だけでなく、泣きそうな顔までも思いっきり震わせて――。
[442]鈴仙奮闘記 ◆85KeWZMVkQ :2015/05/06(水) 23:57:47 ID:??? はたて「文の……! 文の、バカ!!」 ――バシイインッ!! はたては射命丸の右頬を思いっきり平手でぶった。射命丸は抵抗する気力も無くガタリと廊下で崩れ落ちた。 スカートのポケットから丸薬と説明書が落ちたので、はたてが拾い上げた。 説明書にはその丸薬を「速攻性下剤 ミスギキラー」という名称の薬品である事が記載されていた。 射命丸「あやや……すみません。つい出来心で。 大丈夫です、ホンモノはそうですね。下剤というか薬品繋がりで、永遠亭の……そうだ、鈴仙さんの名前にでもしときますよ」 射命丸は始め戸惑っていたが、すぐに普段の軽薄そうな笑顔で適当な弁解を告げた。 しかしはたては、自分の名前が借用されたことに対して怒っていたのではない事は明白だった。 はたて「……バカ。バカ……! 私は、そんなアンタを尊敬してたんじゃないのに!!」 射命丸「はたて……」 はたては射命丸の弁解で、更に泣き顔を強めていた。 はたて「……今まで引き籠りのダメ記者だった私が、外に出よう。自分の目で世界を見つめ直そう。 天狗社会だけじゃない。幻想郷の色んな風景、出来事、人や妖怪の真実を出来る限り、新聞として留めようって。 ――そう考えるようになったのはね……。文、あんたのお蔭なのよ……!!」 はたては啜りながら、射命丸に告白する。射命丸はぼうっとした表情でそれを聞いていた。 はたて「――確かに、私は最近悩んでるアンタに冷たかったかもしれない。 でも、それはね。アンタがどんなに苦しんでても、いつもみたく機転を利かして小賢しく! 新しい、誰も見た事も無いような道を示してくれるからだって信じていたから! だから、アンタがどんな道を選んでも、私はアンタの味方で居たいって……そう思ってた。だけど!」
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0ch BBS 2007-01-24